特許拒絶査定不服審判
2022-009360
情報処理装置、その制御方法、及びプログラム
- 審判番号
- 2022-009360
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-049462外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年06月17日
- 審決日
- 2023年03月22日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】本田技研工業株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人大塚国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020- 49462「情報処理装置、その制御方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 9月27日出願公開、特開2021-149598〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年3月19日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年11月30日付け:拒絶理由通知書
令和4年 1月17日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 3月16日付け:拒絶査定
令和4年 6月17日 :審判請求書の提出
第2 本願発明
本願の請求項に係る発明は、令和4年1月17日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
複数の入力項目のうちの少なくとも一部を含む第1の入力項目セットに対応する第1の入力値セットを取得する取得手段(101)と、
前記第1の入力値セットのうちの前記第1の入力項目セットの少なくとも一部に対応する入力値に基づいて、各々が個別の入力項目セットに関連付けられた複数のRPAロボットの中から少なくとも1つのRPAロボットを選択する選択手段(101)であって、前記複数のRPAロボットの各々は、前記個別の入力項目セットに対応する個別の入力値セットを取得して、入力システム(151、152)の入力画面において前記個別の入力値セットに基づいて前記個別の入力項目セットに関する入力操作を行うように構成される、選択手段(101)と、
前記少なくとも1つのRPAロボットを起動する起動手段(101)と、
前記少なくとも1つのRPAロボットの各々が前記個別の入力値セットとして前記第1の入力値セットのうちの前記個別の入力項目セットに対応する入力値セットを取得するように制御する制御手段(101)と、
を備えることを特徴とする情報処理装置(100)。」
第3 原査定の概要
原査定(令和4年3月16日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1、4-6に係る発明は、以下の引用文献1、3に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。また、本願請求項2、3に係る発明は、以下の引用文献1-3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:濱本 真生ほか、ホワイトカラーの非コア業務効率改善に向けた個人支援RPAの検討、インタラクティブ情報アクセスと可視化マイニング 第17回研究会研究発表予稿集 [online]、日本、人工知能学会、2017年11月27日、第7~12頁
引用文献2:ツール充実3つの選択ポイント、日経コンピュータ、日本、日経BP社、2017年11月23日、第952号、第30~33頁
引用文献3:特開2002-269327号公報(周知技術を示す文献)
第4 引用文献及び引用発明等
1 引用文献1、引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。
(1)「3.アーキテクチャ検討
本章では対話型処理機能と個人特化機能を提供するアーキテクチャの構成とその適用例を示す。
3.1 システムアーキテクチャ
図4に提案する個人支援RPAのシステムアーキテクチャを示す。本アーキテクチャは対話ロボットと業務ロボットから構成される。近年急激に技術が進展している対話ロボットは個人支援RPAの課題である対話型処理機能と相性が良い。さらに,様々なアプリケーションを統合した窓口として機能するため,個人の嗜好や行動パタンに関する情報を蓄積しやすく個人特化機能とも相性が良い。そのため,本システムでは対話ロボットをユーザインタフェースとして採用した。また,対話ロボットは一つ以上の業務ロボットと繋がり,ユーザとの会話から適切な業務ロボットを選択して処理を実行する。」(9ページ右欄10-25行)
