2022-008174
空気調和機
- 審判番号
- 2022-008174
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-557445外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年05月31日
- 審決日
- 2022年12月21日
- 公報発行日
- 2023年01月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】三菱電機株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人深見特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (F25B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 18項目
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)11月28日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりのものである。
令和2年12月 8日 手続補正書の提出
令和3年12月 6日付け 拒絶理由通知
令和4年 2月 2日 意見書、手続補正書の提出
令和4年 3月23日付け 拒絶査定
令和4年 5月31日 審判請求書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和4年3月23日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願の請求項1-6に係る発明は、以下の引用例1-5に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2010-216692号公報
2.特開2014-9827号公報
3.国際公開第2015/059832号
4.特開2016-95094号公報
5.特開平2-85647号公報
第3 本願発明
本願の請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、令和4年2月2日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、前記圧縮機に接続された流路切換弁と、前記流路切換弁に接続された第1熱交換部と、第2熱交換部とを含む室外熱交換器と、続きを表示(全22行)前記第1熱交換部および前記第2熱交換部に接続された流路案内装置と、前記第2熱交換部および前記流路案内装置に接続された膨張弁と、前記流路切換弁および前記流路案内装置に接続された室内熱交換器とを備え、前記流路切換弁は、暖房運転時に前記圧縮機から吐出された前記冷媒を前記室内熱交換器に流し、冷房運転時に前記圧縮機から吐出された前記冷媒を前記室外熱交換器に流すように前記冷媒の流れを切換えるように構成されており、前記流路案内装置は、前記暖房運転時に前記室内熱交換器から流入した前記冷媒を前記第2熱交換部に流すとともに前記第2熱交換部を経由して前記膨張弁から流入した前記冷媒を前記第1熱交換部に流し、前記冷房運転時に前記第1熱交換部から流入した前記冷媒を前記第2熱交換部に流すとともに前記第2熱交換部を経由して前記膨張弁から流入した前記冷媒を前記室内熱交換器に流すように前記冷媒の流れを導くように構成されており、前記第2熱交換部は、前記第1熱交換部の下部に当接しており、かつ前記第1熱交換部の真下に配置されている、空気調和機。【請求項2】前記第1熱交換部と前記第2熱交換部とは一体構造に構成されている、請求項1に記載の空気調和機。【請求項3】前記第1熱交換部と、前記第2熱交換部と、前記室内熱交換器との各々は、前記冷媒が流れる管内流路が設けられた配管を含み、前記第2熱交換部の前記配管に設けられた前記管内流路の第1の等価直径は、前記第1熱交換部の前記配管に設けられた前記管内流路の第2の等価直径および前記室内熱交換器の前記配管に設けられた前記管内流路の第3の等価直径の少なくともいずれかよりも小さい、請求項1または2に記載の空気調和機。【請求項4】前記流路案内装置と前記室内熱交換器とを接続する接続配管をさらに備え、前記接続配管は、圧力降下部を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の空気調和機。【請求項5】前記流路案内装置は四方弁である、請求項1~4のいずれか1項に記載の空気調和機。【請求項6】前記流路案内装置は逆止弁ブリッジ回路である、請求項1~4のいずれか1項に記載の空気調和機。」
