特許拒絶査定不服審判
2022-011333
通信装置、情報通知方法及びコンピュータプログラム
- 審判番号
- 2022-011333
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-071939
- 請求日
- 2022年07月21日
- 審決日
- 2023年08月21日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】日本電信電話株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人志賀国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 山澤 宏
- 審判官 中野 裕二
- 審判官 富澤 哲生
- 分類
- P18 .113-WY (H04L) / P18 .121-WY (H04L) / P18 .16 -WY (H04L) / P18 .537-WY (H04L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条の2
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020- 71939「通信装置、情報通知方法及びコンピュータプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 7月27日出願公開、特開2020-114025、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成28年7月29日に出願した特願2016-150815号の一部を令和2年4月13日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 3月 4日付け:拒絶理由通知書
令和3年 5月 6日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 8月11日付け:拒絶理由通知書
令和3年12月15日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 4月13日付け:拒絶査定
令和4年 7月21日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和5年 1月23日付け:拒絶理由通知書(以下「当審拒絶理由
(1)」という。)
令和5年 3月22日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 4月17日付け:拒絶理由通知書(以下「当審拒絶理由
(2)」という。)
令和5年 6月19日 :意見書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和4年4月13日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
理由2(新規性) この出願の請求項1-3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献Aに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由3(進歩性) この出願の請求項1-3に係る発明は、以下の引用文献Aに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
A.特開2008-72370号公報
第3 当審拒絶理由の概要
1 当審拒絶理由(1)の概要
当審拒絶理由(1)の概要は次のとおりである。
理由1(明確性) 請求項1-3に係る発明は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(1) 請求項1には、「通信装置を構成する部品又は通信装置として、帰属替え対象となる通信装置を構成する部品又は通信装置の特定の状態に関する情報の少なくとも一部の情報を保持する保持部を備え、
前記保持部は、前記帰属替えのタイミングで、保持した情報の少なくとも一部を帰属替え先に対応する他の通信装置の保持部に対して、OAM部、主信号線、オペレーションシステム、コントローラのいずれかの通信装置間を接続する経路を介して通知する通信装置。」と記載されるが、これらの「通信装置」の構成が不明である。
請求項2-3についても同様である。
(2) 請求項1の冒頭に「通信装置を構成する部品又は通信装置として」と記載されるが、文章の係り受け上、これが、以下のどの文章に係っているのかが不明確である。
請求項2-3についても同様である。
理由2(進歩性) この出願の請求項1-3に係る発明は、以下の引用文献1又は2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2008-72370号公報(拒絶査定時の引用文献A)
2.国際公開第2013/058179号
2 当審拒絶理由(2)の概要
当審拒絶理由(2)の概要は次のとおりである。
理由1(拡大先願) この出願の請求項1-3に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた下記の特許出願5(以下「先願5」という。)の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
理由2(進歩性) この出願の請求項1-3に係る発明は、以下の引用文献1又は2及び引用文献3-4に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2008-72370号公報(拒絶査定時の引用文献A)
2.国際公開第2013/058179号
3.特開2015-177536号公報
4.特開2007-67601号公報
5.特願2016-143118号(特開2018-14621号公報)
第4 本願発明
本願請求項1-3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明3」という。)は、令和5年6月19日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1-3に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「通信装置を構成する部品として、帰属替え対象となる第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の特定の状態に関する情報の少なくとも一部の情報を保持する保持部を備え、
前記保持部は、前記帰属替え対象となる第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の特定の状態に関する情報の少なくとも一部の情報を保持する保持部とは異なる複数の保持部に対して保持する情報を通知しておき、前記第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の帰属替えのタイミングで、前記通知された保持部は、保持している情報の少なくとも一部を帰属替え先に対応する第2の通信装置の保持部に対して、OAM部、主信号線又はオペレーションシステムのいずれかの前記通信装置と前記第2の通信装置との間を接続する外部の経路を介して通知する通信装置。」
なお、本願発明2-3の概要は以下のとおりである。
本願発明2は、本願発明1に対応する情報通知方法の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
本願発明3は、本願発明1の「通信装置」を引用する「コンピュータプログラム」の発明である。
第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1及び引用発明1
(1) 引用文献1
当審拒絶理由(2)の「理由2(進歩性)」において引用した引用文献1には、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。
ア 【図1】「
[図:0001401260000001.jpg]
」
イ 段落【0012】-【0013】
「【0012】
図1は、本発明の一実施例の概略構成ブロック図を示す。本実施例では、現用の3つのOLT10a,10b,10cと、予備の1つのOLT10dと、OLT10a,10b又は10cの故障時にOLT10dに切り替える制御装置12が、同一の架の異なるスロットに収容されている。OLT10a,10b,10c,10dは、特許請求の範囲にいう光終端ユニットに対応する。OLT10a,10b,10c,10dは、同じ構成と機能からなる。説明上、現用OLT10aで現用機の機能を説明し、予備OLT10dで予備機の機能を説明する。
【0013】
OLT10aの光入出力ポートは、光ファイバ14a及び光カップラ16aからなる第1のPON伝送路を介して複数のONU18a-1~18a-nに接続する。同様に、OLT10bの光入出力ポートは、光ファイバ14b及び光カップラ16bからなる第2のPON伝送路を介して複数のONU18b-1~18b-nに接続する。OLT10cの光入出力ポートは、光ファイバ14c及び光カップラ16cからなる第3のPON伝送路を介して複数のONU18c-1~18c-nに接続する。本実施例では、3つのPONシステムが1つのセンター局に収容されている。3つのPONシステムのそれぞれに収容されるユーザ数(ONU数)を等しくnとしたが、これが、PONシステム上の収容可能ユーザ値が等しいことを示すものであり、一般的には、現実のユーザ数は互いに異なる。」
ウ 段落【0020】-【0025】