(2)図4「
[図:0001397973000001.jpg]
」
ここで、上記(2)図4の記載から、引用文献1には、「業務アプリケーション1と接続する業務ロボット1と、業務アプリケーション2と接続する業務ロボット2とを備える」ことが記載されていると認められる。
(3)「(A)対話型処理機能(入力候補絞り込み機能)
経路検索,商品検索などユーザとの対話的な意思決定を含む業務アプリケーションに対応可能な対話型処理の方式を定義するために,社内業務アプリケーション(旅費精算,勤休管理,購買管理,資産管理など)の業務パタンと操作手順を分析した。その結果,図5に示すように対話ロボットは入力処理フェーズ,提出処理フェーズを持ち,これに対応して業務ロボットは業務アプリケーション上で入力候補を検索する検索スクリプト,最終提出する提出スクリプトを有することで個人支援RPAに必要な対話型処理機能を実現できることが分かった。そこで,本アーキテクチャでは以下の方法で複数の候補から対話的に作業者が選択する仕組みを提供する。
入力処理フェーズ:
対話ロボットは複数候補が発生し得る業務アプリケーションへの入力要素について業務ロボットの検索スクリプトを実行し,得られた候補を作業者に提示して入力値を決定する。作業者が提示候補以外の値を入力した場合は再検索となる。
提出処理フェーズ:
対話ロボットは業務アプリケーションへの入力値に対する最終確認をユーザに求め,業務ロボットの提出スクリプトを実行する。」(9ページ右欄下から2行-10ページ左欄23行)
ここで、上記(3)の「社内業務アプリケーション(旅費精算,勤休管理,購買管理,資産管理など)」との記載から、引用文献1には、「旅費精算、勤休管理、購買管理、資産管理などの複数の業務アプリケーションを備える」ことが記載されていると認められる。
(4)図5「
[図:0001397973000002.jpg]
」
(5)「(C)現場労働者の開発項目
上記機能を有する個人支援RPAを導入するために,現場の労働者が開発すべき項目は次の2つに大別できる。
操作スクリプト:業務アプリケーションへの一連の入力操作手順を記述したスクリプト。
会話スクリプト:業務アプリケーションへ入力する情報を得るための会話手順を記述したスクリプト。必要に応じて各業務アプリケーションへの入力値推定の方法や業務アプリケーション間の連携を定義する。」(10ページ右欄10-21行)
ここで、上記(2)図4の記載並びに上記(5)の「操作スクリプト:業務アプリケーションへの一連の入力操作手順を記述したスクリプト。」及び「会話スクリプト:業務アプリケーションへ入力する情報を得るための会話手順を記述したスクリプト。」との記載から、引用文献1には、「対話ロボットは、業務アプリケーションへ入力する情報を得るための会話手順を記述したスクリプトを実行し、業務ロボットは、業務アプリケーションへの一連の入力操作手順を記述したスクリプトを実行する」ことが記載されていると認められる。
(6)「3.2 適用例
提案した個人支援RPAを社内の旅費精算へ適用した例を図6に示す。ここでは,旅費精算サーバにアクセスして操作する業務ロボット1と,社内のグループウェアサーバにアクセスして操作する業務ロボット2を用いた。旅費精算の経路検索では乗車駅と降車駅に対する複数の路線候補が出力されるため,業務ロボット1の検索スクリプトとして電車の経路検索を設定した。また,作業者の予定情報を用いて旅費申請への入力値を推定するために,業務ロボット2の検索スクリプトとして作業者の予定確認を設定した。」(10ページ右欄下から12-1行)
(7)図6「
[図:0001397973000003.jpg]
」
(8)「旅費精算の入力要素の一部とその入力例を表2に示す。本試作ではこれらの入力要素を対話ロボットを介して入力する。なお,電車移動経路の入力要素については,乗車駅と降車駅を入力すると詳細経路候補が作業者に提示され,作業者がその候補から経路を選択する仕様とした。」(11ページ左欄1-6行)
(9)表2「
[図:0001397973000004.jpg]
」
