特許拒絶査定不服審判
2022-011693
伸縮性紐
- 審判番号
- 2022-011693
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-124615
- 請求日
- 2022年07月28日
- 審決日
- 2024年03月27日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】日本ソリッド株式会社
- 審判長/審判官
- 審判長 井上 茂夫
- 審判官 金丸 治之
- 審判官 西本 浩司
- 分類
- P18 .121-WZ (D04C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2017-124615号「伸縮性紐」拒絶査定不服審判事件〔平成31年1月17日出願公開、特開2019-7106号〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
1 出願の経緯の概略
本願は、平成29年6月26日の特許出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 4月28日付け:拒絶理由通知書
令和3年 7月 9日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年11月19日付け:拒絶理由通知書
令和4年 1月17日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 6月 8日付け:拒絶査定
令和4年 7月28日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和5年 9月22日付け:令和4年7月28日の手続補正についての補正の却下の決定、拒絶理由通知
令和5年11月17日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和5年11月17日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである。
「【請求項1】
伸縮性管体内に、該伸縮性管体より長い紐状体を貫入してかつ伸縮性管体内に貫入された部分の紐状体を蛇腹状に設け、さらに伸縮性管体内の両端部において伸縮性管体と紐状体とを固着してなる伸縮性紐。」
第3 拒絶の理由
当審が令和5年9月22日付けで通知した拒絶理由のうちの理由1は、次のとおりのものである。
(理由1)本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1 特開2008-297689号公報
第4 引用文献の記載及び周知技術
1 引用文献1
(1)引用文献1に記載された事項
引用文献1には、以下の事項が記載されている。
「【請求項1】
アラミド系、ポリエチレン系、PBO繊維系の糸をロープ体(1)に撚成し、これらを伸縮自在のチューブ体(2)の中空部(2a)に貫通させ、該ロープ体(1)の自然長(L)はチューブ体(2)の自然長(LL)より1,2倍から2,5倍もしくは数倍にして、中空部(2a)にたるませてロープ体(1)の長さに合わせ、これらのそれぞれの端子が係止具(3)を介し固着した事を特徴とする、安全ロープ構造。」
「【0001】
この発明は高所や壁面等での危険な作業を行う時やサーフボードや、或いは強流中での鮎釣で、身体をこれらの所在部位につないで、現場での思いがけない危機にさらされた時に身体をこれらの近辺の所在部位から離脱する事無く双方の接続具として使う伸縮する安全ロープ(命綱)と、そしてまた釣場で道糸とハリスの間に接続具として使う安全クッションの同一技術分野に関し、更に詳しくはこれらの接続具は、伸縮自在のチューブ体の中空部にロープや芯材を貫通して2層構造の接続具にし、伸び縮みするチューブの限りない伸びを押さえてヘタラない弾性限界内での伸縮にする為に、中空部に貫通するロープや芯材の所定の長さを限度に伸びを制限し、限りなく強弱の伸縮を繰り返してもクッション性の失う事のない安全ロープと釣用の切れ難くヘタリのない安全クッションに関し、またこれらの製造方法に関する。」
「【0010】
以下に図示の実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するに、図1は本発明での第一実施例に基づく全体を示す一部断面での斜視図で、図2は現場で使用例での安全ロープに牽引が働いた形態での一部断面でのロープ体1が最長伸びで、本発明の安全ロープ(命綱)は、少なくとも3部品で構成し、1部品は細長いロープ体1で、それは化学繊維を素材としたアラミド系やポリエチレン系やPOM繊維系の糸を使って撚成したもので、他の合成繊維でも良く、撚りのロープ体1の太さや長さも用途に応じ選択は任意での構成とする。次ぎにもう1部品は伸縮自在でなる樹脂製の中空部2aを持つチューブ体2でこれらの材質は伸縮性に優れたポリウレタンエラストマー樹脂が最適とされるが材質を含め適在適所に応じ伸びや太さ長さなどが決定される。次ぎにもう1部品は棒状でなる係止具3との3部品での構成である.
