2022-006929
防災システム
- 審判番号
- 2022-006929
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-141950外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年05月10日
- 審決日
- 2023年05月30日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .55 -WY (G08B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第4項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成28年9月23日に出願した特願2016-184988号の一部を令和2年8月25日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。
令和 2年 9月15日 上申書
令和 3年 5月18日付け 拒絶理由通知書
7月14日 意見書・手続補正書
9月 1日付け 拒絶理由通知書(最後)
10月13日 意見書・手続補正書
令和 4年 2月16日付け 補正却下・拒絶査定
5月10日 審判請求書・手続補正書
令和 5年 2月28日付け 補正却下・拒絶理由通知書(最後)
4月10日 意見書・補正書
以下では、令和4年2月16日付け拒絶査定を「原査定」といい、令和5年2月28日付け拒絶理由通知書(最後)で通知された理由を「当審拒絶理由」といい、令和3年7月14日の手続補正書による補正を「審査時補正」といい、令和5年4月10日の手続補正書による補正を「本件補正」という。
第2 本件補正の適法性
本件補正が適法であるかについて判断する。
1 本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲並びに明細書【0018】及び【0025】を、以下の(1)から以下の(2)へと補正するものである。
(1)本件補正前の特許請求の範囲及び明細書
本件補正前の、審査時補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1~7並びに明細書【0018】及び【0025】の記載は、次のとおりである。
「 【請求項1】防災監視エリアに対応して配置した端末機器から信号回線を介して送信され防災受信盤で受信される火災に関する所定の信号に基づき火災警報を出力する防災システムに於いて、前記信号回線に流れる電流値を測定し、前記測定した電流値の異常である電流値異常を所定の電流値異常判定条件に基づいて判定し、前記電流値異常の発生が予測される状態である電流値異常の予兆を所定の電流値異常の予兆判定条件に基づいて判定する制御部を備え、前記防災受信盤は、続きを表示(全39行)少なくとも前記制御部が前記電流値異常を判定した場合に前記電流値異常の警報を出力し、前記制御部が前記電流値異常の予兆を判定した場合に前記電流値異常の予兆警報を出力する第1の表示部と、少なくとも前記制御部により前記電流値異常又は前記電流値異常の予兆と判定された前記信号回線の判定結果と電流値の測定結果を表示する第2の表示部と、を備え、前記第2の表示部は、前記第1の表示部と同時に視認されない位置に配置されたことを特徴とする防災システム。【請求項2】防災監視エリアに対応して配置した端末機器から信号回線を介して送信され防災受信盤で受信される火災に関する所定の信号に基づき火災警報を出力する防災システムに於いて、前記信号回線に流れる電流値を測定し、前記測定した電流値の異常である電流値異常を所定の電流値異常判定条件に基づいて判定し、前記電流値異常の発生が予測される状態である電流値異常の予兆を所定の電流値異常の予兆判定条件に基づいて判定する制御部を備え、前記防災受信盤は、少なくとも前記制御部が前記電流値異常を判定した場合に前記電流値異常の警報を出力し、前記制御部が前記電流値異常の予兆を判定した場合に前記電流値異常の予兆警報を出力する第1の表示部と、少なくとも前記制御部により前記電流値異常又は前記電流値異常の予兆と判定された前記信号回線の判定結果と電流値の測定結果を表示する第2の表示部と、を備え、前記第2の表示部は、前記第1の表示部が視認されない位置からも視認可能に配置されたことを特徴とする防災システム。【請求項3】請求項1又は2記載の防災システムであって、前記防災受信盤の筐体に、当該筐体の前方回りに回動することにより開閉可能な扉を設け、前記第1の表示部は、前記扉の閉鎖時に前記筐体の前方から視認されるように配置され、前記第2の表示部は、前記扉の閉鎖時において前記扉の裏面側である前記筐体内部に、前記扉の開放時に前記第1の表示部が視認されない位置から視認されるように配置されることを特徴とする防災システム。