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特許拒絶査定不服審判

2022-007221

良質画像を取込むための画像取込デバイスと共に使用するためのツール及びその方法

審判番号
2022-007221
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-547010
請求日
2022年05月13日
審決日
2023年02月02日
公報発行日
2023年07月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
  • 【請求人代理人】弁理士法人谷・阿部特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 石井 哲
  • 審判官 樋口 宗彦
  • 審判官 井上 香緒梨
分類
P18 .121-Z (A61B) / P18 .537-Z (A61B) / P18 .536-Z (A61B) / P18 .575-Z (A61B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項第3号、特許法第29条、特許法第17条の2第5項第1号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2020-547010「良質画像を取込むための画像取込デバイスと共に使用するためのツール及びその方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 元年9月12日国際公開、WO2019/173121、令和3年6月24日国内公表、特表2021-515640〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1.手続の経緯 本願は、2019年(平成31年)3月1日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年3月8日 米国)を国際出願日とする出願であって、令和3年10月6日付けで拒絶理由が通知され、同年12月13日に意見書及び手続補正書が提出され、令和4年2月2日付けで拒絶査定されたところ、同年5月13日に拒絶査定不服審判の請求及び手続補正がなされ、同年9月13日に上申書(以下単に「上申書」という。)が提出されたものである。 第2.令和4年5月13日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和4年5月13日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1~10の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。) ここで、請求項1については、後の便宜のために、各構成単位冒頭に「A」等の分説番号を付した。以下、該各構成単位について分説番号を用いて「構成A」などと呼ぶことがある。後掲の引用発明についても同様である。 「 【請求項1】 A 良質画像の取込を可能にするために、画像取込デバイスと共に使用するためのツールであって、 B1 第1の端部が、第1の端部と第2の端部との間の取り囲まれた空間を画定する1つ又は複数の壁によって対向する第2の端部に接続され、 B2 前記第1の端部が、画像取込用の使用者の顔の標的顔領域上に配置されるように構成された開口を備え、 B3 前記第2の端部が、前記画像取込デバイスの少なくとも一部を受容するように構成された窓を備え、 B4 前記第1の端部と前記第2の端部を接続する前記1つ又は複数の壁のそれぞれには開口部がない、 B5 前記第1の端部及び前記第2の端部と、 C 前記第2の端部の内面上に位置付けられる反射デバイスであって、これにより、前記使用者は、前記反射デバイス内の前記標的顔領域の反射を提供することによって、前記第1の端部の位置を前記標的顔領域上に位置合わせすることができる、前記反射デバイスと、を備え、 D 前記第1の端部と前記第2の端部との間の所定の距離が定められ、前記第2の端部の前記内面における前記反射デバイスの前記所定の位置付けが定められ、これにより、前記使用者が前記反射デバイスの所定の対象の前記反射を位置付けるとき、前記標的顔領域の良質画像が前記画像取込デバイスによって取込まれ、 E 前記第2の端部が、前記画像取込デバイスのレンズ側の面が前記第2の端部の外面に隣接しているときに、前記画像取込デバイスのレンズを配置するための前記窓を備え、 F 前記反射デバイスの反射表面積が、80mm2~650mm2の範囲であり、 G 前記画像取込デバイスが、モバイル機器若しくはスマートデバイスの一部であるか、パーソナルコンピュータの一部であるか、ハンドヘルドカメラであり、 H 前記画像取込デバイスのレンズ側の面が前記第2の端部の前記外面に隣接するように、前記ツールを前記画像取込デバイスに接続するためのコネクタを更に備え、 I 前記コネクタが、接着剤、フックアンドループファスナー、磁気ファスナー、クリップファスナー、弾性ファスナー、及び吸引カップファスナーからなる群から選択される、 J ツール。 【請求項2】 前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記所定の距離が、前記画像取込デバイスの最小焦点距離に対応する、請求項1に記載のツール。 【請求項3】 前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記所定の距離が、80mm~600mmの範囲である、請求項1又は2のいずれか一項に記載のツール。 【請求項4】 画像取込のための前記標的顔領域が、以下の顔領域、すなわち頬領域、鼻領域、額領域、口領域、顎領域、1本以上の歯、眼窩周囲領域、及び顔全体の領域のうちのいずれか1つを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のツール。 【請求項5】 前記第1の端部及び前記第2の端部のそれぞれの表面積が、1,000mm2~33,000mm2の範囲である、請求項1~4のいずれか一項に記載のツール。 【請求項6】 前記画像取込デバイスのレンズ側の面が前記第2の端部の前記外面に隣接しているとき、前記反射デバイスの前記所定の位置付けが、前記画像取込デバイスのレンズに対して3mm~106mmの距離にある、請求項1~5のいずれか一項に記載のツール。 【請求項7】 前記第2の端部の前記内面が、前記1つ又は複数の壁と角度を形成し、前記角度が、80度~135度の範囲である、請求項1~6のいずれか一項に記載のツール。 【請求項8】 前記ツールが、紙、板紙、ポリスチレン、ポリスチレンテレフタレート、ポリプロピレン、及びシリコンゴムからなる群から選択される1つ以上の材料から作製される、請求項1~7のいずれか一項に記載のツール。 【請求項9】 前記ツールが、前記使用者が前記反射デバイスの前記所定の対象の前記反射を位置付けるときに、前記画像取込デバイスによる自動画像取込を可能にするための、前記所定の対象に対する認識機能を有するソフトウェアアプリケーションと共に使用される、請求項1~8のいずれか一項に記載のツール。 【請求項10】 前記所定の対象が、前記使用者の眼、前記使用者の眉、眼窩周囲領域の前記使用者の1つ以上の笑い線若しくは目尻の足、又は前記眼窩周囲領域若しくは顔領域の基準点であり、またはこれらの組み合わせである、請求項1~9のいずれか一項に記載のツール。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、令和3年12月13日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~12の記載は次のとおりである。 「 【請求項1】 A 良質画像の取込を可能にするために、画像取込デバイスと共に使用するためのツールであって、 B 第1の端部が、第1の端部と第2の端部との間の取り囲まれた空間を画定する1つ又は複数の壁によって対向する第2の端部に接続され、前記第1の端部が、画像取込用の使用者の顔の標的顔領域上に配置されるように構成された開口を備え、前記第2の端部が、前記画像取込デバイスの少なくとも一部を受容するように構成された窓を備え、前記第1の端部と前記第2の端部を接続する前記1つ又は複数の壁のそれぞれには開口部がない、前記第1の端部及び前記第2の端部と、 C 前記第2の端部の前記内面上に位置付けられる反射デバイスであって、これにより、前記使用者は、前記反射デバイス内の前記標的顔領域の反射を提供することによって、前記第1の端部の位置を前記標的顔領域上に位置合わせすることができる、前記反射デバイスと、を備え、 D 前記第1の端部と前記第2の端部との間の距離が予め定められ、前記第2の端部の前記内面における前記反射デバイスの前記位置付けが予め定められ、これにより、前記使用者が前記反射デバイスの所定の対象の前記反射を位置付けるとき、前記標的顔領域の良質画像が前記画像取込デバイスによって取込まれ、 E 前記第2の端部が、前記画像取込デバイスのレンズ側の面が前記第2の端部の前記外面に隣接しているときに、前記画像取込デバイスのレンズを配置するための窓を備え、 F 前記反射デバイスの反射表面積が、80mm2~650mm2の範囲であり、 G 前記画像取込デバイスが、モバイル機器若しくはスマートデバイスの一部であるか、パーソナルコンピュータの一部であるか、ハンドヘルドカメラである、 J ツール。 【請求項2】 前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記所定の距離が、前記画像取込デバイスの最小焦点距離に対応する、請求項1に記載のツール。 【請求項3】 前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記所定の距離が、80mm~600mmの範囲である、請求項1又は2のいずれか一項に記載のツール。 