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特許拒絶査定不服審判

2022-007690

オンライン学習システム

審判番号
2022-007690
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-204690外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年05月23日
審決日
2023年06月05日
公報発行日
2023年07月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G06Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-204690「オンライン学習システム」拒絶査定不服審判事件〔請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 19項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、令和3年12月17日の出願であって、その手続の経緯の概略は、以下のとおりである。

令和 3年12月23日付け:拒絶理由通知書
令和 4年 2月 4日 :意見書の提出

同年 2月17日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。)

同年 5月23日 :審判請求書の提出

令和 5年 2月22日付け:拒絶理由通知書

(以下、これに係る拒絶理由を「当審拒絶理由」という。)

同年 4月27日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要

原査定(令和4年2月17日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-8に係る発明は、以下の引用文献A及びBに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧

A.特許第6887710号公報

B.国際公開第2018/225642号(周知技術を示す文献)

第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

本願請求項1、4-8に係る発明は、以下の引用文献1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧

1.特許第6887710号公報(拒絶査定時の引用文献A)

2.国際公開第2018/225642号(拒絶査定時の引用文献B)

第4 本願発明

本願請求項1-8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明8」という。)は、令和5年4月27日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。

【請求項1】

受講者端末からアクセス可能なオンライン学習システムであって、

受講者端末からの配信要求を受け付けてオンライン教材を配信する配信制御部と、

受講者端末により撮影された顔画像に基づいて、前記オンライン教材の配信中に受講者の顔認証を行う認証処理部と、

前記認証処理部において、前記オンライン教材の配信中に受講者の顔認証の失敗が所定の条件を超えて続いた場合、前記受講者による当該オンライン教材の受講は未修了であるものとする受講進捗管理部とを備え、

前記認証処理部は、前記受講者端末により撮影された画像において認識枠で規定された範囲内の画像と認証用画像との対比に基づいて受講者の顔認証を行い、

前記認証用画像は、前記オンライン学習システムへのログイン認証用に登録されたマスター画像と、前記オンライン学習システムへのログイン時に前記受講者端末で撮影された画像と、前記オンライン教材の配信中に前記受講者端末で先に撮影された画像とのうち少なくとも二種類を含み、

前記認証用画像は、前記オンライン学習システムへのログイン認証用に登録されたマスター画像と、前記オンライン学習システムへのログイン時に前記受講者端末で撮影された画像と、前記講義動画の再生中に前記受講者端末で先に撮影された画像とのうち少なくとも二種類を含む画像からランダムに選択される、オンライン学習システム。

【請求項2】

受講者端末からアクセス可能なオンライン学習システムであって、

受講者端末からの配信要求を受け付けてオンライン教材を配信する配信制御部と、

受講者端末により撮影された顔画像に基づいて、前記オンライン教材の配信中に受講者の顔認証を行う認証処理部と、

前記認証処理部において、前記オンライン教材の配信中に受講者の顔認証の失敗が所定の条件を超えて続いた場合、前記受講者による当該オンライン教材の受講は未修了であるものとする受講進捗管理部とを備え、

前記認証処理部は、前記受講者端末により撮影された画像において認識枠で規定された範囲内の画像と認証用画像との対比に基づいて受講者の顔認証を行い、

前記認証用画像は、前記オンライン学習システムへのログイン認証用に登録されたマスター画像と、前記オンライン学習システムへのログイン時に前記受講者端末で撮影された画像と、前記オンライン教材の配信中に前記受講者端末で先に撮影された画像とのうち少なくとも二種類を含み、

前記認証処理部が、前記受講者端末により撮影された画像において認識枠で規定された範囲内の画像における人物の背景部分と、認証用画像における人物の背景部分との対比に基づいて、受講者の顔認証の成否を判断する、オンライン学習システム。

【請求項3】

前記認証処理部が、前記受講者端末で撮影された画像から受講者の視線の向きを検出することにより不適切受講を判断する、請求項1または2に記載のオンライン学習システム。

【請求項4】

前記認証処理部が、前記受講者端末で撮影された画像中の受講者の顔部分の割合を検出することにより不適切受講を判断する、請求項1~3のいずれか一項に記載のオンライン学習システム。

【請求項5】

前記認証処理部が、前記受講者端末で撮影された画像中の受講者の顔の向きを検出することにより不適切受講を判断する、請求項1~4のいずれか一項に記載のオンライン学習システム。