「【0020】 OLT10aの構成を説明する。ネットワークインターフェース40aは、上位ネットワークからの信号を多重分離装置42aに供給する。多重分離装置42aは、ネットワークインターフェース40aからの信号の内、配下のONU18a-1~18a-n又は更にその配下の装置に宛てた信号を電気/光変換器44aに供給し、OLT10a自身に宛てた信号をCPU46aに供給する。CPU46aはまた、配下のONU18a-1~18a-nに宛てた信号(例えば、ONU18a-1~18a-nを管理するための制御信号等)を多重分離装置42aに供給し、多重分離装置42aは、これらの信号もまた電気/光変換器44aに供給する。多重分離装置42aは、ネットワークインターフェース40aからの信号のデータフレーム構造を、PONシステムのためのデータフレーム構造に変換する機能を具備する。
・・・(中略)・・・
【0024】
CPU46aは、起動時に、配下のONU18a-1~18a-nと情報をやり取りし、種々の管理情報をRAM54aに格納する。管理情報には、例えば、ONUの種別(メーカ及びファームウエア等)といった固定的な管理情報の他に、OLT10a又ONU18a-1~18a-nの始動時に設定され、以後、基本的に変化しない静的管理情報と、ユーザの利用状況に応じて動的に変動する動的管理情報がある。静的管理情報には、例えば、PON伝送制御用途のロジカルリンク情報やSLA(Service Level Agreement)情報などがある。動的管理情報は、例えば、マルチキャスト伝送用のマルチキャストアドレス情報(IGMPテーブル情報)、MACアドレス情報(ロジカルリンクとMACアドレスとのマッピング情報であるMACテーブル情報)、又はこれらの両方からなる。
【0025】
また、これらの管理情報は、現用から予備への切り替えの迅速化のために、予備機が優先的に保持しておくべき管理情報と、事後的に取得すればよい管理情報に区分できる。優先管理情報は、例えば、IP電話の管理情報、及びIPマルチキャスト放送の管理情報などの、優先すべきトラフィックの管理情報である。これに対して、ウエブ及びFTP等のインターネットトラフィックは、優先すべきトラフィックにはあたらず、従って、その管理情報も、優先管理情報に劣後する管理情報ということになる。本実施例では、前者の優先管理情報が、制御装置12を介して、更新の都度又は間欠的に予備OLT10dのRAM54dにバックアップされる。」
エ 段落【0028】-【0029】
「【0028】
制御装置12は、現用のOLT10a,10b,10cの動作を監視し、OLT10a,10b,10cの管理情報、特に優先管理情報を、その更新の都度又は定期的に予備OLT10dに転送する。予備OLT10dは、制御装置12から転送された各現用OLT10a,10b,10cの管理情報をRAM54d内に、データ55a,55b,55cとして別々に記憶する。即ち、データ55aは、現用OLT10aの優先管理情報であり、データ55bは、現用OLT10bの優先管理情報であり、データ55cは、現用OLT10cの優先管理情報である。
【0029】
制御装置12は、現用OLT10a,10b,10cの何れか、例えば現用OLT10aから故障の通知を受けると、現用OLT10aを代行するように予備OLT10dに指示し、光スイッチ20のセレクタ22を端子22aに接続し、電気スイッチ30のスイッチ30aを予備OLT0d側に切り替える。予備OLT10dは、制御装置12からのこの代行指示に従い、他のOLT10b,10cのデータ55b,55cを消去してそのメモリ空間を解放し、データ55aを使い、OLT10aの代替機として、ONU18a-1~18a-nの上り及び下りの光伝送を管理する。」
オ 段落【0042】
「【0042】
予備OLT10dは、予め保持した優先管理情報以外の管理情報、すなわち非優先トラフィックに関する管理情報がある場合(S16)、その管理情報を、OLT10dを流れるトラフィックの監視又は配下のONUに問い合わることで取得する(S17)。」
(2) 引用発明1
よって、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が開示されているものと認められる。
「現用の3つのOLT10a,10b,10cと、予備の1つのOLT10dと、OLT10a,10b又は10cの故障時にOLT10dに切り替える制御装置12が、同一の架の異なるスロットに収容され、
OLT10aの光入出力ポートは、第1のPON伝送路を介して複数のONU18a-1~18a-nに接続し、
OLT10aの構成において、CPU46aは、起動時に、配下のONU18a-1~18a-nと情報をやり取りし、種々の管理情報をRAM54aに格納し、
管理情報には、例えば、ONUの種別(メーカ及びファームウエア等)といった固定的な管理情報の他に、OLT10a又ONU18a-1~18a-nの始動時に設定され、以後、基本的に変化しない静的管理情報と、ユーザの利用状況に応じて動的に変動する動的管理情報があり、動的管理情報は、例えば、マルチキャスト伝送用のマルチキャストアドレス情報(IGMPテーブル情報)、MACアドレス情報(ロジカルリンクとMACアドレスとのマッピング情報であるMACテーブル情報)、又はこれらの両方からなり、
これらの管理情報は、現用から予備への切り替えの迅速化のために、予備機が優先的に保持しておくべき管理情報と、事後的に取得すればよい管理情報に区分でき、優先管理情報は、例えば、IP電話の管理情報、及びIPマルチキャスト放送の管理情報などの、優先すべきトラフィックの管理情報であり、前者の優先管理情報が、制御装置12を介して、更新の都度又は間欠的に予備OLT10dのRAM54dにバックアップされ、
制御装置12は、現用のOLT10a,10b,10cの動作を監視し、OLT10a,10b,10cの管理情報、特に優先管理情報を、その更新の都度又は定期的に予備OLT10dに転送し、予備OLT10dは、制御装置12から転送された各現用OLT10a,10b,10cの管理情報をRAM54d内に、データ55a,55b,55cとして別々に記憶し、即ち、データ55aは、現用OLT10aの優先管理情報であり、
制御装置12は、現用OLT10a,10b,10cの何れか、例えば現用OLT10aから故障の通知を受けると、現用OLT10aを代行するように予備OLT10dに指示し、
予備OLT10dは、制御装置12からのこの代行指示に従い、データ55aを使い、OLT10aの代替機として、ONU18a-1~18a-nの上り及び下りの光伝送を管理し、
予備OLT10dは、予め保持した優先管理情報以外の管理情報、すなわち非優先トラフィックに関する管理情報がある場合(S16)、その管理情報を、OLT10dを流れるトラフィックの監視又は配下のONUに問い合わることで取得する、
現用OLT10a。」
2 引用文献2、引用発明2
(1) 引用文献2
当審拒絶理由(2)の「理由2(進歩性)」において引用した引用文献2には、以下の記載がある。
ア [図1]「
[図:0001401260000002.jpg]
」
イ 段落[0041]-[0053]
「[0041]
(第1の発明の実施形態1)
図1に、実施形態1に係る光ネットワークに備わるOLTの概略構成を示す。実施形態1に係るOLT14では、(N+1)台のOSU15と切替制御用の1個のコントローラ20と1個の集線スイッチ40をそれぞれ備える。各OSU15はPON-IF31とPON信号処理部32とPON制御部33をそれぞれ備え、コントローラ20はOSU/ONU/光スイッチ管理制御部25とオペレーション処理部24と管理テーブル21を備え、集線スイッチ40は集線/振分け制御部43と多重部42と(N+1)個のバッファ41を備える。バッファ41は、上りバッファ及び下りバッファを備える。その他の、説明に不要な構成は省略する。
[0042]
本構成のOLT14は、光スイッチ16を用いたOSU15冗長のPONプロテクションシステムに適用することを想定しており、そのような系においてOSU15のFW更新を行う際に、該当OSU15配下のONU17の接続先OSU15を冗長系OSU15へ無瞬断で切り替え、その間に該当OSU15のFWを更新し、更新完了後、無瞬断で切り戻すことを目的としている。なお、ここでは説明・図示を省略するが、本OLT14を適用したPONプロテクションシステムでは、上記以外の機能ブロック等の働きによりPONプロテクション本来の目的であるOSU故障時にも、もちろん対応可能である。
・・・(中略)・・・
[0047]
PON制御部33は、PON信号処理部32からのMPCP/OAMフレームを受信し、その内容に従って、該当OSU15配下のONU17の登録管理や上り帯域割当などの、ONU17との間でデータ通信を行うために必要な制御を行うとともに、その制御を通してPON制御部33が管理し把握する該当ONU17に関わる情報(ONU情報とする)を、定期的あるいは情報が更新される度にコントローラ20のOSU/ONU/光スイッチ管理制御部25へ出力する。また、PON信号処理部32からバッファのデータ蓄積情報を受信し、その結果、蓄積データがゼロであることが分かった場合に、バッファの残データの処理が完了した旨の通知(バッファ残データ処理完了通知)をコントローラ20のオペレーション処理部24へ通知できる。コントローラ20のOSU/ONU/光スイッチ管理制御部25からONU情報が転送されてきた場合には、そのONU情報を受信するとともに、それまで管理・把握していたONU情報を受信したONU情報の内容の通りに更新し、その更新が完了したらONU情報反映完了通知をOSU/ONU/光スイッチ管理制御部25へ出力する。オペレーション処理部24からのDBA停止指示を受信した場合は、自配下ONU17に対してGateメッセージの送信を停止する。
・・・(中略)・・・
[0049]
