特許拒絶査定不服審判
2022-006157
プリンタ
- 審判番号
- 2022-006157
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-052030
- 請求日
- 2022年04月22日
- 審決日
- 2023年07月24日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】サトーホールディングス株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人後藤特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 藤本 義仁
- 審判官 佐藤 海
- 審判官 古屋野 浩志
- 分類
- P18 .121-WY (B41J)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第4項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2017- 52030「プリンタ」拒絶査定不服審判事件〔平成30年10月 4日出願公開、特開2018-153988、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成29年3月17日の出願であって、令和2年12月11日付けで拒絶理由通知がされ、令和3年2月19日に意見書及び手続補正書が提出され、同年6月1日付けで拒絶理由通知がされ、同年10月5日に意見書及び手続補正書が提出され、令和4年2月7日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、同年4月22日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに手続補正書が提出されたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである(引用文献については、下記「<引用文献等一覧>」を参照。)。
令和3年10月5日に提出された手続補正書によって補正された請求項1~3に係る発明は、引用文献1ないし4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・請求項 1
・引用文献等 1、3、4
・請求項 2、3
・引用文献等 1~4
<引用文献等一覧>
1.特開2002-83269号公報
2.特開2010-262419号公報
3.特開2007-21928号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2007-237429号公報(周知技術を示す文献)
第3 令和4年4月22日に提出された手続補正書による補正について
1 補正事項
令和4年4月22日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の全文を補正するとともに、明細書の段落【0007】を補正するものである。
本件補正は、以下の補正事項を含む(下線は、当審で付した。)。
(1)補正事項1
本件補正前の請求項1の「印字モード」に関し、「前記印字媒体が挿入されると、前記印字媒体の前記挿入方向における上流側の端部が前記印字ヘッドと前記プラテンローラとに挟持された状態である印字待機位置まで前記印字媒体を搬送し、前記印字待機位置から前記挿入方向とは逆方向に前記印字媒体を搬送して前記印字部にて印字する」としていたものを、「前記印字媒体が挿入されると、前記印字媒体の前記挿入方向における上流側の端部が前記印字ヘッドと前記プラテンローラとに挟持された状態である印字待機位置まで前記印字媒体を搬送し、前記印字待機位置より前記印字媒体の前記挿入方向における下流側へ前記印字媒体を搬送することなく、前記印字待機位置から前記挿入方向とは逆方向に前記印字媒体を搬送して前記印字部にて印字する」とする補正。
(2)補正事項2
本件補正前の明細書の段落【0007】の「印字モード」に関し、「前記印字媒体が挿入されると、前記印字媒体の前記挿入方向における上流側の端部が前記印字ヘッドと前記プラテンローラとに挟持された状態である印字待機位置まで前記印字媒体を搬送し、前記印字待機位置から前記挿入方向とは逆方向に前記印字媒体を搬送して前記印字部にて印字する」としていたものを、「前記印字媒体が挿入されると、前記印字媒体の前記挿入方向における上流側の端部が前記印字ヘッドと前記プラテンローラとに挟持された状態である印字待機位置まで前記印字媒体を搬送し、前記印字待機位置より前記印字媒体の前記挿入方向における下流側へ前記印字媒体を搬送することなく、前記印字待機位置から前記挿入方向とは逆方向に前記印字媒体を搬送して前記印字部にて印字する」とする補正。
2 新規事項について
(1)補正事項1について
願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)の段落【0069】の「印字モードが選択されている場合に、挿入排出部10Fから印字媒体P2が挿入されると、センサ41によって挿入が検出される。挿入が検出されたことにより、取込フェーズが開始される。」の記載、段落【0072】の「印字媒体P2が印字部11に達すると、印字ヘッド21がプラテンローラ22に押し当てられる。印字媒体P2は、インクリボンRとともに印字ヘッド21とプラテンローラ22に挟持された状態で、プラテンローラ22の回転によってニップローラ53,54まで搬送される。」の記載、段落【0073】の「図3(b)に示されるように、印字媒体P2がプラテンローラ22の回転によって、印字媒体P2の先頭が、挿入方向F1の上流側の端部が印字ヘッド21とプラテンローラ22に挟持された状態になる印字待機位置W2に到達すると、排出フェーズ(印刷処理)が開始される。」の記載から、当初明細書等には、「印字媒体P2が挿入される」と、「挿入方向F1の上流側の端部が印字ヘッド21とプラテンローラ22に挟持された状態になる印字待機位置W2」まで「印字媒体P2」を搬送することが記載されている。また、段落【0073】の「…印字待機位置W2に到達すると、排出フェーズ(印刷処理)が開始される。」の記載から、当初明細書等には、「印字媒体P2」が「印字待機位置W2」に到達すると、挿入方向F1の下流側へ「印字媒体P2」を搬送することなく、挿入方向F1とは逆方向に、「印字媒体P2」を搬送して、印刷処理を行うことが記載されていると認められる。
そうすると、補正事項1は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(2)補正事項2について
上記(1)と同様に、補正事項2は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(3)小括
上記(1)、(2)より、補正事項1、2は、特許法第17条の2第3項の要件を満たす。
3 補正事項1の目的について
補正事項1は、「印字モード」に関し、「印字媒体が挿入され」、「印字待機位置まで前記印字媒体を搬送」した後、「挿入方向とは逆方向に前記印字媒体を搬送して前記印字部にて印字する」場合において、「印字媒体」の「挿入方向の下流側」への「搬送」がないことを特定するものであるから、特許請求の範囲を減縮するものである。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載された発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
そうすると、補正事項1は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
4 特許請求の範囲の拡張又は変更について
補正事項1は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるから、特許法第17条の2第4項の要件も満たす。
5 独立特許要件について
「第4 本願発明」~「第6 対比・判断」に示すように、本件補正後の請求項1~3に係る発明は、特許法第17条の2第6項の独立特許要件を満たす。
第4 本願発明
上記第3のとおりであるから、本願の請求項1~3に係る発明(以下、「本願発明1」~「本願発明3」という。)は、令和4年4月22日に提出された手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
媒体として、ICチップとアンテナを有するICタグ媒体及び前記ICチップと前記アンテナを有さない印字媒体のいずれかを同一の挿入排出部において挿入と排出とを行うプリンタであって、
前記媒体に印字する印字ヘッドと、前記印字ヘッドに対向して配置されており前記印字ヘッドとの間で前記媒体を挟持した状態で、前記媒体を搬送するプラテンローラとを有する印字部と、
前記挿入排出部における前記媒体の挿入方向において前記印字部よりも下流側に配置されており前記ICタグ媒体に所定情報を書き込むIC書込部と、
を備え、
前記ICタグ媒体に書込み及び印字するICタグモードと、前記印字媒体に印字する印字モードとが切り換え可能とされており、