【請求項6】

受講者端末からアクセス可能なオンライン学習システムのコンピュータのプロセッサで実行されるプログラムであって、

前記コンピュータのプロセッサに、

受講者端末からの配信要求を受け付けてオンライン教材を配信する配信処理と、

受講者端末により撮影された顔画像に基づいて、前記オンライン教材の配信中に受講者の顔認証を行う認証処理と、

前記認証処理において、前記オンライン教材の配信中に受講者の顔認証の失敗が所定の条件を超えて続いた場合、前記受講者による当該オンライン教材の受講は未修了であるものとする受講進捗管理処理とを行わせ、

前記認証処理は、前記受講者端末により撮影された画像において認識枠で規定された範囲内の画像と認証用画像との対比に基づいて受講者の顔認証を行い、

前記認証用画像は、前記オンライン学習システムへのログイン認証用に登録されたマスター画像と、前記オンライン学習システムへのログイン時に前記受講者端末で撮影された画像と、前記講義動画の再生中に前記受講者端末で先に撮影された画像とのうち少なくとも二種類を含む画像であり、

前記認証用画像は、前記オンライン学習システムへのログイン認証用に登録されたマスター画像と、前記オンライン学習システムへのログイン時に前記受講者端末で撮影された画像と、前記講義動画の再生中に前記受講者端末で先に撮影された画像とのうち少なくとも二種類を含む画像からランダムに選択される、プログラム。

【請求項7】

受講者端末からアクセス可能なオンライン学習システムのコンピュータのプロセッサで実行されるプログラムであって、

前記コンピュータのプロセッサに、

受講者端末からの配信要求を受け付けてオンライン教材を配信する配信処理と、

受講者端末により撮影された顔画像に基づいて、前記オンライン教材の配信中に受講者の顔認証を行う認証処理と、

前記認証処理において、前記オンライン教材の配信中に受講者の顔認証の失敗が所定の条件を超えて続いた場合、前記受講者による当該オンライン教材の受講は未修了であるものとする受講進捗管理処理とを行わせ、

前記認証処理は、前記受講者端末により撮影された画像において認識枠で規定された範囲内の画像と認証用画像との対比に基づいて受講者の顔認証を行い、

前記認証用画像は、前記オンライン学習システムへのログイン認証用に登録されたマスター画像と、前記オンライン学習システムへのログイン時に前記受講者端末で撮影された画像と、前記講義動画の再生中に前記受講者端末で先に撮影された画像とのうち少なくとも二種類を含む画像であり、

前記認証処理は、前記受講者端末により撮影された画像において認識枠で規定された範囲内の画像における人物の背景部分と、認証用画像における人物の背景部分との対比に基づいて、受講者の顔認証の成否を判断する、プログラム。

【請求項8】

請求項6または7に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

第5 引用文献、引用発明等

1.引用文献1(特許第6887710号公報)について

令和5年2月22日付けの当審拒絶理由に引用された引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている。