【0011】
そして細長いロープ体1はチューブ体2に通されでが、ロープ体1の自然長はチューブ体2の自然長の数倍の長さに切断れ、お互いの端子が両方とも揃えられ係止具3に結束されるが、チューブ体1より数倍の長さに切断されたロープ体1は中空部2aにたるませて押し込まれることになり、これらに引っ張りが働いた時チューブ体1の伸びは最長でたるんで中空部2aに押し込まれたロープ体1の最長までしか伸びることが出来ずに、その間でチューブ体1の伸縮の繰り返しが行なわれる。これらのチューブ体1の最長伸びは其の材質の持つ弾性限界の伸び長さ内を限度にロープ体1の自然長が決定される。
【0012】
又図2は本発明での第一実施例に基づく使用例での安全ロープに引っ張りが働いて、最大伸びにロープ体1が達した形態を一部断面を示しての斜視図で、瞬時に体重がロープ体1に掛かった時、そのショックが身体に掛かる衝撃をロープ体1の伸び縮みが吸収し緩和することが出来る。又図3は同じく第一実施例に基づく使用例での安全ロープに引っ張りが働かない場合と、引っ張りが働いた時の一部断面での要部斜視図である。」
「【0017】
次ぎに図5、図6、図7、図8、図9、は第一、第二、第三実施例にあげる本発明の製造方法に基づく要部を斜視図で示すもので、図5は「第1工程」を示し、ロープ体1或いは芯糸体101(以下これらの双方を総合し製法においては線体111と呼ぶ事にする)の端子を円柱状にクリップ又はリング体を付けたガイド体Aに着脱自在に接続し、所定の太さと自然長Lに切断されたチューブ体2の片方の開口部に差し込み、其の太さに整合するガイド体Aは、チューブ体2の他方の開口部に掃除機たぐい(掃除機に特定しないエアー吸入機等)の吸引ノズルに接続してなる吸い込みガイドBをかために差し込み、吸引ノズルに発生する空気吸引力Pを使って、チューブ体2の開口部に差し込まれたガイド体Aを片方の開口部に移動させ、ガイド体Aに着脱自在に接続する線体111をチューブ体2に貫通させる製法とする。
【0018】
次ぎに図6は「第2工程」を示すもので、チューブ体2に貫通された線体111の先に接続するガイド体Aを外す。次ぎに図7は「第3工程」を示すもので、貫通された線体111は所定の自然長LLに切断されて、これらの両端子はそれぞれ係止具3に結束される。これらの接続の一例として、線体111の結束は係止具3の側面に開口する縦孔3aに差し込まれ、其の孔に交差して設けたロック孔3bから外周に引き出し、止め孔3cに差し込まれ折り返され係止具3の外周に沿って数回巻きつけ、端末はロック孔3bに差し込まれ、線体111と係止具3が固着される。次ぎに図8は「第4工程」を示すもので、線体111の端子が結束された係止具3をチューブ体2の自然長Lより数倍に長い線体111をチューブ体2の中空部2aにたるませて押し込み、係止具3の端部3dをチューブ体2の開口部にかたく差し込まれ固着し一体化している。次ぎに図9で示すように、チューブ体2に貫通して両端子に一体化した係止具3に引っ張りを付加する事で、チューブ体2の中空部2aに収納した線体111は最大限の伸び迄チューブ体2が伸び、其の伸びは弾性限界内で終ることで伸縮の繰り返しでチューブ体2が伸びきったり破断することを防いでいる。チューブ体2に引っ張りのない自然長Lでは、線体111は螺旋状に中空部2aに収納される。」
「【図1】
[図:0001410659000001.jpg]
」
「【図2】
[図:0001410659000002.jpg]
」
「【図3】
[図:0001410659000003.jpg]
」
「【図9】
[図:0001410659000004.jpg]
」
(2)引用文献1に記載されていることが明らかな事項
ア 【請求項1】の「該ロープ体(1)の自然長(L)はチューブ体(2)の自然長(LL)より1,2倍から2,5倍もしくは数倍にして、中空部(2a)にたるませてロープ体(1)の長さに合わせ、これらのそれぞれの端子が係止具(3)を介し固着」の記載、段落【0011】の「細長いロープ体1はチューブ体2に通されでが、ロープ体1の自然長はチューブ体2の自然長の数倍の長さに切断れ、お互いの端子が両方とも揃えられ係止具3に結束される」の記載及び【図1】より、チューブ体(2)とロープ体(1)との係止具(3)を介した固着は、チューブ体(2)の中空部(2a)の両端部においてなされていることは明らかである。
