審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2025-008011

充電システムとその登録方法

審判番号
2025-008011
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2024-108285
請求日
2025年05月23日
審決日
2026年05月25日
公報発行日
2026年08月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】オムロン株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人秀和特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 佐藤 智康
  • 審判官 野崎 大進
  • 審判官 田付 徳雄
分類
P18 .121-WZ (G06Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2024-108285「充電システムとその登録方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 6年 9月20日出願公開、特開2024-127998〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和4年5月20日に出願した特願2022-83292号の一部を令和6年7月4日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和 6年 7月 4日 :上申書、手続補正書の提出 令和 6年 7月30日付け:拒絶理由通知書 令和 6年10月 4日 :意見書、手続補正書の提出 令和 6年11月28日付け:拒絶理由通知書(最後) 令和 7年 2月 6日 :意見書の提出 令和 7年 2月14日付け:拒絶査定 令和 7年 5月23日 :審判請求書の提出 令和 8年 2月16日付け:拒絶理由通知書(以下、「当審拒絶理由」という。) 令和 8年 4月16日 :意見書、手続補正書の提出(以下、この手続補正書による手続補正を「本件補正」という。) 第2 本願発明 本願の請求項1~6に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定されるものであり、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである(下線部は、本件補正による補正箇所である。)。 「【請求項1】 特定の人が利用する建物に付帯設置される電動式移動体用の充電システムであって、 前記建物の駐車エリアに設置される複数の充電器設備と、 前記複数の充電器設備各々の使用電力量に関する情報を収集可能なサーバと、を備え、 前記サーバは、 前記特定の人から前記充電システムの新規利用を受け付けると、前記特定の人の情報と前記充電器設備の情報とを紐付ける処理を行ってから利用可能状態にする紐付け部と、 前記紐付け部によって紐付けた情報を記憶する記憶部と、を有する、 充電システム。」 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の理由1(進歩性)は、この出願の請求項1~3、5及び6に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明に基づいて、この出願の請求項4に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1:特開2010-154635号公報 引用文献2:特開2016-185036号公報 第4 引用文献、引用発明等 1 引用文献1について (1)引用文献1に記載された事項 引用文献1には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。以下同様。) 「【0001】 本発明は、車両に備えられたバッテリーを駐車中に充電するための車両の充電管理システムに関する。」 「【0016】 本発明をショッピングセンターや集合住宅の駐車場に適用した一実施形態について図1ないし図3を参照して説明する。 【0017】 駐車場には複数の車両の駐車位置が区画して設けられており、各駐車位置に対応してそれぞれ支柱部に相当する充電ポスト10が立設されている。この充電ポスト10は、例えばステンレス鋼パイプ製で上端を閉じた円筒状に構成されており、周壁面に充電用端末に相当するコンセント11が埋め込まれている。充電ポスト10の外周面には上記コンセント11の下に位置して標識部に相当するバーコードシート12が貼り付けてある。 