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特許拒絶査定不服審判

2022-009314

電子付箋による電子文書の校正作業管理システム

審判番号
2022-009314
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-017112外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年06月16日
審決日
2023年02月08日
公報発行日
2023年03月31日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
審判長/審判官
分類
P18 .1 -WY (G06F) / P18 .121-WY (G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019- 17112「電子付箋による電子文書の校正作業管理システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 8月20日出願公開、特開2020-126322、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 17項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、平成31年2月1日の出願であって、令和3年8月30日付けで拒絶理由が通知され、令和3年10月21日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、令和4年3月29日付けで拒絶査定がされ、これに対し、令和4年6月16日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 原査定の概要

原査定(令和4年3月29日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

理由1(発明該当性) 本願請求項1-5、6に係る発明は、下記の点で特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。

記

・請求項1-5について

請求項1記載の方法は、人間が電子付箋一覧作成部を備える校正管理装置(コンピュータ等)を使用して実行する電子文書の校正作業の概要を記載したものにすぎず、人為的取り決めの域を出ない。したがって、依然として自然法則を利用した技術的思想の創作に該当せず、請求項1-5記載の方法の発明は、特許法上の「発明」に該当しない。

また、請求項1-5記載の方法が、コンピュータが実行する情報処理方法であるとしても、請求項1-5には、各ステップ(段階)における処理が、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働して具体的に実現されたものとして記載されていない。 したがって、請求項1-5に記載された発明は、依然として自然法則を利用した技術的思想の創作に該当せず、特許法上の「発明」に該当しない。

・請求項6について

補正後の請求項6において、「電子文書を作成し、閲覧」する機能、「電子付箋が貼付された電子文書を、その電子付箋一覧(35)と共に前記作成者(A)に差し戻す機能」、差し戻された電子文書を修正後「電子付箋一覧(35)の表示データを版管理する機能」を実現するために、電子文書管理用プログラム(の各部)とハードウェア資源(制御部)がどのように協働するのか具体的な情報処理が記載されているとはいえない。

したがって、補正後の請求項6に記載された発明は、全体として自然法則を利用した技術的思想の創作に該当せず、特許法上の「発明」に該当しない。

理由2(進歩性) 本願請求項1、6に係る発明は、以下の引用文献1-2に基づいて、本願請求項2-5に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧

1.特開2007-241639号公報

2.特開2014-139713号公報

3.特開2002-318799号公報(周知技術を示す文献)

第3 本願発明

本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、令和4年6月16日提出の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1は以下のとおりの発明である。(なお、分説(A1)、(A2)、・・・(F4)は、当審によるもの。)

「(A1) 電子文書を構造化して編集し、この電子文書の作成者(A)と、この電子文書を精査する確認者(B)とが、文書保存して版管理する電子付箋による電子文書の校正作業管理システムであって、
(A2) 前記作成者(A)と前記確認者(B)が利用する端末装置と相互通信可能に接続される校正管理装置(2)を備え、
(A3) 該校正管理装置(2)には、
(A4) 電子文書及びそれに付された電子付箋のデータとプログラムを記憶する記憶部(22)が設けられ、
続きを表示(全24行)
(B1) 電子文書管理用プログラムとして、
(B2) 電子文書に対する電子付箋の貼付、削除、更新、表示位置の移動を行う電子付箋貼付部(24)と、
(B3) 前記電子付箋貼付部(24)によって電子文書に付された複数の電子付箋に係る位置情報を取得する、貼付位置部(25a)、表示位置部(25b)とリンク位置部(25c)から構成された電子付箋位置取得部(25)と、
(B4) 電子文書に付された電子付箋のデータを、電子文書のデータ中に埋め込まれた状態にして表示部(23)に表示させる表示処理部(27)と、
(B5) 前記電子付箋貼付部(24)によって付された複数の電子付箋の一覧を作成し、一括管理する電子付箋一覧作成部(28)とがインストールされ、
(B6) 作成者(A)と確認者(B)の各パソコン(1)からの指示と、プログラムに従って動作させる演算処理回路から成る制御部(26)が前記電子文書管理用プログラムを実行することにより、前記作成者(A)が作成した電子文書を前記確認者(B)が閲覧した場合において該電子文書に電子付箋を貼り付ける操作を実行可能とし、かつ貼付された各電子付箋の内容を抽出し、電子付箋一覧(35)として管理可能に構成され、
(C1) 前記校正管理装置(2)は、
(C2) 前記制御部(26)が前記電子文書管理用プログラムの一部である前記電子付箋貼付部(24)を実行することにより、電子文書の版ごとに、複数の確認者(B)が修正を指摘する電子付箋を貼付、削除、更新、表示の位置を変更する機能と、
(C3) 前記制御部(26)が前記電子文書管理用プログラムの一部である前記電子付箋一覧作成部(28)を実行することにより、電子文書の版ごとに貼付された電子付箋の内容を抽出し、電子付箋一覧(35)として管理する機能と、
(C4) 前記制御部(26)が前記電子文書管理用プログラムの一部である前記電子付箋貼付部(24)を実行することによって電子付箋が貼付された電子文書を、前記電子付箋一覧(35)と共に前記作成者(A)に差し戻す機能と、
(C5) この差し戻された電子文書自身に貼付されている電子付箋と、前記電子付箋一覧(35)とを前記作成者(A)が確認可能に表示する機能と、
(C6) 電子文書を修正した後の電子付箋一覧(35)の表示データを版管理する機能と、を有し、
(D1) 前記電子付箋のデータとして、
(D2) 前記確認者(B)が指摘した修正が、必須の修正であるか、任意の修正であるかを、前記確認者(B)が選択して入力操作することが可能な修正対応データを含み、
(E1) 前記電子付箋一覧(35)の項目として、
(E2) 前記確認者(B)が指摘した修正に対し、前記作成者(A)が修正を実施した場合において当該修正の実施に対応した状態となるチェックの項目を含み、
(F1) 前記電子付箋一覧(35)を前記作成者(A)が確認可能に表示する表示機能として、
(F2) 前回、あるいはそれ以前の版との間で修正が行われた場合における複数の相違箇所の変更前と変更後とを並べて一覧表示する差分一覧の表示機能と、
(F3) 前記複数の相違箇所のうち1つの相違箇所の変更前と変更後とを並べて修正箇所に装飾が付された状態にして表示する対比表示の表示機能と、
(F4) 前回、あるいはそれ以前の版との相違箇所を差分箇所として強調して表示するハイライトの表示機能とを含めて構成されている、ことを特徴とする電子付箋による電子文書の校正作業管理システム。」

第4 引用文献、引用発明等

1 引用文献1について

原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。

ア 段落【0028】-【0031】

「【0028】
〔システム構成〕
図1は、本実施の形態に係る文書処理システム90の全体概略構成を示す図である。
【0029】
同図に示すように、文書処理システム90は、文書処理システム90において使用される電子データ(文書データに限らず、文書処理システム90で対応している他の電子的なデータの全てを含む)を処理するサーバシステム92と、文書処理システム90の利用者(後述するレビュアや作業実行者も含む。)が使用するクライアントシステム94と、を備えている。
【0030】
サーバシステム92は、電子文書(以下、単に「文書」ともいう。)を管理する文書管理サーバ10及びアノテーションを管理するアノテーション管理サーバ20を有する。文書管理サーバ10は主として文書の保存と検索を行うサーバであり、アノテーション管理サーバ20は主として文書に付与(添付)されたアノテーションの保存と検索を行うサーバである。
【0031】
このように、文書全体を管理する文書管理サーバ10と、電子文書に付与されたアノテーションを管理するアノテーション管理サーバ20とを設けることで、複数の電子文書に対する加筆修正が複数の利用者によって独自に行われる場合でも、最終的な電子文書や加筆修正等の内容に矛盾が生じることを回避することができる。」

