2022-013647
カバー
- 審判番号
- 2022-013647
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-004899外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年08月31日
- 審決日
- 2023年03月22日
- 公報発行日
- 2023年04月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .121-WY (H02G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 24項目
第1 手続の経緯
本願は、令和2年1月16日の出願であって、令和4年1月25日付けで拒絶の理由が通知され、同年3月7日に意見書とともに手続補正書が提出され、同年7月25日付けで拒絶査定(謄本送達日同年8月2日。以下、「原査定」という。)がなされ、これに対して同年8月31日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(令和4年7月25日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項 1
・引用文献等 1-3
・請求項 2
・引用文献等 1-4
・請求項 3
・引用文献等 1-3、5-6
・請求項 4
・引用文献等 1-3、7
<引用文献等一覧>
1.実公平7-50826号公報
2.実願平5-38616号(実開平7-9020号)のCD-ROM
3.特開平5-344629号公報
4.特開平9-246746号公報
5.特開2011-229302号公報
6.実願昭50-117218号(実開昭52-30029号)のマイクロフィルム
7.実願平4-53019号(実開平6-17325号)のCD-ROM
第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正(以下、「本件補正」という。)は、特許法17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
本件補正により、本件補正前の請求項1に「前記天壁の前記一方の側壁側の端縁部からカバー装着方向へ傾斜して突出する解除操作部」とあったものを、本件補正後に「前記天壁の前記一方の側壁側の端縁部から該一方の側壁側へ傾斜して突出する解除操作部」とする補正は、「解除操作部」について、その突出する方向を限定的に減縮するものである。
また、本件補正により、本件補正前の請求項3に、「前記ロック解除部は、カバー着脱方向から見て前記機器から突出するように配置されている」とあったものを、「前記ロック解除部は、カバー着脱方向から見て前記機器から突出するように該機器の角部に配置されている」とする補正は、ロック解除部が配置される位置を限定的に減縮するものである。
そして、上記補正事項は、当初明細書等の図5及び1に記載されているから、本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。
そして、以下、第4~第6に示すように、補正後の請求項1~4に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。
第4 本願発明
本願請求項1~4に係る発明(以下、「本願発明1」~「本願発明4」といい、これらをまとめて、「本願発明」という。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~4に記載された、次のとおりのものと認める。
「【請求項1】天壁と、2つの対向する側壁と、ロック解除部と、を備え、一方の前記側壁は、被カバー体の被ロック部と係合するロック部を有し、前記一方の側壁と対向する他方の前記側壁は、前記被カバー体の被対向ロック部と係合する対向ロック部を有し、続きを表示(全15行)前記ロック解除部は、前記天壁の前記一方の側壁側の端縁部から該一方の側壁側へ傾斜して突出する解除操作部と、前記解除操作部と前記ロック部の周囲の前記一方の側壁を連結する連結部と、を有し、前記対向ロック部は、カバー着脱方向から見て、前記ロック解除部と前記ロック部を結ぶ同一直線上に相対向して設けられ、前記被カバー体から取り外す際に、前記解除操作部が傾斜していることで、前記対向ロック部を支点として前記ロック解除部が回転する方向に力が働くカバー。【請求項2】前記被カバー体は、機器に固定されるものであり、前記ロック解除部は、カバー着脱方向から見て前記機器から突出するように該機器の角部に配置されている、請求項1に記載のカバー。【請求項3】前記解除操作部は、指当て部であり、その先端はR形状になっている、請求項1又は2に記載のカバー。【請求項4】前記被カバー体は、ヒューズを有したヒューズユニットであり、前記ヒューズユニットの上面及び側面が前記天壁及び前記2つの対向する側壁で覆われる、請求項1から3のいずれか1項に記載のカバー。」
