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特許拒絶査定不服審判

2022-010866

表示パネル、画素の補正回路および補正方法

審判番号
2022-010866
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-544901外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年07月12日
審決日
2023年06月14日
公報発行日
2023年11月24日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .536-Z (G09G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-544901「表示パネル、画素の補正回路および補正方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年12月13日国際公開、WO2018/223702、令和 2年 7月30日国内公表、特表2020-522724〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2018年(平成30年)1月17日を国際出願日とする外国語特許出願であって(パリ条約による優先権主張2017年6月9日、中国)、その手続の経緯の概略は、以下のとおりである。 令和元年 8月19日 :翻訳文の提出 令和2年10月21日 :手続補正書の提出 令和3年 7月14日付け:拒絶理由通知書 同年10月19日 :意見書、手続補正書の提出 令和4年 3月 4日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月14日 :原査定の謄本の送達) 同年 7月12日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1~7に係る発明(以下、請求項の番号に従って「本願発明1」などという。また、これらを総称して「本願発明」という。)は、令和4年7月12日に提出された手続補正書(以下、当該手続補正書による補正を「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1~7に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。 「【請求項1】 画素の補正回路及び前記補正回路に電気的に接続されるコントローラーを含む画素の補正装置であって、 前記補正回路は、駆動トランジスタ、補正容量、第1のスイッチングトランジスタおよび第2のスイッチングトランジスタを含み、 前記駆動トランジスタは、制御端が第2のスイッチングトランジスタの第1の端に電気的に接続されており、第1の端が発光素子に電気的に接続されており、第2の端が電源に電気的に接続されており、前記駆動トランジスタは、前記発光素子を駆動させるためのものであり、 前記補正容量は、第1の端が前記駆動トランジスタの第1の端に電気的に接続されており、第2の端が前記駆動トランジスタの制御端に電気的に接続されており、 前記第1のスイッチングトランジスタは、制御端が第1の信号入力端に電気的に接続されており、第1の端が前記駆動トランジスタの第1の端に電気的に接続されており、第2の端が初期電圧入力端に電気的に接続されており、 前記第2のスイッチングトランジスタは、制御端が第2の信号入力端に電気的に接続されており、第1の端が前記駆動トランジスタの制御端に電気的に接続されており、第2の端がデータ信号入力端に電気的に接続されており、 リセット段階において、前記第1の信号入力端に、前記第1のスイッチングトランジスタをオンに制御するようにハイレベルが入力されるとともに、前記第2の信号入力端に、前記第2のスイッチングトランジスタを所定時間オンに制御するように前記所定時間の内ハイレベルが入力されつつ、前記第2のスイッチングトランジスタをリセット段階の他の期間にオフに制御するように前記他の期間にローレベルが入力され、 前記リセット段階後の補正段階において、前記第1の信号入力端に、前記第1のスイッチングトランジスタをオフに制御するようにローレベルが入力されるとともに、前記第2の信号入力端に、前記第2のスイッチングトランジスタを所定時間オンに制御するようにハイレベルが入力されつつ、前記第2のスイッチングトランジスタを補正段階のほかの期間にオフに制御するように前記他の期間にローレベルが入力され、 前記補正段階後のデータ書込み段階において、前記第1の信号入力端に、前記第1のスイッチングトランジスタをオフに制御するようにローレベルが入力されるとともに、前記第2の信号入力端に、前記第2のスイッチングトランジスタをオンに制御するようにハイレベルが入力され、 