特許拒絶査定不服審判
2022-011330
電波吸収材料および電波吸収シート
- 審判番号
- 2022-011330
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-510935外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年07月21日
- 審決日
- 2023年04月28日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ダイキン工業株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人とこしえ特許事務所
- 分類
- P18 .113-WY (H05K) / P18 .121-WY (H05K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-510935「電波吸収材料および電波吸収シート」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年10月 3日国際公開、WO2019/189214、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(平成31年)3月26日(優先権主張 平成30年3月30日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年 9月28日 :手続補正書の提出
令和3年 9月28日付け:拒絶理由通知書
令和3年11月30日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 4月13日付け:拒絶査定
令和4年 7月21日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和4年11月24日付け:前置報告書
令和5年 1月17日 :上申書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和4年4月13日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-3、5に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。また、本願請求項1-3、5に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。さらに、本願請求項4に係る発明は、以下の引用文献1-2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。加えて、本願請求項6に係る発明は、以下の引用文献1、3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開平7-30279号公報
2.特開2015-12713号公報
3.特開2007-208121号公報
第3 本願発明
本願請求項1-4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明4」という。)は、令和4年7月21日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
ビニリデンフルオライド単位およびテトラフルオロエチレン単位を、ビニリデンフルオライド単位/テトラフルオロエチレン単位のモル比で15/85~90/10の割合で含むフルオロポリマーのみを含み、周波数が1MHz~100MHzの範囲の電波を吸収する電波吸収材料。」
また、本願発明2は、本願発明1を減縮した発明である。
さらに、本願発明3-4は、本願発明1を引用する「電波吸収シート」の発明であり、実質的に、本願発明1を減縮した発明である。
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1、引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電波シールド体あるいは電波吸収体に適用できるメガヘルツ帯〔1MHz(メガヘルツ)~1GHz(ギガヘルツ)以下の周波数帯〕の範囲内で、反射減衰率および透過減衰率が大きく、厚みが薄く、かつフレキシブルな電波吸収体およびその作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】テレビ電波、無線電波等のメガヘルツ帯の電波によるEMC(Electro-Magnetic Compatibility)環境が問題となっている。この対策として、電波シールド材料の検討が広く行われている。これは、機器中のノイズ源から発生する不要電波が機器の外部に漏れることや、逆に外部のノイズ源から機器内部に不要電波が侵入するのを防止するもので、伝導性の材料を高分子材料中に分散させた複合材料が用いられていた。また、電子機器の筐体上に金属メッキを施したり、導電性物質を含む塗料を塗布して伝導層からなる電波シールド層を形成する電波吸収材料が挙げられる(清水康敬監修:電磁波の吸収と遮蔽:日経技術図書1989年)。これらの伝導性材料を含む電波シールド材料は、電波を伝導性の損失(オーム損)によって吸収することが可能であるが、伝導率が大きく、空気とのインピーダンスのミスマッチが生じ、空気中から入射してきた電波の大部分は反射されるという効果により電波の透過を防止するものである。一方、反射、透過を同時に抑える材料としてメガヘルツ帯(1MHz~1GHzの周波数帯)では、フェライトをベースに用いた電波吸収材料が挙げられる(清水康敬監修:電磁波の吸収と遮蔽:日経技術図書1989年)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来技術において、反射による電波シールド材料では不要な電波は機器の筐体内部に閉じ込められ、機器内部の電子回路に干渉し電子機器の誤動作を招くという問題があり、また電波シールドが十分でない場合には、筐体の通気孔などからノイズ電波が流出、あるいは流入するという問題があった。一方、メガヘルツ帯の電波を吸収するフェライトベースの電波吸収体は、その厚さが大きくフレキシビリティーに欠けるため扱い難いという問題があった。このため、透過減衰率が大きく、かつ反射減衰率も大きい材料、すなわち電波を効率良く吸収する材料で厚みが薄く、フレキシビリティーのあるメガヘルツ帯の電波吸収体の開発が強く望まれている。
