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特許拒絶査定不服審判

2022-013067

太陽光パネル構造体の陸屋根への設置構造

審判番号
2022-013067
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-003725外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年08月19日
審決日
2023年07月03日
公報発行日
2023年09月29日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H02S)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022- 3725「太陽光パネル構造体の陸屋根への設置構造」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 10項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、令和4年1月13日を出願日とする出願であって、その手続の経緯の概略は、以下のとおりである。

令和4年2月 1日付け:拒絶理由通知書
同年3月15日 :意見書、手続補正書の提出
同年4月11日付け:拒絶理由通知書(最後)
同年6月14日 :意見書、手続補正書の提出
同月23日付け:補正の却下の決定、拒絶査定(以下、「原査定

」という。)

同年8月19日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 令和4年8月19日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和4年8月19日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正の内容

(1)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載

本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)

「受光面側の縁部に樹脂部品を備える複数の太陽光パネルと、
前記受光面において前記縁部に取り付けられ、前記樹脂部品への太陽光の照射が抑制されるように前記樹脂部品を覆った状態と、前記樹脂部品へアクセス可能となるように前記樹脂部品を露出させた状態と、をとりうるカバー具と、
を有する太陽光パネル構造体を建物の陸屋根に設置する設置構造であって、
前記カバー具が取り付けられた全ての前記縁部と、前記陸屋根の辺との間に間隙を構成して前記太陽光パネル構造体を前記陸屋根に設置する、太陽パネル構造体の陸屋根への設置構造。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載

本件補正前の、令和4年3月15日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「受光面側の縁部に樹脂部品を備える太陽光パネルと、
前記樹脂部品への太陽光の照射が抑制されるように前記樹脂部品を覆った状態と、前記樹脂部品へアクセス可能となるように前記樹脂部品を露出させた状態と、をとりうるカバー具と、
を有する太陽光パネル構造体を建物の陸屋根に設置する設置構造であって、
前記縁部と、前記陸屋根の辺との間に間隙を構成して前記太陽光パネル構造体を前記陸屋根に設置する、太陽パネル構造体の陸屋根への設置構造。」

2 補正の適否

本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である、「太陽光パネル」を「複数の太陽光パネル」と限定し、「カバー具」を「前記受光面において前記縁部に取り付けられ」と、その取り付けられた場所を限定し、陸屋根の辺との間に間隙を構成する「縁部」を「前記カバー具が取り付けられた全ての」「縁部」と限定するものであり、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下に検討する。

(1)本件補正発明

上記1(1)のとおり、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1には、「太陽パネル構造体の陸屋根への設置構造」と記載されている。

しかしながら、その前段において「太陽光パネル構造体」と記載され、発明の詳細な説明においても「太陽光パネル構造体」と記載されていることを踏まえると、上記「太陽パネル構造体」の記載は、「太陽光パネル構造体」の誤記と認められる。

よって、本件補正発明は、次の記載により特定されるとおりのものと認める。

「受光面側の縁部に樹脂部品を備える複数の太陽光パネルと、
前記受光面において前記縁部に取り付けられ、前記樹脂部品への太陽光の照射が抑制されるように前記樹脂部品を覆った状態と、前記樹脂部品へアクセス可能となるように前記樹脂部品を露出させた状態と、をとりうるカバー具と、
を有する太陽光パネル構造体を建物の陸屋根に設置する設置構造であって、
前記カバー具が取り付けられた全ての前記縁部と、前記陸屋根の辺との間に間隙を構成して前記太陽光パネル構造体を前記陸屋根に設置する、太陽光パネル構造体の陸屋根への設置構造。」

(2)引用文献の記載事項及び引用発明の認定

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ア 引用文献の記載事項

原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、欧州特許出願公開第3734835号明細書(以下「引用文献」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線及び翻訳は当審が付した。以下同じ。)

