2022-006344
安全確認評価装置、車載装置、これらを備えた安全確認評価システム、安全確認評価方法、及び安全確認評価プログラム
- 審判番号
- 2022-006344
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-117575外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年04月26日
- 審決日
- 2023年01月11日
- 公報発行日
- 2023年02月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .121-WY (G08G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 19項目
第1 手続の経緯
本願は、平成30年6月21日(優先権主張平成29年12月13日)の出願であって、令和3年6月28日付け(発送日:令和3年7月13日)で拒絶の理由が通知され、その指定期間内の令和3年9月6日に意見書及び手続補正書が提出されたが、令和4年1月27日付け(発送日:令和4年2月2日)で拒絶査定がなされ、これに対し、令和4年4月26日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正書が提出されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は大略以下のとおりである。
この出願については、令和3年6月28日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって、拒絶をすべきものです。
なお、意見書及び手続補正書の内容を検討しましたが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。
備考
●理由1(特許法第29条第1項第3号)について
請求項1-5、7-8、10及び12-13に係る発明は、引用文献1に記載された発明であるから特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
●理由2(特許法第29条第2項)について
請求項1-5、7-8、10及び12-13に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許をすることができない。
●理由2(特許法第29条第2項)について
請求項6、9及び11に係る発明は、引用文献1-4に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許をすることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2004-157880号公報
2.特開2010-39686号公報
3.国際公開第2009/148188号
4.特開2014-194625号公報
第3 本願発明
本願の請求項1ないし13に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明13」という。)は、令和4年4月26日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載されたとおりものであるところ、本願発明1は、特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。
「 車両の運転者の安全確認動作を評価する安全確認評価装置であって、前記車両の交差点への進入時刻を推定する交差点推定部と、前記運転者の顔の向き又は視線の向きの少なくともいずれかの情報を取得する情報取得部と、前記交差点推定部により推定された前記進入時刻の前後所定時間に取得された前記情報に基づいて、前記運転者の安全確認動作を評価する評価部とを備え、前記交差点推定部が、前記車両の角速度データが所定の角速度閾値を超えた時刻の前後所定時間の角速度データの積分値を演算し、演算された積分値が所定の積分比率に到達した時刻を前記進入時刻として推定するものであることを特徴とする安全確認評価装置。」
第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1
(1)引用文献1の記載事項
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原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された引用文献1(特開2004-157880号公報)には、「確認行動評価装置」に関して図面(特に【図1】ないし【図26】を参照。)とともに以下の記載がある(下線部は当審が付した。以下同様。)。
ア 「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、確認行動評価装置にかかり、特に、移動体の挙動に対応して乗員が確認すべき確認行動を評価する確認行動評価装置に関する。」
イ 「【0010】本発明は、上記事実を考慮して、車両などの移動体の挙動に応じて乗員がなした確認行動を適切に評価できる確認行動評価装置を得ることが目的である。」
ウ 「【0033】【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。本実施の形態は、走行時における車両の挙動に対する乗員(ドライバ)の確認行動の良否を判定する確認行動判定装置として機能する部分を含む確認行動評価装置に本発明を適用したものである。【0034】図2に示すように、本実施の形態にかかる確認行動評価装置10は、CPU12、ROM14、RAM16、及び入出力インタフェース18をデータやコマンドを授受可能にバスにより接続したコンピュータを含んで構成されると共に、車両に搭載可能に構成されている。入出力インタフェース18には、各種データを記憶したメモリ20が接続されている。【0035】また、入出力インタフェース18には、各種センサ22、メディアリードライト装置24、出力装置としてのプリンタ26、入力装置としてのキーボード28、及び表示装置としてのモニタ30が接続されている。なお、プリンタ26は必須の構成ではなく、本実施の形態の確認行動評価装置10の評価結果を印刷する場合に接続する。また、メディアリードライト装置24も必須の構成ではなく、後述する処理ルーチンの読み書きや確認行動評価装置10の評価結果のデータを読み書きしたり、各種データを読み書きしたりするときに接続する。【0036】各種センサ22には、運転状態計測装置として、車両の挙動を検出するための挙動検出センサ及び車両の乗員の行動を検出する行動検出センサが含まれている。挙動検出センサの一例としては、操舵角センサ、車速センサ、ヨーレートセンサ、ブレーキペダル踏込み量センサ、アクセルペダル踏込み量センサ、及びウィンカセンサなどがある。また、車両の挙動として道路などの走行路における車線に対する挙動を把握するために、車線を検出する車線検出装置などの検出センサを含むことができ、また車両の位置を把握するためにGPSなどの位置検出センサを含むことができる。車線検出装置の一例には特開平08-261756号公報に開示された技術がある。さらに、ナビゲーションシステムのように、地図データを有して車両の経路を案内したり経路履歴を記憶したりする経路案内装置を含むことができる。」
