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特許拒絶査定不服審判

2022-008342

表示基板、表示装置及び表示基板の製造方法

審判番号
2022-008342
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-545193外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年06月01日
審決日
2023年06月28日
公報発行日
2023年12月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .537-WZ (G09F) / P18 .121-WZ (G09F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第36条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-545193「表示基板、表示装置及び表示基板の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年12月 6日国際公開、WO2018/218987、令和 2年 7月27日国内公表、特表2020-521989〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 15項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、2018年(平成30年)2月2日を国際出願日とする外国語特許出願であって(パリ条約による優先権主張外国庁受理2017年6月2日、中国)、その手続の経緯の概略は、以下のとおりである。

平成30年 8月27日 :翻訳文の提出
令和 3年 9月16日付け:拒絶理由通知書
同年12月28日 :意見書、手続補正書の提出
令和 4年 1月24日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)

(同年 2月 1日 :原査定の謄本の送達)

同年 6月 1日 :審判請求書、手続補正書の提出

同月27日 :前置報告書

同年 9月27日 :上申書の提出

令和 5年 1月30日付け:拒絶理由通知書

同年 4月28日 :意見書、手続補正書の提出

なお、令和5年1月30日付けで当審において通知した拒絶理由を、以下「当審拒絶理由」といい、これに対して、同年4月28日に請求人から提出された意見書を、以下、単に「意見書」という。

第2 本願発明

本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和5年4月28日に提出された手続補正書(以下、当該手続補正書による補正を「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。

「【請求項1】
表示基板であって、
ベース基板と、
前記ベース基板上の絶縁層と、
続きを表示(全20行)
前記絶縁層の前記ベース基板から遠い側にあり且つ複数の電極ブロックを含む電極層と
を含み、
前記表示基板は、前記複数の電極ブロックに対応する電極ブロック領域と、前記電極ブロック領域の外部の電極ブロック間領域とを有し、
前記絶縁層は、前記ベース基板から遠い第1の側面と、前記第1の側面に対向し且つ前記ベース基板から近い第2の側面とを有し、
前記複数の電極ブロックの各々は、前記ベース基板から遠い第3の側面と、前記第3の側面に対向し且つ前記ベース基板から近い第4の側面とを有し、
前記絶縁層は、前記ベース基板から離れる方向に延長されると狭くなり、両側にそれぞれ2つの平滑な面が形成される突起部を有し、前記突起部は、前記ベース基板の表面に対する前記複数の電極ブロックのうち隣接する電極の第4の側面の第2の高さよりも大きい前記ベース基板の表面に対する第1の高さを有し、
前記電極ブロック領域における前記絶縁層の第1の側面は、前記ベース基板の表面に対する前記複数の電極ブロックのうち隣接する電極の第4の側面の第2の高さよりも小さい前記ベース基板の表面に対する第3の高さを有し、前記電極ブロック領域における前記絶縁層の前記第1の側面は、中間構造で前記複数の電極ブロックのうち隣接する電極の前記第4の側面に接続され、
前記表示基板は、複数の発光ダイオードを含む発光ダイオード表示基板であり、
前記複数の電極ブロックは、前記複数の発光ダイオードにおいて光放出を駆動するための複数のアノードであり、
前記絶縁層は、平坦化層であり、
前記表示基板は、前記平坦化層の前記ベース基板から遠い側におけるピクセル限定層と、前記ピクセル限定層の前記平坦化層から遠い側におけるスペーサー層とを更に含み、
前記ピクセル限定層と、前記スペーサー層とが、前記電極ブロック間領域内にあり、前記突起部に重なって設けられ、
前記第1の高さL1は、第2の高さL2より約1.0μm乃至約1.5μm、約1.5μm乃至約2.0μm、又は、約2.0μm乃至約2.5μmだけ大きく、
前記第1の高さL1は、第3の高さL3より約1.0μm乃至約1.5μm、約1.5μm乃至約2.0μm、又は、約2.0μm乃至約2.5μmだけ大きく、
前記第1の高さL1と前記第2の高さL2との差が、前記第1の高さL1と前記第3の高さL3との差よりも小さい、
ことを特徴とする表示基板。」

第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由のうち、本件補正前の請求項1の記載に対する理由1(明確性)の(3)と、本件補正前の請求項1に係る発明に対する理由3(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。

1 理由1(明確性)

(明確性)この出願は、本件補正前の請求項1の記載が下記の点で、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。

請求項1には、「前記絶縁層は、平坦化層であり」と記載されている。

ここで、「平坦」という語句は、通常は「平らなこと」を意味するものであるところ、請求項1において「絶縁層」は「第1の高さ」や「突起部」を有するとも記載されており、これら不整合な記載により、請求項1に係る発明の構成が特定されていると認められない。

2 理由3(進歩性の欠如)

(進歩性の欠如)本件補正前の請求項1に係る発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において発行された、下記の引用文献に記載された発明に基づいて、本願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>

引用文献1.米国特許出願公開第2017/0141169号明細書(周知技術を示す文献)

引用文献6.特開2005-326799号公報(主たる引用例)

引用文献7.特開2008-78038号公報(周知技術を示す文献)

第4 当審の判断1(36条6項2号)

1 本件補正後の請求項1の記載について

(1) 本件補正後の請求項1には、「ベース基板上の絶縁層」について、「前記絶縁層は、平坦化層であり、」という記載がある。

ここで、「平坦」という語句について、広辞苑第七版(岩波書店、2018年)を参照すると、「土地の平らかなこと。また、そのようなさま。「-な道」「-地」「人生は-ではない」」と記載されており、「平坦化」とは、平らでないものを平らにするという意味であると認められる。

よって、「平坦化」という語句の意味を踏まえると、前記請求項1の「ベース基板上の絶縁層」が「平坦化層であり、」との記載は、「絶縁層」が、平らでないベース基板上に設けられて、「絶縁層」上に平らな面を形成するものであることを意味すると解釈される。(例えば、下記引用文献7の【0017】には、そのような意味で「平坦化層」が用いられている。)

(2) 一方、前記請求項1には、「前記絶縁層は、前記ベース基板から離れる方向に延長されると狭くなり、両側にそれぞれ2つの平滑な面が形成される突起部を有し」と記載されており、突起部を有する絶縁層が平らでないことは明らかであるから、当該記載は、前記(1)における「前記絶縁層は、平坦化層であり」との記載と整合していない。