第4 引用例
1.引用例1
原査定に引用され、本願の出願前に頒布された引用例1には、「冷暖房空調システムの室外機用熱交換装置」に関して図面とともに次の事項が記載されている(下線は、理解の一助のために当審が付与した。以下同様。)。
(1)引用例1の記載
ア「【0001】
この発明は、冷暖房空調システムの室外機用熱交換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、冷暖房空調システムの室外機用熱交換器においては、暖房運転時に、外気の温度が低下すると、室外機用熱交換器に霜が付着して、通風量の低下及び熱交換量の低下をきたすため、除霜する必要があった。そのため、外気通風路に対して風上側と風下側に並設される風上側熱交換器及び風下側熱交換器が室外機用熱交換器として用いられ、暖房時には高温冷媒が風上側熱交換器に流れた後、断熱膨張により低温となった冷媒が風下側熱交換器に流れ、冷房時には高温冷媒が風下側熱交換器、風上側熱交換器の順に流れるようにした冷暖房空調システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。」
イ「【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の冷暖房空調システムにおいては、1台の冷暖房空調システムに2つの電子膨張弁を設ける必要があるため、配管が複雑になると共に、電子膨張弁の制御が複雑になり、かつコストが嵩む等の懸念があった。」
ウ「【0018】
冷暖房空調システムは、外気通風路に対して風上側と風下側に並設される風上側熱交換器11及び風下側熱交換器12からなる室外機用熱交換器10と、風上側熱交換器11の上端に設けられた冷媒流入口18aに接続する冷媒流入管31と、風上側熱交換器11の下端に設けられた冷媒流出口18bに接続する冷媒流出管32と、この冷媒流出管32に介設される膨張機構例えば膨張弁EVと、冷媒流入管31と冷媒流出管32とを接続する互いに並列な第1の分岐管33及び第2の分岐管34と、第1及び第2の分岐管33,34に介設される計4個の逆止弁CV1,CV2,CV3,CV4からなる後述する逆止弁機構40と、第1の分岐管33における2つの逆止弁CV1,CV2の間と風下側熱交換器12の下端の冷媒流出入口18dとを接続する室外側管35と、第2の分岐管34における2つの逆止弁CV3,CV4の間と室内機用熱交換器6(以下に室内側熱交換器6という)とを接続する第1の室内側管36と、を具備する。
【0019】
なお、風下側熱交換器12と室内側熱交換器6とを接続する第2の室内側管37には、風下側熱交換器12側から順に四方弁DVと圧縮機5が介設されており、この四方弁DVの切り換えによって、圧縮機5から吐出される高温・高圧の冷媒が室内機用熱交換器6、又は、室外機用熱交換器10の風下側熱交換器12に流れるようになっている。
【0020】
上記逆止弁機構40は、図1ないし図4に示すように、冷媒流入管31と冷媒流出管32とを接続する互いに並列な第1の分岐管33及び第2の分岐管34のうちの一方、すなわち第1の分岐管33に直列に介設される第1の逆止弁CV1及び第2の逆止弁CV2と、他方の分岐管すなわち第2の分岐管34に直列に介設される第3の逆止弁CV3及び第4の逆止弁CV4の4個の逆止弁によって構成されている。この場合、各逆止弁CV1~CV4は、冷媒流入口18a側から冷媒流出口18b側への流れを阻止すると共に、第1,第2の分岐管33,34内を流れる冷媒の一次側に対して二次側が高圧時には流れを阻止する機能を有している。
【0021】
上記のように形成される逆止弁機構40において、第1の分岐管33における第1の逆止弁CV1と第2の逆止弁CV2の間と風下側熱交換器12の下端の冷媒流出入口18dとが室外側管35によって接続されている。また、第2の分岐管34における第3の逆止弁CV3と第4の逆止弁CV4の間と室内側熱交換器6とが第1の室内側管36によって接続されている。」
エ「【0029】
<冷房運転時>
冷房運転時には、図1及び図3に矢印で示すように、膨張弁EV(膨張機構)を通過し断熱膨張で低圧化された冷媒は、逆止弁機構40の第4の逆止弁CV4を通過し、室内側熱交換器6へ流れ蒸発される。このとき、第2の逆止弁CV2と第3の逆止弁CV3には、弁裏に高圧の冷媒が充満している状態であるので、流路として機能しない(図3参照)。