【請求項4】 前記画像取込のための前記標的顔領域が、以下の顔領域、すなわち頬領域、鼻領域、額領域、口領域、顎領域、1本以上の歯、眼窩周囲領域、及び顔全体の領域のうちのいずれか1つを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のツール。 【請求項5】 前記第1の端部及び前記第2の端部のそれぞれの表面積が、1,000mm2~33,000mm2の範囲である、請求項1~4のいずれか一項に記載のツール。 【請求項6】 前記画像取込デバイスのレンズ側の面が前記第2の端部の前記外面に隣接しているとき、前記反射デバイスの前記所定の位置付けが、前記画像取込デバイスのレンズに対して3mm~106mmの距離にある、請求項1~5のいずれか一項に記載のツール。 【請求項7】 前記第2の端部の前記内面が、前記少なくとも1つの壁と角度を形成し、前記角度が、80度~135度の範囲である、請求項1~6のいずれか一項に記載のツール。 【請求項8】 前記画像取込デバイスのレンズ側の面が前記第2の端部の前記外面に隣接するように、前記ツールを前記画像取込デバイスに接続するためのコネクタを更に備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のツール。 【請求項9】 前記コネクタが、接着剤、フックアンドループファスナー、磁気ファスナー、クリップファスナー、弾性ファスナー、及び吸引カップファスナーからなる群から選択される、請求項8に記載のツール。 【請求項10】 前記ツールが、紙、板紙、ポリスチレン、ポリスチレンテレフタレート、ポリプロピレン、及びシリコンゴムからなる群から選択される1つ以上の材料から作製される、請求項1~9のいずれか一項に記載のツール。 【請求項11】 前記ツールが、前記使用者が前記反射デバイスの前記所定の対象の前記反射を位置付けるときに、前記画像取込デバイスによる自動画像取込を可能にするための、前記所定の対象に対する認識機能を有するソフトウェアアプリケーションと共に使用される、請求項1~10のいずれか一項に記載のツール。 【請求項12】 前記所定の対象が、前記使用者の眼、前記使用者の眉、眼窩周囲領域の前記使用者の1つ以上の笑い線若しくは目尻の足、又は前記眼窩周囲領域若しくは顔領域の基準点であり、またはこれらの組み合わせである、請求項1~11のいずれか一項に記載のツール。」 2 補正の適否 (1)本件補正の内容 本件補正は概略、以下の補正事項からなる。 ア 補正1(構成H・I) 本件補正前の請求項1に記載された「画像取り込みデバイス」またはその「レンズ側の面」なる特定事項について、さらに上記構成H・Iに係る限定を付加する補正。 イ 補正2(構成C・E) 本件補正前の請求項1における「第2の端部の前記内面」及び「第2の端部の前記外面」について、先行記載との関係上「前記」を削除する補正。 ウ 補正3(構成D) 本件補正前の請求項1における「前記第1の端部と前記第2の端部との間の距離が予め定められ、前記第2の端部の前記内面における前記反射デバイスの前記位置付けが予め定められ」なる記載について、距離や位置づけが「予め定められ」るとの記載を、それぞれ「所定の距離が定められ」、「所定の位置づけが定められ」とする補正。 エ 補正4(構成E) 本件補正前の請求項1の「画像取込デバイスのレンズを配置するための窓を備え」なる記載において、先行記載との関係上「窓」に「前記」を付加する補正。 オ 補正5 本件補正前の請求項8・9を削除し、それに伴い同請求項10~12を請求項8~10と繰り上げ、引用先請求項を修正する補正。 カ 補正6 本件補正前の請求項7における「第2の端部の前記内面が、前記少なくとも1つの壁と角度を形成し」を「第2の端部の前記内面が、前記1つ又は複数の壁と角度を形成し」と変更する補正。 (2)補正の目的要件違反について ア 補正1について 補正1は、上記(1)アのとおり本件補正前の請求項1に記載された「画像取り込みデバイス」またはその「レンズ側の面」なる特定事項について、さらに上記構成H・Iに係る限定を付加する補正であり、該補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 イ 補正2・4について 補正2~4は、先行記載との明らかな不整合を生じる誤記を訂正することを目的とする補正であるから、特許法17条の2第5項第3号の誤記の訂正を目的とするものに該当する。 ウ 補正3について 補正3は、本件補正前の請求項1における「距離」や「位置付け」について、それらが「所定」のものである点を限定することを目的とした補正であり、該補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 エ 補正5について 補正5は特許法17条の2第5項第1号の請求項の削除を目的とするものに該当する。 オ 補正6について 補正6は、本件補正前の特許請求の範囲において、「壁」なる構成要素について請求項7が引用する請求項1では「1つまたは複数の壁」との表現であるのに対し、同請求項7では「前記少なくとも1つの壁」と、異なる表現で引用いていたものを、同請求項1の表現に揃えて不整合を解消したものであるから、特許法17条の2第5項第3号の誤記の訂正を目的とするものに該当する。 (3)新規事項の有無について ア 補正1について 前記付加された構成H・Iに係る限定事項は、国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文の請求項10・11に記載されていた事項に該当するから、補正1は新規事項を追加するものではない。 イ 補正2~6について 補正2~6が新規事項を追加するものでないことは明らかである。 3 独立特許要件 上記2(2)のとおり、請求項1に係る本件補正は、特許法17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項 (2-1)引用文献1の記載事項 原査定の拒絶理由において提示された、本願のパリ条約による優先権主張外国庁受理日である2018年3月8日(以下「優先日」という。)前に公知となった米国特許第4911544号明細書(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。 ア 引用文献1に記載された事項 <記載1-29> 「SUMMARY OF THE INVENTION It is an object of this invention to provide an improved analytical device for use by cosmetologists and aestheticians for determination of the condition of a person's skin and hair to help indicate which type of cosmetic material would be best suited for such person. The device further allows the individual whose skin is being analyzed to view his or her own facial area and scalp and see the different colors created on the skin by the light used in the device while at the same time allowing the operator of the device to view that individual's skin in order to suggest proper cosmetic and skincare products based on the condition of that individual's skin.」(1欄29~42行) (当審訳:「発明の概要 本発明の目的は、美容師やエステティシャンが人の皮膚や髪の状態を判断し、どのタイプの化粧品がその人に最も適しているかを示すために使用する、改良された分析装置を提供することである。この装置はさらに、肌を分析される個人が自分の顔領域や頭皮を見ることができ、装置で使用される光によって肌に作られる異なる色を見ると同時に、装置のオペレータが、その個人の肌の状態に基づいて適切な化粧品やスキンケア製品を提案するために、その個人の肌を見ることができるようにするものである。」) <記載1-43> 「Different skin conditions will show different colors when exposed to long-length ultraviolet rays.・・・For example, once such a long wave length ultraviolet light is shone on the skin and the skin appears orange to a coral color, such color would indicate that the skin is oily. If the skin appears a dark purple, poor circulation in that area of the skin would be indicated or that the skin was atrophic. If there are brown spots, it may be that the skin has an uneven pigmentation or has been damaged by the sun while if the skin appears bluish-white under such light, a dry or dehydrated condition would be indicated. A white appearance of the skin shows normal skin. Other lights can be used in the device of this invention such as a wide spectrum fluorescent light to show what the skin would look like under normal lighting conditions, and also for certain situations lamps producing infrared light can be used for infrared photography of the skin to show underlying superficial blood vessel structure as will be discussed below.」