(3) したがって、本願発明における「絶縁層」の構成を特定することができない。

2 請求人の主張について

(1) 請求人の主張内容

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請求人は、意見書において、次の主張をしている。

最初の従来技術では、基板の上方に平らな平坦化層(planarization layer,PLN)が形成されている。さらに、当該分野において公知のように、該層は機能において電極及び画素限定層(PDL)を担持することを図ったものである。このこともその技術意味を体現するものである。最初に何れも平らな状態に設計されるので、「平坦化層」と呼ばれる。しかしながら、技術の進歩に伴い、例えば、本願では、電極及び画素限定層を担持する機能を有する層についても、平坦化層(PLN)との名称を襲用した。当業者にとって、平坦化層の意義は機能及び技術的観点において「電極及び画素限定層を担持する」ことにあり、字面で「平ら」であるか否かではない。平らではない平坦化層の場合でも、当業者は当然にその技術意味を解することができる。このため、本願における「平坦化層」という用語は、当業者に明確である。

(2) 請求人の主張についての検討

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請求人は、当業者にとって、平坦化層の意義は機能及び技術的観点において「電極及び画素限定層を担持する」ことにあり、字面で「平ら」であるか否かではないのであって、当業者は当然にその技術意味を解することができるものであると主張している。

しかしながら、当業者にとって「平坦化層」の意義がそのようなものであるとする根拠は何ら示されてはおらず、請求人の前記主張については、当業者ではなく請求人が「平坦化層」をそのようなものと考えているという以上の意味を認めることはできない。

前記「電極及び画素限定層を担持する」ために設けられる層は通常「平坦化層」ではなく、「担持層」と呼称されるものであるから、請求人の前記主張は、本件補正後の請求項1の「平坦化層」の記載は「担持層」と理解できるというものであって、これを認める余地はない。

したがって、前記(1)の請求人の主張は、採用できない。

3 小括

したがって、令和5年4月28日付け意見書及び手続補正書の内容を考慮しても、依然として、本願発明は明確でない。

第5 当審の判断2(29条2項)

1 引用文献に記載された発明の認定等

(1) 引用文献6に記載された事項、引用発明の認定

ア 引用文献6に記載された事項

当審拒絶理由で引用された前記引用文献6には、以下の事項が記載されている。下線は当合議体が付したもので、以下同様である。

(ア) 段落【0001】

「【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜を用いて構成される電気光学装置とこの電気光学装置に使用される電気光学装置用基板、および半導体装置に関するものである。また、これらの製造方法及び電気光学装置を用いた電子機器に関するものである。」