【0004】本発明の目的は、上記従来技術にける問題点を解消し、電波の透過減衰率が大きく、かつ反射減衰率も大きい材料、すなわち電波を効率良く吸収する材料で、厚みが薄く、かつフレキシビリティーを有する電波吸収体とその作製方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記本発明の課題を解決するために、第1に、メガヘルツ帯あるいはそれ以下の周波数帯で電波の吸収特性を示す金属材料の粉末もしくはフレークを用い、これを高分子材料中に分散させて、厚みの薄いフレキシビリティーを有する電波吸収体とするものである。そして、メガヘルツ帯で電波の吸収特性を示す金属材料として、特にアモルファス合金を用いることが好ましい。そして、本発明の電波吸収体は、1GHz以下の周波数帯の電波を吸収する特性を有するものである。・・・(中略)・・・本発明の電波吸収体に用いる高分子材料は、金属粉末あるいはフレークと濡れ性良く、よく馴染んで混合分散し、電波吸収性能に障害とならないものであればいずれの高分子材料であっても良く、まず合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル等のハロゲンポリマ、およびナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリ弗化ビニリデン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメタクリル酸メチル、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、メラニン樹脂の単体およびこれらの共重合体(ブロック共重合体も含む)もしくはそれらの混合物が好適に用いられる。・・・(中略)・・・」
「【0007】〈実施例2〉エポキシ樹脂エピコート828(油化シェルエポキシ社製)0.5gに、熱硬化剤トリエチレンテトラアミン(和光純薬社製)0.06gを混合した後、Ni-Feパーマロイ粉末(Ni:Fe重量比80:20)(日立金属社製)2.7gを加え、よく混合撹拌して複合組成物のスラリーを作製した。この複合組成物のスラリーを、外径7mm、内径3mmの円筒状の金型(テフロン製)に流し込み、100℃、1hで硬化させ、複合組成物の成形試料を作製した。この円筒状の成形試料を、同軸管中に設置し、Sパラメータ法により複合組成物(電波吸収体)の反射、透過減衰量を測定した。測定周波数は30MHz、150MHz、500MHzとした。測定器は、HP-8753CネットワークアナライザおよびHP-85047A Sパラメータテストセット(ヒューレット・パッカード社製)を使用した。この結果、30MHz、150MHz、500MHzの反射減衰率は、それぞれ-7dB/cm、-8dB/cm、-10dB/cmであり、一方、透過減衰率は、それぞれ-27dB/cm、-22dB/cm、-14dB/cmであった。」
ここで、引用文献1に記載されている事項について検討する。
上記【0007】の「〈実施例2〉エポキシ樹脂エピコート828(油化シェルエポキシ社製)0.5gに、熱硬化剤トリエチレンテトラアミン(和光純薬社製)0.06gを混合した後、Ni-Feパーマロイ粉末(Ni:Fe重量比80:20)(日立金属社製)2.7gを加え、よく混合撹拌して複合組成物のスラリーを作製した。この複合組成物のスラリーを、外径7mm、内径3mmの円筒状の金型(テフロン製)に流し込み、100℃、1hで硬化させ、複合組成物の成形試料を作製した。この円筒状の成形試料を、同軸管中に設置し、Sパラメータ法により複合組成物(電波吸収体)の反射、透過減衰量を測定した。」との記載から、引用文献1には、実施例2として、「エポキシ樹脂エピコート828、熱硬化剤トリエチレンテトラアミン及びNi-Feパーマロイ粉末を含む電波吸収体」が記載されていると認められる。
したがって、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「メガヘルツ帯(1MHz~1GHzの周波数帯)で電波の吸収特性を示す金属材料の粉末を用い、これを高分子材料中に分散させて電波吸収体とするものであり、
エポキシ樹脂エピコート828、熱硬化剤トリエチレンテトラアミン及びNi-Feパーマロイ粉末を含む電波吸収体。」
2 引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0035】
(給電ユニット14と受電ユニット43の構成)
次に、この実施の形態1に係る非接触充電システム100における給電ユニット14と受電ユニット43の詳細な構成について、図3~5を参照して説明する。
【0036】
図3には、給電スタンド10の給電ユニット14の上面透視図(a)と断面図(b)が示されている。なお、図中のX軸は、駐車スペースS1に電気自動車40が駐車した際の車幅方向に沿って定義されている。給電ユニット14は、樹脂製ケース14aと、その内部に収容される板状コア14bおよび円型コイル14cとから構成されており、樹脂製ケース14aの上面の中心線L1上には円形の凹部14dが形成され、凹部14dの内部にアンテナ15が設置されている。また、凹部14dの内側面には電波吸収体14eが貼り付けられている。」
