2022-012259
ひずみゲージ、荷重センサ、及び荷重センサの製造方法
- 審判番号
- 2022-012259
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-103613外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年08月05日
- 審決日
- 2023年11月08日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ミネベアミツミ株式会社
- 【請求人代理人】川北 喜十郎
- 【請求人代理人】藤田 正広
- 【請求人代理人】河村 育郎
- 分類
- P18 .121-WZ (G01B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第44条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 19項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成28年8月31日に出願された特願2016-169658号の一部を令和元年6月3日に特許法44条1項の規定に基づいて新たな特許出願とした特許出願であって(優先権主張 平成27年9月29日)、その出願後の手続の経緯の概略は、次のとおりである。なお、以下、平成27年9月29日を「優先日」という。
同年 7月30日付け:拒絶理由通知書
(同年 5月10日 :原査定の謄本の送達)
同年 8月 5日 :審判請求書の提出
同年 8月18日 :意見書の提出
なお、令和5年6月22日付けで当審において通知した拒絶理由を、以下「当審拒絶理由」といい、これに対して、同年8月18日に請求人から提出された意見書を、以下、単に「意見書」という。
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和3年1月29日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。
「【請求項1】樹脂材料で形成された基材と、前記基材上に設けられた金属製の抵抗体であって、一対のタブ及び該一対のタブの一方からジグザグに折り返しながら延在して該一対のタブの他方に接続するゲージ受感部を有する抵抗体と、前記基材の、前記抵抗体が設けられた面とは反対側の面に設けられた融着層と、前記ゲージ受感部を覆う、ポリイミドで形成されたカバーとを有するひずみゲージであって、該ひずみゲージは、前記融着層を介して、計測対象の重量に応じて変形する金属製の起歪体に貼り付けるためのひずみゲージであり、前記基材は厚さが12μm~25μmの、可撓性を有するポリイミドの板状部材であり、前記融着層は厚さが3μm~12μmの熱可塑性ポリイミド層であるひずみゲージ。」
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由のうち、本願発明に対する理由(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
(進歩性の欠如)本願発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において発行された、下記の引用文献に記載された発明に基づいて、本願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献一覧>
2.特開平11-302809号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2010-243192号公報(主たる引用例)
7.特開2015-94607号公報(技術常識を示す文献)
8.特開平8-148779号公報(周知技術を示す文献)
9.国際公開第2004/50352号(周知技術を示す文献)
10.特開2003-338525号公報(周知技術を示す文献)
11.特開2008-309721号公報(技術常識を示す文献)
12.特開2005-140653号公報
13.特開昭59-77303号公報
14.特開平9-1723号公報(技術常識を示す文献)
15.特開2001-315256号公報(技術常識を示す文献)
第4 当審の判断
1 引用文献に記載された発明の認定等
(1) 引用文献3に記載された事項と引用発明の認定
ア 引用文献3に記載された事項
当審拒絶理由において引用された前記引用文献3(特開2010-243192号公報)には、以下の事項が記載されている。下線は、当合議体によるものであり、以下同様である。
(ア) 【0001】、【0002】
「【技術分野】【0001】本発明は、起歪体に発生する歪を測定する歪ゲージに係り、特にベースフィルム上に設けたリード線接続タブを含む金属箔パターンをカバーフィルムで被覆した歪ゲージに関する。【背景技術】【0002】歪ゲージは、起歪体に形成した薄肉部に貼付して荷重を負荷し、前記起歪体と共に変形した際に歪受感素子に発生する電気抵抗の変化から荷重を計測可能にするものである。」
(イ) 【0028】~【0033】、【図1】、【図2】
「【0028】まず、図1と2によって第1実施例の歪ゲージを説明する。図1は、実施例1の歪ゲージ20の平面図であり、カバーフィルム25が透明な状態を示している。図2は、歪ゲージ20の分解図であり、図1のI-I線に沿う断面を示している。尚、図2は、厚み方向に拡大して示している。実施例1の歪ゲージ20は、ベースフィルム21の上に、歪受感素子22と、リード線の接続タブ(23,24)を設け、その上にカバーフィルム25を設けることで構成されている。【0029】四角形のベースフィルム21は、例えばポリイミド等の樹脂で形成し、厚さを20数ミクロン程度とする。歪受感素子22とリード線接続タブ(23,24)は、金属箔パターン200として以下のような手順でベースフィルム21上に一体形成する。まず、素材となる金属箔を熱硬化型の接着剤を挟んでベースフィルム21上に載せ、圧力と熱をかけて前記金属箔をベースフィルム21に接着する。受感素子22とタブ(23,24)の金属箔パターンは、金属箔上に感光剤を塗布し、受感素子22とタブ(23,24)のパターン形状を施したマスクをしながら光を当てて感光剤を前記パターン形状に硬化させ、パターン形状以外の金属箔をエッチングで取りのぞいて形成される。続きを表示(全12行)【0030】金属箔パターン200を形成したベースフィルム21の上には、熱硬化型接着剤を挟んでカバーフィルム25を載せる。四角形でベースフィルム21と略同じ大きさであるカバーフィルム25は、例えばポリイミド等の樹脂で形成し、厚さを10数ミクロン程度とする。カバーフィルム25には、カバーフィルム25をベースフィルム21に載せると、リード線接続タブ(23,24)と重なる位置に配置されるリード線挿通用の孔(26、27)を予めレーザー加工で形成しておく。孔(26,27)は、タブ(23,24)上に配置すると、該タブの内側に入るよう、それぞれ該タブより一回り小さく形成する。このようにすると、接続タブ(23,24)の外周がカバーフィルム25によってベースフィルム21に押し付けられるため、接続タブ(23,24)は、リード線(28,29)の半田付けによって高温に加熱されても剥がれることがない。【0031】尚、孔26,27の形状は、特に限定するものではなく、円形、長円など、加工可能な様々な形状を適宜選択することが出来る。たとえば、図1に示すようにリード線接続タブ(23,24)がリード線(28,29)の接続方向に長い矩形状の場合、孔(26,27)は、前記接続方向に長い楕円形に形成することが好ましい。これにより、リード線(28,29)の半田付けを容易に行うことが出来るとともに、半田が孔(26,27)からこぼれにくくなる。【0032】歪ゲージ20は、パターン形成済みのベースフィルム21とその上に接着剤を挟んで載せたカバーフィルム25に圧力と高熱を加えて両者を接着することで形成される。出来上がった歪ゲージ20は、熱硬化型接着剤を間に挟んで、図示しないロードセル起歪体の起歪部に載せ、高熱を加えることで、起歪部の所定位置に接着される。リード線接続タブ(23,24)は、中央部(23a,24a)がリード線挿通孔(26,27)から露出する。露出したタブ(23,24)には、孔(26,27)を通して、一般的な太さ(例えば、φ0.3mm~0.6mm程度の被服電線)のリード線(28,29)を直接半田付けする。【0033】上述したように、第1実施例によれば、カバーフィルム25が接続タブ(23,24)を覆う位置まで延設されるとともに、接続タブ(23,24)の位置に接続タブ(23,24)よりも小さい孔(26,27)が形成されている。したがって、接続タブ(23,24)は、孔(26,27)の全周においてカバーフィルム25によって押さえられているので、半田等によって熱が加えられた場合であっても接続タブ(23,24)が浮き上がることが無い。これにより、リード線(28,29)の接続時に剥がれが発生することを防止することが出来る。」
「【図1】[図:0001405340000001.jpg]」
「【図2】[図:0001405340000002.jpg]」
(ウ) 【0051】、【図5】
「【0051】尚、図5に示しているのは、第1実施例の歪ゲージを貼付けたロードセル起歪体の実施例である。歪ゲージ20は、起歪体48の最薄肉部48bの上に歪受感素子22が配置されるよう、貼付面48aに熱硬化型接着剤で接着し、リード線(28,29)を孔(26,27)から露出した接続タブ(23,24)に半田付けする(符号49,50)。ロードセルの起歪体48に第1実施例の歪ゲージ20を使用した場合には、リード線(28,29)を半田付けしても、接続タブ(23,24)の浮き上がりがないので、歪ゲージ20を起歪体48に取り付けてロードセルを組み立てた際の故障が少ない。」