イ 段落【0011】の「チューブ体1の伸縮の繰り返しが行なわれる」の記載より、チューブ体(2)が伸縮自在であるが、チューブ体(2)を有する安全ロープ構造も伸縮自在であることが明らかである。
ウ 段落【0011】には「チューブ体1より数倍の長さに切断されたロープ体1は中空部2aにたるませて押し込まれる」と記載されるところ、段落【0018】の「線体111は螺旋状に中空部2aに収納される」の記載より、「線体111」は、段落【0017】で「ロープ体1或いは芯糸体101(以下これらの双方を総合し製法においては線体111と呼ぶ事にする)」とされていることから、チューブ体(2)の中空部(2a)に押し込まれたロープ体(1)は螺旋状に収納されていることは明らかである。
(3)引用発明
上記(1)及び(2)より、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「伸縮自在のチューブ体(2)の中空部(2a)に、自然長(L)がチューブ体(2)の自然長(LL)より1.2倍から2.5倍もしくは数倍のロープ体(1)を貫通させかつチューブ体(2)の中空部(2a)に押し込まれたロープ体(1)を螺旋状に収納し、さらにチューブ体(2)の中空部(2a)の両端部においてチューブ体(2)とロープ体(1)とを係止具(3)を介して固着してなる伸縮自在の安全ロープ構造。」
2 引用文献2
(1)本願の出願前に公開された特開2016-106695号公報(以下「引用文献2」という)に記載された事項
引用文献2には、以下の事項が記載されている。
「【請求項1】
長手方向の一端が安全帯に接続されるランヤードに装着するランヤード用カバーであって、
前記ランヤードより短尺に形成されて前記ランヤードを弛み状態で収容すると共に該ランヤードの弛み解消に伴う延びに追従して弾発的に伸長する伸縮性材料から成るランヤード収容部と、該ランヤード収容部の両端部に設けられて該ランヤード収容部を前記ランヤードの両端側の夫々に解除自在に連結する連結手段とを備えることを特徴とするランヤード用カバー。」
「【0002】
建築作業現場において高所での作業を行うとき、作業者の落下を防止するため、作業者はランヤードを備えた安全帯を装着する。ランヤードは、その端部に設けられているフックを親綱や堅固な構造物等に掛止して用いられる。作業者が万一足を踏み外した場合には、ランヤードが安全帯を介して作業者を吊り下げ支持し、作業者の墜落を防止する。」
「【0013】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1(a)及び図1(b)に示すように、本実施形態のランヤード用カバー1は、ランヤード2に装着して用いる。
【0014】
ランヤード2は、図2に示すように、フック3と、ストラップ4と、図示しない安全帯の胴ベルト等に接続する小フック5とを備えている。」
「【0023】
即ち、ランヤード2のフック3と小フック5との間(図2に示すストラップ4の両端の留輪7間)に、引っ張り力の加わらない無負荷時には、ランヤード収容部9が、その弾性により自然長状態(短状態)となり、ランヤード収容部9の内部には、ランヤード2のストラップ4が蛇腹状に弛んだ状態で収容される。これにより、ランヤード2が実際の長さよりも短くなり、垂れ下がりを少なくすることができる。」
「【0024】
ランヤード2のフック3と小フック5間に引っ張り力の負荷を加えると、図1(b)に示すように、ランヤード2のストラップ4は弛みが解消され、自然長状態(元の長さ)となる。このとき、ランヤード収容部9はストラップ4の自然長まで延伸された状態となる。」
「【図1】
[図:0001410659000005.jpg]
」
「【図2】
[図:0001410659000006.jpg]
」
(2)引用文献2の記載事項
上記(1)より、引用文献2には以下の事項(以下「引2事項」という。)が記載されている。
「ランヤード用カバー1のランヤード収容部9に、ランヤード用カバー1より長いランヤード2のストラップ4が収容され、かつランヤード収容部9の内部には、ランヤード2のストラップ4が蛇腹状に弛んだ状態で収容されてなる、伸縮性を有するランヤード2。」
3 引用文献3
(1)本願の出願前に公開された実願昭48-013070号(実開昭49-114092号)のマイクロフィルム(以下「引用文献3」という)に記載された事項
引用文献3には、以下の事項が記載されている。
ア 「2.実用新案登録請求の範囲