第5 引用例
1 引用例1に記載された事項及び引用発明
(1)引用例1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用した、本願の出願前に既に公知である、実公平7-50826号公報(平成7年11月15日公告。以下、これを「引用例1」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。(下線は当審で付加。以下同様。)
ア 「〔産業上の利用分野〕本考案は、ジャンクションブロック等の電気接続箱に着脱自在に取付けられるヒューズカバー等の電気接続箱用カバーに関するものである。〔従来の技術〕第13図の斜視図及び第14図の縦断面図は、ジャンクションブロック1に取付けられるヒューズカバー2を示し、ヒューズカバー2は、被覆壁3の周縁に側壁4が周設され、側壁4の端縁部がジャンクションブロック1に当接する。側壁4の一方の内壁面の端縁部に固定係止爪5が突設され、固定係止爪5の反対側には、外方に突出する指掛け突起7が形成された可撓性壁8が設けられる。可撓性壁8と側壁4との間には、可撓性壁8を撓み易くする溝6が刻設され、可撓性壁8の内壁面の端縁部に係止爪9が突設される。固定係止爪5及び係止爪9はジャンクションブロック1に設けられた爪部10に係合し、ヒューズカバー2がジャンクションブロック1に着脱自在に取付けられる。ヒューズカバー2を取り外すには、指掛け突起7に当てた指先を矢印F方向に持ち上げ、可撓性壁8を弾性変形させて係止爪9と爪部10との係合を解除し、ヒューズカバー2を掴み上げて電気接続箱1より外す。」(2欄12行~3欄19行)
イ 「第13図[図:0001396200000001.jpg]」
ウ 「第14図[図:0001396200000002.jpg]」
(2)引用発明
ア 上記(1)イ(第13図)及びウ(第14図)を参照すると、“指掛け突起7”は被覆壁3の可撓性壁8が設けられる側壁4側の端縁部から“斜め上方”に突出している態様を読取ることができる。
イ 上記(1)イ(第13図)及びウ(第14図)を参照すると、“可撓性壁8が設けられる側壁4と対向する側壁4には、爪部10に係合する固定係止爪5が設けられ”ている態様を読取ることができる。
ウ 上記(1)イ(第13図)を参照すると、“指掛け突起7は、可撓性壁8が設けられる側壁4と連結し”ている態様を読取ることができる。
エ 上記(1)アの特に下線部の記載、及び上記ア~ウから、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「ジャンクションブロック等の電気接続箱に着脱自在に取付けられるヒューズカバー2であって、ジャンクションブロック1に取付けられるヒューズカバー2は、被覆壁3の周縁に側壁4が周設され、側壁4の端縁部がジャンクションブロック1に当接し、側壁4の一方の内壁面の端縁部に固定係止爪5が突設され、固定係止爪5の反対側には、斜め上方に突出する指掛け突起7が形成された可撓性壁8が設けられ、可撓性壁8の内壁面の端縁部に係止爪9が突設され、可撓性壁8が設けられる側壁4と対向する側壁4には、爪部10に係合する固定係止爪5が設けられ、指掛け突起7は、可撓性壁8が設けられる側壁4と連結し、固定係止爪5及び係止爪9はジャンクションブロック1に設けられた爪部10に係合し、ヒューズカバー2がジャンクションブロック1に着脱自在に取付けられ、ヒューズカバー2を取り外すには、指掛け突起7に当てた指先を持ち上げ、可撓性壁8を弾性変形させて係止爪9と爪部10との係合を解除し、ヒューズカバー2を掴み上げて電気接続箱1より外すヒューズカバー2。」
2 引用例2に記載された事項