(1欄43行~2欄2行) (当審訳:「長波長紫外線を浴びると、肌の状態によって異なる色を示すようになる。・・・例えば、長波長の紫外線を肌に当てて、肌がオレンジ色からサンゴ色になれば、脂性肌ということになる。濃い紫色に見えたら、その部分の血行が悪いか、皮膚が委縮していることを示している。褐色の斑点がある場合は、色素沈着や日光によるダメージの可能性があり、青白く見える場合は、乾燥や脱水が考えられる。肌が白く見える場合は、正常な肌であることを示している。また、特定の状況下では、赤外線を発生するランプを使用して、皮膚の赤外線撮影を行い、後述するように、皮膚の表面的な血管構造を示すことも可能である。」) <記載2-3> 「In some embodiments of the device means to photograph the subject's face can be incorporated as part of the device. The subject on whom the device is being used also has the ability to see his or her own skin condition which feature is important so that he or she will directly see the areas of the skin that may need particular types of cosmetic treatments such as additional skin oils and the like.」(2欄3~10行) (当審訳:「装置のいくつかの実施形態では、被験者の顔を撮影する手段を装置の一部として組み込むことができる。この装置が使用されている被験者は、自身の皮膚の状態を見ることができ、それは、彼又は彼女が追加のスキンオイル等の特定のタイプの美容処置を必要とする可能性がある皮膚の領域を直接見ることができるために重要な特徴である。」) <記載2-11> 「In one embodiment, the device of this invention consists of a casing such as a cone member before which or into which the subject places his or her face which cone member extends to an area containing the lighting means which may produce one or more types of light such as ultraviolet light producing bulbs, regular light bulbs, or lights of other spectrums, such light bulbs being operable separately from one another or in combination if desired. A concave mirror is placed at the end of the cone and is positioned so that when the subject places his face in front of the cone member, it will focus the image of the subject clearly so that the subject can view his face clearly and magnified in the concave mirror around which are disposed the light member(s). Means are also provided for the operator to view the subject's face. It is important that the cone member or other equivalent ambient light shades be utilized to prevent ceiling lights or other lights from obscuring the effect that the ultraviolet light would have on the subject's skin. In another embodiment the lights, mirror and viewing device can be contained in a casing with a curtain disposed around the individual to block out the ambient light.」(2欄11~34行) (当審訳:「一実施形態では、この発明の装置は、被験者がその前に、またはその中に自分の顔を置くコーン部材のようなケーシングからなり、そのコーン部材は、紫外線光生成電球、通常の電球、または他のスペクトルの光のような1種類以上の光を生成し得る照明手段を含む領域まで延び、かかる電球は互いに別々にまたは必要に応じて組み合わせて作動可能である。凹面鏡は、コーンの端部に配置され、被験者がコーン部材の前に顔を置いたときに、被験者が自分の顔を、周りに光部材(複数可)が配置されている凹面鏡の中にはっきりと拡大して見ることができるように、被験者の像にはっきりと焦点を合わせるように配置されている。また、操作者が被写体の顔を見るための手段も用意されている。コーン部材または他の同等の環境光シェードを利用して、天井照明または他の照明が、紫外線が被験者の皮膚に与える影響を不明瞭にするのを防ぐことが重要である。別の実施形態では、照明、鏡及び表示装置は、周囲光を遮断するために個人の周囲に配置されたカーテンを有するケーシングに収容することができる。」) <記載2-35> 「Means can be provided for the operator of the device to also view the subject while the subject is using the device such as a small peephole or magnifying lens disposed on one side of the mirror.・・・There should be an area provided for a camera, such as a Polaroid camera or equivalent-type camera with ultraviolet sensitive film, to be aimed at the subject's face to take photographs of the subject for future records or for the subject's use in analyzing what areas of the skin may be, for example, dry and need cosmetic attention. In addition the camera could use infrared film which would show not otherwise visible superficial veins below the surface of the skin to determine the condition of the skin underlying the surface tissue. Also such camera could use normal film to take pictures under the normal spectrum lights that may be disposed in the casing.」(2欄35~58行) (当審訳:「被験者が装置を使用している間、装置のオペレータが、鏡の一側方に配置された小さな覗き穴又は拡大レンズなど、被験者を見るための手段も提供することができる。・・・ポラロイドカメラまたは紫外線に敏感なフィルムを備えた同等のタイプのカメラなどのカメラを被験者の顔に向け、将来の記録用または被験者が皮膚のどの部分が例えば乾燥していて美容上の注意を必要とするかを分析するために写真を撮るための領域が設けられていることが望ましい。さらに、このカメラは赤外線フィルムを使用することができ、これにより、表面組織の下にある皮膚の状態を判断するために、皮膚の表面下にある他の方法では見えない表在静脈を示すことができる。