エ 「【0040】確認行動評価装置10を構成する運転状態計測装置32は、車両の挙動及び乗員の行動を含む運転状態を計測する装置であり、各種センサの検出値から、車両の挙動や車両の乗員の行動を含む運転状態を計測する。【0041】すなわち、操舵角センサ、車速センサ、ヨーレートセンサ、ブレーキペダル踏込み量センサ、アクセルペダル踏込み量センサ、及びウィンカセンサなどにより車両の挙動を把握して運転状態を求める。また、車線検出装置などの検出値により道路などの走行路における車線を把握したり、GPS(衛生利用測位システム)やGIS(地理情報システム)などの位置検出値により車両の位置や方向そして周囲の状況などを把握することもできる。また、運転状態計測装置32は、乗員の視線方向や顔向きを検出する検出装置による検出値から乗員の行動を計測したり、乗員を撮影した画像から乗員を識別する計測をしたりすることもできる。【0042】確認行動判定装置34は、運転状態計測装置32による計測結果から乗員の確認行動を判定するもので、基本行動分類部40、基本行動内状態演算部42、視線配分演算部44、比較演算部46、及び表示用処理部48から構成される。これらの基本行動分類部40、基本行動内状態演算部42、視線配分演算部44、比較演算部46及び表示用処理部48には、運転状態計測装置32の計測信号が入力されるように、運転状態計測装置32に接続されている。【0043】上記運転状態計測装置32は、本発明の検出手段に対応し、基本行動分類部40は本発明の分類手段に対応する。また、運転状態計測装置32は、走行状態検出手段及び走行軌跡検出手段の機能を含んでいる。また、基本行動内状態演算部42は本発明の演算手段に対応し、比較演算部46は本発明の比較手段に対応する。また、表示用処理部48は本発明の評価手段に対応し、判定結果提示装置36は本発明の提示手段に相当する。【0044】また、運転状態計測装置32における乗員の視線方向や顔の向きを検出する装置は、本発明の確認行動検出手段に相当する。また、表示用処理部48は、本発明の判定手段の機能を含んでいる。また、規範視線配分データベース54は、本発明の規範データベースに相当する。」
オ 「【0060】次に、基本行動分類部40における基本行動を分類するアルゴリズムの一例を図9乃至図11を参照して説明する。【0061】図9に示すように、基本行動分類部40では基本行動を分類する処理ルーチンが実行され、ステップ102へ進み、車両の走行データを読み取る。次のステップ104では、運転状態計測装置32からの走行データから車両の走行軌跡を求めると共に、その走行軌跡と予め記憶された地図データとを照合する。なお、走行軌跡は、ナビゲーションシステムから抽出することができ、また地図データは、ナビゲーションシステムで用いる地図データやGISから入手することができる。これらの走行軌跡と地図データとの照合は、これら走行軌跡と地図データの幾何学的なデータを用いて行われる。続きを表示(全30行)【0062】次のステップ106では、走行軌跡上に交差点が存在するか否かを判断し、否定されると、次のステップ108において道路形態を非交差点と設定し、次のステップ110において道路境界線と走行軌跡が交差したか否かを判断する。ステップ110で肯定されると、ステップ112において後述する右左折行動判定ルーチンにより左折行動か右折行動と設定した後に本ルーチンを終了する。【0063】なお、ステップ108を経由したステップ112では、基本行動として、非交差点で左折行動または非交差点で右折行動の何れかに設定される(後述)。【0064】ステップ110で否定されると、ステップ114へ進み、同一道路の境界線内で道路中心線を跨いで走行方向が反対になったか否かを判断する。ステップ114で肯定されると、ステップ116において後述する右転回行動判定ルーチンにより右転回行動に関する行動を判定した後に本ルーチンを終了する。【0065】なお、ステップ108を経由したステップ116では、基本行動として、非交差点で右転回行動または交差点で右転回行動の何れかに設定される(後述)。【0066】ステップ114で否定されると、ステップ118へ進み、車両が車両の右側車線を跨いだか否かを判断し、肯定された場合には、ステップ120において、右側車線を跨ぐ前の4秒間及び跨いだ後の2秒間を右側車線変更と設定して本ルーチンを終了する。なお、ステップ120では、基本行動として、非交差点で右側車線変更行動が設定される。【0067】ステップ118で否定されると、ステップ122へ進み、車両が車両の左側車線を跨いだか否かを判断し、肯定された場合には、ステップ124において、左側車線を跨ぐ前の4秒間及び跨いだ後の2秒間を左側車線変更と設定して本ルーチンを終了する。なお、ステップ124では、基本行動として、非交差点で左側車線変更行動が設定される。【0068】ステップ122で否定されると、ステップ126へ進み、道なりの走行と設定され、本ルーチンを終了する。このステップ126では、基本行動の設定を行う必要はないが、道成の走行について確認行動を評価する場合には、その設定を行うようにしてもよい。【0069】走行軌跡上に交差点が存在して上記ステップ106において肯定された場合には、ステップ128において道路形態として交差点の形態を抽出する。このステップ128では、まず地図データを参照して、その交差点の信号有無を判別する。次に、信号有りのとき、その交差点が4叉路以上か否かを判別し、信号無のとき、進入形態が優先側からか非優先側からかを判別する。これによって、ステップ128では、道路形態として、信号有りで4叉路以上の交差点、信号有りで4叉路未満の交差点、信号無の交差点で優先側から進入、信号無の交差点で非優先側から進入、の何れかを道路形態と設定する。【0070】次のステップ130では、車両が交差点を通過する前後(例えば各々20m走行時)において車両進行方向の変動が30度以上で135度未満であるか否かを判断する。ステップ130で肯定されると、ステップ112へ進み、右左折行動判定ルーチンが実行される。【0071】なお、ここでは、ステップ128を経由したステップ112において設定される基本行動として、信号有りで4叉路以上の交差点、信号有りで4叉路未満の交差点、信号無の交差点で優先側から進入、信号無の交差点で非優先側から進入、の何れかを道路形態と、左折行動または右折行動の何れかの組み合わせが設定される。【0072】また、上記ステップ130の判断で車両進行方向の変動量として、30度以上で135度未満を採用したが、この数値に限定されるものではなく、車両の右折行動または左折行動を実行するときにおける車両進行方向の角度の上限及び下限を設定すればよい。この数値は、実験的に求めたり、統計的に求めたりしてもよい。【0073】ステップ130で否定されると、ステップ132へ進み、同一道路の境界線内で道路中心線を跨いで走行方向が反対になったか否かを判断する。ステップ132で肯定されると、ステップ116へ進み、右転回行動判定ルーチンが実行される。【0074】なお、ここでは、ステップ128を経由したステップ116において設定される基本行動として、信号有りで4叉路以上の交差点、信号有りで4叉路未満の交差点、信号無の交差点で優先側から進入、信号無の交差点で非優先側から進入、の何れかを道路形態と、右転回行動の組み合わせが設定される。」