OSU/ONU/光スイッチ管理制御部25は、PON制御部33からONU情報を受信するとともに、オペレーション処理部24からの切替元OSU15と切替先OSU15に関する情報(切替OSU情報)を受信し、その内容の通りにテーブルを更新するように管理テーブル21へテーブル更新指示を出力する。また、切替元OSU15配下のONU17に関わるONU情報を管理テーブル21から取得し、そのONU情報を切替先OSU15へ転送するとともに、切替先OSU15からのONU情報反映完了通知を受信する。オペレーション処理部24からの光スイッチ16による経路切替を開始する旨の通知(経路切替開始通知)を受信した際は、該当経路の切替を行うよう、直ちに経路切替指示を光スイッチ16へ出力する。切替先OSU15からのONU情報反映完了通知の受信および光スイッチ16による経路切替が終わったタイミングで、切替完了通知を集線スイッチ40の集線/振分け制御部43へ出力する。
・・・(中略)・・・
[0053]
管理テーブル21は、OLT14配下の全ONU17について、ONU17ごとにONU情報が詳しく記載されるとともに、ONU17ごとの接続先OSU番号、接続先集線スイッチポート番号、接続先光スイッチ入力/出力側ポート番号及びVID番号なども記載される。したがって、コントローラ20は管理テーブル21を通して、全ONU17および全OSU15の物理的な接続状況や登録・管理情報などを詳しく把握できる。本管理テーブル21は、OSU/ONU/光スイッチ管理制御部25からのテーブル更新指示を受信すると、その内容の通りに更新する。」
ウ [図2]「
[図:0001401260000003.jpg]
」
エ 段落[0058]-[0064]
「[0058]
本実施形態に係る光ネットワークシステムのOSU切替方法および局側終端装置のOSU切替方法は、監視手順と、OSU切替手順と、データ伝送開始手順と、を順に有する。正常時においては、監視手順を行う。切替元OSU15故障時においては、OSUを切り替えるOSU切替手順を行った後に、データ伝送開始手順を行う。
[0059]
図2に、本OLT14および光スイッチ16を用いたPONシステムにおける、オペレーション契機の切替シーケンスを示す。この図では、集線スイッチ40、光スイッチ16、コントローラ20、切替先OSU15、ONU17及び切替元OSU15のそれぞれの要素の時間軸をベースとして、時間軸上のポイントはイベント(切替コマンド投入、切替完了など)の発生や終了を示し、要素間を結ぶ矢印はメッセージや情報のやり取りを示している。また、両方向細矢印は状態や動作の時間を表し、両方向太矢印はONU17の状態を表している。なお切替先OSU15からの出力光が切替前の段階で切替元OSU15からの出力光と衝突することのないように、切替前の正常時には、切替先OSU15は切替元OSU15配下のONU17との間で伝送路を確立していない、あるいは切替先OSU15の送信部が発光OFF状態になっているとする。本シーケンス図は後者の場合を想定している。
[0060]
正常時、切替元OSU15は配下のONU17との間でデータ通信を行っており、ONU17からの上りデータは、OSU15によるONU17への帯域割当に基づきOSU15へ送信される。例えばDBA(Dynamic Bandwidth Allocation)では、上りデータの送信許可をOSU15に求めるreportメッセージと、ONU17への送信時刻及び送信データ量を指示したgateメッセージのやり取りをOSU15-ONU17間で行うことを通して、各ONU17からの上りデータが光スプリッタ18や共有ファイバで衝突することなくOSU15へ送信される。このような上り通信制御の下、オペレーションによる切替を行うために、切替元OSU15と切替先OSU15について明示された切替コマンドをコントローラ20へ投入すると、コントローラ20は直ちに、切替元OSU15配下のONU17に紐付けられていたVID番号の収容先OSU15が切替元OSU15から切替先OSU15へ変更した旨の収容先変更指示を、集線スイッチ40へ送信するとともに、DBA停止指示(gate送信停止)を該当の切替元OSU15へ送信する。
・・・(中略)・・・
[0064]
コントローラ20は収容先変更指示およびDBA停止指示を送信後、管理テーブル21に記載されている、切替元OSU15配下のONU17についてのONU情報を切替先OSU15へ転送する。ONU情報を受信した切替先OSU15は、その内容の通りに登録設定し、完了したらONU情報反映完了通知をコントローラ20へ送信する。また、集線スイッチ40および切替元OSU15からの残データ処理完了通知を両方とも受信した時点で、切替元OSU15配下のONU17の接続先OSU15を切替先OSU15にするために、管理テーブル21に従って、光スイッチ16の入出力の接続を該当経路へ切り替えるよう、光スイッチ16へ経路切替指示を出す。光スイッチ16はその指示を受けて、経路切替を行う。」
(2) 引用発明2
よって、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が開示されているものと認められる。
「OLT14では、(N+1)台のOSU15と切替制御用の1個のコントローラ20と1個の集線スイッチ40をそれぞれ備え、
各OSU15はPON-IF31とPON信号処理部32とPON制御部33をそれぞれ備え、
コントローラ20はOSU/ONU/光スイッチ管理制御部25とオペレーション処理部24と管理テーブル21を備え、
OSU15のFW更新を行う際に、該当OSU15配下のONU17の接続先OSU15を冗長系OSU15へ無瞬断で切り替え、その間に該当OSU15のFWを更新し、更新完了後、無瞬断で切り戻すことを目的としており、PONプロテクション本来の目的であるOSU故障時にも、もちろん対応可能であり、
PON制御部33は、該当OSU15配下のONU17の登録管理や上り帯域割当などの、ONU17との間でデータ通信を行うために必要な制御を行うとともに、その制御を通してPON制御部33が管理し把握する該当ONU17に関わる情報(ONU情報)を、定期的あるいは情報が更新される度にコントローラ20のOSU/ONU/光スイッチ管理制御部25へ出力し、また、コントローラ20のOSU/ONU/光スイッチ管理制御部25からONU情報が転送されてきた場合には、そのONU情報を受信するとともに、それまで管理・把握していたONU情報を受信したONU情報の内容の通りに更新し、
OSU/ONU/光スイッチ管理制御部25は、PON制御部33からONU情報を受信するとともに、オペレーション処理部24からの切替元OSU15と切替先OSU15に関する情報(切替OSU情報)を受信し、その内容の通りにテーブルを更新するように管理テーブル21へテーブル更新指示を出力し、また、切替元OSU15配下のONU17に関わるONU情報を管理テーブル21から取得し、そのONU情報を切替先OSU15へ転送するとともに、切替先OSU15からのONU情報反映完了通知を受信し、
管理テーブル21は、OLT14配下の全ONU17について、ONU17ごとにONU情報が詳しく記載されるとともに、ONU17ごとの接続先OSU番号、接続先集線スイッチポート番号、接続先光スイッチ入力/出力側ポート番号及びVID番号なども記載され、
OLT14および光スイッチ16を用いたPONシステムにおける、オペレーション契機の切替シーケンスにおいて、
オペレーションによる切替を行うために、切替元OSU15と切替先OSU15について明示された切替コマンドをコントローラ20へ投入すると、コントローラ20は直ちに、収容先変更指示を、集線スイッチ40へ送信するとともに、DBA停止指示(gate送信停止)を該当の切替元OSU15へ送信し、
コントローラ20は収容先変更指示およびDBA停止指示を送信後、管理テーブル21に記載されている、切替元OSU15配下のONU17についてのONU情報を切替先OSU15へ転送し、
ONU情報を受信した切替先OSU15は、その内容の通りに登録設定する、
OLT14の切替元OSU15。」
3 引用文献3、周知技術1
(1) 引用文献3
当審拒絶理由(2)の「理由2(進歩性)」において、周知技術を示す文献として引用した引用文献3には、以下の記載がある。
ア 【図1】、段落【0052】「
[図:0001401260000004.jpg]
」
「【0052】
この実施形態の運用系OLT5-1~5-3はそれぞれ、内部機能の図示は省略しているが、当該運用系OLTにおいて、所定情報(図3参照)の更新があったときは、その内部のOLT制御部は、更新された情報を全体制御部7に通知し、全体制御部7の制御下で、予備系OLT6(の予備系OLT本体12)へ与えるようになされている。」
イ 【図4】、段落【0054】「
[図:0001401260000005.jpg]
」
「【0054】
図4において、全体制御部7は、OAM送受信部73、MPCP送受信部74、CPU部75、RAM部76、ROM部77、PON送信部78、PON受信部79、PON光送受信部70、制御部間通信部71を有する。」
ウ 段落【0060】
「【0060】
ROM部77に格納されているプログラムとして、PON制御プロトコルの実行に必要なプログラム(例えば、DBA(Dynamic Bandwidth Allocation;動的帯域割当)処理プログラム、MPCPプログラム、OAMプログラム、暗号処理プログラム、認証処理プログラム等)が格納されている。以下では、適宜、例示した各種プログラムと、その各種プログラムの処理のためのデータの通信構成とを併せて、DBA部、MPCP部、OAM部、暗号部、認証部と呼ぶ。」
エ 段落【0063】-【0064】
「【0063】
