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特許拒絶査定不服審判

2022-013590

通信装置、通信システム、通信方法、及びプログラム

審判番号
2022-013590
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-197922
請求日
2022年08月30日
審決日
2023年03月28日
公報発行日
2023年04月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
  • 【請求人代理人】伊東 忠重
  • 【請求人代理人】伊東 忠彦
審判長/審判官
  • 審判長 中野 裕二
  • 審判官 稲葉 和生
  • 審判官 富澤 哲生
分類
P18 .121-WY (H04L) / P18 .537-WY (H04L) / P18 .55 -WY (H04L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-197922「通信装置、通信システム、通信方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 5月 9日出願公開、特開2019- 71593、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成29年10月11日の出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。 令和3年 7月 1日付け:拒絶理由通知書 令和3年 9月 6日: 意見書、手続補正書の提出 令和4年 2月15日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書 令和4年 4月25日: 意見書の提出 令和4年 5月10日付け:拒絶査定 令和4年 8月30日: 審判請求書の提出 令和4年12月19日付け:拒絶理由通知書(以下、「当審拒絶理由」と いう。) 令和5年 2月20日: 意見書、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和4年5月10日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 理由1(新規事項) 令和3年9月6日付け手続補正書でした補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 理由2(サポート要件) この出願は、特許請求の範囲の請求項1、3-4、6の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 第3 当審拒絶理由の概要 理由1(進歩性) 本願請求項1に係る発明は、引用文献1-2に基づいて、本願請求項2に係る発明は、引用文献1、3に基づいて、本願請求項3-6に係る発明は、引用文献1-3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2012-95053号公報(当審において新たに引用した文献) 2.特開2005-130251号公報(当審において新たに引用した文献) 3.特表2010-540990号公報(当審において新たに引用した文献) 第4 本願発明 本願請求項1-4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明4」という。)は、令和5年2月20日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 順次受信するパケットにシーケンス番号を付与し、シーケンス番号が付された各パケットを1つの通信網又は複数の通信網に振り分けるパケット振り分け手段と、 前記1つの通信網又は前記複数の通信網に振り分けられた各パケットを、振り分け先の通信網を利用して受信側に送信する送信手段と、を備え、 前記パケット振り分け手段は、順次受信するパケットのうち、特定のパケットを特定の通信網に振り分け、当該特定のパケット以外のパケットを、当該特定の通信網以外の通信網に振り分け、 前記パケットが映像のパケットである場合において、前記パケット振り分け手段は、前記パケットを用いて画像認識を行って、前記パケットが、ユーザの中心視野に該当する映像部分のパケットであるか否かを判断することにより、当該パケットが前記特定のパケットであるか否かを判断する ことを特徴とする通信装置。」 なお、本願発明2-4の概要は以下のとおりである。 本願発明2は、本願発明1の「通信装置」を引用する「通信システム」の発明である。 本願発明3は、本願発明1に対応する「通信方法」の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。 