特許拒絶査定不服審判
2022-010153
リハビリ状態のための評価及び管理システム並びに関係する方法
- 審判番号
- 2022-010153
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-517303
- 請求日
- 2022年06月30日
- 審決日
- 2023年12月13日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】リハビリテーション インスティテュート オブ シカゴ
- 【請求人代理人】稲葉 良幸
- 【請求人代理人】大貫 敏史
- 【請求人代理人】江口 昭彦
- 【請求人代理人】内藤 和彦
- 審判長/審判官
- 審判長 渡邊 聡
- 審判官 古川 哲也
- 審判官 緑川 隆
- 分類
- P18 .537-WY (G16H) / P18 .121-WY (G16H) / P18 .536-WY (G16H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-517303「リハビリ状態のための評価及び管理システム並びに関係する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 4月 4日国際公開、WO2019/067554、令和 2年12月 3日国内公表、特表2020-535526、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)9月26日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2017年(平成29年)9月27日、米国)を国際出願日とする出願であって、令和3年3月26日付けで拒絶理由通知がされ、同年9月29日に手続補正がされ、令和4年2月28日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年6月30日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正(以下、「審判請求時補正」という。)がされ、令和5年7月5日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)がされ、同年10月6日に手続補正(以下、「本件補正」という。)がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(令和4年2月28日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
理由3(明確性)
この出願は、特許請求の範囲の請求項2~4の記載が明確でなく、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
理由4(実施可能要件)
この出願は、発明の詳細な説明について、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が請求項2に係る発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されておらず、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
理由1(明確性)
この出願は、特許請求の範囲の請求項2、5~12の記載が明確でなく、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
理由2(サポート要件)
この出願は、特許請求の範囲の請求項4、7、12に係る発明が、発明の詳細な説明に記載したものでなく、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
理由3(進歩性)
本願請求項1~4、12~16に係る発明は、以下の引用文献1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:Stephen M. Haley et al.,Activity Outcome Measurement for Postacute Care,Medical Care,米国,2004年1月1日,Vol.42,No.1,p.I-49~I-61
第4 本願発明
本願請求項1~16に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明16」という。)は、本件補正より補正された特許請求の範囲の請求項1~16に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「 【請求項1】
患者を評価するためのコンピュータ支援方法であって、
a.項目応答理論(IRT)を用いて、複数の領域における前記患者の複数の評価についての評価項目を選択すること、
b.前記複数の評価の第1の評価の入力を受け付けることであって、前記第1の評価は、セルフケア分野内で前記患者を評価するためのものであり、かつ、バランス、上肢機能、及び嚥下の領域内の第1の複数の評価項目を含む、こと、
c.前記複数の評価の第2の評価の入力を受け付けることであって、前記第2の評価は、移動度分野内で前記患者を評価するためのものであり、かつ、バランス、車椅子スキル、体位変更、ベッド移動度、及び移動度の領域内の第2の複数の評価項目を含む、こと、
d.前記複数の評価の第3の評価の入力を受け付けることであって、前記第3の評価は、認知分野内で前記患者を評価するためのものであり、かつ、認知、記憶、及び意思伝達の領域内の第3の複数の評価項目を含む、こと、
e.前記セルフケア分野、前記移動度分野、及び前記認知分野のそれぞれについて構築された統計モデルに基づいて実行されるそれぞれの項目応答理論(IRT)分析に基づいて、受け付けた評価のそれぞれについてのそれぞれの複数の評価項目についての患者の性能に基づく、それぞれの分野固有のIRTスコアを生成することであって、i)前記第1の評価における前記第1の複数の評価項目についての患者の性能に基づくセルフケアIRTスコア、ii)前記第2の評価における前記第2の複数の評価項目についての患者の性能に基づく移動度IRTスコア、及びiii)前記第3の評価における前記第3の複数の評価項目についての患者の性能に基づく認知IRTスコアを生成することを含む、こと、及び
