特許拒絶査定不服審判
2022-011160
測定装置および測定システム
- 審判番号
- 2022-011160
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-194374
- 請求日
- 2022年07月16日
- 審決日
- 2023年05月10日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ミツトヨ
- 【請求人代理人】米田 耕一郎
- 審判長/審判官
- 審判長 岡田 吉美
- 審判官 中塚 直樹
- 審判官 濱野 隆
- 分類
- P18 .561-Z (G01B) / P18 .113-Z (G01B) / P18 .121-Z (G01B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2017-194374「測定装置および測定システム」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 4月25日出願公開、特開2019- 66418〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成29年10月4日の特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和 3年 9月 8日付け:拒絶理由通知書
同年11月22日 :意見書、手続補正書の提出
令和 4年 4月20日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月25日 :原査定の謄本の送達)
同年 7月16日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和4年7月16日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年7月16日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の内容
令和4年7月16日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について補正するものであって、次の(1)に示す本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載を、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正する補正事項を含むものである。
なお、(1)及び(2)には、請求項8も摘記した。請求項8は本件補正の前後で記載自体は変更されていないものの、請求項1の記載を引用するから、請求項1の補正に連動して補正されている。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前の請求項1及び請求項8
「【請求項1】
測定装置であって、
被測定対象に対して相対移動可能な測定子を有するプローブ、および、前記測定子を移動させる移動機構を備える本体と、
前記移動機構の駆動を制御する制御部であって、前記移動機構の駆動に応じて、前記本体の駆動情報を前記プローブの識別情報に関連付けて生成する生成部、および、前記駆動情報を記録する記録部を備える、制御部と、
を備える
ことを特徴とする測定装置。」
「【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の測定装置において、
前記生成部が、前記移動機構の駆動に応じて、前記プローブの識別情報に関連付けて生成する前記本体の前記駆動情報には、
前記プローブの識別情報に関連付けられた前記本体の通電時間、
前記プローブの識別情報に関連付けられた前記移動機構の各パーツごとの駆動時間の情報、
前記プローブの識別情報に関連付けられた前記移動機構の各パーツごとの駆動距離の情報、および
前記プローブの識別情報に関連付けられた前記移動機構の測定回数または測定距離の情報、のうちの一つ以上が含まれる
ことを特徴とする測定装置。」
(2) 本件補正後の請求項1及び請求項8
「【請求項1】
測定装置であって、
被測定対象に対して相対移動可能な測定子を有するプローブ、および、前記測定子を移動させる移動機構を備える本体と、
前記移動機構の駆動を制御する制御部であって、前記移動機構の駆動に応じて、前記本体の駆動情報を前記プローブの識別情報に関連付けて生成する生成部、および、前記駆動情報を記録する記録部を備える、制御部と、を備え、
前記制御部が、さらに、動作モードを判定するモード判定部を備え、
前記制御部は、前記動作モードを判定するとともに、前記駆動情報を前記動作モードの情報に関連付けて生成し、記録する
ことを特徴とする測定装置。」
「【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の測定装置において、
前記生成部が、前記移動機構の駆動に応じて、前記プローブの識別情報に関連付けて生成する前記本体の前記駆動情報には、
前記プローブの識別情報に関連付けられた前記本体の通電時間、
前記プローブの識別情報に関連付けられた前記移動機構の各パーツごとの駆動時間の情報、