前記ICタグモードでは、前記ICタグ媒体が挿入されると、前記ICタグ媒体の書込み待機位置まで前記ICタグ媒体を前記挿入方向に搬送し、
前記印字モードでは、前記印字媒体が挿入されると、前記印字媒体の前記挿入方向における上流側の端部が前記印字ヘッドと前記プラテンローラとに挟持された状態である印字待機位置まで前記印字媒体を搬送し、前記印字待機位置より前記印字媒体の前記挿入方向における下流側へ前記印字媒体を搬送することなく、前記印字待機位置から前記挿入方向とは逆方向に前記印字媒体を搬送して前記印字部にて印字する、プリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタであって、
前記媒体に転写する印字用インクが塗布されたインクリボンを前記印字ヘッドと前記プラテンローラとの間に供給するリボン供給部と、
前記プラテンローラに対して前記挿入排出部よりも前記挿入方向の下流側であって前記IC書込部よりも前記挿入方向の上流側に配置されており前記媒体の前記印字待機位置まで搬送する搬送部とを備え、
前記挿入排出部から挿入された前記媒体が前記印字ヘッドと前記プラテンローラにより前記インクリボンとともに挟持された状態で前記搬送部まで搬送された後、
前記プラテンローラと前記印字ヘッドとの挟持状態が解除され、
前記媒体を前記搬送部まで搬送する間に、前記印字媒体とともに搬送された前記インクリボンを、前記媒体を前記搬送部まで搬送する前の位置まで、前記挿入方向とは逆方向に戻す、プリンタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプリンタであって、
前記ICタグモードにおける前記ICタグ媒体の印字待機位置は、前記IC書込部に備えられたアンテナと前記ICタグ媒体に備えられた前記アンテナとが合致する位置である、プリンタ。」
第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1に記載された事項、引用文献1に記載された発明
ア 引用文献1に記載された事項
本願の出願前に頒布された刊行物である引用文献1(特開2002-83269号公報)には、以下の事項が記載されている(下線は、当審が付した。)。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カード等の情報記録媒体に、データの記録か再生の少なくとも一方を行うカードリーダに関するものである。」
(イ)「【0033】図1は本発明の一実施の形態におけるカードリーダを示す側断面図である。
【0034】図1において、1はカードで、カード1にはデータの記録かもしくは再生の少なくとも一方を行うことが可能なメモリ部と、熱可逆性材料等を用いてキャラクタ等を印字・消去可能とした表示部が用いられている。メモリ部としては、磁気ストライブ、光学ストライプ、IC等が用いられる。表示部としては、熱可逆性材料を用いたリライト層や液晶層を用いたり、ライトワンスの追記型のものなどが用いられる。なお、本明細書で記載しているカードとは、単なるカード状体のみならず、帯状体やシート状体のものも好適に用いられることは言うまでもない。
【0035】2はカード1を挿入する挿入口、7はカード1を搬送する搬送路で、搬送路7は、少なくとも一つのガイダー等で構成される。具体例として、カード1の両側部を固定ガイドと可動ガイドの二つのガイド6によって案内しながら搬送することが、カードの安定した搬送性を維持できるので好ましい。
【0036】3は回転軸14に取り付けられた駆動ローラで、駆動ローラ3には従動ローラ8が対向している。従動ローラ8はコイルバネなどの弾性部材9によって搬送路7の方に付勢されている。この駆動ローラ3は回転軸14を介して後述する駆動手段によって駆動力が伝達される。この駆動ローラ3と従動ローラ8でカード1を挟み込みカード1を搬送路7内で移動させる。
【0037】200は搬送路7に出没自在に設けられた印字ユニットで、印字ユニット200には印字部37と矯正ローラ36,38が設けられている。印字部37,矯正ローラ36,38にはそれぞれ駆動するローラ31,28,34が対向している。印字ユニット200は後述の駆動手段によって駆動され、カード1上に所定のキャラクタなどを印字する際には印字ユニット200は搬送路7に突出し、カード1を矯正ローラ36,38とそれらローラに対向するローラ28,34で挟み込んで、カード1の曲がり等を矯正(反り等が発生している場合には反りを矯正する)し、印字部37でカード1上に印字するので、良好な印字品質を得ることができる。
【0038】また、カード1上に所定のキャラクタを印字しない場合には、印字ユニット200は搬送路7から後退し、カード1は矯正ローラ36,38とローラ28,34で挟み込まれず、しかも印字部37とローラ31にも挟み込まれないので、スムーズにカード1の搬送が行われる事になる。印字部37としては、サーマルヘッドやインクジェットヘッド等が好適に用いられ、カード1の表示部としてリライト層を用いた場合にはサーマルヘッドを用い、カード1の表示部として追記式のものを用いる場合には、サーマルヘッドやインクジェットヘッドのいずれか一方が用いられる。また、カードの曲がりや反りを矯正する手段として、矯正ローラ36,38とローラ28,34を用いたが、例えば、搬送路7に出没する平板でカード1の曲がり等を矯正したりすることもできる。」
(ウ)「【0049】図16は、本発明の一実施の形態におけるカードリーダのデータ記録再生部を示す拡大図である。図16に示すように、データ記録再生部56と押圧ローラ58は共に、搬送路7側に付勢されている。」
(エ)「【0053】201は搬送路7に出没自在に設けられた消去ユニットで、消去ユニット201は、カード1の表示部に可逆性の表示手段を用いた場合に設けられるものである。すなわち、印字ユニット200でカード1に印字し、その印字したものを消去する場合にはこの消去ユニット201で消去する。例えば、カード1の表示部に熱可逆性のリライト層などを用いた場合には、消去ユニット201としては、カード1の表示を所定の温度に加熱する加熱手段が搭載される。なお、カード1にキャラクタを追記してキャラクタ等を消去する必要がない場合には、この消去ユニットは不要になる。
【0054】消去ユニット201には消去部49と矯正ローラ48,50が設けられている。消去部49,矯正ローラ48,50にはそれぞれ駆動するローラ43,40,46が対向している。ローラ43,40,46にはそれぞれ回転軸43a,40a,46aが設けられている。消去ユニット201は後述の駆動手段によって駆動され、カード1上に画像形成された所定のキャラクタなどを消去する際には消去ユニット201は搬送路7に突出し、カード1を矯正ローラ48,50とそれらローラに対向するローラ40,46で挟み込んで、カード1の曲がり等を矯正(反り等が発生している場合には反りを矯正する)し、消去部49でカード1上に形成された画像等を消去するので、良好な消去品質を得ることができる。」
(オ)「【0064】51は各駆動ローラを駆動する駆動部で、駆動部51としてはモータなどが好適に用いられる。
【0065】400は、ICリードユニットである。401はカード挿入口であり、駆動ローラ5と従動ローラ12により、搬送路7内を移動されてきたカード1がICリードユニット400内に送り込まれる。402はカード1のカード搬送路となっている。さらに、403はIC接触部であり、カード1が内部にICを搭載し、カード表面にICと接続された電極を有した、いわゆる接触式のICカードの場合には、IC接触部403はカード1の表面に設けられた電極と接触する少なくとも一つの電極を有している。
【0066】なお、カード1が内部にICと無線でデータの授受を行うことができるアンテナ(コイルやコンデンサ)を有したいわゆる非接触ICカードの場合には、IC接触部403に代えて、コイル状のアンテナや容量を発生させる部材を設けた構成となる。
【0067】図2は本発明の一実施の形態におけるカードリーダを示す上部平面図である。」
(カ)「【0102】次にカード1の処理方法の一例を説明する。
【0103】まず、挿入口2の近傍に設けられた図示していないセンサ(光センサなど)によって、カード1の挿入が検知されると、図示していない制御部は、まず、駆動部51を回転駆動させ、それにともなって、駆動ローラ3,4,5及びローラ31,34,28,40,43,46を回転させることで、カード1を装置内部に取り込む。その後、カード1はデータ記録再生部(本実施の形態の場合磁気ヘッド)56でカード1に記録されているデータを読み取り、カード1はICリードユニット400のカード挿入口401から入り、カード搬送路402に送り込まれ、IC接触部403の電極からカード1の表面のICに接続された電極を通して、記録されているデータを読み取り、必要であればさらにデータを記録する。