(イ) 段落【0113】~【0125】、【図16】~【図19】

「【0113】
〔実施例3-1〕
<電気光学装置>
図17は、本実施形態の有機EL装置1に備えられた各画素領域Aの平面構造を示す図である。図の(a)は図16の画素領域Aのうち、主にTFT等の画素駆動部分を示す図であり、図の(b)は画素間を区画する隔壁(仕切部材)等を示す図である。また図18は、図17(a)のX-X線に沿う断面構成を示しており、図19は、同Y-Y線に沿う断面構成を示している。
続きを表示(全31行)
【0114】
図17(a)において、画素領域Aは、平面視略矩形状の画素電極141と、その四辺を取り囲んで配置された信号線132、共通給電線133、走査線131、及び、図示しない他の画素電極用の走査線から構成される。図18に示す画素領域Aの断面構造をみると、基板(基体)10上に駆動用TFT143が設けられており、さらに、駆動用TFT143等を覆って形成された絶縁膜240上には、有機EL素子200が形成されている。有機EL素子200は、基板10上に立設された隔壁(第2隔壁層;仕切部材)150に囲まれる領域内に設けられた有機機能層140を主体としてなり、この有機機能層140を画素電極141と共通電極154との間に挟持した構成を備えている。
【0115】
図17(b)に示す平面構造では、隔壁150は、画素電極141の形成領域に対応した平面視略矩形状の区画領域151を有しており、この区画領域151の内側に先の有機機能層140が形成されるようになっている。また、区画領域151の内周に沿って無機隔壁149(後述する第1隔壁層)の一部が延出されており、無機隔壁149の開口部内では有機機能層140と画素電極141とが接触するようになっている。
【0116】
図18において、駆動用TFT143は、半導体膜210に形成されたソース領域143a、ドレイン領域143b、及びチャネル領域143cと、半導体膜表面に形成されたゲート絶縁膜220、およびゲート電極143Aとから構成されている。また、この上には、半導体膜210及びゲート絶縁膜220を覆う第1層間絶縁膜230が形成されており、この第1層間絶縁膜230及びゲート絶縁膜220には、これらを貫通して半導体膜210に達するコンタクトホール232,234がある。ドレイン電極236、ソース電極238の両者はこのコンタクトホールを介し、各々上記ドレイン領域143b、ソース領域143aに接続されている。
【0117】
上記第1層間絶縁膜230上には、さらに第2層間絶縁膜240が形成されており、この第2層間絶縁膜240のうち、信号線132やドレイン電極236等を覆う部分が、図18、19のように上方へ突出し、凸状部240aを形成する。この凸状部240aは、画素電極141を平面的に取り囲む走査線131や信号線132等に対応して有機機能層140を取り囲む平面視略矩形枠状を成している。
なお、基板10と有機EL素子200との間に形成された下地絶縁膜210から第2層間絶縁膜240までが、本発明に係る有機EL装置の回路層を構成している。
【0118】
画素電極141は、周囲を取り囲む凸状部240aに乗り上げるようにして形成される。また、第2層間絶縁膜240に貫設されたコンタクトホール240bに画素電極11の一部が埋設され、コンタクトホール240bを介して画素電極141とドレイン電極236とが接続され、駆動用TFT143と画素電極141とが電気的に接続されている。
【0119】
本発明に係る隔壁(第1隔壁層)149は、凸状部240aに一部乗り上げて形成された画素電極141の一部を覆い、かつ凸状部240aに被さるように形成されている。このようにすることによって、隔壁149は、凸状部240a側方の斜面形状に倣う斜面部149aを画素電極141上に有するようになる。さらに、無機材料からなる隔壁149上には、有機材料からなる隔壁(第2隔壁層)150が積層され、無機隔壁149とともに有機EL装置における仕切部材を形成する。この隔壁150の画素電極141側の側壁面に囲まれる領域が区画領域151となる。また、隔壁150の内壁面は、図18に示すように無機隔壁の斜面部149aより外側へ後退した位置に形成されている。
【0120】
ここで、隔壁149及び隔壁150は、画素電極141を隔離する機能のみならず液相法を用いて有機機能層140を形成するに際して、それぞれ親液領域、撥液領域を形成する機能を有し、下層側に配された無機隔壁149は親液性であり、隔壁150は撥液性であることが好ましい。これにより、隣接画素への液の混合等に起因する不具合の発生を低減できる。
このような液体材料に対する親和性の差異を発現させるには、上記の如く無機隔壁149と隔壁150の材質を互いに異ならせ、これらの隔壁149,150に対してプラズマ処理等の表面改質処理を施す方法を例示できる。またプラズマ処理によらず、隔壁150を形成する有機材料にフッ化物を混入して隔壁150自体に撥液性を付与した構成も適用できる。
【0121】
上記有機EL素子200は、隔壁150に囲まれる区画領域151内の画素電極141上に、液相法を用いて形成された正孔注入層(電荷輸送層)140A及び発光層140Bを積層し、さらに発光層140Bと隔壁150とを覆う共通電極154を形成することにより構成されている。本実施形態の場合、正孔注入層140Aは、無機隔壁149に囲まれた領域内の画素電極141上と無機隔壁149の縁端部上に跨って形成されており、その側面部は無機隔壁149の斜面部149aと当接している。発光層140Bは、正孔注入層140A上に形成されるとともに、無機隔壁149の斜面部149aとその側面部にて当接している。
【0122】
基板10としては、いわゆるボトムエミッション型の有機EL装置の場合、基板側から光を取り出す構成であるので、ガラス等の透明基板が用いられる。トップエミッション型の場合には不透明基板を用いることもできる。
画素電極141は、基板10を介して光を取り出すボトムエミッション型の場合には、ITO(インジウム錫酸化物)等の透光性導電材料により形成される。トップエミッション型の場合には透光性である必要はなく、金属材料等の適宜な導電材料によって形成できる。本実施形態に係る正孔注入層140Aは液相法により形成されるため、画素電極141の表面は親液性であることが好ましく、正孔注入層140Aの形成材料としては水系のインクを用いることが多いため、親水性であることがより好ましい。
【0123】
共通電極154は、発光層140Bと隔壁150の上面、さらには隔壁150の側面部を形成する壁面を覆った状態で基板10上に形成される。この共通電極154を形成するための材料としては、ボトムエミッション型の場合、AlやAg等の光反射性の金属材料が好適に用いられ、トップエミッション型の場合には透明導電材料が用いられる。透明導電材料としてはITOが好適であるが、他の透光性導電材料であっても構わない。
【0124】
共通電極154の上層側には、陰極保護層を形成してもよい。係る陰極保護層を設けることで、製造プロセス時に共通電極154が腐食されるのを防止する効果が得られ、無機化合物、例えば、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン窒酸化物等のシリコン化合物により形成できる。共通電極50を無機化合物からなる陰極保護層で覆うことにより、無機酸化物からなる共通電極154への酸素等の侵入を良好に防止することができる。なお、陰極保護層は、10nmから300nm程度の厚みに形成される。
【0125】
上記構成を備えた本実施形態の有機EL装置では、有機機能層140を取り囲む無機バンク149が区画領域151内に延出され、かつその延出部分が区画領域内にて斜面部149aを構成していることで、液相法を用いた有機機能層140の形成時に正孔注入層140A及び発光層140Bを平坦化することができ、均一な膜厚及び膜質を備えた有機機能層を形成できるものとなっている。また本実施形態の有機EL装置では、無機隔壁149の延出部分が斜面形状を成しているので、画素領域の開口率を低下させることなく無機隔壁149の区画領域151内への露出面積を増大させることができる利点がある。」
「【図16】
[図:0001404155000001.jpg]
」
「【図17】
[図:0001404155000002.jpg]
」
「【図18】
[図:0001404155000003.jpg]
」
「【図19】
[図:0001404155000004.jpg]
」

(ウ) 段落【0126】~【0129】、【図23】

「【0126】
<電気光学装置の製造方法>
次に、液滴吐出装置(IJ)を用いた有機EL装置(電気光学装置)1の製造方法について、図23及び図24を参照しながら説明する。なお、図23、図24には、説明を簡略化するために単一の画素領域A(図19に示した断面構成に相当する図)のみが示されている。本発明に係る有機EL装置では、有機EL素子の光を基板側から取り出す構成(ボトムエミッション)、及び基板と反対側から取り出す構成(トップエミッション)のいずれも採用できるが、本実施形態ではボトムエミッション型の有機EL装置として説明する。
【0127】
続きを表示(全11行)
まず、図23(a)に示すように、基板10上に、駆動用TFT143(図示略)を形成するとともに、第1層間絶縁膜230上に、走査線131、信号線132を形成する。基板10は、ボトムエミッション型の本実施形態の有機EL装置では、ガラスや石英等の透光性基板である。
次に、図23(b)に示すように、第1層間絶縁膜230、及び各配線の上面を覆うように第2層間絶縁膜240を形成する。このとき、走査線131及び信号線132上の領域の第2層間絶縁膜240は部分的に基板10の図示上方へ突出されて凸状部240aを形成する。すなわち、第2層間絶縁膜240は、第1層間絶縁膜230上の走査線131等による凹凸を平坦化しない程度の膜厚にて形成する。
【0128】
次に、図23(c)に示すように、公知のフォトリソグラフィ技術を用いて画素電極141をパターン形成する。このとき、画素電極141は、その周端部を凸状部240aに乗り上げるように配置される。また図示は省略しているが、画素電極141は基板10上に既設のTFT143と電気的に接続される(図18参照)。これにより、先の図17(a)に示したような信号線、共通給電線、及び走査線に囲まれた位置に、ドレイン電極236を介して駆動用TFT143のドレイン領域143bと導電接続された画素電極141が形成される。本実施形態の場合、有機EL装置はボトムエミッション型であるため、画素電極141はITO等の透明導電材料を用いて形成する。
【0129】
次に、図23(d)に示すように、画素電極141の周縁部と一部平面的に重なるように、酸化シリコン等の無機絶縁材料からなる無機バンク(第1隔壁層)149を形成する。
このとき無機バンク149は凸状部240aに被さるように形成する。これにより、凸状部240aの断面形状に倣う斜面部149aを有する無機バンク149を形成することができる。具体的には、画素電極141及び第2層間絶縁膜240を覆うように酸化シリコン膜を形成した後、公知のフォトリソグラフィ技術を用いて画素電極141上の所定領域(図に符号141aで示す領域)の酸化シリコン膜を選択除去し、画素電極141の表面を部分的に露出させる。」
「【図23】
[図:0001404155000005.jpg]
」