前記プローブの識別情報に関連付けられた前記移動機構の各パーツごとの駆動距離の情報、および
前記プローブの識別情報に関連付けられた前記移動機構の測定回数または測定距離の情報、のうちの一つ以上が含まれる
ことを特徴とする測定装置。」
2 本件補正についての当審の判断
(1) 新規事項の追加について
ア 新規事項の追加の有無についての当審の判断の概要
本件補正後の請求項1の記載は、本件補正前に特定されていた「前記本体の駆動情報」が「前記プローブの識別情報に関連付けて生成[されること]」に加えて、「前記制御部が、さらに、動作モードを判定するモード判定部を備え、前記制御部は、前記動作モードを判定するとともに、前記駆動情報を前記動作モードの情報に関連付けて生成し、記録する」ことを特定するものである。
また、請求項8は請求項1の記載を引用するものであるから上記特定事項を同様に含むものである。
しかしながら、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)には、「プローブの識別情報に関連付けて生成[される]「本体の駆動情報」であって、「動作モードの情報に関連付けて生成[される]」「前記駆動情報」としては、「累積衝突回数327d」しか記載されていないから、前記特定事項を含むように請求項1及び8を補正する本件補正は、次のイにおいて詳細に説示するとおり、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであり、本件補正は特許法17条の2第3項の規定に違反するものである。
イ 新規事項の追加の有無についての当審の判断
(ア) 本件補正後の請求項1の「駆動情報」について
a 請求項1においては「前記本体の駆動情報を前記プローブの識別情報に関連付けて生成する生成部」との特定があるから、本件補正により追加された「動作モードの情報に関連付けて生成し、記憶」される「前記駆動情報」は、「前記プローブの識別情報に関連付けて」「生成部」において「生成」され「記録部」において「記録」された「駆動情報」である。
b すなわち、本件補正に係る「動作モードの情報」に「関連付け」される「駆動情報」は、「プローブの識別情報」に「関連付け」されたものであることを前提としている。
c そこで、以下の(イ)~(エ)では、「プローブの識別情報」に関連付けされた「駆動情報」が、どのようなものであるのかについて、当初明細書等の記載を参照することにより検討する。
(イ) 「駆動情報」の具体例について
a まず、「駆動情報」については、当初明細書等の段落【0034】に次の記載がある。
「【0034】
記録部32は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable PROM)およびフラッシュメモリのような各種データの記録が可能な記録媒体が用いられる。記録部32には、三次元測定機本体2の駆動動作に関して取得される様々な駆動情報が記録される。具体的には、三次元測定機本体2で発生したエラーログ321と、三次元測定機本体2の駆動に関する本体駆動情報323と、移動機構22の駆動に関する移動機構駆動情報325と、プローブ21の動作に関するプローブ駆動情報327と、が記録される。これ以外にも、三次元測定機本体2から取得した測定データも記録される。」
b また、請求人は、令和3年11月22日提出の意見書において、次のとおり主張している。
「例えば、本願明細書、図面において、本体2の駆動情報の例として、
本体(三次元測定機本体)2の累積通電時間323a、
移動機構駆動情報325:
スライド機構24のコラム241、スライダ243、およびラム244のパーツ毎の累積駆動時間325a
パーツ毎の累積駆動距離325b、
移動機構22による累積測定回数325c、
を挙げ、これらがプローブ21の識別情報に関連付けて生成、記録されるものであります。」
c 前記a及びbから、当初明細書等には、「本体2の駆動情報」として、次の(a)から(d)までの四つの「駆動情報」が具体的に挙げられていると認められる。
(a) 「三次元測定機本体2で発生したエラーログ321」
(b) 「三次元測定機本体2の駆動に関する本体駆動情報323」
(c) 「移動機構22の駆動に関する移動機構駆動情報325」
(d) 「プローブ21の動作に関するプローブ駆動情報327」
(ウ) 「プローブ駆動情報327」について
a 前記(イ)の四つの「駆動情報」の具体例のうち、「プローブ21の動作に関するプローブ駆動情報327」については、当初明細書等の段落【0035】及び【0037】に次の記載がある。
「【0035】
本体駆動情報323は、三次元測定機本体2の累積通電時間323aを含む。移動機構駆動情報325は、スライド機構24のコラム241、スライダ243、およびラム244のパーツ毎の累積駆動時間325aと、パーツ毎の累積駆動距離325bと、移動機構22による累積測定回数325cと、を含む。プローブ駆動情報327は、プローブ毎の累積プローブ累積測定回数327aと、プローブヘッド累積動作回数327bと、倣いプローブ毎の累積倣い距離327cと、プローブの被測定対象10への累積衝突回数327dと、を含む。」
「【0037】
