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特許拒絶査定不服審判

2022-013317

分電盤用キャビネット、及び分電盤

審判番号
2022-013317
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-196042外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年08月24日
審決日
2023年05月29日
公報発行日
2023年06月30日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H02B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第1号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-196042「分電盤用キャビネット、及び分電盤」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 4月23日出願公開、特開2020- 65371、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 23項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、平成30年10月17日の出願であって、令和3年11月24日付けの拒絶理由の通知に対し、令和4年1月31日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、令和4年6月3日付けで拒絶査定(原査定)がなされ、これに対して令和4年8月24日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正(以下、「審判請求時の補正」という。)がなされたものである。

第2 原査定の概要

原査定(令和4年6月3日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-8に係る発明は、以下の引用文献1-5に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧

1 特開2018-88773号公報

2 特開2018-7324号公報

3 特開2013-84076号公報

4 特開2016-185020号公報

5 特開平5-91616号公報

第3 審判請求時の補正について

1 補正の内容

審判請求時の補正の内容は、以下のとおりである。

(1)補正事項1

補正前の請求項1における「を備える、分電盤用キャビネット。」との記載を、「を備え、前記通知制御部は、前記ブレーカの状態が異常である場合、及び、前記ブレーカの状態が正常である場合に、前記発光部からの前記光により、前記ブレーカの状態に関する状態情報を前記本体の外部に通知させる、分電盤用キャビネット。」に補正する。

(2)補正事項2

補正前の請求項2及び3を削除する。

(3)補正事項3

補正前の請求項4~8を、補正後の請求項2~6とし、補正前の請求項4~8それぞれの「2又は3」、「2~4のいずれか1項」、「1~5」、「1~6」、「1~7」との記載を、補正後の請求項2~6において「1」、「1又は2」、「1~3」、「1~4」、「1~5」に補正する。

2 補正の検討

(1)補正事項1について

ア 願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)において、請求項2には「前記通知部は、前記状態情報及び前記本体の存在のうち少なくとも一方を光により通知する発光部を有する、請求項1に記載の分電盤用キャビネット。」と記載されているとともに、段落【0059】には「通知制御部74は、計測アダプタ6から取得した計測結果又はセンサ9から取得した計測結果に基づいて、ブレーカ2の状態が異常状態であると判断すると、ブレーカ2の状態情報を通知部75から本体11の外部に通知させる。」、段落【0060】には「なお、通知制御部74は、計測アダプタ6から取得した計測結果又はセンサ9から取得した計測結果に基づいて、ブレーカ2の状態が正常状態であると判断した場合にも通知部75から本体11の外部にブレーカ2の状態を通知させてもよい。」、段落【0061】には「通知部75が発光部75Aであれば、通知制御部74は、ブレーカ2の状態に基づいて、発光部75Aの発光色、及び発光部75Aが点滅する周期、発光の持続時間等のうちの少なくとも1つを異ならせればよい。」、段落【0072】には「上記基本例では、通知制御部74が通知部75から状態情報を本体11の外部に通知していたが、変形例1では、通知制御部74が通知部75から本体11の存在を本体11の外部に通知する。」、及び段落【0073】には「発光部75Cは、天井面105及び床面106に光を投影することによって本体11の存在を通知する。」と記載されている。

したがって、当初明細書等には、通知制御部について、「ブレーカの状態が異常である場合、及び、ブレーカの状態が正常である場合に、発光部からの光により、ブレーカの状態に関する状態情報を本体の外部に通知させる」ことが記載されていると認められる。

以上のことから、補正事項1は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであるから、当初明細書等の記載の範囲内においてしたものである。

イ 補正事項1は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「通知制御部」について限定するものであって、特許請求の範囲の限定的減縮を目的としたものである。

(2)補正事項2について

補正事項2は、補正前の請求項2及び3の削除を目的としたものであって、当初明細書等の記載の範囲内においてしたものである。

(3)補正事項3について

補正事項3は、補正事項2に伴うものであるから、請求項の削除を目的としたものであるとともに、補正事項2によって存在しなくなった請求項2及び3の記載を引用する補正前の請求項4~8の記載を改めることで、明りようでない記載の釈明を目的としたものであり、当初明細書等の記載の範囲内においてしたものである。

3 小括

上記2のとおりであるから、審判請求時の補正は、特許法第17条の2第5項第1号、第2号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであって、特許法第17条の2第3項の規定を満たす。

そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1~6に係る発明は、独立して特許を受けることができるものであるから、審判請求時の補正は、特許法第17条の2第6項に規定する要件を満たす。

第4 本願発明

本願請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、令和4年8月24日提出の手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
ブレーカを収容し、造営材に設けられた取付孔に全体が取り付けられる本体と、
前記ブレーカの状態に応じて、発光部から天井面、床面及び壁面の少なくとも一つに光を投影することによって前記本体の存在を通知させる通知制御部と、を備え、
前記通知制御部は、前記ブレーカの状態が異常である場合、及び、前記ブレーカの状態が正常である場合に、前記発光部からの前記光により、前記ブレーカの状態に関する状態情報を前記本体の外部に通知させる、
続きを表示(全22行)
分電盤用キャビネット。
【請求項2】
前記状態情報は、前記ブレーカが電気的に接続された電路に流れる電流が電流閾値を超えたか否かを示す情報を含む、
請求項1に記載の分電盤用キャビネット。
【請求項3】
前記状態情報は、前記ブレーカの周囲環境に関する環境情報を含み、
前記環境情報を検知するセンサを、更に備える、
請求項1又は2に記載の分電盤用キャビネット。
【請求項4】
前記通知制御部は、前記ブレーカの状態に関する状態情報及び前記本体の存在のうち少なくとも一方を、音出力部から音により通知させる、
請求項1~3のいずれか1項に記載の分電盤用キャビネット。
【請求項5】
前記通知制御部は、電磁波を媒体とした信号により通知させる、
請求項1~4のいずれか1項に記載の分電盤用キャビネット。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の分電盤用キャビネットと、
前記分電盤用キャビネットに収容される前記ブレーカと、を含む、
分電盤。」

第5 引用文献、引用発明等

1 引用文献1について

(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(なお、下線は当審にて付与した。)

ア 「【0012】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る感震遮断システムの一例を示す構成図であり、1は住戸内に引き込まれた単相3線式電路(電圧相X,Yと中性相N)で構成される商用電源が一次側に接続された主幹ブレーカ、2は主幹ブレーカ1の二次側に形成された主電路Mから分岐された個々の分岐電路を遮断するための分岐ブレーカ、3は所定の震度以上の地震を感知したら地震検出信号を出力すると共に主電路Mに擬似漏電を発生させる感震リレー、4は住戸内の使用電力情報を外部のHEMS機器11に送信する通信計測ユニット、5は感震リレー3から出力された地震検出信号を受けて特定の分岐ブレーカ2を遮断操作すると共に外部に遮断信号を出力する感震通信ユニット、6は分岐電路の先に設けられた複数の遮断機能付コンセントユニット12を遮断動作させるコンセント制御ユニットである。」
イ 「【0014】
感震リレー3、通信計測ユニット4、感震通信ユニット5、コンセント制御ユニット6は分電盤Bの内部に組み付けられている。尚、感震リレー3、通信計測ユニット4、感震通信ユニット5は、主幹ブレーカ1の二次側に配設された主電路Mを構成する主幹バー9に、第1のブレーカ2a及び第2のブレーカ2bと共に連結されて電源が供給される。一方、コンセント制御ユニット6は後述するように配線と端子のみで構成されており、電源を必要としないため、分電盤Bの内外いずれに設置しても良い。」
ウ 「【0016】
図2は感震リレー3のブロック図を示している。感震リレー3は、図2に示すように揺れを検知してその大きさに応じた信号を出力する加速度センサ31、地震発生と判定する震度を設定する震度設定部33、地震発生から一定時間後に擬似漏電を発生させて主幹ブレーカ1を遅延遮断動作させる時間を設定する遮断時間設定部34、擬似漏電を発生させる擬似漏電出力部35、警報音を発報するブザー36a、発光通知するLED36b、地震検出動作のテスト/リセットを行うテスト/リセットボタン37、地震発生と判断したら地震検出信号を出力する外部通信部38、加速度センサ31の出力から地震の震度を判定して、設定された震度以上であると判断したら地震発生と判断して各種制御信号を出力すると共に、感震リレー3全体を制御するMCU(Micro Controller Unit)39等を備えている。・・・」
エ 「【0018】
感震リレー3は、震度設定部33により地震検出信号を出力する震度(所定の震度)が設定され、例えば震度5弱、6等が設定される。遮断時間設定部34では、擬似漏電を発生させて遅延遮断させる時間が設定される。例えば、MCU39が地震発生と判断したら即時に外部通信部38から地震検出信号を出力するが、擬似漏電出力部35からは、例えば地震検出信号を出力してから一定の時間(例えば、3分)が経過した後に、主電路Mに擬似漏電を発生させる擬似漏電信号が出力される。そして、地震検出信号が出力されたら、ブザー36aが鳴動し、LED36bが点滅動作する。」
オ 「【0029】
以上の如く構成された感震遮断システムは、地震の発生を受けて以下の様に動作する。住戸内の電気機器に商用電力が通電されている状態で地震が発生したら、加速度センサ31がそれを検知して、MCU39により震度が判定される。この判定した震度が閾値として予め震度設定部33等で設定された震度以上(例えば震度5弱以上)の地震である場合は、MCU39により以下の制御が実施される。」
カ 「【0030】
まず、即時に外部通信部38から地震検出信号が出力され、ブザー36aが鳴動して、LED36bが点滅する。そして、出力された地震検出信号は、感震通信ユニット5に伝送される。・・・」