イ 引用発明の認定

(ア) 引用文献6の段落【0119】、【図18】及び【図19】から、半導体膜210、駆動用TFT143、ゲート絶縁膜220、第1層間絶縁膜230、凸状部240aを形成する第2層間絶縁膜240、有機機能層140、隔壁(第1隔壁層)149及び隔壁(第2隔壁層;仕切部材)150が設けられた基板10が読み取れる。

(イ) 引用文献6の【図18】及び【図19】から、画素電極141は、絶縁膜240に対して基板10とは反対側に形成された電極層であることが読み取れる。

(ウ)a 引用文献6の【図17】(b)、【図18】及び【図19】から、画素電極141の形成領域と、隣接する画素電極141の形成領域の間の画素電極141が形成されない領域があることが読み取れる。

b また、引用文献6の【図18】及び【図19】から、第2層間絶縁膜240において、凸状部240aの形成領域と、隣接する凸状部240aの形成領域の間の凸状部240aが形成されない領域があることが読み取れる。

c そして、引用文献6の段落【0118】の「画素電極141は、周囲を取り囲む凸状部240aに乗り上げるようにして形成される。」との記載と、【図18】及び【図19】から、画素電極141は、凸状部240aの形成領域と凸状部240aが形成されない領域の両方において形成されていることが読み取れる。

d 引用文献6の【図18】及び【図19】から、凸状部240aの基板10側とは反対側の面の高さが、凸状部240aが形成されない領域に形成された画素電極141の基板10側の面の高さより大きいことが読み取れる。

(エ) 引用文献6の段落【0113】には、「図17は、本実施形態の有機EL装置1に備えられた各画素領域Aの平面構造を示す図である。」という記載と、「図18は、図17(a)のX-X線に沿う断面構成を示しており、図19は、同Y-Y線に沿う断面構成を示している。」という記載がある。

そして、図17に示された各画素領域Aはマトリックス状に配置されているところ、図18及び図19の断面構成は、一つの画素におけるものであるが、隣接する画素においても同様の構成であることは明らかであるから、隣接する二つの画素でみた場合、第2層間絶縁膜240の凸状部240aは、(前記断面において)台形状に形成されていることが読み取れる。

また、【図18】及び【図19】から、その台形状の凸状部240aの両側の斜面が平滑な面であることが読み取れる。

(オ) 前記アの記載事項及び前記(ア)~(エ)の認定事項を総合すると、引用文献6には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

<引用発明>

「半導体膜210、駆動用TFT143、ゲート絶縁膜220、第1層間絶縁膜230、凸状部240aを形成する第2層間絶縁膜240、有機機能層140、隔壁(第1隔壁層)149及び隔壁(第2隔壁層;仕切部材)150が設けられた基板10であって、(前記(ア)の認定事項)
基板10上に駆動用TFT143が設けられており、さらに、駆動用TFT143等を覆って形成された絶縁膜240上には、有機EL素子200が形成され、有機EL素子200は、基板10上に立設された第2隔壁層150に囲まれる領域内に設けられた有機機能層140を主体としてなり、この有機機能層140を画素電極141と共通電極154との間に挟持した構成を備え、(【0114】)
前記有機EL素子200は、前記画素電極141上に、正孔注入層(電荷輸送層)140A及び発光層140Bを積層し、さらに発光層140Bと隔壁150とを覆う共通電極154を形成することにより構成され、(【0121】)
画素電極141は、絶縁膜240に対して基板10とは反対側に形成された電極層であり、(前記(イ)の認定事項)
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画素電極141の形成領域と、隣接する画素電極141の形成領域の間に画素電極141が形成されない領域があり、(前記(ウ)aの認定事項)
隔壁150は、画素電極141の形成領域に対応した平面視略矩形状の区画領域151を有しており、この区画領域151の内側に先の有機機能層140が形成されるようになっており、区画領域151の内周に沿って無機隔壁149(第1隔壁層)の一部が延出されており、無機隔壁149の開口部内では有機機能層140と画素電極141とが接触するようになっており、(【0115】)
駆動用TFT143は、半導体膜210に形成されたソース領域143a、ドレイン領域143b、及びチャネル領域143cと、半導体膜表面に形成されたゲート絶縁膜220、およびゲート電極143Aとから構成され、この上には、半導体膜210及びゲート絶縁膜220を覆う第1層間絶縁膜230が形成されており、この第1層間絶縁膜230及びゲート絶縁膜220には、これらを貫通して半導体膜210に達するコンタクトホール232,234があり、(【0116】)
第1層間絶縁膜230上には、さらに第2層間絶縁膜240が形成されており、この第2層間絶縁膜240のうち、信号線132やドレイン電極236等を覆う部分が上方へ突出し、凸状部240aを形成し、この凸状部240aは、画素電極141を平面的に取り囲む走査線131や信号線132等に対応して有機機能層140を取り囲む平面視略矩形枠状を成しており、(【0117】)
前記第2層間絶縁膜240の凸状部240aは、その両側の斜面が平滑な面である台形状に形成されており、(前記(エ)の認定事項)
前記第2層間絶縁膜240において、凸状部240aの形成領域と、隣接する凸状部240aの形成領域の間の凸状部240aが形成されない領域があり、(前記(ウ)bの認定事項)
画素電極141は、周囲を取り囲む凸状部240aに乗り上げるようにして形成され、凸状部240aの形成領域と凸状部240aが形成されない領域の両方において形成されており、凸状部240aの基板10側とは反対側の面の高さが、凸状部240aが形成されない領域に形成された画素電極141の基板10側の面の高さより大きいものとされており(【0118】、前記(ウ)c及びdの認定事項)
前記第2層間絶縁膜240に貫設されたコンタクトホール240bに画素電極11の一部が埋設され、コンタクトホール240bを介して画素電極141とドレイン電極236とが接続され、駆動用TFT143と画素電極141とが電気的に接続され、(【0118】)
隔壁(第1隔壁層)149は、凸状部240aに一部乗り上げて形成された画素電極141の一部を覆い、かつ凸状部240aに被さるように形成され、このようにすることによって、隔壁149は、凸状部240a側方の斜面形状に倣う斜面部149aを画素電極141上に有するようになり、無機材料からなる隔壁149上には、有機材料からなる隔壁(第2隔壁層)150が積層され、無機隔壁149とともに有機EL装置における仕切部材を形成し、この隔壁150の画素電極141側の側壁面に囲まれる領域が区画領域151となる、(【0119】)
基板10。」