「Claims
1. Protector for connection cables (21) and junction boxes (15a, 15b) for photovoltaic modules (1, 1a, 1b, ,,,) in a photovoltaic assembly (100), characterized in that it comprises:
- a cover plate (33), with dimensions sufficient to cover, when installed in the photovoltaic assembly between adjacent corners of at least two neighbouring photovoltaic modules (1, 1a, 1b, ,,,), the junction boxes and at least a portion of connecting cables (21) of said photovoltaic modules (1, 1a, 1b, ,,,), when installed,
- a spacing element (35), situated, when installed, between the cover plate (33) and a roof or support for the photovoltaic assembly (100), maintaining said cover plate (33) and roof or support at a distance corresponding to at least a maximum height of the photovoltaic modules (1, 1a, 1b, ,,,), attached, when assembled, to the cover plate (33).
続きを表示(全14行)
2. Protector according to claim 1, characterized in that it further comprises a base element (31), configured to be, when installed, in contact with the roof or support or against a laminate (11) of the photovoltaic modules (1, 1a, 1b, ,,,) and attached to the end of the spacing element (35) opposite the cover plate (33).
…(中略)…
12. Photovoltaic assembly (100) characterized in that it comprises :
・ a plurality of photovoltaic modules (1a, 1b, ,,,), each photovoltaic module (1a, 1b, ,,,) comprising:
・ a laminate (11),
・ a plurality of photovoltaic cells (13), carried by the laminate (11)at least two junction boxes (15a, 15b), attached to a front side of the laminate (11), placed in corner portions (5) along a common side of the laminate (11) parallel to the alignment (A),
・ connection cables (21), spanning between the junction boxes (15a, 15b) of neighbouring photovoltaic modules (1, 1a, 1b, ,,,),
the photovoltaic modules (1, 1a, 1b, ,,,) being arranged so that junction boxes (15a, 15b) of two neighbouring photovoltaic modules (1, 1a, 1b, ,,,) face each-other with a gap between said photovoltaic modules (1, 1a, 1b, ,,,),
・ at least one protector (3) according to any of claims 1 to 11, disposed in the gap between the neighbouring photovoltaic modules (1, 1a, 1b, ,,,) covering junction boxes (15a, 15b) and connection cables (21) of neighbouring photovoltaic modules (1, 1a, 1b, ,,,).
Photovoltaic assembly according to claim 12, characterized in that it comprises two lines or rows of photovoltaic modules (1, 1a, 1b, ,,,), arranged in symmetrical fashion around a central alignment axis (A) with their junction boxes facing said central alignment axis (A), the protectors (3) covering two or four junction boxes (15a, 15b) of neighbouring photovoltaic modules (1, 1a, 1b, ,,,) in the photovoltaic assembly (100).」

(請求項

1.光起電力アセンブリ(100)内の光起電力モジュール(1、1a、1b、…)用の接続ケーブル(21)及びジャンクションボックス(15a、15b)用のプロテクタであって、

-少なくとも2つの隣接する光起電力モジュール(1、1a、1b、…)の隣接する角部間で前記光起電力アセンブリに設置された場合、設置時に、前記ジャンクションボックス、及び前記光起電力モジュール(1、1a、1b、…)の接続ケーブル(21)の少なくとも一部分を覆うのに十分な寸法のカバープレート(33)と、

-設置時に、前記光起電力アセンブリ(100)の前記カバープレート(33)と屋根又はサポートとの間に配置され、組み立て時に、前記カバープレート(33)に取り付けられた前記光起電力モジュール(1、1a、1b、…)の少なくとも最大高さに対応する距離において前記カバープレート(33)及び屋根又はサポートを維持するスペーシング要素(35)と、を備えることを特徴とする、プロテクタ。

2.設置時に、前記屋根またはサポートと接触するか、又は前記光起電力モジュール(1、1a、1b、…)の積層体(11)に対して接触し、前記カバープレート(33)の反対側の前記スペーシング要素(35)の端部に取り付けられるように構成されているベース要素(31)をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のプロテクタ。

