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特許拒絶査定不服審判

2022-006309

電子制御ユニット

審判番号
2022-006309
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-020910外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年04月26日
審決日
2022年10月25日
公報発行日
2023年01月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H04L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018- 20910「電子制御ユニット」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 8月22日出願公開、特開2019-140481〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 10項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、平成30年2月8日の出願であって、その手続の経緯は次のとおりである。

令和3年 8月 2日付け:拒絶理由通知書
令和3年10月 4日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 2月 2日付け:拒絶査定(原査定)
令和4年 4月26日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 令和4年4月26日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和4年4月26日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について(補正の内容)

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は補正箇所である。)。

「【請求項1】
車両に搭載されているプロセッサであって、
第1のネットワークに接続し、前記第1のネットワークとは異なる第2のネットワークに接続し、
前記第1のネットワーク及び前記第2のネットワークに送信すべきデータを取得し、
前記第1のネットワークが利用可能であるか否か及び前記第2のネットワークが利用可能であるか否かを判定し、
前記第1のネットワークが利用可能であり、且つ前記第2のネットワークが利用不可能であると判定された場合に、前記データを前記第1のネットワークに送信し、前記第2のネットワークが利用可能になったときに前記データを前記第2のネットワークに送信できるように前記データを記憶媒体に格納すると共に、前記記憶媒体に前記データが格納されたことを示す情報を前記記憶媒体に格納し、
前記データを前記記憶媒体に格納したときに、前記第2のネットワークが利用可能であるか否かを判定し、
前記第2のネットワークが利用可能になったときに、前記データを前記第2のネットワークに送信すると共に前記データが前記第2のネットワークに送信されたことを示す情報を、前記記憶媒体に前記データが格納されたことを示す情報の上に上書きする
ようにプログラムされたプロセッサ。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲

本件補正前の、令和3年10月4日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「【請求項1】
車両に搭載されているプロセッサであって、
第1のネットワークに接続し、前記第1のネットワークとは異なる第2のネットワークに接続し、
前記第1のネットワーク及び前記第2のネットワークに送信すべきデータを取得し、
前記第1のネットワークが利用可能であるか否か及び前記第2のネットワークが利用可能であるか否かを判定し、
前記第1のネットワークが利用可能であり、且つ前記第2のネットワークが利用不可能であると判定された場合に、前記データを前記第1のネットワークに送信し、前記第2のネットワークが利用可能になったときに前記データを前記第2のネットワークに送信できるように前記データを記憶媒体に格納し、
前記データを前記記憶媒体に格納したときに、前記第2のネットワークが利用可能であるか否かを判定し、
前記第2のネットワークが利用可能になったときに、前記データを前記第2のネットワークに送信する、
するようにプログラムされたプロセッサ。」

2 補正の適否

本件補正は、上記のとおり、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である、「プロセッサ」について、上記下線部のとおりの限定を付加することを含むものであって、本件補正前の請求項1に係る発明と本件補正後の請求項1に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献、引用発明等

ア 引用文献2、引用発明

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献である、特開2008-187243号公報(平成20年8月14日出願公開。以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。