本願発明4は、本願発明1の「通信装置」を引用する「プログラム」の発明である。 第5 引用文献、引用発明等 1 引用文献1及び引用発明 (1) 引用文献1 当審拒絶理由において引用した引用文献1には、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。 ア 段落【0009】-【0012】 「【0009】 上記の非特許文献1には、H.264/SVC形式によって階層符号化された映像データをRTPパケットやMPEG2-TSパケットに格納し、従来の通信や放送の伝送路を利用して送受信できるようにするための技術が記載されている。 【0010】 しかしながら、従来技術では、映像ストリームを単純に単一の種類の伝送路を利用して送受信する想定である。また、放送の伝送路で送られるデータストリームは既存の放送で想定する受信機スペックに沿って、現状の放送で送出されるデータストリームと全く同等であることが望ましい。このような状況下で複数の異なる種類の伝送路を用いて再生品質を向上することは極めて困難である。 【0011】 本実施形態の目的は、複数の異なる種類の伝送路を用いて再生品質を向上できるストリーム伝送システム、送信装置、受信装置、ストリーム伝送方法及びプログラムを提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0012】 本実施形態に係るストリーム伝送システムは、基本データを含む第1階層と前記基本データを補強するデータを含む第2階層とを有するデータストリームを送信装置から受信装置に伝送するシステムであって、前記送信装置は、前記第1階層のデータと前記第2階層のデータとをそれぞれパケット化して第1階層のデータパケットと第2階層のデータパケットとを送出する送出調整手段と、前記第1階層のデータパケットを第1伝送路を通じて前記受信装置に送信する第1送信手段と、前記第2階層のデータパケットを前記第1伝送路と異なる伝送方式の第2伝送路を通じて前記受信装置に送信する第2送信手段とを具備し、前記受信装置は、前記第1伝送路から送られてくるデータパケットを受信する第1受信手段と、前記第2伝送路から送られてくるデータパケットを受信する第2受信手段と、前記第1受信手段で受信したデータパケットと前記第2受信手段で受信したデータパケットとをもとに前記階層符号化されたデータストリームを再構成する受信調整手段とを具備する。」 イ 段落【0019】-【0020】 「【0019】 (装置構成) 図1は、本発明に関わるストリーム伝送システムの全体構成を示したブロック図である。ストリーム伝送システムは、送信システム1と、この送信システムから送出される放送波を受信する受信システム2とを備える。送信システム1は、例えば、デジタル放送の送信所に設けられる。受信システム2は、例えば、テレビジョン受信機に設けられるSTB(Set Top Box)で構成される。本実施形態では、一例として、送信システム1から受信システム2へ、既存の地上デジタル放送波による放送の伝送路(第1伝送路)を通じた伝送と、IPの通信網(第2伝送路)を通じた伝送とを行うものとする。 【0020】 図1において、送信システム1は、送信調整装置10、符号化装置30、RF(Radio Frequency)送信装置50、IP(Internet Protocol)送信装置70、及び制御部90を備える。受信システム2は、受信調整装置20、復号化装置40、RF受信装置60、IP受信装置80、及び制御部91を備える。」 ウ 【図1】-【図2】 「 [図:0001396199000001.jpg] [図:0001396199000002.jpg] 」 エ 段落【0024】-【0028】 「【0024】 ここで、データストリームとは、符号化装置30や復号化装置40の入出力にて用いられるデータフォーマットで記述された映像データ、音声データを含むファイルやビット列を指すものであり、階層符号化されたデータを含むものである。また、データパケットとは、伝送路に対する送信装置や受信装置の入出力にて用いられるデータフォーマットで記述されたビット列を指すものであり、データストリームから抽出して小分けしてまとめられたものである。これらの詳細は後述する。 ・・・(中略)・・・ 【0027】 送信調整装置10では、送出調整部11が符号化変換部32の出力を受け取って送出のために必要な調整処理を実施し、RF送信装置50のRF送信部51から放送の伝送路に送信し、IP送信装置のIP送信部71からIPの通信網に送信する。図2において、送出調整部11は、符号化変換部32から階層符号化されたデータを含むデータストリームの入力を受け、データストリームバッファ12に格納した後に、データパケット生成部13でパケット化してデータパケットバッファ14に格納する。このとき、送出判定部15は、データパケットバッファ14から送出すべきインタフェース(RF又はIP)とタイミングとを判定し、この判定に従ってデータパケットが各送信装置に送られる。 