イ 段落【0037】-【0038】

「【0037】
ところで、本実施の形態に係る文書処理システム90は、電子文書に付与されたアノテーションを起点として、予め定められた複数のレビュア(レビュー者)によりレビューが行われるものとされており、当該レビューはメッセージ共有サーバ30によって提供される電子掲示板を用いて行われる。なお、ここでいう「レビュー」とは、ある目的をもった作業の成果物として作成された文書に対し、その文書が成果物として妥当なものであるかどうかを評価する作業を意味する。
【0038】
そして、本実施の形態に係るサーバシステム92は、上記レビューに基づいて実行される作業の進捗状況の管理を行うと共に、当該作業を実行する作業者(以下、「作業実行者」という。)の管理を行う進捗管理サーバ40を有している。」

ウ 段落【0045】-【0047】

「【0045】
また、クライアント装置60は、以上のようなアノテーションデバイス67を用いた手書き入力機能の他、表示部63により文書を表示させた状態において、当該文書の任意の位置に所定形状(本実施の形態では、矩形状)の付箋を添付した状態とすることのできる付箋添付機能を備えている。ここで、当該付箋には、任意のコメントを直接記述したり、コメントや関連記事等のリンク先を示すリンク情報を関連付けたりすることができる。なお、付箋にリンク情報を関連付けた場合、当該リンク情報により示されるリンク先の情報が付箋に表示される。この場合に本実施の形態に係る文書処理システム90では、付箋添付機能によって文書に添付された付箋をアノテーションとしている。
・・・(中略)・・・
【0047】
文書処理システム90は、以上のような文書管理サーバ10、アノテーション管理サーバ20、メッセージ共有サーバ30、進捗管理サーバ40、及び複数のクライアント装置60が、各々に備えられた送受信部を介し、ネットワーク96によって電気的に接続されて構成されている。なお、本実施の形態に係る文書処理システム90では、ネットワーク96としてインターネットを適用しているが、これに限らず、イントラネット、LAN、VAN、電話回線網、エコーネット、HomePNA等の各種ネットワークを単独又は組み合わせて適用することもできる。」

エ 【図1】

「
[図:0001395063000001.jpg]
」

オ 段落【0062】

「【0062】
そして、本実施の形態に係るクライアント装置60は、表示エリア63Aに複数の画面が表示できるものとして構成されており、電子文書に対する編集作業を当該電子文書に添付されたアノテーションを参照しつつ行う場合には、文書編集用APによる文書編集画面と、一例として図2に示したアノテーションの添付に関する表示画面とを、双方とも表示エリア63Aに表示して行うことになる。」

カ 【図2】

「
[図:0001395063000002.jpg]
」

キ 段落【0105】-【0130】

「【0105】
すなわち、何れかのクライアント装置60から作業実行者の登録の指示が行われた場合、進捗管理サーバ40は、当該作業実行者を作業者データベースDB5に登録する。なお、本実施の形態に係る文書処理システム90では、作業実行者がレビュアと兼任しているが、これに限らず、レビュア以外の文書処理システム90の利用者を作業実行者とすることもできる。
・・・(中略)・・・
【0118】
続きを表示(全30行)
〔変更履歴提示機能〕
ところで、前述したように、本実施の形態に係る文書処理システム90は、一例として図9に模式的に示すように、電子文書に添付されている付箋アノテーションに対して、メッセージ共有サーバ30による電子掲示板に書き込まれたメッセージ(コメント)にリンクするためのリンク情報を関連付けすることができる。
【0119】
そして、文書処理システム90は、文書の変更箇所のみの変更の履歴や経緯を提示することのできる変更履歴提示機能を有している。なお、本実施の形態に係る文書処理システム90では、上記変更の経緯の提示を、当該変更を指示する電子掲示板上のメッセージを提示することにより行っている。
【0120】
ここで、図10を参照して、変更履歴提示機能を実現するために文書処理システム90で行われる処理のうち、登録された文書に対して付箋アノテーションにより指示された変更作業が完了するまでの処理の流れを説明する。
【0121】
レビュー対象とされる初版(版1)の文書(以下、「処理対象文書」という。)が利用者によって文書管理サーバ10の文書データベースDB1に登録される(1)と、当該処理対象文書が文書データベースDB1から予め定められたレビュアによってクライアント装置60を介して読み出されて表示部63により表示され(2)、処理対象文書に対するレビュアによるレビューが行われる(3)。
【0122】
ここで、処理対象文書に変更すべき箇所が見つかった場合、レビュアは、当該変更箇所の近傍に、変更を指示する付箋アノテーション(以下、「処理対象アノテーション」という。)を添付し、これをアノテーション管理サーバ20の付箋用アノテーションデータベースDB2に処理対象文書と関連付けて保存する(4)。
【0123】
その後、処理対象アノテーションにより指示された変更を実行する作業実行者によりクライアント装置60を介して処理対象文書が文書データベースDB1から読み出された場合(5)、当該処理対象文書に既に添付されている付箋アノテーションに関する情報も付箋用アノテーションデータベースDB2から読み出され、読み出された処理対象文書と付箋アノテーションが、付箋アノテーションが処理対象文書上の添付された位置に重ね合わされた状態で表示部63により表示される(6)。
【0124】
そして、変更作業を実行する作業実行者により文書の変更が行われる(7)と、変更後の文書がバージョン・アップされた状態(版2とされた状態)で文書データベースDB1に登録される(8)と共に、処理対象アノテーションも処理対象文書と同一の版にバージョン・アップされた状態で付箋用アノテーションデータベースDB2に登録される(9)。
【0125】
これ以降、(2)以降の処理が最新版の文書に対して適宜行われることになる。
【0126】
次に、図11を参照して、変更履歴提示機能を実行する際のクライアント装置60の作用を詳細に説明する。なお、図11は、何れかのクライアント装置60において表示部63によりアノテーションの添付に関する表示画面(図2も参照。)が表示された状態において、変更履歴や経緯の提示対象とする付箋アノテーション及び変更履歴表示ボタン78がアノテーションデバイス67によりポインティング指定された際に、これに応じて当該クライアント装置60の制御部61により実行される変更履歴表示処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは二次記憶部65の所定領域に予め記憶されている。
【0127】
まず、同図のステップ100では、指定された付箋アノテーション(以下、「指定アノテーション」という。)を当該指定位置に基づいて特定し、次のステップ102では、特定した指定アノテーションの全ての版について、指定アノテーションに関連付けられている情報(ここでは、指定アノテーションのリンク先とされた情報及びその子孫に当たる情報)をメッセージデータベースDB4から読み出すと共に、指定アノテーションの添付位置を示す位置情報を付箋用アノテーションデータベースDB2から読み出し、次のステップ104では、表示中の文書の1つ前の版の文書本文を文書データベースDB1から読み出す。
【0128】
次のステップ106では、読み出した文書本文と、表示中の文書の文書本文との間の、読み出した位置情報により示される指定アノテーション添付位置近傍の所定範囲の差分(以下、「抽出差分」という。)を抽出する。なお、本実施の形態に係る変更履歴表示処理プログラムでは、上記指定アノテーション添付位置近傍の所定範囲を、上記位置情報により示される添付位置が表示中の文書における段落内に位置している場合は当該段落とし、添付位置が段落内に位置していない場合には当該添付位置の文書面上下方向に最も近接する2つの段落としているが、これに限らず、例えば、上記添付位置が含まれるページ全体としたり、上記添付位置の文書面上下方向の所定行数分の文字列等といった範囲とすることもできる。
【0129】
次のステップ108では、上記抽出差分に基づき、予め定められた変更履歴表示画面を表示するように表示部63を制御し、次のステップ110にて、所定情報の入力待ちを行う。
【0130】
図12には、上記ステップ108の処理に応じて表示部63に表示される変更履歴表示画面D1の一例が示されている。同図に示されるように、この変更履歴表示画面D1では、指定アノテーション86の添付位置近傍に抽出差分が強調された状態(同図では、破線により囲まれた状態)で表示されると共に、当該抽出差分の表示対象とする文書本文の変更時期を指定するためのスライドボタンB1を有するタイムラインTL、及び表示対象を文書の変更履歴と変更経緯との間で切り換える際に指定される表示対象切換ボタンB2が表示される。同図に示されるような変更履歴表示画面D1が表示部63に表示されると利用者は、上記変更時期を指定する場合はスライドボタンB1をタイムラインTL上でアノテーションデバイス67によりスライド移動させ、表示対象を文書の変更履歴と変更経緯との間で切り換える場合には表示対象切換ボタンB2をアノテーションデバイス67によりポインティング指定する。なお、本実施の形態に係る変更履歴表示画面D1では、スライドボタンB1がタイムラインTLの左端に位置されたときに最も古い版(初版)の文書本文が指定されたものとし、当該左端から右端に近づくほど新しい版の文書本文が指定されたものとしている。利用者によってスライドボタンB1又は表示対象切換ボタンB2が操作されると上記ステップ110が肯定判定となってステップ112に移行する。」