…(中略)…

12.光起電力アセンブリ(100)であって、

・複数の光起電力モジュール(1a、1b、…)であって、各光起電力モジュール(1a、1b、…)が、

・積層体(11)、

・前記積層体(11)によって支えられ、前記積層体(11)の前面に取り付けられた少なくとも2つのジャンクションボックス(15a、15b)が、整列(A)に平行な前記積層体(11)の共通面に沿って角部分(5)に配置された、複数の光起電力セル(13)、を備える、複数の光起電力モジュール(1a、1b、…)と、

・隣接する光起電力モジュール(1、1a、1b、…)の前記ジャンクションボックス(15a、15b)間にまたがる接続ケーブル(21)であって、

前記光起電力モジュール(1、1a、1b、…)が、2つの隣接する光起電力モジュール(1、1a、1b、…)のジャンクションボックス(15a、15b)が、前記光起電力モジュール(1、1a、1b、…)間の間隙を伴って互いに向き合うように配置されている、接続ケーブル(21)と、

・隣接する光起電力モジュール(1、1a、1b、…)のジャンクションボックス(15a、15b)及び接続ケーブル(21)を覆う前記隣接する光起電力モジュール(1、1a、1b、…)の間の前記間隙に配置された、請求項1~11のいずれか一項に記載の少なくとも1つのプロテクタ(3)と、を備えることを特徴とする、光起電力アセンブリ(100)。)

「[0015] The protector covers, in a photovoltaic assembly the junction boxes and connection cables, and shields them from most of the direct rain impact and the direct sunlight.」

(プロテクタは、光起電力アセンブリ内で、ジャンクションボックスと接続ケーブルを覆い、直接的な雨の影響および直射日光のほとんどからそれらを保護する。)

「[0040] Figure 1 is a schematic representation in perspective of a photovoltaic assembly 100, arranged on a roof. The roof is for example the flat or sloped roof of a habitat, storage or other building such as a house, garage, hut, storage unit etc.」

(図1は、屋根上に配置された光起電力アセンブリ100の遠近法による略図である。屋根は、例えば、住宅、ガレージ、小屋、倉庫などの居住用、貯蔵用、その他の建物の平坦な、又は傾斜した屋根である。)

「[0045] The photovoltaic assembly 100 comprises cable and junction box protectors 3, which are placed in the corner areas where the corners 5 of neighbouring photovoltaic modules 1a to If are close to each other. Said areas are also where the gaps 2 between the photovoltaic modules 1a, 1b, etc. parallel to the column direction cross the gaps 2 between photovoltaic modules 1a, 1b, etc. along the row direction.」

(光起電力アセンブリ100は、隣接する光起電力モジュール1a~1fの角部5が互いに近接している角部領域に置かれた、ケーブルおよびジャンクションボックスプロテクタ3を備える。前述の領域はまた、列方向に平行な光起電力モジュール1a、1bなどの間の間隙2が、行方向に沿って光起電力モジュール1a、1bなどの間の間隙2と交差する場所である。)

「[0049] The module 1 comprises photovoltaic cells 13a, 13b etc. carried by the laminate 11 arranged in columns and in rows, parallel to the rows and columns of modules 1a, 1b, etc. The reference 13 is hereafter used to designate any photovoltaic cell in a module without consideration of position in said module.」

(モジュール1は、列に及び行において、モジュール1a、1bなどの行及び列に平行に配置された、積層体11に担持された光起電力セル13a、13bなどを備えている。以下では、モジュール内のいずれかの光起電力セルを、当該モジュール内の位置を考慮することなく指定するために、参照13を使用する。)

「[0067] In figure 3b, the protector 3 comprises a cover plate 33, rectangular or square, and at least two, here four, spacing elements 35 in form of feet. In particular, the protector does not comprise a base element 31 in form of a plate. Instead, the feet forming spacing elements 35 may comprise a lower surface 35a that can be glued to the roof or support of the photovoltaic assembly 100, or attached to the laminate 11 of the photovoltaic modules 1.」

(図3bでは、プロテクタ3は、長方形又は正方形のカバープレート33と、足の形態での少なくとも2つ、本明細書では4つのスペーシング要素35とを備える。特に、プロテクタ3は、追加のプレートの形態のベース要素31を含まない。代わりに、スペーシング要素35を形成する足は、光起電力アセンブリ100の屋根又はサポートに接着することができるか、又は光起電力モジュール1の積層体11に取り付けることができる下面35aを備え得る。)