【0018】 バーコードシート12は、例えばQRコードにより構成されており、所定のWEBサイトのURL情報並びに駐車場名及びその駐車位置とを示す情報が記録されている。この実施形態では駐車位置とコンセント11とは1対1で対応しているから、このバーコードシート12の内容が充電用端末を特定するための充電用端末識別情報に相当する。 【0019】 各コンセント11は、それぞれ電力供給線13を介して分電盤14に接続され、分電盤14は駐車場の受電設備15からの交流電力の供給を受けるようになっている。分電盤14には、各コンセント11に対応して継電器16が設けられ、この継電器16によって各コンセント11への電力供給を個別に制御できる。各継電器16は継電器制御回路17により制御され、継電器制御回路17は充電管理サーバー18により制御される。 【0020】 さて、充電管理サーバー18によって実行される充電管理プログラムの主要機能は図2及び図3に示す通りであり、基本的には携帯電話用のWEBサーバー機能と、ユーザデータベース機能と、コンセント使用データベース機能と、継電器制御機能とを有する構成としたものである。 【0021】 次に、本実施形態の充電管理システムの動作について説明する。例えばショッピングセンターの駐車場に入場した車両EV(プラグイン充電型の電気自動車)が任意の駐車位置に駐車したとする。運転者がその車両EVの充電を行おうとする場合、車両に備えられている充電用プラグPを充電ポスト10のコンセント11に差し込んで充電可能状態とする。なお、この段階では分電盤14の対応する継電器16は閉じられておらず、コンセント11に電力は供給されていない。 【0022】 次に、運転者或いは同乗者が、携帯電話端末20のバーコード撮影機能を起動させて充電プラグPを差し込んだコンセント11の下にあるバーコードシート12を携帯電話機内蔵のカメラによって撮影する。すると、携帯電話端末20はバーコードから駐車場管理のためのWEBサイトのURL、駐車場名及び駐車位置情報を読み取ると共に、その情報に基づき、無線通信回線を基地局21との間に確立させてインターネット回線に接続し、携帯電話端末20のブラウザによってコンセント毎に設けられているWEBサイトに誘導する(ステップS101)。このWEBサイトは、充電管理サーバー18が有するWEBサーバー機能によって提供されている。 【0023】 携帯電話端末20が充電管理サーバー18に接続されると、充電管理サーバー18からはユーザIDとパスワードの入力を要求する画面が携帯電話端末20に送信されて画面に表示される。ユーザが要求に応じてユーザIDとパスワードとを入力すると(ステップS102)、ユーザデータベースに既に登録があるか否かを検索することでユーザの認証を行う(ステップS103,S104)。なお、ユーザデータベースに予め登録がない場合には、ユーザ登録を促す表示が携帯電話端末20の画面に表示される。このユーザ認証は、充電管理サーバー18が有すユーザーデータベース機能によって提供されており、そのユーザーデータベースは、ユーザID、ユーザ氏名、住所、充電料金の請求先、支払い方法等のフィールドを備え、ユーザ識別情報であるユーザIDをキーとして構築されている。 【0024】 ユーザ認証に成功すると、充電管理サーバ18からは利用時間の入力をユーザに要求する画面が送信され、これに応じてユーザは電気自動車EVの充電を行いたい時間の長さを利用時間として入力する(ステップS105)。 【0025】 次に、充電管理サーバ18からは充電方法の選択を求める画面が送信される(ステップS106)。充電方法としては、直ちに充電を開始する「即時充電」と、充電を開始する時刻を予約できる「開始時刻予約」と、充電の完了時刻を予約できる「完了時刻予約」との三種類がある。「開始時刻予約」が選択された場合には、開始時刻の入力画面が現れ、ここで開始時刻を入力すると(ステップS107)、その時刻までタイマーによって待機状態となる(ステップS108)。また、「完了時刻予約」が選択された場合には、完了予約時刻の入力画面が現れ、ここで充電が完了していることを希望する完了時刻を入力すると(ステップS109)、充電管理サーバー18は他コンセントの利用状況や予約状況と車両の充電に要する時間とを考慮して受電設備15にとって最も軽負荷となる時間帯を選択し、その時間帯における始めの時刻を充電の開始時刻として設定し(ステップS110)、その開始時刻までタイマーによって待機状態となる(ステップS111)。 【0026】 充電管理サーバー18は、上述の「即時充電」が選択された場合には直ちに、「開始時刻予約」又は「完了時刻予約」が選択された場合には開始時刻になると、その時刻をユーザIDと共にコンセント使用データベースに記録し(ステップS112)、同時的に継電器制御回路17を介して分電盤14に給電許容信号を出力する(ステップS113)。