【0104】その後に制御部は駆動部51の回転を反対方向にし、カード1を挿入口2の方向に移動させ、その時データ記録再生部56にてデータを書き込む。更にその後、制御部は再び駆動部51の回転を逆方向に回転させ、カード1を駆動部51側に移動させ、その時にカード1に記録したデータを再度読み取り、データの記録ミスが無いかどうかチェックする(ベリファイ)。この様にカード1にデータの記録再生の少なくとも一方を行う動作の最中には、印字ユニット200と消去ユニット201は搬送路7から退却しており、従って、各矯正ローラ及び印字部37と消去部49も搬送路7から後退しているので、カード1の移動がスムーズに行われ、データの記録かまたは再生に支障をきたすことはなく、しかもカード1は強い押圧力でカード1を挟み込む各矯正ローラとほぼ非接触とすることができるので、カード1と各矯正ローラの接触時間を短くすることができるので、カード1の寿命を長くすることなどができる。
【0105】次に、カード1のベリファイが終了した後に、カード1は搬送路7の後端部まで移動し、その後。カード1に印字されたキャラクタ等を消去する必要がある場合には、制御部は駆動部51を逆転させ、カード1を挿入口2側の方向へ移動させるとともに、駆動部301を駆動させて、消去ユニット201を搬送路7の方へ移動させ、カード1を矯正ローラ48,50で挟み込んでカード1の曲がりなどを矯正し、消去部49にてカード1に印字されたキャラクタなどを消去する。この時、矯正ローラ48,50にてカード1の曲がりなどを矯正するので、優れた消去特性を得ることができる。
【0106】次にカード1に所定のキャラクタ等を印字する必要がある場合には、制御部は駆動部300を回転駆動させて、印字ユニット200を搬送路7の方へ移動させる。この時、カード1は矯正ローラ36,38によって、カード1の曲がりなどが矯正されて、印字部37にて所定のキャラクタを印字して、カード1を挿入口から外部へ排出する。カード1の排出をセンサが検知したら、駆動部51の駆動をやめる。
【0107】ここで、カード1の種別を判定する方法について説明する。例えば、カード1の厚みを判定する場合には、上述した処理方法において、カード1に記録されているデータをデータ記録再生部(本実施の形態の場合磁気ヘッド)56で読み取ることによって、厚みを判定することができる。なお、厚みはセンサ等で判定してもよい。
【0108】更に具体例を挙げて説明すると、例えば、カード1の厚みが0.68~0.84mm(厚手タイプのカード)で、磁気記録層、ICメモリ及び表示部を有する場合には、データ記録再生部(本実施の形態の場合磁気ヘッド)56で、カード1の磁気記録層に記録された種別等のデータを読み取り、厚みやその他の種別が判定され、ICリードユニット400に送られて処理され、更に、消去ユニット201、印字ユニット200で処理される。
【0109】また、カード1の厚みが0.20~0.28mm(薄手タイプのカード)で、磁気記録層、表示部を有し、ICメモリを有さない場合には、データ記録再生部(本実施の形態の場合磁気ヘッド)56で、カード1の磁気記録層に記録された種別等のデータを読み取り、厚みやその他の種別が判定され、ICリードユニット400に送られることなく、消去ユニット201、印字ユニット200で処理される。」
(キ)「
[図:0001400020000001.jpg]
」
イ 引用文献1の記載から把握できる事項
上記アから、引用文献1には、次の事項が記載されているといえる。
(ア)段落【0035】、【0037】、【0049】、【0053】、【0064】、【0065】には、「カードリーダ」が、「カード1を挿入する挿入口2、搬送路7、印字ユニット200、データ記録再生部56、消去ユニット201、駆動部51、ICリードユニット400を備える」ことが記載されている。
(イ)段落【0066】の「カード1が内部にICと無線でデータの授受を行うことができるアンテナ(コイルやコンデンサ)を有したいわゆる非接触ICカードの場合には、IC接触部403に代えて、コイル状のアンテナや容量を発生させる部材を設けた構成となる」の記載、段落【0109】の「カード1の厚みが0.20~0.28mm(薄手タイプのカード)で、磁気記録層、表示部を有し、ICメモリを有さない場合には、データ記録再生部(本実施の形態の場合磁気ヘッド)56で、カード1の磁気記録層に記録された種別等のデータを読み取り、厚みやその他の種別が判定され、ICリードユニット400に送られることなく、消去ユニット201、印字ユニット200で処理される」の記載から、「カード1には、ICとアンテナを有した非接触ICカードと、ICメモリを有さないカードが含まれる」と認められる。
(ウ)段落【0037】には、「印字ユニット200には印字部37と矯正ローラ36、38が設けられている」こと、「印字部37、矯正ローラ36、38にはそれぞれ駆動するローラ31、28、34が対向している」ことが記載されている。また、段落【0103】の「駆動部51を回転駆動させ、それにともなって、駆動ローラ3,4,5及びローラ31,34,28,40,43,46を回転させる」の記載から、「ローラ31、28、34は駆動部51によって駆動される」ものであると認められる。
(エ)段落【0037】の「カード1上に所定のキャラクタなどを印字する際には印字ユニット200は搬送路7に突出し」の記載、段落【0038】の「カード1上に所定のキャラクタを印字しない場合には、印字ユニット200は搬送路7から後退し、カード1は矯正ローラ36,38とローラ28,34で挟み込まれず、しかも印字部37とローラ31にも挟み込まれない」の記載から、「カード1上に所定のキャラクタを印字する場合には、印字ユニット200は搬送路7に突出し、カード1は印字部37とローラ31に挟み込まれ、カード1上に所定のキャラクタを印字しない場合には、印字ユニット200は搬送路7から後退し、カード1は印字部37とローラ31に挟み込まれない」と認められる。
(オ)図1においては、「ICリードユニット400は、IC接触部403を備える」ことが看取される。
また、段落【0066】には、「カード1が内部にICとアンテナを有した非接触ICカードの場合には、IC接触部403に代えて、コイル状のアンテナや容量を発生させる部材を設けた構成となる」ことが記載されている。
そうすると、引用文献1には、「ICリードユニット400は、コイル状のアンテナや容量を発生させる部材を設けた構成を備える」ことが記載されているといえる。
(カ)図1においては、「カード1の挿入方向において、印字ユニット200よりも下流側に、データ記録再生部56、消去ユニット201、ICリードユニット400が順に配置される」ことが看取される。
(キ)段落【0103】には、「挿入口2の近傍に設けられたセンサによって、カード1の挿入が検知されると、カード1を装置内部に取り込む」こと、「その後、データ記録再生部56でカード1に記録されているデータを読み取」ることが記載されている。
(ク)段落【0103】の「カード1はICリードユニット400のカード挿入口401から入り、カード搬送路402に送り込まれ、IC接触部403の電極からカード1の表面のICに接続された電極を通して、記録されているデータを読み取り、必要であればさらにデータを記録する」の記載と、上記(オ)から、「非接触ICカードは、カード挿入口401からICリードユニット400に入り、コイル状のアンテナや容量を発生させる部材を設けた構成により、データの読み取り、データの記録が行える位置まで搬送され、当該位置において、データの読み取り、データの記録が行われる」と認められる。
(ケ)段落【0106】の「カード1に所定のキャラクタ等を印字する必要がある場合には、制御部は駆動部300を回転駆動させて、印字ユニット200を搬送路7の方へ移動させる。この時、カード1は矯正ローラ36,38によって、カード1の曲がりなどが矯正されて、印字部37にて所定のキャラクタを印字して、カード1を挿入口から外部へ排出する」の記載と、「カード1の排出をセンサが検知したら、駆動部51の駆動をやめる」の記載から、「カード1に所定のキャラクタを印字する場合には、カード1を排出方向に搬送しながら、印字部37にて所定のキャラクタを印字して、カード1を挿入口2から外部へ排出する」 ものであると認められる。
(コ)段落【0109】の「カード1の厚みが0.20~0.28mm(薄手タイプのカード)で、磁気記録層、表示部を有し、ICメモリを有さない場合には、データ記録再生部(本実施の形態の場合磁気ヘッド)56で、カード1の磁気記録層に記録された種別等のデータを読み取り、厚みやその他の種別が判定され、ICリードユニット400に送られることなく、消去ユニット201、印字ユニット200で処理される」の記載から、「ICメモリを有さないカードは、ICリードユニット400に送られることがない」と認められる。
(サ)上記(ク)、(ケ)、(コ)から、「カードリーダ」は、非接触ICカードを、ICリードユニット400に送り、非接触ICカードに対し、データの記録を行い、印字部37にて、印字を行う制御と、ICメモリを有さないカードに対し、当該カードを、ICリードユニット400に送ることなく、印字部37にて、印字を行う制御が切り換え可能である」と認められる。
ウ 引用文献1に記載された発明
上記イから、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「カードリーダであって、
カード1を挿入する挿入口2、搬送路7、印字ユニット200、データ記録再生部56、消去ユニット201、駆動部51、ICリードユニット400を備え、