また、このようなカメラは、ケーシング内に配置される可能性のある通常のスペクトルライトの下で写真を撮るために、通常のフィルムを使用することができる。」) <記載3-3> 「DESCRIPTION OF THE PREFERRED EMBODIMENT(S) In FIG. 1 cone 10 of the device is seen with the subject's face 12 inserted in the open front thereof. Cone member 10 can be of any shape or size, whether conical in configuration or rectangular as long as it comes close to accommodating the perimeter of the subject's face so as to act as a shade to block out extraneous room light therefrom so that only the light from the unit itself will substantially shine on the subject's face. A curtain can extend from the unit cover around the sides and rear of the subject's head to block more ambient light. At the other end of the conical area is concave mirror 14 of the device of this invention which can be a typical cosmetic type which is frequently used to magnify the subject's face. It should be positioned and be of a focal length so that the image of the subject will be focused clearly for the subject to see his or her face magnified although a standard non-magnifying mirror can also be used.」(3欄3~22行) (当審訳:「好ましい実施形態の説明 図1において、装置のコーン10は、その開いた前面に被験者の顔12が挿入された状態で見られる。コーン部材10は、ユニット自体からの光のみが実質的に被験者の顔を照らすように、そこから外来室内光を遮断するシェードとして機能するように、被験者の顔の周囲を収容するように近づく限り、錐形の構成であれ矩形であれ、任意の形状またはサイズにすることができる。また、ユニットカバーから被写体の側頭部と後頭部の周囲にカーテンを延ばし、より多くの外光を遮断することも可能である。コーン領域の他端には、この発明の装置の凹面鏡14があり、これは、被験者の顔を拡大するために頻繁に使用される典型的な美容タイプのものであることが可能である。それは、被験者が自分の顔を拡大して見るために、被験者の像が明確に焦点を合わせるように配置され、焦点距離であるべきであるが、標準的な非拡大鏡も使用できる。」) <記載3-34> 「At the rear of the unit are means to allow the operator of the unit to view the face of the subject while the device is in operation. Such means can be provided such as by hole 18 defined in one corner where the operator can view the subject's face. In some embodiments a magnifying lens can be placed in hole 18.」(3欄34~40行) (当審訳:「ユニットの後部には、装置の操作者が装置の作動中に被写体の顔を見ることができるようにするための手段が設けられている。そのような手段は、操作者が被写体の顔を見ることができる一角に画定された開口18などによって提供され得る。いくつかの実施形態では、拡大レンズが開口18に配置されることができる。」) <記載3-58> 「In some embodiments of the device photographs of the subject under the light source may be desired for future reference and an aperture in the mirror or to the side thereof can be provided for a camera 22 such as a Polaroid camera which is illustrated in FIGS. 2 and 4 to produce instant pictures. The film that is used in the camera can in some embodiments be sensitive to ultraviolet light so that the picture will be substantially the same as what the subject sees. Such aperture can also be provided in the casing of the unit such as through aperture 18 in FIG. 1 or through viewing aperture 20 in the mirror as illustrated in FIG. 2. The entire unit can be placed on a stand and the camera can be attachable with its lens prefocused at the distance of the subject's face and held by retaining members such as quick-release bayonet mounts or equivalent means. Such camera should be of simple operation such as a Polaroid pack film or SX-70 camera or equivalent where once focused on the subject, whether it be fixed-focus or nonfixed-focus such as a focusable single lens reflex, the focus would be on the face and the picture would record the condition of the subject's skin.」(3欄58行~4欄11行) (当審訳:「装置のいくつかの実施形態では、光源下の被写体の写真が将来の参考のために望まれることがあり、鏡の中またはその側方の開口は、インスタント写真を生成するために図2および4に示されるポラロイドカメラなどのカメラ22のために設けられることが可能である。カメラで使用されるフィルムは、いくつかの実施形態において、写真が被写体が見ているものと実質的に同じになるように、紫外線に感応することができる。このような開口は、図1における開口18を介して、または図2に図示されるようにミラーにおける視認開口20を介してなど、ユニットのケーシングに設けることもできる。ユニット全体をスタンドに置き、カメラは、そのレンズを被写体の顔の距離でプレフォーカスし、クイックリリースバヨネットマウントまたは同等の手段などの保持部材によって保持されるように取り付け可能である。このようなカメラは、ポラロイドパックフィルムやSX-70カメラなど、一度被写体にピントを合わせれば、固定焦点式でも焦点調節式一眼レフなどの非固定焦点式でも、ピントは顔に合い、被写体の肌の状態が写真に記録されるような簡単な操作であることが望ましい。」) <図1> 「 [図:0001398950000001.jpg] 」 <図2> 「 [図:0001398950000002.jpg] 」 イ 看取・認定事項 (ア)看取事項1-1 図1・2から、「略角錐台または略直方体の四方の側面によって形成される壁からなるコーン部材10;コーン部材の一方の端面は被験者の顔が挿入される開放端であり、その対向側の他方の端面は凹面鏡等が配置された閉鎖端となっている」ことが看取される。 (イ)看取事項1-2 図1によれば、コーン部材10の他端側の凹面鏡14の側方に開口18を設ける態様において、凹面鏡14の上端は図左方の操作者の両眼の中点よりやや下方、凹面鏡14の下端は該操作者の唇と顎下端との間付近に対応していることが看取できる。(看取事項1-2) (ウ)看取事項1-3 図1における操作者と装置との関係を踏まえて図2を見れば、カメラ22はコーン部材の他方の端面である他端の外側面に取り付けられていることが看取できる。 (エ)認定事項1-1 看取事項1-2によれば、図1には、コーン部材10の他端側の凹面鏡の側方に開口18を設ける態様において、凹面鏡14の直径が10cm程度の略円形である場合が示されているといえる。 ウ 引用発明 上記ア・イから、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(各構成単位末尾括弧内に認定の主たる根拠となる記載箇所を示した。以下、他の引用文献についても同様。)。 