「【0028】
図1において、車載用データ中継装置50(以下、単にデータ中継装置50と記載する)は、ネットワーク10、ネットワーク20、及びネットワーク30とそれぞれ接続され、そのネットワーク10-30間で通信フレームの中継を行う。
【0029】
ネットワーク10は、バス1と、そのバス1に接続するノード11,12,13とからなる。そして、そのノード11-13は、車両の図示しないバッテリからのバッテリ電源により、常時電圧の供給を受けて動作する。
【0030】
ネットワーク20は、バス2と、そのバス2に接続するノード21,22,23とからなる。そして、そのノード21-23は、車両のイグニション電源から電圧の供給を受けて動作する。
【0031】
ネットワーク30は、バス3と、そのバス3に接続するノード31,32,33とからなる。そして、そのノード31-33は、車両のアクセサリ電源或いはイグニション電源から電圧の供給を受けて動作する。具体的に、ノード31はアクセサリ電源から電圧の供給を受けて動作し、ノード32,33はイグニション電源から電圧の供給を受けて動作する。尚、ノードとしては、車両を制御する電子制御装置(ECU)がある。」
「【0043】
次に、図3は、情報記憶部54に記憶される情報を表す図面である。
図3では、データ中継装置50が中継すべき通信フレームの全てについて、中継元バス名と、中継先バス名と、フレーム種別とが対応付けられている。具体的に、フレーム_1の中継元はバス1であり、中継先はバス2,3である。これはつまり、フレーム_1は、バス1からバス2,3に中継されることを表す。また、フレーム_1の種別は1であり、これは、フレーム_1が重要フレームであることを表す。尚、重要フレームとしては、例えばイベントが発生した(例えば所定のスイッチが操作された)ことを表す通信フレームがある。」
「【0045】
次に、図4は、データ中継装置50の図示しないCPUが実行する通信フレームの中継処理を表すフローチャートである。この中継処理は、データ中継装置50が起動すると開始され、その後データ中継装置50への電圧の供給が停止されてデータ中継装置50が休止するまで繰り返し実行される。尚、データ中継装置50が起動した際、そのデータ中継装置50において初期化処理が実行される。また、初期状態では、出力遮断部62a-62cのスイッチはオンされているものとする。」

【0046】

図4の中継処理では、まず、S110で、イグニション電源及びアクセサリ電源がオン状態であるか否かを、イグニション電源及びアクセサリ電源からのオン/オフ状態を表す信号に基づき判定する。

【0047】

そして、イグニション電源及びアクセサリ電源が共にオン状態でない、つまりオフ状態であると判定すると、S120へ移行し、出力遮断部62b,62cのスイッチをオフさせ、データ中継装置50とバス2,3との接続を切り離す。そしてその後、S180へ移行する。また、S110でイグニション電源のみがオン状態でない、つまりオフ状態であると判定すると、S130へ移行し、出力遮断部62bのスイッチをオフさせ、バス2との接続を切り離す。そしてその後、S140へ移行する。

【0048】

一方、S110でイグニション電源及びアクセサリ電源が共にオン状態であると判定すると、S140へ移行する。S110から移行したS140では、当該データ中継装置50とネットワーク20,30との通信が遮断中であるか否かを、出力遮断部62b,62cのスイッチの状態に基づき判定する。具体的に、例えばネットワーク20について、出力遮断部62bのスイッチがオンされていれば通信中と判定し、出力遮断部62bのスイッチがオフされていれば通信遮断中と判定する。ネットワーク30についても同様であり、ここでは説明を省略する。そして、ネットワーク20,30との通信が共に遮断中でないと判定すると、S180へ移行する。

【0049】

また、S130から移行したS140では、ネットワーク30との通信が遮断中であるか否かを、出力遮断部62cのスイッチの状態に基づき判定する。そして、ネットワーク30との通信が遮断中でないと判定すると、S180へ移行する。

【0050】

一方、S110から移行したS140で、当該データ中継装置50と、ネットワーク20,30の少なくとも何れかとの通信が遮断中であると判定すると、S150へ移行し、通信の遮断を解除する。具体的に、当該データ中継装置50とネットワーク20との通信が遮断中であれば(S140:YES)、出力遮断部62bのスイッチをオンさせることにより、当該データ中継装置50とネットワーク20との通信が可能になるようにする。ネットワーク30についても同様であり、ここでは説明を省略する。

【0051】

また、S130から移行したS140で、当該データ中継装置50とネットワーク30との通信が遮断中であると判定すると、S150へ移行し、ネットワーク30との間における通信の遮断を解除する。

【0052】

つまり、S110→S140→S150の場合は、データ中継装置50は、ネットワーク20,30との通信が可能であり、S110→S130→S140→S150の場合は、データ中継装置50は、ネットワーク30との通信が可能である。

【0053】

S150の後、S160へ進み、重要フレームが保持されているか否か(図3の重要フレーム記憶部60に重要フレームが記憶されているか否か)、及び重要フレームが保持されている場合にその重要フレームを中継可能か否か(中継先と通信可能か否か)を判定する。そして、中継可能な重要フレームが保持されていると判定すると、S170へ移行し、その中継可能な重要フレームを重要フレーム記憶部60から読み出して、中継すべき中継先に中継する。そしてその後、S180へ移行する。