(2)上記(1)の記載から、以下の事項が認定できる。

ア 上記(1)ア及びイからみて、分電盤Bには主幹ブレーカ1及び分岐ブレーカ2が設置されているといえる。そして、引用文献1における「分電盤B」には、「主幹ブレーカ1及び分岐ブレーカ2」が設置されるものであるから、引用文献1における「分電盤B」は「主幹ブレーカ1及び分岐ブレーカ2」を備えるものであると認められる。

イ 上記(1)ウ、エ、オ及びカからみて、MCU39は、地震検出信号が出力されたら、LED36bを発光通知させるものであるといえる。

ウ 上記(1)ア及びイからみて、感震リレー3はMCU39を備えるものであるといえる。また、感震リレー3は分電盤Bの内部に組み付けられているものであるから、分電盤BがMCU39を備えることは自明である。

したがって、上記引用文献1には以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「主幹ブレーカ1及び分岐ブレーカ2と、地震検出信号が出力されたら、LED36bを発光通知させるMCU39と、を備え、前記MCU39は、前記地震検出信号が出力されたら、前記LED36bを発光通知させる、分電盤B。」

2 引用文献2について

(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。(なお、下線は当審にて付与した。)

ア 「【0012】
以下に本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の実施形態を示すブロック図であり、1は分電盤、2はその内部に設置された主幹ブレーカ、3は主幹ブレーカ2の二次側に接続された複数の分岐ブレーカである。各分岐ブレーカ3は図示しない負荷に接続されている。なお分電盤1はホーム分電盤であっても、工場などの事業設備用の分電盤であってもよい。」
イ 「【0013】
4は各分岐ブレーカ3に設けられた電流測定用のCTであり、CTによって測定された電流値は、図1に示す正常時には、分電盤1の内部の通信手段6により、HENSなどの外部監視装置5に送られる。そして外部監視装置5からネットワーク7を介して、サーバ8へ送られる。通信手段6と外部監視装置5との間の通信は、WiFi無線通信などで行われる。このように、正常時には通信手段6⇒HEMSなどの外部監視装置5⇒ネットワーク7⇒サーバ8というフローで、分電盤1の情報がサーバ8に通信されている。」
ウ 「【0014】
異常発生時には、検出手段9はCT4によって測定された電流値などの情報を基に、分電盤1に生じた異常を検出する。分電盤1に生じた異常とは、系統の停電、漏電や過電流による主幹ブレーカ2のトリップに伴う停電などの異常である。系統の停電は、主幹ブレーカ2の一次側で検出可能である。漏電は、図示しないZCTによって検出可能である。」
エ 「【0015】
また、分電盤1の内部或いは近傍に設置した感震装置により地震を検出し、主幹ブレーカ2が遮断した場合などに、地震によって異常が発生した旨を通信することもできる。このとき、震度情報など地震の情報も同時に通信してもよい。」
オ 「【0016】
さらに、分電盤内に設置した図示しないSPDにより落雷を検出し、主幹ブレーカ2が遮断した場合などには、落雷によって異常が発生した旨を通信することもできる。」
カ 「【0018】
そこで本発明のシステムにおいては、通信手段6への電力供給が維持されない異常が発生した場合には、図2に示すように、通信手段6が近距離無線通信によって携帯端末10に異常情報を通信する。近距離無線通信としては、例えばブルートゥース(登録商標)を採用することができる。ブルートゥースによれば、半径10m~100m程度の範囲で通信が可能である。近距離無線通信の種類はこれに限定されるものではない。また近距離無線通信を行う通信手段は、正常時にWiFi無線通信を行う通信手段6と別に設けておき、異常時のみに動作するものとしてもよい。」
キ 「【0019】
しかし、近距離無線通信は電波の届く範囲に携帯端末10が存在しなければ、通信することができない。そこで本発明では、分電盤1に設けた探索手段11によって近距離無線通信可能な携帯端末10の有無を探索し、この探索手段11が携帯端末10を検知したときに、通信手段6が近距離無線通信によって異常情報を通信する。通常、家庭用分電盤であっても事業設備用分電盤であっても、その分電盤を使用している顧客は分電盤1の近傍に居るので、ほとんどの場合には顧客の携帯端末10に直ちに異常情報を通信することができる。」