駆動制御部34は、操作手段4が操作された際に入力される駆動指令信号、およびホストコンピュータ5から入力される駆動指令信号を受け取り、それに応じて、移動機構22の駆動機構25を駆動させるよう制御をする。ホストコンピュータ5からの駆動指令信号の受け取りに応じて駆動機構25を駆動させるときに、プローブ21の識別情報を受け取るのがよい。受け取った識別情報は、後に、プローブ駆動情報327として各種駆動情報に関連付けられることになる。また、駆動制御部34は、回転駆動命令をプローブヘッド26に供給するプローブヘッド指令部341を含むのがよい。」
b 上記【0037】の記載から、「プローブの識別情報」に関連付けされた「駆動情報」には、少なくとも「プローブ駆動情報327」が含まれており、また、上記【0035】の記載から、この「プローブ駆動情報327」には次の(a)から(d)までの四つの情報が含まれている。
(a) 「プローブ毎の累積プローブ累積測定回数327a」
(b) 「プローブヘッド累積動作回数327b」
(c) 「倣いプローブ毎の累積倣い距離327c」
(d) 「プローブの被測定対象10への累積衝突回数327d」
(エ) 「プローブ駆動情報327a~d」の開示内容について
「プローブ駆動情報327」については、当初明細書等の段落【0058】に「特に、プローブ駆動情報327は、現在取り付けられているプローブ21の使用状況の把握、即ち、プローブがどの程度消耗しており、いつ交換すべきかについて、適切な分析のために有効に用いることができる情報である。」と記載されているところ、前記(ウ)の四つの「プローブ駆動情報327a~d」のそれぞれについて関連する当初明細書等の記載は以下のとおりである。
a 「プローブ毎の累積プローブ累積測定回数327a」
「【0059】
図8(a)のS733aでは、最初に、プローブ入力判定部373によってプローブ入力があったかを判定する(S811)。三次元測定機本体2の駆動状態において、プローブ入力が判定される都度、以降の処理は繰り返し実施される。具体的には、データ生成部38は、S731で取得したプローブ21の識別番号に関連付けられるプローブ累積測定回数327aをインクリメントして記録する(S812)。同じくS731で取得したスタイラス211の識別番号に関連付けられるプローブ累積測定回数327aをインクリメントして記録してもよい(S812)。このように記録されたプローブ累積測定回数327aは、プローブ21毎およびスタイラス211毎に累積測定回数を識別することができ、プローブ21およびスタイラス211の使用状況、プローブモジュールの消耗状況およびスタイラスの消耗状況の分析のためにホストコンピュータ5で使用される。」
b 「プローブヘッド累積動作回数327b」
「【0061】
図8(b)のS733bでは、駆動指令にプローブヘッド回転指定が含まれていた場合に(S821)、データ生成部38は、プローブヘッド累積動作回数327bをインクリメントして記録する(S822)。記録されたプローブヘッド累積動作回数327bは、累積されたプローブヘッド動作の回数を示し、三次元測定機本体2のプローブヘッド26の消耗状況の分析のためにホストコンピュータ5で使用される。」
c 「倣いプローブ毎の累積倣い距離327c」
「【0062】
図8(c)のS733cでは、プローブ種別判定部371によって、移動機構22に取り付けられているプローブの種別が「倣いプローブ」であるかを判定する(S831)。「倣いプローブ」の場合は、倣い距離算出部(プローブ移動量算出部362)によって、倣い測定における倣い距離が算出される。そして、データ生成部38によって、倣い距離は累積倣い距離327cに加算される。つまり、累積倣い距離327cが更新され、記録部32に記録される(S832)。記録された累積倣い距離327cは、プローブ毎に累積測定回数を算出することができ、倣いプローブモジュールの消耗状況、および倣いプローブに取り付けられたスタイラスの消耗状況の分析のためにホストコンピュータ5で使用される。」
d 「プローブの被測定対象10への累積衝突回数327d」
「【0060】
引き続き、動作モード判定部372は、移動機構22が「移動モード」で動作しているかを判定する(S813)。これは、S751で供給された駆動指令に含まれる動作モードの指定情報に基づく判断となる。判定の結果、(「測定モード」ではない)「移動モード」である場合は、S811で判定されたプローブ入力に対し、データ生成部38は、その入力回数を累積衝突回数327dとしてインクリメントして記録する(S814)。概して、移動機構22が「移動モード」で動作するときは、プローブ21は、「測定モード」の場合と比べて高速で移動することが多い。この点、「移動モード」中にプローブ入力があった場合は、三次元測定機本体2の故障の要因になり得るものと想定される。そこで、「移動モード」中のプローブ入力を衝突とみなし、累計の衝突回数としてカウントして記録する。記録された累積衝突回数327dは、被測定対象への衝突に起因した三次元測定機本体2の消耗状況の分析のためにホストコンピュータ5で使用される。」
(オ) 動作モードの関連付けについて