【0054】

一方、S160で、重要フレームが保持されていない、或いは、保持されている重要フレームが中継可能でないと判定すると、S180へ移行する。 S180では、通信フレームを受信したか否かを判定する。尚、通信フレームを受信していないと判定すると、再びS180の処理を繰り返す(受信待機)。

【0055】

S180で通信フレームを受信したと判定すると、S190へ移行し、その通信フレームが、受信元のネットワークから他のネットワークへ中継すべき通信フレーム(以下、中継フレームとも記載する)であるか否かを、情報記憶部54(図2参照)に記憶された情報(図3参照)に基づき判定する。中継フレームでないと判定すると、S260へ移行する。

【0056】

一方、S190で受信した通信フレームが中継フレームであると判定すると、情報記憶部54に記憶された情報に基づき、中継すべきネットワーク(バス)に、中継フレームを振り分ける。具体的に、フレーム送信部58(図2参照)の送信バッファ58a-58cのうち、中継先に対応する送信バッファに中継フレームが格納される。

【0057】

次にS210へ進み、当該データ中継装置50と中継先のバスとの接続が切り離されているか否かを判定する。切り離されていないと判定すると、S220へ移行し、フレーム送信部58から中継フレームを送出させて、中継を行う。そしてその後、S260へ移行する。

【0058】

一方、S210で当該データ中継装置50と中継先のバスとの接続が切り離されていると判定すると、S230へ移行し、中継フレームが重要フレームであるか否か(中継フレームの種別が1であるか否か)を、情報記憶部54に記憶された情報に基づき判定する。

【0059】

S230で重要フレームであると判定すると、S240へ移行し、その重要フレームを重要フレーム記憶部60に記憶させる。そしてその後、S260へ移行する。

一方、S230で重要フレームでないと判定すると、S250へ移行し、その中継フレームを破棄する。そしてその後、S260へ移行する。

【0060】

S260では、当該データ中継装置50への電圧の供給が停止されたか否かを判定し、停止されたと判定すると、当該処理を終了する。一方、電圧の供給が停止されていないと判定すると、S110へ戻る。」

「【0064】
また、データ中継装置50は、データ中継装置50との接続が切り離されているネットワークに中継すべき通信フレームを受信した際、その受信した通信フレームのうち、種別が1である通信フレーム(重要フレーム)を記憶しておき、その記憶した通信フレームを、その後通信可能となった際に中継するようになっている。このため、通信フレームを記憶するためのメモリ資源を節約しつつ、所望の通信(制御)が実現されるようにすることができる。」
「【0078】
また、上記実施形態では、通信が遮断されたネットワークに中継すべき通信フレームを受信した際、その通信フレームのうち、重要フレームのみを記憶するようにしているが、受信した通信フレーム全てを記憶するように構成しても良い。」

図1

[図:0001392971000001.jpg]

図2

[図:0001392971000002.jpg]

図3

[図:0001392971000003.jpg]

図4

[図:0001392971000004.jpg]

したがって、上記引用文献2には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「ネットワーク10、ネットワーク20、及びネットワーク30とそれぞれ接続され、そのネットワーク10-30間で通信フレームの中継を行う車載用データ中継装置のCPUであって、
情報記憶部に記憶される情報において、データ中継装置が中継すべき通信フレームの全てについて、中継元バス名と、中継先バス名と、フレーム種別とが対応付けられており、
具体的に、フレーム_1の中継元はバス1であり、中継先はバス2,3であり、フレーム_1は、バス1からバス2,3に中継されることを表し、また、フレーム_1の種別は1であり、これは、フレーム_1が重要フレームであることを表し、
通信フレームを受信し、その通信フレームが、受信元のネットワークから他のネットワークへ中継すべき通信フレーム(以下、中継フレームとも記載する)であるか否かを、情報記憶部に記憶された情報に基づき判定し、
受信した通信フレームが中継フレームであると判定すると、情報記憶部に記憶された情報に基づき、中継すべきネットワーク(バス)に、中継フレームを振り分け、具体的に、フレーム送信部の送信バッファ58a-58cのうち、中継先に対応する送信バッファに中継フレームが格納され、
中継先のバスとの接続が切り離されているか否かを判定し、切り離されていないと判定すると、中継フレームを送出させて中継を行い、
切り離されていると判定すると、中継フレームが重要フレームであるか否かを判定し、重要フレームであると判定すると、その重要フレームを重要フレーム記憶部に記憶させ、
その記憶した通信フレームを、その後通信可能となった際に中継するようになっており、
重要フレームのみを記憶するようにしているが、受信した通信フレーム全てを記憶するように構成しても良い、
車載用データ中継装置のCPU。」