カ 「【0080】図11に示すように、上記ステップ112では右左折行動判定ルーチンが実行される。【0081】この右左折行動判定ルーチンでは、まず、ステップ142において、交差点通過前後で(各々20m走行時)の車両進行方向の変化が進行方向に対して右側になるかまたは進行方向の右側の道路境界線上を走行軌跡が交差するか否かを判断する。すなわち、車両の挙動が右折行動か左折行動かを判断する。続きを表示(全16行)【0082】右折行動であり、ステップ142で肯定されると、ステップ144へ進み、交差点を通過したか否かを判断する。ステップ144で肯定されると、ステップ146へ進み、進行方向を右に変更した交差点の60m前となる時点から30m後となる時点までの期間を右折行動と設定して、本ルーチンを終了する。【0083】一方、ステップ144で否定されると、ステップ148において道路境界内から境界外へ移動する場合であるか否かを判断する。ステップ148において肯定されると、ステップ150へ進み、道路中心線を横切る60m前となる時点から道路境界外に出て1秒後までの期間を右折行動と設定し、本ルーチンを終了する。ステップ148で否定すなわち道路境界外から境界内に進入した場合には、ステップ152へ進み、道路境界内に進入する2秒前から道路中心線を横切って20m走行する時点までの期間を右折行動と設定し、本ルーチンを終了する。【0084】左折行動であり、ステップ142で否定されると、ステップ154へ進み、交差点を通過したか否かを判断する。ステップ154で肯定されると、ステップ156へ進み、進行方向を左に変更した交差点の60m前となる時点から30m後となる時点までの期間を左折行動と設定して、本ルーチンを終了する。【0085】一方、ステップ154で否定されると、ステップ158において道路境界内から境界外へ移動する場合であるか否かを判断する。ステップ158において肯定されると、ステップ160へ進み、道路中心線を横切る60m前となる時点から道路境界外に出て1秒後までの期間を左折行動と設定し、本ルーチンを終了する。ステップ158で否定すなわち道路境界外から境界内に進入した場合には、ステップ162へ進み、道路境界内に進入する2秒前から道路中心線を横切って20m走行する時点までの期間を左折行動と設定し、本ルーチンを終了する。【0086】以上のようにして、例えば、交差点を通り、交差点前後20mでの車両の方位角変化が30度以上135度未満であって、その際の交差点形状を行動が行われた交差点の地図データより、例えば信号のある4叉路以上の交差点と判断された場合、進行方向を右に変えた交差点の60m前となる時点から30m後となる時点までの期間を抽出し、信号のある4叉路以上交差点での右折行動という基本行動が抽出される。【0087】従って、基本行動分類部40では、例えば信号のある叉路以上の交差点での右折行動等の基本行動を乗員の行動後にその行動による車両の挙動や道路形態で分類し、その基本行動毎にシート50を選択し、基本行動内状態演算部42へ出力する。」
キ 「【0103】図13乃至図16には、基本行動内における状態の遷移を、セル単位で区分けするための基準の一例を示した。【0104】図13は、右折行動または左折行動の基準行動について、すなわちシート50A,50Bを、操舵角θ及び車両回頭角φを用いてセル単位で区分けするための車両の挙動に関する基準例を示した。まず、右折行動について説明する。シート50Aの横軸の車速に関する分類は上記図4と同様である。縦軸の車両回頭角(操舵角)は、右折準備、右折開始から右折中、右折中から右折終了の挙動で分類する。この分類基準を、本実施の形態では、ステアリングの中立位置を0度の原点としたときに、30度、及び車両回頭角変化量の60%の時点を採用している。続きを表示(全26行)【0105】すなわち、右折行動が抽出された時間区間において、ステアリングの中立位置を0度として、操舵角θが右方向に最大となった時点から遡って、右側に30度未満となる時点以前を右折準備状態と分類する。また、右折準備状態の終了時の車両回頭角φを0とし右折行動終了時までの車両回頭角変化量をACと表す。そして、右折準備状態以降で車両回頭角φが車両回頭角変化量ACの65%となった時点までを右折開始~右折中の状態、それ以降を右折中~右折終了の状態として分類する。【0106】なお、左折行動は、右折行動と対称的でほぼ同様であり、上述の右折を左折におきかえれば良いため、説明を省略する。【0107】また、上記基準として、ステアリングの中立位置を0度の原点としたときに、30度、及び車両回頭角変化量の65%の時点を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、実験的や統計的に求めた任意の角度や任意の比率を基準として採用してもよい。【0108】図14は、右回転行動の基準行動について、すなわちシート50Cを、操舵角θ及び車両回頭角φを用いてセル単位で区分けするための車両の挙動に関する基準例を示した。シート50Cの横軸の車速に関する分類は上記図6にも示したが、前進か後進かをギアレンジまたは車速で判別する。前進時の車速の詳細分類は上述と同様である。縦軸の車両回頭角(操舵角)は、右転回準備、右転回開始から右転回中、右転回中から右転回終了の挙動で分類する。この分類基準を、本実施の形態では、ステアリングの中立位置を0度の原点としたときに、10度、30度、及び車両回頭角変化量の90%の時点を採用している。【0109】すなわち、右転回行動が抽出された時間区間において、交差点前10m時の車両回頭角φを0とし、車両回頭角φが右側90度未満で、操舵角θが右方向に最大となった時点から遡って、右側に30度未満となる時点以前を右転回準備状態と分類する。そして、分類した右転回準備状態内をさらに、ステアリングが中立位置より左側10度未満の右側である時(準備A)と、それ以外の時(準備B)の2つに分類する。次に、右転回準備状態から、右転回行動の開始時点から終了時までの車両回頭角変化量ACの90%となった時点までを右転回開始~右転回中状態、それ以降を右転回中~右転回終了状態として分類する。【0110】なお、本実施の形態では左転回行動について説明を省略するが、右転回行動とほぼ同様に扱うことができ、上述の右転回を左転回におきかえて分類することができる。【0111】また、上記基準として、ステアリングの中立位置を0度の原点としたときに、10度、30度、及び車両回頭角変化量の90%の時点を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、実験的や統計的に求めた任意の角度や任意の比率を基準として採用してもよい。