f.前記生成された分野固有のIRTスコアを電子医療記録内に記憶すること、
を含む動作を実行する計算装置を含む、方法。
【請求項2】
前記分野固有のIRTスコアに対応するデータのプロットを生成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記評価項目は、因子分析を用いて、更に選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記評価項目は、古典的テスト理論分析を用いて、更に選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
リハビリ患者の改善を測定する方法であって、
a.複数の評価領域について構築された統計モデルに基づいて実行される項目応答理論(IRT)分析に基づいて、前記複数の評価領域のそれぞれにおいてリハビリ患者を評価するための評価項目を選択すること、
b.前記リハビリ患者の第1の評価の入力を受け付けることであって、前記第1の評価は、セルフケア分野において前記患者を評価するための第1の複数の前記選択された評価項目を含む、こと、
c.前記リハビリ患者の第2の評価の入力を受け付けることであって、前記第2の評価は、移動度分野において前記患者を評価するための第2の複数の前記選択された評価項目を含む、こと、
d.前記リハビリ患者の第3の評価の入力を受け付けることであって、前記第3の評価は、認知分野において前記患者を評価するための第3の複数の前記選択された評価項目を含む、こと、
e.前記受け付けた入力を電子医療記録内に記憶すること、
f.対応する評価領域において前記リハビリ患者の改善を測定するために、前記第1、第2、及び第3の評価の少なくとも一つに関する前記リハビリ患者による性能に基づいて、少なくとも一つの分野固有のスコアを決定すること、及び
g.前記少なくとも一つの分野固有のスコアを、前記対応する評価領域における前記リハビリ患者についての予測スコアと比較することであって、前記予測スコアは、前記対応する評価領域における前記リハビリ患者に関連付けられる診断の重症度に少なくとも部分的に基づいており、前記比較は、前記対応する評価領域において治療を改善するために使用される、こと、
を含む動作を実行する計算装置を含む、方法。
【請求項6】
前記評価項目は、因子分析に基づいて更に選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記評価項目は、古典的テスト理論分析に基づいて更に選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1、第2、及び第3の評価のそれぞれが因子に分けられる、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の評価の因子は、バランス、上肢機能、及び嚥下である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
表示画面に前記少なくとも一つの分野固有のスコアを表示する計算装置を更に備える、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記比較は、i)治療必要性の領域を識別し、ii)前記治療必要性の領域への治療に的を絞るために使用される、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
患者を評価するためのコンピュータ支援方法であって、
a.複数の評価領域について構築された統計モデルに基づいて実行される項目応答理論(IRT)分析に基づいて、前記複数の評価領域のそれぞれにおいて患者を評価するための複数の評価についての評価項目を選択することであって、前記統計モデルの少なくとも一つは、前記患者のサンプルに基づいて構築され、前記患者のサンプルは、前記複数の評価領域のうち特定の評価領域における前記患者の能力を示すカテゴリに従ってグループ分けされた前記患者の複数のグループを含む、こと、
b.前記複数の評価のうち第1の評価の入力を受け付けることであって、前記第1の評価は、前記患者をセルフケア分野で評価するためのものであり、かつ、バランス、上肢機能、及び嚥下の領域内の複数の評価項目を含む、こと、
c.前記複数の評価のうち第2の評価の入力を受け付けることであって、前記第2の評価は、移動度分野内で前記患者を評価するためのものであり、かつ、バランス、車椅子スキル、体位変更、ベッド移動度、及び移動度の領域内の複数の評価項目を含む、こと、
d.前記複数の評価のうち第3の評価の入力を受け付けることであって、前記第3の評価は、認知分野内で前記患者を評価するためのものであり、かつ、認知、記憶、及び意思伝達の領域内の複数の評価項目を含む、こと、
e.統計モデルのそれぞれを、受け付けた評価の対応する評価に少なくとも適用することにより、受け付けた評価のそれぞれにおける複数の評価項目のそれぞれについての患者の性能に基づいてそれぞれの分野固有のIRTスコアを生成することであって、i)前記第1の評価における前記複数の評価項目についての前記患者の性能に基づくセルフケアIRTスコア、ii)前記第2の評価における前記複数の評価項目についての前記患者の性能に基づく移動度IRTスコア、及びiii)前記第3の評価における前記複数の評価項目についての前記患者の性能に基づく認知IRTスコアを生成することを含む、こと、及び
f.前記生成された分野固有のIRTスコアを電子医療記録内に記憶すること、
を含む動作を実行する計算装置を含む、方法。
【請求項13】
前記患者のサンプルに基づいて構築された前記統計モデルの少なくとも一つは、i)前記セルフケア分野及び前記移動度の領域の一つにおいて前記患者を評価するためのものであり、ii)前記患者のバランスのレベルを示すカテゴリに従ってグループ分けされた前記患者の複数のグループに基づいている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記患者のバランスのレベルは、i)バランスなし、ii)座位バランス、iii)立位バランス、及びiv)歩行バランスのうち二つ以上を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記患者のサンプルに基づいて構築された前記統計モデルの少なくとも一つは、i)前記認知分野内において前記患者を評価するためのものであり、ii)前記患者の認知的診断に従ってグループ分けされた前記患者の複数のグループに基づいている、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記患者の認知的診断は、i)通常認知、ii)脳卒中、iii)脳損傷、及びiv)神経性異常のうち二つ以上を含む、請求項15に記載の方法。」