a 前記(ウ)bにおいて認定したとおり、本件補正後の請求項1の「プローブの識別情報」に関連付けされた「駆動情報」には、少なくとも「プローブ駆動情報327」が含まれるところ、この「プローブ駆動情報327」に含まれる四つの情報「プローブ駆動情報327a~d」が、全て「動作モードの情報」に関連付けされているか否かについて検討する。
b まず、「動作モードの情報」については当初明細書等の段落【0041】に次の記載がある。
「【0041】
動作モード判定部372は、移動機構22が、現在、「測定モード」で移動しているか、または「移動モード」(非測定モード)で動作しているかを判定する。「測定モード」とは、プローブ21にて被測定対象10を測定する動作モードのことである。他方、「移動モード」とは、プローブ21にて被測定対象10を測定することなくプローブ21を移動させる非測定モードの動作モードのことである。」
c 上記記載より、「動作モード」には、プローブ21にて被測定対象10を測定する「測定モード」と、プローブ21にて被測定対象10を測定することなくプローブ21を移動させる非測定モードの「移動モード」があると認められる。
d ここで、前記(エ)において摘記した「プローブ駆動情報327a~d」の開示内容を参照すると、「動作モードの情報」に関連付けされているのは、「プローブの被測定対象10への累積衝突回数327d」のみであって、「プローブ毎の累積プローブ累積測定回数327a」、「プローブヘッド累積動作回数327b」、「倣いプローブ毎の累積倣い距離327c」については、「動作モードの情報」に関連付けされていることを明示した記載は認められない。
e そして、段落【0060】の記載から、「プローブの被測定対象10への累積衝突回数327d」を「動作モードの情報」に関連付けする趣旨は、「測定モード」と比べて「移動モード」の方がプローブ21の高速移動が多く、「移動モード」中のプローブ入力が三次元測定機本体2の故障要因になり得ることを想定して、「移動モード」中のプローブ入力を衝突とみなし、累計の衝突回数としてカウントして記録する必要があるためであると認められる。
f しかしながら、「プローブ毎の累積プローブ累積測定回数327a」、「プローブヘッド累積動作回数327b」、「倣いプローブ毎の累積倣い距離327c」は、被測定対象への衝突に起因した三次元測定機本体2の消耗状況の分析を目的とした情報ではなく、上記eにおいて述べたような「動作モードの情報」に関連付けする趣旨が当てはまらないから、「プローブの被測定対象10への累積衝突回数327d」以外のこれらの情報についてまで、動作モードを判定し、所定の動作モードであると判定されたときに、動作モードの情報に関連付けを行う積極的な理由も見当たらない。
(カ) 本件補正後の請求項8の「駆動情報」について
a 本件補正後の請求項8の記載は、次のとおりである。
「【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の測定装置において、
前記生成部が、前記移動機構の駆動に応じて、前記プローブの識別情報に関連付けて生成する前記本体の前記駆動情報には、
前記プローブの識別情報に関連付けられた前記本体の通電時間、
前記プローブの識別情報に関連付けられた前記移動機構の各パーツごとの駆動時間の情報、
前記プローブの識別情報に関連付けられた前記移動機構の各パーツごとの駆動距離の情報、および
前記プローブの識別情報に関連付けられた前記移動機構の測定回数または測定距離の情報、のうちの一つ以上が含まれる
ことを特徴とする測定装置。」
b 請求項8は、請求項1の記載を引用するから、本件補正は、「プローブの識別情報に関連付けて生成する前記本体の前記駆動情報」として含まれる以下の四つの情報についても、「動作モードの情報に関連付け」されることを追加したことになる。
「前記プローブの識別情報に関連付けられた前記本体の通電時間」
「前記プローブの識別情報に関連付けられた前記移動機構の各パーツごとの駆動時間の情報」
「前記プローブの識別情報に関連付けられた前記移動機構の各パーツごとの駆動距離の情報」
「前記プローブの識別情報に関連付けられた前記移動機構の測定回数または測定距離の情報」
c しかしながら、当初明細書等の段落【0035】の記載から、上記四つの情報に対応するのは、それぞれ
「三次元測定機本体2の累積通電時間323a」
「パーツ毎の累積駆動時間325a」
「パーツ毎の累積駆動距離325b」
「移動機構22による累積測定回数325c」
であると認められるところ、これらの四つの情報が「動作モードの情報」に関連付けされることを明示する記載も示唆する記載も見当たらない。
d また、これらの四つの情報には、前記(オ)eにおいて述べたような「動作モードの情報」に関連付けする趣旨が当てはまらないから、動作モードを判定し、所定の動作モードであると判定されたときに、動作モードの情報に関連付けを行う積極的な理由も見当たらない。
(キ) 小括
a 以上検討のとおり、当初明細書等の記載からみると、「前記プローブの識別情報に関連付けて生成[される]「前記本体の駆動情報」であって、「動作モードの情報」に関連付けされているものは、「プローブの被測定対象10への累積衝突回数327d」のみであって、その他の「駆動情報」は「動作モードの情報」に関連付けされるとはいえない。