運用系情報メモリ72Bには、運用系OLT5-1~5-3が区別できるようなOLT番号と、各OLT番号に続いて、ONU番号、LLID(Logical Link ID)情報、往復伝搬遅延時間(Round Trip Time;以下、RTTと呼ぶ)、ONUのMAC(Media Access Control)アドレス、ONU登録情報、上り帯域等が記述される。図5では、記載していないが、暗号で適用するキーや認証結果等も運用系情報メモリ72Bに記述されている。
【0064】
ここで、ONU番号、LLID情報、ONUのMACアドレス、ONU登録情報、上り帯域等は、予備系OLT6が待機しているときにも、所定のタイミングで適宜、該当する運用系OLT5-1~5-3から転送されて記述されるものである。」
オ 段落【0067】)
「【0067】
制御部間通信部71は、当該全体制御部7におけるCPU部75と、運用系OLT5-1~5-3におけるOLT制御部(図示せず)や予備系OLT本体12のOLT制御部12Aとの間の通信を行うものである。制御部間通信部71は、例えば、外部バス8とのデータ授受するレシーバやドライバで構成されている。全体制御部7がPON制御プロトコルのソフトウェア処理に獲得した運用系情報メモリ72Aのうち、各運用系OLT5-1~5-3のOLT番号、各ONU3-1~3-96のONU番号、各ONU3-1~3-96のLLID情報が、運用系OLT5-1~5-3及び予備系OLT本体12のOLT制御部12Aに与えられる。」
(2) 周知技術1
上記(1)の各記載から、一般に、通信ネットワークのOAM用の各種信号を「OAM部」を介して転送することは、周知技術(以下「周知技術1」という。)であるといえる。
4 引用文献4、周知技術2
(1) 引用文献4
当審拒絶理由(2)の「理由2(進歩性)」において、周知技術を示す文献として引用した引用文献4には、以下の記載がある。
ア 【図1】「
[図:0001401260000006.jpg]
」
イ 段落【0013】-【0014】
「【0013】
現用OLT10aと予備OLT10bは、同じ構成と機能からなる。基本的な動作を説明する。現用OLT10aの構成要素には、符号にaを付加し、予備OLT10bの構成要素には符号にbを付加する。
【0014】
ネットワークインターフェース12aはLAN(Local Area Network)トランシーバを内蔵する。ネットワークインターフェース12aは、スイッチ40からのデータ信号を下りバッファ14aに供給する。下りバッファ14aは、ネットワークインターフェース12aからのデータ信号の内、OLT10a自身に向けたデータ信号をCPU16aに、残りのデータ信号、具体的には、配下のONU68-1~68-nの何れかに伝送すべきデータ信号(下り信号)を電気/光変換器18aに供給する。CPU16aはまた、配下のONU68-1~68-nに供給すべき制御信号等を下りバッファ14aに供給する。更に、CPU16aは、下りバッファ14a内の下り信号を盗み見(スヌープ)し、必要な制御を行う。」
(2) 周知技術2
上記(1)の各記載から、一般に、複数の信号を多重化して、1本の「信号線」でまとめて伝送することは、周知技術(以下「周知技術2」という。)であるといえる。
5 先願5、先願発明
(1) 先願明細書等の記載
先願5の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)には、以下の事項が記載されている。
ア 【図1】「
[図:0001401260000007.jpg]
」
イ 段落【0010】-【0018】
「【0010】
図1に示されるPONシステムは、N:1のPONプロテクション機能を持つ。N:1のPONプロテクション機能は、現用系として動作するN個(Nは自然数)のPONインタフェース部(PON-IF部)のうちのいずれか1系統で通信障害が発生した場合に、例えば、光スイッチにより現用系PONインタフェース部から予備系PONインタフェース部に通信信号の通信経路を切り替える機能である。現用系PONインタフェース部の配下に接続されたONUを予備系PONインタフェース部に接続することにより、通信障害が発生した場合でも、通信の継続が可能になる。ただし、本発明は、1:1プロテクション構成のPONシステムにも適用可能である。
【0011】
実施の形態1に係るPONシステムは、OLT1と、少なくとも1つのONU2とを有する。OLT1及びONU2は、光ファイバ4を介して接続されており、通信信号としての光信号を用いて互いに通信可能である。光ファイバ4は、幹線光ファイバ4aと支線光ファイバ4bとを含む。幹線光ファイバ4aは、光スプリッタ3によって、複数の支線光ファイバ4bに分岐されている。これにより、OLT1及び光スプリッタ3は、幹線光ファイバ4aを介して接続されており、ONU2及び光スプリッタ3は、支線光ファイバ4bを介して接続されている。
・・・(中略)・・・
【0013】
OLT1は、N:1(Nは自然数)のPONプロテクションを採用している。すなわち、OLT1は、N個の現用系PONインタフェース部7を有する。N個の現用系PONインタフェース部7のいずれかに通信障害が発生した場合、切り替え対象の現用系PONインタフェース部7(通信障害が発生したPON-IF部)から、予備系PONインタフェース部9に、通信経路を切り替えるための引き継ぎデータ(転送データ)が転送される。
・・・(中略)・・・
【0015】
現用系PONインタフェース部7は、光スイッチ部8を介して光ファイバ4(具体的には、幹線光ファイバ4a)と接続されている。現用系PONインタフェース部7は、現用系として動作する。現用系PONインタフェース部7は、データを伝達するための通信信号(例えば、イーサネット(登録商標)フレーム)を出力する。
【0016】
予備系PONインタフェース部9は、光スイッチ部8の光スイッチ8bを介して光ファイバ4(具体的には、幹線光ファイバ4a)と接続されている。予備系PONインタフェース部9は、予備系としてOLT1に備えられている。予備系PONインタフェース部9は、データを伝達するための通信信号(例えば、イーサネット(登録商標)フレーム)を出力可能である。予備系PONインタフェース部9は、通信経路の切り替え処理後に、発光(光信号の生成)の指示である発光開始通知を、制御部6から受信するまで消光状態(光信号の生成の停止状態)である。
【0017】
光スイッチ部8は、少なくとも1つの光スプリッタ8aと、光スイッチ8bとを有する。光スプリッタ8aは、信号線を2つの経路に分岐する。現用系PONインタフェース部7は、光スプリッタ8aと接続されており、予備系PONインタフェース部9は、光スイッチ8bと接続されている。
【0018】
現用系PONインタフェース部7及び予備系PONインタフェース部9は、SW-IF部10に接続されており、SW-IF部10を介して上位ネットワークと接続されている。現用系PONインタフェース部7及び予備系PONインタフェース部9は、通信経路を切り替える際にデータ転送を行うために互いに接続されており、イーサネット(登録商標)により互いに通信可能である。」
ウ 【図3】「
[図:0001401260000008.jpg]
」
エ 段落【0020】-【0037】
「【0020】
図3は、各PON-IF部(現用系PONインタフェース部7及び予備系PONインタフェース部9の各々)の構成を概略的に示すブロック図である。現用系PONインタフェース部7及び予備系PONインタフェース部9の構成(構成要素)は互いに同じであり、動作条件、すなわち現用系であるか予備系であるかが互いに異なる。
【0021】
各PON-IF部は、障害検出部11と、光送受信器12と、CPU13と、メモリ14と、通信制御部18と、MUX/DEMUX(マルチプレクサ/デマルチプレクサ)部19と、バス20とを有する。
【0022】
通信制御部18は、CPU13とは異なる少なくとも1つのハードウェアで構成されている。本実施の形態では、通信制御部18は、それぞれハードウェアで構成された、制御回路としてのDMAC(ダイレクトメモリアクセスコントローラ:Direct Memory Access Controller)15と、フレーム送信部16(イーサネット(登録商標)フレーム送信部)と、フレーム受信部17(イーサネット(登録商標)フレーム受信部)とを有する。
・・・(中略)・・・
【0027】
例えば、通信経路の切り替え処理のとき、予備系PONインタフェース部9では、CPU13(第2のCPU)は、メモリ14に記憶されたデータ(現用系PONインタフェース部7から受信した引き継ぎデータ)に基づいて予備系PONインタフェース部9の設定(具体的には、予備系PONインタフェース部9内の各構成要素に対する制御)を行う。
【0028】
メモリ14は、各種のデータ及びCPU13によって実行されるプログラムを記憶する。メモリ14に記憶されるデータとしては、例えば、現用系PONインタフェース部7の設定情報及び現用系PONインタフェース部7に接続されたONU2の登録状態を示す情報である。メモリ14は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)である。
・・・(中略)・・・
【0031】
例えば、通信経路の切り替えのとき、現用系PONインタフェース部7では、第1の制御回路としてのDMAC15(第1のDMAC)は、CPU13(第1のCPU)からの指示に従って、メモリ14(第1のメモリ)に記憶されているデータ(引き継ぎデータ)をCPU13の代わりに読み出し、予備系PONインタフェース部9に向けて転送する。具体的には、DMAC15によって読み出された引き継ぎデータは、フレーム送信部16に転送される。
【0032】
例えば、通信経路の切り替えのとき、予備系PONインタフェース部9では、第2の制御回路としてのDMAC15(第2のDMAC)は、現用系PONインタフェース部7から受信したデータをメモリ14(第2のメモリ)に書き込む。