(2) 引用文献1に記載された事項、周知技術Aの認定

ア 引用文献1に記載された事項

当審拒絶理由で引用された前記引用文献1には、以下の事項が記載されている。括弧書きで続けて記載した翻訳文は当合議体によるものである。

「[0031] Referring to FIGS. 2 and 3, the organic light-emitting display apparatus 1 includes a thin film transistor TFT disposed on a display area of a substrate 10, a via insulating layer 17 covering the thin film transistor TFT, a pixel electrode 210 disposed on the via insulating layer 17 and electrically connected to the thin film transistor TFT, and a pixel defining layer 19 partially covering the pixel electrode 210. The via insulating layer 17 may be referred to as a first insulating layer 17.
… (中略) …。
[0036] The via insulating layer 17 covering the thin film transistor TFT may be disposed over the thin film transistor TFT. The via insulating layer 17 may provide a planarized upper surface to a subsequent process. The via insulating layer 17 may have a single-layered structure or a multi-layered structure including an organic material. However, the present invention is not limited thereto. For example, the via insulating layer 17 may have a composite stack structure including an inorganic insulating layer and an organic insulating layer.
[0037] The via insulating layer 17 includes a via hole VIA, a flat portion 17a having a first thickness t1, and a barrier wall 17b protruding from the flat portion 17a to a second thickness t2. The shape of the barrier wall 17b of the via insulating layer 17 may be similar to that of the pixel electrode 210, in a plan view. A thickness of the barrier wall 17b of the via insulating layer 17 is greater than that of the pixel defining layer 19. In an exemplary embodiment, the thickness of the barrier wall 17b may be sufficient to prevent damage to the pixel electrode 210 due to a mask during a deposition process using a fine metal mask (FMM) for forming an organic emission layer in each of the pixels emitting light of different colors, and thus, the reliability of the deposition process may be increased. For example, the second thickness t2 of the barrier wall 17b may be about 3μm to about 4μm.」

([0031] 図2及び図3を参照すると、有機発光表示装置1は、基板10の表示領域上に配置された薄膜トランジスタTFTと、薄膜トランジスタTFTを覆うビア絶縁層17と、ビア絶縁層17上に配置され、薄膜トランジスタTFTと電気的に接続された画素電極210と、画素電極210を部分的に覆う画素定義層19を含む。ビア絶縁層17は、第1絶縁層17と称してもよい。

… (中略) …。

[0036] 薄膜トランジスタTFT上には、薄膜トランジスタTFTを覆うビア絶縁層17が配置される。ビア絶縁層17は、平坦化された上面を後続工程に提供することができる。ビア絶縁層17は、有機物を含む単層構造又は多層構造を有することができる。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ビア絶縁層17は、無機絶縁層及び有機絶縁層を含む複合積層構造を有することができる。

[0037] ビア絶縁層17は、ビアホールVIAと、第1の厚さt1を有する平坦部17aと、平坦部17aから第2の厚さt2まで突出する隔壁17bを含む。平面視において、ビア絶縁層17の隔壁17bの形状は、画素電極210の形状と相似であってもよい。ビア絶縁膜17の隔壁17bの厚さは画素定義膜19の厚さより厚い。隔壁17bの厚さは、互いに異なる色を発光する画素ごとに有機発光層を形成するためのファインメタルマスク(FMM:Fine Metal Mask)を用いた蒸着工程時に、マスクによる画素電極210の損傷を防止するのに十分な厚さであり、蒸着工程の信頼性を向上させることができる。例えば、隔壁17bの第2の厚さt2は約3μm~約4μmであり得る。)

「FIG.3
[図:0001404155000006.jpg]
」

イ 周知技術Aの認定

引用文献1の前記アの摘記箇所の記載に例示されるように、次の事項は周知技術であると認める(以下「周知技術A」という。)。

<周知技術A>

「有機発光表示装置において、薄膜トランジスタTFTと画素電極を接続する絶縁層のビアホールを、絶縁層の隔壁部でなく平坦部に設けること。」

(3) 引用文献7に記載された事項、周知技術Bの認定

ア 引用文献7に記載された事項

当審拒絶理由で引用された前記引用文献7には、以下の事項が記載されている。

「【0016】
まず本発明の有機ELディスプレイパネルに付き説明する。
図3は、本発明の有機ELディスプレイパネルの第1の形態である。図3(a)は画素部の平面図であり、図3(b)はAB断面図である。図3に示す構造は、補助電極を各サブピクセルの間に配置し、サブピクセル長辺方向に配線したものであり、配線抵抗低減を重視したものである。
【0017】
透明基板上には、TFT(薄膜トランジスタ)とそれを包み込んで全体を平坦化する平坦化樹脂20が設けられている。平坦化樹脂20は、必要に応じて、無機のパッシベーション膜で覆われていてもよい。平坦化樹脂20又はパッシベーション膜の上に反射電極22の密着性を良くする反射電極下地層21を介して、反射電極22が形成されている。透明基板、TFT、平坦化樹脂、としては通常、有機ディスプレイパネルの透明基板、TFT、平坦化樹脂に用いられるものはいずれも用いることができる。各画素へのTFTからの配線は、平坦化樹脂に設けられたコンタクトホールを介して設置される。無機パッシベーション膜も有機ディスプレイパネルに用いられるものはいずれも用いることができ、SiO2、SiN、SiONなどの単層もしくは積層体を例示できる。」
「【図3】
[図:0001404155000007.jpg]
」