ア 「【0001】
本発明は、インターネット等を介したオンライン学習システムに関し、特に、受講者本人が聴講すべき課目(項目)を確実に修了したことを保証可能なシステムに関する。
・・・途中省略・・・
【0007】
本発明によれば、講義動画の再生中に受講者の顔認証を行うことにより、オンライン学習で提供される講義を、本人が最初から最後まで受講したことを保証できるオンライン学習システムを提供できる。このようなオンライン学習システムは、例えば、自動車運転免許証を取得するための学科教習や、各種の資格試験を受験するための前提条件となる講習等に、活用することができる。」
イ 「【0006】
上記の目的を達成するために、本発明のオンライン学習システムは、
受講者端末からアクセス可能なオンライン学習システムであって、
講義動画を記憶する講義データ記憶部と、
受講者端末からの配信要求を受け付け、前記講義データ記憶部に記憶された講義動画を配信する配信制御部と、
受講者端末により撮影された画像に基づいて、前記講義動画の再生中に受講者の顔認証を行う認証処理部と、
前記認証処理部において、前記講義動画の再生中に受講者の顔認証の失敗が所定の条件を超えて続いた場合、前記受講者による当該講義動画の受講は未修了であるものとする受講進捗管理部とを備え、
前記認証処理部は、前記受講者端末により撮影された画像において認識枠で規定された範囲内の画像に基づいて顔認識を行う。」
ウ 「【0011】
図1に示すように、オンライン学習システム100は、インターネット10を介して、受講者端末301a、301b、301c、・・・と、教習所サーバ201a、201b、201c、・・・と接続されている。以降、受講者端末のそれぞれを区別して説明する必要がない場合は、単に「受講者端末301」と表記する。教習所サーバについても同様に、それぞれを区別して説明する必要がない場合は、単に「教習所サーバ201」と表記する。受講者端末301は、オンライン学習システム100を利用して学科教習を受ける受講者が利用する端末である。受講者端末301としては、パーソナルコンピュータ、タブレット、またはスマートフォン等の、インターネット10に接続可能であってWebブラウザを利用可能な端末であれば、任意の端末を利用できる。教習所サーバ201は、道路交通法に基づいて各都道府県の公安委員会が指定した「指定自動車教習所」のそれぞれのサーバである。」
エ 「【0018】
教習所サーバ201は、各教習所において生徒の管理を行うサーバである。教習所サーバ201は、各教習所内に設置されていても良いし、各教習所がアクセス可能なクラウドサーバとして設けられていても良い。教習所サーバ201は、図2に示すように、生徒データ記憶部21、進捗データ管理部22、予約管理部23、通信部26を備えている。生徒データ記憶部21は、その教習所に通う各生徒の情報として、例えば、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、生年月日等の基本情報の他に、学科教習および技能教習のそれぞれの進捗具合や成績等を表す進捗データを記憶する。Web学科教習の利用を申し込んだ生徒については、Web学科教習を利用するためのログインIDおよびパスワードが発行され、それらの情報も生徒データ記憶部21に記憶される。また、Web学科教習を受けるためには、受講中の本人確認のために顔画像を登録しておく必要がある。教習所において、Web学科学習の利用を申し込んだ生徒は、顔認証用の顔画像が撮影され、撮影された顔画像が生徒データ記憶部21に記憶される。あるいは、撮影された顔画像から抽出された認証用特徴データが、生徒データ記憶部21に記憶される。進捗データ受付部22は、生徒が学科教習および技能教習の項目を修了する都度、その情報を受け付けて、教習の進捗データとして管理する。予約管理部23は、教習所における実地の学科教習および技能教習に対する生徒からの予約を管理する。通信部26は、受講者端末301およびオンライン学習システム100との通信を制御する。」
オ 「【0025】
ここで、オンライン学習システム100を利用したWeb学科教習の受講と、受講中の本人確認および進捗確認について説明する。前述したように、教習所の生徒(受講者)は、教習所から付与されたログインIDおよびパスワードの入力と顔認証とを用いて、オンライン学習システム100にログインすることができる。なお、教習所から生徒に付与されたログインIDおよびパスワードは、その教習所の教習所サーバ201の生徒データ記憶部21に記憶されると共に、教習所サーバ201からオンライン学習システム100に送られ、受講者管理部13がアクセス可能なメモリに記憶される。また、オンライン学習中の本人確認のために教習所サーバ201に姓とデータ記憶部21に記憶された顔画像または認証用特徴データも、ログインIDおよびパスワードと共に、オンライン学習システム100に送られ、受講者管理部13がアクセス可能なメモリに記憶される。」
カ 「【0032】
図9は、受講者端末301に配信された講義動画の表示画面の一例である。なお、図9は、受講者端末301が、パーソナルコンピュータやタブレット等のように、比較的大きいディスプレイを有する場合の表示画面例である。 ・・・途中省略・・・
【0033】
また、講義表示ウィンドウ54aの右横に、認証用ウィンドウ54fが表示されている。認証用ウィンドウ54fには、受講者端末301に内蔵されたカメラ33によって撮影された画像が、動画またはコマ送りの静止画として表示される。認証用ウィンドウ54fは、カメラ33によって撮影される範囲を示す。認証用ウィンドウ54fには、認識枠54gが表示されている。認識枠54gは、カメラ33で撮影されて認証用ウィンドウ54fに表示されている画像のうち、オンライン学習システム100に登録されている顔画像とのマッチング対象とされる領域を表している。したがって、受講者は、認識枠54g内に自分の顔が入るようにして、講義動画を視聴する必要がある。」
キ 「【0034】
認証処理部14は、認識枠54g内の画像を一定の時間間隔でサンプリング(キャプチャ)し、受講者の顔画像として登録されている画像または特徴パターンとマッチングを行う。マッチングの結果が一致していれば、認証処理部14は、受講者本人が聴講しているものと判断し、そのマッチングを行った時刻の情報を、受講進捗管理部12へ送る。受講進捗管理部12は、認証処理部14から受け取った時刻情報に基づき、動画の再生開始から受講者本人が聴講したことが確認できたポイントまでを、受講済みとする。例えば、認証処理部14が、10秒おきにマッチングを行う場合、認証処理部14は、10秒おきに、聴講中の動画における受講済みのポイントを更新することとなる。
【0035】
例えば、図10に示すように、受講者本人の顔部分が認識枠54gに入っていれば、認証処理部14によるマッチングの結果、受講者本人が聴講しているものと判断される蓋然性が高い。一方、受講者の顔部分が認識枠54gに入っていたとしても、受講者が本人でなければ、キャプチャされた顔画像が登録されているものとは異なるとして、本人認証が失敗する蓋然性が高い。また、図11に示すように、受講者が本人であったとしても、例えば居眠りをして俯いた結果、認識枠54g内に顔が入っていない場合は、本人認証は失敗する。また、受講者が離席している場合も、認識枠54g内に顔が入っていないので、本人認証は失敗する。認証処理部14は、1項目の講義の聴講中に本人認証の失敗が所定の回数以上発生した場合、または、本人認証の失敗が所定の回数以上連続して発生した場合に、受講が正しくなされていないものと判断する。その場合、受講進捗管理部12は、途中まであるいは最後まで聴講が進捗していたとしても、聴講されていた項目を「未受講」とし、当該項目については講義の最初から受講し直さなければならないものとする。なお、1項目の講義の聴講中に本人認証の失敗が所定の回数以上発生した時点、または、本人認証の失敗が所定の回数以上連続して発生した時点で、配信制御部15が、講義動画の配信を中止するようにしても良い。」
ク 「【図1】
[図:0001398967000001.jpg]
【図10】
[図:0001398967000002.jpg]
【図11】
[図:0001398967000003.jpg]
」