ク 【図11】

「
[図:0001395063000003.jpg]
」

ケ 【図12】

「
[図:0001395063000004.jpg]
」

コ 段落【0156】-【0157】

「【0156】
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0157】
例えば、上記実施の形態では、変更履歴及び変更経緯を図16(A)に示す状態で表示する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、一例として図16(B)に示されるように、スライドボタンB1及びタイムラインTLに代えて表示対象とする時期を遡らせる際に指定される左矢印ボタンB3及び表示対象とする時期を現時点に近づける際に指定される右矢印ボタンB4を表示する形態、一例として図16(C)に示されるように、変更履歴及び変更経緯を時系列順で、かつ少なくとも一部が視認可能に重ねて表示し、表示対象とするものをアノテーションデバイス67等によって指定可能に表示する形態、一例として図16(D)に示されるように、変更履歴や変更経緯を複数並べて表示する形態等とすることもできる。これらの場合も、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。」

サ 【図16(D)】

「
[図:0001395063000005.jpg]
」

2 引用発明

よって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。

「文書処理システム90は、文書処理システム90において使用される電子データを処理するサーバシステム92と、文書処理システム90の利用者(レビュアや作業実行者も含む。)が使用するクライアントシステム94と、を備えており、
サーバシステム92は、電子文書(単に「文書」ともいう。)を管理する文書管理サーバ10及びアノテーションを管理するアノテーション管理サーバ20を有し、
文書処理システム90は、電子文書に付与されたアノテーションを起点として、予め定められた複数のレビュア(レビュー者)によりレビューが行われるものとされており、当該レビューはメッセージ共有サーバ30によって提供される電子掲示板を用いて行われ、
サーバシステム92は、上記レビューに基づいて実行される作業の進捗状況の管理を行うと共に、当該作業を実行する作業者(「作業実行者」)の管理を行う進捗管理サーバ40を有しており、
続きを表示(全29行)
クライアント装置60は、表示部63により文書を表示させた状態において、当該文書の任意の位置に所定形状(矩形状)の付箋を添付した状態とすることのできる付箋添付機能を備えており、ここで、当該付箋には、任意のコメントを直接記述したり、コメントや関連記事等のリンク先を示すリンク情報を関連付けたりすることができ、この場合に、文書処理システム90では、付箋添付機能によって文書に添付された付箋をアノテーションとしており、
文書処理システム90は、以上のような文書管理サーバ10、アノテーション管理サーバ20、メッセージ共有サーバ30、進捗管理サーバ40、及び複数のクライアント装置60が、各々に備えられた送受信部を介し、ネットワーク96によって電気的に接続されて構成されており、
クライアント装置60は、電子文書に対する編集作業を当該電子文書に添付されたアノテーションを参照しつつ行う場合には、文書編集用APによる文書編集画面と、アノテーションの添付に関する表示画面とを、双方とも表示エリア63Aに表示して行うことになり、
文書処理システム90では、作業実行者がレビュアと兼任しているが、これに限らず、レビュア以外の文書処理システム90の利用者を作業実行者とすることもでき、
文書処理システム90は、文書の変更箇所のみの変更の履歴や経緯を提示することのできる変更履歴提示機能を有しており、
レビュー対象とされる初版(版1)の文書(「処理対象文書」)が利用者によって文書管理サーバ10の文書データベースDB1に登録される(1)と、
当該処理対象文書が文書データベースDB1から予め定められたレビュアによってクライアント装置60を介して読み出されて表示部63により表示され(2)、
処理対象文書に対するレビュアによるレビューが行われ(3)、
ここで、処理対象文書に変更すべき箇所が見つかった場合、レビュアは、当該変更箇所の近傍に、変更を指示する付箋アノテーション(「処理対象アノテーション」)を添付し、これをアノテーション管理サーバ20の付箋用アノテーションデータベースDB2に処理対象文書と関連付けて保存し(4)、
その後、処理対象アノテーションにより指示された変更を実行する作業実行者によりクライアント装置60を介して処理対象文書が文書データベースDB1から読み出された場合(5)、
当該処理対象文書に既に添付されている付箋アノテーションに関する情報も付箋用アノテーションデータベースDB2から読み出され、読み出された処理対象文書と付箋アノテーションが、付箋アノテーションが処理対象文書上の添付された位置に重ね合わされた状態で表示部63により表示され(6)、
変更作業を実行する作業実行者により文書の変更が行われる(7)と、
変更後の文書がバージョン・アップされた状態(版2とされた状態)で文書データベースDB1に登録される(8)と共に、
処理対象アノテーションも処理対象文書と同一の版にバージョン・アップされた状態で付箋用アノテーションデータベースDB2に登録され(9)、
これ以降、(2)以降の処理が最新版の文書に対して適宜行われることになり、
クライアント装置60の制御部61により実行される変更履歴表示処理プログラムの処理の流れにおいて、
ステップ100では、指定された付箋アノテーション(「指定アノテーション」)を当該指定位置に基づいて特定し、
ステップ102では、特定した指定アノテーションの全ての版について、指定アノテーションに関連付けられている情報(ここでは、指定アノテーションのリンク先とされた情報及びその子孫に当たる情報)をメッセージデータベースDB4から読み出すと共に、指定アノテーションの添付位置を示す位置情報を付箋用アノテーションデータベースDB2から読み出し、
ステップ104では、表示中の文書の1つ前の版の文書本文を文書データベースDB1から読み出し、
ステップ106では、読み出した文書本文と、表示中の文書の文書本文との間の、読み出した位置情報により示される指定アノテーション添付位置近傍の所定範囲の差分(「抽出差分」)を抽出し、
ステップ108では、上記抽出差分に基づき、予め定められた変更履歴表示画面を表示するように表示部63を制御し、
ステップ110にて、所定情報の入力待ちを行い、
上記ステップ108の処理に応じて表示部63に表示される変更履歴表示画面D1では、指定アノテーション86の添付位置近傍に抽出差分が強調された状態(破線により囲まれた状態)で表示されると共に、当該抽出差分の表示対象とする文書本文の変更時期を指定するためのスライドボタンB1を有するタイムラインTL、及び表示対象を文書の変更履歴と変更経緯との間で切り換える際に指定される表示対象切換ボタンB2が表示され、スライドボタンB1がタイムラインTLの左端に位置されたときに最も古い版(初版)の文書本文が指定されたものとし、当該左端から右端に近づくほど新しい版の文書本文が指定されたものとしており、
スライドボタンB1及びタイムラインTLに代えて、変更履歴や変更経緯を複数並べて表示する形態等とすることもできる、
文書処理システム90。」