b それにもかかわらず、本件補正後の請求項1及び請求項8は、そのような区別を特段せずに、「前記プローブの識別情報に関連付けて」「生成部」において「生成」され「記録部」において「記録」された「駆動情報」が、「動作モードの情報に関連付けて生成し、記憶」される「前記駆動情報」であると特定しているから、このような特定事項を含むように補正する本件補正は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものである。
ウ 請求人の主張について
(ア) 請求人の主張
請求人は、令和4年7月16日に提出された審判請求書の「第2. 補正の説明」において概略次のように主張している。
モード判定部は、出願時(あるいは令和3年11月22日の手続補正書)における請求項6に記載がある。
また、この補正事項に関連する明細書中の記載としては、例えば、段落【0041】、【0055】、【0060】に記載があり、特に関連する記載として、例えば、次の記載がある。
【0055】
「…また、駆動指令に動作モードの情報が含まれる場合には、その旨を記録部32に記録するのがよい。」
【0060】
「引き続き、動作モード判定部372は、移動機構22が「移動モード」で動作しているかを判定する(S813)。
…判定の結果、(「測定モード」ではない)「移動モード」である場合は、S811で判定されたプローブ入力に対し、データ生成部38は、その入力回数を累積衝突回数327dとしてインクリメントして記録する(S814)。
…そこで、「移動モード」中のプローブ入力を衝突とみなし、累計の衝突回数としてカウントして記録する。記録された累積衝突回数327dは、被測定対象への衝突に起因した三次元測定機本体2の消耗状況の分析のためにホストコンピュータ5で使用される。」
(イ) 請求人の主張に対する当審の判断
a 請求人が主張する、段落【0041】、【0055】、【0060】の記載のいずれにも、動作モードの情報に関連付けて生成し、記録される「駆動情報」としては「累積衝突回数327d」が挙げられているのみであって、それ以外のものが動作モードの情報に関連付けされることは記載も示唆もされていない。
b また、本件補正前の請求項6には、次のように記載されているのであって、動作モードの情報に関連付けて生成し、記録されるものは「累積衝突回数」しか特定されていない。
「【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の測定装置において、
前記制御部が、更に、
前記測定子の前記被測定対象への当接に基づく前記プローブにおけるプローブ入力を判定する入力判定部と、
前記プローブが所定のモードで動作しているかを判定するモード判定部と、を備え、
前記プローブ入力が判定され、且つ前記所定のモードであると判定されたときに、前記生成部が、更に、累積衝突回数をインクリメントして、前記記憶部に記録する
ことを特徴とする測定装置。」
c したがって、請求人の前記主張は、前記イの結論を左右するものではない。
エ 新規事項の追加の有無の判断についてのまとめ
以上検討のとおり、本件補正は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであるから、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、特許法17条の2第3項の規定に違反するものである。
(2) 本件補正の適否のまとめ
前記(1)において検討したとおり、本件補正は、特許法17条の2第3項の規定に違反しているから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
したがって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~11に係る発明は、令和3年11月22日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は前記第2の1(1)に摘記した事項により特定されるとおりである。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての理由は、次のとおりである。
理由1(新規性欠如)
本願発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2(進歩性欠如)
本願発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
[引用文献1]
実願平4-87371号(実開平6-51910号)のCD-ROM
3 引用文献に記載された事項及び引用発明
(1)引用文献1の記載事項
前記引用文献1には、次の事項が記載されている。
なお、下線は当審において付した。以下同様である。
ア 【0001】~【0002】
「 【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、ワークと接触する測定子の使用頻度測定装置に係り、特に、三次元測定機の接点式のプローブ等に利用できる。
【0002】
【背景技術】