イ 引用文献3

特開2008-186091号公報(平成20年8月14日出願公開。以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(以下、「引用文献3記載の技術的事項」という。)。

「【0031】
次に、各ストレージに設けられたDBについて説明する。複数の第1ストレージ14に各々記憶された送信データ格納DBは、送信データ生成処理によって生成された送信データを格納するためのDBであり、個々の第1ストレージ14に各々設けられた送信データ格納DBの記憶領域は一定サイズの多数個の格納領域に分割され、個々の格納領域(レコード)には、以下の表1に示すように、「業務ID」「区分」「通番」「送信済フラグ」「送信データ長」「送信データ」等の情報が格納される。
【0032】
【表1】
[図:0001392971000005.jpg]
【0033】
なお、「業務ID」には、ホスト・コンピュータ12がデータを生成・転送する複数種の業務のうち、自DBに対応する業務の識別情報が設定され、「区分」には自DB(が記憶されている第1ストレージ14)に付与されている区分が設定される。また、個々の格納領域には、個々の格納領域を識別するための識別情報として「通番(1を初期値とする昇順の数値(1,2,3,…))」が各々付与されており、「通番」には対応する格納領域の通番が設定され、「送信済フラグ」には送信済みか否かを表すフラグが設定され、「送信データ」には送信データ生成処理によって生成された送信データ本体が設定され、「送信データ長」には送信データ本体のサイズが設定される。」
「【0045】
上記のようにして「格納対象区分」及び「格納対象通番」を設定するとステップ62へ移行し、「通番」として「格納対象通番」を、「送信済フラグ」として未送信であることを表すNを、「送信データ」として送信データ生成処理によって新たに生成された送信データを、「送信データ長」として当該送信データのサイズを各々設定することで、格納対象の格納領域(レコード)に格納する情報を生成し(「通番」については送信データ格納DBに予め固定的に設定されていてもよい)、生成した情報を「格納対象区分」及び「格納対象通番」に対応する格納領域に格納させる(図4の(2)も参照)。これにより、送信データ生成処理によって新たに生成された送信データが送信データ格納DBに格納される。なお、格納領域への情報の格納は、より詳しくは、まず情報を格納する格納領域への他のスレッド又はプロセスによるアクセスをロックした後に、当該格納領域に情報を格納し、情報の格納が完了すると前記格納領域へのアクセスのロックを解除することによって成される。」
「【0048】
次に、ホスト・コンピュータ26からデータ要求を受信したことを契機として、ホスト・コンピュータ12のCPU12Aによってデータ送信アプリケーション・プログラムが実行されることで行われるデータ送信処理について、図3を参照して説明する。
【0049】
データ送信処理では、まずステップ70において、第3ストレージ18に記憶されている送信済インデックスDBから「最終送信区分」「最終送信通番」「格納区分」及び「格納通番」を各々読み込む(図4の(4)も参照)。次のステップ72では、ステップ70で読み込んだ「最終送信区分」が「格納区分」に一致しており、かつステップ70で読み込んだ「最終送信通番」が「格納通番」に一致しているか否か判定する。データ送信処理が最初に起動された場合(送信データの送信を行っていない場合)、送信済みインデックスDBは格納済データ情報が未設定(「格納区分」「格納通番」が初期値のまま)で、「最終送信区分」及び「最終送信通番」も初期値のままの状態となっているので、上記判定が肯定されてステップ90へ移行し、第2ストレージ16に記憶されている格納済インデックスDBから「最新格納区分」以降の全情報(「最新格納区分」及び「最新格納通番」と複数の区分情報)を読み込む(図4の(7)も参照)。なお、ステップ72の判定が肯定された場合は、本発明における「第3記憶手段に保持されている第2位置情報及び第1位置情報が未転送のデータ無しを表す状態となった場合」に対応している。
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【0050】