3 引用文献2

原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、次の事項が記載されている。

(1) 段落【0012】-【0019】

「【0012】
図3は、査読結果表生成装置10を用いた文書の作成処理の流れを示すフローチャートである。査読結果表生成装置10は、図3における破線で示した機能を実現することにより、文書の作成を支援する。
【0013】
作成者は、文書データ21を作成する(S1)。すると、査読者送信部11は、文書データ21を例えば電子メールの添付ファイルとして、作成者によって指定された各査読者へ送信する(S2)。
続きを表示(全23行)
図4は、文書データ21の説明図である。文書データ21は、作成者によって作成される設計書等の文書である。図4では、文字情報のみが記載されているが、文書データ21は図や表等を含んでいてもよい。
【0014】
次に、文書データ21が送信された各査読者は、文書データ21を査読して、文書データ21に査読コメントを付与して査読文書データ22を作成し(S3)、査読文書データ22を例えば電子メールの添付ファイルとして査読結果表生成装置10へ送信する(S4)。すると、査読者受信部12は、査読文書データ22を受信する(S5)。
図5は、査読文書データ22の説明図である。査読文書データ22は、査読者が文書データ21を査読して作成される文書である。査読文書データ22は、文書の指摘箇所が指定され、その指摘箇所についての査読コメントが記載されたものである。図5では、査読コメントa1~a3の3つの査読コメントが付されている。各査読コメントは、指摘箇所に線が引かれ、指摘箇所から吹き出しが出され、吹き出し内にコメントが記載されている。なお、吹き出し内の[R]は、[R]以下の記載が査読コメントであることを表すタグである。
【0015】
次に、文書入力部13は、各査読者から送られた査読文書データ22を入力する(S6)。すると、位置特定部14は、S6で入力された各査読文書データ22に付された各査読コメントの文書における位置を特定し、併合文書データ生成部15は、S6で入力された各査読文書データ22に付された各査読コメントについて、位置特定部14が特定したその査読コメントの位置に、その査読コメントを付して併合文書データ23を生成する(S7)。
図6は、併合文書データ23の説明図である。併合文書データ23は、複数の査読文書データ22が併合されて作成される文書である。併合文書データ23は、各査読文書データ22に付された全ての査読コメントが付されている。図6では、図5に示す査読文書データ22(査読文書データ22a)と査読文書データ22bとが併合されて作成された併合文書データ23が示されている。そのため、併合文書データ23には、査読文書データ22aに付された査読コメントa1~a3と、査読文書データ22bに付された査読コメントb1とが付されている。
【0016】
また、査読結果表生成部16は、S6で入力された各査読文書データ22に基づき、査読結果表24を作成する(S8)。
図7は、査読結果表24の説明図である。査読結果表24は、指摘事項毎に行が設けられ、各行に、査読情報、回答情報、確認情報等が含まれる表である。査読情報には、指摘箇所、査読コメント、区分、査読者、査読日が含まれ、回答情報には、回答、回答者、回答日が含まれ、確認情報には、確認者、確認日が含まれる。査読結果表24は、文書作成時の作成者と査読者とのやり取りを表形式にすることにより、客観的な文書の品質管理の実現を可能とする。
【0017】
次に、作成者は、併合文書データ23と査読結果表24とに基づき、査読コメントに対応した文書を修正するとともに、各査読コメントに回答して、回答文書データ25を作成する(S9)。すると、査読結果表生成部16は、回答文書データ25に基づき、査読結果表24を更新する(S10)。そして、査読者送信部11は、S9で作成された回答文書データ25と、S10で更新された査読結果表24とを査読者へ送信する(S11)。
図8は、回答文書データ25の説明図である。回答文書データ25は、併合文書データ23に付された査読コメントに従い、併合文書データ23の文書を修正し、査読コメントに回答して作成される文書である。査読コメントの内容によっては、文書は修正されず、単に回答のみ記載される場合もある。図8では、査読コメントが記載された吹き出し内に、その査読コメントに対する回答が記載されている。なお、吹き出し内の[A]は、[A]以下の記載が回答であることを表すタグである。
【0018】
次に、査読者は、回答文書データ25と査読結果表24とに基づき、査読コメントに対する修正が正しく行われたことを確認して、回答文書データ25の各査読コメントに確認日を記入して確認文書データ26を作成し(S12)、確認文書データ26を査読結果表生成装置10へ送信する(S13)。なお、査読者は、修正が正しく行われていない査読コメントには、確認日を記入せず、査読コメントを追加して、確認文書データ26を作成する。すると、査読者受信部12は、確認文書データ26を受信する(S14)。
図9は、確認文書データ26の説明図である。確認文書データ26は、回答文書データ25に付された各査読コメントについて、その査読コメントを付した査読者が、確認日を記載することにより作成される文書である。文書の修正内容と回答とが適切でない場合、査読者は確認日を記載せず、差し戻しとする。図9では、査読コメントa1,a2,b1については確認日が記載されているが、査読コメントa3については確認日が記載されていない。そのため、査読コメントa3については、再検討する必要があることを意味する。なお、吹き出し内の[C]は、[C]以下の記載が確認結果であることを表すタグである。
【0019】
作成者は、全ての査読コメントに対して確認日が記載されているかを確認し(S15)、記載されている場合(S15でYES)には処理をS16へ進め、記載されていないものが含まれる場合(S15でNO)には処理をS8へ戻す。
なおS15の処理で、作成者が全ての査読コメントに確認日が記載されていることを確認した後S16に処理を進めるとき、または全ての査読コメントに確認日が記載されていないことを確認した後S8に処理を進めるとき、査読結果表生成装置10は入力画面を設け、作成者から処理の分岐指示を受け付けるように構成してもよい。また査読結果表生成装置10は、確認文書データ26を読み込み、全ての査読コメントに[C]で始めるコメントが付記されているかを判定し、処理を分岐するように構成してもよい。」

(3) 【図7】

「
[図:0001395063000006.jpg]
」

4 引用文献3

原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、段落【0029】-【0030】に、次の事項が記載されている。

「【0029】§2.基本的な校正作業
続いて、図1に示す電子校正システムを用いた基本的な校正作業の手順を述べながら、各クライアントCa~Cdおよび校正サーバSの備えている機能の説明を行う。上述したように、この図1に示す実施形態は、発注会社Z内の3人の校正担当者B,C,Dによって校正が行われる場合の例を示しているが、ここでは、便宜上、まず、校正担当者Bによる校正を行う場合の手順を、図2の流れ図に基づいて説明する。この場合、発注会社Z内のクライアントCbが校正作業用クライアントとなり、製作会社Y内のクライアントCaが校正管理用クライアントとなる。校正作業用クライアントは、校正担当者Bによって操作され、校正指示を書き込む作業が実行される。一方、校正管理用クライアントは、校正管理者Aによって操作され、校正担当者Bに対して校正依頼を行う作業が実行される。
【0030】まず、図2の流れ図のステップS1において、原稿レイヤーを準備する処理が行われる。先願に係るシステムでは、校正対象となる原稿をディスプレイの画面上に表示し、この画面上で校正作業を行うことが前提となるので、印刷物の原稿もデジタルデータからなる電子原稿として用意され、この原稿に対する校正情報も、デジタルデータからなる電子校正情報として作成される。しかも、原稿の情報は原稿レイヤー、校正情報は校正レイヤーと、それぞれ別個のレイヤーの情報として取り扱われる。ステップS1で行われる原稿レイヤーの準備作業は、原稿の画像情報を、原稿レイヤー上のデジタルデータとして用意する作業である。一般に、DTPにおける原稿作成処理は、専用のページレイアウトソフトウエアを用いて行われ、原稿を構成する文字、写真、イラストなどを含んだ画像情報(ページ情報)は、使用したページレイアウトソフトウエアに固有のフォーマットでファイル化される。ただ、最近では、文書を配付する共通のフォーマットとして、米国アドビ社の提唱するPDF(Portable Document Format)の形式が普及してきており、ここに示す電子校正システムでは、原稿レイヤーおよび校正レイヤーとして、このPDF形式の画像データを用いるようにしている。したがって、このステップS1の処理は、任意のページレイアウトソフトウエアを用いて作成された原稿の画像情報を、PDF形式のデータとして書き出す処理ということができる。この電子校正システムを構成するソフトウエアでは、こうして書き出されたPDF形式のデータを原稿レイヤーの情報として取り扱うことになる。」