例えば、三次元測定機では、ワークの表面等にタッチプローブの接触球を接触させ、その接触によってタッチプローブから接触信号が出されたとき、X,Y,Z軸方向の座標位置を取り込み、これらの座標位置を演算処理することによりワークの寸法や形状を求めている。」
イ 【0012】~【0015】、【図1】、【図2】
「 【0012】 図1には、本実施例のプローブの使用頻度測定装置(以下、測定装置という)1が使用された三次元測定機2の全体が示されている。
【0013】
三次元測定機2は、計測部3と制御部4とで構成されており、計測部3は、基台30上に設けられた測定テーブル31を有する。この測定テーブル31上には、ブリッジ32がY軸(紙面直交)方向に移動自在に設けらている。このブリッジ32は、測定テーブル31上に立てられた2本の支柱33と、各支柱33の上端を連結する横梁34とで構成され、全体として門型に形成されている。ブリッジ32の横梁34にはスライダ35が設けられており、このスライダ35は、横梁34に沿ってX軸(Y軸に直交する水平)方向にスライド自在である。また、その内部には、先端にプローブホルダ36を備え、かつ、Z軸(上下)方向にスライド自在なZ軸構造材37が設けられている。
【0014】
前記測定テーブル31上の一端部にはプローブストッカ38が設置されており、このプローブストッカ38内には、前記プローブホルダ36に選択的に取り付けられる測定子であるタッチプローブ等の各種プローブ40が予め収納されている。また、測定テーブル31上には、図示しない治具等により、各種ワーク10が取付けられるようになっている。なお、X,Y,Z軸等の駆動源が前記基台30内部に組み込まれている。
【0015】
タッチプローブ40は、図2に示すように、プローブケース40Aと、このプローブケース40AにZ軸方向およびZ軸に対して傾斜する方向へ変位可能、かつ、中立位置へ復帰可能に設けられたプローブ軸40Bとを備え、そのプローブ軸40Bの変位を電気接点機構の開閉によって検知する接点式とされている。また、シャンク40Cの周面には、そのプローブ固有の識別番号を記録(例えば、バーコード等として)した識別ラベル41が貼付けられている。一方、プローブホルダ36側には上記識別ラベル41の識別番号を読み取る読取り器42が設けられている。従って、プローブがプローブホルダ36に装着されれば、読取り器42によって識別番号が読み取られ、プローブの種類がわかるようになっている。」
「【図1】
[図:0001400154000001.jpg]
」
「【図2】
[図:0001400154000002.jpg]
」
ウ 【0016】~【0019】、【図3】、【図4】
「 【0016】
前記制御部4は、図3に示すように、CPU5,前記計測部3の計測プログラム等を記憶したR0M55,計測データ等を記憶するRAM56,キーボード54,ブザー53および表示手段6等を有する。
【0017】
ここにおいて、CPU5,R0M55およびRAM56によって前記計数手段7が形成されている。
【0018】
前記CPU5には、計測部3の可動部、つまり、スライダ35,ブリッジ32およびZ軸構造材37を各軸方向へ移動させるX,Y,Z軸の駆動機構50,51,52と、読取り器42と、プローブ40とが接続されている。
【0019】
RAM56内には、図4に示すように、プローブ40がワーク10に接触したときのX,Y,Z軸方向の移動量等の各種データが格納されるデータ部60と、第1のメモリ部61と、プローブ40の使用限界回数を記憶する第2のメモリ部62とが設けられている。また、メモリ部61は、現在使用されているプローブの種類を識別するための情報を記憶するフラグエリア61Aと、複数種のプローブの識別番号を記憶する識別番号エリア61Bと、各識別番号に対応してプローブのワーク10との接触回数を記憶するカウントエリア61Cとで構成されている。」
「【図3】
[図:0001400154000003.jpg]
」
「【図4】
[図:0001400154000004.jpg]
」
(2) 引用発明の認定
前記(1)において摘記した事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
「測定テーブル31上に取付けられる各種ワーク10の寸法や形状を求める三次元測定機2であって、(【0002】、【0014】)
三次元測定機2は、計測部3と制御部4とで構成されており、計測部3は、基台30上に設けられた測定テーブル31を有し、この測定テーブル31上には、ブリッジ32がY軸(紙面直交)方向に移動自在に設けられ、(【0013】)
ブリッジ32の横梁34にはスライダ35が設けられて、このスライダ35は、横梁34に沿ってX軸(Y軸に直交する水平)方向にスライド自在であり、その内部には、先端にプローブホルダ36を備え、かつ、Z軸(上下)方向にスライド自在なZ軸構造材37が設けられ、(【0013】)
前記プローブホルダ36に選択的に取り付けられる測定子であるタッチプローブ40は、プローブケース40Aと、このプローブケース40AにZ軸方向およびZ軸に対して傾斜する方向へ変位可能、かつ、中立位置へ復帰可能に設けられたプローブ軸40Bとを備え、そのプローブ固有の識別番号を記録(例えば、バーコード等として)した識別ラベル41が貼付けられ、(【0014】、【0015】)