2.引用文献2(国際公開第2018/225642号)について

令和5年2月22日付けの当審拒絶理由に引用された引用文献2には、以下の事項が記載されている。

ア 「[0001] 本発明は、顔認証システム、顔認証方法、生体認証システム、生体認証方法及び記録媒体に関する。」

イ 「[0017] [第1実施形態]
本発明の第1実施形態として、ネットワークを介した遠隔教育システムの例を説明する。図1は、第1実施形態に係る遠隔教育システムの概略構成を示す模式図である。遠隔教育システムは、学習管理システム1、顔認証管理サーバ2及びユーザ端末4を含む。学習管理システム1、顔認証管理サーバ2及びユーザ端末4は、ネットワーク3を介して相互に通信可能に接続される。なお、図1には、学習管理システム1、顔認証管理サーバ2が1つずつ図示されており、ユーザ端末4が複数(3つ)図示されているが、これらの個数は特に限定されるものではない。なお、ユーザ端末4がアクセスする対象である学習管理システム1は、単にアクセス対象システムと呼ばれることもある。」

ウ 「[0029] 図3は、第1実施形態に係るユーザ端末4の機能ブロック図である。図3には、ユーザ端末4のCPU401が、顔認証ソフトウェアのプログラムを実行することにより、ユーザ端末4を顔認証システム50として機能させた際の機能ブロックが図示されている。顔認証システム50は、カメラ43、顔画像記憶部501、特徴量演算部502、特徴量記憶部503、顔画像入出力部504、比較対象量記憶部505、認証条件取得部506、状態取得部507、判定基準設定部508、認証結果出力部509及び顔認証部510を備える。」