ここで、上記(8)の「旅費精算の入力要素の一部とその入力例を表2に示す。」との記載及び上記(9)表2の記載から、表2の右欄の「入力例」は、入力された値の例であるから、入力値であるといえ、また、表2の左欄の「出張日」及び「出張目的」等のひとまとまりの入力要素は、入力要素セットであるといえ、さらに、「2017/09/12」及び「案件Aの打合せ出席」等のひとまとまりの入力例は、入力値セットであるといえ、加えて、入力値セットは、入力要素セットに対応しているといえる。したがって、引用文献1には、「旅費精算の入力要素セットは、「出張日」及び「出張目的」等であり、当該入力要素セットに対応する入力値セットは、「2017/09/12」及び「案件Aの打合せ出席」等である」ことが記載されていると認められる。
したがって、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「個人支援RPAのシステムアーキテクチャは、対話ロボットと業務ロボットから構成され、
本システムでは対話ロボットをユーザインタフェースとして採用し、
対話ロボットは一つ以上の業務ロボットと繋がり、ユーザとの会話から適切な業務ロボットを選択して処理を実行し、
業務アプリケーション1と接続する業務ロボット1と、業務アプリケーション2と接続する業務ロボット2とを備え、
旅費精算、勤休管理、購買管理、資産管理などの複数の業務アプリケーションを備え、
対話ロボットは、業務アプリケーションへ入力する情報を得るための会話手順を記述したスクリプトを実行し、
業務ロボットは、業務アプリケーションへの一連の入力操作手順を記述したスクリプトを実行し、
個人支援RPAを社内の旅費精算へ適用した例では、旅費精算サーバにアクセスして操作する業務ロボット1と、社内のグループウェアサーバにアクセスして操作する業務ロボット2を用い、
旅費精算の入力要素セットは、「出張日」及び「出張目的」等であり、当該入力要素セットに対応する入力値セットは、「2017/09/12」及び「案件Aの打合せ出席」等であり、
これらの入力要素を対話ロボットを介して入力する、
個人支援RPA。」
2 引用文献3、周知技術
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0073】ステップU5:(処理選択メニュー表示及びメニューの選択)
制御部112は、表示部114に図8(a)に示すような処理選択メニュー画面70を表示し、情報照会、新規得意先登録、営業日報データ入力のいずれかを選択させる。
【0074】営業担当者は今回訪問予定の得意先の訪問スケジュールを作成したり、訪問予定の得意先に係わる情報を確認したり、資料を用意する場合は得意先照会メニューを選択し、新規得意先の登録や得意先の削除時には新規得意先登録メニューを選択し、営業日報データ入力時には営業日報データ入力メニューを選択する。なお、メニューの選択は入力部113によるメニュー番号のキーインまたはマウス等によるメニューのクリックにより行うことができる。
【0075】ステップU6:(選択処理の判定)
制御部112は、上記ステップU5で選択されたメニューが得意先照会メニューの場合はステップU7に遷移する。新規得意先登録メニューが選択された場合はステップU16(図7(b))に遷移し、営業日報入力メニューの場合はステップU18(図7(c))に遷移する。
【0076】ステップU7:(得意先データ送信要求等)
制御部112は、得意先管理プログラムを起動して得意先管理機能54を実行させ、ネットワーク通信部111及びLAN1を介して当該営業部員の担当する得意先一覧データ送信要求をサーバ10に送信する。また、サーバ10から得意先一覧データを受信するとステップU8に遷移する。」
「【0092】<新規得意先の登録>
ステップU16:(新規得意先データの入力)
図7(a)のステップU6で新規得意先データ入力が選択されると、図7(b)で、制御部112は得意先管理プログラムを起動して得意先管理機能54を実行させ、表示部114に図9(a)に示すような新規得意先情報入力画面81を表示させる。」
「【0095】<営業日報データ入力>
ステップU18:(得意先選択)
図7(a)のステップU6で営業日報データ入力が選択されると図7(c)で、制御部112は営業日報入力プログラムを起動して営業日報入力機能55を実行させ、サーバ10に得意先一覧データ送信要求を送信し、サーバから得意先一覧データを受信すると、表示部114に図9(b)に示すように当該営業担当部員の担当する得意先を一覧表示した得意先選択画面82を表示させ、営業部員による得意先の選択を促す。営業部員が営業日報データを入力する得意先名及び案件を得意先選択画面82で選択するとステップU19に遷移する。」
【図7】「
[図:0001397973000005.jpg]
」
【図8】「
[図:0001397973000006.jpg]
」
したがって、「処理選択メニュー画面を表示し、ユーザによる入力値によって選択された処理プログラムを起動すること」は、本願の出願前における周知技術であると認められる。