「a 被験者の顔を撮影する手段を組み込むことができる装置であって、(記載2-3) b1 装置はケーシングであるコーン部材を備え、該コーン部材は、略角錐台または略直方体の四方の側面によって形成される壁からなり、その一方の端面は被験者の顔が挿入される開いた前面とされ、その他方の端面は、凹面鏡または非拡大鏡からなる鏡が配置された他端とされ、(記載2-11・記載3-3・看取事項1-1) b2 コーン部材の前記一方の端面は、被験者が自身の皮膚の状態を見、美容処置を必要とする可能性がある皮膚の領域を直接見ることができるために、被験者の顔を挿入する開いた前面であり、(記載2-3・記載3-3) b3 コーン部材の前記他方の端面である他端には、前記鏡の側方に開口が設けられ、該開口にはポラロイドカメラ等のカメラを設けることが可能であり、(記載3-34・記載3-58) b4 コーン部材は天井照明または他の照明が、紫外線が被験者の皮膚に与える影響を不明瞭にするのを防ぐためのもので、コーン部材の前記壁は、外来室内光を遮断するシェードとして機能するものであり、(記載2-11・記載3-3) c コーン部材の前記他方の端部である他端には、被験者が自分の顔を見ることができるように、凹面鏡または非拡大鏡が配置され、(記載2-11・記載3-3) d1 コーン部材内部には紫外線光生成電球を含む照明手段が備えられ、(記載2-11) d2 コーン部材の前記他方の端面である他端における前記鏡の側方に設けた開口に設けたポラロイドカメラ等のカメラは、ある実施形態では写真が被写体が見ているものと実質的に同じになるように、紫外線に感応することができるフィルムを備え、(記載3-58) d3 前記カメラを組み込んだ装置によって被験者は、肌を分析される個人が自分の顔領域や頭皮を見ることができ、自身の皮膚の状態を見ることができ、また、追加のスキンオイル等の特定のタイプの美容処置を必要とする可能性がある皮膚の領域を直接見ることができ、(記載1-29・記載2-3) d4 コーン部材の前記一方の端面は、被験者の顔を挿入する開いた前面であり、(記載2-3・記載3-3) d5 コーン部材の前記他方の端部である他端には、肌を分析される被験者が自分の顔領域や頭皮を見るための凹面鏡または非拡大鏡が配置され、(記載1-29・記載2-11・記載3-3) e コーン部材の前記他方の端面である他端には、前記鏡の側方に開口が設けられ、該開口にはポラロイドカメラ等のカメラを設けることが可能であり、(記載3-34・記載3-58) f 凹面鏡は、被験者の顔を拡大するために頻繁に使用される典型的な美容タイプのものであり、(記載3-3) コーン部材他端においてカメラを設ける開口を凹面鏡の側方に設ける場合において、凹面鏡の直径は10cm程度の略円形のものであり得、(看取事項1-2・認定事項1-1) g カメラは、そのレンズを被写体の顔の距離でプレフォーカスして取付けられる、ポラロイドカメラやSX-70カメラなど、一度被写体にピントを合わせればピントが顔に合い、被写体の肌の状態が写真に記録されるような、固定焦点式または焦点調節式一眼レフなどの非固定焦点式カメラであり、(記載3-58) h カメラは、他方の端面である他端の外側面に、そのレンズを被写体の顔の距離でプレフォーカスし、クイックリリースバヨネットマウントまたは同等の手段などの保持部材によって保持されるように、コーン部材の他方の端面である他端の操作者側外側面に取り付け可能である、(記載3-58・看取事項1-3) j 装置。」 (2-2)引用文献2の記載事項 原査定の拒絶理由において提示された、本願の優先日前に公知となった特開2004-33727号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。 ア 引用文献2に記載された事項 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、目の周りの領域を評価する方法及び器械に関する。 ・・・ 【0003】 【発明の目的及び概要】 人の目の周りの領域の類型学的特徴、特に輪、たるみや脂肪嚢(本明細書では、これらをまとめて「バッグ」という)、目の縁のしわ、皮膚の凹凸、瞼の凹凸に関する類型学的特徴を評価することが要望されている。本発明は、その特徴のうちの1つとして、人の目の周りの領域の類型学的特徴を評価する方法であって、人の目の周りの領域の少なくとも1つのゾーンに関する少なくとも1つのデータ項目の収集を可能にする段階を有し、上記データ項目は、血液の流れの中に存在する色素及び血液の流れの外に存在する色素のうち少なくとも一方を表しており、上記方法は、上記領域の少なくとも1つのゾーンのレリーフ及び上記領域の少なくとも1つのゾーンの少なくとも1つの機械的性質のうち少なくとも一方に関する少なくとも1つのデータ項目の収集を可能にする段階と、少なくとも上記段階で収集したデータに基づいて、上記領域の類型学的特徴に関する少なくとも1つの情報を送る段階とを更に有していることを特徴とする方法を提供する。 ・・・ 【0010】 上記領域の少なくとも1つのゾーンの色に関する少なくとも1つのデータ項目を収集するため、次のリストの要素、即ち、ビデオカメラ、スキャナ、ディジタルカメラ、分光比色計、比色計、カラーチャート、SCIASCOPE(登録商標)(国際公開第WO00/75637号パンフレットに記載されている)、MEXAMETRE(登録商標)(供給業者であるCouageetKhazakaにより市販されている)、サーマルカメラのうち少なくとも1つを用いることができる。上記領域の少なくとも1つのゾーンの色に関する上記少なくとも1つのデータ項目を収集しながら、可視光、紫外線(UV光)、又は赤外線(赤外光)を用いて上記領域を照明するのがよい。 ・・・ 【0015】 本発明は又、別の特徴として、目の周りの領域の外観に関し、物質、特に、化粧品の塗布の効果について評価し、又は処置の有効性を判定する方法であって、物質及び(又は)処置、特に化粧品又は外科的処置を適用する前に、第1に、血液の流れの中及び(又は)外に存在する少なくとも1つの色素、特に色と関連したデータを収集し、そして目の周りの領域の少なくとも1つのゾーンのレリーフ及び(又は)少なくとも1つの機械的性質に関するデータを収集する段階と、化粧品を塗布すると共に(或いは)処置を行う段階と、第2に、血液の流れの中及び(又は)外に存在する上記少なくとも1つの色素、特に色と関連したデータを収集し、目の周りの領域の少なくとも1つのゾーンのレリーフ及び(又は)少なくとも1つの機械的性質に関するデータを収集する段階と、第1の収集結果と第2の収集結果を比較して目の周りの領域の外観に関し、物質の塗布の結果又は処置の有効性を判定する段階とを有していることを特徴とする方法を提供する。 ・・・ 【0017】 本発明は又、その特徴のうちの別の特徴として、人の目の周りの領域の類型学的特徴に関するデータを収集する器械であって、血液の流れの中に存在する色素及び血液の流れの外に存在する色素のうち少なくとも一方と関連した少なくとも1つのデータ項目を収集すると共に上記領域の少なくとも1つのゾーンのレリーフ及び上記領域の少なくとも1つのゾーンの少なくとも1つの機械的性質のうち少なくとも1つに関する少なくとも1つのデータ項目を収集することができる収集手段を有することを特徴とする器械を提供する。本発明の意味において、「器械」は、1組の装置と、場合によっては片手で持つのに適した一体構造の装置の両方を含むものとして用いられている。 ・・・ 【0019】 上記器械は、次のリストの要素、即ち、ビデオカメラ、スキャナ、ディジタルカメラ、分光比色計、比色計、カラーチャート、サーマルカメラのうち少なくとも1つから成る比色計による収集手段を有するのがよい。上記器械は、上記領域を可視光、紫外光及び赤外光のうち少なくとも1つで照明できる照明手段を更に有するのがよい。 ・・・ 【0021】 上記器械は、異なる時点で収集したデータを記憶できる記憶手段を有するのがよい。上記器械は、上記周囲全体が目の周りの領域に押し付けられるよう構成されたマスクを有するのがよい。目の周りの領域を、特に審美的目的のために非治療目的で評価してもよい。 【0022】 本発明は又、その特徴のうちの1つとして、人の目の周りの領域の少なくとも1つの状態を診断する方法であって、上記領域の少なくとも1つのゾーンに関する少なくとも1つのデータ項目を収集できる段階を有し、上記データ項目は、血液の流れの中に存在する色素及び血液の流れの外に存在する色素のうち少なくとも一方と関連しており、上記方法は、上記領域の少なくとも1つのゾーンのレリーフ及び上記領域の少なくとも1つのゾーンの少なくとも1つの機械的性質のうち少なくとも一方に関する少なくとも1つのデータ項目を収集できる段階と、少なくとも上記段階で収集したデータに基づく診断結果、特に非医学的な診断結果を送る段階とを更に有していることを特徴とする方法を提供する。 ・・・ 【0024】 本発明は又、その特徴のうちの別のものとして、個人が自己診断を行うことができるようにするキットであって、人の目の周りの領域の少なくとも1つのゾーンに関する少なくとも1つのデータ項目を収集できる手段(例えば、ミラー)を有し、上記データ項目は、血液の流れの中に存在する色素及び血液の流れの外に存在する色素のうち少なくとも一方と関連しており、上記キットは、上記領域の少なくとも1つのゾーンのレリーフ及び上記領域の少なくとも1つのゾーンの少なくとも1つの機械的性質のうち少なくとも一方に関する少なくとも1つのデータ項目を収集できる手段(例えば、専用付属装置)と、少なくとも上記段階で収集したデータに基づく診断結果、特に非医学的診断結果を送ることができる手段(例えば、アトラス)とを更に有していることを特徴とするキットを提供する。 ・・・ 【0030】 一体構造の一例として、図1及び図2は、データを、目の周りの領域の少なくとも1つのゾーンの色又は透明度、レリーフ及び(又は)機械的性質に関して収集できるようにする種々の要素を組合せ状態で有する器械10を示している。器械10は例えば、カメラ11及び少なくとも1つの照明装置12を有するのがよい。 ・・・ 【0039】 今説明している実施形態では、器械10は、周囲全体が目の周りの顔面に押し付けられるようになっていて、顔面の形状、例えば眉毛や鼻の一部の形状にマッチした実質的に切頭円錐形の形をしたマスク18を有する。マスクの輪郭は、顔面への押付け前は、完全に平面内に位置するのがよく、この場合、マスクは、その輪郭を定める弾性変形可能な材料のガスケットを有するのがよい。マスクを目の周りの顔面に押し当てると、ガスケットが変形し、それによりガスケットを顔面の形状にマッチさせることができる。 ・・・ 【図1】 [図:0001398950000003.jpg] 【図2】 [図:0001398950000004.jpg] 」 イ 引用文献2に記載された技術事項 上記アに摘記した引用文献2の記載事項から、引用文献2には次の技術事項(以下「引用文献2技術事項」という。)が記載されていると認められる。 