エ 「[0031] 顔画像記憶部501は、カメラ43で撮影されたユーザの顔画像をデジタルデータとして記憶する。
・・・途中省略・・・
[0032] 特徴量演算部502は、顔画像記憶部501に記憶されている顔画像に対して特徴量の演算を行う。
・・・途中省略・・・
[0033] 特徴量記憶部503は、特徴量演算部502で生成された特徴量を記憶する。顔画像に撮影時間、ユーザ名等の属性が紐付けられている場合には、特徴量にこれらの属性を紐付けて記憶してもよい。
[0034] 顔画像入出力部504は、顔認証管理サーバ2からの顔画像の入力及び顔認証管理サーバ2への顔画像の出力を行う。なお、顔画像入出力部504で入出力されるデータは、ユーザの顔画像そのものであってもよく、顔画像から演算された特徴量等、顔画像に関連する情報であってもよい。図3は、顔画像そのものを送受信する構成を想定したブロック図を例示しており、以下の説明においても顔画像そのものが送受信されるものとする。顔画像入出力部504は、顔認証管理サーバ2から顔認証を行うユーザの顔画像と比較するための比較対象画像を取得し、顔画像記憶部501に記憶させる。この比較対象画像には、例えば、ユーザが学習管理システム1の利用を申請したときの申請書に添付されたユーザの顔写真の画像等が用いられ得る。また、顔画像入出力部504は、カメラ43で撮影され、顔画像記憶部501に記憶されているユーザの顔画像を顔認証管理サーバ2に出力する。顔認証管理サーバ2は、入力されたユーザの顔画像を顔認証管理のログとして記憶する。
[0035] 顔画像記憶部501に記憶された比較対象画像についても、カメラ43で撮影された顔画像と同様にして特徴量演算部502において特徴量の演算が行われる。比較対象画像の特徴量は、比較対象量記憶部505に記憶される。比較対象画像にユーザ名等の属性が紐付けられている場合には、特徴量にこれらの属性を紐付けて記憶してもよい。
・・・途中省略・・・
[0039] 顔認証部510は、特徴量記憶部503に記憶されているユーザの顔画像の特徴量と、比較対象量記憶部505に記憶されている比較対象画像の特徴量とを比較して、これらが同一の人物の画像であるか否かを判定する顔認証を行う。このとき、特徴量の差により表現されるユーザの顔画像と比較対象画像の類似度が、判定基準設定部508で設定された判定基準に基づく閾値を超えていれば、顔認証部510は、人物が同一であると判定する。」
オ 「[0084] [第5実施形態]
第5実施形態として、比較対象画像の取得に関する変形例を説明する。
・・・途中省略・・・
[0087] 第1実施形態の説明で述べたように、比較対象画像には、例えば、申請書に添付されたユーザの顔写真の画像等の事前に撮影された写真が用いられ得る。しかしながら、事前に提出した写真の顔画像とログイン時点のユーザの顔画像には、経年的な変化等により、差がある場合もある。そこで、初回ログイン時に撮影された画像又は特徴量を比較対象として追加することにより、より実際の顔に近い画像を比較対象とする顔認証を行うことができるため顔認証の精度を向上させることができる。更に、申請書に添付された写真等のユーザの画像と、ログイン時点のユーザの画像の照明、背景の違いによる影響を防ぐことができる効果がある。通常、申請書に添付される写真の背景は無地の場合が多く、照明の明るさも適切に調整されている場合が多い。これに対し、ログイン時点のユーザの画像における照明、背景は様々であるため、両画像間の照明、背景の違いによる顔認証の精度劣化が生じる可能性がある。また、ログイン時点のユーザの画像には、背景にポスターがある場合、あるいは、服装に人の顔写真又はこれと誤認し得る模様がある場合等があり、これらも顔認証の精度劣化の要因となることがある。これに対し、本実施形態では、ログイン時に撮影された画像又は特徴量を比較対象として追加することにより、照明、背景、服装等がある程度一致した状態での顔認証を行うことができるため、顔認証の精度を向上させることができる。
[0088] なお、初回ログイン時に追加された比較対象は、申請書添付写真等の事前に用意された比較対象と置き換えてもよく、事前に用意された比較対象とともに両方を比較対象として用いてもよい。両方を比較対象として用いる場合、顔認証の処理は、例えば、顔認証時にはどちらかの比較対象に対して顔認証が成功すれば、顔認証が成功したものとして扱う手法を採用することができる。
[0089] なお、本実施形態において、ログイン時、コンテンツ開始時において、顔認証を省略してユーザID、パスワード等による本人確認を行うとともにユーザの顔写真を撮影して、以後の顔認証で比較対象画像として用いる構成であってもよい。
[0090] 以上のように、本実施形態によれば、初回ログイン時の顔画像を比較対象として追加することにより、顔認証の精度を向上させることが可能となる。
[0091] 上述の初回ログイン時の処理と同様の処理をコンテンツ開始時に行ってもよい。この場合、コンテンツの開始時(あるいはコンテンツの各章の開始時)に取得した顔画像をそのコンテンツが配信されている間の比較対象画像として用いることができる。」