前記データ書込み段階後の発光段階において、前記第1の信号入力端及び前記第2の信号入力端に、前記第1のスイッチングトランジスタおよび前記第2のスイッチングトランジスタをオフに制御するようにローレベルが入力され、 前記コントローラーは、 前記画素が設置された表示パネルを電源切断した際に、前記駆動トランジスタの、電源切断時の閾値電圧および電源切断時の移動度を取得するとともに、前記電源切断時の閾値電圧および前記電源切断時の移動度を記憶して、前記表示パネルが電源再投入された場合、記憶された前記電源切断時の閾値電圧および前記電源切断時の移動度をそれぞれ前記駆動トランジスタの初期閾値電圧および初期移動度とし、 前記表示パネルが電源再投入された初期段階で、当該初期閾値電圧により初期の閾値補正電圧を生成し、 前記表示パネルが電源再投入された初期段階で、当該初期移動度により初期の移動度補正電圧を生成し、 前記表示パネルが電源再投入された前記補正段階で、前記初期の閾値補正電圧と前記初期の移動度補正電圧により、前記第2のスイッチングトランジスタのデータ信号入力端に入力されたデータ電圧を補正することを特徴とする画素の補正装置。 【請求項2】 請求項1に記載の画素の補正装置を含むことを特徴とする表示パネル。 【請求項3】 前記コントローラーは、 前記駆動トランジスタの現在の閾値電圧および現在の移動度を検出し、 前記駆動トランジスタの現在の閾値電圧によって、閾値補正電圧を生成するとともに、現在の移動度によって、第1の移動度補正電圧を生成し、 前記閾値補正電圧が第1の所定閾値よりも大きい場合、前記閾値補正電圧および第1の移動度補正電圧によって、総補正電圧を生成し、 前記総補正電圧によって、前記補正回路に入力されたデータ電圧を補正するように配置されていることを特徴とする請求項2に記載の表示パネル。 【請求項4】 駆動トランジスタ、補正容量、第1のスイッチングトランジスタおよび第2のスイッチングトランジスタを含み、前記駆動トランジスタは、制御端が第2のスイッチングトランジスタの第1の端に電気的に接続されており、第1の端が発光素子に電気的に接続されており、第2の端が電源に電気的に接続されており、前記駆動トランジスタは、前記発光素子を駆動させるためのものであり、前記補正容量は、第1の端が前記駆動トランジスタの第1の端に電気的に接続されており、第2の端が前記駆動トランジスタの制御端に電気的に接続されており、前記第1のスイッチングトランジスタは、制御端が第1の信号入力端に電気的に接続されており、第1の端が前記駆動トランジスタの第1の端に電気的に接続されており、第2の端が初期電圧入力端に電気的に接続されており、前記第2のスイッチングトランジスタは、制御端が第2の信号入力端に電気的に接続されており、第1の端が前記駆動トランジスタの制御端に電気的に接続されており、第2の端がデータ信号入力端に電気的に接続されている画素の補正回路によって画素補正を行う方法であって、 リセット段階において、前記第1のスイッチングトランジスタをオンに制御し、前記第2のスイッチングトランジスタを所定時間オンに制御することと、 前記リセット段階後の補正段階において、前記第1のスイッチングトランジスタをオフに制御し、前記第2のスイッチングトランジスタを所定時間オンに制御することと、 前記補正段階後のデータ書込み段階において、前記第1のスイッチングトランジスタをオフに制御し、前記第2のスイッチングトランジスタをオンに制御することと、 前記データ書込み段階後の発光段階において、前記第1のスイッチングトランジスタおよび前記第2のスイッチングトランジスタをオフに制御することと、 前記画素が設置された表示パネルを電源切断した際に、前記駆動トランジスタの、電源切断時の閾値電圧および電源切断時の移動度を取得するとともに、前記電源切断時の閾値電圧および前記電源切断時の移動度を記憶して、前記表示パネルが電源再投入された場合、記憶された前記電源切断時の閾値電圧および前記電源切断時の移動度をそれぞれ前記駆動トランジスタの初期閾値電圧および初期移動度とし、前記表示パネルが電源再投入された初期段階で、当該初期閾値電圧により初期の閾値補正電圧を生成し、前記表示パネルが電源再投入された初期段階で、当該初期移動度により初期の移動度補正電圧を生成し、前記表示パネルが電源再投入された前記補正段階で、前記初期の閾値補正電圧と前記初期の移動度補正電圧により、前記第2のスイッチングトランジスタのデータ信号入力端に入力されたデータ電圧を補正することと、 を含むことを特徴とする方法。 【請求項5】 前記リセット段階の継続時間は、前記補正段階の継続時間よりも短く、 前記データ書込み段階の継続時間は、前記リセット段階の継続時間よりも短いことを特徴とする請求項4に記載の方法。 