カード1には、ICとアンテナを有した非接触ICカードと、ICメモリを有さないカードが含まれ、
印字ユニット200には印字部37と矯正ローラ36、38が設けられ、印字部37、矯正ローラ36、38にはそれぞれ駆動するローラ31、28、34が対向し、ローラ31、28、34は駆動部51によって駆動され、
カード1上に所定のキャラクタを印字する場合には、印字ユニット200は搬送路7に突出し、カード1は印字部37とローラ31に挟み込まれ、
カード1上に所定のキャラクタを印字しない場合には、印字ユニット200は搬送路7から後退し、カード1は印字部37とローラ31に挟み込まれず、
ICリードユニット400は、コイル状のアンテナや容量を発生させる部材を設けた構成を備え、
カード1の挿入方向において、印字ユニット200よりも下流側に、データ記録再生部56、消去ユニット201、ICリードユニット400が順に配置され、
挿入口2の近傍に設けられたセンサによって、カード1の挿入が検知されると、カード1を装置内部に取り込み、その後、データ記録再生部56でカード1に記録されているデータを読み取り、
非接触ICカードは、カード挿入口401からICリードユニット400に入り、コイル状のアンテナや容量を発生させる部材を設けた構成により、データの読み取り、データの記録が行える位置まで搬送され、当該位置において、データの読み取り、データの記録が行われ、
カード1に所定のキャラクタを印字する場合には、カード1を排出方向に搬送しながら、印字部37にて所定のキャラクタを印字して、カード1を挿入口2から外部へ排出し、
ICメモリを有さないカードは、ICリードユニット400に送られることがなく、
非接触ICカードを、ICリードユニット400に送り、非接触ICカードに対し、データの記録を行い、印字部37にて、印字を行う制御と、ICメモリを有さないカードに対し、当該カードを、ICリードユニット400に送ることなく、印字部37にて、印字を行う制御が切り換え可能である、
カードリーダ。」
2 引用文献2について
(1)引用文献2に記載された事項、引用文献2に記載された技術的事項
ア 引用文献2に記載された事項
本願の出願前に頒布された刊行物である引用文献2(特開2010-262419号公報)には、以下の事項が記載されている(下線は、当審が付した。)。
(ア)「【0013】
<内部構成>
次に、図2を参照して、プリンタ装置1及び上位装置10の内部の各構成要素について説明する。カード供給部16は、プリンタ装置1の一側に着脱自在に設けられ、その内部に記録処理前の複数のブランクなカードC1を積層状に収納可能としており、プリンタ装置1側に設けられ、図示を省略するモータにより回転駆動する供給ローラ17が最下位(最下層)のカードを装置内部へと繰り出す。プリンタ装置1は、筐体24の内部にカードC1が搬送される搬送パスPを備えており、供給ローラ17によってカードC1は搬送パスPに繰り出される。
【0014】
印刷部20はカードC1の表面に文字や画像等のデータを印刷する。第1実施形態においては、印刷部20は熱転写プリンタの構成が採用されており、搬送パスP上の印刷位置に設けられたプラテンローラ22に対して進退可能に設けられたサーマルヘッド21を有している。プラテンローラ22とサーマルヘッド21との間には、インク層Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)等の複数色が面順次に繰り返されたインクリボンRが介在しており、インクリボンRを介してサーマルヘッド21をカードC1に対して圧接して印刷を行う。
【0015】
搬送パスP上のカードC1は、搬送パスPに設けられた複数の搬送ローラ(対)18に狭持されて搬送される。搬送ローラ18はステッピングモータMの駆動により回転する。なお、搬送パスPにはカード検出用のセンサ15が設けられており、センサ15はカードC1の先端が通過したことを検知する。そして、後述する制御部95はセンサ15の検知結果とステッピングモータMの駆動量を参照してカードC1の位置を管理する。
【0016】
カード供給部16の下方にはカード排出部25が装置筐体24に対して着脱自在に設けられている。カードC1に対する処理が全て終了するとカードC1はカード排出部25へ搬送され、処理済のカードC1がカード排出部25に積層状に収納される。カードC1がカード排出部25に搬送される際は、搬送パスPがカード排出部25の方向に切り替えられる。
【0017】
ICリーダライタ11はIC制御部11aとアンテナ(コイル)11bとで構成され、搬送パスPと筐体24の天板との間に設けられている。第1実施形態のICリーダライタ11は電磁誘導方式を利用して、非接触でカードとの通信を行う。カードC(図9参照)はICチップ30とアンテナ(コイル)31が搭載されており、カードCのアンテナ31とICリーダライタのアンテナ11bとの間の誘導起電力を用いて通信を行う。まず、ICリーダライタ11のアンテナ11bに電流を流して、アンテナ11bに対して垂直方向に磁界を発生させる。次に、この磁界をカードCのアンテナ31が受けるとアンテナ31に起電力が発生し、アンテナ31に電流が流れることでICチップ30に電源が供給される。さらに、ICリーダライタ11は発生した磁界に特定のデータ(コマンド)が変調された信号を乗せて発信し、カードCは信号を受信することで通信を行う。同様に、カードCのアンテナ31に電流が流れることで磁界が発生し、その磁界に乗せてICリーダライタ11に信号を発信している。」
(イ)「【0020】
上述したように、ICリーダライタ11は非接触でカードCとの通信を行うため、発生した磁界の範囲内であればどこでもICリーダライタ11とカードCとは通信可能である。そこで第1実施形態のICリーダライタ11の通信可能領域は図2の符号12、13に示した範囲であり、ICリーダライタ11に対して搬送パスP側を第1通信部12、筐体24の天板側を第2通信部13という。なお、筐体24の天板の一部には上述した磁界を通過させる材質で構成されたカードかざし部33が設けられており、ユーザはカードかざし部33にカードC2をかざすことにより第2通信部13にカードC2を進入させる。よって、第1通信部12では、搬送パスP上で搬送されたカードC1との通信を行い、第2通信部13では、ユーザによってカードかざし部33にかざされたカードC2との通信を行う。」
(ウ)「【0035】
もしレスポンス信号を発信したカードが1枚と検出された場合、ICリーダライタ11の通信範囲内に存在するカードは第1通信部12にあるカードC1であることがわかる(図2参照)。その後、遮断板32を遮断位置に移動させて、第2通信部13の範囲を強制的に縮めることでICリーダライタ11とカードかざし部33にかざされるカードC2との通信を不可能な状態にし、表示部19に、ユーザに対してカードC2をカードかざし部33にかざさないように警告表示を行う(S6)(図4参照)。この状態でカードC1に対してIC処理(カード認証処理およびリードライト処理)を行う(S7)。IC処理が終了するとカードC1を印刷部20の方向にスイッチバック搬送させる(S8)。ここで、カードC1がセンサ15を通過したときに遮断板32を退避位置に移動させて、第2通信部13の範囲を元に戻すことでICリーダライタ11とカードC2との通信を可能な状態にする。また表示部19に表示された警告表示も解除する(S9)。印刷部20に搬送されたカードC1に対して印刷処理を行い(S10)、全ての処理が終了したカードC1はカード排出部25に排出される(S11)。」
(エ)「【0064】
なお、カードC1に対する処理が印刷のみでIC処理が行われない場合、カードC1に印刷処理を行い、そのままカード排出部25に排出すると、カードC1は第1通信部12を通過しないため第2通信部13におけるカードC2に対するIC処理を邪魔することはない。」
(オ)「
[図:0001400020000002.jpg]
」
イ 引用文献2に記載された技術的事項
上記アから、引用文献2には、次の技術的事項(以下、「引用文献2記載の技術的事項」という。)が記載されているといえる。
「プリンタ装置1であって、
カード供給部16、搬送パスP、印刷部20、ICリーダライタ11、カード排出部25を備え、
印刷部20は、プラテンローラ22に対して進退可能に設けられたサーマルヘッド21を有し、インクリボンRを介してサーマルヘッド21をカードC1に対して圧接して印刷を行い、
カードCはICチップ30とアンテナ31が搭載され、
ICリーダライタ11の搬送パスP側の通信可能領域は第1通信部12であり、
カードC1に対してIC処理(カード認証処理およびリードライト処理)を行い、IC処理が終了するとカードC1を印刷部20の方向にスイッチバック搬送させ、印刷部20に搬送されたカードC1に対して印刷処理を行い、
カードC1に対する処理が印刷のみでIC処理が行われない場合、カードC1に印刷処理を行い、そのままカード排出部25に排出し、カードC1は第1通信部12を通過しない、
プリンタ装置1。」
3 引用文献3について
(1)引用文献3に記載された事項、引用文献3に記載された技術的事項
ア 引用文献3に記載された事項
本願の出願前に頒布された刊行物である引用文献3(特開2007-21928号公報)には、以下の事項が記載されている(下線は、当審が付した。)。