(1)原査定の拒絶の理由において引用した、本願の出願前に既に公知である、実願平5-38616号(実開平7-9020号)のCD-ROM(平成7年2月7日公開。以下、これを「引用例2」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
ア 「【0015】図3に示したように、上記蓋体1の箱体2への装着過程において、係止爪5および延長部9が蓋体1の相対向した、例えば、左右の側壁4に設けられていれば、上記傾斜面10は蓋体1の中心線を箱体2の中心線に合せる働き、即ち左右方向の位置決めを行う機能も兼ね備えている。次に、ロックされた蓋体1を箱体2から取外すには、先づ指先で延長部9の下端を下方から引掛けて上方へ引張ると、ロックアーム7が外方へ撓むから係止爪5は係止部8から外されるので、蓋体1と箱体2との間のロックが解除される。しかる後、指先で引掛けた延長部9をそのまま引上げれば、蓋体1は箱体2から取外すことができる。」
イ 「図1[図:0001396200000003.jpg]」
ウ 「図2[図:0001396200000004.jpg]」
エ 「図3[図:0001396200000005.jpg]」
3 引用例3に記載された事項
(1)原査定の拒絶の理由において引用した、本願の出願前に既に公知である、特開平5-344629号公報(平成5年12月24日公開。以下、これを「引用例3」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
ア 「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、接続箱本体とカバーとのロック構造に係り、特に、開放作業がしにくい車両のような狭い場所に搭載される接続箱本体とカバーとのロック構造に関する。【0002】【従来の技術】図5及び図6は、実開平1-61821号公報に記載された接続箱本体とカバーとのロック構造を示す。接続箱本体1の相対向する側壁3、5には、係止突起7、7がそれぞれ突設されている。これらの係止突起7、7は、図7に示すように、下面側が略水平で係止面7aが形成され、この係止面7aの先端部が円弧状に形成されると共に、この先端部から側壁3、5に向けて上り傾斜面9が形成され、係止突起7の長手方向中間位置で水平面となっている。この接続箱本体1の底部1a外周には、L字状の取付ブラケット11、11が突設されており、車両13に固定されるようになっている。続きを表示(全11行)【0003】一方、図6に示すように、カバー15は薄肉の箱体で下方が開口されると共に、側壁端部の全域が外側に拡径されている。そして、相対向する側壁17、19には、係止突起7、7に対応して可撓性係止腕21、21がそれぞれ設けられている。これらの可撓性係止腕21、21は、先端部が外側に屈曲して操作部23、23が形成されると共に、係止突起7、7がそれぞれ挿入・係止される係止孔部25、25(図7参照)が形成されている。【0004】このようなロック構造により接続箱本体1にロックされたカバー15を、接続箱本体1から取り外す場合には、車両13の壁13aから遠い位置にある側壁5の可撓性係止腕21の操作部23を外側に引き上げて、係止孔部25から係止突起7を抜き出す。さらに、反対側の側壁3の可撓性係止腕21を操作部23を外側に引き上げて、係止孔部25から係止突起7を抜き出し、カバー15を上方に持ち上げることにより、接続箱本体1の上部を開放することが出来る。【0005】ところが、接続箱本体1の側壁3側が車両13の壁13aに近接して配置されている場合には、図6に示すようにカバー15を傾斜させる際に、カバー15の角部Aが壁13aに当接してしまうため、図7に示すように、係止孔部25から係止突起7を抜き出すこと出来ず、カバー15を接続箱本体1から外すことが非常に困難であった。【0006】そこで、図8(a)、(b)に示すように、可撓性係止腕21の下端部に側壁3からロック解除部27を突設した接続箱本体とカバーとのロック構造が提案されている(実開平1-61821号)。このロック解除部27は、可撓性係止腕21の操作部23の裏面側に対応した傾斜面27aを有しており、カバー15を傾斜させて可撓性係止腕21を側壁3に対してθ°傾斜させると、操作部23の裏面側が傾斜面27a上を摺動して、係止突起7が係止孔部25から抜き出る方向(図示矢印方向)へ移動する。