第5 対比・判断

1 本願発明1について

(1) 対比

本願発明1と、引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。

ア 引用発明の「作業を実行する作業者(「作業実行者」)」は、「文書処理システム90では、作業実行者がレビュアと兼任しているが、これに限らず、レビュア以外の文書処理システム90の利用者を作業実行者とすることもでき」るから、本願発明1の「電子文書の作成者(A)」と、「電子文書の利用者(A)」である点で共通するといえる。

引用発明の「予め定められた複数のレビュア(レビュー者)」は、本願発明1の「確認者(B)」に相当する。

よって、引用発明の「文書処理システム90」は、「文書処理システム90は、電子文書に付与されたアノテーションを起点として、予め定められた複数のレビュア(レビュー者)によりレビューが行われるものとされており」、「文書処理システム90では、付箋添付機能によって文書に添付された付箋をアノテーションとしており」、「レビュー対象とされる初版(版1)の文書(「処理対象文書」)が利用者によって文書管理サーバ10の文書データベースDB1に登録される(1)と」、「処理対象文書に対するレビュアによるレビューが行われ(3)、ここで、処理対象文書に変更すべき箇所が見つかった場合、レビュアは、当該変更箇所の近傍に、変更を指示する付箋アノテーション(「処理対象アノテーション」)を添付し、これをアノテーション管理サーバ20の付箋用アノテーションデータベースDB2に処理対象文書と関連付けて保存し(4)」、「変更作業を実行する作業実行者により文書の変更が行われる(7)」から、本願発明1の「(A1) 電子文書を構造化して編集し、この電子文書の作成者(A)と、この電子文書を精査する確認者(B)とが、文書保存して版管理する電子付箋による電子文書の校正作業管理システム」と、「(A1’) 電子文書を構造化して編集し、この電子文書の利用者(A)と、この電子文書を精査する確認者(B)とが、文書保存して版管理する電子付箋による電子文書の校正作業管理システム」である点で共通するといえる。

イ 上記「ア」のとおり、引用発明の「作業を実行する作業者(「作業実行者」)」は、本願発明1の「電子文書の作成者(A)」と、「電子文書の利用者(A)」である点で共通するといえる。

よって、引用発明の「文書処理システム90は、以上のような文書管理サーバ10、アノテーション管理サーバ20、メッセージ共有サーバ30、進捗管理サーバ40、及び複数のクライアント装置60が、各々に備えられた送受信部を介し、ネットワーク96によって電気的に接続されて構成されて」いることは、本願発明1の「(A2) 前記作成者(A)と前記確認者(B)が利用する端末装置と相互通信可能に接続される校正管理装置(2)」と、「(A2’) 前記利用者(A)と前記確認者(B)が利用する端末装置と相互通信可能に接続される校正管理装置(2)」である点で共通するといえる。

ウ 引用発明の「サーバシステム92は、電子文書(単に「文書」ともいう。)を管理する文書管理サーバ10及びアノテーションを管理するアノテーション管理サーバ20を有し」ていることは、「レビュー対象とされる初版(版1)の文書(「処理対象文書」)が利用者によって文書管理サーバ10の文書データベースDB1に登録される(1)と」、「ここで、処理対象文書に変更すべき箇所が見つかった場合、レビュアは、当該変更箇所の近傍に、変更を指示する付箋アノテーション(「処理対象アノテーション」)を添付し、これをアノテーション管理サーバ20の付箋用アノテーションデータベースDB2に処理対象文書と関連付けて保存し(4)」ているから、本願発明1の「(A3) 該校正管理装置(2)には」、「(A4) 電子文書及びそれに付された電子付箋のデータとプログラムを記憶する記憶部(22)が設けられ」ることに相当する。

エ 引用発明において、「サーバシステム92は、電子文書(単に「文書」ともいう。)を管理する文書管理サーバ10及びアノテーションを管理するアノテーション管理サーバ20を有し」ているから、引用発明のシステムは、本願発明1の「電子文書管理用プログラム」に相当する構成を備えていることは明らかであるといえる。

よって、引用発明において、「ここで、処理対象文書に変更すべき箇所が見つかった場合、レビュアは、当該変更箇所の近傍に、変更を指示する付箋アノテーション(「処理対象アノテーション」)を添付し、これをアノテーション管理サーバ20の付箋用アノテーションデータベースDB2に処理対象文書と関連付けて保存し(4)」、「処理対象アノテーションも処理対象文書と同一の版にバージョン・アップされた状態で付箋用アノテーションデータベースDB2に登録され(9)」ることは、本願発明1の「(B1) 電子文書管理用プログラムとして」、「(B2) 電子文書に対する電子付箋の貼付、削除、更新、表示位置の移動を行う電子付箋貼付部(24)と」、「がインストールされ」ることと、「(B1) 電子文書管理用プログラムとして」、「(B2’) 電子文書に対する電子付箋の貼付、更新、を行う電子付箋貼付部(24)と」、「がインストールされ」る点で共通するといえる。

オ 上記「ウ」のとおり、引用発明のシステムは、本願発明1の「電子文書管理用プログラム」に相当する構成を備えていることは明らかであるといえる。

よって、引用発明において、「サーバシステム92は、電子文書(単に「文書」ともいう。)を管理する文書管理サーバ10及びアノテーションを管理するアノテーション管理サーバ20を有し」「クライアント装置60は、表示部63により文書を表示させた状態において、当該文書の任意の位置に所定形状(矩形状)の付箋を添付した状態とすることのできる付箋添付機能を備えており、ここで、当該付箋には、任意のコメントを直接記述したり、コメントや関連記事等のリンク先を示すリンク情報を関連付けたりすることができ」ることは、本願発明1の「(B1) 電子文書管理用プログラムとして」、「(B3) 前記電子付箋貼付部(24)によって電子文書に付された複数の電子付箋に係る位置情報を取得する、貼付位置部(25a)、表示位置部(25b)とリンク位置部(25c)から構成された電子付箋位置取得部(25)と」、「がインストールされ」ることと、「(B1) 電子文書管理用プログラムとして」、「(B3’) 前記電子付箋貼付部(24)によって電子文書に付された複数の電子付箋に係る位置情報を取得する、貼付位置部(25a)とリンク位置部(25c)から構成された電子付箋位置取得部(25)」、「がインストールされ」る点で共通するといえる。

カ 引用発明において、「その後、処理対象アノテーションにより指示された変更を実行する作業実行者によりクライアント装置60を介して処理対象文書が文書データベースDB1から読み出された場合(5)」、「当該処理対象文書に既に添付されている付箋アノテーションに関する情報も付箋用アノテーションデータベースDB2から読み出され、読み出された処理対象文書と付箋アノテーションが、付箋アノテーションが処理対象文書上の添付された位置に重ね合わされた状態で表示部63により表示され(6)」ることは、本願発明1の「(B4) 電子文書に付された電子付箋のデータを、電子文書のデータ中に埋め込まれた状態にして表示部(23)に表示させる表示処理部(27)と」、「がインストールされ」ることに相当する。

キ 引用発明の「電子文書」は、「作成者」が、「パソコン」等の端末上で作成したものであることは自明といえる。

よって、引用発明の「当該処理対象文書が文書データベースDB1から予め定められたレビュアによってクライアント装置60を介して読み出されて表示部63により表示され(2)」、「処理対象文書に対するレビュアによるレビューが行われ(3)」、「ここで、処理対象文書に変更すべき箇所が見つかった場合、レビュアは、当該変更箇所の近傍に、変更を指示する付箋アノテーション(「処理対象アノテーション」)を添付し」ていることは、本願発明1の「(B6) 作成者(A)と確認者(B)の各パソコン(1)からの指示と、プログラムに従って動作させる演算処理回路から成る制御部(26)が前記電子文書管理用プログラムを実行することにより、前記作成者(A)が作成した電子文書を前記確認者(B)が閲覧した場合において該電子文書に電子付箋を貼り付ける操作を実行可能とし、かつ貼付された各電子付箋の内容を抽出し、電子付箋一覧(35)として管理可能に構成され」ていることと、「(B6’) 作成者(A)と確認者(B)の各パソコン(1)からの指示と、プログラムに従って動作させる演算処理回路から成る制御部(26)が前記電子文書管理用プログラムを実行することにより、前記作成者(A)が作成した電子文書を前記確認者(B)が閲覧した場合において該電子文書に電子付箋を貼り付ける操作を実行可能に構成され」ている点で共通するといえる。