【0112】図15は、右車線変更行動の基準行動について、すなわちシート50Dを、セル単位で区分けするための車両の挙動に関する基準例を示した。まず、右側車線行動について説明する。シート50Dの横軸の車速に関する分類は上記図7と同様である。縦軸の車線の跨ぎは、右側車線変更準備、右側車線変更中の挙動で分類する。この分類基準を、本実施の形態では、車線と車両の位置関係のうち車両右端が右側車線上に至る時点を採用している。【0113】すなわち、右側車線変更行動が抽出された時間区間において、行動開始から車両右端が右側車線上に至る時点以前を右側車線変更準備状態とし、右側車線準備状態以降から行動終了までを右側車線変更中~行動終了として分類する。この場合の行動終了は、右側車線変更が完了してから所定時間を経過(2秒後)したまでの期間を含めることが好ましい。【0114】なお、左側車線変更行動は、右側車線変更行動とほぼ同様であり、上述の右側車線変更を左側車線変更におきかえれば良いため、説明を省略する。【0115】また、上記基準として、車線と車両の位置関係のうち車両右端が右側車線上に至る時点を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、車両に予め定めた位置や車線を基準として所定距離を隔てた位置を採用してもよい。」
ク 「【0123】図1に示す視線配分演算部44は、基本行動分類部40で分類した基本行動について、乗員の確認行動として乗員の視線方向を求めるものである。【0124】すなわち、視線配分演算部44では、運転状態計測装置32による計測結果から、基本行動内状態演算部42による状態の遷移を含む基本行動に対応する、乗員によってなされた確認行動である視線方向を求めるもので、基本行動内状態演算部42及び運転状態計測装置32に接続され、その出力が比較演算部46に出力されるように接続されている。続きを表示(全59行)【0125】図18に示すように、視線配分演算部44では、乗員の視線方向として、予め定めた10種類LL、FL、FF、FR、RR、BR、BB、BL、EI、ET、を定めている。まず、乗員が着座したときの正面方向を0度とし、右周りの旋回角を正符号、左周りの旋回角を負符号として、9度~-9度までを正面方向FFと定め、171度~180と-171度~-180とを後方方向BBと定めている。【0126】また、9度~25度までを右前方方向FR、25度~135度までを右方向RR、135度~171度までを右後方方向BRと定め、-9度~-25度までを左前方方向FL、-25度~―135度までを左方向LL、―135度~―171度までを左後方方向BLと定めている。また、車両内の装備例えばインパネや計器類を向く方向EI、及びその他の方向ETも定めている。その他の方向の一例には、天井、シート上に置かれたものなどに視線が向いた場合の方向がある。【0127】図19には、視線配分演算部44における視線方向の分類について示した。図19(A)に示すように、車両内外の装備品についての位置関係を予め記憶されたメモリから読み取り、乗員との相対関係を求めておく。図19(B)に示すように、視線方向の分類は車両上に仮想原点Xを置き、乗員の視線方向を表す3次元空間での直線を求める。求めた直線が、各ミラー領域やインパネ領域を通過する場合には方向BR,BB,BL,EIの何れかを設定し、それ以外でかつガラス窓領域も通過しない場合には方向ETと設定する。【0128】また、図19(C)に示すように、方向LL,FL,FF,FR,RRの各方向の分類に際しては、方向BR,BB,BL,EI、ETと判定されていない場合かつ窓ガラス領域通過した場合を対象として、ドライバの頭部位置、顔向き、視線方向から、車両上の仮想原点からの角度に再計算した上で視線方向を求める。すなわち、仮想原点を中心とした半径10mの円柱面と、乗員の頭部を原点とした視線方向の直線と、の交点に仮想原点を通過する直線を仮想原点での視線方向として求め、その角度を視線方向とする。【0129】視線配分演算部44では、乗員の確認行動として乗員の視線方向について、上記10種類に分類された各方向への1回につき所定時間以上(本実施の形態では100msec以上)の保持時間を求めてテーブルを作成する。視線配分演算部44は、この表2に示したテーブルを出力する。このテーブルの一例を次の表2に示した。表2の例は、上述の表1で出力されたものに方向と保持時間を追加した形態である。【0130】【表2】[図:0001393876000001.jpg]【0131】図1に示すように、比較演算部46は、比較演算部46は、基本行動分類部40で分類した基本行動について、規範の視線配分と乗員の視線配分とを比較するものである。【0132】すなわち、比較演算部46では、運転状態計測装置32による計測結果、基本行動分類部40により分類された基準行動、基本行動内状態演算部42で求めた状態マップ52、視線配分演算部44で求めた視線方向を用いて、規範の視線配分と乗員の視線配分とを比較する。このため、比較演算部46は、運転状態計測装置32の計測信号が入力されるように運転状態計測装置32に接続されると共に、基本行動分類部40、基本行動内状態演算部42、視線配分演算部44に接続され、その出力が表示用処理部48に出力されるように接続されている。【0133】比較演算部46では、規範視線配分データベース54から基準行動に対する規範視線配分マップ56を抽出し、基準行動に対する乗員の視線方向についての視線配分マップ58を求、これらを比較して、得点結果60を算出して、表示用処理部48へ出力する。【0134】図20に示すように、比較演算部46は、視線方向結果入力部70、算出回路72、状態マップ番号入力部74、呼出回路76、及び視線配分比較採点回路78から構成されている。【0135】視線方向結果入力部70は、上記表2に示す状態マップ52を入力するための入力部であり、状態マップ番号入力部74は、上記表1に示す基本行動内状態演算部42から出力された状態マップ番号を入力するための入力部である。視線方向結果入力部70による状態マップ52は算出回路72へ出力される。算出回路72は、基本行動と状態マップ毎に状態が遷移する規定時間(本実施の形態では2秒)前毎の視線配分、各方向毎の保持時間を算出するための回路である。【0136】この算出回路72において、視線方向結果入力部70の出力から視線配分及び各方向の平均保持時間を算出した算出結果の一例を、次の表3に示した。【0137】【表3】[図:0001393876000002.jpg]【0138】また、状態マップ番号入力部74による状態マップ番号は呼出回路76へ出力される。呼出回路76は、基本行動と状態マップ毎の規範となる視線配分の対応などを記憶した規範視線配分データベース54を備えており、その規範視線配分データベース54から状態マップ番号の入力に応じたデータを参照するための回路である。この規範視線配分データベース54には、例えば、視線配分得点表(図21)や、各視線方向における平均保持時間の得点表を記憶している。【0139】図21には、規範視線配分データベース54に記憶した視線配分得点表の一例を示した。