【0030】
室内側熱交換器6を通過した冷媒は、四方弁DV→圧縮機5→風下側熱交換器12を通過し、室外側管35を介して第1の分岐管33における第1の逆止弁CV1と第2の逆止弁CV2の間に流入する。逆止弁機構40に戻った冷媒は、第1の逆止弁CV1を通過する。このとき、第2の逆止弁CV2と第3の逆止弁CV3は弁の逆止機能が働いて流路として機能しない(図3参照)。
【0031】
第1の逆止弁CV1を通過した冷媒すなわち高温の凝縮液は、風上側熱交換器11の上端の冷媒流入口18aから重力方向(上から下)へ流れる。これにより、風上側熱交換器11はサブクーラとして機能すると共に、風上側熱交換器11の通路抵抗値を最小限に抑制することができるので、運転効率の向上を図ることができる。
【0032】
<暖房運転時>
暖房運転時には、図2に矢印で示すように、膨張弁EV(膨張機構)を通過し断熱膨張で低圧化された冷媒は、逆止弁機構40の第2の逆止弁CV2を通過し、風下側熱交換器12へ流れ蒸発される。このとき、第1の逆止弁CV1と第4の逆止弁CV4には、弁裏に高圧の冷媒が充満している状態であるので、流路として機能しない(図4参照)。
【0033】
風下側熱交換器12を通過した冷媒は、四方弁DV→圧縮機5→室内側熱交換器6を通過し、第1の室内側管36を介して第2の分岐管34における第3の逆止弁CV3と第4の逆止弁CV4の間に流入する。逆止弁機構40に戻った冷媒は、第3の逆止弁CV3を通過する。このとき、第1の逆止弁CV1と第4の逆止弁CV4は弁の逆止機能が働いて流路として機能しない(図4参照)。
【0034】
第3の逆止弁CV3を通過した冷媒すなわち高温の凝縮液は、風上側熱交換器11の上端の冷媒流入口18aから重力方向(上から下)へ流れる。これにより、風上側熱交換器11の通路抵抗値を最小限に抑制することができるので、運転効率の向上を図ることができる。
【0035】
上記のように、この発明に係る室外機用熱交換装置によれば、1つの膨張弁EV(膨張機構)の制御と逆止弁機構40によって、冷房運転時と暖房運転時のいずれにおいても風上側熱交換器11への冷媒の流入方向を一定にすることができるので、配管の簡略化が図れると共に、運転制御を容易にし、かつ運転効率の向上が図れる。」
オ「【図1】
[図:0001392996000001.jpg]
」
カ「【図2】
[図:0001392996000002.jpg]
」
キ 段落【0019】及び図1、2の記載から、四方弁DVが圧縮機5及び風下側熱交換器12に接続される点が理解できる。
ク 段落【0018】及び図1、2の記載から、逆止弁機構40が風下側熱交換器12及び風上側熱交換器11に接続される点が理解できる。
ケ 段落【0018】、【0029】及び図1、2の記載から、膨張弁EV及び風上側熱交換器11が逆止弁機構40に接続される点が理解できる。
コ 段落【0018】、【0019】、【0032】の記載から、室内側熱交換器6が四方弁DV及び逆止弁機構40に接続される点が理解できる。
サ 段落【0018】、【0032】及び図1、2の記載から、暖房運転時には、風上側熱交換器11から流れた冷媒が、膨張弁EVを通過し、第2の逆止弁CV2を通過し、風下側熱交換器12に流れる点が理解できる。
(2)引用発明
上記(1)からみて、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「高温・高圧の冷媒を吐出する圧縮機5と、圧縮機5に接続される四方弁DVと、四方弁DVに接続された風下側熱交換器12と、風上側熱交換器11を含む室外機用熱交換器10と、風下側熱交換器12及び風上側熱交換器11に接続された逆止弁機構40と、膨張弁EV及び風上側熱交換器11に接続された逆止弁機構40と、四方弁DV及び逆止弁機構40に接続された室内側熱交換器6とを備え、暖房運転時には、風下側熱交換器12を通過した冷媒は、四方弁DV→圧縮機5→室内側熱交換器6を通過し、冷房運転時には、室内側熱交換器6を通過した冷媒は、四方弁DV→圧縮機5→風下側熱交換器12を通過し、暖房運転時には、冷媒は、室内側熱交換器6を通過し、第2の分岐管34における第3の逆止弁CV3と第4の逆止弁CV4の間に流入し、逆止弁機構40に戻った冷媒は、第3の逆止弁CV3を通過し、第3の逆止弁CV3を通過した冷媒は、風上側熱交換器11へ流れ、膨張弁EVを通過し、第2の逆止弁CV2を通過し、風下側熱交換器12に流れ、冷房運転時には、冷媒は、風下側熱交換器12を通過し、室外側管35を介して第1の分岐管33における第1の逆止弁CV1と第2の逆止弁CV2の間に流入し、第1の逆止弁CV1を通過した冷媒は、風上側熱交換器11へ流れ、膨張弁EVを通過し、第4の逆止弁CV4を通過し、室内側熱交換器6に流れる、冷暖房空調システム。」