「2a 人の目の周りの領域のたるみやしわ、凹凸などの類型学的特徴を評価すること、化粧品の塗布の効果について評価し、又は処置の有効性を判定することを含む、審美的目的のために用いられる装置であって、(【0003】・【0015】・【0021】) 2b 周囲全体が目の周りの顔面に押しつけられるようになっている、眉毛や鼻の一部の形状にマッチした切頭円錐形のマスクと、(【0021】・【0039】) 2c マスク内部の最奥部に設けたデジタルカメラと、(【0030】・【図2】) 2d マスク内部に設け、目の周りの領域を可視光、紫外光及び赤外光のうち少なくとも1つで照明できる照明手段と、(【0019】・【図2】) 2e 人の目の周りの領域の少なくとも1つのゾーンに関する少なくとも1つのデータ項目を収集できるミラーと、を備えてなる、(【0024】) 2f 器械。(【0019】)」 (2-3)周知例1の記載事項 本願の優先日前に公知となった特表2009-541165号公報(以下「周知例1」という。)には、次の事項が記載されている。 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 容器口のための交換可能な調心案内部材(11)を有する容器充填機のための充填装置(1)であって、 調心案内部材(11)は、バヨネット式結合機構(B)によって充填装置(1)に結合可能であり、 ロック位置は、少なくとも1つの永久磁石(15,16)によって解除可能に固定されること を特徴とする充填装置。 ・・・ 【0016】 バヨネット式結合機構Bのロック位置において調心案内部材11を固定するために、調心案内部材11の上面には、互いに対し180°だけずらされ調心案内部材11の上側端面と面一をなすよう配された2つの永久磁石16が固定されている。これらの永久磁石16は、突出部9に設けられた同様に互いに対し180°だけずらされた2つの永久磁石15と協働する。これらの永久磁石の角度位置は、調心案内部材11がそのロック位置に位置付けられたとき、(突出部9及び調心案内部材11の)永久磁石同士が互いに整列するよう、互いに対し調整されている(図3)。永久磁石15、16の磁極は、このロック位置において、一方では突出部9に及び他方では調心案内部材11に、永久磁石の最大の吸引力が生成されるよう配置される。この吸引力によって、その作動位置における調心案内部材11の安定的な固定状態が形成されるため、運転中の自動的分離は絶対的に確実に阻止される。同時に、永久磁石15、16の吸引力によって、場合によっては有り得る遊びの補償が行われるため、調心案内部材11はロック位置において遊びのない状態を取る。」 (2-4)周知例2の記載事項 本願の優先日前に公知となった特開2005-333201号公報(以下「周知例2」という。)には、次の事項が記載されている。 「【特許請求の範囲】 【請求項1 】 本体と、 上記本体に取り付けられ、上記本体を車の固定部に固定することが可能な取り付け部と、 上記本体から延出する可撓性のアーム部と、 被写体を撮影するために上記アーム部の先端に取り付けられたカメラ部と、 を有することを特徴とするカメラ装置。 【請求項2 】 前記取り付け部は、前記本体を前記固定部に着脱自在に固定可能とされていることを特徴とする請求項1記載のカメラ装置。 【請求項3 】 前記取り付け部は、吸盤とされていることを特徴とする請求項1記載のカメラ装置。 ・・・ 【図2】 [図:0001398950000005.jpg] 」 (2-5)周知例3の記載事項 本願の優先日前に公知となった特開2017-139718号公報(以下「周知例3」という。)には、次の事項が記載されている。 「【0029】 図4に、カメラ付きスマートフォン16の表面と背面を示す。このカメラ付きスマートフォン16は背面に内蔵カメラ17を備えている。このようなスマートフォンを、前記スマートフォン用通信装置に取り付ける。一般的なスマートフォンのカメラは、図4のように筐体背面上部に位置しており、取り付けの際はスマートフォンの筐体下部を手で持つことで容易に位置調整ができる。 【0030】 図5-1は、カメラ付きスマートフォン16を前記スマートフォン用通信装置に取り付けた図である。スマートフォン用通信装置の筐体7とクリップ部品6で、カメラ付きスマートフォン16を挟んで固定する。ばね8、支点9により、前記スマートフォン用通信装置に対し、カメラ付きスマートフォン16の位置は手で容易に位置調整ができ、手を放せば十分な力で固定される。このような仕組みを用いることで、前記スマートフォン用通信装置は様々なサイズ、形状のスマートフォンを固定することができる。 ・・・ 【図4】 [図:0001398950000006.jpg] 【図5-1】 [図:0001398950000007.jpg] 」 (3)本件補正発明と引用発明との対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア構成aの「被験者の顔を撮影する手段」は、具体的には構成d・e・gにおいて「ポラロイドカメラ」やその一形式である「SX-70カメラ」、又は「焦点調節式一眼レフ」カメラからなる手段であり、いずれも被写体の画像を取り込む手段に外ならないから、構成Aの「画像取り込みデバイス」に相当する。そして、ポラロイドカメラや焦点調節式一眼レフカメラはいずれも、被写体の画像を後の鑑賞に耐える程度に鮮明に撮影することができるデバイスであるから、構成Aの「良質画像の取り込みを可能にする」デバイスに相当するといえる。 また、構成aの「装置」は「被験者の顔を撮影する手段を組み込むことができる」のであるから、該手段との関係において、構成Aの「画像取込デバイスと共に使用するためのツール」に相当する。 イ(ア)本願の国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る。)の翻訳文、国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く。)(以下「本願翻訳文等」という。)の【0048】には「画像取込のための標的顔領域が顔領域全体である」との記載があり、本件補正発明の「標的顔領域」は顔全体である場合を含むといえる。 (イ)また、構成d3によれば、引用発明は「自分の顔領域や頭皮を見ることができ、」「美容処置を必要とする可能性がある皮膚の領域を直接見ることができ」るものであるから、顔の特定の領域を見る目的にも用い得るものであり、その場合は構成b1の「被験者の顔が挿入される開いた前面」である「一方の端面」に前記顔の特定の領域が少なくとも含まれるように挿入されるべきことが明らかであるといえる。 (ウ)上記(ア)・(イ)から、本件補正発明における「標的顔領域」が顔全体である態様、顔の一部である態様、いずれについても、構成b1における「コーン部材」の「被験者の顔が挿入される開いた前面」である「一方の端面」は、構成(B1・)B2・B5の「画像取込用の使用者の顔の標的顔領域上に配置されるように構成された開口を備え」る「第1の端部」に相当する。 (エ)構成b1における「コーン部材」の「略角錐台または略直方体の四方の側面によって形成される壁」は、「略角錐台または略直方体の四方の側面」以外の両端面として上記「一方の端面」とその「他方の端面」とを備えるのであるから、逆に該「一方の端面」と「他方の端面」との間は「略角錐台または略直方体の四方の側面によって形成される壁」によって接続されて「略角錐台または略直方体」状の外形からなる体積要素を構成しているといえる。 よって、構成b1における「他方の端面」、「略角錐台または略直方体の四方の側面によって形成される壁」はそれぞれ、構成B1・B5の「第2の端部」、「1つ又は複数の壁」に相当し、構成b1の「一方の端面」、「略角錐台または略直方体の四方の側面」及び「第2の端部」は、構成B1の「第1の端部が、第1の端部と第2の端部との間の取り囲まれた空間を画定する1つ又は複数の壁によって対向する第2の端部に接続され」に相当する関係を有するといえる。 ウ(ア)構成b2の「被験者」は、構成aにおける「被験者の顔を撮影する手段」によって撮影される対象であるから、構成B2の「画像取込用の使用者」に相当する。 (イ)また、構成b2において、「被験者の顔を挿入する開いた前面」が「開いた」部分は、構成B2の「画像取込用の使用者の顔の標的顔領域上に配置されるように構成された開口」に相当する。 エ 構成b3の「鏡の側方に」「設けられ」た「ポラロイドカメラ等のカメラを設けることが可能であ」る「開口」は、構成B3の「前記画像取込デバイスの少なくとも一部を受容するように構成された窓」、構成Eの「前記第2の端部が、前記画像取込デバイス・・・を配置するための前記窓」に相当する。 オ 構成cの「コーン部材の前記他方の端部である他端に」「配置され」た「凹面鏡または非拡大鏡」は、構成Cの「前記第2の端部の内面上に位置付けられる反射デバイス」に相当する。 カ(ア)構成b1によれば、「装置」の「コーン部材は、略角錐台または略直方体の四方の側面によって形成される壁からなり、その一方の端面は被験者の顔が挿入される開いた前面とされ、その他方の端面は、凹面鏡または非拡大鏡からなる鏡が配置された他端とされ」るのであるから、引用発明の「装置」の「一方の端面」と「他方の端面(である他端)」はいずれもコーン部材の「略角錐台または略直方体の四方の側面によって形成される壁」すなわち筒状の壁の両端面に位置しており、両者の距離は前記「壁」の長手方向の長さにより定まっているといえる。 よって、引用発明における「一方の端面」と「他方の端面である他端」とは、構成Dの「前記第1の端部と前記第2の端部との間の所定の距離が定められ」ることに相当する関係を有するといえる。 (イ)構成d5の「コーン部材の前記他方の端面である他端には、凹面鏡または非拡大鏡が配置され」ることは、構成Dの「前記第2の端部の前記内面における前記反射デバイスの前記所定の位置付けが定められ」ることに相当する。 