第5 引用文献、引用発明
1 引用文献1に記載された事項
当審拒絶理由に引用された引用文献1には、次の事項が記載されている。(下線は当審で付した。以下、同様。)
(1)「Methods: We developed a 41-item Activity Measure for Postacute Care (AM-PAC)that assessed an individual’s execution of discrete daily tasks in his or her own environment across major content domains as defined by the ICF. We evaluated the reliability and discriminant validity of the prototype AM-PAC in 477 individuals in active rehabilitation programs across 4 rehabilitation settings using factor analyses, tests of item scaling, internal consistency reliability analyses, Rasch item response theory modeling, residual component analysis, and modified parallel analysis.」(第I-49頁左欄第11~19行)
(当審訳:
方法:私達は、ICFによって定義されている主要な内容領域にわたって、個人の環境における個人の日常タスクの実行を評価する41項目の急性期治療のための活動測定(AM-PAC)を開発した。私達は、因子分析、項目スケーリングのテスト、内部一貫性信頼性分析、Rasch項目反応理論モデリング、残差成分分析、改良された並列分析を使用して、4つのリハビリテーション設定にわたる積極的なリハビリテーションプログラムに参加している477人のプロトタイプAM-PACの信頼性と判別的妥当性を評価した。)
(2)「Conclusions: This 3-factor model of the AM-PAC can form the conceptual basis for common-item equating and computer-adaptive applications, leading to a comprehensive system of outcome instruments for postacute care settings.」(第I-49頁左欄第32行~同頁右欄第2行)
(当審訳:
結論: このAM-PACの3因子モデルは、共通項目の同等化及びコンピュータ適応型アプリケーションの概念的基礎を形成し、急性期後ケア環境のための成果手段の特徴を持つ包括的なシステムへと導く。)
(3)「Analyses
An exploratory factor analysis was performed on the data to identify latent factors that could be responsible for the covariation in the activity data across the 477 respondents within 4 postacute care settings. We used the principal axis method, using polychoric rather than Pearson correlations due to the ordinal nature of the data, for the initial extraction of factors, followed by an oblique (promax) rotation. The eigenvalues, scree plots, proportion of variance accounted for by each factor, factor loadings, and interpretability of the factors were all used to determine the final number of factors to retain. Items with high loadings of 0.50 or greater were retained.
We also performed a confirmatory factor analysis (CFA). There is no single accepted criterion index to judge model fit, so we report several goodness-of-fit indices. Model fit was evaluated using the comparative fit index (CFI), the Tucker-Lewis index (TLI), and the root mean square error of approximation (RMSEA).」(第I-51頁右欄第32~50行)
(当審訳:
分析
探索的因子分析がデータに対して実行され、4つの急性期後ケア環境内の477人の回答者にわたる活動データの共変動の原因となり得る潜在的な因子が特定された。データの序数の性質によりピアソン相関ではなくポリコリック相関を使用した主軸法を使用して、因子の最初の抽出に続いて斜め (プロマックス) 回転を行った。固有値、スクリープロット、各因子によって説明される分散の割合、因子負荷量、および因子の解釈可能性はすべて、保持する因子の最終数を決定するために使用されました。0.50以上の高負荷のアイテムは保持された。