2.引用例2
原査定に引用され、本願の出願前に頒布された引用例2には、「空気調和機」に関して図面とともに次の事項が記載されている。
(1)引用例2の記載
ア「【0001】
この発明は、夏期には冷媒循環による冷房運転を、冬期には冷媒循環による暖房運転と床暖房等の温水循環による温水暖房運転を同時に行う空気調和機に関するものである。」
イ「【0010】
前記室外熱交換器11は多数の薄板状アルミニューム製フィンを銅管で貫通したフィンチューブ式の熱交換器で、冷媒流通経路を上下に分割し、上側冷媒流通経路29は大きく、その下部に比較的小さな下側冷媒流通経路30を設けている。」
ウ「【0020】
冷房運転について説明すれば、冷房運転時には第2膨張弁12bは全開され、第1膨張弁12aは圧縮機9の回転数や冷凍回路の状態に応じて冷凍回路制御部14からの指令に応じた開度で絞られ、圧縮機9から四方弁10を経由して高温の冷媒が上側冷媒流通経路29、第2膨張弁12b、下側冷媒流通経路30へ流れ、凝縮器として作用する高温の上側冷媒流通経路29と下側冷媒流通経路30へ送風ファン13にて外気が送られることで放熱する。その後第1膨張弁12aで減圧され、第2三方弁27から室内熱交換器21へ流れ、室内機6では室内熱交換器21が低温になり室内送風ファン22で熱交換された冷たい空気が室内に吹き出され、冷房が行われる。冷房運転では三方弁26・27によって水-冷媒熱交換器15へは冷媒は流れず、全部の能力は室内機6の冷房運転に使用されるものである。
【0021】
暖房運転について説明すれば、圧縮機9から吐出された冷媒は四方弁10で暖房側に切り替えられ、第1三方弁26で水-冷媒熱交換器15側と室内機6側に振り分けられる。水-冷媒熱交換器15によって温水回路31の温水を加熱して床暖房パネル8内に流れる温水で床暖房が行われると同時に、室内熱交換器21にも高温の冷媒が流れ、室内機6にて温風による暖房が行われる。暖房運転時の三方弁26・27における冷媒の配分は、室内機6と床暖房の温度設定によって異なり、例えば暖房運転の開始時には温風による暖房の方が床暖房に比べ室温上昇が速くできるので、室内機6側の冷媒を多くして運転をし、室温が設定温度まで上昇した時に徐々に床暖房の温水側に冷媒量を多くするような制御が行われる。暖房運転時には第1膨張弁12aは全開され、第2膨張弁12bは圧縮機9の回転数や冷凍回路の状態に応じて冷凍回路制御部14からの指令に応じた開度で絞られ、水-冷媒熱交換15や室内熱交換器21から戻った比較的熱い冷媒が下側冷媒流通経路30を加熱した後、第2膨張弁12bで絞られて減圧することで低温になった冷媒が上側冷媒流通経路29を低温にして空気から吸熱し圧縮機9へ送られる。ここでは、下側冷媒流通経路30によって吐出圧力の上昇を抑えことができるので、圧縮機9の消費電力増加を抑えることができ、高COPを実現できる。また、除霜運転での溶け残りを防止することができ、除霜の効率を向上させることができるものである。」
エ「
[図:0001392996000003.jpg]
」
オ「
[図:0001392996000004.jpg]
」
(2)引用例2に記載の事項
上記(1)からみて、引用例2には、以下の事項(以下、「引用例2記載事項」という。)が記載されている。
「冷媒流通経路を上下に分割し、上側冷媒流通経路29及び下側冷媒流通経路30を設けた室外熱交換器11を備える空気調和機において、暖房運転時には比較的熱い冷媒が下側冷媒流通経路30を加熱した後、第2膨張弁12bで絞られて減圧することで低温になった冷媒が上側冷媒流通経路29を低温にして空気から吸熱し、冷房運転時には高温の冷媒が上側冷媒流通経路29、第2膨張弁12b、下側冷媒流通経路30へ流れ、凝縮器として作用する高温の上側冷媒流通経路29と下側冷媒流通経路30へ送風ファン13にて外気が送られることで放熱すること。」
3.引用例3
原査定に引用され、本願の出願前に頒布された引用例3には、「熱交換器及びその熱交換器を用いた冷凍サイクル装置」に関して図面とともに次の事項が記載されている。
(1)引用例3の記載
ア「[0001] 本発明は、被熱交換流体(例えば空気)の流通方向に対して冷媒の流通する伝熱管を複数列有する熱交換器に関するものである。」