第5 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
1 引用発明の「入力要素」は、本願発明の「入力項目」に相当する。また、引用発明の「出張日」及び「出張目的」等の「入力要素セット」は、複数の入力要素のうちの少なくとも一部を含むものであることは明らかであるから、本願発明の「複数の入力項目のうちの少なくとも一部を含む」「第1の入力項目セット」に相当する。さらに、引用発明の「「2017/09/12」及び「案件Aの打合せ出席」等」の「入力値セット」は、「入力要素セット」に対応するものであるから、本願発明の「第1の入力項目セットに対応する」「第1の入力値セット」に相当する。加えて、引用発明において、「対話ロボットは、業務アプリケーションへ入力する情報を得るための会話手順を記述したスクリプトを実行し」、「これらの入力要素を対話ロボットを介して入力する」ことから、対話ロボットが、「入力値セット」を取得していることは明らかである。したがって、引用発明の「対話ロボット」は、本願発明の「取得手段(101)」に相当する。
よって、本願発明と引用発明は、「複数の入力項目のうちの少なくとも一部を含む第1の入力項目セットに対応する第1の入力値セットを取得する取得手段(101)」を備える点で一致する。
2 引用発明の「業務ロボット」は、本願発明の「RPAロボット」に相当する。また、引用発明において、「業務アプリケーション1と接続する業務ロボット1と、業務アプリケーション2と接続する業務ロボット2とを備え」、「旅費精算、勤休管理、購買管理、資産管理などの複数の業務アプリケーションを備え」ることから、各業務アプリケーションに接続する各業務ロボットが備えられていることは明らかである。さらに、引用発明において、事務処理分野の技術常識に照らすと、例えば、旅費計算であれば「出張日」及び「出張目的」等のように、又は勤休管理であれば、「休暇取得日」、「休暇理由」等のように、各々の業務アプリケーションが個別の入力要素セットに関連付けられていることは明らかである。したがって、引用発明は、各々が個別の入力要素セットに関連付けられた複数の業務ロボットを備えているといえる。
一方、引用発明の「対話ロボット」は、「一つ以上の業務ロボットと繋がり、ユーザとの会話から適切な業務ロボットを選択して処理を実行」するから、複数の業務ロボットの中から少なくとも1つの業務ロボットを選択しているといえる。したがって、引用発明の「対話ロボット」は、本願発明の「複数のRPAロボットの中から少なくとも1つのRPAロボットを選択する」「選択手段(101)」に相当する。
よって、上記1を踏まえると、引用発明は、本願発明の「前記第1の入力値セットのうちの前記第1の入力項目セットの少なくとも一部に対応する入力値に基づいて、各々が個別の入力項目セットに関連付けられた複数のRPAロボットの中から少なくとも1つのRPAロボットを選択する選択手段(101)」と、「各々が個別の入力項目セットに関連付けられた複数のRPAロボットの中から少なくとも1つのRPAロボットを選択する選択手段(101)」を備える点で共通する。
3 引用発明の「業務アプリケーション1」、「業務アプリケーション2」、「旅費精算サーバ」又は「グループウェアサーバ」は、本願発明の「入力システム(151、152)」に相当する。また、引用発明において、「業務ロボットは、業務アプリケーションへの一連の入力操作手順を記述したスクリプトを実行」する。したがって、上記1、2を踏まえると、引用発明は、本願発明の「前記複数のRPAロボットの各々は、前記個別の入力項目セットに対応する個別の入力値セットを取得して、入力システム(151、152)の入力画面において前記個別の入力値セットに基づいて前記個別の入力項目セットに関する入力操作を行うように構成される」構成と、「前記複数のRPAロボットの各々は、前記個別の入力項目セットに対応する個別の入力値セットを取得して、入力システム(151、152)において、前記個別の入力値セットに基づいて前記個別の入力項目セットに関する入力操作を行うように構成される」点で共通する。