「【図5】[図:0001405340000003.jpg]」
イ 引用発明の認定
(ア) 引用文献3の段落【0002】には、「歪ゲージは、起歪体に形成した薄肉部に貼付して荷重を負荷し、前記起歪体と共に変形した際に歪受感素子に発生する電気抵抗の変化から荷重を計測可能にする」と記載されているところ、当該記載は「歪ゲージ」という語句の意味を単に定義するものであるから、引用文献3の【0028】~【0033】、【0051】に記載の「歪ゲージ」を定義する記載であると認められる。
(イ) 引用文献3の【図1】から、リード線の接続タブ23と接続タブ24の間に、ジグザグに折り返しながら延在して歪受感素子22が形成されていることが読み取れる。
(ウ) 引用文献3の段落【0028】~【0029】から、歪ゲージ20をなすベースフィルム21上には、歪受感素子22とリード線接続タブ(23,24)が金属箔パターン200として一体形成されており、段落【0051】及び【図5】を合わせ見ると、ベースフィルム21において、ロードセル起歪体との接着面と反対側の面に、金属箔パターン200が設けられていることが読み取れる。
(エ) 前記アの記載事項及び前記(ア)~(ウ)の認定事項を総合すると、引用文献3には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
<引用発明>
「ベースフィルム21の上に、歪受感素子22と、リード線の接続タブ(23,24)を設け、その上にカバーフィルム25を設けることで構成されている歪ゲージ20であって、(【0028】)四角形のベースフィルム21は、例えばポリイミド等の樹脂で形成し、厚さを20数ミクロン程度とし、(【0029】)歪受感素子22とリード線接続タブ(23,24)は、金属箔パターン200としてベースフィルム21上に一体形成し、(【0029】)歪ゲージは、起歪体に形成した薄肉部に貼付して荷重を負荷し、前記起歪体と共に変形した際に歪受感素子に発生する電気抵抗の変化から荷重を計測可能にするものであり、(【0002】、前記(ア)の認定事項)続きを表示(全11行)歪受感素子22は、リード線の接続タブ23と接続タブ24の間に、ジグザグに折り返しながら延在して形成され、(前記(イ)の認定事項)金属箔パターン200を形成したベースフィルム21の上には、熱硬化型接着剤を挟んでカバーフィルム25を載せ、(【0030】)ベースフィルム21と略同じ大きさであるカバーフィルム25は、例えばポリイミド等の樹脂で形成し、厚さを10数ミクロン程度とし、(【0030】)歪ゲージ20は、パターン形成済みのベースフィルム21とその上に接着剤を挟んで載せたカバーフィルム25に圧力と高熱を加えて両者を接着することで形成され、(【0032】)出来上がった歪ゲージ20は、熱硬化型接着剤を間に挟んで、ロードセル起歪体の起歪部に載せ、高熱を加えることで、起歪部の所定位置に接着され、(【0032】)ベースフィルム21において、ロードセル起歪体との接着面と反対側の面に、金属箔パターン200が設けられる、(前記(ウ)の認定事項)歪ゲージ20。」
(2) 引用文献2、8~10に記載された事項及び周知技術Aの認定
ア 引用文献2に記載された事項
当審拒絶理由において引用された前記引用文献2(特開平11-302809号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【001】【発明の属する技術分野】本発明は、微細回路(通常、導体幅50μm以下、導体間50μm以下を言う)を有するプリント配線板あるいは半導体分野で使用する電子部品のデバイス、センサー等を製造するのに用いられる銅薄膜基板に関するものである。」
「【004】【課題を解決するための手段】叙述上の本発明の目的は、耐熱性絶縁基材からなる主体層の一方の主面に、熱可塑性ポリイミド樹脂からなる溶融接着層と、もう一方の主面上に第一層としてスパッタリング法で形成した銅薄膜層と、該銅薄膜層上に第二層として電気メッキ法で形成した銅厚層とから成る銅薄膜基板によって達成される。【005】即ち、本発明は、(1)耐熱性絶縁基材からなる主体層の両面あるいは片面に形成された、熱可塑性ポリイミド樹脂からなる溶融接着層と、一方の主面上に第一層としてスパッタリング法で形成された銅薄膜層と、該銅薄膜層上に第二層として電気メッキ法で形成された銅厚層とからなることを特徴とする銅薄膜基板、(2)スパッタリング法で形成する第一層の銅薄膜層の銅厚が大きくても1μmであることを特徴とする(1)に記載の銅薄膜基板、(3)第二層の電気メッキ法で形成する銅厚層の銅厚が1μm以上、18μm以下であることを特徴とする(1)又は(2)のいずれかに記載の銅薄膜基板、(4)耐熱性絶縁基材が非熱可塑性ポリイミドフィルムであることを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の銅薄膜基板、および(5)(1)~(4)のいずれかに記載の銅薄膜基板を使用して回路を形成し製造される、微細な回路を有することを特徴とするプリント配線板である。」
「【0010】本発明の銅薄膜基板に使用する熱可塑性ポリイミドは、主鎖にイミド構造を有するポリマーであってガラス転移温度が、好ましくは150℃~350℃の範囲内にあり、このガラス転移温度以上の温度領域では、弾性率が急激に低下するものを言う。」
「【0016】【実施例】以下に本発明の実施例を具体的に説明する。実施例1市販の長尺のポリミドフィルム(鐘淵化学工業(株)製アピカルNPI、厚み25μm)に熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸溶液(三井化学(株)製、PI-A)を、塗工機によってポリイミドフィルムの片面に塗布・乾燥して溶融接着層(厚み10μm)を得た。さらにもう一方の表面に連続スパッタリングにて0.25μmの銅薄膜層を形成し、所望の銅薄膜基板を得た。この銅薄膜基板の接着強度は14.7N/cmであり、且つ、ピンホールは皆無であった。【0017】次に上記フィルムをガラスポリイミド樹脂基板からなる両面プリント配線板(松下電工(株)製R4775厚み0.5mm)の両面に加熱圧着(240℃、30分、3.9MPa)し、片面銅張積層板化した。(後略)。」
「【図面の簡単な説明】【図1】本発明の銅薄膜基板の層構成の一例である。【図2】本発明の銅薄膜基板の層構成の一例である。【符号の説明】10、20、銅薄膜基板11、21、耐熱性絶縁基材12、22、スパッタ銅薄膜層13 メッキ銅厚層14、24、溶融接着層」
「【図1】[図:0001405340000004.jpg]」
「【図2】[図:0001405340000005.jpg]」
イ 引用文献8に記載された事項
当審拒絶理由において引用された前記引用文献8(特開平8-148779号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0011】プリント配線基板10は、例えば銅箔などを導電体層13とし、それに熱可塑性ポリイミド樹脂から成る溶融接着層12及び非熱可塑性ポリイミド樹脂から成る主体層11を順次キャスト法などによりラミネートしたり、主体層11となる非熱可塑性ポリイミド樹脂フィルムに、溶融接着層12をラミネートした後、銅箔などを熱接着して導電体層13を形成するなどの方法で製造されるものである。而して、各層の厚みは、プリント配線基板の面積などにもよるが、通常、主体層11は10μm以上、1.0mm以下、溶融接着層12は1μm以上、100μm以下、導電体層13は9μm以上上、70μm以下とすることが推奨される。」
「【図1】[図:0001405340000006.jpg]」
「【0015】図5に示した第三実施例では、プリント配線基板30は、その主体層31の一方の表面には溶融接着層32及び導電体層33が積層されているが、他の一方の表面に積層されているのは、第二の溶融接着層34のみである。このプリント配線基板30は、前述のプリント配線基板10と同様にしてプリント配線板を製造するものであるが、更に第二の溶融接着層34により、このプリント配線基板30自体を、所望の場所、例えば、機器のキャビネットやシャシー、ブラケットなどに接着することができ、又、他の機器、例えば、光電池、トランス、計器類、モーター、ファン、リレー、ソレノイド、貨幣識別器、制御ボタン、感圧素子などの機器、若しくはそれらを支持するためのブラケットやフレームなどを接着することができる。」
「【図5】[図:0001405340000007.jpg]」
ウ 引用文献9に記載された事項
当審拒絶理由において引用された前記引用文献9(国際公開第2004/50352号)には、以下の事項が記載されている。
(明細書40頁6~16行)
「また、本発明の積層体は、図4に示すように、非熱可塑性ポリイミドフィルム4表面に接着層6を有していてもよい。前記接着層は、通常の接着性樹脂により形成されており、適当な樹脂流れ性を有し、強固な接着性を実現できる樹脂であれば公知の技術を適用することができる。この接着層に用いられる樹脂としては、大別して、熱可塑性樹脂を用いた熱融着性の接着剤、および熱硬化樹脂の硬化反応を利用した硬化型接着剤の二種類に分けることができる。このように、非熱可塑性ポリイミドフィルム4の一方の面に熱可塑性ポリイミド層3を形成し、もう一方の面に前記熱可塑性ポリイミド樹脂と同じまたは異なる種類の接着性を有する樹脂層を形成することにより、内層基板との積層に好適な接着剤層を有する構成となるため、ビルドアップ多層プリント配線板の製造に好適に用いられる。」
「[図:0001405340000008.jpg]」