イ「[0028] また、冷媒が流通する際の伝熱管内の圧力損失は、乾き度の増大に伴って増大するが、乾き度が大きくなる第2熱源側熱交換器102の各伝熱管104の水力相当直径(等価直径)の総和を第1熱源側熱交換器101の各伝熱管103の水力相当直径(等価直径)の総和よりも大きくしているため、図4の[3]の曲線に示すように影響の大きい第2熱源側熱交換器102の各伝熱管104での圧力損失の増大を抑制することができる。
したがって、熱源側熱交換器101、102の各伝熱管103、104での冷媒の圧力損失を全体として抑制することができる。」
ウ「[図1]
[図:0001392996000005.jpg]
」
エ「[図4]
[図:0001392996000006.jpg]
」
(2)引用例3に記載の事項
上記(1)からみて、引用例3には、以下の事項(以下、「引用例3記載事項」という。)が記載されている。
「乾き度が大きくなる第2熱源側熱交換器102の各伝熱管104の水力相当直径(等価直径)の総和を第1熱源側熱交換器101の各伝熱管103の水力相当直径(等価直径)の総和よりも大きくすることで、第2熱源側熱交換器102の各伝熱管104での圧力損失の増大を抑制すること。」
4.引用例4
原査定に引用され、本願の出願前に頒布された引用例4には、「熱交換器及び冷凍サイクル装置」に関して図面とともに次の事項が記載されている。
(1)引用例4の記載
ア「【0001】
本発明の実施形態は、熱交換器及び冷凍サイクル装置に関する。」
「【0018】この場合、仕切部材32は、第2流路ブロック34の等価直径が第1流路ブロック33の等価直径に比べて大きくなるように、熱交換チューブ23(冷媒流通孔24)を分割している。本実施形態の仕切部材32は、第1ヘッダ21内において、Y方向の中央部に対して一方側寄りに配設されている。そのため、第2流路ブロック34側の冷媒流通孔24の合計(孔数)が、第1流路ブロック33側の冷媒流通孔24の合計に比べて多くなっている。なお、等価直径とは、各流路ブロック33,34を構成する冷媒流通孔24同士をそれぞれ等価な1つの円管に換算したときの直径である。この場合、等価直径は、流路ブロック33,34の流路断面積をS、流路ブロック33,34の周長をTとした場合に、4S/Tで表さられる。」
イ「【0026】
また、本実施形態では、ガスリッチの気液二相冷媒が流通する第2流路ブロック34の等価直径を、液リッチの気液二相冷媒が流通する第1流路ブロック33の等価直径よりも大きくする構成とした。
この構成によれば、第2流路ブロック34内において、冷媒の圧力損失を低減できる。特に、室内熱交換器7を蒸発器として機能させる場合には、圧縮機2の吸込側の圧力低下を抑制できるので、圧縮機2に掛かる負荷を小さくできる。
また、第1流路ブロック33内において、冷媒の質量速度を増加させることができ、伝熱性能を向上させるとともに、油戻り性を向上させることができる。」
ウ「【図1】
[図:0001392996000007.jpg]
」
エ「【図3】
[図:0001392996000008.jpg]
」
(2)引用例4に記載の事項
上記(1)からみて、引用例4には、以下の事項(以下、「引用例4記載事項」という。)が記載されている。
「ガスリッチの気液二相冷媒が流通する第2流路ブロック34の等価直径を、液リッチの気液二相冷媒が流通する第1流路ブロック33の等価直径よりも大きくすることで、第2流路ブロック34内において、冷媒の圧力損失を低減すること。」
5.引用例5
原査定に引用され、本願の出願前に頒布された引用例5には、「空気調和機」に関して図面とともに次の事項が記載されている。
(1)引用例5の記載
ア「<産業上の利用分野>
本発明は分離型の空気調和機に関するものである。」
(第1頁右下欄第1-3行)
イ「<課題を解決するための手段>
本発明は、圧縮機と冷暖流路切換弁と室内熱交換器と電気式膨脹弁と室外熱交換器とで冷凍サイクルを構成したヒートポンプ式空気調和機において、暖房運転時に室内温度又は室内熱交換器の温度若しくは冷媒圧力が上昇するにつれて室内熱交換器の過冷却度が下がるように前記電気式膨脹弁の弁開度を調整する制御手段を設けたものである。」
(第2頁左上欄第2-10行)
ウ「また、配管長の変化に対して冷房制御を可能とする。先ず予めユニット内に冷媒を多めにチャージし長配管時も現地で追加チャージをさせないとき、その冷媒チャージを極力少なくするためには、配管内の冷媒状態を液ガス二相流とする必要がある。しかし、配管内の圧力を低圧とすると長配管の場合圧力損失の影響が大きい。