すると、継電器制御回路17は、特定されているコンセント11に電力を供給するべく分電盤14の対応する継電器16を閉じる。これにより、電気自動車EVの充電が開始され、充電管理サーバー18は終了時刻を演算し(ステップ114)、充電終了処理(ステップS200)に移行する。 【0027】 充電終了処理の具体的内容は図3に示すとおりである。すなわち、充電中の車両から充電終了通知を受けたこと(ステップS201)、または、終了時刻に達したこと(ステップS202)を条件に、その時点の時刻をユーザIDと共にコンセント使用データベースに記録し(ステップS203)、同時的に継電器制御回路17を介して分電盤14に給電許容信号の出力を停止する(ステップS204)。そして、コンセント11を通じた充電電力の使用時間を、終了時刻から開始時刻を減算することで取得し(ステップS205)、これをユーザIDと共にコンセント使用データベースに記録して(ステップS206)終了する。コンセント使用データベースは、コンセントの識別情報(充電用端末識別情報)、充電を行ったユーザのユーザID、開始時刻(日時を含む)、終了時刻(同)、使用時間のフィールドを備えている。なお、本実施形態では、コンセント11の使用量をその使用時間として記録している(ステップS205)から、充電管理サーバー18はコンセント11の使用量を測定する使用量測定手段としても機能する。 【0028】 この実施形態によれば、充電管理サーバー18のコンセント使用データベースに、コンセント11毎(駐車位置毎)のコンセント11の使用時間(充電時間)がユーザIDと共に記録される。従って、このコンセント使用データベースとユーザデータベースとにアクセスすることにより、ユーザ毎にコンセント11の使用料金を計算して課金することが可能である。」 「【図1】 [図:0001438070000001.jpg] 」 「【図2】 [図:0001438070000002.jpg] 」 「【図3】 [図:0001438070000003.jpg] 」 (2)引用文献1に記載されているといえる事項 引用文献1の、特に下線を付加した記載に着目すると、引用文献1には、以下の事項ア~エが記載されているといえる。 ア 図1、段落【0001】、【0017】および【0020】の記載事項から、車両に備えられたバッテリーを駐車中に充電するための車両の充電管理システムであって、充電管理システムは、充電ポスト10と、充電管理サーバー18を備えているといえる。 イ 段落【0016】~【0018】の記載事項から、充電ポスト10は、集合住宅の駐車場には複数の車両の駐車位置が区画して設けられた各駐車位置に対応して、立設されており、この充電ポスト10は、充電用端末に相当するコンセント11が埋め込まれており、駐車位置とコンセント11とは1対1で対応しており、各コンセント11は、それぞれ電力供給線13を介して分電盤14に接続され、分電盤14は駐車場の受電設備15からの交流電力の供給を受けるようになっているといえる。 ウ 段落【0020】の記載事項から、充電管理サーバー18は、携帯電話用のWEBサーバー機能と、ユーザデータベース機能と、コンセント使用データベース機能と、継電器制御機能とを有しているといえ、段落【0023】の記載事項から、ユーザーデータベース機能により、ユーザ認証が提供されており、ユーザーデータベースは、ユーザID、ユーザ氏名、住所、充電料金の請求先、支払い方法等のフィールドを備え、ユーザ識別情報であるユーザIDをキーとして構築されており、段落【0027】の記載事項から、コンセント使用データベースは、コンセントの識別情報(充電用端末識別情報)、充電を行ったユーザのユーザID、開始時刻(日時を含む)、終了時刻(同)、使用時間のフィールドを備え、段落【0019】の記載事項から、充電管理サーバー18の継電器制御機能により継電器制御回路17が制御され、継電器制御回路17により各継電器16が制御されているといえる。 エ 段落【0020】~【0028】の記載事項から、充電管理システムは、以下のように動作しているといえる。 「 駐車場に入場した車両EV(プラグイン充電型の電気自動車)が駐車位置に駐車し、運転者がその車両EVの充電を行おうとする場合、車両に備えられている充電用プラグPを充電ポスト10のコンセント11に差し込み、(【0021】) 運転者が、携帯電話端末20のバーコード撮影機能を起動させて充電プラグPを差し込んだコンセント11の下にあるバーコードシート12を携帯電話機内蔵のカメラによって撮影すると、携帯電話端末20はバーコードから駐車場管理のためのWEBサイトのURL、駐車位置情報を読み取ると共に、その情報に基づき、携帯電話端末20のブラウザによってコンセント毎に設けられているWEBサイトに誘導され、このWEBサイトは、充電管理サーバー18が有するWEBサーバー機能によって提供されており、(【0022】) 