4 引用発明において、「旅費精算サーバにアクセスして操作する業務ロボット1」「を用い」、「旅費精算の入力要素セットは、「出張日」及び「出張目的」等であり、当該入力要素セットに対応する入力値セットは、「2017/09/12」及び「案件Aの打合せ出席」等であり」、「これらの入力要素を対話ロボットを介して入力する」から、「旅費精算サーバにアクセスして操作する業務ロボット1」は、旅費精算に関する個別の入力値セットとして「2017/09/12」及び「案件Aの打合せ出席」等の入力値セットのうちの旅費精算に関する個別の「出張日」及び「出張目的」等の入力要素セットに対応する「2017/09/12」及び「案件Aの打合せ出席」等の入力値セットを取得しているといえる。また、引用発明において、旅費精算以外の業務ロボットの各々も同様の構成を備えることは明らかである。さらに、計算機分野の技術常識に照らすと、引用発明は、本願発明の「制御手段」に相当する構成を備えていることは明らかである。
したがって、上記1、2を踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記少なくとも1つのRPAロボットの各々が前記個別の入力値セットとして前記第1の入力値セットのうちの前記個別の入力項目セットに対応する入力値セットを取得するように制御する制御手段(101)」を備える点で一致する。
5 引用発明の「個人支援RPA」は、本願発明の「情報処理装置(100)」に相当する。
したがって、本願発明と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「複数の入力項目のうちの少なくとも一部を含む第1の入力項目セットに対応する第1の入力値セットを取得する取得手段(101)と、
各々が個別の入力項目セットに関連付けられた複数のRPAロボットの中から少なくとも1つのRPAロボットを選択する選択手段(101)であって、前記複数のRPAロボットの各々は、前記個別の入力項目セットに対応する個別の入力値セットを取得して、入力システム(151、152)において、前記個別の入力値セットに基づいて前記個別の入力項目セットに関する入力操作を行うように構成される、選択手段(101)と、
前記少なくとも1つのRPAロボットの各々が前記個別の入力値セットとして前記第1の入力値セットのうちの前記個別の入力項目セットに対応する入力値セットを取得するように制御する制御手段(101)と、
を備えることを特徴とする情報処理装置(100)。」
(相違点1)
複数のRPAロボットの中から少なくとも1つのRPAロボットを選択することにおいて、本願発明では、「前記第1の入力値セットのうちの前記第1の入力項目セットの少なくとも一部に対応する入力値に基づいて」選択するのに対し、引用発明では、業務ロボットを選択することについて、「ユーザとの会話から適切な業務ロボットを選択して」いるものであって、何に基づいて行うのか明確には特定されていない点。
(相違点2)
入力システム(151、152)において、前記個別の入力値セットに基づいて前記個別の入力項目セットに関する入力操作を行うことについて、本願発明では、「入力システム(151、152)の」「入力画面」において行うのに対し、引用発明では、「業務アプリケーション1」、「業務アプリケーション2」、「旅費精算サーバ」又は「グループウェアサーバ」において行うが、「入力画面」において入力操作を行うことが特定されていない点。
(相違点3)
本願発明では、「前記少なくとも1つのRPAロボットを起動する起動手段(101)」を備えるのに対し、引用発明では、業務ロボットの起動について特定されていない点。
第6 判断
1 相違点1、3について
上記相違点1、3は、「少なくとも1つのRPAロボット」に関するものである点で互いに関連しているので、まとめて検討する。
上記第4の2のとおり、「処理選択メニュー画面を表示し、ユーザによる入力値によって選択された処理プログラムを起動すること」は、例えば、引用文献3に記載されるように、本願の出願前における周知技術であると認められる。
したがって、引用発明において、上記周知技術を適用し、業務選択メニューとして「1:旅費精算」、「2:勤休管理」、「3:購買管理」、「4:資産管理」等を表示し、ユーザからの入力を受け付け、当該入力値(この例の場合、1-4のいずれか。)に基づいて、複数の業務ロボットの中から、選択された業務に関連する業務アプリケーションに接続した業務ロボットを選択し、起動するようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。また、どのような入力項目セットとするかは、業務内容に基づいて当業者が適宜選択し得る設計的事項であるから、当該入力値を、入力項目セットのうちの特定の入力項目((例えば、「選択された業務」という入力項目。)に対応するものとすることは、当業者が適宜なし得た程度のことである。
よって、引用発明において、上記周知技術を適用し、相違点1、3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