イ 周知技術Bの認定

引用文献7の前記アの摘記箇所の記載に例示されるように、次の事項は周知技術であると認める(以下「周知技術B」という。)。

<周知技術B>

「有機ELディスプレイパネルにおいて、平坦化樹脂の上に画素電極の密着性を良くする下地層を介して、画素電極を形成すること。」

2 対比

(1) 対比分析

本願発明と引用発明を対比する。

ア(ア) 引用発明の「基板10」は、本願発明の「ベース基板」に相当する。

(イ) 引用発明において、「基板10上に駆動用TFT143が設けられており」、「駆動用TFT143は、半導体膜210に形成され」、「半導体膜210」「を覆う第1層間絶縁膜230が形成されており」、「第1層間絶縁膜230上には、さらに第2層間絶縁膜240が形成されて[いる]」から、引用発明の「第1層間絶縁膜230」及び「第2層間絶縁膜240」は、基板10の上面側に形成されており、本願発明の「前記ベース基板上の絶縁層」に相当する。

(ウ) 引用発明の「画素電極141」は、絶縁膜240に対して基板10とは反対側に形成された電極層であり、また表示基板において画素が複数あることは明らかであるから、本願発明の「前記絶縁層の前記ベース基板から遠い側にあり且つ複数の電極ブロックを含む電極層」に相当する。

(エ) よって、(ア)~(ウ)をまとめると、本願発明と引用発明は、「ベース基板と、前記ベース基板上の絶縁層と、前記絶縁層の前記ベース基板から遠い側にあり且つ複数の電極ブロックを含む電極層とを含[む]」点において一致する。

イ(ア) 前記ア(ウ)で示したとおり、引用発明の「画素電極141」は、複数の画素毎に形成されているから、本願発明の「複数の電極ブロック」に相当する。

(イ) 引用発明の「画素電極141の形成領域」、「隣接する画素電極141の形成領域の間の画素電極141が形成されない領域」は、前記(ア)を踏まえると、それぞれ本願発明の「複数の電極ブロックに対応する電極ブロック領域」、「電極ブロック領域の外部の電極ブロック間領域」に相当する。

(ウ) よって、本願発明と引用発明は、「表示基板は、前記複数の電極ブロックに対応する電極ブロック領域と、前記電極ブロック領域の外部の電極ブロック間領域とを有[する]」点において一致する。

ウ(ア) 引用発明の「第1層間絶縁膜230」及び「凸状部240aを形成する第2層間絶縁膜240」は、前記ア(イ)において説示したとおり、基板10上に設けられているところ、これらの絶縁膜を一体としてみた場合、所定の厚さを有しているから、基板10側とは反対側の面と、基板10側の面の両面を有していることは明らかである。

(イ) そして、引用発明の「絶縁膜230」及び「絶縁膜240」の基板10側とは反対側の面、及び、「絶縁膜230」及び「絶縁膜240」の基板10側の面は、それぞれ本願発明の「ベース基板から遠い第1の側面」及び「第1の側面に対向し且つベース基板から近い第2の側面」に相当する。

(ウ) よって、本願発明と引用発明は、「前記絶縁層は、前記ベース基板から遠い第1の側面と、前記第1の側面に対向し且つ前記ベース基板から近い第2の側面とを有[する]」点において一致する。

エ(ア) 引用発明の「画素電極141」は、絶縁膜240に対して基板10とは反対側に形成された電極層であり、所定の厚さを有しているから、基板10側とは反対側の面と、基板10側の面の両面を有していることは明らかである。

(イ) そして、引用発明の「画素電極141」の基板10側とは反対側の面、及び、「画素電極141」の基板10側の面は、それぞれ本願発明の「ベース基板から遠い第3の側面」及び「第3の側面に対向し且つ前記ベース基板から近い第4の側面」に相当する。

(ウ) また、前記ア(ウ)で示したとおり、引用発明の「画素電極141」は、複数の画素毎に形成されているから、「複数の電極ブロック」に相当する。

(エ) よって、本願発明と引用発明は、「前記複数の電極ブロックの各々は、前記ベース基板から遠い第3の側面と、前記第3の側面に対向し且つ前記ベース基板から近い第4の側面とを有[する]」点において一致する。

オ(ア) 引用発明の「第2層間絶縁膜240」の「凸状部240a」は、本願発明の「突起部」に相当する。

(イ) また、引用発明の「凸状部240a」は、その両側の斜面が平滑な面である台形状に形成されており、第1層間絶縁膜230及び第2層間絶縁膜240は基板10上に設けられているから、凸状部240aは、基板10から離れる方向に延長されると狭くなり、両側にそれぞれ二つの平滑な面が形成されているものといえる。

(ウ) よって、本願発明と引用発明は、「前記絶縁層は、前記ベース基板から離れる方向に延長されると狭くなり、両側にそれぞれ2つの平滑な面が形成される突起部を有[する]」点において一致する。

カ(ア) 引用発明の「半導体膜210、駆動用TFT143、ゲート絶縁膜220、第1層間絶縁膜230、凸状部240aを形成する第2層間絶縁膜240、有機機能層140、隔壁(第1隔壁層)149及び隔壁(第2隔壁層;仕切部材)150が設けられた基板10」は、表示機能を有する基板であるといえるから、本願発明の「表示基板」に相当する。

(イ) 引用発明の「有機EL素子200」は、有機機能層140を画素電極141と共通電極154との間に挟持した構成を備えるものであるから、本願発明の「発光ダイオード」に相当する。

(ウ) また、前記ア(ウ)で示したとおり、引用発明の「画素電極141」は、複数の画素毎に形成されているのであるから、複数の有機EL素子200が形成されていることも明らかである。