【0028】 RF送信装置50から送信されたデータパケットは、放送波を通じてRF受信装置60のRF受信部61で受信される。また、IP送信装置70によりIPの通信網に送信されたデータパケットは、IPの通信網を経由してIP受信装置80のIP受信部81により受信される。RF受信装置60とIP受信装置80とでそれぞれ受信したデータパケットは、受信調整装置20の受信調整部21に入力される。受信調整部21において、データ間の関係性や同期処理を実施し、元の階層符号化されたデータストリームを得る。このデータストリームは、復号化装置40の復号化変換部41で復号されて、表示装置100の再生表示部101の画面に表示される。」 オ 段落【0031】-【0034】 「【0031】 図4(a)は、H.264/SVC(Scalable Video Coding)の符号化データストリームの基本記述形式を示したものである。図4では、Baseが基本階層(第1階層)を、Extが拡張階層(第2階層)を示し、ここではExt(A)とExt(B)の2つの拡張階層が存在する。なお、[1]~[4]の数字はアクセスユニットのインデックスを示す。 【0032】 図4(b)は、図4(a)のデータストリームを、中間フォーマットであるエレメンタリストリーム化したのち、送出する伝送路ごとに仕分けてまとめたものである。この場合、上段が基本階層のデータ、下段が拡張階層のデータである。各エレメンタリストリームに含まれる“TS”は、データストリームをエレメンタリストリーム化する際に付与されるタイムスタンプを示す。 【0033】 図4(c)は、図4(b)のエレメンタリストリームを含めたトランスポートストリームをパケット化してデータパケットとしたものである。“H”はヘッダ、“Pld”はペイロードを示す。上段が基本階層のデータを含むデータパケットであり、下段が拡張階層のデータを含むデータパケットである。エレメンタリストリームのデータは全てトランスポートストリームパケットのペイロード内に格納される。 【0034】 なお、図4では階層符号化されたデータのみを示しているが、図4(c)のトランスポートストリームパケットには、その他のデータとして、動画像、音声、セクション情報、その他メタデータなどを含んでもよい。」 カ 【図4】 「 [図:0001396199000003.jpg] 」 キ 段落【0053】-【0055】 「【0053】 (変形例1) 変形例1は、上記実施形態において、基本階層のデータの伝送を冗長化するものである。IP送信部71は、IP側で送信される拡張階層のデータと共に、RF側で送信される基本階層のデータをIPの通信網を通じて送信する。ただし、IP側では、送出調整部11のデータパケット生成部13において送信する基本階層のデータと拡張階層のデータとから単一のデータパケット群を生成するようにしてもよいし、別々のデータパケット群として送信しても良い。 【0054】 変形例1についても、上記実施形態と同様に、RF側は既存の放送波の送受信設備をそのままに運用しつつ、さらにIP側の受信データをあわせることで再生される映像等の品質の向上を図ることが可能となる。さらに、RF側でパケットロス等によるデータ欠損があった場合でも、IP側だけで確実にデータの再生が可能となる。 【0055】 (変形例2) 上記実施形態では、RF送信装置50は通常のデジタル放送送出設備であり、この入出力もそれに準ずるものという制約があったが、変形例2は、この制約に縛られずに、RF側の各種パラメータを大きく変更することや、そもそもの方式改訂を任意に改変できる状況を想定したものである。この場合、RF伝送路とIP伝送路のそれぞれのパケットに同期のための関連付け情報を格納することが可能である。この情報は、送出調整部11のデータパケット生成部13において、例えば、トランスポートパケット内に格納されるか、PCRの様にトランスポートパケットの流れの中に格納されるか、TTSやPartialTSの様にTSパケットのヘッダやトレイラに格納されるか、RTPパケットのヘッダやトレイラに格納される。」 (2) 引用発明 よって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。 