ク 引用発明において、「文書処理システム90は、電子文書に付与されたアノテーションを起点として、予め定められた複数のレビュア(レビュー者)によりレビューが行われるものとされており」、「処理対象文書に対するレビュアによるレビューが行われ(3)」、「ここで、処理対象文書に変更すべき箇所が見つかった場合、レビュアは、当該変更箇所の近傍に、変更を指示する付箋アノテーション(「処理対象アノテーション」)を添付し、これをアノテーション管理サーバ20の付箋用アノテーションデータベースDB2に処理対象文書と関連付けて保存し(4)」、「変更作業を実行する作業実行者により文書の変更が行われる(7)と」、「変更後の文書がバージョン・アップされた状態(版2とされた状態)で文書データベースDB1に登録される(8)と共に」、「処理対象アノテーションも処理対象文書と同一の版にバージョン・アップされた状態で付箋用アノテーションデータベースDB2に登録され(9)」ることは、本願発明1の「(C1) 前記校正管理装置(2)は」、「(C2) 前記制御部(26)が前記電子文書管理用プログラムの一部である前記電子付箋貼付部(24)を実行することにより、電子文書の版ごとに、複数の確認者(B)が修正を指摘する電子付箋を貼付、削除、更新、表示の位置を変更する機能と」「を有し」ていることと、「(C1) 前記校正管理装置(2)は」、「(C2’) 前記制御部(26)が前記電子文書管理用プログラムの一部である前記電子付箋貼付部(24)を実行することにより、電子文書の版ごとに、複数の確認者(B)が修正を指摘する電子付箋を貼付、更新、する機能と」「を有し」ている点で共通するといえる。

ケ 引用発明において「その後、処理対象アノテーションにより指示された変更を実行する作業実行者によりクライアント装置60を介して処理対象文書が文書データベースDB1から読み出された場合(5)」、「当該処理対象文書に既に添付されている付箋アノテーションに関する情報も付箋用アノテーションデータベースDB2から読み出され、読み出された処理対象文書と付箋アノテーションが、付箋アノテーションが処理対象文書上の添付された位置に重ね合わされた状態で表示部63により表示され(6)」ることは、本願発明1の「(C4) 前記制御部(26)が前記電子文書管理用プログラムの一部である前記電子付箋貼付部(24)を実行することによって電子付箋が貼付された電子文書を、前記電子付箋一覧(35)と共に前記作成者(A)に差し戻す機能と」、「(C5) この差し戻された電子文書自身に貼付されている電子付箋と、前記電子付箋一覧(35)とを前記作成者(A)が確認可能に表示する機能と」「を有し」ていることと、「(C4’) 前記制御部(26)が前記電子文書管理用プログラムの一部である前記電子付箋貼付部(24)を実行することによって電子付箋が貼付された電子文書を、前記利用者(A)に差し戻す機能と」、「(C5’) この差し戻された電子文書自身に貼付されている電子付箋と、を前記利用者(A)が確認可能に表示する機能と」「を有し」ている点で共通するといえる。

コ 引用発明において、「スライドボタンB1及びタイムラインTLに代えて、変更履歴や変更経緯を複数並べて表示する形態等とすることもできる」ことは、本願発明1の電子付箋一覧の表示機能に含まれる「(F3) 前記複数の相違箇所のうち1つの相違箇所の変更前と変更後とを並べて修正箇所に装飾が付された状態にして表示する対比表示の表示機能」と、「1つの相違箇所の変更前と変更後とを並べて、表示する対比表示の表示機能」である点で共通するといえる。

(2) よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。

[一致点]

「(A1’) 電子文書を構造化して編集し、この電子文書の利用者(A)と、この電子文書を精査する確認者(B)とが、文書保存して版管理する電子付箋による電子文書の校正作業管理システムであって、
(A2’) 前記利用者(A)と前記確認者(B)が利用する端末装置と相互通信可能に接続される校正管理装置(2)を備え、
(A3) 該校正管理装置(2)には、
(A4) 電子文書及びそれに付された電子付箋のデータとプログラムを記憶する記憶部(22)が設けられ、
続きを表示(全16行)
(B1) 電子文書管理用プログラムとして、
(B2’) 電子文書に対する電子付箋の貼付、更新、を行う電子付箋貼付部(24)と、
(B3’) 前記電子付箋貼付部(24)によって電子文書に付された複数の電子付箋に係る位置情報を取得する、貼付位置部(25a)とリンク位置部(25c)から構成された電子付箋位置取得部(25)と、
(B4) 電子文書に付された電子付箋のデータを、電子文書のデータ中に埋め込まれた状態にして表示部(23)に表示させる表示処理部(27)と、
がインストールされ、
(B6’) 作成者(A)と確認者(B)の各パソコン(1)からの指示と、プログラムに従って動作させる演算処理回路から成る制御部(26)が前記電子文書管理用プログラムを実行することにより、前記作成者(A)が作成した電子文書を前記確認者(B)が閲覧した場合において該電子文書に電子付箋を貼り付ける操作を実行可能に構成され、
(C1) 前記校正管理装置(2)は、
(C2’) 前記制御部(26)が前記電子文書管理用プログラムの一部である前記電子付箋貼付部(24)を実行することにより、電子文書の版ごとに、複数の確認者(B)が修正を指摘する電子付箋を貼付、更新、する機能と、
(C4’) 前記制御部(26)が前記電子文書管理用プログラムの一部である前記電子付箋貼付部(24)を実行することによって電子付箋が貼付された電子文書を、前記利用者(A)に差し戻す機能と、
(C5’) この差し戻された電子文書自身に貼付されている電子付箋と、を前記利用者(A)が確認可能に表示する機能と、
(F3’) 1つの相違箇所の変更前と変更後とを並べて、表示する対比表示の表示機能と、
を有している、ことを特徴とする電子付箋による電子文書の校正作業管理システム。」

[相違点1](構成要件A1、A2について)

本願発明1では、電子文書の「作成者(A)」自身が、添付された付箋に基づき校正を行うのに対して、引用発明では、文書の編集を行うのは「作業実行者」であって、電子文書の「作成者(A)」であることが特定されていない点。

[相違点2](構成要件B2について)

本願発明1では、「電子付箋の貼付、削除、更新、表示位置の移動を行う」のに対して、引用発明では、電子付箋の「削除」、「表示位置の移動」を行うことが特定されていない点。

[相違点3](構成要件B3について)

本願発明1では、電子付箋に係る位置情報を取得する電子付箋位置取得部(25)が、さらに「表示位置部(25b)」を備えるのに対して、引用発明では、「表示位置部(25b)」を備えることが特定されていない点。

[相違点4](構成要件B5、B6について)

本願発明1では、「(B5) 前記電子付箋貼付部(24)によって付された複数の電子付箋の一覧を作成し、一括管理する電子付箋一覧作成部(28)とがインストールされ」、「(B6) 作成者(A)と確認者(B)の各パソコン(1)からの指示と、プログラムに従って動作させる演算処理回路から成る制御部(26)が前記電子文書管理用プログラムを実行することにより、前記作成者(A)が作成した電子文書を前記確認者(B)が閲覧した場合において該電子文書に電子付箋を貼り付ける操作を実行可能とし、かつ貼付された各電子付箋の内容を抽出し、電子付箋一覧(35)として管理可能に構成され」るのに対して、引用発明では、複数の電子付箋の一覧を作成して、管理することが特定されていない点。

[相違点5](構成要件C2について)