携帯電話端末20が充電管理サーバー18に接続されると、充電管理サーバー18からはユーザIDとパスワードの入力を要求する画面が携帯電話端末20に送信されて画面に表示され、ユーザデータベースに既に登録があるか否かを検索することでユーザの認証を行い、ユーザデータベースに予め登録がない場合には、ユーザ登録を促す表示が携帯電話端末20の画面に表示され、ユーザ認証は、充電管理サーバー18が有すユーザーデータベース機能によって提供されており、(【0023】) ユーザ認証に成功すると、充電管理サーバ18からは利用時間の入力をユーザに要求する画面が送信され、これに応じてユーザは電気自動車EVの充電を行いたい時間の長さを利用時間として入力し、(【0024】) 次に、充電管理サーバ18からは充電方法の選択を求める画面が送信され、充電方法としては、直ちに充電を開始する「即時充電」と、充電を開始する時刻を予約できる「開始時刻予約」と、充電の完了時刻を予約できる「完了時刻予約」との三種類があり、「開始時刻予約」が選択された場合には、開始時刻の入力画面が現れ、ここで開始時刻を入力すると、その時刻までタイマーによって待機状態となり、「完了時刻予約」が選択された場合には、完了予約時刻の入力画面が現れ、ここで充電が完了していることを希望する完了時刻を入力すると、充電管理サーバー18は他コンセントの利用状況や予約状況と車両の充電に要する時間とを考慮して受電設備15にとって最も軽負荷となる時間帯を選択し、その時間帯における始めの時刻を充電の開始時刻として設定し、その開始時刻までタイマーによって待機状態となり、(【0025】) 充電管理サーバー18は、「即時充電」が選択された場合には直ちに、「開始時刻予約」又は「完了時刻予約」が選択された場合には開始時刻になると、その時刻をユーザIDと共にコンセント使用データベースに記録し、同時的に継電器制御回路17を介して分電盤14に給電許容信号を出力し、継電器制御回路17は、特定されているコンセント11に電力を供給するべく分電盤14の対応する継電器16を閉じ、これにより、電気自動車EVの充電が開始され、(【0026】) コンセント使用データベースとユーザデータベースとにアクセスすることにより、ユーザ毎にコンセント11の使用料金を計算して課金することが可能である(【0028】)」 (3) 引用文献1に記載された発明 上記(2)より、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「車両に備えられたバッテリーを駐車中に充電するための車両の充電管理システムであって、充電管理システムは、充電ポスト10と、充電管理サーバー18を備えており、(上記(2)ア) 充電ポスト10は、集合住宅の駐車場には複数の車両の駐車位置が区画して設けられた各駐車位置に対応して、立設されており、この充電ポスト10は、充電用端末に相当するコンセント11が埋め込まれており、駐車位置とコンセント11とは1対1で対応しており、各コンセント11は、それぞれ電力供給線13を介して分電盤14に接続され、分電盤14は駐車場の受電設備15からの交流電力の供給を受けるようになっており、(上記(2)イ) 充電管理サーバー18は、携帯電話用のWEBサーバー機能と、ユーザデータベース機能と、コンセント使用データベース機能と、継電器制御機能とを有しており、ユーザーデータベース機能により、ユーザ認証が提供されており、ユーザーデータベースは、ユーザID、ユーザ氏名、住所、充電料金の請求先、支払い方法等のフィールドを備え、ユーザ識別情報であるユーザIDをキーとして構築されており、コンセント使用データベースは、コンセントの識別情報(充電用端末識別情報)、充電を行ったユーザのユーザID、開始時刻(日時を含む)、終了時刻(同)、使用時間のフィールドを備えており、充電管理サーバー18の継電器制御機能により継電器制御回路17が制御され、継電器制御回路17により各継電器16が制御されており、(上記(2)ウ) 駐車場に入場した車両EV(プラグイン充電型の電気自動車)が駐車位置に駐車し、運転者がその車両EVの充電を行おうとする場合、車両に備えられている充電用プラグPを充電ポスト10のコンセント11に差し込み、 運転者が、携帯電話端末20のバーコード撮影機能を起動させて充電プラグPを差し込んだコンセント11の下にあるバーコードシート12を携帯電話機内蔵のカメラによって撮影すると、携帯電話端末20はバーコードから駐車場管理のためのWEBサイトのURL、駐車位置情報を読み取ると共に、その情報に基づき、携帯電話端末20のブラウザによってコンセント毎に設けられているWEBサイトに誘導され、このWEBサイトは、充電管理サーバー18が有するWEBサーバー機能によって提供されており、 