ステップ92では、ステップ90で格納済インデックスDBから読み込んだ「最新格納区分」及び「最新格納通番」が、送信済インデックスDBに保持されている「格納区分」及び「格納通番」と同一か否か判定する。データ送信処理が起動されるときには、送信データ格納処理によって送信データ格納DBに送信データが格納され、これに伴って格納済インデックスDBに保持されている「最新格納区分」及び「最新格納通番」が更新されているので、上記判定が否定されてステップ94へ移行し、ステップ90で格納済インデックスDBから読み込んだ情報を、格納済データ情報として送信済インデックスDBにそのまま書き込み(複写し)、ステップ72に戻る。これにより、送信済インデックスDBに保持されている「格納区分」及び「格納通番」が、格納済インデックスDBに保持されている「最新格納区分」及び「最新格納通番」に一致するように更新される(図4の(8)も参照)ことになる。このように、ステップ90及びステップ94は本発明に係る同期処理に対応している。
【0051】
上記のように、格納済インデックスDBに保持されている「最新格納区分」及び「最新格納通番」を含む各情報を送信済インデックスDBに複写すると、送信データ格納DBに未送信の送信データが存在している場合には、送信済インデックスDBに保持されている「最終送信区分」「最終送信通番」「格納区分」及び「格納通番」が、未送信の送信データが存在していることを表す値となる。これにより、ステップ72の判定が否定されてステップ74へ移行し、ステップ70で読み込んだ「最終送信通番」が最大値(単一の第1ストレージ14に設けられている格納領域の総数)に一致しているか否か判定する。
【0052】
ステップ74の判定が否定された場合、送信データ格納DBから最後に読み出して送信した送信データは、或る区分(第1ストレージ16)の最終格納領域以外の格納領域に格納されていると判断できるので、ステップ76へ移行し、「送信対象区分」としてステップ70で読み込んだ「最終送信区分」を設定すると共に、「送信対象通番」としてステップ70で読み込んだ「最終送信通番」を1だけインクリメントした値を設定する。「送信対象区分」及び「送信対象通番」は今回送信対象とする送信データが格納されている格納領域の区分・通番を表しており、この場合、送信データ格納DBから最後に読み出して送信した送信データが格納されている送信データ格納DBのうち、最後に送信した送信データが格納されている格納領域の次の格納領域(通番が次の格納領域)に格納されている送信データが今回の送信対象となる。
【0053】
一方、ステップ74の判定が肯定された場合、送信データ格納DBから最後に読み出して送信した送信データは、或る区分の最終格納領域に格納されていると判断できるので、ステップ78へ移行し、ステップ70で読み込んだ「最終送信区分」が最大値(第1ストレージ14の総数)に一致しているか否か判定する。この判定が否定された場合はステップ80へ移行し、「送信対象区分」としてステップ70で読み込んだ「最終送信区分」を1だけインクリメントした値を設定すると共に、「送信対象通番」として1を設定する。この場合、送信データ格納DBから最後に読み出して送信した送信データが格納されている送信データ格納DBに対して「区分」が次の送信データ格納DBのうち「通番」が先頭の格納領域に格納されている送信データが今回の送信対象となる。また、ステップ78の判定が肯定された場合はステップ82へ移行し、「送信対象区分」及び「送信対象通番」として各々1を設定する。この場合、「区分」=1の送信データ格納DBのうち「通番」が先頭の格納領域に格納されている送信データが今回の送信対象となる。
【0054】
上記のようにして「送信対象区分」及び「送信対象通番」を設定するとステップ84へ移行し、設定した「送信対象区分」に対応する送信データ格納DBのうち、設定した「送信対象通番」に対応する格納領域から「送信データ」を読み出し、読み出した「送信データ」をデータ要求元のホスト・コンピュータ26へ送信する(図4の(5)も参照)。このステップ84でホスト・コンピュータ12から送信された送信データは、データ要求元のホスト・コンピュータ26で受信され、ホスト・コンピュータ26で行われる各種の業務処理に用いられる。また、次のステップ86では、ステップ84で送信データを読み出した格納領域内の「送信済みフラグ」に送信済みであることを表すYを設定することで、「送信済みフラグ」を更新する。なお、データ送信処理による送信データ格納DBへのアクセス(送信データ格納DBの送信対象の格納領域からの送信データの読み出し(ステップ84)や送信データ格納DBの送信対象の格納領域内の送信済みフラグの更新(ステップ86))についても、先に説明した送信データ格納処理と同様に、送信対象の格納領域への他のスレッド又はプロセスによるアクセスをロックした後に行われ、送信データの読み出しや送信済みフラグの更新が完了するとアクセスのロックが解除される。」