エ 引用文献10に記載された事項
当審拒絶理由において引用された前記引用文献10(特開2003-338525号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0008】【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来の半導体装置の実装方法では、封止治具により、半導体素子を配線基板に加圧した状態で封止樹脂に熱を加えて硬化させており、熱硬化性の封止樹脂の硬化が終了するまで封止治具の加圧を解除できない。高い接続信頼性を得るためにはガラス転移温度が高い封止樹脂を使用することが好ましいが、一般的に高いガラス転移温度有する熱硬化性封止樹脂の硬化には10sec間以上を要する。したがって、償却費の高価な搭載機の占拠時間が長く、コストを抑えることができなかった。【0009】本発明の目的は、搭載機への搭載時間を短時間化して低コスト化を図ることのできる半導体装置およびその製造方法を提供することにある。【0010】【課題を解決するための手段】本発明の半導体装置は、第一の構成部材の電極形成面と第二の構成部材の電極形成面とが対向し、前記第一の構成部材の電極形成面と第二の構成部材の電極形成面との間に熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とのブレンド材が介在することにより前記第一の構成部材の電極と第二の構成部材の電極との接触が保持されていることを特徴とする。また、半導体素子の電極形成面と配線基板の配線パターン形成面とが対向し、前記半導体素子の電極形成面と配線基板の配線パターン形成面との間に熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とのブレンド材が介在することにより前記半導体素子の電極と配線基板の配線パターンとの接触が保持されていることを特徴とする。ブレンド材を構成する前記熱可塑性樹脂の溶融温度は、前記熱硬化性樹脂のガラス転移温度よりも大きく、熱可塑性樹脂の弾性率は、熱硬化性樹脂の弾性率よりも小さいことを特徴とする。また、前記熱可塑性樹脂の弾性率をE1、前記熱可塑性樹脂の熱膨張係数をα1、前記熱硬化性樹脂の弾性率をE2、前記熱硬化性樹脂の熱膨張係数をα2とし、前記ブレンド材中の前記熱可塑性樹脂含有率をX(ここで、0<X<1)とするとき、X・E1・α1<(1-X)・E2・α2を満足することを特徴とする。熱可塑性樹脂の弾性率E1は、熱硬化性樹脂の弾性率E2よりも小さいことが好ましい。また、Xは0.4~0.6の範囲であり、熱可塑性樹脂は熱可塑性ポリイミド樹脂であり、前記熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂であることが好ましい。」
「【0014】本実施形態の半導体装置および実装方法は、まず、図1(a)に示すように、配線基板7と半導体素子1を搭載機に供給する(ステップ201)。ここで、配線基板7は、セラミック,ガラス,ガラスエポキシ等よりなり、配線パターン6は、Cr-Au,Al,Cu,ITO等であり、スパッタリング法、蒸着法により配線パターン用金属を配線基板7上に形成した後、フォトレジスト法により、配線パターン6を形成する部分にレジストを残し、配線パターン用金属をエッチングするか、または印刷法を用いて形成する。【0015】半導体素子1のアルミ電極上には、Au,AgまたはCuよりなる尖った形状をした突起電極2が電気メッキ法やボールボンディング法により形成されている。また、半導体素子1は、突起電極2が形成された面と反対側の面で封止治具8により吸着保持されている。【0016】そして、配線基板7の半導体素子搭載エリアに、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂をブレンドしたものを封止樹脂3として供給する(ステップ202)。封止樹脂は、加熱時の流動性、硬化物としての機械的特性、熱的特性等を考慮して適宜選択する。ブレンド封止樹脂の調製は特に限定はなく、例えば熱可塑性樹脂成分を溶剤に溶解した後液状の熱硬化性樹脂成分を均一に分散後過剰な溶剤を除去することで調製できる。ここでは、好ましい一例として封止樹脂3の熱可塑性樹脂成分を、耐熱性の高い熱可塑性ポリイミドの一種であるシリコン変性ポリイミド(ガラス転移温度=約230℃、溶融温度=280~300℃)とし、熱硬化性樹脂成分を、エポキシ樹脂の一種である酸無水物系エポキシ(ガラス転移温度=約150℃)とする。封止樹脂3は圧接温度で溶融し圧接後の冷却で固化するものであれば、液状でもシート状態でも良い。また、半導体素子1側に予め供給しておいてもよい。【0017】次に、封止治具8により、半導体素子1の加熱を開始する(ステップ203)。【0018】さらに、封止治具8により、半導体素子1の突起電極2の位置を配線基板7の配線パターン6の位置に一致させ(ステップ204)、半導体素子1を矢印方向に加圧し、配線基板7に押し当てる(ステップ205)。このとき封止樹脂3の熱可塑性樹脂成分が半導体素子1により押し広げられると同時に溶融し、半導体素子1のアルミ電極上に形成された尖った形状をした突起電極2は、配線基板7の配線パターン6に良好に接触し、封止治具8を半導体素子1から離すことによって前記溶融した熱可塑性樹脂成分が速やかに冷却され固化し、電気的な接続を得る(ステップ206)。なお、加圧期間の後半に封止治具8の加熱を停止する期間を設けることができる。この場合熱可塑性樹脂成分が冷却された状態で封止治具8を半導体素子1から離すことができるため、より高い接続信頼性が期待できる。【0019】封止治具8の加熱は、熱可塑性樹脂成分がシリコン変性ポリイミドであれば280~300℃(溶融温度)以上、半導体素子1と配線基板7にダメージを与えない温度以下の温度で2~10sec間、好ましくは2~5sec間、更に好ましくは2~3sec間行い、その後、封止治具8を半導体素子1より離せば自然冷却で封止樹脂3は溶融した温度以下になり、熱可塑性成分が固着する。このとき、ブレンドされている熱硬化性樹脂は加熱が短時間であること、熱可塑性樹脂が混在することにより硬化阻害を起すことから、この時点では硬化しない。」
「【図1】[図:0001405340000009.jpg]」
オ 周知技術Aの認定
引用文献2、8~10の前記摘記箇所の記載に例示されるように、次の事項は周知技術であると認める(以下「周知技術A」という。)。
<周知技術A>
「配線又は半導体素子などの電子部品を備えた非熱可塑性ポリイミドフィルムなどの絶縁性基板をほかの部材に貼り付ける場合に、熱可塑性ポリイミドなどの熱可塑性樹脂を用いた接着剤を用いること。」
(3) 引用文献7、11、16に記載された事項及び技術知見A~Cの認定
ア 引用文献7に記載された事項
当審拒絶理由において引用された前記引用文献7(特開2015-94607号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0030】〔第3の実施形態〕本発明の第3の実施の形態に係るひずみゲージは、等価回路ブリッジ回路のうちの対向する二辺のそれぞれに接続された第1および第2の主軸ひずみゲージと、前記二辺に隣接する他の二辺のそれぞれに接続された第1および第2の横軸ひずみゲージとを被測定対象物に添着される同一の基板に一体に形成したひずみゲージである。本発明の第1の実施の形態に係るひずみゲージと比べると、本発明の第3の実施の形態に係るひずみゲージは、本発明の第1の実施の形態に係るひずみゲージとは各ひずみゲージのグリッドパターンが異なっており、二等辺三角形の領域の底辺に対し、第1の実施の形態では、グリッド部が垂直であるのに対し、第3の実施の形態では、グリッド部が平行である点が異なっている。図3は、本発明の第3の実施の形態に係るひずみゲージのパターン形状を示す平面図である。ひずみの測定時には、使用者が、このひずみゲージを被測定対象物あるいは変換器の起歪部(図示は省略)に接着、蒸着、融着等の手段により直接または間接に添着する。図3に示すひずみゲージは、その主要部として、基板20上に形成され、等価ブリッジ回路のうちの対向する二辺のそれぞれに接続された第1および第2の主軸ひずみゲージ21および22と、前記二辺に隣接する他の二辺のそれぞれに接続された第1および第2の横軸ひずみゲージG23およびG24と、の計4つのひずみゲージを備える。」
「【図3】[図:0001405340000010.jpg]」
イ 技術知見Aの認定
前記アに示したとおり、引用文献7には、以下の技術知見が記載されているものと認められる(以下「技術知見A」という。)。
<技術知見A>
「ひずみゲージを被測定対象物や起歪部に直接又は間接に添着し得る手段として、接着、蒸着、融着等の手段があること(【0030】)。」
ウ 引用文献11に記載された事項
当審拒絶理由において引用された前記引用文献11(特開2008-309721号公報)には、以下の事項が記載されている。
(ア) 【0044】、【0045】、【図12】~【図15】
「【0044】ここで、加圧部7によって被測定部材5が加圧されると、被測定部材5の支持部6で支えられていない部分を中心に変形し、それと共に被測定部材5に貼り付けられたひずみ発生箇所検出部品1も同じ変形が生じる(図12、図13参照。)。このとき、ひずみ発生箇所検出部品1の線状部材4にはひずみの大きな箇所で亀裂9(線状部材の断面積に対して一部)を生じる。亀裂9はひずみの大きさによっては完全な断線に至ることもある。なお、一般的には亀裂と断線は厳密には区別して用いられるが、本発明ではひずみの発生箇所を検出する部品であるという性質上、断線も亀裂の一種であると見なす。【0045】また、図14に示すようにひずみ発生箇所検出部品1の線状部材4は底面付近だけが接着層3に固定されており、隣接する線状部材4同士は直接接着されていない。このため、加圧部7によって加圧されても線状部材4はそれぞれ独立して被測定部材5に追従してひずみを生じ、それぞれの線状部材4に干渉されることなく亀裂9を生じる。一度発生した亀裂9は加圧部7による荷重が開放されても修復されることがない(図15参照。)。」