携帯電話端末20が充電管理サーバー18に接続されると、充電管理サーバー18からはユーザIDとパスワードの入力を要求する画面が携帯電話端末20に送信されて画面に表示され、ユーザデータベースに既に登録があるか否かを検索することでユーザの認証を行い、ユーザデータベースに予め登録がない場合には、ユーザ登録を促す表示が携帯電話端末20の画面に表示され、ユーザ認証は、充電管理サーバー18が有すユーザーデータベース機能によって提供されており、そのユーザーデータベースは、ユーザID、ユーザ氏名、住所、充電料金の請求先、支払い方法等のフィールドを備え、ユーザ識別情報であるユーザIDをキーとして構築されており、 ユーザ認証に成功すると、充電管理サーバ18からは利用時間の入力をユーザに要求する画面が送信され、これに応じてユーザは電気自動車EVの充電を行いたい時間の長さを利用時間として入力し、 次に、充電管理サーバ18からは充電方法の選択を求める画面が送信され、充電方法としては、直ちに充電を開始する「即時充電」と、充電を開始する時刻を予約できる「開始時刻予約」と、充電の完了時刻を予約できる「完了時刻予約」との三種類があり、「開始時刻予約」が選択された場合には、開始時刻の入力画面が現れ、ここで開始時刻を入力すると、その時刻までタイマーによって待機状態となり、「完了時刻予約」が選択された場合には、完了予約時刻の入力画面が現れ、ここで充電が完了していることを希望する完了時刻を入力すると、充電管理サーバー18は他コンセントの利用状況や予約状況と車両の充電に要する時間とを考慮して受電設備15にとって最も軽負荷となる時間帯を選択し、その時間帯における始めの時刻を充電の開始時刻として設定し、その開始時刻までタイマーによって待機状態となり、 充電管理サーバー18は、「即時充電」が選択された場合には直ちに、「開始時刻予約」又は「完了時刻予約」が選択された場合には開始時刻になると、その時刻をユーザIDと共にコンセント使用データベースに記録し、同時的に継電器制御回路17を介して分電盤14に給電許容信号を出力し、継電器制御回路17は、特定されているコンセント11に電力を供給するべく分電盤14の対応する継電器16を閉じ、これにより、電気自動車EVの充電が開始され、 コンセント使用データベースとユーザデータベースとにアクセスすることにより、ユーザ毎にコンセント11の使用料金を計算して課金することが可能である(上記(2)エ) 車両の充電管理システム。」 第5 対比 本願発明と引用発明を対比する。 1 「特定の人が利用する建物に付帯設置される電動式移動体用の充電システム」について 引用発明は、「充電管理システムは、充電ポスト10と、充電管理サーバー18を備えており、充電ポスト10は、集合住宅の駐車場には複数の車両の駐車位置が区画して設けられた各駐車位置に対応して、立設されており、」「駐車場に入場した車両EV(プラグイン充電型の電気自動車)が駐車位置に駐車し、運転者がその車両EVの充電を行おうとする場合、車両に備えられている充電用プラグPを充電ポスト10のコンセント11に差し込」むとされている。 ここで、引用発明の「集合住宅」は、当該集合住宅の住人(特定の人)が居住(利用)する建物であるから、本願発明1の「特定の人が利用する建物」に相当し、引用発明の「車両」は、「車両に備えられたバッテリーを駐車中に充電する」「車両EV(プラグイン充電型の電気自動車)」であるから、本願発明1の「電動式移動体」に相当する。 また、引用発明の「充電ポスト10」および「充電管理サーバー18」は、それぞれ、本願発明1の「充電器設備」および「サーバ」に対応する。 さらに、引用発明の「充電ポスト10」は、「集合住宅の駐車場には複数の車両の駐車位置が区画して設けられた各駐車位置に対応して、立設され」ているから、本願発明1と同様に、「特定の人が利用する建物に付帯設置され」ているといえる。 したがって、本願発明1と引用発明とは、「特定の人が利用する建物に付帯設置される電動式移動体用の充電システムであって、」「充電器設備と、」「サーバと、を備え」る点で共通する。 2 「前記建物の駐車エリアに設置される複数の充電器設備」について 引用発明の「集合住宅の駐車場」は、本願発明1の「前記建物の駐車エリア」に相当する。 また、引用発明の「充電ポスト10」には、「充電用端末に相当するコンセント11が埋め込まれて」いるから、引用発明1の「充電ポスト10」は、本願発明1の「充電器設備」に相当する。 引用発明において、「集合住宅の駐車場には複数の車両の駐車位置が区画して設けられており、各駐車位置に対応してそれぞれ充電ポスト10が立設されて」いるから、「充電ポスト10」は複数であるといえる。 したがって、本願発明1の「充電器設備」と引用発明の「充電ポスト10」とは、「前記建物の駐車エリアに設置される複数の充電器設備」である点で共通する。 