「ストリーム伝送システムは、送信システム1と、この送信システムから送出される放送波を受信する受信システム2とを備え、 一例として、送信システム1から受信システム2へ、既存の地上デジタル放送波による放送の伝送路(第1伝送路)を通じた伝送と、IPの通信網(第2伝送路)を通じた伝送とを行うものとし、 送信システム1は、送信調整装置10、RF(Radio Frequency)送信装置50、IP(Internet Protocol)送信装置70、を備え、 受信システム2は、受信調整装置20、RF受信装置60、IP受信装置80、を備え、 ここで、データストリームとは、符号化装置30や復号化装置40の入出力にて用いられるデータフォーマットで記述された映像データ、音声データを含むファイルやビット列を指すものであり、階層符号化されたデータを含むものであり、 また、データパケットとは、伝送路に対する送信装置や受信装置の入出力にて用いられるデータフォーマットで記述されたビット列を指すものであり、データストリームから抽出して小分けしてまとめられたものであり、 送信調整装置10では、送出調整部11が符号化変換部32の出力を受け取って送出のために必要な調整処理を実施し、RF送信装置50のRF送信部51から放送の伝送路に送信し、IP送信装置のIP送信部71からIPの通信網に送信し、送出調整部11は、符号化変換部32から階層符号化されたデータを含むデータストリームの入力を受け、データストリームバッファ12に格納した後に、データパケット生成部13でパケット化してデータパケットバッファ14に格納し、このとき、送出判定部15は、データパケットバッファ14から送出すべきインタフェース(RF又はIP)とタイミングとを判定し、この判定に従ってデータパケットが各送信装置に送られ、 RF送信装置50から送信されたデータパケットは、放送波を通じてRF受信装置60のRF受信部61で受信され、また、IP送信装置70によりIPの通信網に送信されたデータパケットは、IPの通信網を経由してIP受信装置80のIP受信部81により受信され、RF受信装置60とIP受信装置80とでそれぞれ受信したデータパケットは、受信調整装置20の受信調整部21に入力され、受信調整部21において、データ間の関係性や同期処理を実施し、元の階層符号化されたデータストリームを得ており、 H.264/SVC(Scalable Video Coding)の符号化データストリームでは、Baseが基本階層(第1階層)を、Extが拡張階層(第2階層)を示し、 データストリームを、中間フォーマットであるエレメンタリストリーム化したのち、送出する伝送路ごとに仕分けてまとめ、この場合、基本階層のデータと、拡張階層のデータであり、各エレメンタリストリームに含まれる“TS”は、データストリームをエレメンタリストリーム化する際に付与されるタイムスタンプを示し、 エレメンタリストリームを含めたトランスポートストリームをパケット化してデータパケットとし、基本階層のデータを含むデータパケットと、拡張階層のデータを含むデータパケットであり、 変形例1は、基本階層のデータの伝送を冗長化するものであり、IP送信部71は、IP側で送信される拡張階層のデータと共に、RF側で送信される基本階層のデータをIPの通信網を通じて送信し、 変形例2は、RF伝送路とIP伝送路のそれぞれのパケットに同期のための関連付け情報を格納することが可能であり、この情報は、例えば、RTPパケットのヘッダやトレイラに格納される 送信システム1。」 2 引用文献2-3 (1) 引用文献2 引用文献2には、以下の記載がある。 ア 段落【0034】-【0038】 「【0034】 (2)本発明による関心領域適応符号化 かかる構成に加えてこの動画像クラスタ処理システム1においては、各ユーザPC4A~4Eが、配信映像におけるユーザ(すなわち配信映像の視聴者)が注視している領域(関心領域)をそれぞれ検出し、当該関心領域の符号化品質を選択的に高めて符号化することにより、システム全体の伝送データ量を抑えつつ、各ユーザに対してその関心領域の画像を鮮明に伝送するようになされている。 【0035】 上述したようにユーザPC4(4A?4E)には、そのユーザの視線方向を検出するための視線検出部36が設けられている。図3に示すように、視線検出部36は2台のカメラ36A及び36Bで構成される。カメラ36A及び36Bは、表示部33に表示された配信映像を視聴するユーザの顔面をそれぞれ右側及び左側から撮影し得るように、表示部33との位置関係が選定されている。 【0036】 カメラ36A及び36Bは、それぞれ撮影したユーザの右側顔面映像D6R及び左側顔面映像D6L及をCPU31に供給する。注視領域検出手段としてのCPU31は所定の視線検出プログラムに従い、予め記憶されている目のテンプレート画像と、右側顔面映像D6R及び左側顔面映像D6Lとを照合するテンプレートマッチング処理を行うことにより、当該右側顔面映像D6R及び左側顔面映像D6Lにおけるユーザの目の位置を検出する。 【0037】 さらにCPU31は、検出した右側顔面映像D6R及び左側顔面映像D6Lにおけるユーザの目の位置に基づいて、当該ユーザの顔面の指向方向(上下角及び左右角)を算出する。そして注視領域検出手段及び注視領域情報送信手段としてのCPU31は、算出したユーザの顔面の指向方向と表示部33の設置位置との関係に基づいて、当該ユーザの顔面が、表示部33に表示された配信映像のどのエリアに指向しているか(すなわちユーザがどのエリアを注視しているか)を検出し、当該検出した指向エリアのエリア番号(図2)を、注視領域情報としての関心領域情報D5(D5A~D5E)としてサーバPC2に送信する。 