(ア)「【0026】
以下、本発明の実施の形態に係る印字消去装置について、図面を用いて説明する。
【0027】
本発明の実施の形態に係る印字消去装置を図1および図2に示す。図1は、本実施の形態に特徴的な消去ヘッドを示しており、図2は、印字消去装置(リライトプリンタ)の全体構成を示している。まず、図2を参照して全体構成を説明し、それから図1等を用いて本実施の形態の特徴的構成について説明する。本実施の形態では、リライタブル記録媒体がカードである。そして、印字消去装置は、磁気ストライプ無しカードと磁気ストライプ付きカードの2種類のカードの印字および消去を行う。
【0028】
図2において、印字消去装置1は、カード2の印字および消去を行う。カード2は、その表面に(図2の上側)、表示部を有する。表示部は、繰り返し印字および消去が可能な熱可逆性材料で形成されたリライト層で構成されている。カード2が磁気ストライプ付きカードの場合、カード2は、その裏面に(図2の下側)、メモリ部として磁気ストライプを有している。
【0029】
印字消去装置1は、カード2が挿入される(或いは排出される)挿入口3aと、カード2が排出される排出口3bとを備える。カード2は、搬送路4に沿って搬送される。搬送路4にはガイド5が設けられ、ガイド5は、カード2の両側部を案内する。ガイド5は、挿入口3a側と排出口3b側に分割されている。ガイド5は、搬送路4の左右にそれぞれ設けられたレール部材からなる。ここで、搬送路4の搬送方向に対して直角に交差する方向を左右方向という。カード2は、挿入口3aから挿入されて搬送路4に沿って進む。このとき、カード2の両端部がガイド5に案内される。そして、表示部への印字および消去が行われ、再び挿入口3aから排出される。カード2が、挿入口3aではなく排出口3bから排出されるなどの他の経路を移動する場合もある。
【0030】
印字消去装置1は、さらに、駆動ローラ6?14、押圧ローラ15、従動ローラ16~19、矯正ローラ20、21を備えている。駆動ローラ6、7、8、9は、回転軸22、23、24、25に取り付られている。また、押圧ローラ15はシャフト26に取り付けられている。駆動ローラ等を駆動するためにモータ27が設けられている。
【0031】
駆動ローラ6には従動ローラ16が対向しており、従動ローラ16は、コイルバネ等の弾性部材(図示せず)によって搬送路4方向に付勢されている。モータ27の駆動力は、プーリとベルトの組み合わせ等の伝達手段(図示せず)によって駆動ローラ16の回転軸22に伝達される。すなわち、駆動ローラ6には、回転軸22を介してモータ27から駆動力が伝達される。そして、駆動ローラ6と従動ローラ16とのローラ対が、カード2を挟み込んで挿入口3aからカード2を印字消去装置1内に引き込み、と同時に、次のローラ対に送り出す。カード2を挿入口3aから排出するときは、駆動ローラ6が逆方向に回転される。
【0032】
駆動ローラ7、8、9と従動ローラ17、18、19の3つのローラ対は、駆動ローラ6と従動ローラ16のローラ対と同様の構成を有してる。従動ローラ17、18、19は、コイルバネ等の弾性部材(図示せず)によって搬送路4方向に付勢されている。駆動ローラ7、8、9には、回転軸23、24、25を介してモータ27から駆動力が伝達される。この場合も、モータ27の駆動力は、プーリとベルトの組み合わせ等の伝達手段(図示せず)によって回転軸23、24、25に伝達される。そして、駆動ローラ7と従動ローラ17とのローラ対、駆動ローラ8と従動ローラ18とのローラ対、駆動ローラ9と従動ローラ19とのローラ対が、カード2を挟み込み、次のローラ対に送り出す。これらローラ対も、回転方向の切換により、カード2を両方向に送ることができる。
【0033】
印字消去装置1は、さらに、駆動ローラ7の後方に印字ユニット28を備えている。印字ユニット28は、搬送路4に対して上下方向に進退可能に設けられている。なお、本実施の形態では、搬送方向に沿って挿入口3aに近い側を前方、排出口3bに近い側を後方と呼ぶ。
【0034】
印字ユニット28は、印字ヘッド29、矯正ローラ20およびモータ30を備えている。印字ヘッド29は典型的にはサーマルヘッドであり、カード2の幅に相当する左右方向の長さを有しており、カード2上の任意の場所にキャラクタ等を印字できる。矯正ローラ20および印字ヘッド29は、それぞれ駆動ローラ10、11と対向している。モータ30は、印字ユニット28を昇降させて搬送路4に対して進退させる。
【0035】
カード2の表示部に所定のキャラクタ等を印字する場合、印字ユニット28は、モータ30とカム等(図示せず)の組み合わせからなる昇降駆動機構によって駆動されて、搬送路4に突出する。印字ユニット28は、印字ヘッド29でカード2の表示部に印字を行う。この時、カード2は、印字へッド29とこれに対向する駆動ローラ11により保持される。また、印字ユニット28は、カード2を矯正ローラ20と駆動ローラ10で挟み、カード2の曲がり等の変形を矯正しながら送り出す。
【0036】
また、カード2の表示部に印字を行わない場合には、印字ユニット28は、搬送路4から後退して待避した位置にある。
【0037】
また、印字ユニット28は、印字ユニット28に固定された印字ヘッド29を搬送路4の方向に付勢する弾性部材31を備えている。弾性部材31は、印字ユニット28に設けられたシャフト32に直接力を加えている。また、印字ユニット28においては、弾性部材33が、矯正ローラ20を搬送路4の方向に付勢している。弾性部材31、33としてはコイルバネ等が好適に用いられる。このようにして、印字ヘッド29と矯正ローラ20は、個別に弾性部材31、33により押圧力を付加されている。
【0038】
押圧ローラ15は、印字ユニット28に隣接して設けられている。この押圧ローラ15に対向して、駆動ローラ12が設けられている。ここで、押圧ローラ15は、弾性部材34により、搬送路4の方向に付勢されている。押圧ローラ15はシャフト26に支持されて回転自在であり、弾性部材34はシャフト26に押圧力を与えている。
【0039】
印字消去装置1は、また、押圧ローラ15と駆動ローラ8の間に消去ユニット35を備えている。消去ユニット35は、印字ユニット28と同様に、搬送路4に対して進退自在に設けられている。
【0040】
消去ユニット35は、消去ヘッド36、矯正ローラ21およびモータ37を備えている。消去ヘッド36は、発熱体タイプである(サーマルヘッドタイプではなく)。本実施の形態では、消去ヘッド36が、後述するように複数の発熱体で構成されている。各発熱体はヒータである。消去ヘッド36および矯正ローラ21は、それぞれ駆動ローラ13、14と対向している。モータ37は、消去ユニット35を昇降させて搬送路4に対して進退させる。
【0041】
カード2の表示部のキャラクタ等を消去する場合、消去ユニット35は、印字ユニット28と同様に、モータ37とカム等(図示せず)の組み合わせからなる昇降駆動機構によって駆動されて、搬送路4に突出する。例えば、印字消去装置1が、カード2を一旦排出口3b側に搬送し、そこから逆転搬送して、消去の処理を行うとする。この場合、消去ユニット35は、カード2を矯正ローラ21と駆動ローラ14で挟み、カード2の曲がり等の変形を矯正しながら送り出す。また、消去ユニット35は、消去ヘッド36でカード2の表示部に印字された画像(可視像)の消去を行う。この時、カード2は、消去へッド36とこれに対向する駆動ローラ13により保持される。
【0042】
また、カード2の表示部に印字された画像の消去を必要としない場合には、消去ユニット35は搬送路4から後退して待避した位置にある。
【0043】
また、消去ユニット35は、消去ユニット35に固定された消去ヘッド36を搬送路4の方向に付勢する弾性部材38を備えている。弾性部材38は、消去ユニット35に設けられたシャフト39に直接力を加えている。また、消去ユニット35においては、弾性部材40が、矯正ローラ21を搬送路4の方向に付勢している。弾性部材38、40としてはコイルバネ等が好適に用いられる。このようにして、消去ヘッド36と矯正ローラ21は、個別に弾性部材38,40により押圧力を付加されている。」
(イ)「【0056】
図4は、印字消去装置1の動作を示している。図4では、カード2が、印字消去装置1に取り込まれて、印字消去装置1の後端付近の所定位置まで搬送される(S1)。それから、搬送方向が逆転される(S3)。カード2の先端が消去ヘッド36まで達すると、消去ヘッド36を含む消去ユニット35が降下し、消去が開始する(S5)。さらに、カード2の先端が印字ヘッド29まで達すると、印字ヘッド29を含む印字ユニット28が降下し、印字が開始する(S7)。次に、カード2の後端が消去ヘッド36に達すると、消去ユニット35が上昇し、消去が終了する(S9)。同様に、カード2の後端が印字ヘッド29に達すると、印字ユニット28が上昇し、印字が終了する(S11)。カード2はさらに搬送されて、印字消去装置1から排出される。」
(ウ)「【0063】