3 「前記複数の充電器設備各々の使用電力量に関する情報を収集可能なサーバ」について 引用発明において、「充電管理サーバー18は、「即時充電」が選択された場合には直ちに、その時刻をユーザIDと共にコンセント使用データベースに記録し、」「コンセント使用データベースは、コンセントの識別情報(充電用端末識別情報)、充電を行ったユーザのユーザID、開始時刻(日時を含む)、終了時刻(同)、使用時間のフィールドを備えており」、「コンセント使用データベースとユーザデータベースとにアクセスすることにより、ユーザ毎にコンセント11の使用料金を計算して課金することが可能である)」から、引用発明の「充電管理サーバー18」も、本願発明1の「サーバ」と同様に、「前記複数の充電器設備各々の使用電力量に関する情報を収集可能」であるといえる。 したがって、本願発明1の「サーバ」と引用発明の「「充電管理サーバー18」とは、「前記複数の充電器設備各々の使用電力量に関する情報を収集可能なサーバ」である点で共通する。 4 「前記特定の人から前記充電システムの新規利用を受け付けると、前記特定の人の情報と前記充電器設備の情報とを紐付ける処理を行ってから利用可能状態にする紐付け部」について 引用発明において、「駐車場に入場した車両EV(プラグイン充電型の電気自動車)が駐車位置に駐車し、運転者がその車両EVの充電を行おうとする場合、」「ユーザ認証に成功すると、」充電管理サーバー18は、「即時充電」が選択された場合には直ちに、「開始時刻予約」又は「完了時刻予約」が選択された場合には開始時刻になると、その時刻をユーザIDと共にコンセント使用データベースに記録し、同時的に継電器制御回路17を介して分電盤14に給電許容信号を出力し、継電器制御回路17は、特定されているコンセント11に電力を供給するべく分電盤14の対応する継電器16を閉じ、これにより、電気自動車EVの充電が開始され」るとされ、ここで、「コンセント使用データベースは、コンセントの識別情報(充電用端末識別情報)、充電を行ったユーザのユーザID、開始時刻(日時を含む)、終了時刻(同)、使用時間のフィールドを備えて」いるとされている。 ここで、引用発明の「駐車場に入場した」「車両EVの充電を行おうとする」「運転者」は、「集合住宅」の居住者であるから、本願発明1の「前記特定の人」に相当する。 また、引用発明において、「運転者がその車両EVの充電を行おうと」して、「電気自動車EVの充電を行いたい時間の長さを利用時間として入力」することは、本願発明1の「前記充電システムの」「利用を受け付ける」ことに相当する。 さらに、引用発明において、「「即時充電」が選択された場合には直ちに、「開始時刻予約」又は「完了時刻予約」が選択された場合には開始時刻になると、その時刻をユーザIDと共にコンセント使用データベースに記録し、」「コンセント使用データベース」が、「コンセントの識別情報(充電用端末識別情報)、充電を行ったユーザのユーザID」「のフィールドを備えて」いる」ことは、「前記充電システムの」「利用を受け付け」た際に、「コンセントの識別情報(充電用端末識別情報)」(「充電器設備の情報」)に「ユーザID」(前記特定の人の情報)を対応付け(紐付け)ていることに他ならない。 そして、引用発明において「「即時充電」が選択された場合には直ちに、・・・その時刻をユーザIDと共にコンセント使用データベースに記録し、同時的に継電器制御回路17を介して分電盤14に給電許容信号を出力し、継電器制御回路17は、特定されているコンセント11に電力を供給するべく分電盤14の対応する継電器16を閉じ、これにより、電気自動車EVの充電が開始され」ることから、引用発明の「継電器制御回路17を介して分電盤14に給電許容信号を出力し、継電器制御回路17は、特定されているコンセント11に電力を供給するべく分電盤14の対応する継電器16を閉じ」ることは、本願発明1の「利用可能状態にする」ことに相当するといえる。 したがって、本願発明1の「前記特定の人から前記充電システムの新規利用を受け付けると、前記特定の人の情報と前記充電器設備の情報とを紐付ける処理を行ってから利用可能状態にする紐付け部」「を有する」「サーバ」と、引用発明の「充電管理サーバー18」とは、「前記特定の人から前記充電システムの」「利用を受け付けると、前記特定の人の情報と前記充電器設備の情報とを紐付け」る手段と利用可能状態にする手段とを有している点で共通している。 5 「前記紐付け部によって紐付けた情報を記憶する記憶部」について 上記(エ)で述べたように、引用発明の「コンセント使用データベース」も、本願発明1の「記憶部」と同様に、「紐付けた情報を記憶」しているといえる。 したがって、本願発明1「サーバ」と、引用発明の「充電管理サーバー18」とは、「前記紐付け部によって紐付けた情報を記憶する記憶部と、を有する」点で共通している。 