【請求項6】 駆動トランジスタ、補正容量、第1のスイッチングトランジスタおよび第2のスイッチングトランジスタを含み、前記駆動トランジスタは、制御端が第2のスイッチングトランジスタの第1の端に電気的に接続されており、第1の端が発光素子に電気的に接続されており、第2の端が電源に電気的に接続されており、前記駆動トランジスタは、前記発光素子を駆動させるためのものであり、前記補正容量は、第1の端が前記駆動トランジスタの第1の端に電気的に接続されており、第2の端が前記駆動トランジスタの制御端に電気的に接続されており、前記第1のスイッチングトランジスタは、制御端が第1の信号入力端に電気的に接続されており、第1の端が前記駆動トランジスタの第1の端に電気的に接続されており、第2の端が初期電圧入力端に電気的に接続されており、前記第2のスイッチングトランジスタは、制御端が第2の信号入力端に電気的に接続されており、第1の端が前記駆動トランジスタの制御端に電気的に接続されており、第2の端がデータ信号入力端に電気的に接続されている画素の補正回路を含む表示パネルによって、画素補正を行う方法であって、 前記駆動トランジスタの現在の閾値電圧および現在の移動度を検出することと、 前記駆動トランジスタの現在の閾値電圧によって、閾値補正電圧を生成するとともに、現在の移動度によって、第1の移動度補正電圧を生成することと、 前記閾値補正電圧が第1の所定閾値よりも大きい場合、前記閾値補正電圧および第1の移動度補正電圧によって、総補正電圧を生成することと、 前記総補正電圧によって、前記データ信号入力端に入力されたデータ電圧を補正することと、 前記画素が設置された表示パネルを電源切断した際に、前記駆動トランジスタの、電源切断時の閾値電圧および電源切断時の移動度を取得するとともに、前記電源切断時の閾値電圧および前記電源切断時の移動度を記憶して、前記表示パネルが電源再投入された場合、記憶された前記電源切断時の閾値電圧および前記電源切断時の移動度をそれぞれ前記駆動トランジスタの初期閾値電圧および初期移動度とし、前記表示パネルが電源再投入された初期段階で、当該初期閾値電圧により初期の閾値補正電圧を生成し、前記表示パネルが電源再投入された初期段階で、当該初期移動度により初期の移動度補正電圧を生成し、前記表示パネルが電源再投入された補正段階で、前記初期の閾値補正電圧と前記初期の移動度補正電圧により、前記第2のスイッチングトランジスタのデータ信号入力端に入力されたデータ電圧を補正することと、 を含むことを特徴とする方法。 【請求項7】 前記駆動トランジスタの移動度が変化した場合、前記現在の閾値電圧および変化後の移動度によって、第2の移動度補正電圧を生成することと、 前記第1の移動度補正電圧と第2の移動度補正電圧との間の電圧差分が第2の所定閾値よりも大きいか否かを判断することと、 前記電圧差分が前記第2の所定閾値よりも大きい場合、前記第2の移動度補正電圧によって、前記総補正電圧を更新することと、 をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。」 第3 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由2のうち、本件補正前の請求項3、6及び7に係る発明に関する理由の概略は、次のとおりである。 この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条4項1号に規定する要件を満たしていない。 (1) 本件補正前の請求項3及び6の「前記駆動トランジスタの現在の閾値電圧および現在の移動度を検出[する]」という事項を、具体的にどのように行うのかについて、発明の詳細な説明には当業者がその実施ができる程度に明確かつ十分に記載されていない。 (2)ア 本件補正前の請求項3、6の「前記駆動トランジスタの現在の閾値電圧によって、閾値補正電圧を生成するとともに、現在の移動度によって、第1の移動度補正電圧を生成」するという事項を、具体的にどのように行うのかについて、発明の詳細な説明には当業者がその実施ができる程度に明確かつ十分に記載されていない。 イ すなわち、発明の詳細な説明において、画素内部では、補正段階で閾値電圧が補正されていることを前提とすれば、補正段階とは別の「閾値補正電圧」をどのような演算等により、どのような値として、生成するのかについて、何ら具体的な記載がなされていない。 第4 当審の判断 1 前記拒絶の理由2の(1)について (1) 発明の詳細な説明に記載された事項 本願の発明の詳細な説明には、以下のように記載されている。なお、下線は当審合議体によるものであり、以下同様である。 「【0049】 また、本公開の実施例の画素の補正回路以外、外部補正を実施してもよく、すなわち、補正回路が受信するデータ電圧を補正し、補正精度をさらに向上する。具体的には、表示パネル100にコントローラーを設置することによって例示的に実現することができる。 