本願発明1では、「(C2) 前記制御部(26)が前記電子文書管理用プログラムの一部である前記電子付箋貼付部(24)を実行することにより、電子文書の版ごとに、複数の確認者(B)が修正を指摘する電子付箋を貼付、削除、更新、表示の位置を変更する機能と」「を有し」ているのに対して、引用発明では、複数の電子付箋の「削除」、「表示の位置を変更する機能」を有することが特定されていない点。

[相違点6](構成要件C3-C6について)

本願発明1では、「(C3) 前記制御部(26)が前記電子文書管理用プログラムの一部である前記電子付箋一覧作成部(28)を実行することにより、電子文書の版ごとに貼付された電子付箋の内容を抽出し、電子付箋一覧(35)として管理する機能と」、「(C4) 前記制御部(26)が前記電子文書管理用プログラムの一部である前記電子付箋貼付部(24)を実行することによって電子付箋が貼付された電子文書を、前記電子付箋一覧(35)と共に前記作成者(A)に差し戻す機能と」、「(C5) この差し戻された電子文書自身に貼付されている電子付箋と、前記電子付箋一覧(35)とを前記作成者(A)が確認可能に表示する機能と」、「(C6) 電子文書を修正した後の電子付箋一覧(35)の表示データを版管理する機能と、を有し」ているのに対して、引用発明では、「電子文書の版ごとに貼付された電子付箋の内容を抽出し、電子付箋一覧(35)として管理し」、「電子付箋一覧(35)」を「作成者(A)」に差し戻して表示し、電子付箋一覧(35)の表示データを「版管理」することが特定されていない点。

[相違点7](構成要件D1-D2について)

本願発明1では、「(D1) 前記電子付箋のデータとして」、「(D2) 前記確認者(B)が指摘した修正が、必須の修正であるか、任意の修正であるかを、前記確認者(B)が選択して入力操作することが可能な修正対応データを含」むのに対して、引用発明では、電子付箋のデータとして、「必須の修正」、「任意の修正」を入力可能な修正対応データを含むことが特定されていない点。

[相違点8](構成要件E1-E2について)

本願発明1では、「(E1) 前記電子付箋一覧(35)の項目として」、「(E2) 前記確認者(B)が指摘した修正に対し、前記作成者(A)が修正を実施した場合において当該修正の実施に対応した状態となるチェックの項目を含」むのに対して、引用発明では、そもそも電子付箋一覧(35)を備えておらず、また、電子付箋一覧(35)の項目として、「修正を実施した場合において当該修正の実施に対応した状態となるチェックの項目を含」むことが特定されていない点。

[相違点9](構成要件F1-F4について)

本願発明1では、「(F1) 前記電子付箋一覧(35)を前記作成者(A)が確認可能に表示する表示機能として」、「(F2) 前回、あるいはそれ以前の」版との間で修正が行われた場合における複数の相違箇所の変更前と変更後とを並べて一覧表示する差分一覧の表示機能と」、「(F3) 前記複数の相違箇所のうち1つの相違箇所の変更前と変更後とを並べて修正箇所に装飾が付された状態にして表示する対比表示の表示機能と」、「(F4) 前回、あるいはそれ以前の版との相違箇所を差分箇所として強調して表示するハイライトの表示機能とを含めて構成されている」のに対して、引用発明では、そもそも電子付箋一覧(35)を備えておらず、また、「電子付箋一覧」の表示機能として、「差分一覧の表示機能」と、「前記複数の相違箇所のうち1つの相違箇所の変更前と変更後とを並べて修正箇所に装飾が付された状態にして表示する対比表示の表示機能」と、「ハイライトの表示機能」を含むことが特定されていない点。

(3) 当審の判断

事案に鑑みて、「電子付箋一覧」に関して相互に関連する、上記[相違点4]、[相違点6]、[相違点8]、[相違点9]についてまとめて、先に検討する。

本願発明1の上記[相違点4]、[相違点6]、[相違点8]、[相違点9]に係る、「(B5) 前記電子付箋貼付部(24)によって付された複数の電子付箋の一覧を作成し、一括管理する電子付箋一覧作成部(28)とがインストールされ」、「貼付された各電子付箋の内容を抽出し、電子付箋一覧(35)として管理可能」に構成され、

「(C3) 前記制御部(26)が前記電子文書管理用プログラムの一部である前記電子付箋一覧作成部(28)を実行することにより、電子文書の版ごとに貼付された電子付箋の内容を抽出し、電子付箋一覧(35)として管理する機能と」、「(C4) 前記制御部(26)が前記電子文書管理用プログラムの一部である前記電子付箋貼付部(24)を実行することによって電子付箋が貼付された電子文書を、前記電子付箋一覧(35)と共に前記作成者(A)に差し戻す機能と」、「(C5) この差し戻された電子文書自身に貼付されている電子付箋と、前記電子付箋一覧(35)とを前記作成者(A)が確認可能に表示する機能と」、「(C6) 電子文書を修正した後の電子付箋一覧(35)の表示データを版管理する機能と、を有し」、

「(E1) 前記電子付箋一覧(35)の項目として」、「(E2) 前記確認者(B)が指摘した修正に対し、前記作成者(A)が修正を実施した場合において当該修正の実施に対応した状態となるチェックの項目を含み」、

「(F1) 前記電子付箋一覧(35)を前記作成者(A)が確認可能に表示する表示機能として」、「(F2) 前回、あるいはそれ以前の」版との間で修正が行われた場合における複数の相違箇所の変更前と変更後とを並べて一覧表示する差分一覧の表示機能と」、「(F3) 前記複数の相違箇所のうち1つの相違箇所の変更前と変更後とを並べて修正箇所に装飾が付された状態にして表示する対比表示の表示機能と」、「(F4) 前回、あるいはそれ以前の版との相違箇所を差分箇所として強調して表示するハイライトの表示機能とを含めて構成されている」という構成は、上記引用文献1-3には記載されておらず、周知技術であるともいえない。

「引用文献2」には、電子文書の「作成者」自身が、文書の校正を行うことが開示されると共に(段落【0013】、【0016】を参照。)、文書作成時の作成者と査読者(本願発明1の「確認者(B)」に相当する。)との間の指摘事項や回答など一連のやり取りが記入された「吹き出し」を、「一覧表」の形式で表示することによって、客観的な文書の品質管理の実現を可能とする点が開示されている(段落【0016】、【図7】を参照。)。

しかしながら、引用文献2は、本願発明1の上記[相違点4]に係る構成のように、確認者(B)が貼付する「電子付箋」についての「電子付箋一覧(35)」を表示しておらず、[相違点6]に係る構成のように「電子文書の版ごとに貼付された電子付箋の内容を抽出し」、電子付箋一覧(35)の表示データを版管理するものではなく、[相違点8]に係る構成のように電子付箋一覧(35)の項目として、「修正を実施した場合において当該修正の実施に対応した状態となるチェックの項目を含」むものではなく、[相違点9]に係る構成のように「電子付箋一覧」の表示機能として、「差分一覧の表示機能」と「対比表示の表示機能」と「ハイライトの表示機能」の表示機能を含むものではない。

「引用文献3」には、文書処理の技術分野において、電子文書の「レイヤー」と、電子文書の校正用の「レイヤー」とを備える、「PDF形式」で電子文書を構成する周知技術が開示されているものの、引用文献3は、本願発明1の上記[相違点4]、[相違点6]、[相違点8]、[相違点9]に係る構成を含むものではない。

よって、引用発明、引用文献2-3の記載事項からは、本願発明1の「電子付箋一覧」の表示に関する上記[相違点4]、[相違点6]、[相違点8]、[相違点9]に係る構成に想到し得ない。

したがって、[相違点1]-[相違点3]、[相違点5]、[相違点7]について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第6 原査定について

1 理由1(特許法第29条第1項柱書)について

審判請求時の補正により、補正前の請求項1-5は削除され、本願発明1(補正前の請求項6に対応する。)は、構成管理装置(2)に、「(B1)電子文書管理用プログラム」として、「電子付箋貼付部(24)」(B2)、「電子付箋位置取得部(25)」(B3)、「表示処理部(27)」(B4)、「電子付箋一覧作成部(28)」(B5)の各部(構成要件B2-B5の各部)がそれぞれ「インストールされ」、構成管理装置(2)の制御部(26)が前記電子文書管理プログラムを実行することにより、電子付箋を貼り付けを可能とし、電子付箋一覧(35)を管理可能とする(B6)ことが特定された。