「【図12】[図:0001405340000011.jpg]」
「【図13】[図:0001405340000012.jpg]」
「【図14】[図:0001405340000013.jpg]」
「【図15】[図:0001405340000014.jpg]」
(イ) 【0066】~【0069】、【図21】、【図22】
「【0066】図21は図1に示したひずみ発生箇所検出部品を貼り付け、両端を支持部で支持した被測定部材に加圧部で加圧した後の状態を示す概念図である。本実施例3のひずみ発生箇所検出部品1は、フィルム2の他方の主面(裏面)すなわち線状部材4と逆側の面に接着剤層13が形成されているので、ひずみ発生箇所検出部品1を被測定部材5にむら無く接着することができる(図22参照。)。図22は本発明に係るひずみ発生箇所検出部品の他の実施例を示す断面図である。続きを表示(全12行)接着剤層13はひずみ発生箇所検出部品1の全面が被測定部材5に接着できるように均一に形成されているのが望ましい。【0067】しかし、被測定部材5のひずみに対して線状部材4のひずみ発生箇所検出に使用する部分が追従しさえすれば、フィルム2全面でなくてもよく、接着剤層13が密集した点状や線状などでもよい。なお、接着剤層13は接着することが出来るものであれば、光硬化型、熱硬化型、熱可塑型などの接着剤でもよいし、粘着剤や水分や薬品を塗布したときだけ粘着性がでるものなどでもよい。【0068】接着剤層13の接着力もしくは粘着力は、ひずみ発生箇所検出部品1を被測定部材5に貼り付けた際に、被測定部材5の変形に追従してひずみ発生箇所検出部品1が変形し、ひずみを生じるだけの強度が必要である。接着剤層13を有することにより、ひずみ発生箇所検出部品1を被測定部材5にむらなく接着できるので、被測定部材5に生じたひずみをひずみ発生箇所検出部品1に伝えることができ、ひずみ発生箇所の検出漏れを防止できる。【0069】接着剤層13に粘着性があったり、取れやすい場合は、被測定部材5に貼り付けるまでの間に接着剤層13が汚れたり、削り取られたりしないようにフィルムや剥離紙などの剥離層14を接着剤層13の外層に貼り付けて保護しておくとよい。剥離層14の接着剤層13側の面は接着剤層13から容易に剥がせる素材がよい。これにより、剥離層14を剥がしてひずみ発生箇所検出部品1を被測定部材5へ貼り付けることができるので、貼り付け作業が簡便に行える利点もある。」
「【図21】[図:0001405340000015.jpg]」
「【図22】[図:0001405340000016.jpg]」
エ 技術知見Bの認定
前記ウ(イ)に示したとおり、引用文献11には、以下の技術知見が記載されているものと認められる(以下「技術知見B」という。)。
<技術知見B>
「被測定部材5に接着することができる、接着剤層13が形成されているひずみ発生箇所検出部品1において、(【0066】)接着剤層13は接着することが出来るものであれば、光硬化型、熱硬化型、熱可塑型などの接着剤でもよく、(【0067】)接着剤層13の接着力もしくは粘着力は、ひずみ発生箇所検出部品1を被測定部材5に貼り付けた際に、被測定部材5の変形に追従してひずみ発生箇所検出部品1が変形し、ひずみを生じるだけの強度が必要であること(【0068】)。」
オ 引用文献16に記載された事項
当審決において新たに引用する特開2007-271280号公報(以下「引用文献16」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【0005】近年、圧力センサを従来よりも高温領域、例えば150℃以上とか180℃以上の温度領域で使用したいというニーズがある。しかしながら、従来のように半導体チップにP型の歪ゲージを形成した検出部では、PN接合の温度特性により、PN接合部分において電流リークが発生し、安定した圧力検出動作が行えなくなるという問題がある。【0006】本発明は上記点に鑑みて、高温領域で使用しても安定した圧力検出動作を行うことができる圧力センサを提供することを目的とする。続きを表示(全13行)【課題を解決するための手段】【0007】上記目的を達成するため、本発明では、金属製のダイアフラム(22)と、第1導伝型不純物をドーピングしたシート状の半導体層をパターニングすることで構成された第1導電型半導体のみによって構成され、金属ダイアフラム(22)に接合される歪ゲージ(24)と、歪ゲージ(24)に対して電圧を印加したときに、歪ゲージ(24)の電気信号を受け取り、この電気信号に応じた出力信号を発生させる信号処理回路が備えられた基板(30)と、を備えていることを特徴としている。【0008】このように、シート状の半導体層に対して第1導電型不純物(例えばP型不純物)をドーピングしたのち、エッチングなどによってパターニングして歪ゲージ(24)となる領域のみを残すことで歪ゲージ(24)を形成している。つまり、第1導電型不純物という単一の導電型の不純物のみによって歪ゲージ(24)を構成しており、歪ゲージ(24)がPN接合が無い構造となっている。【0009】このため、圧力センサを例えば150℃以上もしくは180℃以上といった高温領域において使用したとしても、歪ゲージ(24)で電流リークが発生しないようにすることができる。したがって、高温領域においても安定した圧力検出動作を行うことが可能な圧力センサとすることが可能となる。【0010】例えば、熱可塑性樹脂(25)を介して、金属ダイアフラム(22)に歪ゲージ(24)を接合することができる。」
「【0021】このステム20は、その軸一端側にハウジング10に導入された圧力によって変形可能な薄肉状のダイアフラム22を有し、軸他端側にダイアフラム22に通じる開口部23を有する。【0022】そして、ステム20の開口部23とハウジング10の圧力導入孔13とが連通された状態にされ、それによって、被測定体の圧力が圧力導入孔13からステム20のダイアフラム22に伝えられるようになっている。【0023】また、このステム20のダイアフラム22上には、図2に示すように、ダイアフラム22の変形に応じた電気信号を出力する検出部としての歪ゲージ24が固定されている。本実施形態では、熱可塑性樹脂25を介して歪ゲージ24がダイアフラム22の上に熱圧着されることで固定されている。 ここでいう熱可塑性樹脂25としては、例えば、PEEK(ポリエーテル・エーテル・ケトン)系熱可塑樹性脂などを用いることができる。」
「【図2】[図:0001405340000017.jpg]」
カ 技術知見Cの認定
前記オに示したとおり、引用文献16には、以下の技術知見が記載されているものと認められる(以下「技術知見C」という。)。
<技術知見C>
「150℃以上もしくは180℃以上といった高温領域においても安定した圧力検出動作を行うことが可能な圧力センサにおいて、(【0009】)被測定体の圧力が圧力導入孔13からステム20のダイアフラム22に伝えられるようになっており、(【0022】)このステム20のダイアフラム22上には、ダイアフラム22の変形に応じた電気信号を出力する検出部としての歪ゲージ24が、熱可塑性樹脂25を介してダイアフラム22の上に熱圧着されることで固定されていること(【0023】)。」
(4) 引用文献12に記載された事項及び技術事項Cの認定
ア 引用文献12に記載された事項
当審拒絶理由において引用された前記引用文献12(特開2005-140653号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【背景技術】【0002】従来、被測定物の外表面にひずみゲージを貼着して、被測定物に生じる軸ひずみを測定する方法が知られている。尚、ひずみゲージは、略矩形の薄板状のベースと、ベースの表面に設けられた抵抗体から成る受感部とを備えており、ベースの裏面に塗布された接着剤を介して被測定物に貼着される。【0003】続きを表示(全14行)しかしながら、被測定物が、被締結物にねじ込まれるボルトである場合は、被測定物の外表面にひずみゲージを貼着できない。そこで、被測定物の軸方向に小径の穴(例えば直径2mm、深さ15mm)を穿設し、この穴の中にひずみゲージを配設して軸ひずみを測定することがある。この場合、ひずみゲージ及び穴が微小であるため、針のように細い道具を使用したとしても、ひずみゲージを穴の周壁面に押しつけて貼着することは難しく、また、このような道具により受感部が損傷することもある。【0004】そのため、ひずみゲージを被測定物に穿設した穴に配設する場合は、穴の中に予め接着剤を充填した後、ひずみゲージを穴に挿入して接着剤を硬化させ、ひずみゲージを穴の内部で固定するようにしている(例えば特許文献1参照)。測定に際しては、固定されたひずみゲージが、ホイートストンブリッジの一辺を形成するように、例えば抵抗体を内蔵するスイッチボックスに接続し、さらに該スイッチボックスをひずみ測定器に接続した状態で被測定物のひずみを測定する。そして、ひずみゲージの受感部における抵抗値の変化を該ひずみ測定器が検出し、それに基づいてひずみ値が求められる。【0005】上記のように穴の中にひずみゲージを配設したとき、ひずみゲージのベース裏面と穴の周壁面との間に介在する接着剤の厚みは、ひずみゲージを被測定物の外表面に貼着する場合の接着剤の厚みに比して大きい。そして、ひずみゲージは、接着剤の厚みが大きくなるほど、接着剤の層が時間の経過に伴って変形する現象(クリープ)の影響を受け易くなってしまう。その結果、ひずみゲージに伝達されるひずみが減少し、計測誤差が大きくなるという問題が生じる。特に高温になるほどクリープが大きくなるため、80℃以上の高温域では、計測精度を維持することが難しく、信頼性が著しく低下するという不具合があった。【特許文献1】特開平6-347349号公報【発明の開示】【発明が解決しようとする課題】【0006】本発明は上記不具合を解消するために成されたものであり、被測定物に穿設された穴に挿入され、被測定物に生じる軸ひずみを測定するためのひずみゲージに関し、被測定物との間に介在する接着剤の厚さを極力薄くできるひずみゲージを提供し、更には、ひずみゲージを、被測定物に穿設された穴の内部に配設する簡便な方法を提供することを課題としている。」