私達は、確認的因子分析(CFA)も実施した。モデルの適合性を判断するための容認された基準指標は1つではないため、いくつかの適合度指標を報告する。モデルの適合性は、比較適合指数(CFI)、タッカールイス指数(TLI)、及び近似二乗平均平方根誤差(RMSEA)を使用して評価された。)
(4)「We examined the psychometric properties of the AM-PAC using MAP-R software for the total sample and for 3 diagnosis-specific groups. This included an evaluation of item internal consistency, item discriminant validity, and scale-level reliability.」(第I-52頁左欄第10~14行)
(当審訳:
私達は、MAP-Rソフトウェアを使用してサンプル全体と3つの診断固有のグループに対してAM-PACの心理測定特性を検査した。これは、項目の内部一貫性、項目の判別の妥当性、及びスケールレベルの信頼性の評価を含む。)
(5)「Next, we conducted a series of 1-parameter Rasch rating scale analyses to further assess the dimensionality of each scale. Under the rating scale formulation of the Rasch model, it is possible to estimate a person location corresponding to a level of ability, an item estimate corresponding to the difficulty of successfully completing a task, and an estimate corresponding to the difficulty of accomplishing each successive step on the ordered sequence of scoring categories.」(第I-52頁左欄第30~38行)
(当審訳:
次に、各スケールのさらなる次元性を評価するため、一連の1パラメータRasch評価スケール分析を実施した。Raschモデルの評価尺度定式化では、能力レベルに応じた人物の位置、タスクを正常に完了する難易度に応じたアイテムの推定値、及び整然とした一連のスコアカテゴリの連続する各ステップの達成難易度に応じた推定値を推定することができる。)
(6)「Item Reduction
A preliminary inspection of the factor analysis and Rasch solutions yielded items that needed to be removed from the final item set. Four items, filling out a long form (eg, insurance form), reading the newspaper or magazine, looking up a phone number in phone book, and reading simple material (eg, menu or TV guide) were eliminated because their factor loadings were cross-loaded and not interpretable. A series of 10 additional items were removed from the Applied Cognition domain due to either poor item fit or poor item-scale correlations: reading and following complex instructions, reading a long book, controlling temper in frustrating situations, writing down a short message or note, filling out a short form, managing time, coping with noise, coping with unexpected daily events, getting to know new people, getting along with family and friends, and following a series of phone dialing directions. Two items, sitting up at the side of the bed and turning over in bed, were removed from the Physical & Mobility domain due to poor item fit. A set of 41 items was used for the final analyses.」(第I-53頁左欄第21~40行)
(当審訳:
項目の削減
因子分析とRaschソリューションの予備検査は、最終的な項目セットから削除する必要がある項目をもたらした。長いフォーム(保険フォームなど)への記入、新聞や雑誌の読書、電話帳での電話番号の検索、簡単な資料(メニューやテレビガイドなど)の読み取りの4つの項目は、因子負荷量が交差して解釈できないため除外された。複雑な指示を読んで従うこと、長い本の読書、失望させる状況での苛立ちのコントロール、短いメッセージやメモの書き留め、短い書式への記入、時間管理、騒音への対処、予期せぬ日々の出来事への対処、新しい人々と知り合うこと、家族や友人と仲良くし、一連の電話の番号を押す指示に従うことの、一連の10個の追加項目は、項目の適合性が不十分であるか、項目スケールの相関が不十分であるため、応用認知領域から削除された。ベッドの横に座る動作とベッドで寝返りを打つ動作の2つの項目は、項目の適合性が不十分であるため、身体と移動性の領域から削除された。最終分析には41項目のセットが使用された。)