(エ) よって、本願発明と引用発明は、「表示基板は、複数の発光ダイオードを含む発光ダイオード表示基板であ[る]」点において一致する。

キ(ア) 引用発明においては、有機EL素子200は、画素電極141上に、正孔注入層(電荷輸送層)140A及び発光層140Bを積層し、さらに発光層140Bと隔壁150とを覆う共通電極154を形成することにより構成されており、画素電極141と発光層140Bの間に正孔注入層(電荷輸送層)140Aが形成されているから、引用発明の「画素電極141」は本願発明の「アノード」に相当する。

(イ) また、前記イ(ア)で示したとおり、引用発明の「画素電極141」は本願発明の「電極ブロック」に相当する。

(ウ) よって、本願発明と引用発明は、「前記複数の電極ブロックは、前記複数の発光ダイオードにおいて光放出を駆動するための複数のアノードであ[る]」点において一致する。

ク(ア) 前記第4において判断したとおり、本願発明の「平坦化層」の意味は明らかでないが、当該「平坦化層」の意味を、仮に請求人が意見書において主張する、「電極及び画素限定層を担持する」機能を奏するものであるとして以下検討する。

(イ) 前記イ(ア)で示したとおり、引用発明の「画素電極141」は本願発明の「複数の電極ブロック」に相当する。

(ウ) 引用発明の「隔壁(第1隔壁層)149」は、その開口部内で有機機能層140と画素電極141とが接触しており、その開口部内でのみ発光して、その発光箇所が画素すなわちピクセルとなると認められるから、本願発明の「ピクセル限定層」に相当する。

(エ) 引用発明の「第2層間絶縁膜240」は、その上に「画素電極141」や「隔壁(第1隔壁層)149」が形成され、前記(イ)及び(ウ)を踏まえると、「電極及び画素限定層を担持する」ものといえるから、本願発明の「平坦化層」に相当する。

(オ) よって、本願発明と引用発明は、「前記絶縁層は、平坦化層であ[る]」点において一致する。

ケ(ア) 引用発明においては、隔壁(第1隔壁層)149は、凸状部240aに被さるように形成され、隔壁149上には、隔壁(第2隔壁層)150が積層され、隔壁149とともに有機EL装置における仕切部材を形成するものである。

(イ) 前記ク(ウ)で検討したとおり、引用発明の「隔壁(第1隔壁層)149」は、本願発明の「ピクセル限定層」に相当する。

(ウ) 引用発明の「隔壁(第2隔壁層)150」は、隔壁149とともに有機EL装置における仕切部材を形成するものであるから、本願発明の「スペーサー層」に相当する。

(エ) また、引用発明の「凸状部240a」は、本願発明の「電極ブロック間領域」に相当する画素電極141が形成されない領域を含むものであり、当該領域においても、隔壁(第1隔壁層)149」及び「隔壁(第2隔壁層)150」は積層されている。

(オ) よって、前記(ア)~(エ)を踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記表示基板は、前記平坦化層の前記ベース基板から遠い側におけるピクセル限定層と、前記ピクセル限定層の前記平坦化層から遠い側におけるスペーサー層とを更に含み」、「前記ピクセル限定層と、前記スペーサー層とが、前記電極ブロック間領域内にあり、前記突起部に重なって設けられ[る]」点において一致する。

(2) 一致点及び相違点

前記(1)の対比分析の検討結果を総合すると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次に示すとおりである。

ア 一致点

表示基板であって、

ベース基板と、

前記ベース基板上の絶縁層と、

前記絶縁層の前記ベース基板から遠い側にあり且つ複数の電極ブロックを含む電極層と

を含み、

前記表示基板は、前記複数の電極ブロックに対応する電極ブロック領域と、前記電極ブロック領域の外部の電極ブロック間領域とを有し、

前記絶縁層は、前記ベース基板から遠い第1の側面と、前記第1の側面に対向し且つ前記ベース基板から近い第2の側面とを有し、

前記複数の電極ブロックの各々は、前記ベース基板から遠い第3の側面と、前記第3の側面に対向し且つ前記ベース基板から近い第4の側面とを有し、

前記絶縁層は、前記ベース基板から離れる方向に延長されると狭くなり、両側にそれぞれ2つの平滑な面が形成される突起部を有し、

前記表示基板は、複数の発光ダイオードを含む発光ダイオード表示基板であり、

前記複数の電極ブロックは、前記複数の発光ダイオードにおいて光放出を駆動するための複数のアノードであり、

前記絶縁層は、平坦化層であり、

前記表示基板は、前記平坦化層の前記ベース基板から遠い側におけるピクセル限定層と、前記ピクセル限定層の前記平坦化層から遠い側におけるスペーサー層とを更に含み、

前記ピクセル限定層と、前記スペーサー層とが、前記電極ブロック間領域内にあり、前記突起部に重なって設けられる、

表示基板、である点。

イ 相違点

本願発明においては、

「突起部は、前記ベース基板の表面に対する前記複数の電極ブロックのうち隣接する電極の第4の側面の第2の高さよりも大きい前記ベース基板の表面に対する第1の高さを有し」、

「前記電極ブロック領域における前記絶縁層の第1の側面は、前記ベース基板の表面に対する前記複数の電極ブロックのうち隣接する電極の第4の側面の第2の高さよりも小さい前記ベース基板の表面に対する第3の高さを有し、前記電極ブロック領域における前記絶縁層の前記第1の側面は、中間構造で前記複数の電極ブロックのうち隣接する電極の前記第4の側面に接続され」、

「前記第1の高さL1は、第2の高さL2より約1.0μm乃至約1.5μm、約1.5μm乃至約2.0μm、又は、約2.0μm乃至約2.5μmだけ大きく、
前記第1の高さL1は、第3の高さL3より約1.0μm乃至約1.5μm、約1.5μm乃至約2.0μm、又は、約2.0μm乃至約2.5μmだけ大きく」、

「前記第1の高さL1と前記第2の高さL2との差が、前記第1の高さL1と前記第3の高さL3との差よりも小さい」のに対して、

引用発明においては、

画素電極141は、周囲を取り囲む凸状部240aに乗り上げるようにして形成され、凸状部240aの形成領域と凸状部240aが形成されない領域の両方において形成されており、凸状部240aの基板10側とは反対側の面の高さが、凸状部240aの形成領域に形成された画素電極141の基板10側の面の高さより大きいものでなく、