【請求項4】請求項1乃至3何れかに記載の防災システムに於いて、前記電流値が所定の第1閾範囲外となった場合に前記電流値異常と判定し、前記電流値が前記所定の第1閾範囲内であって、当該所定の第1閾範囲より狭い第2閾範囲外となった場合に前記電流値異常の予兆と判定することを特徴とする防災システム。【請求項5】請求項1乃至3何れかに記載の防災システムに於いて、前記制御部が所定の期間に於いて測定した前記電流値から過去の平均電流値を求め、前記制御部が今回測定した前記電流値と前記平均電流値との相関に基づいて前記制御部が前記電流値異常の予兆と判定することを特徴とする防災システム。【請求項6】請求項1乃至3何れかに記載の防災システムに於いて、前記制御部が前回測定した前記電流値と、今回測定した電流値との相関に基づいて前記制御部が前記電流値異常の予兆と判定することを特徴とする防災システム。【請求項7】防災監視エリアに対応して配置した端末機器から信号回線を介して送信され防災受信盤で受信される火災に関する所定の信号に基づき火災警報を出力する防災システムに於いて、前記信号回線に流れる電流値を測定し、前記測定した電流値の異常である電流値異常を所定の電流値異常判定条件に基づいて判定し、前記電流値異常の発生が予測される状態である電流値異常の予兆を、所定の期間に於いて測定した前記電流値から求めた過去の平均電流値と今回測定した前記電流値との相関に基づいて判定する制御部を備え、前記制御部が前記電流値異常を判定した場合に前記電流値異常の警報を出力し、前記制御部が前記電流値異常の予兆を判定した場合に前記電流値異常の予兆警報を出力することを特徴とする防災システム。」
「 【0018】(第1の表示部及び第2の表示部の配置)第2の表示部は、第1の表示部と同時に視認されない位置に配置されるか、第1の表示部が視認されない位置からも視認可能に配置される。より具体的には、防災受信盤の筐体に、当該筐体の前方回りに回動することにより開閉可能な扉を設け、第1の表示部は、扉の閉鎖時に筐体の前方から視認されるように配置され、第2の表示部は、扉の閉鎖時において扉の裏面側である筐体内部に、扉の開放時に第1の表示部が視認されない位置から視認されるように配置される。」
「 【0025】(第1の表示部及び第2の表示部の配置による効果)(表示部による画面警報表示の効果)また、第2の表示部は、第1の表示部と同時に視認されない位置に配置されるか、第1の表示部が視認されない位置からも視認可能に配置される、より具体的には、防災受信盤の筐体に、当該筐体の前方回りに回動することにより開閉可能な扉を設け、第1の表示部は、扉の閉鎖時に筐体の前方から視認されるように配置され、第2の表示部は、扉の閉鎖時において扉の裏面側である筐体内部に、扉の開放時に第1の表示部が視認されない位置から視認されるように配置されるようにしたため、制御部により電流値異常又は電流値異常の予兆が判定されると、第1の表示部により電流値異常又は電流値異常の予兆を知り、第2の表示部に画面表示された判定結果と電流値の測定結果を見ることで電流値異常又は電流値異常の予兆と判定された信号回線の詳細情報を知ることができ、必要とする情報に合わせて見る表示部を選択して必要な対処を可能とする。また、第1の表示部と同時に視認されない位置に配置されるか、第1の表示部が視認されない位置からも視認可能に配置されるため、一つの表示部だけを確認できる位置が存在することで、確認したい表示部の表示のみを確認することを可能とする。」
(2)本件補正後の特許請求の範囲並びに明細書
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1~5並びに明細書【0018】及び【0025】の記載は、次のとおりである。なお、下線は補正箇所を示すために審判請求人が付したものである。
「 【請求項1】防災監視エリアに対応して配置した端末機器から信号回線を介して送信され防災受信盤で受信される火災に関する所定の信号に基づき火災警報を出力する防災システムに於いて、前記信号回線に流れる電流値を測定し、前記測定した電流値の異常である電流値異常を所定の電流値異常判定条件に基づいて判定し、前記電流値異常の発生が予測される状態である電流値異常の予兆を所定の電流値異常の予兆判定条件に基づいて判定する制御部を備え、前記防災受信盤は、続きを表示(全27行)少なくとも前記制御部が前記電流値異常を判定した場合に前記電流値異常の警報を出力し、前記制御部が前記電流値異常の予兆を判定した場合に前記電流値異常の予兆警報を出力する第1の表示部と、少なくとも前記制御部により前記電流値異常又は前記電流値異常の予兆と判定された前記信号回線の判定結果と電流値の測定結果を表示する第2の表示部と、を備え、前記防災受信盤の筐体に、当該筐体の前方回りに回動することにより開閉可能な扉を設け、前記第1の表示部は、前記扉の表面側である前記筐体外部に配置され、前記第2の表示部は、前記扉の裏面側である前記筐体内部に配置されたことを特徴とする防災システム。