(2)上記(1)の記載から、以下の事項が認定できる。

ア 上記(1)アからみて、分電盤1は、その内部に主幹ブレーカ2及び分岐ブレーカ3が設置されたものであるといえる。そして、引用文献2における「分電盤1」には、その内部に「主幹ブレーカ2及び分岐ブレーカ3」が設置されるものであるから、引用文献2における「分電盤1」は「主幹ブレーカ2及び分岐ブレーカ3」を備えるものであると認められる。

イ 上記(1)ウ、エ、オ、カ及びキからみて、通信手段6は、地震を検出し主幹ブレーカ2が遮断した場合、及び落雷を検出し主幹ブレーカ2が遮断した場合に、無線通信で、異常が発生した旨を外部監視装置5又は携帯端末10と通信するものであるといえる。

ウ 上記(1)イからみて、分電盤1は、その内部に通信手段6を備えるものであるといえる。

したがって、上記引用文献2には以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

「主幹ブレーカ2及び分岐ブレーカ3と、地震を検出し主幹ブレーカ2が遮断した場合、及び落雷を検出し主幹ブレーカ2が遮断した場合に、無線通信で、異常が発生した旨を外部監視装置5又は携帯端末10と通信する通信手段6と、を備え、通信手段6は、地震を検出し主幹ブレーカ2が遮断した場合、及び落雷を検出し主幹ブレーカ2が遮断した場合に、無線通信で、異常が発生した旨を外部監視装置5又は携帯端末10と通信する、分電盤1。」

3 引用文献3について

また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、段落【0002】、【0005】、【0020】-【0026】、及び図1-3の記載からみて、次の事項が記載されていると認められる。

「投影部35a~35cから横壁や天井に光を投影することによって、火災の発生、COガス漏れまたは都市ガス漏れを報知する、警報器。」

4 引用文献4について

また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、段落【0011】、【0029】-【0032】の記載からみて、次の事項が記載されていると認められる。

「電流値割合が所定の閾値を超えたとき、端末5に停電通知を送信する通信装置40を有する、HEMSシステム1。」

5 引用文献5について

また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には、段落【0002】、【0011】-【0012】、及び図3の記載からみて、次の事項が記載されていると認められる。

「建物の天井に配置されるケース19から構成される、分電盤装置16。」

6 その他の文献について

また、前置報告書において引用された引用文献6(特開2008-125259号公報)には、段落【0020】の記載からみて、次の事項が記載されていると認められる。

「発光ダイオード6が点灯する共に発光素子21も点灯して、SPD1が正常な状態にあることを点灯表示するとともに、劣化するなどしてSPD1が正常に動作し難くなり、発光ダイオード6が消灯すると発光素子21も消灯して、SPD1が異常な状況にあることを表示する、SPD1。」

第6 対比・判断

1 本願発明1について

(1)本願発明1と引用発明1との対比

ア 対比

本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。

(ア)引用発明1における「主幹ブレーカ1及び分岐ブレーカ2」は、本願発明1における「ブレーカ」に相当する。

(イ)引用発明1における「LED36b」は、本願発明1における「発光部」に相当する。

(ウ)引用発明1における「地震検出信号が出力されたら、LED36bを発光通知させる」という事項は、地震検出信号が出力されているか否かというブレーカの環境情報に応じて、LED36bという発光部から光を通知させるものであるといえるから、本願発明1における「前記ブレーカの状態に応じて、発光部から天井面、床面及び壁面の少なくとも一つに光を投影することによって前記本体の存在を通知させる」という事項と、「ブレーカの状態に応じて、発光部から光によって通知させる」という点において共通する。