これにより、カバー15と車両13の壁13aとの隙間が、カバー15を傾斜させる分だけあれば、車両13の壁13aに隣接して接続箱本体1が配置されていてもカバー15を接続箱本体1から取り外すことが出来る。【0007】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公報で提案された接続箱本体とカバーとのロック構造では、カバー15のわずかな傾斜でも係止孔部25から係止突起7を抜き出すように可撓性係止腕21を移動させるためには、係止突起7とロック解除部27までの距離Lを長く設定する必要がある。このため、カバー15に設けた可撓性係止腕21が長くなり、カバー側のロック部分(可撓性係止腕21)を延長する必要がある。可撓性係止腕21を長く出来ない場合には、カバー15を大きく傾斜させる必要があるため、車両13の壁13aとの隙間を広めに確保する必要がある。【0008】本発明は、上記事情を考慮し、車両のような狭い場所において接続箱本体からカバーを容易にかつ簡単に開けることが出来ると共に、カバー側のロック部分を延長する必要のない接続箱本体とカバーとのロック構造を提供することを目的とする。」
イ 「図6[図:0001396200000006.jpg]」
ウ 「図7[図:0001396200000007.jpg]」
エ 「図8[図:0001396200000008.jpg]」
4 引用例4に記載された事項
(1)原査定の拒絶の理由において引用した、本願の出願前に既に公知である、特開平9-246746号公報(平成9年9月19日公開。以下、これを「引用例4」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
ア 「【0017】図1および図2において、電気接続箱11上には、内部に電気機能部品、例えば、ヒユーズ、リレー等が収納される電気部品用の収納ケース本体12およびカバー13からなる電気部品収納ケースが配置される。電気部品の収納ケース本体12は側方に張り出した突起部15を有している。更に、互いに対向する一方の対向側面16aおよび他方の対向側面16b、16c、16dを有し、一方の対向側面16aには間隔を置いて2ヶ所のおよび他方の対向側面の内の中央の対向側面16cには1カ所の係合溝12aが穿設されている。また、これら対向側面は図示の例においては3つに分割されており、一方の側面16aに対してそれぞれ離間距離は異なるものの平行に配列されている。【0018】カバー13は収納ケース全体を覆っており、特に図2に見られるように収納ケース本体12に設けられた係合溝12aと係合可能な係止突起13aを周壁内側面17a、17cに備えた収納ケース本体12の上部外周を囲撓する周壁14を備えており、この周壁14は他方の対向側面側において2ヶ所の直角に折曲された撓み部分13dを有しており、上記本体側の突起部15を覆う一体的に形成された突出部13cがこれら撓み部分13dにより中央部に画成されている。従って撓み部分13dは突出部13cの周壁の両側隅部を形成することとなる。また、突出部13cは、その外側端部につまみ状の操作部分13bを一体的に備えているが係止突起13aを備えた周壁14の部分とは隔離されている。」
イ 「【0022】図6は本発明の電気部品収納ケースのカバー解除構造の他の実施例を示す概略斜視図である。説明を簡略化するために、前述の実施例に示された如き収納ケース本体12の図は省略されているものの長方形の立方体とし、これを覆うカバー13のみが示されている。カバー13はその周壁14の前方部分14aの上端縁に、該カバーの開閉を行うための操作部分13bが水平方向に突出して形成されている。図1ないし5の実施例に示した収納ケース本体に穿設された係止溝12aおよびこれと係合するカバー13の対向する周壁内側面17aおよび17cに設けられた係合突起13aに相当するものは、この実施例においては図示していないが、同様に周壁14の前方部分14aと対向する後方部分との間に設けられている事は容易に理解されよう。」
ウ 「図1[図:0001396200000009.jpg]」
エ 「図2[図:0001396200000010.jpg]」
オ 「図3[図:0001396200000011.jpg]」
カ 「図6[図:0001396200000012.jpg]」
5 引用例5に記載された事項