前記制御部4は、CPU5,前記計測部3の計測プログラム等を記憶したR0M55,計測データ等を記憶するRAM56等を有し、(【0016】)
前記CPU5には、計測部3の可動部、つまり、スライダ35,ブリッジ32およびZ軸構造材37を各軸方向へ移動させるX,Y,Z軸の駆動機構50,51,52と、読取り器42と、プローブ40とが接続され、(【0018】)
RAM56内には、データ部60と、第1のメモリ部61と、第2のメモリ部62とが設けられ、メモリ部61は、現在使用されているプローブの種類を識別するための情報を記憶するフラグエリア61Aと、複数種のプローブの識別番号を記憶する識別番号エリア61Bと、各識別番号に対応してプローブのワーク10との接触回数を記憶するカウントエリア61Cとで構成されている、(【0019】)
三次元測定機2。」
4 対比・判断
(1) 対比
本願発明と引用発明を対比する。
ア 引用発明の「三次元測定機2」は、本願発明の「測定装置」に相当するから、本願発明と引用発明は「測定装置」の発明である点で一致する。
イ(ア) 引用発明の「三次元測定機2」が「寸法や形状を求める」「各種ワーク10」は、本願発明の「被測定対象」に相当する。
(イ) 引用発明の「プローブ軸40B」の先端部は、本願発明の「測定子」に相当するから、引用発明の「プローブ軸40B」を備える「タッチプローブ40」は、本願発明の「測定子を有するプローブ」に相当する。
(ウ) 引用発明の「各種ワーク10」は、「測定テーブル31上に取付けられる」ものであって、「計測部3は、基台30上に設けられた測定テーブル31を有し、この測定テーブル31上には、ブリッジ32がY軸(紙面直交)方向に移動自在に設けられ、ブリッジ32の横梁34にはスライダ35が設けられて、このスライダ35は、横梁34に沿ってX軸(Y軸に直交する水平)方向にスライド自在であり、その内部には、先端にプローブホルダ36を備え、かつ、Z軸(上下)方向にスライド自在なZ軸構造材37が設けられ[る]」ものであるから、引用発明の「前記プローブホルダ36に選択的に取り付けられる測定子であるタッチプローブ40」が備える「プローブ軸40B」が、「各種ワーク10」に対して相対移動可能であることは明らかといえる。
(エ) 前記(ア)から(ウ)までの検討結果を踏まえると、引用発明の「タッチプローブ40」は、本願発明の「被測定対象に対して相対移動可能な測定子を有するプローブ」に相当する。
(オ) また、前記(イ)及び(ウ)を踏まえると、引用発明の「計測部3の可動部、つまり、スライダ35,ブリッジ32およびZ軸構造材37を各軸方向へ移動させるX,Y,Z軸の駆動機構50,51,52」は、本願発明の「前記測定子を移動させる移動機構」に相当し、引用発明の「タッチプローブ40」、「X,Y,Z軸の駆動機構50,51,52」及び「測定テーブル31」は、本願発明の「前記測定子を移動させる移動機構を備える本体」に相当する。
(カ) 以上をまとめると、本願発明と引用発明は次の点で一致する。
「被測定対象に対して相対移動可能な測定子を有するプローブ、および、前記測定子を移動させる移動機構を備える本体」を備える点。
ウ(ア) 引用発明の「計測部3の可動部、つまり、スライダ35,ブリッジ32およびZ軸構造材37を各軸方向へ移動させるX,Y,Z軸の駆動機構50,51,52」が接続され[る]」「CPU5」を有する「制御部4」は、本願発明の「前記移動機構の駆動を制御する制御部」に相当する。
(イ) 引用発明の「複数種のプローブの識別番号」は、本願発明の「プローブの識別情報」に相当する。
(ウ) そして、引用発明の「複数種のプローブの識別番号」「に対応して」「カウントエリア61C」に記憶される「プローブのワーク10との接触回数」は、本願発明の「プローブの識別情報に関連付けて生成」された「本体の駆動情報」に相当する。
(エ) また、引用発明の「プローブのワーク10との接触回数」は、「計測部3の可動部」がプローブを駆動することによって生じる接触の回数であり、このことは本願発明において「本体の駆動情報」が「前記移動機構の駆動に応じて」「生成[される]」ことに相当する。よって、引用発明の「制御部4」も、本願発明の「前記移動機構の駆動に応じて、前記本体の駆動情報を前記プローブの識別情報に関連付けて生成する生成部」に相当する構成を備えているといえる。
(オ) 引用発明の「プローブのワーク10との接触回数」が「各識別番号に対応して」記憶される「カウントエリア61C」は、本願発明の「前記駆動情報を記録する記録部」に相当する。
(カ) 前記(ア)から(オ)までを踏まえると、本願発明と引用発明は次の点で一致する。
「前記移動機構の駆動を制御する制御部であって、前記移動機構の駆動に応じて、前記本体の駆動情報を前記プローブの識別情報に関連付けて生成する生成部、および、前記駆動情報を記録する記録部を備える、制御部と、」を含む点。
エ 前記ア~ウの対比結果をまとめると、本願発明の構成は、全て引用発明が備えるから、本願発明は、引用文献1に記載された発明である。
また、本願発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2) 請求人の主張について
ア 審判請求書における請求人の主張について