「[0081] To access the connector 23 or more generally the connecting cable 21, a technician just has to remove the cover plate 33, and to perform the replacement or repairing operations on said connecting cable 21, and then put the cover plate 33 back in place.」

(当審訳:コネクタ23又はより一般的には接続ケーブル21にアクセスするために、技術者は、カバープレート33を取り外し、前述の接続ケーブル21に対して交換又は修理操作を実行し、次にカバープレート33を元の位置に戻すだけでよい。)

「図1
[図:0001401302000001.jpg]
」
「図2
[図:0001401302000002.jpg]
」
「図3
[図:0001401302000003.jpg]
」

イ 引用発明の認定

以上より、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、参考までに、引用発明の認定に用いた引用文献の記載等に係る段落番号等を括弧内に付してある。

<引用発明>

「建物の平坦な屋根上に光起電力アセンブリを配置する構造であって、([0040])
前記光起電力アセンブリは、
複数の光起電力モジュールを備え、
前記各光起電力モジュールは、
続きを表示(全19行)
積層体と、
前記積層体によって支えられた複数の光起電力セルと、(請求項12、[0049])
前記積層体の前面に取り付けられ、整列(A)に平行な前記積層体の共通面に沿って角部分に配置された、少なくとも2つのジャンクションボックスと、を備え、(請求項12)
前記光起電力アセンブリは、隣接する光起電力モジュールの前記ジャンクションボックス間にまたがる接続ケーブルを備え、(請求項12、[0045])
2つの隣接する光起電力モジュールのジャンクションボックスは、前記光起電力モジュール間の間隙を伴って互いに向き合うように配置されており、(請求項12)
前記光起電力アセンブリは、隣接する光起電力モジュールのジャンクションボックス及び接続ケーブルを覆う、前記隣接する光起電力モジュールの間の前記間隙に配置された少なくとも1つのプロテクタを備え、(請求項12、[0045])
前記プロテクタは、
光起電力アセンブリ内の光起電力モジュール用の接続ケーブル及びジャンクションボックス用のプロテクタであって、
少なくとも2つの隣接する光起電力モジュールの隣接する角部間で前記光起電力アセンブリに設置された場合、設置時に、前記ジャンクションボックス及び前記光起電力モジュールの接続ケーブルの少なくとも一部分を覆うのに十分な寸法のカバープレートと、
設置時に、前記光起電力アセンブリの前記カバープレートと屋根又はサポートとの間に配置され、組み立て時に、前記カバープレートに取り付けられた前記光起電力モジュールの少なくとも最大高さに対応する距離において前記カバープレート及び屋根又はサポートを維持するスペーシング要素と、(請求項1)
前記光起電力モジュールの積層体に対して接触し、前記カバープレートの反対側の前記スペーシング要素の端部に取り付けられるように構成されているベース要素と、を備え、(請求項2)
前記プロテクタは、隣接する光起電力モジュールの角部が互いに近接している角部領域に置かれ、([0045])
前記プロテクタは、光起電力アセンブリ内で、ジャンクションボックスと接続ケーブルを覆い、直接的な雨の影響および直射日光のほとんどからそれらを保護し、([0015])
前記カバープレートは、コネクタ又は接続ケーブルにアクセスするために、取り外し、接続ケーブルに対して交換又は修理操作を実行し、元の位置に戻すことができる、([0081])
建物の平坦な屋根上に光起電力アセンブリを配置する構造。」