図21は、信号有りで4叉路以上の交差点での右折行動かつ状態マップ番号14―Dの規範視線配分マップを示すもので、この視線配分得点表は、視線方向と、規定時間(本実施の形態では2秒)内における視線配分の割合と、得点との対応関係を表している。次の表4には、図21のマップのうち、右折行動かつ状態マップ番号14―Dの規範視線配分マップの数値一覧を示した。【0140】【表4】[図:0001393876000003.jpg]【0141】呼出回路76は状態マップ番号入力部74からの出力から、視線配分得点表(例えば、図21)、各方向の平均保持時間の得点表を規範視線配分データベース54より取り出して、出力する。【0142】なお、この視線配分得点表や、各視線方向における平均保持時間の得点表は、運転指導員などの専門家による確認行動の判定基準を教師あり学習手法により得られたものを使用することが好ましい。また、上記得点表は、運転指導員などの専門家の運転時のデータからその頻度分布を用いて算出したものを使用しても良い。【0143】上記算出回路72及び呼出回路76の出力側は、視線配分比較採点回路78の比較側に接続される。視線配分比較採点回路78は、算出回路72と呼出回路76の出力を比較し、採点結果を出力するための回路であり、その出力すなわち比較結果は表示用処理部48へ入力されるように接続される。【0144】視線配分比較採点回路78は、次の数1に示すように、算出回路72より出力される基本行動(L)と状態マップ毎の視線配分(gL,i,k)、平均保持時間(hL,i,k)と、呼出回路76より出力される最高得点が「1」とした参照マップGL,j、HL,jから、方向i毎に得点(QL,j,k)を内挿し算出する。ここで添字iは方向を添字jは基本行動(L)中の状態マップ番号、添字kは基本行動において、任意の1つの基本行動中に状態マップ番号が遷移した順番を示し、k番目の状態マップ番号はjである。またNをkの最大値とし、Nは基本行動中に状態マップ番号が遷移した回数となる。【0145】【数1】[図:0001393876000004.jpg]【0146】そして、基本行動(L)での判定値を、次の数2とする。【0147】【数2】[図:0001393876000005.jpg]【0148】この計算結果の最低値と、そのときの基本行動(L)、状態マップ番号(j)と、参照マップGL,j(gL,i,k)と、参照マップHL,j(hL,i,k)と、の値を出力する。【0149】図1に示すように、表示用処理部48は、個人特性データベース64、及び事故事例データベース62を備えており、比較演算部46から出力された比較結果から、乗員(ドライバ)の確認行動に対する判定結果を表示するためのデータを処理するものである。」
ケ 【図1】
「[図:0001393876000006.jpg]」
コ 【図13】
「[図:0001393876000007.jpg]」
(2)引用発明1
上記(1)の記載事項及び図面の図示内容を総合し、本願発明1の記載ぶりに則り整理すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。
「 移動体の乗員の確認行動を評価する確認行動評価装置であって、前記移動体の右折開始~右折中の状態を分類する基本行動内状態演算部42と、前記乗員の視線方向を求める視線配分演算部44と、前記基本行動内状態演算部42で求めた状態マップ52と前記視線配分演算部44で求めた視線方向に基づいて、規範の視線配分と前記乗員の視線配分とを比較し、得点結果を算出する比較演算部46とを備え、前記基本行動内状態演算部42が、前記移動体の車両回頭角変化量φが車両回頭角変化量ACの65%になった時点までを前記右折開始~右折中の状態として分類するものである確認行動評価装置。」
2.引用文献2
(1)引用文献2の記載事項
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原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された引用文献2(特開2010-39686号公報)には、「音声出力装置」に関して以下の記載がある。
サ 「【0001】本発明は、車両の地図上の位置である車両位置を検出するナビゲーション装置と通信可能に接続され、該車両の運転者に対して道路交通情報を音声として出力する音声出力装置に関する。」
シ 「【0069】視線検出部108(視線検出手段に相当する)は、運転者の顔の画像を撮影するドライバモニタカメラ22を介して運転者の視線の向きを検出する機能部である。なお、視線検出部108は、視線の向きとして、左右方向及び上下方向の向きを検出する。例えば、視線検出部108は、平面視の頭部を円筒モデルに適用して中心線に対する両端位置の比率から視線方向を算出する(必要に応じて、特開2007-280352号公報等を参照)。【0070】確認判定部109(確認判定手段に相当する)は、予め設定された所定のタイミングで、車両位置情報、標示情報取得部102によって取得された標示物の位置情報、及び、視線検出部108によって検出された視線の向きに基づいて、運転者が標示物を確認したか否かを判定する機能部である。」
(2)引用発明2
上記(1)の記載事項を総合すると、引用文献2には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。
「運転者の顔の画像を撮影するドライバモニタカメラ22を介して運転者の視線の向きを検出する機能部である視線検出部108及び視線検出部108によって検出された視線の向きに基づいて、運転者が標示物を確認したか否かを判定する機能部である確認判定部109を備えた音声出力装置。」
3.引用文献3
(1)引用文献3の記載事項
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原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された引用文献3(国際公開第2009/148188号)には、「運転行動自動評価システム」に関して以下の記載がある。
ス 「この発明は運転行動自動評価システムに関し、特にたとえば、危険箇所に対する運転者の運転行動を評価する、運転行動自動評価システムに関する。」(1ページ第6-7行。)
セ 「こうして計測したデータのうち、(A)幹線道路から信号交差点を右折して生活道路に入る区間、(B)幹線道路から無信号交差点を左折して生活道路に入る区間、(C)生活道路から別の生活道路へと無信号交差点を左折する区間、(D)生活道路から別の生活道路へと無信号交差点を右折する区間、(E)人通りの多い新無信号交差点を直進する区間に特に着目し、重点的に解析を行った。なお、これら5区間は、再教育講習において、教習員が運転者の動きを重点的に観察する箇所でもある。」(21ページ第15-21行。)
(2)引用発明3
上記(1)の記載事項を総合すると、引用文献3には、以下の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されている。