【図3】「
[図:0001398034000001.jpg]
」
3 引用文献3
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0056】
このような本発明の電波吸収シートは、他の構成の電波吸収シートと積層されて使用されても良く、また、必要に応じて、裏面側に接着層や粘着層を形成したり、表面側に意匠層を形成したりして、実用に供される。」
4 引用文献4
特開2018-2774号公報(令和4年11月24日付け前置報告書で引用された文献。以下「引用文献4」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋フルオロポリマー、テープ、パイプ、ライザー管及びフローラインに関する。
【背景技術】
【0002】
海底油田で使用されるパイプには、ライザー(原油汲み上げ)、ウンビリカル(汲み上げのコントロール用で原油粘度低下用の薬液の仕込み用の配管やパワーケーブル等を一つのパイプにまとめたもの)、フローライン(汲み上げた原油を海底に這わせて移送する配管)等がある。いずれも構造は一様でなく、金属のみの配管、金属/樹脂ハイブリッドの配管等が知られているが、軽量化のために金属のみの配管は減少の傾向にあり、金属/樹脂ハイブリッドが主流になってきている。
【0003】
特許文献1では、胴体(カーカス)/パイプ/金属製補強層/耐摩擦層/金属製補強層/外層樹脂層の構成を有するライザー管等において、上記パイプを、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、及び、エチレン性不飽和単量体の共重合単位を含む共重合体であり、動的粘弾性測定による170℃における貯蔵弾性率(E’)が60~400MPaであることを特徴とするフッ素樹脂により形成することが提案された。」
「【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、樹脂製パイプが上記フッ素樹脂からなるので、樹脂製パイプが金属製補強層に食い込んだり、変形したり、クラックが発生したりといった問題が解決し得る。
【0006】
一方、上記耐摩擦層のように、金属層に挟まれ、金属同士の擦れを防止するために使用される層には、金属に対する耐摩耗性に優れる材料を使用する必要がある。
【0007】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、金属に対する耐摩耗性に優れる架橋フッ素樹脂を提供することを目的とする。」
「【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、金属に対する耐摩耗性に優れる架橋フッ素樹脂を提供することができる。」
「【0019】
本発明の架橋フッ素樹脂に使用されるフッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン単位及びビニリデンフルオライド単位を含み、該フッ素樹脂を構成する全モノマー単位に対して、50.0モル%以上のテトラフルオロエチレン単位を含む。上記フッ素樹脂を使用することにより、金属に対する耐摩耗性に優れる架橋フッ素樹脂が得られる。また、耐急減圧性(耐RDG性)や耐薬品性にも優れる架橋フッ素樹脂が得られる。
好ましくは、テトラフルオロエチレン単位が上記フッ素樹脂を構成する全モノマー単位の50.0~95.0モル%であり、ビニリデンフルオライド単位が上記フッ素樹脂を構成する全モノマー単位の50.0~5.0モル%のフッ素樹脂である。
より好ましくは、テトラフルオロエチレン単位が上記フッ素樹脂を構成する全モノマー単位の55.0~95.0モル%であり、ビニリデンフルオライド単位が上記フッ素樹脂を構成する全モノマー単位の45.0~5.0モル%のフッ素樹脂である。
更に好ましくは、テトラフルオロエチレン単位が上記フッ素樹脂を構成する全モノマー単位の55.0~90.0モル%であり、ビニリデンフルオライド単位が上記フッ素樹脂を構成する全モノマー単位の45.0~10.0モル%のフッ素樹脂である。
更により好ましくは、テトラフルオロエチレン単位が上記フッ素樹脂を構成する全モノマー単位の55.0~85.0モル%であり、ビニリデンフルオライド単位が上記フッ素樹脂を構成する全モノマー単位の45.0~15.0モル%のフッ素樹脂である。
特に好ましくは、テトラフルオロエチレン単位が上記フッ素樹脂を構成する全モノマー単位の55.0~80.0モル%であり、ビニリデンフルオライド単位が上記フッ素樹脂を構成する全モノマー単位の45.0~20.0モル%のフッ素樹脂である。
最も好ましくは、テトラフルオロエチレン単位が上記フッ素樹脂を構成する全モノマー単位の55.0~70.0モル%であり、ビニリデンフルオライド単位が上記フッ素樹脂を構成する全モノマー単位の45.0~30.0モル%のフッ素樹脂である。
【0020】
上記フッ素樹脂は、更に、式(1)及び式(2)で表されるエチレン性不飽和モノマーからなる群より選択される少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー単位を含むことが好ましい。」
「【0059】
本発明の架橋フッ素樹脂は、上記フッ素樹脂を架橋することにより得られる。これにより、金属に対する耐摩耗性に優れる架橋フッ素樹脂が得られる。また、耐急減圧性や耐薬品性にも優れる架橋フッ素樹脂が得られる。
【0060】
架橋方法としては、金属に対する耐摩耗性に一層優れる架橋フッ素樹脂が得られる点で、放射線架橋法が好ましい。