(エ)引用発明1における「MCU39」は、本願発明1における「通知制御部」に相当する。

(オ)引用発明1における「前記地震検出信号が出力されたら」という事項は、地震検出信号が出力された状態がブレーカの環境情報としての異常を表すことから、本願発明1における「前記ブレーカの状態が異常である場合」に相当する。

(カ)引用発明1における「前記LED36bを発光通知させる」という事項は、LED36bからの光により、地震検出信号が出力されたというブレーカの環境情報としての異常を外部に通知させるものであることは自明であるから、本願発明1における「前記発光部からの前記光により、前記ブレーカの状態に関する状態情報を外部に通知させる」という事項に相当する。

(キ)引用発明1における「分電盤B」は、本願発明1における「分電盤用キャビネット」に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点1)

「ブレーカと、
前記ブレーカの状態に応じて、発光部から光によって通知させる通知制御部と、を備え、
前記通知制御部は、ブレーカの状態が異常である場合、発光部からの光により、前記ブレーカの状態に関する状態情報を外部に通知させる、
分電盤用キャビネット。」

(相違点1)本願発明1は、ブレーカ「を収容し、造営材に設けられた取付孔に全体が取り付けられる本体」を備えるのに対し、引用発明1は、主幹ブレーカ1及び分岐ブレーカ2を備えているものの、これらの収容態様については明らかでない点。

(相違点2)ブレーカの状態に応じて、発光部から光によって通知させる点に関し、本願発明1は、ブレーカの状態に応じて、発光部から「天井面、床面及び壁面の少なくとも一つに」光「を投影すること」によって「本体の存在を」通知させるものであるのに対し、引用発明1はLED36bを発光通知させている点。

(相違点3)本願発明1は、通知制御部は、ブレーカの状態が異常である場合、「及び、ブレーカの状態が正常である場合」に、ブレーカの状態に関する状態情報を本体の外部に通知させているのに対し、引用発明1は、ブレーカの状態が正常である場合にも通知させているか明らかでない点。

イ 相違点についての判断

事案に鑑みて、上記(相違点3)について、先に検討する。

(相違点3について)

(ア)相違点3に係る本願発明1の「ブレーカの状態が正常である場合に、ブレーカの状態に関する状態情報を本体の外部に通知させる」という構成に関連して、上記「第5・6.」で検討したとおり、引用文献6には、「発光ダイオード6が点灯する共に発光素子21も点灯して、SPD1が正常な状態にあることを点灯表示するとともに、劣化するなどしてSPD1が正常に動作し難くなり、発光ダイオード6が消灯すると発光素子21も消灯して、SPD1が異常な状況にあることを表示する、SPD1」が記載されている。

(イ)しかしながら、引用文献6に記載された事項は、上述したとおり、劣化するなどしてSPD1が正常に動作し難くなり、発光ダイオード6が消灯すると発光素子21も消灯して、SPD1が異常な状況にあることを表示するものであるから、引用発明1の通知制御部に対して引用文献6に記載された事項を適用すると、異常である場合には消灯することとなる。また、引用文献6に記載された事項は、SPD1が正常に動作し難くなって発光ダイオード6が点灯できなくなることを利用して、正常時と異常時の発光態様が変わるものであるから、正常な状態にある場合の発光態様のみを切り離して引用発明1に適用することはできない。してみると、引用発明1に引用文献6に記載された事項を適用する際に、ブレーカの状態が異常である場合に加えて、ブレーカの状態が正常である場合にも、ブレーカの状態に関する状態情報を発光部からの光により本体の外部に通知させる構成に到達することはできない。

してみると、相違点3に係る本願発明1の構成については、引用発明1及び引用文献6に記載された事項に基いて容易想到であるとはいえない。また、他の引用文献にも、相違点3に係る本願発明1の構成について記載されているとはいえない。

よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明1及び引用文献2-6に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)本願発明1と引用発明2との対比

ア 対比

本願発明1と引用発明2とを対比すると、次のことがいえる。

(ア)引用発明2における「主幹ブレーカ2及び分岐ブレーカ3」は、本願発明1における「ブレーカ」に相当する。

(イ)引用発明2における「地震を検出し主幹ブレーカ2が遮断した場合、及び落雷を検出し主幹ブレーカ2が遮断した場合に、無線通信で、異常が発生した旨を外部監視装置5又は携帯端末10と通信する」という事項は、地震及び落雷が検出されたか否かというブレーカの環境情報に応じて、情報を通知させるものであるといえるから、本願発明1における「前記ブレーカの状態に応じて、発光部から天井面、床面及び壁面の少なくとも一つに光を投影することによって前記本体の存在を通知させる」という事項と、「ブレーカの状態に応じて、情報を通知させる」という点において共通する。