2 相違点2について
業務アプリケーションへの入力操作が入力画面において行われることは、本願の出願前における周知技術であると認められる。
したがって、引用発明において、上記周知技術を適用し、相違点2の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
3 効果について
これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
4 請求人の主張について
請求人は、令和4年6月17日提出の審判請求書において、
「3.本願発明が特許されるべき理由
3.1 本願の概要
初めに、本願の概要を簡単に説明します。この説明は、特許請求の範囲に記載の発明の理解を助けることを目的とするものであり、特許請求の範囲に記載の発明そのものを説明したり、限定したりすることを意図したものではありません。
本願の情報処理装置100(図1参照)は、チャットボットを用いたユーザとの対話(図2及び図3参照)を通じて、複数の入力項目(図4の「項目名」列を参照)のうちの少なくとも一部を含む入力項目セット(図5の「項目名」列にある7つの入力項目を参照)に対応する入力値セット(図5の「入力値」列にある7つの入力値を参照)を取得します(図6のS601~S602を参照)。
その後、情報処理装置100は、取得した入力値セットの少なくとも一部に基づいて、少なくとも1つの入力ロボット(RPAロボット)を選択します([0034]~[0035]、図6のS603、及び図7を参照)。
ここで、「取得した入力値セット」とは、例えば図5に示すような入力項目セット(この例では7つの入力項目)に対応する入力値セット(この例では7つの入力値)ですので、「取得した入力値セットの少なくとも一部」における個々の入力値は、特定の入力項目に対応するものです。図7の例でいえば、「取得した入力値セット」のうちの、入力項目「申請区分」に対応する入力値、及び入力項目「未打刻有無」に対応する入力値に基づいて(前者の入力値の内容によっては後者の入力値は取得されず使用されません)、RPAロボットの選択が行われます。従って、例えば入力項目「申請区分」に対応する入力値を含む入力値セット(入力項目「未打刻有無」に対応する入力値は含まれないものとします)が取得された場合には、当該入力値が、「1.国内出張申請」、「3.海外出張申請」、「4.海外出張清算」)のうちの何であるかに基づく選択が行われることになります。
このように、本願におけるRPAロボットの選択は、単に漠然としたユーザからの「入力値」に基づいて行われるのではなく、特定の入力項目に対応する入力値に基づいて行われるものであり、より厳密に言えば、取得した特定の入力項目セットに対応する入力値セットのうちの、当該特定の入力項目セットの少なくとも一部(例えば、入力項目「申請区分」)に対応する入力値に基づいて行われるものです。
3.2 本願発明の特徴
請求項1に係る本願発明は、とりわけ、「前記第1の入力値セットのうちの前記第1の入力項目セットの少なくとも一部に対応する入力値に基づいて、各々が個別の入力項目セットに関連付けられた複数のRPAロボットの中から少なくとも1つのRPAロボットを選択する選択手段(101)であって、前記複数のRPAロボットの各々は、前記個別の入力項目セットに対応する個別の入力値セットを取得して、入力システム(151、152)の入力画面において前記個別の入力値セットに基づいて前記個別の入力項目セットに関する入力操作を行うように構成される、選択手段(101)」という特徴的な構成を備えます。
従って、本願発明によれば、選択手段によるRPAロボットの選択が、少なくとも1つの何らかの入力項目に対応する入力値が何であるかに基づいて行われます。前記3.1で述べた本願の概要との関係で言えば、本願発明はとりわけ、「本願におけるRPAロボットの選択は、単に漠然としたユーザからの「入力値」に基づいて行われるのではなく、特定の入力項目に対応する入力値に基づいて行われるものであり、より厳密に言えば、取得した特定の入力項目セットに対応する入力値セットのうちの、当該特定の入力項目セットの少なくとも一部(例えば、入力項目「申請区分」)に対応する入力値に基づいて行われるものです」に係る構成を含んだものであると言えます。
3.3 引用文献との対比
引用文献1~3は、本願発明の上記特徴的な構成を開示も示唆もしておりません。
特に引用文献1については、図5、図6、及び表2などを見ても、せいぜい、入力作業者と対話ロボットとの対話内容に応じて適宜業務ロボット1又は2が何らかの処理を行うであろうということが漠然と窺われるに過ぎません。