(7)「Table 2 presents the factor loading estimates for the 3-factor solution that best fit the data. Because there are moderate correlations among the 3 factors in our data, the promax rotation yields factor loadings that are regression coefficients (not correlations); thus, values can be larger than 1.0 in magnitude, as noted in Table 2 in the Physical & Movement domain.
The 3 factors together explained 72% of the variance in this sample (Table 2). We labeled the first factor Applied Cognition because it reflected perceived difficulty in performing basic communication, social and daily management actions. Sixteen items loaded highly on this factor, which explains 44% of the variance in the data. The second factor was labeled Personal Care & Instrumental Activities since it contains primarily basic self-care and instrumental activities of daily life. Sixteen items loaded highly on this factor, which explains 19% of the variance. The final factor, which had a high loading on 10 items and explains 9% of the variance, was labeled Physical & Movement Activity.It includes basic movement and physical functioning actions such as bending, walking and carrying, and use of stairs. 」(第I-53頁右欄第6~26行)
(当審訳:
表2は、データに最もよく適合する3因子解の因子負荷推定値を示しています。データ内の3つの因子間には中程度の相関があるため、プロマックス回転により、(相関ではなく) 回帰係数である因子負荷量が得られる。したがって、身体と運動の領域の表2に示されているように、値の大きさが1.0より大きくなる可能性があります。
3つの因子を合わせると、このサンプルの分散の72%が説明される (表2)。私達は、最初の因子を、基本的なコミュニケーション、社会的及び日常的な管理活動を実行する際に知覚される困難を反映しているため、「応用認知」とラベル付けした。16項目がこの因子に大きく依存しており、データの分散の44%を説明する。2番目の因子は、主に基本的なセルフケアと日常生活の手段的な活動が含まれるため、「パーソナルケアと手段的な活動」とラベル付けされた。16項目がこの因子に大きく依存しており、分散の19%を説明する。最後の因子は、10項目に高い重みを有し、分散の9%を説明するもので、「身体活動と運動活動」とラベル付けされた。これは、曲げる、歩く、運ぶ、階段の使用などの基本的な運動と身体機能活動を含む。)
(8)「
[図:0001405289000001.jpg]
」(第I-54頁、表2)
2 引用文献1の記載から把握できる事項
ア 上記(1)から、引用文献1に記載のものは、個人の環境における個人の日常タスクの実行を評価する41項目の急性期後介護のための活動測定(AM-PAC)について、積極的なリハビリテーションプログラムに参加している個人477人分のAM-PACのプロトタイプの信頼性と判別の妥当性を、因子分析やRasch項目応答理論モデリングを用いて評価する方法に関する。
イ 上記(3)、(4)、(5)から、引用文献1に記載の発明は、探索的因子分析がデータに対して実行され、4つの急性期後ケア環境内の477人の回答者にわたる活動データの共変動の原因となり得る潜在的な因子が特定され、MAP-Rソフトウェアを用いて、サンプル全体と3つの診断固有グループに対して、スケールレベルの信頼性の評価が含まれたAM-PACの心理測定特性を検査し、各スケールの次元性を評価するために、Rasch評価スケール分析を行うものである。
ウ 上記(6)から、引用文献1に記載の発明では、因子分析とRaschソリューションの予備検査により、幾つかの項目が最終項目セットから削除され、最終分析には41項目のセットが使用されたものである。
エ 上記(7)、(8)から、引用文献1に記載の発明は、基本的なコミュニケーション、社会的及び日常的な管理活動を行う際に認識されている困難を反映した「応用認知」とラベル付けした第1の因子、主に基本的なセルフケアと日常生活の手段となる活動を含んだ、「パーソナルケアと手段となる活動」とラベル付けした第2の因子、曲げる、歩く、運ぶ、階段の利用などの基本的な動作と身体機能動作を含んだ、「身体活動と運動活動」とラベル付けした最後の因子、を3つの因子として、データに最も適合する3因子解の因子負荷推定値を求めるものである。
オ 上記(2)から、引用文献1に記載のAM-PACの3因子モデルは、共通項目の同等化及びコンピュータ適応型アプリケーションの概念的基礎を形成し、急性期後ケア環境のための成果手段の特徴を持つ包括的なシステムへと導くものである。
3 引用文献1に記載された発明