キ 構成eによれば「コーン部材の前記他方の端面である他端には、前記鏡の側方に開口が設けられ、該開口にはポラロイドカメラ等のカメラを設けることが可能であ」り、該カメラは構成gによれば「そのレンズを被写体の顔の距離でプレフォーカスして取付けられる、ポラロイドカメラやSX-70カメラなど、一度被写体にピントを合わせればピントが顔に合い、被写体の肌の状態が写真に記録されるような、固定焦点式または焦点調節式一眼レフなどの非固定焦点式カメラであ」るから、前記開口に設けられるカメラは「プレフォーカス」が可能で「被写体にピントを合わせられ」る「固定焦点式」または「焦点調節」可能なカメラであるから、引用発明において、該カメラには固定焦点とするための、または焦点調節が可能なレンズを伴った状態で前記「開口」に取り付けられることが想定されているといえる。 よって、引用発明は、構成Eの「前記第2の端部が、前記画像取込デバイスのレンズ側の面が前記第2の端部の外面に隣接しているときに、前記画像取込デバイスのレンズを配置するための前記窓を備え」るとの構成に相当する構成を備えるといえる。 ク 構成gの「ポラロイドカメラやSX-70カメラなど、一度被写体にピントを合わせればピントが顔に合い、被写体の肌の状態が写真に記録されるような、固定焦点式または焦点調節式一眼レフなどの非固定焦点式カメラ」は、構成Gの「ハンドヘルドカメラ」に相当する。よって、引用発明は構成Gの「前記画像取込デバイスが・・・ハンドヘルドカメラであ」るとの構成に相当する構成を備える。 ケ 構成hの「コーン部材の他方の端面である他端の操作者側外側面」、「クイックリリースバヨネットマウントまたは同等の手段などの保持部材」はそれぞれ、構成Hの「前記第2の端部の前記外面」、「前記ツールを前記画像取込デバイスに接続するためのコネクタ」に相当する。 コ 一致点・相違点 上記ア~ケのとおりであるから、本件補正発明と引用発明とは下記(ア)の点で一致し、下記(イ)の各点で相違する。 (ア)一致点 「A 良質画像の取込を可能にするために、画像取込デバイスと共に使用するためのツールであって、 B1 第1の端部が、第1の端部と第2の端部との間の取り囲まれた空間を画定する1つ又は複数の壁によって対向する第2の端部に接続され、 B2 前記第1の端部が、画像取込用の使用者の顔の標的顔領域上に配置されるように構成された開口を備え、 B3 前記第2の端部が、前記画像取込デバイスの少なくとも一部を受容するように構成された窓を備える、 B5 前記第1の端部及び前記第2の端部と、 C’ 前記第2の端部の内面上に位置付けられる反射デバイスと、を備え、 D’ 前記第1の端部と前記第2の端部との間の所定の距離が定められ、前記第2の端部の前記内面における前記反射デバイスの前記所定の位置付けが定められ、 E 前記第2の端部が、前記画像取込デバイスのレンズ側の面が前記第2の端部の外面に隣接しているときに、前記画像取込デバイスのレンズを配置するための前記窓を備え、 G 前記画像取込デバイスが、モバイル機器若しくはスマートデバイスの一部であるか、パーソナルコンピュータの一部であるか、ハンドヘルドカメラであり、 H 前記画像取込デバイスのレンズ側の面が前記第2の端部の前記外面に隣接するように、前記ツールを前記画像取込デバイスに接続するためのコネクタを更に備える、 J ツール。」 (イ)相違点 a.相違点1(構成B4) 第1の端部と第2の端部を接続する壁について、本件補正発明は「開口部がない」と特定するのに対し、引用発明は対応する明示的な特定事項を備えない点。 b.相違点2(構成C・D) 反射デバイスの機能について本件補正発明では「前記使用者は、前記反射デバイス内の前記標的顔領域の反射を提供することによって、前記第1の端部の位置を前記標的顔領域上に位置合わせすることができ」、「前記使用者が前記反射デバイスの所定の対象の前記反射を位置付けるとき、前記標的顔領域の良質画像が前記画像取込デバイスによって取込まれ」るものと特定するのに対し、引用発明では、対応する明示的な特定事項を備えない点。 c.相違点3(構成F) 反射デバイスの大きさについて、本件補正発明は「反射表面積が、80mm2~650mm2の範囲」と特定するのに対し、引用発明では「被験者の顔を拡大するために頻繁に使用される典型的な美容タイプのものであり、コーン部材他端においてカメラを設ける開口を凹面鏡の側方に設ける場合において、凹面鏡の直径は10cm程度のものであり得」るとの特定事項を備える点。 d.相違点4(構成I) コネクタについて、本件補正発明では「接着剤、フックアンドループファスナー、磁気ファスナー、クリップファスナー、弾性ファスナー、及び吸引カップファスナーからなる群から選択される」のに対し、引用発明では「クイックリリースバヨネットマウントまたは同等の手段」である点。 (4)判断 上記各相違点について検討する。 ア 相違点1について (ア)引用発明の構成b4において、「コーン部材(の壁)」は「コーン部材は天井照明または他の照明が、紫外線が被験者の皮膚に与える影響を不明瞭にするのを防ぐためのもので、コーン部材の前記壁は、外来室内光を遮断するシェードとして機能するものであ」ると特定されるものである。また、該「壁」が「一方の端面」及び「他方の端面」以外の開口を備えるとの特定事項は存在しない。 (イ)ところで、構成b4の「シェード」は遮光手段を意味するし、室内に設置した物品に対し、天井照明による外来光は、天井方向のみならず、床や壁面・室内什器等による反射・散乱を通じその周囲のあらゆる方向から入射することが技術常識であるから、引用発明において前記「壁」が「コーン部材の前記壁は、外来室内光を遮断するシェードとして機能するものであ」るためには、該「壁」全体が遮光材料からなり、外来光の入射を許す開口を設けない構成でなくてはならないことは自明であり、このことから、引用発明の「壁」はそのような、開口部を備えない態様を少なくとも含むといえる。 このことは、該「壁」に「一方の端面」及び「他方の端面」以外の開口があるとの言及は引用文献1の明細書・図面を通じ存在しないことによっても裏付けられる。 (ウ)よって、引用発明は、これに少なくとも含まれる一態様において、相違点1に相当する構成を備えるということができ、相違点1は実質的な相違点であるとはいえない。 (エ)また、仮に引用発明の「壁」が開口を備えない態様を含むとまでいえないとしても、構成b4において特定される「壁」の「コーン部材の前記壁は、外来室内光を遮断するシェードとして機能する」との特定事項に照らし、該機能を達成するために、該「壁」を開口のないものとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 イ 相違点2について イ1(ア)引用発明において、「凹面鏡または非拡大鏡」なる鏡は「コーン部材の前記他方の端面である他端」に配置(構成d5)即ち固定されるものであり、「該鏡の側方」に設けた「カメラを設ける」「開口」(構成e)は、前記鏡に対して位置関係が固定されるものである。 (イ)また、引用発明において、カメラは開口に対し「他方の端面である他端の外側面に、そのレンズを被写体の顔の距離でプレフォーカスし・・・保持される」(構成h)のであるから、保持されて以降はカメラの視野と光軸は「装置」に対して固定的である。 (ウ)そうすると、引用発明において、コーン部材の一方の端面に挿入した被験者の顔の配置(両眼の配置を含む)に対し、被験者が前記鏡の反射により映して見ることができる自身の顔の範囲、及び開口に取り付けられたカメラにより撮影される顔の範囲の関係は、一意に定まるということができる。 (エ)よって、引用発明においては、幾何光学的に既知である前記関係に基づいて、被験者は前記鏡に映った自らの顔の部分やその配置を拠り所に、装置のコーン部材の一方の端面や、カメラの視野に対し、自らの顔を位置合わせすることができるといえる。 (オ)一方で、両眼の間隔や、両眼に対する顔の他部位の相対位置は被験者の顔貌によって異なるから、引用発明において、顔全体を映して余りある鏡を用いない限り、鏡に顔のどの範囲が映っている場合に、カメラでどの範囲が撮影されるかについて、被験者を問わない普遍的な関係を導くことはできない。しかし、本件補正発明も、鏡の大きさは構成Fによれば「80mm2~650mm2」であり、正方形の鏡であれば一辺が9~25mm程度であるから、18~50mm四方程度の範囲しか映せず、顔全体を映すことが不可能な鏡の使用を想定しているから、鏡に顔のどの範囲が映っている場合に、カメラでどの範囲が撮影されるかについて、被験者を問わない普遍的な関係を導くことはできない点では前記引用発明と相違ないといえる。 (オ)したがって、構成Cの「前記使用者は、前記反射デバイス内の前記標的顔領域の反射を提供すること」には、構成cの「凹面鏡や非拡大鏡」により「被験者が自分の顔を見ることができる」こと、即ち顔を映すことができることが相当するといえる。 (カ)また、構成Cの「第1の端部の位置を前記標的顔領域上に位置合わせすることができる」ことには、上記(エ)で述べた「被験者は前記鏡に映った自らの顔の部分やその配置に基づいて、装置のコーン部材の一方の端面・・・に対し、自らの顔を位置合わせすることができる」ことが相当するといえる。 (キ)また、構成Dの「前記使用者が前記反射デバイスの所定の対象の前記反射を位置付けるとき、前記標的顔領域の良質画像が前記画像取込デバイスによって取込まれ」ることには、上記(エ)の「被験者は前記鏡に映った自らの顔の部分やその配置に基づいて、・・・カメラの視野に対し、自らの顔を位置合わせすることができる」ことが相当するといえる。 (ク)以上のとおりであるから、引用発明は相違点2に相当する構成(機能)を実質的に備えるということができ、よって、相違点2は実質的な相違点であるとはいえない。 イ2 一方、引用発明が構成d1で「写真が被写体が見ているものと実質的に同じになるように」することを目的とするものであることから、被験者の顔貌の個体差により、鏡に映る顔範囲と撮影範囲との関係に上記(エ)で説示したとおりの非普遍性があるといえども、引用発明において、鏡に映った被験者の顔領域が、撮影した場合の顔領域と、できるだけ同様となるようにする動機付けは存在するといえる。 