【0050】 具体的には、前記コントローラーは、表示パネルに含まれる本公開の実施例による画素の補正回路に電気的に接続されることができ、例えば、補正回路の第1のスイッチングトランジスタT1および第2のスイッチングトランジスタT2に電気的に接続されることができる。コントローラーは、駆動トランジスタDrTの現在の閾値電圧Vthおよび現在の移動度Mobを検出し(例えば、第1のスイッチングトランジスタT1によって検出する)、駆動トランジスタDrTの現在の閾値電圧Vthおよび現在の移動度Mobによって閾値補正電圧△Vthおよび第1の移動度補正電圧△Vmobを生成することができる。」 「【0072】 S101:駆動トランジスタの現在の閾値電圧および現在の移動度を検出する(例えば、第1のスイッチングトランジスタによって検出する)。」 (2) 当審の判断について 前記(1)の摘記箇所、及び、当該摘記箇所以外の本願の発明の詳細な説明の記載のいずれにも、駆動トランジスタDrTの移動度を具体的にどのようにして取得するのかについて記載も示唆もされていない。 よって、発明の詳細な説明の記載は、請求項3、6及び7に係る発明について、当業者がその実施ができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。 (3) 審判請求書における主張について ア 請求人の主張 請求人は、審判請求書において、概略次の主張をしている。 「現在の移動度を検出する」ことについて、トランジスタの移動度の検出は、本願の優先日前に当業者の技術常識であって、本願の「前記駆動トランジスタの現在の移動度を検出」との記載に接した当業者は、当該移動度の検出を適宜実現することができる。 具体的には、トランジスタの移動度は、下記の式を満たす。 【数1】 [図:0001403252000001.jpg] したがって、駆動トランジスタの移動度は、下記の式によって演算される。 【数2】 [図:0001403252000002.jpg] ここで、μは移動速度、Wは駆動ドライブトランジスタのチャネルの幅、Lは駆動ドライブトランジスタのチャネルの長さ、Ciはソースとドレインの間の単位面積あたりの半導体材料の静電容量値である。Ciは、駆動トランジスタを形成する半導体材料の経験値に基づいて求められる。ηは、駆動トランジスタのドレインとソース間の電圧-電流特性曲線の傾きの値であり、電圧-電流特性曲線を測定することによって取得でき、又は、次の式に従っても取得できる。 【数3】 [図:0001403252000003.jpg] ここで、IOLEDは発光素子を流れる電流、IDは駆動ドライブトランジスタのドレイン電流、VDataは第2のスイッチングトランジスタのデータ端子の入力電圧、Vanodeは発光素子のアノード端の電圧、Vthは駆動ドライブトランジスタの閾値電圧であり、これらの値は、回路において検出される。また、αは、下記のように計算する。 【数4】 [図:0001403252000004.jpg] ここで、Cstは補正容量の容量値であり、COLEDは発光素子の寄生容量であるので、経験値を使用することが可能である。上述した技術常識を踏まえれば、「現在の移動度を検出」するとき、現在の補正回路の状態で、適切な検出装置等を用いて、上記式1におけるIOLED、IDなどを検出し、上記式1を利用して、移動度を演算することができる。 イ 請求人の主張に対する当審の見解 (ア) 請求人の主張は要するに、駆動トランジスタの移動度は、前記【数2】の式で演算されること、その演算に用いられるηは、駆動トランジスタのドレインとソース間の電圧-電流特性曲線の傾きの値であり、電圧-電流特性曲線を測定して求められるか、発光素子を流れる電流IOLED、駆動ドライブトランジスタのドレイン電流ID、第2のスイッチングトランジスタのデータ端子の入力電圧VData、発光素子のアノード端の電圧Vanode、駆動ドライブトランジスタの閾値電圧Vth及び前記【数4】により求めたαから、前記【数3】を用いて求められることは、技術常識であるから、前記技術常識を踏まえれば、発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施ができる程度に明確かつ十分に記載されたものであるというものである。 (イ) しかしながら、仮に、前記アで示した【数1】~【数4】の式が当業者にとって、よく知られたものであり、移動度が【数2】から求まることが技術常識であるとしても、具体的にどのようにして、コントローラーが、【数2】を演算するのに必要なパラメーター(例えば、電圧-電流特性曲線や、発光素子を流れる電流IOLED、駆動ドライブトランジスタのドレイン電流IDなど)を測定するかまでは、技術常識であるとは認められない。 (ウ) なお、発明の詳細な説明の【0050】には、「コントローラーは、駆動トランジスタDrTの現在の閾値電圧Vthおよび現在の移動度Mobを検出し(例えば、第1のスイッチングトランジスタT1によって検出する)」と記載されているが、第1のスイッチングトランジスタT1のみで前記パラメーターの全てが取得可能でないことは明らかである。 したがって、請求人の前記主張は認められない。 2 前記拒絶の理由2の(2)について (1) 発明の詳細な説明に記載された事項 本願の発明の詳細な説明には、以下記載されている。 「【0045】 本公開の実施例における画素の補正回路によれば、上記2つのスイッチングトランジスタT1、T2および1つの補正容量Cstを用いた回路構成によって、T1、T2に対する制御対策を組合せて、画素の発光段階における電流が駆動トランジスタDrTの閾値電圧Vthからの影響を受けないようにしており、これにより、Vthの変化を補正し、当該補正回路は、回路構成が簡単であるとともに、補正のリアルタイム性が高く、表示パネルが残像を表示するという課題を効果的に改善し、表示パネルの表示効果を向上することができる。」 「【0049】 また、本公開の実施例の画素の補正回路以外、外部補正を実施してもよく、すなわち、補正回路が受信するデータ電圧を補正し、補正精度をさらに向上する。具体的には、表示パネル100にコントローラーを設置することによって例示的に実現することができる。 【0050】 具体的には、前記コントローラーは、表示パネルに含まれる本公開の実施例による画素の補正回路に電気的に接続されることができ、例えば、補正回路の第1のスイッチングトランジスタT1および第2のスイッチングトランジスタT2に電気的に接続されることができる。コントローラーは、駆動トランジスタDrTの現在の閾値電圧Vthおよび現在の移動度Mobを検出し(例えば、第1のスイッチングトランジスタT1によって検出する)、駆動トランジスタDrTの現在の閾値電圧Vthおよび現在の移動度Mobによって閾値補正電圧△Vthおよび第1の移動度補正電圧△Vmobを生成することができる。 【0051】 ただし、閾値補正電圧△Vthが第1の所定閾値よりも大きい場合、コントローラーは、閾値補正電圧△Vthおよび第1の移動度補正電圧△Vmobによって、総補正電圧を生成し、総補正電圧によって、データ信号入力端に入力されたデータ電圧Vdataを補正することができる。本公開の一実施例において、閾値補正電圧△Vthが0.5Vよりも大きい場合、OLEDに流れる電流Ioledは、Vthからの影響を無視できなくなる。この場合、発光段階において、データ電圧にk△Vthを加算し、即ち、データ電圧をVdata+k△Vth+△Vmobにすることができ、ただし、kは補正係数であり、当該補正係数kは、その以降の調整によって取得され、数値範囲は0~1である。 【0052】 駆動トランジスタDrTの移動度が温度によって大きく影響されるため、駆動トランジスタDrTの移動度が変化した場合、例えば、data blank時間において、即ち、各フレームにおける、データを書き込まない時間において、移動度補正電圧を取得し直し、総補正電圧を更新することができる。具体的には、コントローラーは、駆動トランジスタDrTの移動度が変化した際に、現在の閾値電圧および変化した移動度によって、第2の移動度補正電圧△Vmob_newを生成し、第1の移動度補正電圧△Vmobと第2の移動度補正電圧△Vmob_newとの間の電圧差分が第2の所定閾値よりも大きい際に、第2の移動度補正電圧△Vmob_newによって、総補正電圧を更新することができる。すなわち、移動度補正電圧の変化が大きければ、新たに取得される移動度補正電圧によってデータ電圧を補正することができる。本公開の一実施例において、全ての行の駆動トランジスタDrTの移動度を取得した後に、次のフレームの発光段階において、データ電圧は、Vdata+k△Vth+△Vmob_newとなることができる。 【0053】 画素が電源切断によって発光を停止する際に、例えば、OLED表示パネルが電源切断によって発光を停止する際に、コントローラーは、駆動トランジスタDrTの電源切断時の閾値電圧および電源切断時の移動度を取得し、メモリによって電源切断時の閾値電圧および電源切断時の移動度を記憶し、これにより、画素が電源再投入された場合、メモリに記憶された電源切断時の閾値電圧および電源切断時の移動度をそれぞれ初期閾値電圧および初期移動度とし、表示パネルが再度で表示する際に、当該初期閾値電圧および初期移動度によって、データ電圧を補正する対策を更に行うことができる。 【0054】 以上のように、外部補正と補正回路を組み合わせて混合補正を行うことによって、補正精度を効果的に向上することができ、表示パネルの表示効果をさらに向上することができる。」 「【0077】 S104:総補正電圧によって、データ信号入力端に入力されたデータ電圧を補正する。 