上記2のア~オより、引用文献1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「個人の環境における個人の日常タスクの実行を評価する41項目の急性期後介護のための活動測定(AM-PAC)について、積極的なリハビリテーションプログラムに参加している個人477人分のAM-PACのプロトタイプの信頼性と判別の妥当性を、因子分析やRasch項目応答理論モデリングを用いて評価する方法であって、
探索的因子分析がデータに対して実行され、4つの急性期後ケア環境内の477人の回答者にわたる活動データの共変動の原因となり得る潜在的な因子が特定され、MAP-Rソフトウェアを用いて、サンプル全体と3つの診断固有グループに対して、スケールレベルの信頼性の評価が含まれたAM-PACの心理測定特性を検査し、各スケールの次元性を評価するために、Rasch評価スケール分析を行うものであり、
因子分析とRaschソリューションの予備検査により、幾つかの項目が最終項目セットから削除され、最終分析には41項目のセットが使用され、
基本的なコミュニケーション、社会的及び日常的な管理活動を行う際に認識されている困難を反映した「応用認知」とラベル付けした第1の因子、主に基本的なセルフケアと日常生活の手段となる活動を含んだ、「パーソナルケアと手段となる活動」とラベル付けした第2の因子、曲げる、歩く、運ぶ、階段の利用などの基本的な動作と身体機能動作を含んだ、「身体活動と運動活動」とラベル付けした最後の因子、を3つの因子として、データに最も適合する3因子解の因子負荷推定値を求め、
AM-PACの3因子モデルは、共通項目の同等化及びコンピュータ適応型アプリケーションの概念的基礎を形成し、急性期後ケア環境のための成果手段の特徴を持つ包括的なシステムへと導くものである、
AM-PACのプロトタイプの信頼性と判別の妥当性を評価する方法。」
第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明は、「評価をする方法」であって、その評価のための処理を「MAP-Rソフトウェアを用いて」行っているから、コンピュータを用いて評価処理の支援を行っている方法、すなわち、「評価するためのコンピュータ支援方法」である点で本願発明1と共通する。
もっとも、「評価の対象」が、本願発明1では「患者」であるのに対し、引用発明では、「急性期後介護のための活動測定(AM-PAC)プロトタイプの信頼性と判別の妥当性」である点で相違する。
イ 引用発明は、AM-PACプロトタイプの信頼性と判別の妥当性を、因子分析やRasch項目応答理論モデリングを用いて評価するものであるところ、「Rasch項目応答理論」は、本願発明1の「項目応答理論(IRT)」に相当する。
また、引用発明は、サンプル全体と「3つの診断固有グループ」に対して、スケールレベルの信頼性の評価が含まれたAM-PACの心理測定特性を検査し、各スケールの次元性を評価するために、Rasch評価スケール分析を行うものであって、その最終分析には41項目のセットを使用して分析を行う、すなわち「41項目の急性期後介護のための活動測定(AM-PAC)」を行うものであるから、引用発明において、個人の日常タスクの実行を評価する「AM-PAC」の項目は、本願発明1の「患者の複数の評価についての評価項目」に相当し、引用発明の「3つの診断固有グループ」は、本願発明1の「複数の領域」に相当する。
ここで、引用発明は、最終分析において41項目のセットを使用するものであるところ、因子分析とRaschソリューションの予備検査により、幾つかの項目を最終項目セットから削除していることから、引用発明の「AM-PACプロトタイプ」の信頼性と判別の妥当性の評価は、「AM-PAC」の項目を「選択」しているといえる。
したがって、引用発明において、Raschソリューションの予備検査により、AM-PACの項目を選択することは、本願発明1の「a.項目応答理論(IRT)を用いて、複数の領域における前記患者の複数の評価についての評価項目を選択すること」と、「a.項目応答理論(IRT)を用いて、複数の領域における患者の複数の評価についての評価項目を選択すること」である点で共通する。
もっとも、上記アと関連して、「患者の複数の評価についての評価項目」の「患者」が、本願発明1では「前記患者」すなわち、評価対象である患者であるのに対し、引用発明では、「前記患者」ではない点で相違する。
ウ 引用発明は、積極的なリハビリテーションプログラムに参加している個人477人に対し、41項目のAM-PACプロトタイプの信頼性と判別の妥当性を評価するものであり、この信頼性や妥当性は、各「個人」に対して41項目の活動測定を行った際の測定結果を入力することにより得られる、「個人の日常タスクの実行を評価する」ための何らかの出力に対して、因子分析やRasch項目応答理論モデリングを用いることにより評価されるものであるといえる。
したがって、引用発明のAM-PACプロトタイプの信頼性と判別の妥当性の評価において、各「個人」に対する41項目の活動測定を行った際の測定結果の入力を、「MAP-Rソフトウェア」を実行するコンピュータ等で受け付けることは、本願発明1の「前記複数の評価」の「入力を受け付けること」に相当する。
エ 引用発明の「AM-PACの3因子モデル」は、「パーソナルケアと手段となる活動」とラベル付けした第2の因子を有するものであって、当該第2の因子は、主に基本的なセルフケアと日常生活の手段となる活動を含むものであるから、引用発明の「パーソナルケアと手段となる活動」は、本願発明1の「セルフケア分野」に相当する。
そして、上記ウで示したように、引用発明は、AM-PACプロトタイプの信頼性と判別の妥当性の評価において、「個人」に対して行った41項目の活動測定の測定結果を入力しているといえるから、当該41項目のうち「第2の因子」の評価に影響を与える項目についての評価の入力を受け付けることは、本願発明1の「b.前記複数の評価の第1の評価の入力を受け付けることであって、前記第1の評価は、セルフケア分野内で前記患者を評価するためのものであり、かつ、バランス、上肢機能、及び嚥下の領域内の第1の複数の評価項目を含む、こと」と、「b.前記複数の評価の第1の評価の入力を受け付けることであって、前記第1の評価は、セルフケア分野内で評価するためのものである、こと」である点で共通する。