【請求項2】請求項1記載の防災システムに於いて、前記電流値が所定の第1閾範囲外となった場合に前記電流値異常と判定し、前記電流値が前記所定の第1閾範囲内であって、当該所定の第1閾範囲より狭い第2閾範囲外となった場合に前記電流値異常の予兆と判定することを特徴とする防災システム。【請求項3】請求項1記載の防災システムに於いて、前記制御部が所定の期間に於いて測定した前記電流値から過去の平均電流値を求め、前記制御部が今回測定した前記電流値と前記平均電流値との相関に基づいて前記制御部が前記電流値異常の予兆と判定することを特徴とする防災システム。【請求項4】請求項1記載の防災システムに於いて、前記制御部が前回測定した前記電流値と、今回測定した電流値との相関に基づいて前記制御部が前記電流値異常の予兆と判定することを特徴とする防災システム。【請求項5】防災監視エリアに対応して配置した端末機器から信号回線を介して送信され防災受信盤で受信される火災に関する所定の信号に基づき火災警報を出力する防災システムに於いて、前記信号回線に流れる電流値を測定し、前記測定した電流値の異常である電流値異常を所定の電流値異常判定条件に基づいて判定し、前記電流値異常の発生が予測される状態である電流値異常の予兆を、所定の期間に於いて測定した前記電流値から求めた過去の平均電流値と今回測定した前記電流値との相関に基づいて判定する制御部を備え、前記制御部が前記電流値異常を判定した場合に前記電流値異常の警報を出力し、前記制御部が前記電流値異常の予兆を判定した場合に前記電流値異常の予兆警報を出力することを特徴とする防災システム。」
「 【0018】(第1の表示部及び第2の表示部の配置)防災受信盤の筐体に、当該筐体の前方回りに回動することにより開閉可能な扉を設け、第1の表示部は、扉の表面側である筐体外部に配置され、第2の表示部は、扉の裏面側である筐体内部に配置される。」
「 【0025】(第1の表示部及び第2の表示部の配置による効果)(表示部による画面警報表示の効果)また、防災受信盤は、少なくとも制御部が電流値異常を判定した場合に電流値異常の警報を出力し、制御部が電流値異常の予兆を判定した場合に電流値異常の予兆警報を出力する第1の表示部と、少なくとも制御部により電流値異常又は電流値異常の予兆と判定された信号回線の判定結果と電流値の測定結果を表示する第2の表示部と、を備え、防災受信盤の筐体に、当該筐体の前方回りに回動することにより開閉可能な扉を設け、第1の表示部は、扉の表面側である筐体外部に配置され、第2の表示部は、扉の裏面側である筐体内部に配置されるようにしたため、制御部により電流値異常又は電流値異常の予兆が判定されると、第1の表示部により電流値異常又は電流値異常の予兆を知り、第2の表示部に画面表示された判定結果と電流値の測定結果を見ることで電流値異常又は電流値異常の予兆と判定された信号回線の詳細情報を知ることができ、必要とする情報に合わせて見る表示部を選択して必要な対処を可能とする。」
2 本件補正の目的
特許請求の範囲についての本件補正の目的は、以下の(1)~(6)のとおりと認められる。
(1)本件補正前の請求項1に対する本件補正の目的
本件補正前の請求項1は、本件補正によって削除されたと認める。
したがって、本件補正前の請求項1に対する本件補正は、特許法17条の2第5項1号に規定する「請求項の削除」を目的とすると認められる。
(2)本件補正前の請求項2に対する本件補正の目的
本件補正前の請求項2に対する本件補正は、以下の(i)及び(ii)からなる。
(i) 本件補正前の請求項1を削除したことに伴い、本件補正前の請求項2を繰り上げて請求項1とする。
(ii) 本件補正前の請求項2に係る発明から「前記第2の表示部は、前記第1の表示部が視認されない位置からも視認可能に配置された」との発明特定事項(以下、「特定事項A」という。)を削除し、「前記防災受信盤の筐体に、当該筐体の前方回りに回動することにより開閉可能な扉を設け」との発明特定事項(以下、「特定事項B」という。)、「前記第1の表示部は、前記扉の表面側である前記筐体外部に配置され」との発明特定事項(以下、「特定事項C」という。)及び「前記第2の表示部は、前記扉の裏面側である前記筐体内部に配置された」との発明特定事項(以下、「特定事項D」という。)を付加する。
前記(i)の補正は、本件補正前の請求項1が削除されたことに伴い、請求項の項番を正しい番号である「1」に繰り上げて訂正するものであるから、特許法17条の2第5項3号に規定する「誤記の訂正」を目的とすると認められる。