よって、仮に引用発明が、上記イ1(カ)で説示したとおりに、鏡を被験者の顔の位置合わせ目的に用い得るものであるとまでいえないとしても、前記引用発明に内在する動機付けに基づいて、鏡の位置を、位置合わせに用いるに足る位置とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 ウ 相違点3について ウ1(ア)引用発明では、「典型的な美容タイプの」凹面鏡を用いることが特定されているが、市販の「典型的な美容タイプの」凹面鏡の倍率は2~10倍程度の範囲であることが技術常識である。そうすると、引用発明において、図示を根拠に認定した直径10cm程度の略円形の「典型的な美容タイプの凹面鏡」は、引用発明の鏡の選択肢に含まれる非拡大鏡、すなわち平面鏡に置き換えれば、直径10~50mm程度(面積にして80~2000mm2程度)の円形鏡と同等の視野範囲であるといえる。 (イ)一方、本件補正発明において「反射デバイス」が平面鏡・凸面鏡・凹面鏡のいずれであるのか限定されないうえに、顔を映す鏡としては手鏡にみられるように映す画が変形しない平面鏡を用いることも常識であることからして平面鏡である場合も当然含まれるといえる。 (ウ)そうすると、引用発明の凹面鏡を平面鏡に置き換えた場合の視野範囲が同等な鏡の面積範囲と、反射デバイスが平面鏡である場合を含む本件補正発明における相違点3に係る鏡の面積範囲とは重複しており、両者で相違しない数値範囲が含まれるから、相違点3は実質的なものとはいえない。 ウ2 また、本件補正発明は上記ウ1(イ)で説示したとおり凸面鏡である場合も含まれ、その倍率範囲も種々のものが含まれるといえる。凸面鏡を用いた場合には、同等の面積の平面鏡に比べ広い視野範囲が得られることは、カーブミラーに凸面鏡が用いられていることにも例示されるとおり、広く応用されている技術常識であるから、仮に相違点3が実質的なものであるとしても、引用発明において、鏡を凸面鏡に換えて小さな面積の鏡で同等の視野範囲を得るようにする程度のことは、技術常識に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 ウ3 さらに、引用発明も、構成b2・d3によれば「美容処置を必要とする可能性がある皮膚の領域を直接見ることができるため」や、「肌を分析される個人が自分の顔領域や頭皮を見ることができ」るために用いられるものである。ここで、美容分野において「美容処置を必要とする可能性がある皮膚の領域」が眼の周辺や頬など顔の一部である場合があることは技術常識であるし、「自分の顔領域や頭皮」と顔領域やその周辺の領域を選択的に「見る」ことを含むものでもあるから、引用発明は、顔全体のみならず、顔の特定の「皮膚の領域」や「頭皮」部分のみを目視または撮影の対象とする用途に供される場合を含むといえる。その場合、鏡の使用目的が撮影のための位置合わせであるとしても、そこに映る範囲は前記特定の「皮膚の領域」等であれば足る。 相違点3に係る本件補正発明の面積上限値650mm2の反射デバイスは、円形鏡であれば直径約28.8mmに相当し、これは直径約57mmの円形範囲を映し得る鏡であるから、引用発明において、頬やTゾーン、顎など顔の特定の「皮膚の領域」を映す目的であれば十分な大きさであるということができる。 よって、引用発明において、鏡(非拡大鏡)の面積範囲を相違点3に係る数値範囲とすることは、引用発明の目的に照らし当業者が適宜選択し得た事項に過ぎないといえる。 ウ4 さらに、引用発明と同様に、顔面の審美的な目的での撮影に用いる装置として、目の周りのみを観察対象とする小型の装置も、上記引用文献2技術事項として認定したとおり公知の技術事項である。 そうすると、引用発明に該公知の技術事項を適用し、引用発明を眼の周り観察・撮影用の小型装置とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 また、当該公知の技術事項はミラーを備えるものであるし、眼の周りを観察対象とし、マスクの「周囲全体が目の周りの顔面に押しつけられるように」使用するもので、マスク内の照明手段も備えるから、使用時に装置のマスク内部を目視することが可能であって、前記引用発明への適用にあたり、引用発明が備える目視用のミラーを維持することに阻害要因はない。 そうすると、引用発明に前記公知の技術事項を適用し眼の周り観察用に小型化した想到容易な構成において、目視確認用の鏡も装置の小型化に合わせて必然的に、眼の大きさ程度、すなわち円形であれば20~30mm程度の円形鏡に小型化せざるを得ないのであり、この円形鏡の数値範囲は、相違点3に係る構成Fの数値範囲と重複する。 よって、このことからも、引用発明において相違点3の構成とすることは、引用文献2技術事項に基づいて、当業者が容易になし得たことであるといえる。 エ 相違点4について 本件補正発明の構成Iにおける「ファスナー」は、広く部材間の結合機構を意味する技術用語である。 そして、引用発明の「バヨネットマウント」も、カメラ用途であることを考慮すると、バヨネットマウント機構の結合回転位置に位置決め・維持するためのクリック機構を備える態様が少なくとも含まれるといえ、該態様におけるクリック機構は一般にスプリング要素を伴うから、弾性を利用した結合機構である点で構成Iの「弾性ファスナー」の一種であるといえるから、相違点4は実質的な相違点であるとはいえない。 また、構成Iに列挙される「フックアンドループファスナー、磁気ファスナー、クリップファスナー、弾性ファスナー、吸引カップファスナー」はいずれもファスナー機構としてはごく周知のものであり、また「接着剤」が結合手段として周知慣用のものであることはいうまでもない。 例えば、磁気ファスナーとしては、単に磁力で吸着させるファスナーはもちろん、周知例1に記載されるような、バヨネット方式の結合機構(バヨネットマウント)と組み合わせて、ロック状態を維持安定化させるようなものも慣用されている。 また、カメラと他の部材との結合機構に限っても、それぞれ周知例2・3に例示されるように、吸盤やクリップによるものもごく周知慣用の手段に過ぎず、前記吸盤からなる結合機構は構成Iの「吸引カップファスナー」に、前記クリップからなる結合機構は構成Iの「クリップファスナー」に、それぞれ相当する。 よって、引用発明において、カメラと装置との結合に、クイックリリースバヨネットマウントに換えて、前記周知慣用の接着剤や、吸引カップ・弾性・フックアンドループ・クリップなる各種ファスナーとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 オ 本件補正発明により奏される効果は、当業者が、引用発明、引用文献2技術事項、及び周知の技術事項から予測し得た範囲内のものであって、格別のものではない。 カ したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献2技術事項、及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)審判請求書及び上申書における主張について ア 審判請求書において請求人は、主として本件補正により本件補正発明に加入された構成H・Iに基づく進歩性を主張している。 しかし、該各構成の存在によっても本件補正発明が進歩性を有さないことは、上記(3)コや(4)エにおいて説示したとおりであるから、請求人の前記主張はあたらない。 イ また、上申書において請求人は、「バヨネットマウント(bayonet mounts)」は、カメラにレンズを取り付ける締結機構であり、本件補正発明の図1、図2をみれば明らかなように、本願発明の構成は、「カメラにレンズを取り付ける締結機構」である「バヨネットマウント(bayonet mounts)」を使用する構成とは異なり、カメラのレンズのような丸い形状を締結する構成ではない旨、主張している。 しかし、構成Hによれば、本件補正発明はハンドヘルドカメラ等の画像取込デバイスの「レンズ側の面」つまりレンズを「第2の端部」に取り付けるものであるから、前記主張のうち、「カメラのレンズのような丸い形状を締結する構成ではない」との点は特許請求の範囲の記載に基づくものではなく根拠を欠く。 また、本願発明の構成Iに列挙される各種ファスナー自体や、それらによりハンドヘルドカメラ等の画像取込デバイスの「レンズ側の面」(構成H)を「第2の端部」に取り付ける機構の具体的構成について、本願の明細書において開示はなく、本件補正発明の構成Iに列挙される各種ファスナーと引用発明の「バヨネットマウント」との異同や置換容易性については、相違点4に関連し上記(4)エで説示したとおりである。 4 本件補正についてのむすび 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3.本願発明について 1 本願発明 令和4年5月13日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和3年12月13日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~12に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由のうち、理由1は、本願は引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1.米国特許第4911544号明細書(上記第2.3(2-1)に挙げた引用文献1と同じ) 引用文献2.特開2004-33727号公報(上記第2.3(2-2)に挙げた引用文献2と同じ) 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び引用文献2の記載事項は、前記第2.3(2-1)・(2-2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2.3で検討した本件補正発明から、構成H・Iに係る限定事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2.2(3)・(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-007221

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