【0038】 ユーザPC4のCPU11は、上述したユーザの関心領域抽出処理を、所定間隔毎(例えば3秒毎)に実行する。」 イ 【図2】-【図3】 「 [図:0001396199000004.jpg] 」 ウ 段落【0039】-【0041】 「【0039】 ここでJPEG2000方式では、ディジタル映像信号の圧縮符号化処理において画質的な階層符号化(SNRスケーラビリティ)を行い得るようになされている。そして、この階層符号化によって、符号化データの部分的な抽出による復号が可能である。 【0040】 図4はSNRスケーラビリティの例を示し、符号化レベルとして、画質がもっとも高いレベル1から画質がもっとも低いレベル4が設定されている。映像をレベル1で符号化した場合、符号化データにはレベル1からレベル4までのデータが含まれる。これらの符号化データをすべて用いて復号を行うと、画質のもっとも高いレベル1の復号映像を得ることができる。同様に、レベル2からレベル4までの符号化データを用いて復号を行うとレベル2の復号映像を、レベル3及びレベル4の符号化データを用いて復号を行うとレベル3の復号映像を、そしてレベル4の符号化データのみを用いて復号を行うと画質のもっとも低いレベル4の復号映像を得ることができる。 【0041】 また、映像をレベル2で符号化した場合、符号化データにはレベル2からレベル4までの符号化データが含まれ、レベル3で符号化した場合はレベル3及びレベル4の符号化データが、そしてレベル4で符号化した場合はレベル4の符号化データのみが含まれる。」 エ 【図4】-【図5】 「 [図:0001396199000005.jpg] 」 オ 段落【0042】-【0048】 「【0042】 ここで、符号化レベルが高いほど(すなわち符号化ビットレートが高いほど)符号化品質が高く、復号後の画像の画質が向上するが、これに伴い符号化処理の処理時間が長くなる(言い換えれば処理負荷が高くなる)という関係がある。 【0043】 すなわち図5に示すように、画質がもっとも高いレベル1の符号化ビットレートは2.0[bpp] (Bit Per Pixel) であり、当該レベル1における標準的な符号化処理時間を示す標準符号化時間は、1ブロック当たり48[msec]である。同様に、レベル2の符号化ビットレートは1.0[bpp] であり、この場合の標準符号化時間は20[msec]である。また、レベル3の符号化ビットレートは0.5[bpp] であり、この場合の標準符号化時間は28[msec]である。さらに、画像がもっとも低いレベル4の符号化ビットレートは0.25[bpp]であり、この場合の標準符号化時間は20[msec]である。なお、エリア当たりの標準符号化時間は、ブロック当たりの標準符号化時間の約1/4になる。 【0044】 CPU11は、クラスタ符号化の開始時において、各タイル1~タイル16それぞれの符号化レベルを、後述するクラスタ符号化準備処理手順で選択されたレベルに設定する。そしてCPU11は、各エンコーダPC3A~3Dに対し、それぞれに割り当てられたエリア1~エリア16を、設定した符号化レベルで符号化するように指示する。 【0045】 そして注視領域情報受信手段及び符号化制御手段としてのCPU11は、各ユーザPC4(4A~4E)から関心領域情報D5(D5A~D5E)を受信すると、後述する関心領域適応符号化処理手順に基づいて、各エンコーダPC3A~3Dに対し、受信した関心領域情報D5A~D5Eで示される関心領域のエリアの符号化レベルを上げる(すなわち符号化品質を上げる)ように指示する。 【0046】 このときCPU11は、各エンコーダPC3A~3Dから返送される処理負荷情報に基づいて各エンコーダPC3A~3Dに対するエリアのアサインを適宜変更して、エンコーダPC3A~3Dの処理負荷を平均化し、これによりシステム全体の符号化処理遅延を防止するようになされている。 【0047】 さらにCPU11は、各エンコーダPC3A~3Dから返送された分割符号化データD3A~D3Dを合成して各ユーザPC4A~4Eに配信する際、各ユーザPC4A~4Eそれぞれの関心領域情報D5A~D5Eに基づいて、各ユーザPC4A~4Eそれぞれに配信する符号化データD4A~D4Dのエリア毎のレベルを個別に調整する。 【0048】 すなわち、各ユーザPC4A~4Eそれぞれの関心領域のエリアについてはすべてのレベルの符号化データを伝送するのに対し、他のユーザPC4の関心領域及び関心領域以外のエリアについては、初期値のレベル3までのデータのみを伝送する。このため、各ユーザPC4A~4Eそれぞれに対してその関心領域の映像だけを高画質で配信することができ、これによりシステム全体の伝送データ量を抑えつつ、各ユーザに対してその関心領域の画像を鮮明に伝送することができる。」 (2) 引用文献3 引用文献3の段落【0001】-【0004】には、以下の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、埋め込み符号化(階層符号化ともいう)構造を用いた音声信号(例えば話声信号とオーディオ信号)の符号化に関する。より具体的には、下位層(コア層ともいう)では線形予測符号化が用いられ、上位層では変換符号化が用いられる埋め込みコーデックにおいて、変換ベースの上位層の量子化ノイズを低減するために、入力音声信号に関するスペクトルに基づいてスペクトルマスクを計算し、それを変換係数に適用することであるが、これに限定されるものではない。 【背景技術】 【0002】 階層符号化とも呼ばれる埋め込み符号化においては、音声信号を第1層において符号化し、第1のビットストリームを作り出し、それから、元の音声信号と、第1層からの符号化された信号(合成音声信号)との間の誤差を符号化して第2ビットストリームを作り出す。これは、元の音声信号と、先行するすべての層からの合成音声信号との間の誤差を符号化することによって、より多くの層について繰り返すことができる。すべての層のビットストリームは、伝送に向けて連結される。階層符号化の利点は、ビットストリームの一部(上位層に対応する部分)が、(例えば混雑状態において)ネットワーク内でドロップすることがあっても、受信側で、受信された層の数によって符号化された音声信号を復号することができることである。階層符号化は、エンコーダがすべての層のビットストリームを生成し、ネットワークが、各リンク内の利用可能ビットレートに応じて、異なるビットレートを異なる終点に送るように決定するマルチキャストに用いるのに有用である。 【0003】 埋め込み符号化または階層符号化は、広く用いられている現行のコーデックを、これらの相互接続性を維持しつつ、その質を高めるのに有用でもある。標準的なコーデック下位層(またはコア層)に層を追加することで、質を高めることができ、符号化されたオーディオ信号の帯域幅を広げることもできる。最近標準化されたITU-T勧告G.729.1が、その一例であり、ここにおいては、下位層(またはコア層)が、8kbit/sで作動する広く使用されている狭帯域ITU-T勧告G.729と相互接続可能である。ITU-T勧告G.729.1の上位層は、(14kbit/sから開始する広帯域で)最高32kbit/sのビットレートを作り出す。現在の標準化作業は、モード層を追加して超広帯域(14kHzの帯域幅)とステレオ拡張とを達成することを目指している。もう1つの例は、最近ITU-Tにより認定された、8kbit、12kbit、16kbit、24kbit、32kbit/sの広帯域信号の符号化のためのITU-T勧告G.718(文献1参照)である。このコーデックは、以前はEV-VBRコーデックと呼ばれていたもので、ITU-TにおいてQ9/16によって規格化された。以下の記載において、EV-VBRコーデックといった場合、これはITU-T勧告G.718を指しているものとする。またEV-VBRコーデックは、超広帯域信号およびステレオ信号をより高いビットレートで符号化するために拡張されることが想定されている。本明細書に開示する技術は、ITU-T勧告G.718の一部を成すので、非限定的一例として、EV-VBRコーデックが、本発明の方法の非制限的実施例において用いられる。 【0004】 埋め込みコーデックの要件は、通常、話声信号およびオーディオ信号のいずれにも良好な品質を備えている。スピーチ信号は、モデルベースの方式を用いて比較的低いビットレートで符号化できるので、下位層(または下から1番目と2番目の層)が、話声に特化した技術を用いて符号化され、そして、上位層のための誤差信号は、より一般的なオーディオ符号化技術を用いて符号化される。このような方式は、低いビットレートで良質な話声信号を提供し、ビットレートが上がるにつれ、オーディオ信号の質が上がる。EV-VBRコーデックにおいては(またITU-T勧告G.729.1においても)、2つの下位層は、話声信号の符号化に適したACELP(代数符号励振線形予測)技術に基づいている。上位層では、オーディオ信号の符号化に適した変換ベースの符号化が、誤差信号(入力音声信号と、2つの下位層からの出力つまり合成音声信号との間の差)の符号化に用いられる。上位層では、周知のMDCT変換が用いられ、そこでは、50%のオーバーラップ率の窓を用いて誤差信号が周波数領域に変換される。MDCT係数は、例えば、ホフマン符号化を用いるスカラー量子化、ベクトル量子化、あるいはその他のいくつかの技術を用いて量子化することができる。EV-VBRコーデックにおいては、なかでも、代数ベクトル量子化(AVQ)が、MDCT係数を量子化するのに用いられる。」 