カ 「[0098] 上述の各実施形態において、認証の手段として顔認証の例が挙げられているが、顔認証に加えて、その他の認証手段が追加されていてもよい。具体的には、ユーザの画像からユーザの視線推定を行うことにより、ユーザがコンテンツを適切に見ているかどうかを認証することができる。また、カメラ43により、ユーザの動画像を撮影し、まばたき、口の動き、指示に従った顔の動き等をモーション認証することにより、写真、静止画等を用いたなりすましを防止することができる。」

3.引用発明及び引用文献2に記載されている技術事項

(1)引用発明

上記「第5 引用文献、引用発明等」の「1.引用文献1(特許第6887710号公報)について」の「ア~ク」の記載から引用文献1には、以下の発明が記載されている。

「受講者端末からアクセス可能なオンライン学習システムであって、
講義動画を記憶する講義データ記憶部と、
受講者端末からの配信要求を受け付け、前記講義データ記憶部に記憶された講義動画を配信する配信制御部と、
受講者端末により撮影された画像に基づいて、前記講義動画の再生中に受講者の顔認証を行う認証処理部と、
前記認証処理部において、前記講義動画の再生中に受講者の顔認証の失敗が所定の条件を超えて続いた場合、前記受講者による当該講義動画の受講は未修了であるものとする受講進捗管理部とを備え、
前記認証処理部は、前記受講者端末により撮影された画像において認識枠で規定された範囲内の画像と受講者の顔画像として登録されている画像とをマッチングして顔認識を行い(【0006】、【0034】)、
前記受講者の顔画像として登録されている画像は、Web学科学習の利用を申し込んだ際に撮影された顔認証用の顔画像である(【0018】)、
オンライン学習システム。」(以下「引用発明」という。)

(2)引用文献2に記載されている技術事項

上記「第5 引用文献、引用発明等」の「2.引用文献2(国際公開第2018/225642号)について」の「ア~カ」の記載から引用文献2には、以下の技術事項が開示されている。

「ネットワークを介した遠隔教育システムに用いられる顔認証システムにおいて、顔認証部510は、特徴量記憶部503に記憶されているユーザの顔画像の特徴量と、比較対象量記憶部505に記憶されている比較対象画像の特徴量とを比較して、これらが同一の人物の画像であるか否かを判定する顔認証を行う際、前記比較対象画像として、「ユーザが学習管理システム1の利用を申請したときの申請書に添付されたユーザの顔写真の画像」、「初回ログイン時に撮影された画像」、「コンテンツの開始時(あるいはコンテンツの各章の開始時)に取得した顔画像」を用いることで顔認証の精度を向上させることができる。」との技術事項。

第6 対比・判断

1.本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明とを対比する。

引用発明の「講義データ記憶部に記憶された講義動画」、「再生中」、「受講者の顔画像として登録されている画像」は、それぞれ、本願発明1の「オンライン教材」、「配信中」、「認証用画像」に相当するから、本願発明1と引用発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

(一致点)

「受講者端末からアクセス可能なオンライン学習システムであって、
受講者端末からの配信要求を受け付けてオンライン教材を配信する配信制御部と、
受講者端末により撮影された顔画像に基づいて、前記オンライン教材の配信中に受講者の顔認証を行う認証処理部と、
前記認証処理部において、前記オンライン教材の配信中に受講者の顔認証の失敗が所定の条件を超えて続いた場合、前記受講者による当該オンライン教材の受講は未修了であるものとする受講進捗管理部とを備え、
前記認証処理部は、前記受講者端末により撮影された画像において認識枠で規定された範囲内の画像と認証用画像との対比に基づいて受講者の顔認証を行う、
オンライン学習システム。」

(相違点1-1)

本願発明1の「認証用画像」については、「前記オンライン学習システムへのログイン認証用に登録されたマスター画像と、前記オンライン学習システムへのログイン時に前記受講者端末で撮影された画像と、前記オンライン教材の配信中に前記受講者端末で先に撮影された画像とのうち少なくとも二種類を含む、」との事項が特定されているのに対し、引用発明の「受講者の顔画像として登録されている画像」は、「Web学科学習の利用を申し込んだ際に撮影された顔認証用の顔画像」である点。