イ 技術事項Cの認定
前記(1)の記載事項を総合すると、引用文献12には、以下の技術事項が記載されているものと認められる(以下「技術事項C」という。)。
<技術事項C>
「略矩形の薄板状のベースと、ベースの表面に設けられた抵抗体から成る受感部とを備えており、ベースの裏面に塗布された接着剤を介して被測定物に貼着されるひずみゲージにおいて、接着剤の厚みが大きくなるほど、接着剤の層が時間の経過に伴って変形する現象(クリープ)の影響を受け易くなるため、被測定物との間に介在する接着剤の厚さを極力薄くすることが好ましいこと。」
(5) 引用文献13に記載された事項並びに技術事項A及び技術事項Bの認定
ア 引用文献13に記載された事項
当審拒絶理由において引用された前記引用文献13(特開昭59-77303号公報)には、以下の事項が記載されている。
(1頁左欄3行~右欄11行)
「2.特許請求の範囲1.ビーム体のパターン形成面に絶縁膜を形成し、この絶縁膜上に順次積層された抵抗体層と導体層とを選択エッチングしてストレンゲージ抵抗体、リードパターン、端子部を含む所定の薄膜抵抗回路パターンを形成し、端子部を除くこの薄膜抵抗回路パターン周り全周にディップ引上法により絶縁樹脂膜をコーティングして加熱硬化させた保護層を形成したことを特徴とする歪センサ。2.保護層をポリイミド樹脂に形成したことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の歪センサ。3.ビーム体全周にディップ引上法により絶縁樹脂膜をコーティングして加熱硬化させた防蝕層を形成し、このビーム体のパターン形成面に絶縁膜を形成し、この絶縁膜上に順次積層された抵抗体層と導体層とを選択エッチングしてストレンゲージ抵抗体、リードパターン、端子部を含む所定の薄膜抵抗回路パターンを形成し、端子部を除くこの薄膜抵抗回路パターン周り全周にディップ引上法により絶縁樹脂膜をコーティングして加熱硬化させた保護層を形成したことを特徴とする歪センサ。4.保護層をポリイミド樹脂により形成したことを特徴とする特許請求の範囲第3項記載の歪センサ。5.防蝕層、絶縁膜および保護層をポリイミド樹脂により形成したことを特徴とする特許請求の範囲第3項記載の歪センサ。」
(3頁右上欄2~10行)
「さらに、エポキシ樹脂によれば歪センサのクリープ特性が非常に悪かったものであるが、本実施例によればこの保護層(15)が硬化後も柔軟な性質を示すポリイミド樹脂により形成されているので、良好なクリープ特性が得られたものである。そして、防蝕層(9)、絶縁膜(11)および保護膜(15)がすべて同一のポリイミド樹脂により形成されているので、相互の悪影響などなく、相互間の密着性が良好で信頼性の高いものとなったものである。」
イ 技術事項A及び技術事項Bの認定
前記(1)の記載事項を総合すると、引用文献13には、以下の二つの技術事項が記載されているものと認められる(以下「技術事項A」及び「技術事項B」という。)。
<技術事項A>
「ポリイミド樹脂によりエポキシ樹脂に対して良好なクリープ特性が得られること。」
<技術事項B>
「密着する複数の樹脂を同一のポリイミド樹脂により形成することで、相互間の密着性が良好で信頼性の高いものとなること。」
(6) 引用文献14、15に記載された事項及び技術常識Aの認定
ア 引用文献14に記載された事項
当審拒絶理由において引用された前記引用文献14(特開平9-1723号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0002】【従来の技術】近年、電子機器の高機能化、高性能化、小型化が進んでおり、それらに伴って用いられる電子部品に対する小型化、軽量化が求められてきている。そのため、半導体素子パッケージ方法やそれらを実装する配線材料又は配線部品も、より高密度、高機能、かつ高性能なものが求められるようになってきた。特に、半導体パッケージ、COL及びLOCパッケージ、MCM(Multi Chip Module)等の高密度実装材料や多層FPC等のプリント配線板材料、さらには航空宇宙材料として好適に用いることのできる、良好な接着特性を示す絶縁接着材料が求められている。【0003】ところで、一般に、電子部品や電子材料に用いられる絶縁接着材料としては、低温(200℃以下)で加工でき、取扱が容易であることから、エポキシ系樹脂やアクリル系樹脂等が用いられることが多く、これらの接着材料は半導体素子を製造するときにリードフレームと素子とを接着する用途にも用いられている。【0004】しかし、これらの接着材料は、低温での取扱いは容易であるが、高温での耐熱性に劣るという問題を有している。また、その使用形態が溶液状で用いられるため、製造工程が複雑になるという問題もある。更に、接着には長時間のキュアを必要とし、キュア時にはガスが発生するため、例えば、リードフレームと半導体素子を接着する用途に用いた場合、そのガスにより素子表面が汚れ、リードフレームと素子の密着性が悪くなり、製品の歩留まりが悪くなるという問題も有している。そのため、特に半導体素子を製造するときのような高密度実装材料用途には、更なる高性能な接着材料が強く要望されている。【0005】かかる要望に応える接着剤として、高い耐熱性、機械的強度を有しており、しかも電気特性に優れるポリイミドは、その優れた特性により有望である。しかし、一般にポリイミドは閉環状態でほとんど不溶、不融であり、有機絶縁材料として、FPCやTAB用ベースフィルム等には利用されているが、接着剤としての適用例はほとんどなかった。【0006】そのため、最近、ポリイミドでありながら接着剤として使用できる例が提案されてきており、例えば、特開平2-138789号では、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンから得られる芳香族ポリイミドとポリマレイミドとを混合した樹脂組成物から得られる接着フィルムを用い、ポリイミドフィルム等の基材と銅箔とを接着させるFPCの製造方法が提案されている。また、特開平5-179224号や特開平5-112768号では、種々の加熱加圧圧着できる熱可塑性ポリイミド接着材料について種々提案されている。」
イ 引用文献15に記載された事項
当審拒絶理由において引用された前記引用文献15(特開2001-315256号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0002】【従来の技術】電子機器の高性能化、高機能化、小型化が急速に進む中、フレキシブル配線板(以下、FPC)の材料であるフレキシブル金属箔張積層板の需要は益々拡大してきており、耐熱性、機械的強度、電気特性等の諸物性に関わる市場要求はさらに高度化している。【0003】耐熱性が良好なフレキシブル金属箔張積層板として、ベースフィルムにポリイミドが用いられた積層板が従来より使用されているが、金属箔とポリイミドフィルムとの接着にエポキシ樹脂系やアクリル樹脂系といったポリイミドと比較すると耐熱性の劣る接着剤が用いられているため、ポリイミドフィルムの耐熱性が十分に活かされているとは言えなかった。この問題解決のために、ベースフィルム及び接着剤もポリイミドである、いわゆるオールポリイミドの金属箔張積層板の開発が行われている。【0004】また、最近注目されているオールポリイミドの金属箔張積層板の一つに、接着剤層を有しない2層タイプの積層板があり、その作製方法としてポリイミドフィルム上に直接金属導体層を形成する方法及び金属箔上に直接ポリイミド層を形成する方法が知られている。【0005】ところが、ポリイミドフィルム上に直接導体層を形成する方法では、蒸着法やスパッタリング法で金属導体の薄層を先ず形成し、その後メッキ法で金属導体の厚層を形成するが、薄層形成時にピンホールが発生しやすかったり、絶縁層と金属導体層の充分な接着力を得られないという問題があった。【0006】一方、金属箔上に直接ポリイミド層を形成する方法では、ポリイミドの溶液もしくはポリアミド酸の溶液を金属箔上に流延塗布・乾燥しポリイミド層を形成する方法を採用する。しかし、流延に用いる溶剤によっては導体層の腐食が起こりやすく、また両面板を作製する際には、2枚の片面板を作製した後にこれら片面板を張りあわすことが必要であり、煩雑な工程が必要となる問題があった。【0007】上記のような問題を解決するオールポリイミドの金属箔張積層板として、熱融着性を有する熱可塑性ポリイミドを介してベースポリイミドフィルムと金属箔とを張り合わせる積層板が、特開平2-138789号、特開平5-279224号、特開平5-223768号で提案されている。」
ウ 技術常識Aの認定
引用文献14、15の前記摘記箇所の記載に例示されるように、次の事項は技術常識であると認める(以下「技術常識A」という。)。
<技術常識A>
「接着剤として、ポリイミド樹脂が、耐熱性、機械的強度、電気特性等において、エポキシ樹脂系やアクリル樹脂系と比較して良好な特性を有していること。」