6 一致点、相違点 上記1~5によれば、本願発明と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 [一致点] 「 特定の人が利用する建物に付帯設置される電動式移動体用の充電システムであって、 前記建物の駐車エリアに設置される複数の充電器設備と、 前記複数の充電器設備各々の使用電力量に関する情報を収集可能なサーバと、を備え、 前記サーバは、 前記特定の人から前記充電システムの利用を受け付けると、前記特定の人の情報と前記充電器設備の情報とを紐付ける紐付け部と、 前記紐付け部によって紐付けた情報を記憶する記憶部と、を有する、 充電システム。」 <相違点1> 本願発明1では、新規利用を受け付けた際に、特定の人の情報と前記充電器設備の情報とを紐付けているのに対し、引用発明では、新規利用を受け付けた際に、ユーザ登録を促している点。 <相違点2> 本願発明1では、前記特定の人の情報と前記充電器設備の情報とを紐付ける処理を行ってから利用可能状態にしているのに対し、引用発明では、ユーザID(特定の人の情報)とコンセントの識別情報(充電用端末識別情報)(充電器設備の情報)を対応付け(紐付け)て、コンセント使用データベースに記録することと、「継電器制御回路17を介して分電盤14に給電許容信号を出力し、継電器制御回路17は、特定されているコンセント11に電力を供給するべく分電盤14の対応する継電器16を閉じ」ること(利用可能状態にする」ことを、同時的に行っている点。 第6 相違点についての判断 1 <相違点1>について ア コンピュータ(サーバ)システムの技術分野において、新規利用の際に、ユーザ登録を促し、ユーザ登録後に、ユーザIDとパスワードを入力させて、ユーザ認証し、登録済みのユーザとしてシステムを利用させることは、本願出願前に周知の技術である。 イ 引用発明において、「携帯電話端末20が充電管理サーバー18に接続されると、充電管理サーバー18からはユーザIDとパスワードの入力を要求する画面が携帯電話端末20に送信されて画面に表示され、ユーザデータベースに既に登録があるか否かを検索することでユーザの認証を行い、ユーザデータベースに予め登録がない場合には、ユーザ登録を促す表示が携帯電話端末20の画面に表示され」るとされており、ここで、「ユーザデータベースに予め登録がない場合」とは、充電システムの新規利用の際に他ならないから、上記周知の技術をふまえれば、引用発明においても、充電システムの新規利用時に、ユーザ登録を促されたユーザは、ユーザ登録後に、ユーザIDとパスワードを入力して、ユーザ認証し、登録済みのユーザとしてシステムを新規利用することが想定されているといえる。 ウ したがって、引用発明において、上記周知の技術を採用して、新規利用の際に、ユーザ登録を促し、ユーザ登録後に、ユーザIDとパスワードを入力させて、ユーザ認証を行い、入力したユーザID(特定の人の情報)と、コンセントの識別情報(充電用端末識別情報)(充電器設備の情報)を対応付け(紐付け)て、コンセント使用データベースに記録することにより、上記<相違点1>に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 2 <相違点2>について 引用発明において、「「完了時刻予約」が選択された場合には、完了予約時刻の入力画面が現れ、ここで充電が完了していることを希望する完了時刻を入力すると、充電管理サーバー18は他コンセントの利用状況や予約状況と車両の充電に要する時間とを考慮して受電設備15にとって最も軽負荷となる時間帯を選択し、その時間帯における始めの時刻を充電の開始時刻として設定」するものである。 そして、引用文献1には、充電管理サーバー18は、携帯電話用のWEBサーバー機能と、ユーザデータベース機能と、コンセント使用データベース機能と、継電器制御機能とを有している一方、予約状況を保持するためのデータベース等を有する旨の記載はなく、上記充電管理サーバー18が、充電の開始時刻を設定するに際して、他コンセントの利用状況や予約状況と車両の充電に要する時間とを考慮するためには、「コンセント使用データベース」を参照すると考えるのが、引用文献1の記載に接した当業者にとって自然な発想である。 さらに、予約状況の管理において、予約対象・予約者・予約時間を対応付けて管理することは、あらためて文献を提示するまでもなく周知慣用の技術である。 そうすると、引用発明の充電管理サーバー18は、ユーザにより「完了時刻予約」が選択された場合、設定した開始時刻になると、その時刻をユーザIDと共にコンセント使用データベースに記録するとの構成であるものの、コンセント使用データベースが備えるフィールドのうち、利用状況や予約状況の把握のために必要な周知な事項、つまり、予約対象に対応する「コンセントの識別情報(充電用端末識別情報)」、予約者に対応する「ユーザID」、予約時間に対応する「充電の開始時刻」等を「完了時刻予約」が選択されて充電管理サーバ18が充電の開始時刻を設定した時点でコンセント使用データベースに記録するように、タイミングを変更することは、当業者であれば容易になし得るものである。 