【0033】
フレーム送信部16は、CPU13とは異なるハードウェアで構成されている。フレーム送信部16は、例えば、DMAC15から入力されたデータを、イーサネット(登録商標)フレーム(以下単に「フレーム」ともいう)を用いて転送する機能を持つハードウェア(例えば、集積回路)である。各PON-IF部は、互いに異なるMAC(Media Access Control)アドレスを持っており、フレーム送信部16から送信されるフレームには、DA(Destination Address)及びSA(Source Address)が格納される。フレーム送信部16は、現用系PONインタフェース部7から出力されるフレームの優先度を、フレームに付与することができる。
【0034】
フレーム受信部17は、CPU13とは異なるハードウェアで構成されている。フレーム受信部17は、例えば、MUX/DEMUX部19から受信したデータ(例えば、現用系PONインタフェース部7から受信したデータ)を、フレームとしてDMAC15へ転送する機能を持つハードウェア(例えば、集積回路)である。
【0035】
図3に示される例では、フレーム送信部16及びフレーム受信部17は、MUX/DEMUX部19に接続されている。
【0036】
MUX/DEMUX部19は、データの多重化及び分離(例えば、出力データの選択)を行う。
【0037】
バス20(外部バス)は、SW-IF部10に接続されている。」
オ 段落【0038】-【0042】
「【0038】
図4は、OLT1における通信経路の切り替え処理を示すフローチャートである。
図4を参照しながら、図1に示されるPONシステムにおける通信経路の切り替え処理(通信経路切替方法)について以下に説明する。
【0039】
障害検出部11は、PONシステムにおける通信障害の監視を行う(ステップS1)。障害検出部11は、随時、PONシステムにおいて通信障害が発生しているかどうかを検出する(ステップS2)。通信障害が検出されない場合(ステップS2でNO)、再び通信障害の監視を行う(ステップS1)。
【0040】
例えば、複数の現用系PONインタフェース部7のうちのPON-IF部#1の障害検出部11が通信障害を検出したとき(ステップS2でYES)、PON-IF部#1(障害検出部11)は、通信障害の発生を制御部6に通知する。制御部6は、PON-IF部#1から通知を受けた後、現用系PONインタフェース部7(PON-IF部#1)及び予備系PONインタフェース部9に対する切替通知を行う(ステップS3)。
【0041】
制御部6は、予備系PONインタフェース部9に異常があるかを判断する(ステップS4)。予備系PONインタフェース部9に異常があるとき(ステップS4でYES)、通信経路の切り替え処理を中止する(ステップS5)。予備系PONインタフェース部9に異常がないとき(ステップS4でNO)、処理はステップS6に進む。
【0042】
ステップS6では、予備系PONインタフェース部9の運用(通信経路の切り替え完了後の運用)が現用系PONインタフェース部7(PON-IF部#1)の運用(切り替え前の運用)と同じになるように、PON-IF部#1は、PON-IF部#1のメモリ14に記憶されているデータ(引き継ぎデータ)をDMA方式で読み出し、予備系PONインタフェース部9に向けて転送する。具体的には、通信制御部18(第1の通信制御部)のDMAC15によってメモリ14から読み出された引き継ぎデータは、フレーム送信部16に伝達され、フレーム送信部16によってフレームにカプセル化される。カプセル化されたフレームは、MUX/DEMUX部19で複数の信号と多重化され、バス20を介して予備系PONインタフェース部9に送信される(ステップS6)。」
(2) 先願発明
上記(1)から、先願明細書等には、次の発明(以下「先願発明」という。)が記載されていると認められる。
「PONシステムは、OLT1と、少なくとも1つのONU2とを有し、
OLT1は、N個の現用系PONインタフェース部7を有し、N個の現用系PONインタフェース部7のいずれかに通信障害が発生した場合、切り替え対象の現用系PONインタフェース部7(通信障害が発生したPON-IF部)から、予備系PONインタフェース部9に、通信経路を切り替えるための引き継ぎデータ(転送データ)が転送され、
現用系PONインタフェース部7は、データを伝達するための通信信号(例えば、イーサネット(登録商標)フレーム)を出力し、
予備系PONインタフェース部9は、データを伝達するための通信信号(例えば、イーサネット(登録商標)フレーム)を出力可能であり、
現用系PONインタフェース部7及び予備系PONインタフェース部9は、SW-IF部10に接続されており、SW-IF部10を介して上位ネットワークと接続されており、
現用系PONインタフェース部7及び予備系PONインタフェース部9は、通信経路を切り替える際にデータ転送を行うために互いに接続されており、イーサネット(登録商標)により互いに通信可能であり、
各PON-IF部(現用系PONインタフェース部7及び予備系PONインタフェース部9の各々)は、障害検出部11と、光送受信器12と、CPU13と、メモリ14と、通信制御部18と、MUX/DEMUX(マルチプレクサ/デマルチプレクサ)部19と、バス20とを有し、
通信制御部18は、制御回路としてのDMAC(ダイレクトメモリアクセスコントローラ)15と、フレーム送信部16(イーサネット(登録商標)フレーム送信部)と、フレーム受信部17(イーサネット(登録商標)フレーム受信部)とを有し、
例えば、通信経路の切り替え処理のとき、予備系PONインタフェース部9では、CPU13(第2のCPU)は、メモリ14に記憶されたデータ(現用系PONインタフェース部7から受信した引き継ぎデータ)に基づいて予備系PONインタフェース部9の設定(具体的には、予備系PONインタフェース部9内の各構成要素に対する制御)を行い、
メモリ14に記憶されるデータとしては、例えば、現用系PONインタフェース部7の設定情報及び現用系PONインタフェース部7に接続されたONU2の登録状態を示す情報であり、
例えば、通信経路の切り替えのとき、現用系PONインタフェース部7では、第1の制御回路としてのDMAC15(第1のDMAC)は、CPU13(第1のCPU)からの指示に従って、メモリ14(第1のメモリ)に記憶されているデータ(引き継ぎデータ)をCPU13の代わりに読み出し、予備系PONインタフェース部9に向けて転送し、具体的には、DMAC15によって読み出された引き継ぎデータは、フレーム送信部16に転送され、
例えば、通信経路の切り替えのとき、予備系PONインタフェース部9では、第2の制御回路としてのDMAC15(第2のDMAC)は、現用系PONインタフェース部7から受信したデータをメモリ14(第2のメモリ)に書き込み、
バス20(外部バス)は、SW-IF部10に接続されており、
OLT1における通信経路の切り替え処理において、
具体的には、通信制御部18(第1の通信制御部)のDMAC15によってメモリ14から読み出された引き継ぎデータは、フレーム送信部16に伝達され、フレーム送信部16によってフレームにカプセル化され、カプセル化されたフレームは、MUX/DEMUX部19で複数の信号と多重化され、バス20を介して予備系PONインタフェース部9に送信される、
PONシステムのOLT1の現用系PONインタフェース部7。」
第6 対比・判断
1 「先願発明」(先願5)に係る当審拒絶理由(2)の「理由1(拡大先願)」について
(1) 本願発明1と先願発明との対比
本願発明1と、先願発明とを対比すると、以下のことがいえる。
ア 先願発明の「切り替え対象の現用系PONインタフェース部7(通信障害が発生したPON-IF部)」は、本願発明1の「通信装置」に相当する。 先願発明の「切り替え対象の現用系PONインタフェース部7(通信障害が発生したPON-IF部)」についての、「現用系PONインタフェース部7に接続されたONU2」は、本願発明1の「帰属替え対象となる第1の通信装置」に相当する。
よって、先願発明の「切り替え対象の現用系PONインタフェース部7」の「メモリ14」は、「メモリ14に記憶されるデータとしては、例えば、現用系PONインタフェース部7の設定情報及び現用系PONインタフェース部7に接続されたONU2の登録状態を示す情報であ」るから、本願発明1の「通信装置を構成する部品として、帰属替え対象となる第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の特定の状態に関する情報の少なくとも一部の情報を保持する保持部」に相当する。
イ 先願発明の「切り替え対象の現用系PONインタフェース部7」の「メモリ14(第1のメモリ)に記憶されているデータ(引き継ぎデータ)」は、本願発明1の「保持している情報の少なくとも一部」に相当する。
先願発明の「予備系PONインタフェース部9」の「メモリ14(第2のメモリ)」は、本願発明1の「帰属替え先に対応する第2の通信装置の保持部」に相当する。
先願発明の「現用系PONインタフェース部7及び予備系PONインタフェース部9は、通信経路を切り替える際にデータ転送を行うために互いに接続されており、イーサネット(登録商標)により互いに通信可能であり、
各PON-IF部(現用系PONインタフェース部7及び予備系PONインタフェース部9の各々)は、障害検出部11と、光送受信器12と、CPU13と、メモリ14と、通信制御部18と、MUX/DEMUX(マルチプレクサ/デマルチプレクサ)部19と、バス20とを有し、