2 対比
(1) 対比分析
本願発明と引用発明を対比する。
ア 「ひずみゲージ」の発明である本願発明と「歪ゲージ20」の発明である引用発明は、「ひずみゲージ」の発明である点で一致する。
イ 引用発明の「ポリイミド等の樹脂で形成」された「ベースフィルム21」は、本願発明の「樹脂材料で形成された基材」に相当する。
よって、本願発明と引用発明は、「樹脂材料で形成された基材」を備える点で一致する。
ウ(ア) 引用発明の「リード線接続タブ(23,24)」、「歪受感素子22」は、それぞれ本願発明の「一対のタブ」、「ゲージ受感部」に相当する。
(イ) 引用発明の「歪受感素子22」は、リード線の接続タブ23と接続タブ24の間に、ジグザグに折り返しながら延在して形成されているから、本願発明の「一対のタブの一方からジグザグに折り返しながら延在して該一対のタブの他方に接続するゲージ受感部」に相当する。
(ウ) 引用発明の「金属箔パターン200」は、ベースフィルム21上に、歪受感素子22とリード線接続タブ(23,24)が一体形成されたものであるところ、歪ゲージは起歪体と共に変形した際に歪受感素子に発生する電気抵抗の変化から荷重を計測可能にするものであるから、前記歪受感素子22は、変形に伴い電気抵抗が変化する抵抗体であるといえる。したがって、引用発明の「歪受感素子22」は、本願発明の「一対のタブ」及び「ゲージ受感部」を有する「基材上に設けられた金属製の抵抗体」に相当する。
(エ) よって、前記(ア)~(ウ)を踏まえれば、本願発明と引用発明は、「前記基材上に設けられた金属製の抵抗体であって、一対のタブ及び該一対のタブの一方からジグザグに折り返しながら延在して該一対のタブの他方に接続するゲージ受感部を有する抵抗体」を備える点で一致する。
エ(ア) 引用発明においては、歪ゲージ20とロードセル起歪体の間に熱硬化型接着剤を挟んでおり、歪ゲージ20のベースフィルム21において、ロードセル起歪体との接着面と反対側の面に、金属箔パターン200が設けられている。
(イ) 引用発明の「熱硬化型接着剤」と本願発明の「熱可塑性ポリイミド層である」「融着層」は、いずれもひずみゲージを起歪体に貼り付け又は接着するための部材であるから、「接着部材」である点で共通する。
(ウ) 前記イ、ウ(ウ)で検討したとおり、引用発明の「ベースフィルム21」、「金属箔パターン200」は、それぞれ本願発明の「基材」、「抵抗体」に相当する。
(エ) よって、前記(ア)~(ウ)を踏まえれば、本願発明と引用発明は、「前記基材の、前記抵抗体が設けられた面とは反対側の面に設けられた接着部材」を備える点で共通する。
オ(ア) 引用発明の「ポリイミド等の樹脂で形成」された「カバーフィルム25」は、本願発明の「ポリイミドで形成されたカバー」に相当する。
(イ) 引用発明においては、ベースフィルム21の上に、歪受感素子22を設け、その上にカバーフィルム25を設けられているところ、前記カバーフィルム25は、ベースフィルム21と略同じ大きさであるから、カバーフィルム25が歪受感素子22を覆っていることは明らかである。
そして、前記ウ(ア)で検討したとおり、引用発明の「歪受感素子22」は、本願発明の「ゲージ受感部」に相当する。
(ウ) よって、本願発明と引用発明は、「前記ゲージ受感部を覆う、ポリイミドで形成されたカバー」を備える点で一致する。
カ(ア) 引用発明の「歪ゲージ20」は、熱硬化型接着剤を間に挟んで、ロードセル起歪体の起歪部の所定位置に接着されているところ、前記エ(イ)で検討したとおり、引用発明の「熱硬化型接着剤」と本願発明の「熱可塑性ポリイミド層である」「融着層」は、「接着部材」である点で共通する。
(イ) 引用発明の「ロードセル」は、荷重を電気信号に変換する装置を意味するから、引用発明の「ロードセル起歪体」と本願発明の「計測対象の重量に応じて変形する金属製の起歪体」は、「計測対象の重量に応じて変形する」「起歪体」である点で共通する。
(ウ) よって、本願発明と引用発明は、「該ひずみゲージは、前記接着部材を介して、計測対象の重量に応じて変形する起歪体に貼り付けるためのひずみゲージ」である点で共通する。
キ(ア) 引用発明の「ベースフィルム21」は、ポリイミド等の樹脂で形成されている四角形のフィルムであるところ、ベースフィルム24上の歪受感素子22に変形を生じさせるものであるから、本願発明の「可撓性を有するポリイミドの板状部材であ[る]」「基材」に相当する。
(イ) よって、本願発明と引用発明は、「前記基材は、可撓性を有するポリイミドの板状部材であ[る]」点で共通する。
(2) 一致点及び相違点
前記(1)の対比分析の検討結果を総合すると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次に示すとおりである。
ア 一致点
樹脂材料で形成された基材と、
前記基材上に設けられた金属製の抵抗体であって、一対のタブ及び該一対のタブの一方からジグザグに折り返しながら延在して該一対のタブの他方に接続するゲージ受感部を有する抵抗体と、
前記基材の、前記抵抗体が設けられた面とは反対側の面に設けられた接着部材と、
前記ゲージ受感部を覆う、ポリイミドで形成されたカバーとを有するひずみゲージであって、
該ひずみゲージは、前記接着部材を介して、計測対象の重量に応じて変形する起歪体に貼り付けるためのひずみゲージであり、
前記基材は、可撓性を有するポリイミドの板状部材である、
ひずみゲージ、である点。
イ 相違点
(ア) 相違点1
ひずみゲージが有する、可撓性を有するポリイミドの板状部材である基材の厚さが、本願発明においては、12μm~25μmであるのに対して、引用発明においては、20数ミクロン程度であり、
前記基材の、抵抗体が設けられた面とは反対側の面に設けられ、前記ひずみゲージを起歪体に貼り付けるための接着部材が、本願発明においては、厚さが3μm~12μmの熱可塑性ポリイミド層である融着層であるのに対して、引用発明においては、熱硬化型接着剤である点。
(イ) 相違点2
ひずみゲージが貼り付けられる起歪体が、本願発明においては、金属製であるのに対して、引用発明においては、金属製であるのか不明な点。
3 判断
(1) 相違点1について
前記相違点1について検討する。
ア ひずみゲージの基材の厚さについて
引用発明のベースフィルム21の厚さは、20数ミクロン程度である、すなわち、広義には21~29ミクロンの範囲内、狭義には23~26ミクロン程度であると理解されるから、基材の厚さが12~25ミクロンの範囲を満たす点は、実質的な相違点とはいえない。
イ ひずみゲージを起歪体に貼り付ける接着部材について
(ア)a 前記1(2)オにおいて周知技術Aとして示したとおり、配線又は半導体素子などの電子部品を備えた非熱可塑性ポリイミドフィルムなどの絶縁性基板をほかの部材に貼り付ける場合に、熱可塑性ポリイミドなどの熱可塑性樹脂を用いた熱融着性の接着剤を用いることは、本願の優先日前に周知である。
b(a) また、前記1(3)イ、エ及びカにおいて、技術知見A~Cとして示したとおり、以下の事項はいずれも本願の優先日前に知られていたことである。
(技術知見A)
「ひずみゲージを被測定対象物や起歪部に直接又は間接に添着し得る手段として、接着、蒸着、融着等の手段があること。」
(技術知見B)
「被測定部材5に接着することができる、接着剤層13が形成されているひずみ発生箇所検出部品1において、接着剤層13は接着することが出来るものであれば、光硬化型、熱硬化型、熱可塑型などの接着剤でもよく、接着剤層13の接着力もしくは粘着力は、ひずみ発生箇所検出部品1を被測定部材5に貼り付けた際に、被測定部材5の変形に追従してひずみ発生箇所検出部品1が変形し、ひずみを生じるだけの強度が必要であること。」
(技術知見C)
「150℃以上もしくは180℃以上といった高温領域においても安定した圧力検出動作を行うことが可能な圧力センサにおいて、被測定体の圧力が圧力導入孔13からステム20のダイアフラム22に伝えられるようになっており、このステム20のダイアフラム22上には、ダイアフラム22の変形に応じた電気信号を出力する検出部としての歪ゲージ24が、熱可塑性樹脂25を介してダイアフラム22の上に熱圧着されることで固定されていること。」
(b) 前記(a)をまとめると、ひずみゲージを、被測定対象物や起歪部に直接又は間接に添着し得る手段として、接着、蒸着、融着等、様々な手段があること(技術知見A)、接着力若しくは粘着力に、ある程度の強度があれば、熱可塑型の接着剤であっても被測定部材の変形に追従することが可能であること(技術知見B)、熱可塑型樹脂を介して歪ゲージを固定しても、150℃以上若しくは180℃以上といった高温領域で用いることが可能であること(技術知見C)が、本願の優先日前に知られていたことについて認められ、ひずみゲージの固着手段が熱硬化型接着剤に限られないこと、及び、熱可塑性樹脂が候補であることは、当業者には自明であったと認められる。
(イ) 引用発明の「歪ゲージ20」は、厚さを20数ミクロン程度とするベースフィルム21がポリイミド等の樹脂で形成されており、熱硬化型接着剤を間に挟んで、ロードセル起歪体の起歪部に載せ、高熱を加えることで、起歪部の所定位置に接着されているところ、前記(ア)b(b)のとおり、ひずみゲージを被測定物に貼り付ける手段として、接着、蒸着、融着等、様々な手段があることや、熱可塑型接着剤を用いても、被測定部の変形に追従し、150℃以上若しくは180℃以上といった高温領域においても用いることが可能であることを踏まえると、ひずみゲージの固着手段が熱硬化型接着剤に限られないこと、及び、熱可塑性樹脂が候補であることは、当業者には自明であったと認められるから、引用発明に前記周知技術Aを適用し、熱硬化型接着剤に代えて、熱可塑性ポリイミドなどの熱可塑性樹脂を用いた熱融着性の接着剤を用いるようにすることは、当業者が容易に想到し得た設計事項であると認められる。