(1)原査定の拒絶の理由において引用した、本願の出願前に既に公知である、特開2011-229302号公報(平成23年11月10日公開。以下、これを「引用例5」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
ア 「【0003】図6に示すケース210は、ケース本体3と、ケース本体3に取り付けられるカバー4と、これらケース本体3とカバー4とを固定する係止部材2と、を備えている。【0004】上記係止部材2は、金属板にプレス加工等が施されて得られる板バネである。この係止部材2は、その一端にU字状に曲げられた固定端部21が設けられ、その他端にV字状に曲げられた係止端部23が設けられ、固定端部21と係止端部23との間に円弧状に曲げられた円弧部20が設けられている。また、係止端部23には、係止部材2の先端が折り返されて形成された操作部22が設けられている。」
イ 「図6[図:0001396200000013.jpg]」
6 引用例6に記載された事項
(1)原査定の拒絶の理由において引用した、本願の出願前に既に公知である、実願昭50-117218号(実開昭52-30029号)のマイクロフィルム(昭和52年3月2日公開。以下、これを「引用例6」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
ア 「以上の従来タイプのフユーズボックス3は、ボックスの手前側に突設された指掛部3aを介して押し下げ、これにより弾性係止片5或は5’は、孔6或は突部9から外れ、軸4を中心にして回動し、開放される。」(明細書3ページ5~9行)
イ 「第2図[図:0001396200000014.jpg]」
7 引用例7に記載された事項
(1)原査定の拒絶の理由において引用した、本願の出願前に既に公知である、実願平4-53019号(実開平6-17325号)のCD-ROM(平成6年3月4日公開。以下、これを「引用例7」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
ア 「【0003】上部ケース3には、装着されたリレー9、9に隣接して電気機能部品であるヒューズ11が装着される電気機能部品ケース(以下「部品ケース」という)13が形成されている。この部品ケース13は、上部ケース3の一部が矩形状に突出した壁部15と、この壁部15の上面から突設された囲壁21(対向する囲壁21a、21bと、これらの囲壁21a、21bと直交する方向の対向する図示しない囲壁で構成される)と、この囲壁21と交差する方向に沿って壁部15の上面に形成されたカバー嵌合面23とからなり、壁部15で囲まれる内部にヒューズ装着部19が形成されている。そして、ヒューズ装着部19には、ブスバー7の先端部の雄型端子部7aが突出されており、中継端子17を介してヒューズ11の雄型端子部11aが接続される。また、対向する囲壁21a、21bの外周にはケース側係合突起25a、25bがそれぞれ突設されている。この部品ケース13の上部は、カバー27で閉止されるようになっている。【0004】カバー27は、天板29と、この天板29から突設された側壁31(対向する側壁31a、31bと、これらの側壁31a、31bと直交する方向の対向する図示しない側壁で構成される)と、対向する側壁31a、31bの内側に突設されてケース側係合突起25a、25bとそれぞれ係合するカバー側係合突起33a、33bが突設されている。また、側壁31b側の天板29の一部は外方に延設されて解除レバー35が形成されている。」
イ 「図1[図:0001396200000015.jpg]」
ウ 「図2[図:0001396200000016.jpg]」
第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「被覆壁3」、「側壁4」及び「ヒューズカバー2」は、それぞれ、本願発明1の「天壁」、「側壁」及び「カバー」に相当する。
イ 引用発明の、「外方に突出する指掛け突起7が形成された可撓性壁8」は、「ヒューズカバー2を取り外す」際に、「指掛け突起7に当てた指先を持ち上げ」て「弾性変形させ」て、「係止爪9と爪部10との係合を解除し、ヒューズカバー2を掴み上げて電気接続箱1より外す」ものであることから、当該「可撓性壁8」に「形成され」る「指掛け突起7」が設けられる部分は、本願発明1の「ロック解除部」に対応するものといえ、上記アの認定を踏まえると、引用発明と本願発明1とは、“天壁と、2つの対向する側壁と、ロック解除部と、を備え”る点で一致する。