通信制御部18は、制御回路としてのDMAC(ダイレクトメモリアクセスコントローラ)15と、フレーム送信部16(イーサネット(登録商標)フレーム送信部)と、フレーム受信部17(イーサネット(登録商標)フレーム受信部)とを有し」、「例えば、通信経路の切り替えのとき、現用系PONインタフェース部7では、第1の制御回路としてのDMAC15(第1のDMAC)は、CPU13(第1のCPU)からの指示に従って、メモリ14(第1のメモリ)に記憶されているデータ(引き継ぎデータ)をCPU13の代わりに読み出し、予備系PONインタフェース部9に向けて転送し、具体的には、DMAC15によって読み出された引き継ぎデータは、フレーム送信部16に転送され、
例えば、通信経路の切り替えのとき、予備系PONインタフェース部9では、第2の制御回路としてのDMAC15(第2のDMAC)は、現用系PONインタフェース部7から受信したデータをメモリ14(第2のメモリ)に書き込み、
バス20(外部バス)は、SW-IF部10に接続されており、
OLT1における通信経路の切り替え処理において、
具体的には、通信制御部18(第1の通信制御部)のDMAC15によってメモリ14から読み出された引き継ぎデータは、フレーム送信部16に伝達され、フレーム送信部16によってフレームにカプセル化され、カプセル化されたフレームは、MUX/DEMUX部19で複数の信号と多重化され、バス20を介して予備系PONインタフェース部9に送信される」ことは、「バス20(外部バス)」は、「現用系PONインタフェース部7」と「予備系PONインタフェース部9」からみて明らかに「外部」にあるから、本願発明1の「OAM部、主信号線又はオペレーションシステムのいずれかの前記通信装置と前記第2の通信装置との間を接続する外部の経路」と、少なくとも、「信号線である、前記通信装置と前記第2の通信装置との間を接続する外部の経路」である点で、共通するといえる。
よって、先願発明において、「例えば、通信経路の切り替えのとき、予備系PONインタフェース部9では、第2の制御回路としてのDMAC15(第2のDMAC)は、現用系PONインタフェース部7から受信したデータをメモリ14(第2のメモリ)に書き込み、
バス20(外部バス)は、SW-IF部10に接続されており、
OLT1における通信経路の切り替え処理において、
具体的には、通信制御部18(第1の通信制御部)のDMAC15によってメモリ14から読み出された引き継ぎデータは、フレーム送信部16に伝達され、フレーム送信部16によってフレームにカプセル化され、カプセル化されたフレームは、MUX/DEMUX部19で複数の信号と多重化され、バス20を介して予備系PONインタフェース部9に送信される」ことは、本願発明1の「前記保持部は、前記帰属替え対象となる第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の特定の状態に関する情報の少なくとも一部の情報を保持する保持部とは異なる複数の保持部に対して保持する情報を通知しておき、前記第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の帰属替えのタイミングで、前記通知された保持部は、保持している情報の少なくとも一部を帰属替え先に対応する第2の通信装置の保持部に対して、OAM部、主信号線又はオペレーションシステムのいずれかの前記通信装置と前記第2の通信装置との間を接続する外部の経路を介して通知する」ことと、少なくとも、「前記保持部は、前記第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の帰属替えのタイミングで、保持している情報の少なくとも一部を帰属替え先に対応する第2の通信装置の保持部に対して、信号線である、前記通信装置と前記第2の通信装置との間を接続する外部の経路を介して通知する」点で共通するといえる。
ウ したがって、本願発明1と先願発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
[一致点]
「通信装置を構成する部品として、帰属替え対象となる第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の特定の状態に関する情報の少なくとも一部の情報を保持する保持部を備え、
前記保持部は、前記第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の帰属替えのタイミングで、保持している情報の少なくとも一部を帰属替え先に対応する第2の通信装置の保持部に対して、信号線である、前記通信装置と前記第2の通信装置との間を接続する外部の経路を介して通知する通信装置。」
[相違点1]
本願発明1では、「前記保持部は、前記帰属替え対象となる第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の特定の状態に関する情報の少なくとも一部の情報を保持する保持部とは異なる複数の保持部に対して保持する情報を通知しておき、前記第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の帰属替えのタイミングで、前記通知された保持部は、保持している情報の少なくとも一部を帰属替え先に対応する第2の通信装置の保持部に対して、OAM部、主信号線又はオペレーションシステムのいずれかの前記通信装置と前記第2の通信装置との間を接続する外部の経路を介して通知する」のに対して、先願発明では、「前記帰属替え対象となる第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の特定の状態に関する情報の少なくとも一部の情報を保持する保持部とは異なる複数の保持部に対して保持する情報を通知しておき」、「前記通知された保持部は」、第2の通信装置の保持部に対して通知するものではない点。
[相違点2]
本願発明1では、「信号線」が、「主信号線」であるのに対し、先願発明では、「バス20(外部バス)」が、「主信号線」であることが明確には特定されていない点。
(2) 相違点についての判断
そこで、[相違点1]について検討する。
先願発明は、「現用系PONインタフェース部7」が、「予備系PONインタフェース部9」に対して、「現用系PONインタフェース部7に接続されたONU2の登録状態を示す情報」の通知を行うものであって、本願発明1のように、第1の通信装置に関する情報の通知する際、通信装置の「保持部とは異なる複数の保持部に対して保持する情報を通知しておき」、「前記通知された保持部は」、第2の通信装置の保持部に対して通知するものではない。
そして、上記の差異は、実質的なものであって、本願発明1は、先願発明に、何らかの周知技術の付加又は周知技術による転換を行ったものであるとはいえず、本願発明1は、先願発明と別異の効果を奏するものである。
よって、本願発明1は、先願発明と実質的に同一であるとはいえない。
(3) 本願発明2-3について
本願発明2は、本願発明1に対応する情報通知方法の発明であって、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明であり、本願発明3は、本願発明1の「通信装置」を引用する「コンピュータプログラム」の発明であるから、本願発明1と同様の理由により、先願発明と同一あるいは実質的に同一であるとはいえない。
2 「引用発明1」(引用文献1)に係る当審拒絶理由(2)の「理由2(進歩性)」について
(1) 本願発明1と引用発明1との対比
本願発明1と、引用発明1とを対比すると、以下のことがいえる。
ア 引用発明1の「現用OLT10a」は、本願発明1の「通信装置」に相当する。
引用発明1の「現用OLT10a」の「配下のONU18a-1~18a-n」は、現用OLT10aの故障時、「予備OLT10d」が「OLT10aの代替機として、ONU18a-1~18a-nの上り及び下りの光伝送を管理」するから、本願発明1の「帰属替え対象となる第1の通信装置」に相当する。
よって、引用発明1の「現用OLT10a」の「RAM54a」は、「OLT10aの構成において、CPU46aは、起動時に、配下のONU18a-1~18a-nと情報をやり取りし、種々の管理情報をRAM54aに格納し」ているから、本願発明1の「通信装置を構成する部品として、帰属替え対象となる第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の特定の状態に関する情報の少なくとも一部の情報を保持する保持部」に相当する。
イ 引用発明1の「予備OLT10d」の「RAM54d」は、本願発明1の「帰属替え先に対応する第2の通信装置の保持部」に相当する。
引用発明1の「現用OLT10a」の「RAM54a」に格納される「種々の管理情報」のうち「優先管理情報」は、本願発明1の「保持している情報の少なくとも一部」に相当する。
引用発明1において、「現用OLT10a」から「予備OLT10d」に管理情報を転送する「制御装置12」は、「現用OLT10a」と「予備OLT10d」からみて明らかに「外部」にあるから、本願発明1の「OAM部、主信号線又はオペレーションシステムのいずれかの前記通信装置と前記第2の通信装置との間を接続する外部の経路」と、少なくとも、「前記通信装置と前記第2の通信装置との間を接続する外部の経路」である点で、共通するといえる。
よって、引用発明1の「優先管理情報が、制御装置12を介して、更新の都度又は間欠的に予備OLT10dのRAM54dにバックアップされ、