(ウ)引用発明2における「通信手段6」は、本願発明1における「通知制御部」に相当する。

(エ)引用発明2における「地震を検出し主幹ブレーカ2が遮断した場合、及び落雷を検出し主幹ブレーカ2が遮断した場合に」という事項は、地震及び落雷が検出された状態がブレーカの環境情報としての異常を表すことから、本願発明1における「前記ブレーカの状態が異常である場合」に相当する。

(オ)引用発明2における「異常が発生した旨を外部監視装置5又は携帯端末10と通信する」という事項は、通信手段6がブレーカの状態が異常である場合にブレーカの環境情報としての異常を外部に通知させるものであると認められるから、本願発明1における「前記ブレーカの状態に関する状態情報を外部に通知させる」という事項に相当する。

(カ)引用発明2における「分電盤1」は、本願発明1における「分電盤用キャビネット」に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明2との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点2)

「ブレーカと、
ブレーカの状態に応じて、情報を通知させる通知制御部と、を備え、
前記通知制御部は、ブレーカの状態が異常である場合、前記ブレーカの状態に関する状態情報を外部に通知させる、
分電盤用キャビネット。」

(相違点4)本願発明1は、ブレーカ「を収容し、造営材に設けられた取付孔に全体が取り付けられる本体」を備えるのに対し、引用発明2は、主幹ブレーカ2及び分岐ブレーカ3を備えているものの、これらの収容態様については明らかでない点。

(相違点5)情報を通知するための手段について、本願発明1は、ブレーカの状態に応じて、「発光部から天井面、床面及び壁面の少なくとも一つに光を投影することによって本体の存在を通知させる」とともに、「発光部からの光により」ブレーカの状態に関する状態情報を通知させるものであるのに対し、引用発明2は、無線通信で異常が発生した旨を通知させている点。

(相違点6)本願発明1は、通知制御部は、ブレーカの状態が異常である場合、「及び、ブレーカの状態が正常である場合」に、ブレーカの状態に関する状態情報を本体の外部に通知させているのに対し、引用発明2は、ブレーカの状態が正常である場合にも、通知させているか明らかでない点。

イ 相違点についての判断

事案に鑑みて、上記(相違点6)について、先に検討する。

(相違点6について)

(ア)上記相違点6について検討すると、引用発明2は無線通信でブレーカの状態に関する状態情報を本体の外部に通知させるものであるのに対して、引用文献6は発光ダイオード6及び発光素子21の点灯により情報を外部に通知するものであるから、その通知手段が大きく異なるものであり、これらを組み合わせる動機付けがあるとはいえない。

(イ)また、たとえ引用発明2に引用文献6に記載された事項を適用できたとしても、上記「第6・1(1)イ(イ)」において検討したとおり、ブレーカの状態が異常である場合に加えて、ブレーカの状態が正常である場合にも、発光部から光により、ブレーカの状態に関する状態情報を本体の外部に通知させる構成に到達することはできない。

(ウ)以上のとおり、引用発明2に引用文献6に記載された事項を適用する動機付けがあるとはいえないし、たとえ引用発明2に引用文献6に記載された事項を適用する動機付けがあるとしても、引用発明2に引用文献6に記載された事項を適用する際に、相違点6に係る本願発明1の構成に到達することはできない。

してみると、相違点6に係る本願発明1の構成については、引用発明2及び引用文献6に記載された事項に基いて容易想到であるとはいえない。また、他の引用文献にも、相違点6に係る本願発明1の構成について記載されているとはいえない。

よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明2及び引用文献1、3-6に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2-6について

本願発明2-6も、本願発明1の「通知制御部は、ブレーカの状態が異常である場合、及び、ブレーカの状態が正常である場合に、発光部からの光により、ブレーカの状態に関する状態情報を本体の外部に通知させる」という構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1、引用発明2、拒絶査定において引用された引用文献3-5、及び前置報告書において引用された引用文献6に記載された事項に基いて容易に発明できたものとはいえない。

第7 むすび

以上のとおり、本願発明1ないし6は、当業者が引用発明1、引用発明2及び引用文献3-6に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-013317

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