(3)本件補正発明と引用発明の対比・判断

ア 対比

本件補正発明と引用発明とを対比すると、以下のとおりである。

(ア)本件補正発明の「受光面側の縁部に樹脂部品を備える複数の太陽光パネル」との特定事項について

a 引用発明の「光起電力アセンブリ」は、「複数の光起電力モジュールを備え」、「各光起電力モジュール」は、「積層体と、前記積層体によって支えられた複数の光起電力セルと、前記積層体の前面に取り付けられ、整列(A)に平行な前記積層体の共通面に沿って角部分に配置された、少なくとも2つのジャンクションボックスと、を備え」ているところ、当該「光起電力モジュール」において、「光起電力セル」は、「積層体によって支えられ」ているから、「積層体」の「光起電力セル」を支える側を「受光面側」と解することが自然といえる。

b また、引用発明の「ジャンクションボックス」は、「前記積層体の前面に取り付けられ」ているところ、当該「ジャンクションボックス」が「配置された」「積層体」の「角部分」は、「光起電力モジュール」における「受光面側」の「縁部」ということができる。

c そうすると、引用発明の「光起電力モジュール」は、本件補正発明の「太陽光パネル」に相当し、引用発明の「ジャンクションボックス」と本件補正発明の「樹脂部品」は、「部品」である点で共通するから、引用発明は、本件補正発明の上記特定事項と、「受光面側の縁部に部品を備える複数の太陽光パネル」の点で共通するといえる。

(イ)本件補正発明の「前記受光面において前記縁部に取り付けられ、前記樹脂部品への太陽光の照射が抑制されるように前記樹脂部品を覆った状態と、前記樹脂部品へアクセス可能となるように前記樹脂部品を露出させた状態と、をとりうるカバー具と」との特定事項について

a 上記「前記受光面において前記縁部に取り付けられ」る点について

引用発明の「プロテクタ」は、「隣接する光起電力モジュールの角部が互いに近接している角部領域に置かれ」、「ジャンクションボックス」「を覆」うものであり、「ベース要素」を備えているところ、当該「ベース要素」は、「前記光起電力モジュールの積層体に対して接触し」ている。

そうすると、引用発明の「プロテクタ」は、「光起電力モジュールの積層体に対して接触し」、その「角部領域に置かれ」ているもの、言い換えると、光起電力モジュールの受光面に取り付けられ、その縁部に配置されているものと理解できる。

b 上記「前記樹脂部品への太陽光の照射が抑制されるように前記樹脂部品を覆った状態」をとりうる点について

引用発明の「プロテクタ」は、「光起電力アセンブリ内で、ジャンクションボックスと接続ケーブルを覆い、直接的な雨の影響および直射日光のほとんどからそれらを保護し」ているものであって、「設置時に、前記ジャンクションボックス」「の少なくとも一部分を覆うのに十分な寸法」の「カバープレート」を備えているものである。

そうすると、引用発明の「プロテクタ」は、「ジャンクションボックス」への太陽光の照射が抑制されるように、当該「ジャンクションボックス」を覆った状態をとりうるもの、ということができる。

c 上記「前記樹脂部品へアクセス可能となるように前記樹脂部品を露出させた状態と」をとりうる点について

引用発明の「プロテクタ」が備える「カバープレート」は、「設置時に、前記ジャンクションボックス及び前記光起電力モジュールの接続ケーブルの少なくとも一部分を覆うのに十分な寸法」のものであって、「コネクタ又は接続ケーブルにアクセスするために、取り外し、接続ケーブルに対して交換または修理操作を実行し、元の位置に戻すことができる」ものである。

そうすると、引用発明の「プロテクタ」は、その「カバープレート」を取り外すことにより、「ジャンクションボックス」へアクセス可能となるように、当該「ジャンクションボックス」を露出させた状態をとりうるもの、ということができる。

d 上記a~cより、引用発明の「プロテクタ」は、本件補正発明の「カバー具」に相当し、引用発明は、本件補正発明の上記特定事項と、「前記受光面において前記縁部に取り付けられ、前記部品への太陽光の照射が抑制されるように前記部品を覆った状態と、前記部品へアクセス可能となるように前記部品を露出させた状態と、をとりうるカバー具と」の点で共通するといえる。