制御装置12は、現用のOLT10a,10b,10cの動作を監視し、OLT10a,10b,10cの管理情報、特に優先管理情報を、その更新の都度又は定期的に予備OLT10dに転送し、予備OLT10dは、制御装置12から転送された各現用OLT10a,10b,10cの管理情報をRAM54d内に、データ55a,55b,55cとして別々に記憶し、即ち、データ55aは、現用OLT10aの優先管理情報であ」ることは、本願発明1の「前記保持部は、前記帰属替え対象となる第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の特定の状態に関する情報の少なくとも一部の情報を保持する保持部とは異なる複数の保持部に対して保持する情報を通知しておき、前記第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の帰属替えのタイミングで、前記通知された保持部は、保持している情報の少なくとも一部を帰属替え先に対応する第2の通信装置の保持部に対して、OAM部、主信号線又はオペレーションシステムのいずれかの前記通信装置と前記第2の通信装置との間を接続する外部の経路を介して通知する」ことと、「前記保持部は、保持している情報の少なくとも一部を帰属替え先に対応する第2の通信装置の保持部に対して、前記通信装置と前記第2の通信装置との間を接続する外部の経路を介して通知する」点で共通するといえる。
ウ したがって、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
[一致点]
「通信装置を構成する部品として、帰属替え対象となる第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の特定の状態に関する情報の少なくとも一部の情報を保持する保持部を備え、
前記保持部は、保持している情報の少なくとも一部を帰属替え先に対応する第2の通信装置の保持部に対して、前記通信装置と前記第2の通信装置との間を接続する外部の経路を介して通知する通信装置。」
[相違点1-1]
本願発明1では、保持部は、「前記帰属替え対象となる第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の特定の状態に関する情報の少なくとも一部の情報を保持する保持部とは異なる複数の保持部に対して保持する情報を通知しておき、前記第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の帰属替えのタイミングで、前記通知された保持部は」、通信装置の保持部から第2の通信装置の保持部に情報を通知するのに対して、引用発明1では、「優先管理情報を、その更新の都度又は定期的に予備OLT10dに転送」するものであって、「前記帰属替え対象となる第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の特定の状態に関する情報の少なくとも一部の情報を保持する保持部とは異なる複数の保持部に対して保持する情報を通知しておき、前記第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の帰属替えのタイミングで、前記通知された保持部は」管理情報を通知することが特定されていない点。
[相違点1-2]
本願発明1では、「OAM部、主信号線又はオペレーションシステムのいずれかの」外部の経路を介して、通信装置の保持部から第2の通信装置の保持部に情報を通知するのに対して、引用発明1では、「制御装置12」を介するものであって、「OAM部、主信号線又はオペレーションシステムのいずれかの」外部の経路を介して管理情報を通知することが特定されていない点。
(2) 相違点についての判断
通信装置と第2の通信装置との間で外部の経路を介して通知を行うことに関して相互に関連する、上記[相違点1-1]及び[相違点1-2]について、まとめて検討する。
引用文献3には、通信ネットワークのOAM用の各種信号を「OAM部」を介して転送する「周知技術1」が開示され、引用文献4には、複数の信号を多重化して、1本の「信号線」でまとめて伝送する「周知技術2」が開示されるが、「前記帰属替え対象となる第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の特定の状態に関する情報の少なくとも一部の情報を保持する保持部とは異なる複数の保持部に対して保持する情報を通知しておき、前記第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の帰属替えのタイミングで、前記通知された保持部は」、「OAM部、主信号線又はオペレーションシステムのいずれかの」外部の経路を介して、管理情報を通知することは、引用文献1、3-4のいずれにも記載されておらず、周知技術であったともいえない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用文献1、3-4に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3) 本願発明2-3について
本願発明2は、本願発明1に対応する情報通知方法の発明であって、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明であり、本願発明3は、本願発明1の「通信装置」を引用する「コンピュータプログラム」の発明であるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明1、3-4に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 「引用発明2」(引用文献2)に係る当審拒絶理由(2)の「理由2(進歩性)」について
(1) 本願発明1と引用発明2との対比
本願発明1と、引用発明2とを対比すると、以下のことがいえる。
ア 引用発明2の「OLT14の切替元OSU15」は、本願発明1の「通信装置」に相当する。
引用発明2の「該当OSU15配下のONU17」は、「該当OSU15配下のONU17の接続先OSU15を冗長系OSU15へ無瞬断で切り替え」るから、本願発明1の「帰属替え対象となる第1の通信装置」に相当する。
よって、引用発明2の「切替元OSU15」の「PON制御部33が管理し把握する該当ONU17に関わる情報(ONU情報)」は、本願発明1の「帰属替え対象となる第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の特定の状態に関する情報の少なくとも一部の情報」に相当する。
したがって、引用発明2の「切替元OSU15」の「PON制御部33」は、「該当OSU15配下のONU17の登録管理や上り帯域割当などの、ONU17との間でデータ通信を行うために必要な制御を行うとともに、その制御を通してPON制御部33が管理し把握する該当ONU17に関わる情報(ONU情報)を、定期的あるいは情報が更新される度にコントローラ20のOSU/ONU/光スイッチ管理制御部25へ出力し」ており、ここで、「PON制御部33」が「ONU情報」を「管理し把握」する前提として、「ONU情報」を何らかの手段によって「保持」していることは明らかといえるから、本願発明1が「通信装置を構成する部品として、帰属替え対象となる第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の特定の状態に関する情報の少なくとも一部の情報を保持する保持部」を備えることと、少なくとも「通信装置を構成する部品として、帰属替え対象となる第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の特定の状態に関する情報の少なくとも一部の情報を保持」する点で共通するといえる。
イ 上記アのとおり、「切替元OSU15」の「PON制御部33」は、本願発明1の「前記帰属替え対象となる第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の特定の状態に関する情報の少なくとも一部の情報を保持する保持部」と、少なくとも「前記帰属替え対象となる第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の特定の状態に関する情報の少なくとも一部の情報を保持」する点で共通するといえる。
また、引用発明2の「OLT14」の「コントローラ20」が備える「管理テーブル21」は、本願発明1の「保持部とは異なる複数の保持部」と、少なくとも「保持部」である点で共通するといえる。
さらに、引用発明2の「切替先」である「冗長系OSU15」の「PON制御部33」は、本願発明1の「帰属替え先に対応する第2の通信装置の保持部」と、「帰属替え先に対応する第2の通信装置」である点で共通するといえる。
引用発明2の「PON制御部33が管理し把握する該当ONU17に関わる情報(ONU情報)」は、本願発明1の「保持している情報の少なくとも一部」に相当する。
引用発明2の「OLT14」の「コントローラ20」は、「切替元OSU15」と「冗長系OSU15」からみたときには、OSUの「外部」にあるといえるから、本願発明1の「OAM部、主信号線又はオペレーションシステムのいずれかの前記通信装置と前記第2の通信装置との間を接続する外部の経路」と、少なくとも、「前記通信装置と前記第2の通信装置との間を接続する外部の経路」である点で、共通するといえる。