してみると、引用発明は、「コンセントの識別情報(充電用端末識別情報)」、「ユーザID」、「充電の開始時刻」等をコンセント使用データベースに記録するタイミングを変更することで、結果的に、本願発明1と同様に特定の人の情報(「ユーザID」)と充電器設備の情報(「コンセントの識別情報(充電用端末識別情報)」)とを紐付ける処理(「コンセント使用データベースに記録」)を行ってから利用可能状態(「開始時刻になると充電が開始される」)となる。 したがって、引用発明において、「コンセントの識別情報(充電用端末識別情報)」、「ユーザID」、「充電の開始時刻」等をコンセント使用データベースに記録するタイミングを変更することにより、本願発明の上記<相違点2>に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 3 作用効果について そして、上記<相違点1>及び<相違点2>を勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 4 請求人の主張について (1)請求人の主張 請求人は、令和8年4月16日に提出した意見書において、次の主張1~3のとおり主張している。 ア 主張1 補正後の本願請求項1に係る発明は、新規利用を受け付けるタイミングで利用者と充電設備の情報を紐付ける処理を行い、その後に利用可能状態にするものです。これにより、当該利用者が利用する充電設備が一意に定められるため、月次等の適当なタイミングでサーバに蓄積された使用電力量に応じた使用料を充電システムの各利用者へ適正に請求することが可能となります。すなわち、充電の度に充電設備と利用者を紐づけるための認証機能を備えることが不要であり、本願において解決課題として掲げている、比較的簡単な構成でありながら、複数の人が利用し得る箇所に設置可能な充電システムの構築が可能となります。各引用文献には、このような事項は記載も示唆もされておりません。 イ 主張2 この度の拒絶理由通知におきましては、「コンピュータ(サーバ)システムの技術分野において、新規利用の際に、ユーザ登録を促し、ユーザ登録後に、ユーザIDとパスワードを入力させて、ユーザ認証し、登録済みのユーザとしてシステムを利用させることは、本願出願前に周知の技術である。」とのご指摘や、「引用発明において、上記周知の技術を採用して、新規利用の際にも、ユーザ登録を促し、ユーザ登録後に、ユーザIDとパスワードを入力させて、ユーザ認証を行い、入力したユーザID(特定の人の情報)と、コンセントの識別情報(充電用端末識別情報)(充電器設備の情報)を対応付け(紐付け)て、コンセント使用データベースに記録する構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。」とのご指摘をいただいております。ご指摘のとおり、サービスの利用開始時にユーザIDやパスワードを入力してユーザ登録することは周知と思料いたします。 しかしながら、新規利用時のユーザ登録でユーザ情報とコンセントの識別情報とを対応付けて登録することは周知でありません。 ウ 主張3 また、引用文献1では、ユーザ登録時は駐車位置が特定されていないことを前提としているため、このような前提の文献に周知技術を適用しても、ユーザ情報とコンセントの識別情報とを対応付けて登録することに想到することは困難であり、審判請求人としては上記ご指摘を到底受け入れられるものではありません。 (2)請求人主張の検討 以下、上記主張について検討する。 ア 主張1及び2について 請求人の主張1及び2は、いずれも本願明細書の段落【0030】や【0031】の記載つまり、「・・・充電システム1の運営者は、充電システム1の利用を申し込んだアパート2の住人と、当該住人が利用する充電器用コンセント23との対応関係をサーバ5に設定しておくことで、当該住人がEV26の充電で消費した電力量を特定可能にしている。・・・」、を前提とするものであると思われるが、かかる前提となる構成は本願発明には特定されていないため、上記主張1及び2は採用できない。 イ 主張3について また、引用発明は、集合住宅の駐車場を対象としており、集合住宅の駐車場では、契約した駐車位置が特定されていることが一般的であるから、引用発明は、ユーザ登録時は駐車位置が特定されていないことを前提としている旨の上記主張3は採用できない。 5 小括 したがって、本願発明1は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2025-008011

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存