(ウ)本件補正発明の「太陽光パネル構造体を建物の陸屋根に設置する設置構造」との特定事項について

a 引用発明は、「建物の平坦な屋根上に光起電力アセンブリを配置する構造」であり、当該「平坦な屋根」は「陸屋根」に相当する。

b また、上記(ア)及び(イ)より、引用発明の「光起電力アセンブリ」は、本件補正発明の「太陽光パネル構造体」に相当するといえる。

c よって、引用発明は、本件補正発明の上記特定事項を満たすといえる。

(エ)本件補正発明の「前記カバー具が取り付けられた全ての前記縁部と、前記陸屋根の辺との間に間隙を構成して前記太陽光パネル構造体を前記陸屋根に設置する」との特定事項について

引用発明が、本件補正発明の上記特定事項を満たしているかは、不明である。

(オ)以上より、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>

「受光面側の縁部に部品を備える複数の太陽光パネルと、
前記受光面において前記縁部に取り付けられ、前記部品への太陽光の照射が抑制されるように前記部品を覆った状態と、前記部品へアクセス可能となるように前記部品を露出させた状態と、をとりうるカバー具と、
を有する太陽光パネル構造体を建物の陸屋根に設置する、太陽光パネル構造体の陸屋根への設置構造。」

<相違点>

・相違点1

「部品」について、本件補正発明では、「樹脂部品」であるのに対し、引用発明の「ジャンクションボックス」は、その材料が特定されていない点。

・相違点2

「太陽光パネル構造体」の「設置構造」について、本件補正発明では「前記カバー具が取り付けられた全ての前記縁部と、前記陸屋根の辺との間に間隙を構成して前記太陽光パネル構造体を前記陸屋根に設置する」構造であるのに対し、引用発明では、そのような設置構造であるか不明である点。

イ 判断

(ア)相違点1について

ジャンクションボックスは、その内部で電気的接続を行うことや、そのコスト等を踏まえ、樹脂製であることが一般的といえるから、引用発明の「ジャンクションボックス」も、「樹脂部品」であると解することが自然といえる。よって、上記相違点1は、実質的な相違ではない。

仮に、そこまではいえないとしても、ジャンクションボックスを樹脂で形成することは周知技術(例えば、いずれも原査定の拒絶の理由で引用された、特開2012-33587号公報の【0024】~【0026】の「樹脂製の端子ボックス4」等の記載、特開2006-278708号公報の【0073】の「前記端子ボックス箱体11やボックスカバー12は、樹脂で作製され、特に安価なポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどによって作製される」との記載を参照。)であるから、引用発明の「ジャンクションボックス」を樹脂で形成することは、当業者が容易になし得たことといえる。

(イ)相違点2について

a 陸屋根の縁(辺)から間隙を有して太陽電池モジュール(パネル)を設置する構成は周知(例えば、原査定の拒絶の理由で引用された特開2014-55507号公報の図1、本審決で新たに引用される特開2014-227687号公報の図1、本審決で新たに引用される特開2002-115316号公報の図1、本審決で新たに引用される特開2012-124418号公報の図1及び【0037】参照。)である。

そうすると、引用発明においても、上記周知な構成に倣い、陸屋根の縁(辺)から間隙を有して「光起電力アセンブリ」を設置することは、当業者であれば、容易になし得たことといえる。

そして、このような設置構造において、当該「光起電力アセンブリ」を構成する「複数の光起電力モジュール」の全ての縁部(各辺及び角)は、必然的に、陸屋根の縁(辺)から間隙を有するものと理解できるから、引用発明の「プロテクタ」が取り付けられた(光起電力モジュールにおける)全ての縁部と、陸屋根の縁(辺)との間に間隙を構成して光起電力アセンブリを陸屋根に設置することとなる。

b また、引用発明の「光起電力アセンブリ」において、「光起電力モジュール」の個数や配置は任意であって、その個数や配置は、陸屋根における設置箇所等に応じ、当業者が適宜構成し得るものである。そうすると、引用発明の「光起電力アセンブリ」を、その「複数の光起電力モジュール」が1行の配置であるよう構成し、上記周知な構成に倣い、陸屋根の縁(辺)から間隙を有して設置することは、当業者であれば、容易になし得たことといえ、この場合、「プロテクタ」が取り付けられた、(光起電力モジュールにおける)全ての縁部と、陸屋根の縁(辺)との間に、(光起電力モジュールが存在しない)間隙を構成して光起電力アセンブリを陸屋根に設置することとなる。

c 上記a及びbのとおり、いずれにしても、上記相違点2に係る構成は、引用発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易になし得たことといえる。