(ウ) ここで、前記1(5)イにおいて技術事項A及び技術事項Bとして示したとおり、ポリイミド樹脂により良好なクリープ特性が得られることや、密着する複数の樹脂を同一のポリイミド樹脂により形成することで、相互間の密着性が良好で信頼性の高いものとなることは、本願優先日前に知られており、また、前記1(6)ウにおいて技術常識Aとして示したとおり、接着剤として、ポリイミド樹脂が、耐熱性、機械的強度、電気特性等において、エポキシ樹脂系やアクリル樹脂系と比較して良好な特性を有していることは、本願優先日前に技術常識として知られている。
したがって、前記(イ)のとおり、引用発明に周知技術Aを適用して、ポリイミド樹脂を採用した場合に、技術事項A、技術事項B及び技術常識Aに示される効果を奏することは、当業者にとって明らかである。
(エ) また、引用発明において接着剤を熱可塑性ポリイミド層とした場合、前記1(4)イにおいて示した技術事項Cのとおり、接着剤の厚さを極力薄くすることがクリープ特性の点で好ましいものであるところ、引用発明の「ベースフィルム21」は、厚さを20数ミクロン程度とするものであり、通常、接着剤の厚さは接着しようとする部材の厚さ以下となるから、当該熱可塑性ポリイミド層の厚さを、3μm~12μmの厚さとすることは、当業者が適宜選択できる設計上の事項にすぎない。
(オ) なお、本願明細書の段落【0027】には、「融着層4の厚さが12μmよりも大きい場合には、起歪体20の粗面処理の影響もあり接着強度は更に上がるが、クリープ特性といったひずみ追従性が十分に得られなくなる。」と記載されているところ、前記技術事項Cのとおり、ひずみゲージにおいて、接着剤の厚みが大きくなるほど、接着剤の層が時間の経過に伴って変形する現象(クリープ)の影響を受け易くなるため、被測定物との間に介在する接着剤の厚さを極力薄くすることが知られているから、引用発明において、前記相違点1に係る本願発明の構成を採用することで、クリープ現象の影響が少なくなる効果を奏することは、当業者にとって明らかである。
ウ 小括
よって、引用発明において、前記相違点1に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(2) 相違点2について
前記相違点2について検討する。
通常、ひずみゲージを貼り付ける起歪体は金属製であるから、前記相違点2は実質的な相違点ではない。
(3) 総合検討
前記(1)及び(2)において検討したとおり、引用発明において前記相違点1及び相違点2に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、前記相違点1及び相違点2を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果としては、引用発明、周知技術A及び技術知見A~Cから予測されるものを超え、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本願発明は、引用発明、周知技術A及び技術知見A~Cに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4) 請求人の主張について
ア 主張1(引用発明と周知技術Aの組み合わせの困難性について)
(ア) 請求人の主張1の主張内容
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請求人は、意見書において、概略次の主張をしている。
引用発明に周知技術Aを適用し、熱硬化型接着剤に代えて熱可塑性ポリイミドを用いるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
その理由として、まず、周知技術Aは、仮に周知であったとしても、ひずみゲージとは異なる半導体分野の周知技術にすぎない。
また、技術常識Aの認定に関わる引用文献7、11について、これらの文献はいずれも単に融着や熱可塑型接着剤を開示するのみであり、熱可塑性ポリイミドを用いる事は開示していない。仮に融着や熱可塑型接着剤の使用が知られているとしても、その際に用いられる接合剤の種類は入念に検討されるべきであり、この点は、接合剤を介してひずみを定量的に正確に計測することが求められるひずみゲージの被測定物への貼り付けにおいては尚更である。
したがって、仮に周知技術Aのように、ひずみゲージの分野とは異なる分野において絶縁性基板(即ち、半導体分野のプリント配線板)を他の部材に貼り付ける際に熱可塑性ポリイミドを用いることが周知であったとしても、プリント配線板とは異なり接合剤を介してひずみを定量的に正確に計測することが求められるひずみゲージの被測定物への貼り付けに、熱硬化型接着剤とは特性(例えば、温度特性)が異なる熱可塑性ポリイミドを用いることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
(イ) 請求人の主張1についての検討
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a 請求人は、接合剤を介してひずみを定量的に正確に計測することが求められるひずみゲージの被測定物への貼り付けに、熱硬化型接着剤とは特性(例えば、温度特性)が異なる熱可塑性ポリイミドを用いることは、当業者が容易に想到し得たことではないと主張している。
b しかしながら、前記(1)イ(ア)b(b)において示したとおり、ひずみゲージを被測定物に貼り付ける手段として、接着、蒸着、融着等、様々な手段があること、熱可塑型接着剤を用いても、被測定部の変形に追従し、150℃以上若しくは180℃以上といった高温領域においても用いることが可能であることなどを踏まえると、熱可塑型接着剤においても、熱硬化型接着剤と同様に、これらの接着剤を介してひずみを定量的に正確に計測することが可能であることは明らかであるというべきであり、熱可塑型接着剤が、ひずみゲージの貼り付けに使用できないとする特段の事情は認められない。
c そして、前記1(2)オにおいて周知技術Aとして示したとおり、貼り付けに用いる熱可塑性樹脂として、熱可塑性ポリイミドは周知であることに加えて、前記1(6)ウにおいて技術常識Aとして示したとおり、接着剤として、ポリイミド樹脂が良好な特性を有していることは技術常識であることを踏まえると、引用発明に周知技術Aを組み合わせる動機づけは十分にあったと認められる。
d よって、請求人の主張1は採用できない。
イ 主張2(有利な効果について)
(ア) 請求人の主張2の主張内容
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請求人は、意見書において、概略次の主張をしている。
本願発明のひずみゲージは、クリープ現象の発生が抑制されるという有利な効果(本願明細書:段落【0049】~段落【0052】)、及び効率よく荷重センサを製造することができるという有利な効果(本願明細書:段落【0046】~段落【0048】)を奏する。
技術事項A、技術事項B及び技術常識Aに示される効果はいずれも、本願発明のひずみゲージが奏する有利な効果とは異なる。
即ち、本願発明のひずみゲージにおいては、絶縁性能が高い熱可塑性ポリイミドを用いることにより、ポリイミド基材と熱可塑性ポリイミド融着層との合計の厚さがポリイミド基材とエポキシ接着層との合計の厚さよりも小さくなり、これにより絶縁性能を維持しつつクリープ特性が向上するという有利な効果を奏する(本願明細書:段落【0049】~段落【0052】、審判請求書:13~14頁)。このような有利な効果は技術常識A及び技術事項Bが示す効果とは異質の効果であり、且つ技術常識A及び技術事項Bが示す効果に加えて奏される更なる効果である。また、技術事項Aが示す良好なクリープ特性という効果とは同質の効果であるが、当該効果とは異なる機序により当該効果に加えて奏される更なる効果である。
(イ) 請求人の主張2についての検討
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a 請求人は、本願発明のひずみゲージにおいては、絶縁性能が高い熱可塑性ポリイミドを用いることにより、ポリイミド基材と熱可塑性ポリイミド融着層との合計の厚さがポリイミド基材とエポキシ接着層との合計の厚さよりも小さくなり、これにより絶縁性能を維持しつつクリープ特性が向上するという有利な効果を奏すると主張している。
b ここで、前記有利な効果とは、本願発明の効果であるから、「前記基材は厚さが12μm~25μmの、可撓性を有するポリイミドの板状部材」とし、「前記融着層は厚さが3μm~12μmの熱可塑性ポリイミド層」とすることによる効果であると認められる。
c そうすると、前記(1)において示したとおり、引用発明において、前記bに示された構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるところ、前記1(4)イにおいて技術事項Cとして示したとおり、ひずみゲージにおいて、接着剤の厚みが大きくなるほど、接着剤の層が時間の経過に伴って変形する現象(クリープ)の影響を受け易くなるため、被測定物との間に介在する接着剤の厚さを極力薄くすることが好ましいことや、前記1(5)イにおいて技術事項Aとして示したとおり、ポリイミド樹脂がエポキシ樹脂に対して良好なクリープ特性が得られることが、本願優先日前に知られていたことを踏まえると、引用発明において、前記bに示された構成にすることによって、絶縁性能を維持しつつクリープ特性が向上する効果を奏することは、当業者が予測し得る範囲内のものであるし、格別顕著な効果であるとは認められない。