「(A)幹線道路から信号交差点を右折して生活道路に入る区間、(B)幹線道路から無信号交差点を左折して生活道路に入る区間、(C)生活道路から別の生活道路へと無信号交差点を左折する区間、(D)生活道路から別の生活道路へと無信号交差点を右折する区間、(E)人通りの多い新無信号交差点を直進する区間に特に着目し、重点的に解析を行った運転行動自動評価システム。」
4.引用文献4
(1)引用文献4の記載事項
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原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された引用文献4(特開2014-194625号公報)には、「目標確認評価装置、方法及びプログラム」に関して以下の記載がある。
ソ 「【0013】(第1実施例)先ず、第1実施例における目視確認評価装置の一例を、図1と共に説明する。図1は、第1実施例における目視確認評価装置の一例を示すブロック図である。図1に示す目視確認評価装置1-1は、車両10側に設けられた装置部分と、サーバ20側に設けられた装置部分を有する。車両10とサーバ20との間の無線通信は、車両10側に設けられた周知の通信装置(または、インタフェース)とサーバ20側に設けられた周知の通信装置(または、インタフェース)を介して行えば良く、図1では通信装置(または、インタフェース)、アンテナ等の図示は省略する。車両10は、例えば自動車であるが、オートバイ等の二輪車であっても良い。【0014】続きを表示(全23行)車両10側には、車両10の後方を撮影するリアカメラ11、画像記憶部12、車両10内の運転者の顔を撮影するダッシュボードカメラ13、頭部位置データ取得部14、視線データ取得部15、CAN(Controller Area Network)装置16、及びCANデータ記憶部17が設けられている。画像記憶部12は、リアカメラ11が撮影した車両10の後方の画像データを記憶する。ダッシュボードカメラ13は、車両10のダッシュボードに設けられた1台または複数台の運転者監視用カメラで形成されており、車両10内の運転者の頭部(または、顔部分)を撮影する。ダッシュボードカメラ13の搭載位置は、車両10内の運転者の頭部を撮影可能な位置であれば特に限定されず、例えばステアリングコラム等に搭載されていても良い。【0015】頭部位置データ取得部14は、ダッシュボードカメラ13が撮影した運転者の頭部の画像データに周知の画像処理を施し、ダッシュボードカメラ13を基準にした座標系における運転者の頭部の3次元位置(x,y,z)を周知の方法で算出して頭部位置データの一例として出力する。例えば、2台のカメラでダッシュボードカメラ13を形成した場合、画像データに三角測量の原理を応用した周知のステレオ処理を施して頭部の画像の画素毎の3次元座標を取得することが可能であり、処理された画像から運転者の左右の目の位置も算出可能である。【0016】視線データ取得部15は、頭部位置データ取得部14と同様に、ダッシュボードカメラ13が撮影した運転者の頭部の画像データに周知の画像処理を施し、ダッシュボードカメラ13を基準にした座標系における運転者の視線の3次元方位ベクトル(vx,vy,vz)を周知の方法で算出して視線データの一例として出力する。例えば、ダッシュボードカメラ13に赤外線照射装置を搭載した場合、運転者の目の角膜で反射された赤外光を撮影した画像と、ダッシュボードカメラ13と赤外照射の幾何学的関係と、人間の眼球のモデルに基づいて、周知の角膜反射法を用いて運転者の視線の方位ベクトルを算出可能である。【0017】CAN装置16は、CANデータを出力する周知の装置である。CAN装置16が出力するCANデータには、周知の速度センサや周知の加速度センサ等を用いて取得した車速データやヨーレート(または、角速度)データ等が含まれる。CAN装置16が出力するCANデータは、CANデータ記憶部17に記憶される。【0018】車両10内の画像記憶部12及びCANデータ記憶部17は、別々の記憶部で形成されても、単一の記憶部で形成されていても良い。【0019】車両10内の頭部位置データ取得部14及び視線データ取得部15の少なくとも一方の機能は、1または複数のプロセッサ、例えばCPU(Central Processing Unit)により実現しても良い。この場合、プロセッサ(または、コンピュータ)は、プログラムを実行することで、頭部位置データ取得部14及び視線データ取得部15の少なくとも一方の機能を実現しても良い。プログラムは、画像記憶部12及びCANデータ記憶部17の少なくとも一方を形成する記憶部に格納されていても、画像記憶部12及びCANデータ記憶部17を形成する記憶部とは別の記憶部に格納されていても良い。なお、プログラムを格納する記憶部は、コンピュータ読取可能な記憶媒体であれば特に限定されず、半導体記憶装置、磁気記録媒体、光記録媒体、光磁気記憶媒体等を用いても良い。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体が磁気記録媒体、光記録媒体、光磁気記録媒体等の場合、記憶部はロードされた記録媒体に対して情報の読み書きを行うリーダ・ライタで形成可能である。【0020】サーバ20側には、記憶部21、車両位置及び方位データ取得部(以下、「車両位置・方位データ取得部」とも言う)22、3次元地図データ記憶部23、定義データ記憶部24、見通し情報生成部25、及び目視確認評価部26が設けられている。記憶部21は、画像記憶部12、頭部位置データ取得部14、視線データ取得部15、及びCANデータ記憶部17に対して別々に設けられた4個の記憶部で形成されていても、2以上の記憶部で形成されていても、単一の記憶部で形成されていても良い。3次元地図データ記憶部23には、車両が走行する実世界の地図を三次元形状データで表す周知の3次元地図データが記憶されている。また、定義データ記憶部24には、後述する定義データが記憶されている。定義データ記憶部24に3次元地図データが記憶されている場合には、3次元地図データ記憶部23は省略可能である。【0021】サーバ20側では、車両10側から送信された車両10の後方の画像データ、運転者の頭部位置データ、運転者の視線データ、及びCANデータを記憶部21に記憶する。【0022】車両位置・方位データ取得部22は、3次元地図データ記憶部23に記憶された3次元地図データ上での車両10の位置のデータ(以下、「車両位置データ」とも言う)と、車両10の方位のデータ(以下、「車両方位データ」とも言う)を、リアカメラ11により撮影され画像記憶部12を介して記憶部21に記憶された画像データと、CAN装置16により出力されCANデータ記憶部17を介して記憶部21に記憶されたCANデータに基づいて取得する。車両位置は、GPS(Global Positioning System)装置を用い、GPSデータに基づいて車両10の緯度、経度の位置を取得しても良い。また、車両方位は、CANデータに含まれる車速データ及びヨーレートデータを基準位置から時間積分することで、基準点及び基準方位からの、任意の時刻における車両位置及び車両方位を取得しても良い。【0023】一方、車両位置及び車両方位をより高精度に取得する場合には、例えばリアカメラ11等の車両10外部を撮影する車載カメラの撮影画像データを用いても良い。言うまでもなく、車両10の前方を撮影する車載カメラが設けられている場合には、その車載カメラの撮影画像データを用いても良い。」