ウ 引用発明の「ジャンクションブロック1」は、「着脱自在に取付けられるヒューズカバー2」に対して、“被カバー体”であるといえる。
また、引用発明の「ジャンクションブロック1に設けられた爪部10」は、「可撓性壁8の内壁面の端縁部」に「突設され」る「係止爪9」と「係合」するものであることから、引用発明の「係止爪9」及び「爪部10」は、それぞれ本願発明1の「ロック部」及び「被カバー体の被ロック部」に相当するといえる。
そして、引用発明の「可撓性壁8が設けられる側壁4」は、本願発明1の「一方の前記側壁」に相当するといえ、上記ア及びイの認定も踏まえ、以上を総合すると、引用発明と本願発明1とは、“一方の前記側壁は、被カバー体の被ロック部と係合するロック部を有”する点で一致する。
エ 引用発明の「可撓性壁8が設けられる側壁4と対向する側壁4」は、本願発明1の「前記一方の側壁と対向する他方の前記側壁」に相当し、当該「対向する側壁4」に「設けられ」る「爪部10に係合する固定係止爪5」は、上記ウの認定を踏まえると、本願発明1の「前記被カバー体の被対向ロック部と係合する対向ロック部」に相当するといえるから、引用発明と本願発明1とは、“前記一方の側壁と対向する他方の前記側壁は、前記被カバー体の被対向ロック部と係合する対向ロック部を有”する点で一致する。
オ 引用発明の「指掛け突起7」は、「ヒューズカバー2を取り外す」際に操作する部分であるので、本願発明1の「ロック解除部」が有する「解除操作部」に対応するものといえる。
また、引用発明の「指掛け突起7」は、「可撓性壁8が設けられる側壁4と連結し」ていて、当該連結に係る部分は、本願発明1の「連結部」に対応するものといえる。
そして、引用発明の「指掛け突起7」は、「被覆壁3」の「可撓性壁8が設けられる側壁4」側の“端縁部から斜め上方に傾斜して突出”しているといえるから、以上を総合して、引用発明と本願発明1とは、下記の点(相違点1)で相違するものの、“前記ロック解除部は、前記天壁の前記一方の側壁側の端縁部から傾斜して突出する解除操作部と、前記解除操作部と前記ロック部の周囲の前記一方の側壁を連結する連結部と、を有”する点で一致する。
カ 上記第5の1(1)ウ(第14図)の態様からすると、引用発明において、「ヒューズカバー2」を「電気接続箱1より外す」場合に、「指掛け突起7に当てた指先を持ち上げ」ると、「可撓性壁8が設けられる側壁4と対向する側壁4」側にある、「爪部10に係合する固定係止爪5」を支点として「ヒューズカバー2」が“回転する方向に力が働く”ものと推察されることから、上記ア~オの認定も踏まえ、引用発明と本願発明1とは、下記の点(相違点3)で相違するものの、“前記被カバー体から取り外す際に、前記対向ロック部を支点として前記ロック解除部が回転する方向に力が働く”点で一致する。
キ 以上、ア~カの検討から、引用発明と本願発明1とは、次の一致点及び相違点を有する。
〈一致点〉
天壁と、2つの対向する側壁と、ロック解除部と、を備え、
一方の前記側壁は、被カバー体の被ロック部と係合するロック部を有し、
前記一方の側壁と対向する他方の前記側壁は、前記被カバー体の被対向ロック部と係合する対向ロック部を有し、
前記ロック解除部は、前記天壁の前記一方の側壁側の端縁部から傾斜して突出する解除操作部と、前記解除操作部と前記ロック部の周囲の前記一方の側壁を連結する連結部と、を有し、
前記被カバー体から取り外す際に、前記対向ロック部を支点として前記ロック解除部が回転する方向に力が働くカバー。
〈相違点1〉
本願発明1の「解除操作部」が、「該一方の側壁側へ」傾斜するものであるのに対し、引用発明の「指掛け突起7」は、「可撓性壁8が設けられる側壁4」側へ傾斜するものではなく、「斜め上方に突出する」ものである点。
〈相違点2〉
本願発明1は、「前記対向ロック部は、カバー着脱方向から見て、前記ロック解除部と前記ロック部を結ぶ同一直線上に相対向して設けられ」るのに対し、引用発明の「側壁4の一方の内壁面の端縁部」に設けられる「固定係止爪5」と、「可撓性壁8が設けられる側壁4と対向する側壁4」に設けられる「固定係止爪5」とが、同一直線上に相対向して設けられることが特定されていない点。
〈相違点3〉