よって、引用発明2において、「切替元OSU15」の「PON制御部33」は、「該当OSU15配下のONU17の登録管理や上り帯域割当などの、ONU17との間でデータ通信を行うために必要な制御を行うとともに、その制御を通してPON制御部33が管理し把握する該当ONU17に関わる情報(ONU情報)を、定期的あるいは情報が更新される度にコントローラ20のOSU/ONU/光スイッチ管理制御部25へ出力し」、「OSU/ONU/光スイッチ管理制御部25は、PON制御部33からONU情報を受信するとともに、オペレーション処理部24からの切替元OSU15と切替先OSU15に関する情報(切替OSU情報)を受信し、その内容の通りにテーブルを更新するように管理テーブル21へテーブル更新指示を出力し」ており、その後、「オペレーションによる切替を行うために、切替元OSU15と切替先OSU15について明示された切替コマンドをコントローラ20へ投入すると」、「コントローラ20は収容先変更指示およびDBA停止指示を送信後、管理テーブル21に記載されている、切替元OSU15配下のONU17についてのONU情報を切替先OSU15へ転送し」、このような「切り替えコマンド」に基づく「コントローラ20」からの「ONU情報」の転送に対応して、「切替先」である「冗長系OSU15」において、「コントローラ20のOSU/ONU/光スイッチ管理制御部25からONU情報が転送されてきた場合には、そのONU情報を受信」していることは、本願発明1の「前記保持部は、前記帰属替え対象となる第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の特定の状態に関する情報の少なくとも一部の情報を保持する保持部とは異なる複数の保持部に対して保持する情報を通知しておき、前記第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の帰属替えのタイミングで、前記通知された保持部は、保持している情報の少なくとも一部を帰属替え先に対応する第2の通信装置の保持部に対して、OAM部、主信号線又はオペレーションシステムのいずれかの前記通信装置と前記第2の通信装置との間を接続する外部の経路を介して通知する」ことと、「前記帰属替え対象となる第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の特定の状態に関する情報の少なくとも一部の情報を保持する、保持部に対して保持する情報を通知しておき、前記第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の帰属替えのタイミングで、前記通知された保持部は、保持している情報の少なくとも一部を帰属替え先に対応する第2の通信装置に対して、前記通信装置と前記第2の通信装置との間を接続する外部の経路を介して通知する」点で共通するといえる。
ウ したがって、本願発明1と引用発明2との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
[一致点]
「通信装置を構成する部品として、帰属替え対象となる第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の特定の状態に関する情報の少なくとも一部の情報を保持し、
前記帰属替え対象となる第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の特定の状態に関する情報の少なくとも一部の情報を保持する、保持部に対して保持する情報を通知しておき、前記第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の帰属替えのタイミングで、前記通知された保持部は、保持している情報の少なくとも一部を帰属替え先に対応する第2の通信装置に対して、前記通信装置と前記第2の通信装置との間を接続する外部の経路を介して通知する通信装置。」
[相違点2-1]
本願発明1では、通信装置が、通信装置を構成する部品として「保持部」を備えることが特定されており、「前記保持部は」、「保持部とは異なる複数の」保持部に対して保持する情報を通知しておくことが特定されており、第2の通信装置が「保持部」を備えることが特定されているのに対して、引用発明2では、「切替元OSU15」の「PON制御部15」の具体的な構成が特定されていないために、「切替元OSU15」が「保持部」を備えることが特定されておらず、引用発明2の「OLT14」の「コントローラ20」が備える「管理テーブル21」は、「保持部とは異なる複数の」保持部ではなく、「切替先OSU15]の「PON制御部15」の具体的な構成が特定されていないために、「切替先OSU15]が「保持部」を備えることが特定されていない点。
[相違点2-2]
本願発明1では、「OAM部、主信号線又はオペレーションシステムのいずれかの」外部の経路を介して、通信装置の保持部から第2の通信装置の保持部に情報を通知するのに対して、引用発明2では、「コントローラ20」を介するものであって、「OAM部、主信号線又はオペレーションシステムのいずれかの」外部の経路を介して管理情報を通知することが特定されていない点。
(2) 相違点についての判断
通信装置と第2の通信装置との間で外部の経路を介して通知を行うことに関して相互に関連する、上記[相違点2-1]及び[相違点2-2]について、まとめて検討する。
引用文献3には、通信ネットワークのOAM用の各種信号を「OAM部」を介して転送する「周知技術1」が開示され、引用文献4には、複数の信号を多重化して、1本の「信号線」でまとめて伝送する「周知技術2」が開示されるが、通信装置が、通信装置を構成する部品として「保持部」を備えており、「前記保持部は」、「保持部とは異なる複数の」保持部に対して保持する情報を通知しておき、第2の通信装置が「保持部」を備えており、さらに、「OAM部、主信号線又はオペレーションシステムのいずれかの」外部の経路を介して、通信装置の「保持部」から第2の通信装置の「保持部」に情報を通知することは、引用文献2、3-4のいずれにも記載されておらず、周知技術であったともいえない。
よって、本願発明1は、当業者であっても、引用文献2、3-4に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3) 本願発明2-3について
本願発明2は、本願発明1に対応する情報通知方法の発明であって、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明であり、本願発明3は、本願発明1の「通信装置」を引用する「コンピュータプログラム」の発明であるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明2、3-4に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第7 当審拒絶理由(1)について
1 理由1(明確性)について
(1)令和5年6月19日提出の手続補正書の補正による、補正後の請求項1-3は、「通信装置」、「帰属替え対象となる第1の通信装置」、「帰属替え先に対応する第2の通信装置」とをそれぞれ備えるという技術的事項を有するものとなっている。
したがって、これらの「通信装置」の構成が不明であることに基づく、当審拒絶理由(1)の理由1(1)は解消した。
(2)令和5年6月19日提出の手続補正書の補正による、補正後の請求項1-3において、「通信装置を構成する部品又は通信装置として」における「又は通信装置」との記載が削除されている。
したがって、「又は通信装置」の記載が、文章の係り受け上、以下のどの文章に係っているのかが不明であることに基づく、当審拒絶理由(1)の理由1(2)は解消した。
2 理由2(進歩性)について
令和5年6月19日提出の手続補正書の補正により、補正後の請求項1-3は、上記[相違点1-1]及び[相違点1-2]並びに[相違点2-1]及び[相違点2-2]に係る「前記保持部は、前記帰属替え対象となる第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の特定の状態に関する情報の少なくとも一部の情報を保持する保持部とは異なる複数の保持部に対して保持する情報を通知しておき、前記第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の帰属替えのタイミングで、前記通知された保持部は、保持している情報の少なくとも一部を帰属替え先に対応する第2の通信装置の保持部に対して、OAM部、主信号線又はオペレーションシステムのいずれかの前記通信装置と前記第2の通信装置との間を接続する外部の経路を介して通知する」という技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は、引用文献1又は2には記載されておらず、周知技術でもないので、本願発明1-3は、当業者であっても、引用文献1又は2に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、この拒絶の理由は解消した。
第8 原査定についての判断
令和5年6月19日提出の手続補正書の補正により、補正後の請求項1-3は、上記[相違点1-1]及び[相違点1-2]に係る「前記保持部は、前記帰属替え対象となる第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の特定の状態に関する情報の少なくとも一部の情報を保持する保持部とは異なる複数の保持部に対して保持する情報を通知しておき、前記第1の通信装置を構成する部品又は前記第1の通信装置の帰属替えのタイミングで、前記通知された保持部は、保持している情報の少なくとも一部を帰属替え先に対応する第2の通信装置の保持部に対して、OAM部、主信号線又はオペレーションシステムのいずれかの前記通信装置と前記第2の通信装置との間を接続する外部の経路を介して通知する」というという技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は、引用文献Aには記載されておらず、周知技術でもないので、本願発明1-3は、引用文献Aに記載された発明ではなく、また、当業者であっても、引用文献Aに記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。
第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-011333