伸縮性および弾性を有する筒状体内にこれよりも引張力に強い可撓性の条材を蛇行させて嵌装したことを特徴とする荷紐。」(補正された明細書第1頁第4行~同第7行)
イ 「以下に本考案を図示の一実施例について説明すると、(1)は伸縮性および弾性を有する、例えばゴムまたは合成樹脂等の材料により断面略楕円状に一体形成された筒状体で、該筒状体(1)内にこれよりも引張力に強い可撓性を有する非伸縮性の、例えば綿、クレモナ、ワイヤー等よりなる条材(2)を蛇行させて嵌装する。このような構成がとられた荷紐(A)は、前述のごとく非伸縮性の条材(2)が第1図に示すごとく蛇行して筒状体(1)内に嵌装され、かつ該筒状体(1)が伸縮性および弾性を有することから、前記条材(2)が第3図に示すごとく直線状となるまで強制伸長させることかでき、かつその伸長状態からは筒状体(1)の弾性収縮作用で第1図の状態に復元する。」(補正された明細書第2頁第7行~同第20行)
「
[図:0001410659000007.jpg]
」
「
[図:0001410659000008.jpg]
」
(2)引用文献3に記載されていることが明らかな事項
上記(1)ア及びイより、荷紐(A)が伸縮性を有することは明らかである。
(3)引用文献3の記載事項
上記(1)及び(2)より、引用文献3には以下の事項(以下「引3事項」という。)が記載されている。
「筒状体(1)内に、該筒状体(1)より長い条材(2)を嵌装し、かつ条材(2)が蛇行して筒状体(1)内に嵌装されてなる、伸縮性を有する荷紐(A)。」
第5 対比
引用発明の「伸縮自在のチューブ体(2)」及び「ロープ体(1)」は、本願発明の「伸縮性管体」及び「紐状体」に相当し、引用発明の「伸縮自在のチューブ体(2)の中空部(2a)」は、本願発明の「伸縮性管体内」に相当する。
そして、引用発明の「自然長(L)がチューブ体(2)の自然長(LL)より1.2倍から2.5倍もしくは数倍のロープ体(1)を貫通させ」は、本願発明の「該伸縮性管体より長い紐状体を貫入して」に相当する。
また、本願発明の「伸縮性管体内の両端部において伸縮性管体と紐状体とを固着してなる」と、引用発明の「伸縮自在のチューブ体(2)の中空部(2a)の両端部においてチューブ体(2)とロープ体(1)とを係止具(3)を介して固着してなる」とを対比すると、両者は、「伸縮性管体内の両端部において伸縮性管体と紐状体とを接続してなる」限りにおいて一致する。
一方、本願発明の「伸縮性紐」と、引用発明の「伸縮自在の安全ロープ構造」を対比すると、両者は伸縮性長尺物である限りにおいて一致する。
したがって両者は、以下の点で一致し、また相違する。
<一致点>
「伸縮性管体内に、該伸縮性管体より長い紐状体を貫入し、さらに伸縮性管体の両端部において伸縮性管体と紐状体とを接続してなる伸縮性長尺物。」
<相違点1>
本願発明が「伸縮性管体内に貫入された部分の紐状体を蛇腹状に設け」ているのに対して、引用発明では「チューブ体(2)の中空部(2a)に押し込まれたロープ体(1)を螺旋状に収納し」ているものである点。
<相違点2>
「伸縮性管体内の両端部において伸縮性管体と紐状体とを接続してなる伸縮性長尺物」について、本願発明が、「伸縮性管体内の両端部において伸縮性管体と紐状体とを固着してなる」、「伸縮性紐」であるのに対し、引用発明では、「伸縮自在のチューブ体(2)の中空部(2a)の両端部においてチューブ体(2)とロープ体(1)とを係止具(3)を介して固着してなる」、「伸縮自在の安全ロープ構造」である点。
第6 判断
1 各相違点の検討
<相違点1>について
引用発明は、「チューブ体(2)の中空部(2a)に押し込まれたロープ体(1)を螺旋状に収納し」て、上記「引っ張りが働いた時チューブ体1の伸びは最長でたるんで中空部2aに押し込まれたロープ体1の最長までしか伸びることが出来ずに、その間でチューブ体1の伸縮の繰り返しが行なわれる」(【0011】)作用を奏するものであるが、ロープ体(1)をチューブ体(2)の中空部(2a)に対していかに収納するかについては、当業者であれば適宜決定し得たことであるから、引用発明の「螺旋状に収納する」ことに代えて、上記作用を奏することができる蛇腹状の形状とすることは当業者であれば容易に想到し得たことである。
なお、以下に示すように、伸縮性管体より長い紐状体を伸縮性管体内に、「紐状体を蛇腹状に設ける」ことは周知の技術(以下「周知技術」という。)であり、引用発明に上記周知技術を適用することにより、上記相違点における本願発明の構成とすることは当業者であれば容易に想到し得たことでもある。