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1) 対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア 引用発明の「送信調整装置10」は、「送信調整装置10では、送出調整部11が符号化変換部32の出力を受け取って送出のために必要な調整処理を実施し」、「送出調整部11は、符号化変換部32から階層符号化されたデータを含むデータストリームの入力を受け、データストリームバッファ12に格納した後に、データパケット生成部13でパケット化してデータパケットバッファ14に格納し、このとき、送出判定部15は、データパケットバッファ14から送出すべきインタフェース(RF又はIP)とタイミングとを判定し、この判定に従ってデータパケットが各送信装置に送られ」、また、「変形例1は、基本階層のデータの伝送を冗長化するものであり、IP送信部71は、IP側で送信される拡張階層のデータと共に、RF側で送信される基本階層のデータをIPの通信網を通じて送信し」ており、特に、変形例1では基本階層のパケットが2つ、すなわち、「複数の」通信網に振り分けられるから、本願発明1の「順次受信するパケットにシーケンス番号を付与し、シーケンス番号が付された各パケットを1つの通信網又は複数の通信網に振り分けるパケット振り分け手段」と、「各パケットを1つの通信網又は複数の通信網に振り分けるパケット振り分け手段」である点で共通するといえる。 イ 引用発明の「RF(Radio Frequency)送信装置50、IP(Internet Protocol)送信装置70」は、「送信調整装置10では、送出調整部11が符号化変換部32の出力を受け取って送出のために必要な調整処理を実施し、RF送信装置50のRF送信部51から放送の伝送路に送信し、IP送信装置のIP送信部71からIPの通信網に送信し」ているから、本願発明1の「前記1つの通信網又は前記複数の通信網に振り分けられた各パケットを、振り分け先の通信網を利用して受信側に送信する送信手段」に相当する。 ウ 引用発明の「送信調整装置10では、送出調整部11が符号化変換部32の出力を受け取って送出のために必要な調整処理を実施し」、「このとき、送出判定部15は、データパケットバッファ14から送出すべきインタフェース(RF又はIP)とタイミングとを判定し、この判定に従ってデータパケットが各送信装置に送られ」、「基本階層のデータを含むデータパケットと、拡張階層のデータを含むデータパケット」について、「IP側で送信される拡張階層のデータと」、「RF側で送信される基本階層のデータ」に振り分けていることは、本願発明1の「前記パケット振り分け手段は、順次受信するパケットのうち、特定のパケットを特定の通信網に振り分け、当該特定のパケット以外のパケットを、当該特定の通信網以外の通信網に振り分け」ることに相当する。 エ 引用発明の「送信システム1」は、本願発明1の「通信装置」に相当する。 オ よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。 [一致点] 「各パケットを1つの通信網又は複数の通信網に振り分けるパケット振り分け手段と、 前記1つの通信網又は前記複数の通信網に振り分けられた各パケットを、振り分け先の通信網を利用して受信側に送信する送信手段と、を備え、 前記パケット振り分け手段は、順次受信するパケットのうち、特定のパケットを特定の通信網に振り分け、当該特定のパケット以外のパケットを、当該特定の通信網以外の通信網に振り分ける、 ことを特徴とする通信装置。」 [相違点1] 本願発明1では、「順次受信するパケットにシーケンス番号を付与し、シーケンス番号が付された各パケットを1つの通信網又は複数の通信網に振り分けるパケット振り分け手段」を備えているのに対して、引用発明では、2つの伝送路の同期のために、データストリームをエレメンタリストリーム化する際に付与された「タイムスタンプ」を用いるものであって、「シーケンス番号」を用いることが特定されていない点、 [相違点2] 本願発明1では、「前記パケットが映像のパケットである場合において、前記パケット振り分け手段は、前記パケットを用いて画像認識を行って、前記パケットが、ユーザの中心視野に該当する映像部分のパケットであるか否かを判断することにより、当該パケットが前記特定のパケットであるか否かを判断する」のに対して、引用発明では、「データストリームとは、符号化装置30や復号化装置40の入出力にて用いられるデータフォーマットで記述された映像データ、音声データを含むファイルやビット列を指すものであり、階層符号化されたデータを含むものであり」、具体的には、「H.264/SVC(Scalable Video Coding)の符号化データストリームでは、Baseが基本階層(第1階層)を、Extが拡張階層(第2階層)を示」すものであって、「前記パケットを用いて画像認識を行って、前記パケットが、ユーザの中心視野に該当する映像部分のパケットであるか否かを判断することにより」、パケットを振り分けることが特定されていない点。 (2) 当審の判断 事案に鑑みて、上記[相違点2]について先に検討すると、本願発明1の上記[相違点2]に係る、「前記パケットが映像のパケットである場合において、前記パケット振り分け手段は、前記パケットを用いて画像認識を行って、前記パケットが、ユーザの中心視野に該当する映像部分のパケットであるか否かを判断することにより、当該パケットが前記特定のパケットであるか否かを判断する」ことについては、上記引用文献1-3には記載されておらず、周知技術であるともいえない。 引用文献2には、映像情報の階層符号化として、ユーザの目の位置によって検出した注視領域のみを高画質に符号化する周知技術が開示され、また、引用文献3には、音声情報の階層符号化として、話声に特化した符号化を利用することで、人間の話声のみを高音質に符号化する周知技術が開示されているが、本願発明1の上記[相違点2]に係る、「前記パケットが映像のパケットである場合において、前記パケット振り分け手段は、前記パケットを用いて画像認識を行って、前記パケットが、ユーザの中心視野に該当する映像部分のパケットであるか否かを判断することにより、当該パケットが前記特定のパケットであるか否かを判断する」ことは、開示されていない。 さらに、仮に、映像情報の階層符号化として、映像の所定の固定された領域を高画質に符号化することが「周知技術」であったとしても、本願発明1の上記[相違点2]に係る、「前記パケットが映像のパケットである場合において、前記パケット振り分け手段は、前記パケットを用いて画像認識を行って、前記パケットが、ユーザの中心視野に該当する映像部分のパケットであるか否かを判断することにより、当該パケットが前記特定のパケットであるか否かを判断する」ことは、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-3に記載された技術的事項、並びに、このような「周知技術」に基づいて、容易に発明できたものであるとはいえない。 よって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2-3に記載された技術的事項から、本願発明1の上記[相違点2]に係る構成を容易に想到することはできない。 したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2 本願発明2-4について 本願発明2-4も、本願発明1の上記[相違点2」に係る、「前記パケットが映像のパケットである場合において、前記パケット振り分け手段は、前記パケットを用いて画像認識を行って、前記パケットが、ユーザの中心視野に該当する映像部分のパケットであるか否かを判断することにより、当該パケットが前記特定のパケットであるか否かを判断する」ことと、(実質的に)同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 第7 原査定についての判断 1 理由1(新規事項)について 令和5年2月20日付けの補正による、補正後の請求項1-4は、「前記パケットが映像のパケットである場合において、前記パケット振り分け手段は、前記パケットを用いて画像認識を行って、前記パケットが、ユーザの中心視野に該当する映像部分のパケットであるか否かを判断することにより、当該パケットが前記特定のパケットであるか否かを判断する」という技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は発明の詳細な説明に記載されているから(段落【0057】)、「パケットが、ユーザの中心視野に該当する映像部分のパケットであるか否かを判断することにより、当該パケットが前記特定のパケットであるか否かを判断する」構成を有する発明は、出願当初の明細書等に記載したものではないことに基づく、原査定の理由1(新規事項)は解消した。 2 理由2(サポート要件) 令和5年2月20日付けの補正による、補正後の請求項1-4は、「前記パケットが映像のパケットである場合において、前記パケット振り分け手段は、前記パケットを用いて画像認識を行って、前記パケットが、ユーザの中心視野に該当する映像部分のパケットであるか否かを判断することにより、当該パケットが前記特定のパケットであるか否かを判断する」という技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は発明の詳細な説明に記載されているから(段落【0057】)、「パケットが、ユーザの中心視野に該当する映像部分のパケットであるか否かを判断することにより、当該パケットが前記特定のパケットであるか否かを判断する」発明は、発明の詳細な説明に記載したものではないことに基づく、原査定の理由2(サポート要件)は解消した。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-013590

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