オ 引用発明の「AM-PACの3因子モデル」は、「身体活動と運動活動」とラベル付けした最後の因子を有するものであって、当該最後の因子は、曲げる、歩く、運ぶ、階段の利用などの基本的な動作と身体機能動作を含むものであるから、引用発明の「身体活動と運動活動」は、本願発明1の「移動度分野」に相当する。
そして、上記エと同様に、引用発明において、「個人」に対して行った41項目の活動測定のうち「最後の因子」の評価に影響を与える項目についての評価の入力を受け付けることは、本願発明1の「c.前記複数の評価の第2の評価の入力を受け付けることであって、前記第2の評価は、移動度分野内で前記患者を評価するためのものであり、かつ、バランス、車椅子スキル、体位変更、ベッド移動度、及び移動度の領域内の第2の複数の評価項目を含む、こと」と、「c.前記複数の評価の第2の評価の入力を受け付けることであって、前記第2の評価は、移動度分野内で評価するためのものである、こと」である点で共通する。
カ 引用発明の「AM-PACの3因子モデル」は、「応用認知」とラベル付けした第1の因子を有するものであって、当該第1の因子は、基本的なコミュニケーション、社会的及び日常的な管理活動を行う際に認識されている困難を反映したものであるから、引用発明の「応用認知」は、本願発明1の「認知分野」に相当する。
そして、上記エと同様に、引用発明において、「個人」に対して行った41項目の活動測定のうち「第1の因子」の評価に影響を与える項目についての評価の入力を受け付けることは、本願発明1の「d.前記複数の評価の第3の評価の入力を受け付けることであって、前記第3の評価は、認知分野内で前記患者を評価するためのものであり、かつ、認知、記憶、及び意思伝達の領域内の第3の複数の評価項目を含む、こと」と、「d.前記複数の評価の第3の評価の入力を受け付けることであって、前記第3の評価は、認知分野内で評価するためのものである、こと」である点で共通する。
キ 以上、ア~カによれば、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
[一致点]
「評価するためのコンピュータ支援方法であって、
a.項目応答理論(IRT)を用いて、複数の領域における患者の複数の評価についての評価項目を選択すること、
b.前記複数の評価の第1の評価の入力を受け付けることであって、前記第1の評価は、セルフケア分野内で評価するためのものである、こと、
c.前記複数の評価の第2の評価の入力を受け付けることであって、前記第2の評価は、移動度分野内で評価するためのものである、こと、
d.前記複数の評価の第3の評価の入力を受け付けることであって、前記第3の評価は、認知分野内で評価するためのものである、こと、
を含む動作を実行する計算装置を含む、方法。」
[相違点]
(相違点1)
本願発明1が「患者を評価するためのコンピュータ支援方法」であるのに対し、引用発明は「コンピュータ支援方法」が評価する対象が「個人の日常タスクの実行を評価する」「急性期後介護のための活動測定(AM-PAC)プロトタイプの信頼性と判別の妥当性」であって、「患者」を評価の対象とするものではなく、また、そのために、引用発明は、「第1の評価」、「第2の評価」、「第3の評価」のそれぞれについて、「前記患者を評価するためのもの」ではない点。
(相違点2)
本願発明1が、「セルフケア分野内で前記患者を評価するための」「第1の評価」として「バランス、上肢機能、及び嚥下の領域内の第1の複数の評価項目」を含み、「移動度分野内で前記患者を評価するための」「第2の評価」として「バランス、車椅子スキル、体位変更、ベッド移動度、及び移動度の領域内の第2の複数の評価項目」を含み、「認知分野内で前記患者を評価するための」「第3の評価」として「認知、記憶、及び意思伝達の領域内の第3の複数の評価項目」を含むものであるのに対し、引用発明は、そのような評価項目を含むか定かではない点。
(相違点3)
本願発明1は、「前記セルフケア分野、前記移動度分野、及び前記認知分野のそれぞれについて構築された統計モデルに基づいて実行されるそれぞれの項目応答理論(IRT)分析に基づいて、受け付けた評価のそれぞれについてのそれぞれの複数の評価項目についての患者の性能に基づく、それぞれの分野固有のIRTスコアを生成することであって、i)前記第1の評価における前記第1の複数の評価項目についての患者の性能に基づくセルフケアIRTスコア、ii)前記第2の評価における前記第2の複数の評価項目についての患者の性能に基づく移動度IRTスコア、及びiii)前記第3の評価における前記第3の複数の評価項目についての患者の性能に基づく認知IRTスコアを生成する」ものであるのに対し、引用発明は、そのような動作を行うものであるか定かではない点。
(相違点4)
本願発明1が、「生成された分野固有のIRTスコアを電子医療記録内に記憶する」のに対し、引用発明が、生成されたIRTスコアを「電子医療記録内に記憶する」か定かではない点。
(2)相違点に対する判断
事案に鑑み、相違点1、3についてまとめて判断する。
ア 相違点1、3に関する判断
本願発明1は、「IRTスコア」を生成するにあたり、「それぞれの複数の評価項目についての患者の性能」に基づいて「それぞれの分野固有のIRTスコア」を生成することにより、「患者の医学的状態又は機能状態の評価をより正確に捕捉する」(【0005】)ことを目的とするものである。
これに対し、引用発明は、「急性期後介護のための活動測定(AM-PAC)」の「プロトタイプ」について、その信頼性と判別の妥当性を評価するものであり、「個人の環境における個人の日常タスクの実行を評価する」ための適切な「評価項目」の「セット」の提案と、提案した「評価項目」の「セット」についての有効性の検証を、その目的とするものであって、提案した「評価項目」の「セット」を用いて、実際の「患者」の評価を行うためのものではない。
そして、引用発明の目的は、「個人の環境における個人の日常タスクの実行を評価する」ための「評価項目」の「セット」の提案と、当該評価項目のセットの検証に止まるため、個人の日常タスクの実行を評価するために生成するスコアについて、「パーソナルケアと手段となる活動」の因子(「セルフケア分野」)、「身体活動と運動活動」の因子(「移動度分野」)、「応用認知」の因子(「認知分野」)のそれぞれに対し、各因子(分野)に固有のスコアを生成するものではなく、本願発明1の相違点3に係る「それぞれの分野固有のIRTスコアを生成する」構成は、引用発明に基づいて当業者が容易に想到し得た事項であるとはいえない。