(ア) 審判請求書における請求人の主張の概要
請求人は、令和4年7月16日に提出された審判請求書の「第3. 補正後本発明と引用発明との対比」において、引用文献1では、プローブの接触回数をカウントして記録することは記載されているが、測定機の動作モードを判定した上で、動作モードの情報とともに駆動情報を記録するような趣旨の開示はなく、本願発明は引用文献を考慮してもなお新規な構成を有し、それにより引用文献には無い作用効果を期待できるものであり、特許性を有する旨を主張している。
(イ) 審判請求書における請求人の主張に対する当審の判断
請求人の主張する「測定機の動作モードを判定した上で、動作モードの情報とともに駆動情報を記録する」という構成は、本件補正発明に関するものであって、本願発明の有する構成ではない。
したがって、請求人の前記主張により当審の判断が左右されることはない。
イ 意見書における請求人の主張について
(ア) 意見書における請求人の主張の概要
請求人は、令和3年11月22日に提出された意見書において、概略次のように主張している。
本願発明は、例えば移動機構のX、Y、Z等の各スライダ(コラム)の移動を考えても、タッチプローブAを装着してタッチ測定としてスライダが移動する場合と、倣いプローブBで倣い測定として移動する場合とで同じ移動距離だとしても駆動軸/スライダ(コラム)に掛かる負荷は厳密には違ってくると考えられ、このような区別をつけて多様化したログをとり、使用状況や故障・寿命の解析により、本体(三次元測定機本体)のメンテナンスに活かすものである。
装着するプローブの種類・型の違いが本体動作のパターンに違いを生み、本体への負荷に影響するという課題認識や、このような課題認識に基づいて本体のログをプローブ識別情報に関連付けてとるようなことは引用文献1には記載も示唆もないことである。
例えば、無人の自動測定が要望され、そして、多種のプローブを用いた多様な3次元測定が自動で切り替えられながら無人で自動実行されるようになってきている。これらは便利なものであるが、仮に不都合(例えば何らかの事故や誤測定)が起こった場合に、様々なデータ(ログ)を突き合わせながら履歴を遡って原因を調査特定することが極めて大変である(又は不可能である)。
このような問題意識から、本願のようなプローブの識別情報に関連付けて多様化した本体ログが必要になってくることと本発明者らは考え、本発明をなし得たのである。
このようなことは、プローブの接触回数をカウントするだけの引用文献1に開示がないことであり、これら文献から着想することができないことであり、引用文献1、2を考慮したとしても本発明はなお十分な特許性を備えるものと思料するものである。
(イ) 意見書における請求人の主張に対する当審の判断
a 請求人は、本願発明は、例えばタッチプローブAと倣いプローブBでは、同じ移動距離であっても負荷が異なるため、区別をつけて多様化したログをとり、使用状況や故障・寿命の解析により、本体のメンテナンスに活かすようにしたものであって、プローブの接触回数をカウントするだけの引用文献1などから着想することができない旨の主張を行っている。
b(a) しかしながら、当該主張は、以下説明するように、請求項1に記載された本願発明の構成に基づく主張ではなく、本願発明と引用発明の実質的な差異は請求項1の記載に基づいては認められないから、請求人の主張は採用できない。
(b) 本願発明は、次の構成を備えている。
「被測定対象に対して相対移動可能な測定子を有するプローブ、および、前記測定子を移動させる移動機構を備える本体と、
前記移動機構の駆動に応じて、前記本体の駆動情報を前記プローブの識別情報に関連付けて生成する生成部、および、前記駆動情報を記録する記録部を備える、制御部」
(c) しかしながら、上記構成においては、「タッチプローブ」と「倣いプローブ」の区別は明示せずに、単に「プローブ」として特定するのみであり、また、「前記移動機構の駆動に応じて」という特定があっても、「移動機構の駆動」が「タッチプローブ」の場合と「倣いプローブ」の場合で異なることを区別して特定していない。
(d) すなわち、「前記本体の駆動情報を前記プローブの識別情報に関連付けて生成」及び「記録」したと特定しても、請求人の主張するような、「タッチプローブ」又は「倣いプローブ」という装着プローブの種類・型の違いに由来する「課題認識」は、本願請求項1に発明特定事項として現れていない。
(e) そして、前記(1)ウで検討したように、本願発明と引用発明は、「前記移動機構の駆動を制御する制御部であって、前記移動機構の駆動に応じて、前記本体の駆動情報を前記プローブの識別情報に関連付けて生成する生成部、および、前記駆動情報を記録する記録部を備える、制御部と、」を含む点で一致するものである。
(f) 以上のとおり、請求人の前記主張は本願請求項1の記載に基づかないものであって、本願発明と引用発明の実質的な差異は請求項1の記載に基づいては認められないから、前記(1)エの当審の判断が左右されることはない。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。
また、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-011160