ウ 引用文献4

特開2009-225441号公報(平成21年10月1日出願公開。以下、「引用文献4」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(以下、「引用文献4記載の技術的事項」という。)。

「【背景技術】
【0002】
少なくも2以上のバス間で転送されるフレームデータの中継を行うゲートウェイECU(ElectronicControlUnit:電子制御ユニット)の中継手法として、フレームデータを受信した順序に従って中継する方法と、受信した順序には従わず、平準化を行って送信する方法とがある。
【0003】
続きを表示(全14行)
平準化とは、フレームデータの優先度や送信周期に関わらず均一に送信を行うことをいう。例えば、A,B,C,A,D,E,A,B,C,A,D,E・・・の順に連続してフレームデータを受信した場合、A,B,C,D,E,A,B,C,D,E・・・の順にフレームデータを並び替えて送信する。
【0004】
フレームデータを平準化して送信する技術の1つとして、フレームデータを識別するID(IDentifierNumber)ごとにバッファを設けて、送信時にはこのバッファからフレームデータを送信順に読み出す技術が知られている。IDは、フレームデータを送信するバス上のノード(例えば、ECU)によって付与されるものであり、IDによって送信元のノードやそのフレームデータの優先度などが判る。
【0005】
IDごとに分割されたバッファをID毎バッファと呼ぶ。また、ID毎バッファの各領域に対応して、各領域にデータが記録されているか否かを示すフラグがメモリに記録されている。
さらに、ID毎バッファは、中継するチャネルごとに設けられている。例えば、ゲートウェイECUが中継を担当するチャネル数が2チャネルであれば、ID毎バッファも2つ設けられている。
【0006】
フレームデータの送信時には、ID毎バッファの各領域に対応して設けられたフラグに対して線形検索を行う。フラグの記録された(つまり、ON状態)ID毎バッファの領域にはフレームデータが格納されているので、フラグが記録されているID毎バッファの領域からフレームデータを読み出して送信する。
【0007】
線形検索について図1(A)を参照しながら説明する。線形検索では、フラグの検索は初回は先頭から行うが、次回以降は、前回検索が終了したバッファ領域の次のバッファ領域から行う。すなわち、1回目の検索で図1(A)に示す上から7段目(ID192)の領域のフラグが記録されていることを検出すると、2回目の検索は8段目(ID216)から行う。また、検索がID毎バッファの最後の領域まで達すると、再度先頭に戻って検索を行う。検索を行った結果、最初に検索を開始した位置までフラグが記録されたバッファ領域がなければそこで検索を終了する。」

「【0077】

図9に、ID毎バッファ1501、1502にフレームデータが格納されているか否かを示すフラグを記録するRAM3001のフラグデータ記憶領域の構成を示す。

図9に示すようにRAM3001のフラグデータ記憶領域には、第1フラグとしてのデータ更新フラグ2100と、第2フラグとしてのインデックスフラグ2200とが記録されている。

本実施例のデータ更新フラグ2100は、16行8列のマトリクス状に構成したRAM3001のフラグデータ記憶領域に記憶される。ID毎バッファ1501、1502にフレームデータが格納されると、対応するデータ更新フラグ2100の状態が[0]から[1]に変更される。すなわち、フラグを記録した状態となり、フレームデータが更新された状態を表す。