(ウ)本件補正発明の効果について

上記相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

ウ 審判請求人の主張について

審判請求人は、審判請求書において、引用文献に記載された「光起電力アセンブリ」では、「プロテクタが取り付けられた縁部」と「陸屋根の辺」との間には、「光起電力モジュール」が存在するから、「プロテクタが取り付けられた縁部」と「陸屋根の辺」との間に「間隙を有する構成」は採り得ない旨を主張している。

しかしながら、本件補正発明の前記相違点2に係る発明特定事項である、「前記カバー具が取り付けられた全ての前記縁部と、前記陸屋根の辺との間に間隙を構成して前記太陽光パネル構造体を前記陸屋根に設置する」ことは、カバー具が取り付けられた全ての縁部と陸屋根の辺との間に間隙があれば足りるのであって、カバー具が取り付けられた全ての縁部と陸屋根の辺との間に他の太陽光パネルが存在しないことを特定するものではない。

そして、上記イ(イ)aに説示のとおり、「光起電力アセンブリ」と「陸屋根の辺」との間に「間隙」がある以上、「光起電力モジュール」と「陸屋根の辺」の間に他の「光起電力モジュール」が存在するか否かに関わらず、「プロテクタが取り付けられた全ての縁部」と「陸屋根の辺」とは、間に「間隙を構成し」た構成を満たしているといえる。

また、本願の発明の詳細な説明は、光起電力モジュールを2行以上で配列するときに「カバー具が取り付けられた全ての縁部と陸屋根の辺との間に他の太陽光パネルが存在しない」ことを開示するものではない。

よって、審判請求人の上記主張は、上記判断を左右するものではない。

エ 小括

以上より、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3 本件補正についてのむすび

以上より、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

令和4年8月19日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和4年3月15日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定されるべきものであるところ、その請求項1の記載は、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものであるが、当該請求項1には、「太陽パネル構造体の陸屋根への設置構造」と記載されている。

しかしながら、その前段において「太陽光パネル構造体」と記載され、発明の詳細な説明においても「太陽光パネル構造体」と記載されていることを踏まえると、当該「太陽パネル構造体」の記載は、「太陽光パネル構造体」の誤記と認められる。

よって、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次の記載により特定されるとおりのものと認める。

「受光面側の縁部に樹脂部品を備える太陽光パネルと、
前記樹脂部品への太陽光の照射が抑制されるように前記樹脂部品を覆った状態と、前記樹脂部品へアクセス可能となるように前記樹脂部品を露出させた状態と、をとりうるカバー具と、
を有する太陽光パネル構造体を建物の陸屋根に設置する設置構造であって、
前記縁部と、前記陸屋根の辺との間に間隙を構成して前記太陽光パネル構造体を前記陸屋根に設置する、太陽光パネル構造体の陸屋根への設置構造。」

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、本願発明は、以下の理由により特許を受けることができない、というものを含むものである。

本願発明は、その出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

1.欧州特許出願公開第3734835号明細書

2.特開2012-33587号公報(周知技術を示す文献)

3.特開2006-278708号公報(周知技術を示す文献)

4.特開2014-55507号公報(周知技術を示す文献)

3 判断

(1)引用文献の記載事項及び引用発明の認定

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明の認定は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。

(2)対比・判断

本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「太陽光パネル」について、「複数の」との限定事項を削除し、「カバー具」について、「前記受光面において前記縁部に取り付けられ」との限定事項を削除し、「間隙」を規定する「縁部」について、「前記カバー具が取り付けられた全ての」との限定事項を削除したものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに当該発明特定事項を限定したものに相当する本件補正発明が、上記第2の[理由]2(3)に記載したとおり、引用文献に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用文献に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-013067

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