本願発明1は、「前記解除操作部が傾斜していることで」、「ロック解除部が回転する方向に力が働く」ものであるのに対し、引用発明の「指掛け突起7」は、「可撓性壁8が設けられる側壁4」に対して傾斜しているとはいえるものの、当該傾斜により、「指掛け突起7が形成された可撓性壁8」が回転する方向に力が働くことが特定されていない点。
(2)相違点についての判断
相違点1についてまず検討する。
本願発明は、従来、電気接続箱としてのヒューズボックスのカバー取付面を覆うように外嵌される防水壁と、カバー取付面に突設された係合突起に係脱される可撓性係止片と、この可撓性係止片を撓ませて係合突起との係合を解除させる指掛け突起と、を備えたカバーにおいて(【0002】)、指掛け突起に指を掛けて上方向に引っ張り、可撓性係止片の基端部を起点として可撓性係止片と防水壁及び指掛け突起とを全体的に回動させることで、可撓性係止片と係合突起との係合状態が外れ、カバーをヒューズボックスから外せるようになっていたものがあり(【0003】)、当該カバーにおいては、指掛け突起に上方向のみ力がかかると、可撓性係止片の基端部を起点として可撓性係止片と防水壁及び指掛け突起とが全体的に回動しないため、可撓性係止片と係合突起との係合状態が解除されない虞があることを解決しようとする課題とするものであって(【0005】)、通常時にはロック状態の保持力を維持しつつ、意図した解除操作時には容易にロック状態を解除することができるカバーを提供することを目的としたなされたものである(【0006】)。
一方、引用発明は、指掛け突起7が外方に突出しているために、ヒューズカバー2を取付けたジャンクションブロック1が車両のボディに設置される場合に、ジャンクションブロック1にトリムカバーが被覆されるので、トリムカバーには、指掛け突起7を操作するために広い隙間が必要であり、この広い隙間を通してジャンクションブロック1に組付けたワイヤーハーネスが目につくので、美観が損なわれる外観上の問題や、この隙間から異物が入って電線を傷つける虞がある等の品質管理上の問題があり、又、カバー2を外すときに、可撓性壁8を弾性変形させながらカバー2を取外さなければならないので、カバー2を落としてしまう不具合があったものであり(3欄21~34行)、仮に、当該指掛け部の傾斜方向(「斜め上方」)を本願発明1と同様に、「可撓性壁8が設けられる側壁4」側に傾斜させたとしても、当該不具合等に関して、解決手段とならないことは明白である。
上記第5の2に示した引用例2や、3に示した引用例3には、カバー部材に下向き方向に突出する部分を形成することが記載され、当該部分を操作することによってカバー部材を外すことができる構造が示されていて、当該構造が本願出願前に周知な構造であったといえるとしても、引用発明の「指掛け突起7」に対してそのような構造を採用することを示唆する記述やその動機付けとなるような記述を引用例1の中に見いだすことができないばかりか、上記引用発明において生じていた上記不具合を解決するためにそのような構造を採用することはあり得ず、また、相違点1に係る構成は、上記第5の4~7に示した引用例4~7にも記載が認められない。
したがって、引用発明において、当業者といえども相違点1に係る構成を導き出すことは容易とはいえず、上記その余の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用例2~7に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
2 本願発明2~4について
本願発明2~4も、本願発明1の「前記ロック解除部は、前記天壁の前記一方の側壁側の端縁部から該一方の側壁側へ傾斜して突出する解除操作部」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2~7に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第7 原査定について
<特許法第29条第2項について>
審判請求時の補正により、本願発明1~4は「前記ロック解除部は、前記天壁の前記一方の側壁側の端縁部から該一方の側壁側へ傾斜して突出する解除操作部」という事項を有するものとなっており、上記第6に示したとおり、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1~7(上記第5の引用例1~7)に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-013647