【0078】

また、インデックスフラグ2200は、データ更新フラグ2100の複数ビットをまとめたグループごとに設けられており、グループに含まれるデータ更新フラグ2100の少なくとも1つがデータ更新された状態を示しているときに、データの更新状態を表す。本実施例では、図9に示すようにデータ更新フラグ2100の1行分の情報を、インデックスフラグ2200の1ビットで表現している。

例えば、図9に示すデータ更新フラグ2100の6行目(図9に示すデータ更新フラグ2100では、0行から15行のうちの5行)のいずれかのビットに1が記録されていると、対応するインデックスフラグ2200のビット「05」に1が記録される。

このように、データ更新フラグ2100の複数ビットの情報を集約したインデックスフラグ2200を設けることで、フレームデータを記憶したID毎バッファの記憶領域の検索を効率的に行うことができる。

「【0097】
次に、ソフトウェア処理部1400は、検索変数が示すID毎バッファの記憶領域からフレームデータを読み出して送信用メッセージボックス1112Bに格納し、該当するデータ更新フラグ2100のフラグ情報を1から0に変更する(ステップS43)。」

図1

[図:0001392971000006.jpg]

図9

[図:0001392971000007.jpg]

よって、引用文献3,4に記載のように、記憶装置における送信データの管理方法として、読み取るべき送信データの格納場所を示す等を目的に、送信データを、格納したことを示す情報とともに格納し、その後送信を完了した場合に、前記格納したことを示す情報を送信済みであることを示す情報に上書きすることは、周知技術であるといえる。

(3) 対比・判断

ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「車載用データ中継装置のプロセッサ」は、本件補正発明の「車両に搭載されているプロセッサ」に相当する。

(イ)引用発明の「ネットワーク10、ネットワーク20、及びネットワーク30とそれぞれ接続され」ているうちの、いずれか2つの「中継すべきネットワーク(バス)」と「接続され」ていることは、本件補正発明の「第1のネットワークに接続し、前記第1のネットワークとは異なる第2のネットワークに接続し」ていることに相当する。

(ウ)引用発明において、中継元がバス1であり、中継先がバス2,バス3であるフレーム_1が例示されていることを踏まえると、引用発明の「通信フレームを受信」することは、本件補正発明の「前記第1のネットワーク及び前記第2のネットワークに送信すべきデータを取得」することに相当する。

(エ)引用発明の「中継先のバスとの接続が切り離されているか否かを判定」することは、上記(ウ)を踏まえると、本件補正発明の「前記第1のネットワークが利用可能であるか否か及び前記第2のネットワークが利用可能であるか否かを判定」することに相当する。

(オ)引用発明は、段落【0052】の記載を踏まえると、バス2,バス3のうち一方が切り離されておらず、他方が切り離されている状況も想定さされている。そして、引用発明は、フレーム送信部の送信バッファ58a-58cのうち、中継先に対応する送信バッファに中継フレームが格納されるのであるから、それぞれのバスについて、切り離されていないバスに対応する送信バッファに格納された中継フレームは送信され、切り離されているバスに対応する送信バッファに格納された中継フレームは記憶すると解するのが自然である。

そうすると、引用発明の「中継先のバスとの接続が切り離されているか否かを判定し、切り離されていないと判定すると、中継フレームを送出させて中継を行い、切り離されていないと判定すると、中継フレームが重要フレームであるか否かを判定し、重要フレームであると判定すると、その重要フレームを重要フレーム記憶部に記憶させ、その記憶した通信フレームを、その後通信可能となった際に中継する」ことは、本件補正発明における「前記第1のネットワークが利用可能であり、且つ前記第2のネットワークが利用不可能であると判定された場合に、前記データを前記第1のネットワークに送信し、前記第2のネットワークが利用可能になったときに前記データを前記第2のネットワークに送信できるように前記データを記憶媒体に格納すると共に、前記記憶媒体に前記データが格納されたことを示す情報を前記記憶媒体に格納し、前記データを前記記憶媒体に格納したときに、前記第2のネットワークが利用可能であるか否かを判定し、前記第2のネットワークが利用可能になったときに、前記データを前記第2のネットワークに送信すると共に前記データが前記第2のネットワークに送信されたことを示す情報を、前記記憶媒体に前記データが格納されたことを示す情報の上に上書きする」ことと、「前記第1のネットワークが利用可能であり、且つ前記第2のネットワークが利用不可能であると判定された場合に、前記データを前記第1のネットワークに送信し、前記第2のネットワークが利用可能になったときに前記データを前記第2のネットワークに送信できるように前記データを記憶媒体に格納」し、「前記データを前記記憶媒体に格納したときに、前記第2のネットワークが利用可能であるか否かを判定し、前記第2のネットワークが利用可能になったときに、前記データを前記第2のネットワークに送信する」点で共通する。