また、審判請求時の補正により、本願発明1は、「(C1) 前記校正管理装置(2)は」、「(C2) 前記制御部(26)が前記電子文書管理用プログラムの一部である前記電子付箋貼付部(24)を実行することにより、電子文書の版ごとに、複数の確認者(B)が修正を指摘する電子付箋を貼付、削除、更新、表示の位置を変更する機能と、

(C3) 前記制御部(26)が前記電子文書管理用プログラムの一部である前記電子付箋一覧作成部(28)を実行することにより、電子文書の版ごとに貼付された電子付箋の内容を抽出し、電子付箋一覧(35)として管理する機能と、

(C4) 前記制御部(26)が前記電子文書管理用プログラムの一部である前記電子付箋貼付部(24)を実行することによって電子付箋が貼付された電子文書を、前記電子付箋一覧(35)と共に前記作成者(A)に差し戻す機能と、

(C5) この差し戻された電子文書自身に貼付されている電子付箋と、前記電子付箋一覧(35)とを前記作成者(A)が確認可能に表示する機能と、

(C6) 電子文書を修正した後の電子付箋一覧(35)の表示データを版管理する機能と、を有し」ていることが特定されることによって、「構成管理装置(2)」の各機能が、「制御部(26)」(これは、構成要件B6で「プログラムに従って動作させる演算処理回路から成る」ことが特定されている。)が、電子文書管理用プログラムの一部である構成要件B2-B5のいずれかを実行することによって提供されることが特定された。

さらに、審判請求時の補正により、本願発明1は、「電子付箋」のデータとして、必須の修正か任意の修正かを入力可能な「修正対応データ」を含むこと(構成要件D1-D2)、「電子付箋一覧」の項目として、作成者(A)による修正の実施状態の「チェックの項目」を含むこと(構成要件E1-E2)、「構成要件C5」の電子付箋一覧(35)の表示機能が、「差分一覧の表示機能」、「対比表示の表示機能」、「ハイライトの表示機能」を含むこと(構成要件F1-F4)が特定された。

これら審判請求時の補正によって、本願発明1は、「制御部(26)」が、電子文書管理用プログラムの一部である構成要件B2-B5のいずれかを実行することにより、「構成管理装置(2)」の構成要件C2-C6の、「電子付箋を貼付、削除、更新、表示の位置を変更する機能」「電子付箋一覧(35)として管理する機能」、「前記電子付箋一覧(35)と共に前記作成者(A)に差し戻す機能」、「差し戻された電子文書自身に貼付されている電子付箋と、前記電子付箋一覧(35)とを前記作成者(A)が確認可能に表示する機能」、「電子付箋一覧(35)の表示データを版管理する機能」という各機能を提供するという情報処理技術を特定するものであり、ソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されているといえる。

また、全体としてみても、本願発明1は、電子付箋による電子文書の校正作業管理システムにおいて、「電子文書の初稿から最終稿に至る校正のプロセスにおいて確認者が修正箇所を指摘するだけでなく、それを作成者が修正したことを一覧表に反映させ、次稿を確認する各作業を円滑に進める」という課題(明細書の段落【0009】を参照。)を解決するために、課題解決手段として、記憶部(22)を設けた校正管理装置(2)を備える、電子付箋による電子文書の校正作業管理システムにおいて(構成要件A1-A4)、電子文書管理用プログラムの一部として、電子付箋貼付部(24)、電子付箋位置取得部(25)、表示処理部(27)、電子付箋一覧作成部(28)がそれぞれインストールされ、、電子付箋を貼り付ける操作を実行可能とし、電子付箋一覧(35)を管理可能に構成し(構成要件B1-B6)、制御部(26)が、電子文書管理用プログラムの一部である構成要件B2-B5のいずれかを実行することにより、「構成管理装置(2)」の「電子付箋を貼付、削除、更新、表示の位置を変更する機能」「電子付箋一覧(35)として管理する機能」、「前記電子付箋一覧(35)と共に前記作成者(A)に差し戻す機能」、「差し戻された電子文書自身に貼付されている電子付箋と、前記電子付箋一覧(35)とを前記作成者(A)が確認可能に表示する機能」、「電子付箋一覧(35)の表示データを版管理する機能」という各機能を提供しており(構成要件C1-C6)、「電子付箋」のデータとして、必須の修正か任意の修正かを入力可能な「修正対応データ」を含み(構成要件D1-D2)、「電子付箋一覧」の項目として、作成者(A)による修正の実施状態の「チェックの項目」を含み(構成要件E1-E2)、「構成要件C5」の「電子付箋一覧(35)とを前記作成者(A)が確認可能に表示する機能」が、「差分一覧の表示機能」、「対比表示の表示機能」、「ハイライトの表示機能」を含む(構成要件F1-F4)ように構成することによって、「電子付箋を一覧表示する際に、電子付箋そのものだけでなく、修正指摘事項を併せて一覧表示するので、電子文書中の確認者(B)が修正を指摘する箇所を迅速に発見することができる。作成者(A)は容易に修正できるだけでなく、修正指摘箇所が一覧表示されると共に、その修正が済んだことを確認できるため、修正忘れを防止することができる。」(明細書の段落【0013】を参照。)などの効果を奏することを主要な技術的な特徴とするものであり、この主要な技術的な特徴を有する電子付箋による電子文書の校正作業管理システムは、自然法則を利用した技術的思想の創作といえる。

2 理由2(特許法第29条2項)について

審判請求時の補正により、補正前の請求項1-5は削除され、本願発明1(補正前の請求項6に対応する。)は、上記[相違点4]、[相違点6]、[相違点8]、[相違点9]に係る、「(B5) 前記電子付箋貼付部(24)によって付された複数の電子付箋の一覧を作成し、一括管理する電子付箋一覧作成部(28)とがインストールされ」、「貼付された各電子付箋の内容を抽出し、電子付箋一覧(35)として管理可能」に構成され、

「(C3) 前記制御部(26)が前記電子文書管理用プログラムの一部である前記電子付箋一覧作成部(28)を実行することにより、電子文書の版ごとに貼付された電子付箋の内容を抽出し、電子付箋一覧(35)として管理する機能と」、「(C4) 前記制御部(26)が前記電子文書管理用プログラムの一部である前記電子付箋貼付部(24)を実行することによって電子付箋が貼付された電子文書を、前記電子付箋一覧(35)と共に前記作成者(A)に差し戻す機能と」、「(C5) この差し戻された電子文書自身に貼付されている電子付箋と、前記電子付箋一覧(35)とを前記作成者(A)が確認可能に表示する機能と」、「(C6) 電子文書を修正した後の電子付箋一覧(35)の表示データを版管理する機能と、を有し」、

「(E1) 前記電子付箋一覧(35)の項目として」、「(E2) 前記確認者(B)が指摘した修正に対し、前記作成者(A)が修正を実施した場合において当該修正の実施に対応した状態となるチェックの項目を含み」、

「(F1) 前記電子付箋一覧(35)を前記作成者(A)が確認可能に表示する表示機能として」、「(F2) 前回、あるいはそれ以前の」版との間で修正が行われた場合における複数の相違箇所の変更前と変更後とを並べて一覧表示する差分一覧の表示機能と」、「(F3) 前記複数の相違箇所のうち1つの相違箇所の変更前と変更後とを並べて修正箇所に装飾が付された状態にして表示する対比表示の表示機能と」、「(F4) 前回、あるいはそれ以前の版との相違箇所を差分箇所として強調して表示するハイライトの表示機能とを含めて構成されている」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-3に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。

したがって、原査定の理由2を維持することはできない。

第7 むすび

以上のとおりであるから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-009314

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