イ 作用効果について
そして、本願発明1は、相違点1、3に係る構成により、「患者の医学的状態又は機能状態の評価をより正確に捕捉する」(【0005】)という、明細書記載の作用効果を奏するものである。
ウ むすび
したがって、本願発明1は、その他の相違点である相違点2、4について判断するまでもなく、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
2 本願発明2~4について
本願発明2~4は、本願発明1の構成に限定を加えて減縮したものであり、本願発明1の上記相違点1~4に係る事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
3 本願発明5について
本願発明5は、「リハビリ患者の改善を測定する方法」に関する発明であって、「f.対応する評価領域において前記リハビリ患者の改善を測定するために、前記第1、第2、及び第3の評価の少なくとも一つに関する前記リハビリ患者による性能に基づいて、少なくとも一つの分野固有のスコアを決定すること」という事項を備えるものであるところ、当該事項は、上記1(1)クで示した本願発明1の相違点3に係る事項と同様の構成であるから、上記1(2)と同様の理由により、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4 本願発明6~11について
本願発明6~11は、本願発明5の構成に限定を加えて減縮したものであり、上記相違点1、3に係る構成を有しているから、本願発明1と同じ理由により、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
5 本願発明12について
本願発明12は、「患者を評価するためのコンピュータ支援方法」に関する発明であって、「e.統計モデルのそれぞれを、受け付けた評価の対応する評価に少なくとも適用することにより、受け付けた評価のそれぞれにおける複数の評価項目のそれぞれについての患者の性能に基づいてそれぞれの分野固有のIRTスコアを生成することであって、i)前記第1の評価における前記複数の評価項目についての前記患者の性能に基づくセルフケアIRTスコア、ii)前記第2の評価における前記複数の評価項目についての前記患者の性能に基づく移動度IRTスコア、及びiii)前記第3の評価における前記複数の評価項目についての前記患者の性能に基づく認知IRTスコアを生成することを含む、こと」という事項を備えるものであるところ、当該事項は、上記1(1)クで示した本願発明1の相違点3に係る事項と同様の構成であるから、上記1(2)と同様の理由により、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
6 本願発明13~16について
本願発明13~16は、本願発明12の構成に限定を加えて減縮したものであり、上記相違点1、3に係る構成を有しているから、本願発明1と同じ理由により、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
第7 原査定の理由について
原査定における理由3(明確性)の(1)は、請求項2に記載された「取得したスコアに基づいて治療計画を調節する」点について、コンピュータが、スコアに基づいてどのような情報処理を行って治療計画を調節しているのか不明であるというものであり、(2)は、請求項3に記載された「前記電子医療記録から導出されるデータに因子分析を適用する」点について、電子医療記録に記憶されるどのようなデータに対して、因子分析を行っているのか不明であり、請求項4についても、同様の点で不明であるというものであるところ、本件補正により、請求項2~4について、上記第4のとおり補正されたことにより、当該拒絶理由は解消した。
また、原査定における理由4(実施可能要件)は、発明の詳細な説明(段落【0158】等)の記載をみても、当業者が請求項2に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでないというものであるところ、本件補正により、請求項2について、上記第4のとおり補正されたことにより、当該拒絶理由は解消した。
第8 当審拒絶理由について
(1)理由1(明確性)について
当審拒絶理由の理由1について、(1)は、請求項2に記載された「表示画面上の表示に適切な形式」がどのような形式を表すものであるのかが不明であるというものであり、(2)は、請求項5に記載された「前記複数の評価領域のそれぞれ」において選択された「評価項目」について、「セルフケア」、「移動度」、「認知」のそれぞれに関係する「評価の入力を受け付ける」ものであるのか否かが不明であるというものであり、(3)は、請求項5に記載された「特定の一つの評価」や「分野」が何を表すものであり、「分野固有のスコア」が如何なる点で固有のスコアであるのかが不明であるというものであり、(4)は、請求項12に記載された「マルチグループ統計モデル」が如何なるものを意味するものであるのかが不明であるというものであるところ、本件補正により、請求項2、5、12について、上記第4のとおり補正されたことにより、当該拒絶理由は解消した。
(2)理由2(サポート要件)について
当審拒絶理由の理由2について、(1)は、請求項4、7に記載された「古典的項目分析」が、発明の詳細な説明に記載の如何なる事項に対応するのかが不明であるというものであり、(2)は、請求項12に記載された「マルチグループ統計モデル」が、発明の詳細な説明に記載の如何なる事項に対応するのかが不明であるというものであるところ、本件補正により、請求項4、7、12について、上記第4のとおり補正されたことにより、当該拒絶理由は解消した。
(3)理由3(進歩性)について
上記第6のとおり、本願発明1~4、12~16は、上記相違点3に係る発明特定事項を含むものとなっており、当審拒絶理由によって引用された引用文献1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審拒絶理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-010153