d また、効率よく荷重センサを製造することができる効果についても、引用文献10の段落【0008】及び【0019】に記載されているように、熱硬化性に比べて熱可塑性の方が、接着時間が短くなることは良く知られていることであるし、ひずみゲージに、予め熱可塑性樹脂が融着層として形成されている分、熱硬化性のものに比べて、接着剤をひずみゲージにつける工程が省かれ、接着工程が簡単になることは明らかであるから、当該効果についても、予測し得ない格別顕著な効果であるものと認められない。
e よって、請求人の主張2は採用できない。
ウ 主張3(二次的指標について)
(ア) 請求人の主張3の主張内容
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請求人は、意見書において、概略次の主張をしている。
熱可塑性ポリイミド接着材料は30年以上も前から提案されているにもかかわらず、引用文献2、3、7~15の他、本願の審査においてこれまでに挙げられたいずれの文献も、熱可塑性ポリイミド接着材料をひずみゲージの起歪体への貼り付けに用いることは開示していない。
このように、熱可塑性ポリイミド接着材料が30年以上も前から存在するにもかかわらず、ひずみゲージの起歪体への貼り付けに熱可塑性ポリイミド接着材料を用いることは行われていない。この事実は、当業者において熱可塑性ポリイミド接着材料をひずみゲージの起歪体への貼り付けに用いることを妨げる事情があったことを示していると考える。
ここで、審査基準の第III部、第2章、第2節、3.3(6)には、「審査官は、商業的成功、長い間その実現が望まれていたこと等の事情を、進歩性が肯定される方向に働く事情があることを推認するのに役立つ二次的な指標として参酌することができる」と記載されている。当該記載に鑑み、上記事情、即ち熱可塑性ポリイミド接着材料をひずみゲージの起歪体への貼り付けに用いることを妨げる事情の存在についても、進歩性が肯定される方向に働く事情として参酌すべきである。
(イ) 請求人の主張3についての検討
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a 請求人は、熱可塑性ポリイミド接着材料が30年以上も前から存在するにもかかわらず、ひずみゲージの起歪体への貼り付けに熱可塑性ポリイミド接着材料を用いることは行われていないという事実は、当業者において熱可塑性ポリイミド接着材料をひずみゲージの起歪体への貼り付けに用いることを妨げる事情があったことを示していると主張している。
b(a) しかしながら、前記請求人が主張する間接事実は、仮に事実であったとしても、発明の想到困難性を推認する経験則として強いものではない。
(b) すなわち、一般にある発明に想到していたとしても、それを業として実施する際には、新たな設備投資が必要になったり、既存の製品との置換効果(カニバリゼーション効果)がある等の理由により、必ずしも実施されないこともあることは、経済学・経営学上の常識である。
(c) したがって、請求人の主張する間接事実は、仮に事実であっとしても、ひずみゲージの起歪体への貼り付けに熱可塑性ポリイミド接着材料を用いることを当業者が容易に想到することを妨げる事情があったことを必ずしも示すものとは認められない。
c よって、請求人の主張3は採用できない。
エ 主張4(商業的成功について)
(ア) 請求人の主張4の主張内容
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請求人は、審判請求の理由において、概略次の主張をしている。
本願発明のひずみゲージを用いた荷重センサは、その製品売上は非常に大きく、商業的に成功した製品である。製品売上は、量産が開始された2016年以降、右肩上がりであり、わずか5年目で年間約34億円に上っている。
この売上は、荷重センサの販売がBtoB(企業間取引)であるため販売技術や宣伝等によって増大したものではなく、本願発明のひずみゲージの性能(クリープ現象の発生が抑制されるという有利な効果により達成された性能)に基づくものと考えている。
なお、製造工程の効率化という有利な効果により製品の美観も向上しており、この点も製品の売り上げに貢献しているものと考えられる。即ち、熱可塑性ポリイミド融着層を用いることにより、ひずみゲージと起歪体の接合部からはみ出した接着剤を除去する工程が省略され、これにより、本願発明のひずみゲージを用いて製造した荷重センサには、これまでに接着剤の除去により生じていた除去跡が全く存在せず、この美観の向上が顧客の高い評価を受けている。
このような商業的成功は、本願発明の進歩性を肯定する事情(審査基準、第III部、第2章、第2節、3.3(6))として判断されるべきである。
(イ) 請求人の主張4についての検討
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a 請求人は、本願発明のひずみゲージを用いた荷重センサの商業的成功が、本願発明の進歩性が肯定される方向に働く事情があることを推認するのに役立つ指標であると主張している。
b(a) しかしながら、商業的成功があったとしても、その成功の要因が、専ら本願発明に帰せられるものであるかは、請求人の主張のみからは明らかでない。
(b) すなわち、請求人は、商業的成功の理由として、熱可塑性ポリイミド融着層を用いることにより、クリープ現象の発生が抑制されることに加えて、ひずみゲージと起歪体の接合部からはみ出した接着剤を除去する工程が省略されるため、これまでに接着剤の除去により生じていた除去跡が全く存在しないことによる美観の向上が顧客の高い評価を受けたことを挙げているが、そのことを客観的に示す具体的な根拠について、請求人は何ら立証しておらず、かつ、請求人の主張とは異なる別の要因により商業的成功をなし得た可能性を否定する証明が何らされていない以上、請求人の主張4は、採用できない。
オ 主張5(阻害要因について)
(ア) 請求人の主張5の主張内容
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請求人は、審判請求の理由及び意見書において、概略次の主張をしている。
熱可塑性ポリイミド融着層は、熱可塑性であるため、硬化後もガラス転移温度(約200℃)に近づくと硬度の低下が生じる。即ち熱可塑性ポリイミド融着層は、ガラス転移温度近く(約150℃)において硬度低下によるひずみ伝達機能(起歪体に生じたひずみをひずみゲージに伝達する機能。ひずみゲージを起歪体に接合する接合剤において重視されます)の低下が生じるため、使用できる温度範囲が限られる。
一方で、熱硬化性接着剤(ここではひずみゲージと起歪体との接着において一般に用いられているエポキシ系接着剤、フェノール系接着剤の特性を挙げている)は、硬化後は-30℃~200℃に渡る広い温度範囲において硬度が一定に保たれる。この温度範囲は、ひずみゲージが通常使用される温度範囲を十分にカバーしている。また、広い温度範囲で硬度が一定であるということは、広い温度範囲に渡って一定のひずみ伝達機能が奏されることを意味する。即ち熱硬化性接着剤は、実用において要求される全ての温度領域において安定したひずみ伝達機能を奏する。
このような特性の違いに鑑みれば、当業者であれば、引用発明と周知技術Aとを組み合わせて、広い温度範囲で安定したひずみ伝達機能を奏する熱硬化性接着剤を、温度特性、ひいてはひずみ伝達機能の点で劣る熱可塑性ポリイミド融着層に置き換えるよう動機づけられることはなかったと考える。
(イ) 請求人の主張5についての検討
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a 請求人の主張は、熱可塑性ポリイミド融着層は、ガラス転移温度近く(約150℃)において、ひずみ伝達機能の低下が生じるのに対して、熱硬化性接着剤は、-30℃~200℃に渡る広い温度範囲に渡って一定のひずみ伝達機能が奏されることを前提とするものであると認められる。
b(a) しかしながら、引用文献2の【0010】には、次の記載がある。
「本発明の銅薄膜基板に使用する熱可塑性ポリイミドは、主鎖にイミド構造を有するポリマーであってガラス転移温度が、好ましくは150℃~350℃の範囲内にあり、このガラス転移温度以上の温度領域では、弾性率が急激に低下するものを言う。」
(b) また、引用文献10の【0016】には、次の記載がある。
「封止樹脂3の熱可塑性樹脂成分を、耐熱性の高い熱可塑性ポリイミドの一種であるシリコン変性ポリイミド(ガラス転移温度=約230℃、溶融温度=280~300℃)とし」
(c) 前記(a)及び(b)を踏まえると、ガラス転移温度が200℃を超える熱可塑性ポリイミド融着層もあることが認められるところ、このような熱可塑性ポリイミド融着層の温度特性及びひずみ伝達機能は、熱硬化性接着剤のものと同等であるといえる。
(d) そうすると、引用発明と周知技術Aを組み合わせて、熱硬化性接着剤を熱可塑性ポリイミド融着層に置き換えたとしても、熱硬化性接着剤と同等の特性を有する熱可塑性ポリイミド融着層を用いることにより、温度特性及びひずみ伝達機能が劣化することはないのであるから、引用発明に周知技術Aを適用することを阻害する要因があるとは認められない。
(e) よって、請求人の主張5は採用できない。
カ 小括
したがって、請求人の主張1~5はいずれも採用できず、前記(3)の結論を左右するものではない。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、周知技術A及び技術知見A~Cに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-012259