(4) 一致点・相違点

以上から、本件補正発明と引用発明とは、以下の点で一致ないし相違する。

[一致点]

「車両に搭載されているプロセッサであって、
第1のネットワークに接続し、前記第1のネットワークとは異なる第2のネットワークに接続し、
前記第1のネットワーク及び前記第2のネットワークに送信すべきデータを取得し、
前記第1のネットワークが利用可能であるか否か及び前記第2のネットワークが利用可能であるか否かを判定し、
前記第1のネットワークが利用可能であり、且つ前記第2のネットワークが利用不可能であると判定された場合に、前記データを前記第1のネットワークに送信し、前記第2のネットワークが利用可能になったときに前記データを前記第2のネットワークに送信できるように前記データを記憶媒体に格納し、
前記データを前記記憶媒体に格納したときに、前記第2のネットワークが利用可能であるか否かを判定し、
前記第2のネットワークが利用可能になったときに、前記データを前記第2のネットワークに送信する、
ようにプログラムされたプロセッサ。」

[相違点]

本件補正発明では、「データを記憶媒体に格納」「すると共に、前記記憶媒体に前記データが格納されたことを示す情報を前記記憶媒体に格納し」、「前記データを前記第2のネットワークに送信」「すると共に、前記データが前記第2のネットワークに送信されたことを示す情報を、前記記憶媒体に前記データが格納されたことを示す情報の上に上書きする」のに対し、引用発明ではそのように特定されていない点。

(5)相違点についての検討

上述の通り、記憶装置における送信データの管理方法として、読み取るべき送信データの格納場所を示す等を目的に、送信データを、格納したことを示す情報とともに格納し、その後送信を完了した場合に、格納したことを示す情報を送信済みであることを示す情報に上書きすることは周知技術であり、引用発明において、通信可能となった際に中継すべき通信フレームの格納場所を把握する等を目的に上記周知技術を参酌して、本件補正発明に係る構成とすることは当業者にとって容易に想到し得ることである。

そして、本件補正発明の奏する作用効果は、当業者であれば、引用発明及び周知技術から予測できる範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(6)本件補正についてのむすび

よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第

126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定におい

て読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものであ

る。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

令和4年4月26日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和3年10月4日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献2に記載された発明であるか、又は、引用文献2に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条1項3号又は同法同条2項の規定により特許を受けることができないというものである。

3 引用文献2

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2及びその記載事項は、上記第

2[理由]2(2)アに記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、上記第2[理由]2で検討した本件補正発明から、上記第2[理由]2(4)[相違点]で検討した、「データを記憶媒体に格納すると共に」、「前記記憶媒体に前記データが格納されたことを示す情報を前記記憶媒体に格納」し、「前記データを前記第2のネットワークに送信すると共に」、「前記データが前記第2のネットワークに送信されたことを示す情報を、前記記憶媒体に前記データが格納されたことを示す情報の上に上書きする」点の限定を省いたものである。

そして、上記[理由]2(4)で検討したように、本件補正発明と引用発明とは、上記[相違点]以外は一致しているのであるから、本件補正発明から当該[相違点]の限定を省いたものである本願発明と引用発明との間に、[相違点]はない。

よって、本願発明は、引用発明と同一であるか、又は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法29条1項3号及び同法同条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-006309

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