次に、図7は、印字消去装置1を含むより大きなカード処理装置70の構成を示している。例えば、カード2が交通機関の乗車カードである。図7において、筐体72は、印字消去装置1に加えて、ICリーダライタ74、保留部76、新券ホッパー78、回収箱80および電源装置82を備えている。ICリーダライタ74は、印字消去装置1よりも前側に設けられており、カード2に内蔵されたICチップのデータの読書を行う。保留部76は印字消去装置1の後方に配置され、さらにその後方に新券ホッパー78および回収箱80が配置されている。新券ホッパー78は、未使用のカード2をストックしている。回収箱80は、使用済みのカード2を収納する。
【0064】
例えば、使用中のカード2がカード処理装置80によって処理されるとする。この場合、カード2は、ICリーダライタ74を通り、印字消去装置1に至り、再びICリーダライタ74を通って排出される。また新規のカード2が発行される場合、新券ホッパー78のカード2が保留部76、印字消去装置1、ICリーダライタ74を通って排出される。さらに、古いカード2が新しいカード2と交換される場合、古いカード2がICリーダライタ74および印字消去装置1を通って保留部76に至る。新しいカード2が新券ホッパー78から保留部76に出され、印字消去装置1およびICリーダライタ74を通って排出される。そして、古いカード2が回収箱80に回収される。」
(エ)「【図2】
[図:0001400020000003.jpg]
」
(オ)「
[図:0001400020000004.jpg]
[図:0001400020000005.jpg]
」
イ 引用文献3に記載された技術事項
上記アから、引用文献3には、次の技術的事項(以下、「引用文献3記載の技術的事項」という。)が記載されているといえる。
「カード処理装置70であって、
ICリーダライタ74、印字消去装置1を備え、
ICリーダライタ74は、印字消去装置1よりも前側に設けられ、カード2に内蔵されたICチップのデータの読書を行い、
使用中のカード2がカード処理装置80によって処理される場合、カード2は、ICリーダライタ74を通り、印字消去装置1に至り、再びICリーダライタ74を通って排出され、
印字消去装置1は、カード2が挿入或いは排出される挿入口3a、カード2が排出される排出口3b、搬送路4、駆動ローラ6~14、駆動ローラ6~14を駆動するモータ27、印字ユニット28、消去ユニット35を備え、
印字ユニット28は、印字ヘッド29、矯正ローラ20を備え、
矯正ローラ20及び印字ヘッド29は、それぞれ駆動ローラ10、11と対向し、
カード2の表示部に所定のキャラクタを印字する場合、印字ユニット28は、搬送路4に突出し、カード2は、印字へッド29と駆動ローラ11により保持され、
カード2の表示部に印字を行わない場合、印字ユニット28は、搬送路4から後退して待避した位置にあり、
カード2が、印字消去装置1に取り込まれて、印字消去装置1の後端付近の所定位置まで搬送され(S1)、搬送方向が逆転され(S3)、
カード2の先端が消去ヘッド36まで達すると、消去ヘッド36を含む消去ユニット35が降下し、消去が開始し(S5)、
カード2の先端が印字ヘッド29まで達すると、印字ヘッド29を含む印字ユニット28が降下し、印字が開始する(S7)、
カード処理装置70。」
4 引用文献4について
(1)引用文献4に記載された事項、引用文献4に記載された技術的事項
ア 引用文献4に記載された事項
本願の出願前に頒布された刊行物である引用文献4(特開2007-237429号公報)には、以下の事項が記載されている(下線は、当審が付した。)。
(ア)「【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施の例に係るカード処理装置1によって処理されるカード媒体2の表(おもて)面を示す。図2は、図1に示したカード媒体2の裏面(内部構造を含む)を示す。図3は、カード処理装置1の正面図を示す。図4は、このカード処理装置1の構成を説明するためのブロック図を示す。図5は、カード処理装置1の内部構造を示す概略図である。本実施の形態において、カード処理装置1は、例えば鉄道等の駅に設けられ、カード記録媒体として例えば非接触式のICカードを適用した定期券(カード媒体)2の被印刷面に対して書き換え印刷ができる装置である。しかし、本発明はこれに限られず、被印刷面に対して書き換え印刷ができる記録媒体処理装置全般に適用可能である。
【0013】
図1に示す通り、カード媒体2は、表面に被印刷面21を備え、付加した熱を冷却させたものと除冷させたものに発色・消色の実施をする書き換え可能なリライト(再印刷)層が形成されている。この被印刷面21には、有効期限、利用区間、利用者の名前、年齢、及び性別等の印刷パターン(印刷された文字等)が感熱方式で印刷されている。また、図2に示す通り、カード媒体2の裏面には、予め決められたコーナ部に、カード処理装置1へのカード媒体2の挿入向きの判定に用いられる反射マーク22が設けられている。カード媒体2の内部には、コイル状のアンテナ23と、このアンテナ23と電気的に接続されているICチップ24が設けられている。このICチップ24は、例えば、被印刷面21上に印刷された印刷パターンの内容と被印刷面21上の印刷位置に関する位置情報等とからなる印刷情報を記憶する例えばフラッシュメモリやEEPROM等で構成された電源バックアップ不要な記憶部(図示せず)と、アンテナ23を介しての情報のやり取りを制御する制御部(図示せず)と備えている。ICチップ24は、カード処理装置1側との間で例えば磁気、誘導電磁界、マイクロ波(電波)等の伝送媒体を介し非接触で情報を送受信することができる。
【0014】
カード処理装置1は、図3に示す通り、鉄道利用者がカード媒体2の発行/更新に関する情報を入力するためのタッチパネル(操作盤)3と、カード媒体2が挿入/放出されるカード挿入出口4と、紙幣が挿入される紙幣挿入口5と、コインが投入されるコイン投入口6と、利用明細書が発行される利用明細発行口7と、釣銭が返却される釣銭返却口8とを備えている。
【0015】
また、カード処理装置1は、図4および図5に示す通り、カード搬送路11、挿入向き検知センサ12,13、カード供給ホッパ14、第1位置検知センサ15、第2位置検知センサ16、無線リーダ・ライタ部17、第1サーマルヘッド18、プラテンローラ18A、第2サーマルヘッド19、プラテンローラ19A、駆動モータ20、主制御部100を含む。
【0016】
カード搬送路11では、装置内部のカード挿入出口4からカード供給ホッパ14まで、カード媒体2が搬送される。このカード搬送路11では、カード挿入出口4から挿入されたカード媒体2が無線リーダ・ライタ部17との対向位置まで搬送された後、無線リーダ・ライタ部17からカード挿入出口4の方に戻りながら被印刷面21に所定の印刷が施される。
【0017】
挿入向き検知センサ12,13は、カード媒体2の反射マーク22を光学的に検知することで、カード媒体2が被印刷面(おもて面)21を上にして正しく挿入されたか否かを検知するとともに、カード媒体2の挿入向き(挿入向きが図1中の左側Lであるか右側Rであるか)を検知する。
【0018】
カード供給ホッパ14は、未使用の複数のカード媒体2を収容し、カード媒体2の発行が指示されると、カード搬送路11にカード媒体2を送り込む。
【0019】
第1位置検知センサ15は、カード搬送路11によって搬送されてきたカード媒体2の例えば後端部を検知し、カード媒体2が無線リーダ・ライタ部17との対向位置に配置されているか否かを検知する。第2位置検知センサ16は、カード搬送路11によって搬送されてきたカード媒体2の例えば後端部を検知し、カード媒体2が第1サーマルヘッド18および第2サーマルヘッド19との対向位置に配置されているか否かを検知する。
【0020】
無線リーダ・ライタ部17は、カード搬送路11によって搬送されてきたカード媒体2のICチップ24に対し被印刷面21上に印刷された印刷パターンの内容と被印刷面21上の印刷位置に関する位置情報の読み出しあるいは書き込みを行う。
【0021】
第1サーマルヘッド(消去手段)18は、カード進行方向に対して垂直な方向にカード全面と対向するように配置されている複数の発熱素子を備え、カード搬送路11によって搬送されてきたカード媒体2の被印刷面21の所定の領域を加熱し、被印刷面21上に有効期限等の印刷情報を消去する。また、第1サーマルヘッド18は、カード搬送路11によって搬送されてきたカード媒体2の被印刷面21の所定の領域の印刷パターンを消去し、且つ被印刷面21の所定の領域に印刷パターンを印刷することができる。
【0022】
第2サーマルヘッド(印刷手段)19は、第1サーマルヘッド18と同様に、カード進行方向に対して垂直な方向にカード全面と対向するように配置されている複数の発熱素子を備え、カード搬送路11によって第1サーマルヘッド18を通過してきたカード媒体2の被印刷面21の所定の領域を加熱し、被印刷面21上に有効期限等の印刷情報を印刷する。第2サーマルヘッド19は、第1サーマルヘッド18のドット密度よりも高いドット密度で配置されている。本実施の形態において、第1サーマルヘッド18は、1mmの幅に6個の発熱素子が存在する6ドット/mmのドット密度を有し、第2サーマルヘッド19は、1mmの幅に12個の発熱素子が存在する12ドット/mmのドット密度を有する。このように、第2サーマルヘッド19のドット密度は、第1サーマルヘッド18のドット密度の倍数であることが好ましい。