画素電極141と第2層間絶縁膜240が中間構造で接続されておらず、

凸状部240aの基板10側とは反対側の面の高さと、画素電極141の基板10側の面の高さの差、及び、凸状部240aの基板10側とは反対側の面の高さと、凸状部240aが形成されない第2層間絶縁膜240の基板10側とは反対側の面の高さの差が、具体的にどの程度であるか不明な点。

3 判断

(1) 相違点について

前記相違点について検討する。

ア 引用文献6の【0129】における、「画素電極141及び第2層間絶縁膜240を覆うように酸化シリコン膜(当審注:無機隔壁149のこと。)を形成した後、公知のフォトリソグラフィ技術を用いて画素電極141上の所定領域(図に符号141aで示す領域)の酸化シリコン膜を選択除去し、画素電極141の表面を部分的に露出させる。」という記載、及び、【図23(d)】に示された構成を参酌するに、引用発明において、画素電極141の表面を部分的に露出させた後の無機隔壁149と重なる画素電極141の部分(例えば、凸状部240aの上)は、無機隔壁149によって覆われてしまうため、画素電極141として機能しない部分といえる。

そうすると、引用発明において、「画素電極141」を、「凸状部240a」の上に形成するかしないかは、当業者が適宜に定める設計事項であり、後者のようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。

イ また、引用発明において、「画素電極141」を「凸状部240a」の上に形成しないようにするには、駆動用TFT143のドレイン電極236と画素電極141を接続するコンタクトホール240bを、「凸状部240a」が形成されていない領域に配置する必要があるところ、前記1(2)イにおいて周知技術Aとして示したように、有機発光表示装置において、薄膜トランジスタTFTと画素電極を接続する絶縁層のビアホールを、絶縁層の隔壁部でなく平坦部に設けることは周知であるから、引用発明において、コンタクトホール240bの位置を「凸状部240a」が形成されていない領域に配置して、「画素電極141」を「凸状部240a」の上に形成しないようにすることは当業者にとって適宜なし得ることである。

ウ そして、本願発明の「電極ブロック」に相当する引用発明の「画素電極141」を、「凸状部240a」が形成されていない領域のみに形成した場合、本願発明の「突起部」に相当する引用発明の「凸状部240a」の高さは、本願発明の「画素ブロック」の「第4の側面」に相当する、「画素電極141」の基板10側の面よりも高い位置になることは明らかである。

エ そうすると、前記1(3)イにおいて周知技術Bとして示したように、有機ELディスプレイパネルにおいて、平坦化樹脂の上に画素電極の密着性を良くする下地層を介して、画素電極を形成することは周知であるから、引用発明の「絶縁膜240」と「画素電極141」の間に、密着性を良くする下地層、すなわち、中間構造を設け、本願発明の「電極ブロック領域における前記絶縁層の第1の側面」に相当する、引用発明の「凸状部240a」が形成されない「絶縁膜240」の基板10側とは反対側の面の高さを、「画素電極141」の基板10側の面の高さより小さくすることに、格別困難性があるものでない。

オ また、引用発明において、凸状部240aの基板10側とは反対側の面の高さと、画素電極141の基板10側の面の高さの差、及び、凸状部240aの基板10側とは反対側の面の高さと、凸状部240aが形成されない第2層間絶縁膜240の基板10側とは反対側の面の高さの差をどの程度とするかは、各層において所望の機能が奏されるように、当業者が適宜に定める設計事項にすぎない。

カ よって、引用発明において、前記相違点に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

キ そして、本願発明の奏する作用効果は、引用発明、周知技術A及びBから予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

ク したがって、本願発明は、引用発明、周知技術A及びBに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2) 請求人の主張について

ア 請求人の主張内容

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請求人は、意見書において、概略、次の(ア)及び(イ)の主張をしている。

(ア) 引用文献1、引用文献6及び引用文献7は、本願発明の次に示す技術的特徴を開示しておらず、また何らの技術示唆も示していない。

「前記第1の高さL1は、第2の高さL2より約1.0μm乃至約1.5μm、約1.5μm乃至約2.0μm、又は、約2.0μm乃至約2.5μmだけ大きく、
前記第1の高さL1は、第3の高さL3より約1.0μm乃至約1.5μm、約1.5μm乃至約2.0μm、又は、約2.0μm乃至約2.5μmだけ大きく、
前記第1の高さL1と前記第2の高さL2との差が、前記第1の高さL1と前記第3の高さL3との差よりも小さい」

(イ) 本願発明は、高さL1と高さL2との差、高さL1と高さL3との差の複数の範囲を限定し、「突起」の高さ及び「中間構造」の高さを設置する時に範囲の選択肢を豊かにして各種の有効な不均一な高さを有する絶縁層を設置することができ、エッチングでは、絶縁層突起部分のエッチングする必要のある導電性材料が少なくなり、導電性材料の残留物が残る可能性が解消されるという有利な効果を奏する。

イ 請求人の主張についての検討

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請求人の前記主張(ア)に示した技術的特徴については、その範囲としたことよる臨界的意義があるとは認められないから、前記(1)オで示したとおり、当業者が適宜に定める設計事項にすぎない。

また、前記主張(イ)を参酌しても、本願発明の構成である「前記第1の高さL1は、第2の高さL2より約1.0μm乃至約1.5μm、約1.5μm乃至約2.0μm、又は、約2.0μm乃至約2.5μmだけ大きく」は、「前記第1の高さL1は、第2の高さL2より約1.0μm乃至約2.5μmだけ大きく」を意味することにほかならず、選択肢を豊かにするという請求人の主張は採用できない。第3の高さL3に関する構成についても同様である。

そして、絶縁層突起部分のエッチングする必要のある導電性材料を少なくすることについても、エッチング層の厚さ(高さ)を必要以上に大きくしないようにする程度のことは、当業者が通常配慮すべき範囲内のものである。

したがって、請求人の主張は、前記(1)の結論を左右するものではない。

4 小括

したがって、本願発明は、引用発明、周知技術A及びBに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

第6 むすび

以上のとおり、本願の請求項1の記載は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。

また、本願発明は、引用発明、周知技術A及びBに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-008342

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