この場合、室外ユニットA、室内ユニットBの両方に絞り機構を設け、その内少なくとも一方に電気式膨脹弁4を利用してユニット間配管内を中間圧力とし、長配管時にも圧力損失を極力少なくし、しかも現地での冷媒追加チャージを不要とする。このようにユニット配管内の圧力を電気式膨脹弁4でコントロールし適切な中間圧力とする。このときは、室内側又は室外側のユニオン部のパイプ温度(センサーT5)を検知しそれを圧力換算して電気式膨脹弁4を調節する。」
(第3頁右上欄第7行-左下欄第4行)
エ「第1図
[図:0001392996000009.jpg]
」
(2)引用例5に記載の事項
上記(1)からみて、引用例5には、以下の事項(以下、「引用例5記載事項」という。)が記載されている。
「配管内の冷媒状態を液ガス二相流とし冷凍サイクルへの冷媒チャージを少なくするために、室外ユニットA、室内ユニットBの両方に絞り機構を設け、その内少なくとも一方に電気式膨脹弁4を利用すること。」
第5 対比・判断
1.本願発明1について
本願発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「高温・高圧の冷媒を吐出する圧縮機5」は、本願発明1の「冷媒を圧縮して吐出する圧縮機」に相当する。
引用発明の「四方弁DV」は、本願発明1の「流路切換弁」に相当する。
引用発明の「風下側熱交換器12」、「風上側熱交換器11」、「室外機用熱交換器10」は、それぞれ本願発明1の「第1熱交換部」、「第2熱交換部」、「室外熱交換器」に相当する。
引用発明の「逆止弁機構40」は、本願発明1の「流路案内装置」に相当する。
引用発明の「室内側熱交換器6」は、本願発明1の「室内熱交換器」に相当する。
引用発明における、「暖房運転時には、風下側熱交換器12を通過した冷媒は、四方弁DV→圧縮機5→室内側熱交換器6を通過」することは、本願発明1において、「前記流路切換弁は、暖房運転時に前記圧縮機から吐出された前記冷媒を前記室内熱交換器に流」すことに相当し、引用発明における、「冷房運転時には、室内側熱交換器6を通過した冷媒は、四方弁DV→圧縮機5→風下側熱交換器12を通過」することは、本願発明1において、「流路切換弁」が「冷房運転時に前記圧縮機から吐出された前記冷媒を前記室外熱交換器に流すように前記冷媒の流れを切換える」ことに相当する。
引用発明における、「暖房運転時には、冷媒は、室内側熱交換器6を通過し、第2の分岐管34における第3の逆止弁CV3と第4の逆止弁CV4の間に流入し、逆止弁機構40に戻った冷媒は、第3の逆止弁CV3を通過し、第3の逆止弁CV3を通過した冷媒は、風上側熱交換器11へ流れ、膨張弁EVを通過し、第2の逆止弁CV2を通過し、風下側熱交換器12に流れ」ることは、本願発明1において、「前記流路案内装置は、前記暖房運転時に前記室内熱交換器から流入した前記冷媒を前記第2熱交換部に流すとともに前記第2熱交換部を経由して前記膨張弁から流入した前記冷媒を前記第1熱交換部に流」すことに相当し、引用発明における、「冷房運転時には、冷媒は、風下側熱交換器12を通過し、室外側管35を介して第1の分岐管33における第1の逆止弁CV1と第2の逆止弁CV2の間に流入し、第1の逆止弁CV1を通過した冷媒は、風上側熱交換器11へ流れ、膨張弁EVを通過し、第4の逆止弁CV4を通過し、室内側熱交換器6に流れる」ことは、本願発明1において、「流路案内装置」が「前記冷房運転時に前記第1熱交換部から流入した前記冷媒を前記第2熱交換部に流すとともに前記第2熱交換部を経由して前記膨張弁から流入した前記冷媒を前記室内熱交換器に流すように前記冷媒の流れを導く」ことに相当する。
引用発明の「冷暖房空調システム」は、本願発明1の「空気調和機」に相当する。
したがって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
(一致点)
「冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、前記圧縮機に接続された流路切換弁と、前記流路切換弁に接続された第1熱交換部と、第2熱交換部とを含む室外熱交換器と、前記第1熱交換部および前記第2熱交換部に接続された流路案内装置と、前記第2熱交換部および前記流路案内装置に接続された膨張弁と、前記流路切換弁および前記流路案内装置に接続された室内熱交換器とを備え、前記流路切換弁は、暖房運転時に前記圧縮機から吐出された前記冷媒を前記室内熱交換器に流し、冷房運転時に前記圧縮機から吐出された前記冷媒を前記室外熱交換器に流すように前記冷媒の流れを切換えるように構成されており、前記流路案内装置は、前記暖房運転時に前記室内熱交換器から流入した前記冷媒を前記第2熱交換部に流すとともに前記第2熱交換部を経由して前記膨張弁から流入した前記冷媒を前記第1熱交換部に流し、前記冷房運転時に前記第1熱交換部から流入した前記冷媒を前記第2熱交換部に流すとともに前記第2熱交換部を経由して前記膨張弁から流入した前記冷媒を前記室内熱交換器に流すように前記冷媒の流れを導くように構成されている、空気調和機。」