【0023】
プラテンローラ18A,19Aは、それぞれ、カード搬送路11を介して第1サーマルヘッド18、第2サーマルヘッド19と対向する位置に配置されており、これらの間を通過するカード媒体2を搬送する。なお、図示しないが、カード搬送路11でカード媒体2を搬送する手段として、カード媒体2を両面から挟持してカード搬送路11を搬送する複数の搬送ローラが、所定の位置に配置されていてもよい。
【0024】
駆動モータ20は、プラテンローラ18A,19Aと駆動力伝達機構で接続されており、プラテンローラ18A,19Aに動力を提供している。」
(イ)「【0030】
次に、カード処理装置1におけるカード媒体2の第1更新モードの動作を説明する。この第1更新モードとは、図1に示したカード媒体2の被印刷面21のうち更新対象領域25を、第1サーマルヘッド18および第2サーマルヘッド19を利用して更新する更新モードである。なお、本実施の形態において更新対象領域25には、有効期限を更新すべき印刷パターンが表示されている。
【0031】
利用者により、カード媒体2の更新情報(有効期限)がタッチパネル3から入力され、カード媒体2がカード挿入出口4から装置内部へ挿入されると、挿入向き検知センサ12,13により、通過するカード媒体2が、カード挿入出口4から装置内部へ正しい向き(表裏)で取り込まれたか否かが検知される。カード媒体2が正しい方向で挿入されていた場合、主制御部100は、カード搬送路11を介してカード媒体2を無線リード・ライタ部17と対向する位置まで搬送する。
【0032】
第1位置検知センサ15により、カード媒体2が無線リード・ライタ部17により読み取り/書き込み可能な所定の位置に位置されたことが検知されると、主制御部100は、カード媒体2のICチップ24に対し、ユーザによりタッチパネル3を介して入力される更新情報に基づき、無線リーダ・ライタ部17によるリード/ライトを実行させる。これにより、無線リード・ライタ部17は、カード媒体2のICチップ24から現時点で被印刷面21上に印刷されている印刷パターンの内容および被印刷面21上の印刷位置に関する位置情報を読み出し、主制御部100に通知する。そして、主制御部100は、ユーザにより指示された更新情報に基づき、これから被印刷面21上にリライト印刷される全印刷パターンの内容およびこの全印刷パターンの印刷位置に対応する位置情報を、無線リード・ライタ部17によりICチップ24に書き込ませる。これにより、更新されるべき情報がICチップ24に書き込まれる。
【0033】
主制御部100は、タッチパネル3より入力した被印刷面21上にリライト印刷後に可視的に印刷されるべき全印刷パターンに対応する情報と、無線リーダ・ライタ部17によりICチップ24から読み出された被印刷面21上に現時点で印刷されている全印刷パターンに関する印刷情報の内容とを比較し、一致しなかった更新すべき印刷パターンに関する情報を抽出する。さらに、主制御部100は、検出した更新すべき印刷パターンに関する情報と無線リーダ・ライタ部17により読み出された全印刷パターンの被印刷面21上の印刷位置に関する位置情報とに基づいて、更新すべき印刷パターンに対応する被印刷面21上の更新対象領域25を判別する。
【0034】
継いで、主制御部100は、カード媒体2が第1サーマルヘッド18および第2サーマルヘッド19によるリライト印刷可能な(消去及び再印刷に適する)搬送速度で第1サーマルヘッド18、第2サーマルヘッド19のそれぞれと対向する位置を通過するように駆動モータ20を制御し、プラテンローラ18A,19Aを回転させる。第2位置検知センサ16により、カード媒体2が第1サーマルヘッド18により加熱可能な位置に到達したことが検知されると、主制御部100は、カード媒体2の被印刷面21の更新対象領域25を加熱し、印刷されていた印刷パターンを消去する。
【0035】
第2サーマルヘッド19は、更新対象領域25の印刷バターンが消去されたカード媒体2がカード搬送路11を搬送されてくると、更新対象領域25を加熱し、更新すべき印刷パターンを印刷する。」
(ウ)「
[図:0001400020000006.jpg]
[図:0001400020000007.jpg]
」
イ 引用文献4に記載された技術的事項
上記アから、引用文献4には、次の技術的事項(以下、「引用文献4記載の技術的事項」という。)が記載されているといえる。
「カード処理装置1であって、
カード媒体2には、コイル状のアンテナ23と、アンテナ23と電気的に接続されているICチップ24が設けられ、
カード挿入出口4、カード搬送路11、第1位置検知センサ15、第2位置検知センサ16、無線リーダ・ライタ部17、第1サーマルヘッド18、プラテンローラ18A、第2サーマルヘッド19、プラテンローラ19A、駆動モータ20、主制御部100を備え、
無線リーダ・ライタ部17は、カード媒体2のICチップ24に対し、読み出しあるいは書き込みを行い、
第1サーマルヘッド18は、カード搬送路11によって搬送されてきたカード媒体2の被印刷面21上の印刷情報を消去し、
第2サーマルヘッド19は、カード搬送路11によって第1サーマルヘッド18を通過してきたカード媒体2の被印刷面21上に印刷情報を印刷し、
プラテンローラ18A、19Aは、それぞれ、カード搬送路11を介して第1サーマルヘッド18、第2サーマルヘッド19と対向する位置に配置されており、これらの間を通過するカード媒体2を搬送し、
駆動モータ20は、プラテンローラ18A、19Aと駆動力伝達機構で接続されており、プラテンローラ18A、19Aに動力を提供し、
カード媒体2がカード挿入出口4から挿入されると、主制御部100は、カード搬送路11を介してカード媒体2を無線リード・ライタ部17と対向する位置まで搬送し、
第1位置検知センサ15により、カード媒体2が無線リード・ライタ部17により読み取り/書き込み可能な所定の位置に位置されたことが検知されると、主制御部100は、カード媒体2のICチップ24に対し、無線リーダ・ライタ部17によるリード/ライトを実行させ、
主制御部100は、第2位置検知センサ16により、カード媒体2が第1サーマルヘッド18により加熱可能な位置に到達したことが検知されると、印刷されていた印刷パターンを消去し、
第2サーマルヘッド19は、印刷バターンが消去されたカード媒体2がカード搬送路11を搬送されてくると、更新すべき印刷パターンを印刷する、
カード処理装置1。」
第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「IC」、「アンテナ」は、本願発明1の「ICチップ」、「アンテナ」に相当し、引用発明の「ICとアンテナを有した非接触ICカード」は、本願発明1の「ICチップとアンテナを有するICタグ媒体」に相当する。引用発明の「ICメモリを有さないカード」は、本願発明1の「前記アンテナを有さない印字媒体」に相当する。
引用発明においては、「カード1」が、「非接触ICカード」である場合と、「ICメモリを有さないカード」である場合のうち、いずれの場合においても、「挿入口2の近傍に設けられたセンサによって、カード1の挿入が検知され」、かつ、「カード1を挿入口2から外部へ排出」するものであるから、引用発明の「挿入口2」は、本願発明1の「挿入と排出とを行う」「同一の挿入排出部」に相当する。そうすると、引用発明は、本願発明1の「媒体として、ICチップとアンテナを有するICタグ媒体及び前記ICチップと前記アンテナを有さない印字媒体のいずれかを同一の挿入排出部において挿入と排出とを行う」との構成を有する。
(イ)引用発明の「印字部37」は、本願発明1の「前記媒体に印字する印字ヘッド」に相当する。また、引用発明の「ローラ31」は、「印字部37」に「対向」し、「駆動部51によって駆動され」、かつ、「カード1上に所定のキャラクタを印字する場合」には、「印字部37」と共に、「カード1」を「挟み込」むものであるから、本願発明1の「前記印字ヘッドに対向して配置されており前記印字ヘッドとの間で前記媒体を挟持した状態で、前記媒体を搬送するプラテンローラ」に相当する。そうすると、引用発明の「印字ユニット200」は、本願発明1の「印字部」に相当する。
(ウ)引用発明において、「非接触ICカード」に対し、「データの記録」を行うことは、本願発明1において、「前記ICタグ媒体に所定情報を書き込む」ことに相当する。また、引用発明においては、「カード1の挿入方向において、印字ユニット200よりも下流側」に、「ICリードユニット400」が配置されるものである。そうすると、引用発明の「ICリードユニット400」は、本願発明1の「前記挿入排出部における前記媒体の挿入方向において前記印字部よりも下流側に配置されており前記ICタグ媒体に所定情報を書き込むIC書込部」に相当する。