【0061】
放射線架橋法においては、上記フッ素樹脂に放射線を照射することにより、上記フッ素樹脂を架橋することができる。放射線としては、電子線、紫外線、ガンマ線、X線、中性子線、あるいは高エネルギーイオン等が挙げられる。なかでも、透過力が優れており、線量率が高く、工業的生産に好適である点で電子線が好ましい。」
「【0117】
本発明の架橋フッ素樹脂又はテープはまた、以下の用途にも使用できる。
・・・(中略)・・・
高放射率を有する放射部品、電磁波遮蔽、電磁波吸収体等の電磁シールド部品。
・・・(中略)・・・
保護パネルと画像表示モジュールの貼り合わせや、貼り付け部分が平板状の筐体や支持体への画像表示モジュールの固定に使用するテープ(剛体部材同士の接着性にも優れることから)。」
「【0125】
実施例及び比較例では、表1に記載のフッ素樹脂のフィルムを準備した。
【表1】
[図:0001398034000002.jpg]
」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「エポキシ樹脂エピコート828」「を含む」構成は、本願発明1の「ビニリデンフルオライド単位およびテトラフルオロエチレン単位を、ビニリデンフルオライド単位/テトラフルオロエチレン単位のモル比で15/85~90/10の割合で含むフルオロポリマーのみを含」む構成と、「ポリマーを含む」構成である点で共通する。
イ 引用発明の「メガヘルツ帯(1MHz~1GHzの周波数帯)で電波の吸収特性を示す」構成は、周波数が1MHz~100MHzの範囲の電波を吸収する構成を含むものであるから、本願発明1の「周波数が1MHz~100MHzの範囲の電波を吸収する」構成に相当する。
ウ 引用発明の「電波吸収体」は、電波吸収材料を含むものであるといえるから、本願発明1の「電波吸収材料」に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「ポリマーを含み、周波数が1MHz~100MHzの範囲の電波を吸収する電波吸収材料。」
(相違点1)
ポリマーを含む電波吸収材料において、本願発明1では、「ビニリデンフルオライド単位およびテトラフルオロエチレン単位を、ビニリデンフルオライド単位/テトラフルオロエチレン単位のモル比で15/85~90/10の割合で含むフルオロポリマーのみ」を含むのに対し、引用発明では、「エポキシ樹脂エピコート828、熱硬化剤トリエチレンテトラアミン及びNi-Feパーマロイ粉末」を含む点。
(2)相違点についての判断
上記相違点1が実質的な相違点であることは明らかである。
したがって、本願発明1は、引用文献1に記載された発明であるとはいえない。
上記相違点1について検討する。
引用文献2-4には、上記相違点1に係る本願発明1の構成について記載も示唆もない。
上記第4の1に記載のとおり(特に【0005】の下線部参照。)、引用文献1には、「メガヘルツ帯(1MHz~1GHzの周波数帯)で電波の吸収特性を示す金属材料の粉末を用い、これを高分子材料中に分散させて電波吸収体とするものであり、電波吸収体に用いる高分子材料は、例えば、ポリ弗化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンの単体およびこれらの共重合体(ブロック共重合体も含む)もしくはそれらの混合物が好適に用いられる」という技術的事項が記載されている。しかしながら、引用文献1には、上記相違点1に係る本願発明1の「ビニリデンフルオライド単位およびテトラフルオロエチレン単位を、ビニリデンフルオライド単位/テトラフルオロエチレン単位のモル比で15/85~90/10の割合で含むフルオロポリマーのみ」を含む構成が記載されているとはいえず、このような構成を示唆する記載もない。
また、上記第4の4に記載のとおり、引用文献4には、「テトラフルオロエチレン単位、ビニリデンフルオライド単位及びエチレン性不飽和モノマー単位を、テトラフルオロエチレン単位/ビニリデンフルオライド単位/エチレン性不飽和モノマー単位のモル比で60.0/39.7/0.3の割合で含むフッ素樹脂のフィルム」及び「架橋フッ素樹脂又はテープは、高放射率を有する放射部品、電磁波遮蔽、電磁波吸収体等の電磁シールド部品の用途にも使用できる」という技術的事項が記載されている。しかしながら、引用文献4には、上記相違点1に係る本願発明1の「ビニリデンフルオライド単位およびテトラフルオロエチレン単位を、ビニリデンフルオライド単位/テトラフルオロエチレン単位のモル比で15/85~90/10の割合で含むフルオロポリマーのみ」を含む構成が記載されているとはいえず、このような構成を示唆する記載もない。
さらに、上記相違点1に係る本願発明1の構成が、本願の優先日前において周知技術であったとはいえない。
したがって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項から、上記相違点1に係る本願発明1の構成を容易に想到することはできない。
よって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
2 本願発明2について
本願発明2は、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
3 本願発明3-4について
本願発明3-4は、本願発明1と実質的に同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1-4は、引用文献1に記載された発明であるとはいえない。また、本願発明1-4は、当業者が引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-011330