具体的には、補正後のデータ電圧は、Vdata+k△Vth+△Vmobであり、ただし、kは補正係数であり、当該補正係数kは、その以降の調整によって取得され、その数値範囲は、0~1である。」 (2) 当審の判断について ア 前記(1)の摘記箇所の記載によると、本願発明は、 画素の補正回路により、駆動トランジスタの閾値電圧Vthの変化を補正するだけでなく、コントローラーにより、外部補正を実施することで、外部補正と補正回路を組み合わせて混合補正を行うものであり、 前記外部補正は、具体的には、コントローラーが、駆動トランジスタDrTの現在の閾値電圧Vth及び現在の移動度Mobを検出し、駆動トランジスタDrTの現在の閾値電圧Vth及び現在の移動度Mobによって閾値補正電圧△Vth及び第1の移動度補正電圧△Vmobを生成し、閾値補正電圧△Vth及び第1の移動度補正電圧△Vmobによって、総補正電圧を生成し、総補正電圧によって、データ信号入力端に入力されたデータ電圧Vdataを補正するものと認められる。 イ しかしながら、駆動トランジスタDrTの閾値電圧Vthは、画素の補正回路により、すでに補正されており、コントローラーによる閾値電圧の外部補正により、データ電圧に閾値電圧が補正された場合、補正が重複して実施されることになるから、駆動トランジスタの閾値電圧Vthの変動を正しく打ち消せないことは明らかである。 ウ また、発明の詳細な説明の【0051】、【0077】には、コントローラーが生成する総補正電圧により補正されたデータ電圧が、Vdata+k△Vth+△Vmob(ただし、kは補正係数であり、当該補正係数kは、その以降の調整によって取得され、数値範囲は0~1である。)であることが記載されており、当該記載から、外部補正と補正回路を組み合わせて混合補正を行う際に、駆動トランジスタの閾値電圧Vthのうち補正回路によっては補正しきれなかった残りの変動を打ち消すように、補正係数kを調整すると考えられなくもないが、その場合に補正係数kをどのように求めているか、発明の詳細な説明には記載も示唆もされていないし、このような補正係数kを求めることまで技術常識であるとも認められない。 よって、発明の詳細な説明の記載は、請求項3、6及び7に係る発明について、当業者がその実施ができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。 (3) 審判請求書における主張について ア 請求人の主張 請求人は、審判請求書において、概略次の主張をしている。 「前記駆動トランジスタの現在の閾値電圧によって、閾値補正電圧を生成する」ことについて 具体的には、補正値ΔVth(即ち閾値補正電圧)は、例えば、現在の閾値電圧と基準値との差であってもよく、現在の閾値電圧と補正係数kの積であってもよく、例えば、補正値ΔVthは、Vthの絶対値と等しくてもよい(即ちk=1)ことを、当業者であれば理解できる。外部補正として、ΔVthという電圧値をデータ電圧Vdataに直接的に加算することによって、各画素の駆動トランジスタの閾値電圧Vthの違いを相殺する。その結果、閾値電圧Vthの違いが表示の均一性に与える影響を除去することが可能になる。 イ 請求人の主張に対する当審の見解 請求人の主張は要するに、コントローラーによる外部補正により、ΔVthという電圧値をデータ電圧Vdataに直接的に加算することによって、各画素の駆動トランジスタの閾値電圧Vthの違いを相殺できるというものである。 しかしながら、コントローラーの外部補正により、駆動トランジスタの閾値電圧Vthの違いを相殺できるとしても、前記(2)イ及びウで示した、補正が重複して実施されることになる点、及び補正係数kをどのように求めているかが不明である点に関しては何ら説明されておらず、請求項3、6及び7に係る発明をどのようにして実施することができるのかは不明である。 したがって、請求人の前記主張は認められない。 3 小括 前記1及び2で検討したとおり、本願明細書の発明の詳細な説明は、請求項3、6及び7に係る発明について、当業者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載することにより、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。 第5 むすび 以上のとおり、本願明細書の発明の詳細な説明は、請求項3、6及び7に係る発明について、経済産業省令で定めるところにより、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。 したがって、本願は、請求項3、6及び7に係る発明について、発明の詳細な説明の記載が特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-010866

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