(エ)引用発明において、「非接触ICカード」に対し、「データの記録」を行い、「印字を行う制御」は、本願発明1において、「前記ICタグ媒体に書込み及び印字するICタグモード」に相当する。引用発明において、「ICメモリを有さないカード」に対し、「印字を行う制御」は、本願発明1の「前記印字媒体に印字する印字モード」ことに相当する。そうすると、引用発明1において、「非接触ICカード」に対し、「データの記録」を行い、「印字を行う制御」と、「ICメモリを有さないカード」に対し、「印字を行う制御が切り換え可能である」ことは、本願発明1において、「前記ICタグ媒体に書込み及び印字するICタグモードと、前記印字媒体に印字する印字モードとが切り換え可能とされて」いることに相当する。
(オ)引用発明は、「カード1の挿入方向において、印字ユニット200よりも下流側に、データ記録再生部56、消去ユニット201、ICリードユニット400が順に配置され」るものであるところ、引用発明において、「非接触ICカード」の「挿入が検知」され、「データ記録再生部56」で、当該カードに記録されている「データを読み取り」、当該カードが、「カード挿入口401からICリードユニット400に入り」、「コイル状のアンテナや容量を発生させる部材を設けた構成」により、「データの記録が行える位置まで搬送され」ることは、本願発明1において、「前記ICタグモードでは、前記ICタグ媒体が挿入されると、前記ICタグ媒体の書込待機位置まで前記ICタグ媒体を前記挿入方向に搬送」することに相当する。
(カ)引用発明においては、「カード1上に所定のキャラクタを印字する場合」、「カード1」が「印字部37とローラ31に挟み込まれ」るものであるところ、「カード1」の挿入方向における上流側の端部が、「印字部37とローラ31に挟み込まれ」た状態となる位置は、本願発明1の「印字待機位置」に相当する。また、引用発明においては、「カード1に所定のキャラクタを印字する場合」、「カード1を排出方向に搬送しながら」、「印字」を行うものであり、この場合、「カード1」を挿入方向には搬送しないものである。
そうすると、引用発明は、「ICメモリを有さないカード」の「挿入が検知」され、「データ記録再生部56」で、当該カードに記録されている「データを読み取」った後、当該カードの挿入方向における上流側の端部が、「印字部37とローラ31に挟み込まれ」た状態となる位置まで、当該カードが搬送され、当該カードを「排出方向に搬送」しながら、「印字部37にて、印字を行う」ものであるから、引用発明は、本願発明1の「前記印字モードでは、前記印字媒体が挿入されると」、「印字待機位置より前記印字媒体の前記挿入方向における下流側へ前記印字媒体を搬送することなく、前記印字待機位置から前記挿入方向とは逆方向に前記印字媒体を搬送して前記印字部にて印字する」との構成を有する。
(キ)引用発明の「カードリーダ」は、上記(ア)~(カ)の構成を有することから、後述の(ク)の点を除き、本願発明1の「プリンタ」に相当する。
(ク)本願発明における「前記印字モードでは、前記印字媒体が挿入されると、前記印字媒体の前記挿入方向における上流側の端部が前記印字ヘッドと前記プラテンローラとに挟持された状態である印字待機位置まで前記印字媒体を搬送し」とは、「印字モード」においては、「印字媒体」が挿入されると、「印字媒体の前記挿入方向における上流側の端部が前記印字ヘッドと前記プラテンローラとに挟持された状態」である「印字待機位置」まで、「印字媒体」を「挿入方向に搬送」することを意味すると解される。
これに対し、引用発明においては、「ICメモリを有さないカード」に対し、「印字を行う制御」を行う場合においても、「印字部37にて、印字を行う」前に、「カード1の挿入方向において、印字ユニット200よりも下流側」に配置された「データ記録再生部56」において、「データ」の読み取りが行われるものである。また、引用発明においては、「カード1上に所定のキャラクタを印字しない場合には、印字ユニット200は搬送路7から後退し、カード1は印字部37とローラ31に挟み込まれ」ないものである。そうすると、引用発明においては、「ICメモリを有さないカード」に対して、「印字を行う制御」を行う場合、当該カードの「挿入が検知」された後、当該カードの挿入方向における上流側の端部が、「印字部37とローラ31に挟み込まれ」た状態となる位置まで、当該カードを挿入方向に搬送するものとはいえない。
したがって、引用発明は、本願発明1の「前記印字モードでは、前記印字媒体が挿入されると、前記印字媒体の前記挿入方向における上流側の端部が前記印字ヘッドと前記プラテンローラとに挟持された状態である印字待機位置まで前記印字媒体を搬送し」という構成を有するとはいえない。
(ケ)そうすると、本願発明1と引用発明の間には、次の一致点及び相違点1があると認められる。
<一致点>
「媒体として、ICチップとアンテナを有するICタグ媒体及び前記ICチップと前記アンテナを有さない印字媒体のいずれかを同一の挿入排出部において挿入と排出とを行うプリンタであって、
前記媒体に印字する印字ヘッドと、前記印字ヘッドに対向して配置されており前記印字ヘッドとの間で前記媒体を挟持した状態で、前記媒体を搬送するプラテンローラとを有する印字部と、
前記挿入排出部における前記媒体の挿入方向において前記印字部よりも下流側に配置されており前記ICタグ媒体に所定情報を書き込むIC書込部と、
を備え、
前記ICタグ媒体に書込み及び印字するICタグモードと、前記印字媒体に印字する印字モードとが切り換え可能とされており、
前記ICタグモードでは、前記ICタグ媒体が挿入されると、前記ICタグ媒体の書込み待機位置まで前記ICタグ媒体を前記挿入方向に搬送し、
前記印字モードでは、前記印字媒体が挿入されると、印字待機位置より前記印字媒体の前記挿入方向における下流側へ前記印字媒体を搬送することなく、前記印字待機位置から前記挿入方向とは逆方向に前記印字媒体を搬送して前記印字部にて印字する、プリンタ。」
<相違点1>
本願発明1においては、「前記印字モードでは、前記印字媒体が挿入されると、前記印字媒体の前記挿入方向における上流側の端部が前記印字ヘッドと前記プラテンローラとに挟持された状態である印字待機位置まで前記印字媒体を搬送」するものであるのに対して、引用発明1においては、「ICメモリを有さないカード」に対し、「印字を行う制御」を行う場合、右のような搬送を行うものではない点。
(2)判断
<相違点1について>
引用文献2記載の技術的事項においては、「印刷部20は、プラテンローラ22に対して進退可能に設けられたサーマルヘッド21を有し、インクリボンRを介してサーマルヘッド21をカードC1に対して圧接して印刷を行」うものであり、「カードC1に対する処理が印刷のみでIC処理が行われない場合、カードC1に印刷処理を行い、そのままカード排出部25に排出し、カードC1は第1通信部12を通過しない」ものであるものの、この場合において、「カード供給部16」から供給された「カードC1」の挿入方向における上流側の端部が、「サーマルヘッド21」と「プラテンローラ22」により「圧接」された状態となる位置まで、「カードC1」を挿入方向に搬送するかは不明であり、相違点1に係る構成が開示されているとはいえない。
引用文献3記載の技術的事項、引用文献4記載の技術的事項においても、相違点1に係る構成が開示されているとはいえない。
また、相違点1に係る構成が、設計的事項といえる理由もない。
したがって、本願発明1は、引用発明、引用文献2~4記載の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
なお、本願発明1は、相違点1に係る構成により、「印字ヘッド21とプラテンローラ22とを押圧させる動作が不要にな」り、「IC書込部12を備えても、印字モードにおける印字動作の応答への影響を抑えることができる」(発明の詳細な説明の段落【0079】参照。)という作用効果を奏するものである。
(3)小括
以上のように、本願発明1は、引用発明1、引用文献2~4記載の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
2 請求項2、3について
本願発明2及び3は、本願発明1を直接または間接的に引用し、本願発明1の発明特定事項をすべて含む発明である。したがって、本願発明2、3は、いずれも「前記印字モードでは、前記印字媒体が挿入されると、前記印字媒体の前記挿入方向における上流側の端部が前記印字ヘッドと前記プラテンローラとに挟持された状態である印字待機位置まで前記印字媒体を搬送し」との構成を有することから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2~4記載の技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
第7 原査定についての判断
本願発明1は、「前記印字モードでは、前記印字媒体が挿入されると、前記印字媒体の前記挿入方向における上流側の端部が前記印字ヘッドと前記プラテンローラとに挟持された状態である印字待機位置まで前記印字媒体を搬送し」との構成を有するものである。当該構成は、引用文献1~4には記載されておらず、上記「第6」のとおり、本願発明1~3は、引用発明、引用文献2~4記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものとはいえない。したがって、原査定を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-006157