(相違点1-2)

本願発明1の「認証用画像」については、「前記オンライン学習システムへのログイン認証用に登録されたマスター画像と、前記オンライン学習システムへのログイン時に前記受講者端末で撮影された画像と、前記講義動画の再生中に前記受講者端末で先に撮影された画像とのうち少なくとも二種類を含む画像からランダムに選択される、」との事項が特定されているのに対し、引用発明の「受講者の顔画像として登録されている画像」は、「Web学科学習の利用を申し込んだ際に撮影された顔認証用の顔画像」であって、本願発明1で特定されているような上記事項は特定されていない点。

(2)判断

事案に鑑み上記相違点1-2について検討する。

上記「第5 引用文献、引用発明等」の「3.引用発明及び引用文献2に記載されている技術事項」の「(2)引用文献2に記載されている技術事項」で言及したように、引用文献2には、顔認証の精度を向上させるために「比較対象画像として、「ユーザが学習管理システム1の利用を申請したときの申請書に添付されたユーザの顔写真の画像」、「初回ログイン時に撮影された画像」、「コンテンツの開始時(あるいはコンテンツの各章の開始時)に取得した顔画像」を用いる」との技術事項が記載されており、前記「ユーザが学習管理システム1の利用を申請したときの申請書に添付されたユーザの顔写真の画像」、「初回ログイン時に撮影された画像」、「コンテンツの開始時(あるいはコンテンツの各章の開始時)に取得した顔画像」は、それぞれ、本願発明1の「前記オンライン学習システムへのログイン認証用に登録されたマスター画像」、「前記オンライン学習システムへのログイン時に前記受講者端末で撮影された画像」、「前記オンライン教材の配信中に前記受講者端末で先に撮影された画像」に相当するものである。

しかしながら、引用文献2には、本願発明1の「認証用画像」について特定されている「前記オンライン学習システムへのログイン認証用に登録されたマスター画像と、前記オンライン学習システムへのログイン時に前記受講者端末で撮影された画像と、前記講義動画の再生中に前記受講者端末で先に撮影された画像とのうち少なくとも二種類を含む画像からランダムに選択される、」との事項については記載も示唆もされていない。さらに、当該事項が本願出願前において当業者にとって自明な事項であったことを示す証拠や合理的事実はない。

してみると、当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて上記相違点1-2に係る事項を導出することはできない。

以上のとおりであるから、本願発明1は、相違点1-1について検討するまでもなく、当業者が引用発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

2.本願発明2について

(1)対比

本願発明2の「受講者端末からアクセス可能なオンライン学習システムであって、

・・・途中省略・・・ のうち少なくとも二種類を含み、」との事項については、本願発明1と同じであるから、上記「1.本願発明1について」で検討した事項を踏まえると、本願発明2と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。

(一致点)

「受講者端末からアクセス可能なオンライン学習システムであって、
受講者端末からの配信要求を受け付けてオンライン教材を配信する配信制御部と、
受講者端末により撮影された顔画像に基づいて、前記オンライン教材の配信中に受講者の顔認証を行う認証処理部と、
前記認証処理部において、前記オンライン教材の配信中に受講者の顔認証の失敗が所定の条件を超えて続いた場合、前記受講者による当該オンライン教材の受講は未修了であるものとする受講進捗管理部とを備え、
前記認証処理部は、前記受講者端末により撮影された画像において認識枠で規定された範囲内の画像と認証用画像との対比に基づいて受講者の顔認証を行う、
オンライン学習システム。」

(相違点2-1)

本願発明2の「認証用画像」については、「前記オンライン学習システムへのログイン認証用に登録されたマスター画像と、前記オンライン学習システムへのログイン時に前記受講者端末で撮影された画像と、前記オンライン教材の配信中に前記受講者端末で先に撮影された画像とのうち少なくとも二種類を含む、」との事項が特定されているのに対し、引用発明の「受講者の顔画像として登録されている画像」は、「Web学科学習の利用を申し込んだ際に撮影された顔認証用の顔画像」である点。

(相違点2-2)