(2)引用発明4
上記(1)の記載事項を総合すると、引用文献4には、以下の発明(以下、「引用発明4」という。)が記載されている。
「車両10側には、車両10の後方を撮影するリアカメラ11、画像記憶部12、車両10内の運転者の顔を撮影するダッシュボードカメラ13、頭部位置データ取得部14、視線データ取得部15、CAN(Controller Area Network)装置16、及びCANデータ記憶部17が設けられている目視確認評価装置1-1。」
なお、本審判請求手続における前置報告書において新たに提示された特開2002-211265号公報(以下、「文献5」という。)及び特開2017-33507号公報(以下、「文献6」という。)について念のため確認する。
5.文献5
(1)文献5の記載事項
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本願の優先日前に頒布された文献5(特開2002-211265号公報)には、「車両の運転技術診断システム及びその構成用品、運転技術診断方法」に関して以下の記載がある。
タ 「【0036】<交差点診断>角速度データの積分値が所定値(例えば30度)を越えたときが旋回開始であり、その値以下に戻った時点を旋回終了として、交差点での挙動発生を検出し、旋回前の速度判定(徐行・停止判定)、右左折時の徐行・停止判定、右左折後の加速タイミング判定を行う。旋回前の速度判定では、図8(a)、(b)に示されるように、交差点挙動が開始されたときの速度、つまり交差点進入速度を判定する。右左折時の徐行・停止判定では、旋回の角速度ω×旋回中の速度Vの平均値と最大値を求める。このとき、右左折中の速度と旋回速度とを同時に判定する。右左折後の加速タイミング判定では、図9に示されるように、角速度(度)と加速度(G)とを同時に判定する。Gmax/tmaxは、右左折後の加速度の大きさ(アクセル操作の変化率)を表す。この値は、旋回終了してすぐに加速するほど大きくなる。旋回時は定速度で旋回し、旋回終了後加速するのが正しい運転操作であり、それが同時に発生することは、運転操作に無理がある、そのような相対特徴があるということを示している。このような運転操作では、例えば旋回中のブレーキ操作で、車両の重心が前方に移動し、スピンが発生したりする。従って、旋回中のブレーキ操作、アクセル操作の大きさを定量化することにより、これをそのときの特徴情報とすることができる。」
(2)発明5
上記(1)の記載事項を総合すると、文献5には、以下の発明(以下、「発明5」という。)が記載されている。
「角速度データの積分値が所定値(例えば30度)を越えたときが旋回開始であり、その値以下に戻った時点を旋回終了として、交差点での挙動発生を検出し、旋回前の速度判定(徐行・停止判定)、右左折時の徐行・停止判定、右左折後の加速タイミング判定を行う車両の運転技術診断システム。」
6.文献6
(1)文献6の記載事項
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本願の優先日前に頒布された文献6(特開2017-33507号公報)には、「運転評価装置」に関して以下の記載がある。
チ 「【0061】また、車速V[m/s]と、曲率半径r[m]と、角速度ω[rad/s]との間には次式の関係があるので、車速Vおよび曲率半径rに基づいて旋回中の角速度ωを算出することができる。V=r×ω ・・・(2)【0062】また、角速度ωを積分することにより、車両が旋回した際の旋回角度を求めることができ、旋回を開始してからの積算旋回角度も求めることができる。また、旋回時の移動軌跡における円周上の移動距離L[m]と、曲率半径r[m]とが分かる場合には、次式に基づき旋回角度θを求めることもできる。L=r×θ ・・・(3)【0063】また、実際の道路の状況に応じて多少変化するが、交差点における右折や左折の場合には、通常は車両が90度程度の角度にわたり旋回することになる。したがって、旋回を開始してからの積算旋回角度を所定の閾値と比較して、閾値以上であれば交差点における右折や左折である可能性が高い。」
(2)発明6
上記(1)の記載事項を総合すると、文献6には、以下の発明(以下、「発明6」という。)が記載されている。
「角速度ωを積分することにより、車両が旋回した際の旋回角度を求めることができ、旋回を開始してからの積算旋回角度も求めることができ、旋回を開始してからの積算旋回角度を所定の閾値と比較して、閾値以上であれば交差点における右折や左折である可能性が高い運転評価装置。」
第5 対比・判断
1.本願発明1
本願発明1と引用発明1とを対比すると、後者の「移動体」はその機能、構成及び技術的意義からみて前者の「車両」に相当し、以下同様に、「確認行動」は「安全確認動作」に、「確認行動評価装置」は「安全確認評価装置」にそれぞれ相当する。
そして、後者の「乗員の視線方向を求める」ことは、その機能、構成及び技術的意義からみて前者の「運転者の顔の向き又は視線の向きの少なくともいずれかの情報を取得する」ことに相当するから、後者の「乗員によってなされた確認行動である視線方向を求める」は前者の「情報」に相当するものを備え、さらに後者の「視線配分演算部44」は前者の「情報取得部」に相当する。同様に、後者の「視線配分演算部44で求めた視線方向」は前者の「情報」に相当するものを備えている。
また、後者の「移動体の右折開始~右折中の状態を分類する基本行動内状態演算部42」は、交差点における移動体の右折開始~右折中の状態を分類するものであるから、前者の「車両の交差点への進入時刻を推定する交差点推定部」とは、「車両の交差点における状態を推定する交差点推定部」という限りで一致する。同様に、後者の「基本行動内状態演算部42で求めた状態マップ52と前記視線配分演算部44で求めた視線方向に基づいて、規範の視線配分と前記乗員の視線配分とを比較し、得点結果を算出する比較演算部46」と前者の「交差点推定部により推定された前記進入時刻の前後所定時間に取得された前記情報に基づいて、前記運転者の安全確認動作を評価する評価部」とは、「交差点推定部により推定された状態に取得された前記情報に基づいて、前記運転者の安全確認動作を評価する評価部」という限りで一致する。
そして、後者の「前記基本行動内状態演算部42が、前記移動体の車両回頭角変化量φが車両回頭角変化量ACの65%になった時点までを前記右折開始~右折中の状態として分類する」ことと、前者の「前記交差点推定部が、前記車両の角速度データが所定の角速度閾値を超えた時刻の前後所定時間の角速度データの積分値を演算し、演算された積分値が所定の積分比率に到達した時刻を前記進入時刻として推定する」ことは、「前記交差点推定部が、前記車両の角度を演算し、所定の値に到達したことを推定する」ことという限りで一致する。