上記引2事項には、引用発明と同様に、ランヤード用カバー1のランヤード収容部9(本願発明の「伸縮性管体内」に相当、以下同様。)に、ランヤード用カバー1(伸縮性管体)より長いランヤード2のストラップ4(紐状体)が収容された伸縮性を有するランヤード2(伸縮性紐)において、ランヤード収容部9(伸縮性管体)の内部には、ランヤード2のストラップ4(紐状体)が蛇腹状に弛んだ状態で収容される点が、上記引3事項には、筒状体(1)内(伸縮性管体内)に、該筒状体(1)(伸縮性管体)より長い条材(2)(紐状体)を嵌装した、伸縮性を有する荷紐(A)(伸縮性紐)において、条材(2)(紐状体)が蛇行して筒状体(1)(伸縮性管体内)内に嵌装されてなる点が開示されている。蛇腹とは「襞状の伸縮するもの」(広辞苑第6版)であり、引3事項の「蛇行して筒状体(1)内に嵌装」された状態も蛇腹状といえることから、上記引2事項、引3事項に例示されるように、伸縮性管体より長い紐状体を伸縮性管体内に、「紐状体を蛇腹状に設け」ることは周知技術である。
よって、引用発明に基づいて、又は、引用発明及び上記周知例に基いて、上記相違点1における本願発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
<相違点2>について
引用発明は「伸縮自在のチューブ体(2)の中空部(2a)の両端部においてチューブ体(2)とロープ体(1)とを係止具(3)を介して固着してなる」ものであり、係止具(3)は介しているものの、「ロープ体(1)」は「チューブ体(2)」に、固着しているものである。すなわち、上記相違点2は実質的な相違点ではない。仮に相違するとしても、当業者が容易に想到し得たものである。
また、長尺物については、様々な形状のものが想定されるが、段落【0001】の「限りなく強弱の伸縮を繰り返してもクッション性の失う事のない安全ロープと釣用の切れ難くヘタリのない安全クッション」を実現するにあたっては、特定の構成を要求されるものではなく、長尺物であれば適用可能であることは明らかであるから、伸縮性長尺物として、引用発明の「安全ロープ構造」に代えて、本願発明のような「伸縮性紐」とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
よって、上記相違点2における本願発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
2 効果について
本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び上記周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
3 請求人の主張について
請求人は、令和5年11月17日に提出した意見書にて、「引用文献1に記載された安全ロープは、段落0009の「図9に述べるようにチューブ体2の中空部2a内に螺旋状に伸縮自在に収納され、安全ロープと安全クッションの製法は完了するが」と記載されているようにロープ体は「螺旋状」を呈した状態で押し込まれたものであります。一方本願発明にあっては、「蛇腹状」を呈した状態で貫込されたものであります。」、「前記のような引用文献1の安全ロープは、急激に収縮させるとロープ体がからみ合ってしまい、次の伸張時にロープ体が良好に伸長しなくなります。一方本願発明にあっては、急激な収縮においても蛇腹状に折り畳まれるので、次の伸長時にも好適に機能するのであります。かかる本願発明の卓越した技術的効果は当業者と云えども引用文献1の記載から容易に相当実施し得るものではありません。」と主張している。
しかしながら、上記1で説示したとおり、「チューブ体1の伸びは最長でたるんで中空部2aに押し込まれたロープ体1の最長までしか伸びることが出来ずに、その間でチューブ体1の伸縮の繰り返しが行なわれる」という作用を奏することができるものとして、引用発明の「螺旋状に収納する」ことに代えて、蛇腹状の形状とすることは当業者であれば容易に想到し得たことであり、請求人の上記主張は採用することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、又は、引用発明及び上記周知例に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-011693