前記(ii)の補正については、以下のとおりである。
特定事項C及びDにより特定される「第1の表示部」及び「第2の表示部」の配置では、両表示部の間に扉が存在するため、「第1の表示部」が視認されない位置から「第2の表示部」が視認可能となる。そうすると、特定事項C及びDで特定される配置は、特定事項Aで特定される配置の1種であると認められるから、本件補正により導入される特定事項C及びDは、本件補正により削除される特定事項Aをさらに限定したものであると認められる。
また、特定事項Bは「防災受信盤」の構成をさらに限定するものである。
そして、前記(ii)の補正の前後で、当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は変わらない。
よって、特定事項Aを削除し、特定事項B~Dを付加する前記(ii)の補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とすると認められる。
以上によれば、本件補正前の請求項2に対する本件補正は、特許法17条の2第5項2号及び3号を目的とすると認められる。
(3)本件補正前の請求項3に対する本件補正の目的
本件補正前の請求項3は、本件補正によって削除された。
したがって、本件補正前の請求項3に対する本件補正は、特許法17条の2第5項1号に規定する「請求項の削除」を目的とすると認められる。
(4)本件補正前の請求項4~6に対する本件補正の目的
本件補正前の請求項4~6は、本件補正後の請求項2~4に対応する。これら請求項の項番の補正は、請求項1及び3が削除されたことに伴い、請求項の項番を正しい番号に繰り上げて訂正するものであるから、特許法17条の2第5項3号に規定する「誤記の訂正」を目的とすると認められる。
また、本件補正前の請求項4~6は請求項1乃至3を引用していたところ、本件補正は、請求項1及び3の引用を削除するものであるから、特許法17条の2第5項2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とすると認められる。
以上によれば、本件補正前の請求項4~6に対する本件補正は、特許法17条の2第5項2号及び3号を目的とすると認められる。
(5)本件補正前の請求項7に対する本件補正の目的
本件補正前の請求項7(本件補正後の請求項5)に対する本件補正は、本件補正前の請求項1及び3が削除されたことに伴い、請求項の項番を正しい番号である「5」に繰り上げて訂正するものであるから、特許法17条の2第5項3号に規定する「誤記の訂正」を目的とすると認められる。
(6)本件補正の目的についての小括
前記(1)~(5)のとおりであるから、本件補正は、特許法17条の2第5項1~3号を目的とすると認められる。
3 本件補正による新規事項追加の有無
本件補正によって加入される特定事項B~Dは、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)の【0044】~【0046】、図2及び図3等から明らかな事項である。
また、明細書【0018】及び【0025】についての本件補正は、特許請求の範囲との整合を図るものであり、当初明細書等から明らかな事項である。
したがって、本件補正は当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法17条の2第3項の規定を満たす。
4 本件補正によるシフト補正の有無
本件補正が特許法17条の2第4項の規定を満たすことは明らかである。
5 独立特許要件の適否
以下の第5及び第6に示すとおりであるから、本件補正が特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定を満たすことは明らかである。
6 本件補正についての小括
前記1~5のとおりであるから、本件補正は適法になされたものである。
第3 本願発明
本願発明は、前記第2、1(2)に示したとおりである。
第4 原査定の理由及び当審拒絶理由の概要
原査定の理由及び当審拒絶理由の概要は、いずれも、次のとおりである。
審査時補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
第5 原査定の理由についての判断
前記第2、3のとおり、本件補正は当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法17条の2第3項の規定を満たす。
第6 むすび
前記第5のとおり、本願発明は特許法17条の2第3項の規定を満たし、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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