本願発明2の「認証処理部」について、「前記受講者端末により撮影された画像において認識枠で規定された範囲内の画像における人物の背景部分と、認証用画像における人物の背景部分との対比に基づいて、受講者の顔認証の成否を判断する、」との事項が特定されているのに対し、引用発明にはかかる事項は特定されていない点。

(2)判断

事案に鑑み上記相違点2-2について検討する。

上記「1.本願発明1について」で検討したのと同様に、引用文献2には、顔認証の精度を向上させるために「比較対象画像として、「ユーザが学習管理システム1の利用を申請したときの申請書に添付されたユーザの顔写真の画像」、「初回ログイン時に撮影された画像」、「コンテンツの開始時(あるいはコンテンツの各章の開始時)に取得した顔画像」を用いる」との技術事項が記載されており、前記「ユーザが学習管理システム1の利用を申請したときの申請書に添付されたユーザの顔写真の画像」、「初回ログイン時に撮影された画像」、「コンテンツの開始時(あるいはコンテンツの各章の開始時)に取得した顔画像」は、それぞれ、本願発明2の「前記オンライン学習システムへのログイン認証用に登録されたマスター画像」、「前記オンライン学習システムへのログイン時に前記受講者端末で撮影された画像」、「前記オンライン教材の配信中に前記受講者端末で先に撮影された画像」に相当するものである。

しかしながら、引用文献2には、本願発明2の「認証処理部」について特定されている「前記受講者端末により撮影された画像において認識枠で規定された範囲内の画像における人物の背景部分と、認証用画像における人物の背景部分との対比に基づいて、受講者の顔認証の成否を判断する、」との事項については記載も示唆もされていない。さらに、当該事項が本願出願前において当業者にとって自明な事項であったことを示す証拠や合理的事実はない。

してみると、当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて上記相違点2-2に係る事項を導出することはできない。

以上のとおりであるから、本願発明2は、相違点2-1について検討するまでもなく、当業者が引用発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

3.本願発明3~5について

本願発明3~5は、本願発明1または本願発明2を引用する発明であるから、上記「1.本願発明1について」及び「2.本願発明2について」で検討したのと同じ理由により、当業者が引用発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

4.本願発明6について

本願発明6は、本願発明1に対応するプログラムに関する発明であるから、上記「1.本願発明1について」で検討したのと同じ理由により、当業者が引用発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

5.本願発明7について

本願発明7は、本願発明2に対応するプログラムに関する発明であるから、上記「2.本願発明2について」で検討したのと同じ理由により、当業者が引用発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

6.本願発明8について

本願発明8は、本願発明6または7に対応するコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する発明であるから、上記「4.本願発明6について」及び「5.本願発明7について」で検討したのと同じ理由により、当業者が引用発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 原査定についての判断

令和5年4月27日の手続補正により、補正後の請求項1は「前記認証用画像は、前記オンライン学習システムへのログイン認証用に登録されたマスター画像と、前記オンライン学習システムへのログイン時に前記受講者端末で撮影された画像と、前記講義動画の再生中に前記受講者端末で先に撮影された画像とのうち少なくとも二種類を含む画像からランダムに選択される、」との事項を有するものとなった。当該事項は、原査定における引用文献A、B(当審拒絶理由における引用文献1、2)には記載されておらず、本願出願前における周知技術でもないので、本願発明1は、当業者であっても、原査定における引用文献A、Bに基づいて容易に発明をすることができたものではない。

また、令和5年4月27日の手続補正により、補正後の請求項2は「前記認証処理部が、前記受講者端末により撮影された画像において認識枠で規定された範囲内の画像における人物の背景部分と、認証用画像における人物の背景部分との対比に基づいて、受講者の顔認証の成否を判断する、」との事項を有するものとなった。当該事項は、原査定における引用文献A、B(当審拒絶理由における引用文献1、2)には記載されておらず、本願出願前における周知技術でもないので、本願発明2は、当業者であっても、原査定における引用文献A、Bに基づいて容易に発明をすることができたものではない。

本願発明1または本願発明2を引用する本願発明3~5、本願発明1に対応するプログラムに関する発明である本願発明6、本願発明2に対応するプログラムに関する発明である本願発明7、本願発明6または7に対応するコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する発明である本願発明8についても同様に当業者であっても、原査定における引用文献A、Bに基づいて容易に発明をすることができたものではない。

したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび

以上のとおり、原査定及び当審拒絶理由の理由によって、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-007690

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