(相違点)
本願発明1では、「前記第2熱交換部は、前記第1熱交換部の下部に当接しており、かつ前記第1熱交換部の真下に配置されている」のに対し、引用発明では、風上側熱交換器11及び風下側熱交換器12の配置がそのようになっていない点。
以下、相違点について検討する。
まず、引用発明の設計変更について検討する。
本願発明1は、上記相違点に係る発明特定事項を有することで、「第2熱交換部3bが第1熱交換部3aの下部に当接しているため、暖房運転時に第2熱交換部3bに冷媒を流すことにより室外熱交換器3の下方に溜まった結露水の凍結を抑制」(本願明細書の段落【0048】を参照)できるという、引用発明にない効果を奏するものであり、しかもその点は当業者にとって自明な事項でもないから、引用発明において風上側熱交換器11及び風下側熱交換器12の配置を上記相違点に係る本願発明1のように構成することが単なる設計的事項であるとはいえない。
また、引用例1の全体の記載内容からみて、引用発明は、暖房運転時における室外機用熱交換器への霜の付着を防止するために、外気通風路に対して風上側及び風下側に風上側熱交換器11及び風下側熱交換器12を並設した構成を前提としたものであるところ、風上側熱交換器11及び風下側熱交換器12の配置を風上及び風下とする引用発明の位置関係に代えて、上記相違点に係る本願発明事項のように構成することは、上記前提に反するのであるから、むしろ阻害要因があるといわざるを得ないものである。
次に、引用発明への引用例2記載事項の適用について検討する。
引用例1は、1台の冷暖房空調システムに2つの膨張弁を設けることを排除するもの(段落【0006】を参照)である一方で、引用例2は、2つの膨脹弁(第1膨張弁12a、第2膨張弁12b)を設けるものであるから、引用発明に引用例2記載事項を適用することを妨げる事情が存在する。
仮に引用例2記載事項の適用を検討したとしても、上述のとおり、引用発明は上記前提を有するものであるところ、風上側熱交換器11及び風下側熱交換器12の配置を風上及び風下とする引用発明の位置関係に代えて、引用例2記載事項のように室外熱交換器における2つの熱交換部を上下関係(上側冷媒流通経路29、下側冷媒流通経路30)とすることは、上記前提に反するのであるから、阻害要因があるといわざるを得ないものであって、当業者といえども容易に想到し得たこととはいえない。
さらに、上記前提の場合にあったとしても、引用例2記載事項において、上側冷媒流通経路29及び下側冷媒流通経路30は、その双方に送風ファン13にて外気が送られるものであるから(段落【0020】を参照)、上側冷媒流通経路29及び下側冷媒流通経路30に対し風上及び風下の関係性は不明である。よって、引用発明に引用例2記載事項を適用しようとする前提の構成が異なり、かつ課題が共通するものでもなく、当該適用の動機を欠く。
また、引用例2-5記載事項のいずれにも、上記相違点に係る本願発明に相当する構成は、記載も示唆もされていない。
したがって、本願発明1は、引用発明及び引用例2-5記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
2.本願発明2-6について
本願の特許請求の範囲における請求項2-6は、請求項1の記載を他の記載と置き換えることなく引用して記載されたものであるから、本願発明2-6は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものである。
したがって、本願発明2-6は、本願発明1と同様の理由により引用例2-5記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願の請求項1-6に係る発明は、引用例1-5に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえないものである。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-008174