仮に、業務ロボットに関して何らかの「選択」が行われているとしても、特定の入力項目に対応する入力値に基づいて業務ロボットを選択するような具体的な構成(例えば、表2の「出張目的」等の特定の入力要素に対応する入力値が何であるか(例えば、表2に示される「案件Aの打合せ出席」目的であるか、別の目的Bであるか、更に別の目的Cであるか、など)に基づいて業務ロボットを選択するような構成)は、開示も示唆もされておりません。
ここで拒絶査定を参照すると、2頁に次の記載があります。
------------------------------------------------------------------
出願人の上記主張について検討する。引用文献1(「3.1 システムアーキテクチャ」を参照)には、「また,対話ロボットは一つ以上の業務ロボットと繋がり,ユーザとの会話から適切な業務ロボットを選択して処理を実行する。」と記載されている。ここで、引用文献1(「3.1 システムアーキテクチャ (C)現場労働者の開発項目」を参照)の「会話スクリプト:業務アプリケーションへ入力する情報を得るための会話手順を記述したスクリプト。」という記載を踏まえると、「ユーザとの会話」はユーザからの入力であるといえる。してみると、引用文献1には、少なくとも1つの何らかの入力項目に対応する入力値が何であるかに基づいてRPAロボットの選択が行われることが記載されている。また、例えば引用文献3(段落[0073]-[0121]等を参照)に記載されているように、ユーザからの入力値に基づいて、起動するプログラムを選択することは周知技術である。よって、出願人の上記主張は採用することができない。
------------------------------------------------------------------
しかし、引用文献1については、仮に対話ロボットが「ユーザとの会話から適切な業務ロボットを選択」するものであり、「「ユーザとの会話」はユーザからの入力であるといえる」としても、そのような選択は、「少なくとも1つの何らかの入力項目に対応する入力値が何であるかに基づ」くものとは到底言えず、せいぜい、前記3.1及び前記3.2で述べたような「単に漠然としたユーザからの「入力値」に基づいて行われる」ようなものに過ぎません。
結局のところ、引用文献1をどのように解釈しても、上述した「例えば、表2に示される「案件Aの打合せ出席」目的であるか、別の目的Bであるか、更に別の目的Cであるか、など)に基づいて業務ロボットを選択するような構成」が得られることはありません。仮に入力要素「出張目的」に対応する入力値された場合に業務ロボットの選択が行われるとしても、それは入力要素「出張目的」用の業務ロボットが選択されることを意味するに過ぎず、取得した入力値セット(例えば表2の9つの入力例)のうちの、入力項目セット(例えば表2の9つの入力要素)の少なくとも一部(例えば「出張目的」)に対応する入力値が何であるか(例えば、表2に示される「案件Aの打合せ出席」目的であるか、別の目的Bであるか、更に別の目的Cであるか、など)に基づいて業務ロボットが選択されることを意味するものではありません。
また、引用文献3については、仮に「ユーザからの入力値に基づいて、起動するプログラムを選択することは周知技術」であったとしても、そのような選択はやはり、前記3.1及び前記3.2で述べたような「単に漠然としたユーザからの「入力値」に基づいて行われる」ようなものに過ぎません。
従って、請求項1に係る本願発明は、進歩性を有するものと思料します。」
と主張する。
以下、上記主張について検討する。
上記「1 相違点1、3について」で述べたとおり、引用文献1記載の発明において、引用文献3記載の周知技術を適用し、業務選択メニューとして「1:旅費精算」、「2:勤休管理」、「3:購買管理」、「4:資産管理」等を表示し、ユーザからの入力を受け付け、当該入力値(この例の場合、1-4のいずれか。)に基づいて、複数の業務ロボットの中から、選択された業務に関連する業務アプリケーションに接続した業務ロボットを選択し、起動するようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、上記主張は、引用文献1及び引用文献3それぞれの解釈に基づいた主張であり、上記「1 相違点1、3について」で述べたような、本願発明と引用文献1記載の発明との相違点について、引用文献1記載の発明に引用文献3の周知技術を適用した場合に関する主張とは認められない。
したがって、当該主張は採用できない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-009360