したがって、両者は、
「 車両の運転者の安全確認動作を評価する安全確認評価装置であって、前記車両の交差点における状態を推定する交差点推定部と、前記運転者の顔の向き又は視線の向きの少なくともいずれかの情報を取得する情報取得部と、前記交差点推定部により推定された前記状態に取得された前記情報に基づいて、前記運転者の安全確認動作を評価する評価部を備え、前記交差点推定部が、前記車両の角度を演算し、所定の値に到達したことを推定する安全確認評価装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。
[相違点]
「前記車両の角度を演算し、所定の値に到達したことを推定する」、「交差点推定部」に関し、前者は「車両の交差点への進入時刻を推定する交差点推定部」であって、「前記交差点推定部が、前記車両の角速度データが所定の角速度閾値を超えた時刻の前後所定時間の角速度データの積分値を演算し、演算された積分値が所定の積分比率に到達した時刻を前記進入時刻として推定する」ものであるのに対し、後者は「移動体の右折開始~右折中の状態を分類する基本行動内状態演算部42」であって、「前記基本行動内状態演算部42が、前記移動体の車両回頭角変化量φが車両回頭角変化量ACの65%になった時点を前記右折開始~右折中の状態として分類する」時点とするものである点。
相違点について検討するに、引用発明1の「基本行動内状態演算部42」は「移動体の右折開始~右折中の状態を分類する」ものである。すなわち、「第4」、「1.」「キ」の段落【0104】及び【0105】に記載されるとおり、引用発明1における「移動体の車両回頭角変化量φが車両回頭角変化量ACの65%になった時点」は、「右折行動が抽出される時間区間」における基準行動について右折準備、右折開始~右折中の状態及び右折中~右折終了の状態として分類する時点であって、本願発明1のように交差点への進入時刻を推定することは引用文献1に開示はない。また、引用発明2ないし引用発明4及び発明5並びに発明6は、それぞれ上述したとおりであって、いずれも「車両の交差点への進入時刻を推定する交差点推定部」を開示するものではない。そうすると、引用発明1において引用発明2ないし引用発明4及び発明5並びに発明6を適用し得たとしても、相違点に係る本願発明1の発明特定事項とすることはできない。
ここで、引用発明1における右折準備、右折開始~右折中の状態及び右折中~右折終了の状態の分類は、段落【0105】に記載されたとおり「右折行動が抽出された時間区分」における分類であるから、右折準備の終了時(車両回頭角変化量φを0とした時点)の時刻を推定することは示唆されているとも理解できる。しかしながら、この理解においても当該右折準備の終了時を「交差点への進入時刻」とすることの開示はない。ましてや、進入時刻について、相違点に係る本願発明1の前記交差点推定部が、前記車両の角速度データが所定の角速度閾値を超えた時刻の前後所定時間の角速度データの積分値を演算し、演算された積分値が所定の積分比率に到達した時刻を前記進入時刻として推定する」ことについての開示はない。
さらに、仮に引用発明1における右折準備の終了時が「交差点への進入時刻」であるとしても、引用発明1は「車両の角速度データが所定の角速度閾値を超えた時刻の前後所定時間の角速度データの積分値を演算し、演算された積分値が所定の積分比率に到達した時刻を前記進入時刻として推定」するもの、特に、「車両の角速度データが所定の角速度閾値を超えた時刻の前後所定時間の角速度データの積分値を演算」するものであって、車両回頭角φが車両回頭角変化量ACの65%になった時点までを右折開始~右折中の状態とする引用発明1と相違するものである。そして、引用発明2ないし引用発明4及び発明5並びに発明6は「車両の角速度データが所定の角速度閾値を超えた時刻の前後所定時間の角速度データの積分値を演算し、演算された積分値が所定の積分比率に到達した時刻を前記進入時刻として推定」するもの、特に、「車両の角速度データが所定の角速度閾値を超えた時刻の前後所定時間の角速度データの積分値を演算」することの開示はないから、引用発明1において引用発明2ないし引用発明4及び発明5並びに発明6を適用し得たとしても、「車両の角速度データが所定の角速度閾値を超えた時刻の前後所定時間の角速度データの積分値を演算し、演算された積分値が所定の積分比率に到達した時刻を前記進入時刻として推定」することを含む相違点に係る本願発明1の発明特定事項とすることはできない。
また、当業者の通常の創作能力の範囲内で、引用発明1ないし引用発明4並びに発明5並びに発明6から相違点に係る本願発明1の発明特定事項を容易に想到し得たとする他の事情を見出すこともできない。
そして、本願発明1は、相違点にかかる本願発明1の発明特定事項により、引用発明1ないし引用発明4並びに発明5並びに発明6にはない格別顕著な効果も奏する。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1ないし引用発明4並びに発明5並びに発明6に基いて容易に発明できたものであるとはいえない。
2.本願発明2ないし本願発明11
本願発明2ないし本願発明11は、いずれも本願発明1を引用し更に本願発明2ないし本願発明11で新たに特定される発明特定事項を備えるものである。
そうすると、本願発明2ないし本願発明11と引用発明1とは、本願発明1において検討した相違点を有している。
そして、当該相違点については引用発明2ないし引用発明4及び文献5並びに文献6には開示はなく、引用発明1において引用発明2ないし引用発明4及び発明5並びに発明6を適用し得たとしても、相違点に係る本願発明2ないし本願発明11の発明特定事項とすることはできない。
したがって、本願発明2ないし本願発明11は、当業者であっても、引用発明1ないし引用発明4並びに発明5並びに発明6に基いて容易に発明できたものであるとはいえない。
3.本願発明12及び本願発明13
本願発明12及び本願発明13は、「安全確認評価装置」にかかる本願発明1を、それぞれ「安全確認評価方法」(本願発明12)及び「安全確認評価プログラム」(本願発明13)としたものである。
そうすると、本願発明12及び本願発明13と引用発明1とは、本願発明1において検討した相違点を有している。
そして、当該相違点については引用発明2ないし引用発明4及び文献5並びに文献6には開示はなく、引用発明1において引用発明2ないし引用発明4及び発明5並びに発明6を適用し得たとしても、相違点に係る本願発明12及び本願発明13の発明特定事項とすることはできない。
したがって、本願発明12及び本願発明13は、当業者であっても、引用発明1ないし引用発明4並びに発明5並びに発明6に基いて容易に発明できたものであるとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし本願発明13は、引用発明1ないし引用発明4並びに発明5並びに発明6に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-006344