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特許拒絶査定不服審判

2022-006024

ロータリソレノイド

審判番号
2022-006024
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-079501
請求日
2022年04月21日
審決日
2023年03月08日
公報発行日
2023年04月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】タカノ株式会社
  • 【請求人代理人】下田 茂
審判長/審判官
  • 審判長 柿崎 拓
  • 審判官 冨永 達朗
  • 審判官 関口 哲生
分類
P18 .121-WY (H02K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017- 79501「ロータリソレノイド」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月15日出願公開、特開2018-182904、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成29年4月13日の出願であって、令和2年11月12日付けで拒絶理由通知がされ、令和3年1月14日に意見書及び手続補正書が提出され、同年6月24日付けで最後の拒絶理由通知がされ、同年8月27日に意見書及び手続補正書が提出され、令和4年1月21日付けで令和3年8月27日にされた手続補正が却下されるとともに拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和4年4月21日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(令和4年1月21日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願の請求項1-6に係る発明は、引用文献1-6に記載された事項に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開平6-6964号公報 2.特開平8-322226号公報 3.特開2002-27692号公報 4.国際公開第2012/111658号 5.特許第4377325号公報(周知技術を示す文献) 6.特開2012-205343号公報 第3 本願発明 本願の請求項1-5に係る発明(以下、「本願発明1」、「本願発明2」などという。)は、令和4年4月21日に補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-5は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】ケーシングに固定し、かつステータコアに巻回したコイルを有するステータ部及び当該ケーシングにより回動自在に支持されるマグネットロータ部を備えるロータリソレノイドであって、コの字形に形成したステータコアの中間部に位置するセンタコア部にマグネットワイヤを巻回して製作したコイルを有するステータ部と、横長の直方体形状に一体形成することにより、当該直方体形状の一面における開口部から内部における内面に前記ステータ部を構成する前記ステータコアの収容をガイドするガイド凹部を設け、かつこのガイド凹部の所定位置で少なくとも前記ステータコアの位置を規制可能な係止部を設けたステータ規制部を有するとともに、前記開口部に対向する底板部に一方の軸受部及び前記コイルの逃げ空間となる許容凹部を有する合成樹脂素材により一体形成したケーシングと、前記開口部を閉塞し、かつ他方の軸受部を有する合成樹脂素材により一体形成したカバーと、前記センタコア部の両側に位置する一対のサイドコア部間に配するマグネットを一体に有するとともに、一端側が前記一方の軸受部に支持され、かつ他端側が前記他方の軸受部に支持されるマグネットロータ部を備え、前記一対のサイドコア部における相対向する平行面に形成した対向面に、前記マグネットロータ部の周面に対して一定のクリアランスを介して対面する湾曲面に形成するとともに、前記マグネットの外径寸法をL1及び内径寸法をL2とし、前記一対のサイドコア部間の最大間隔寸法をL3及び最小間隔寸法をL4とし、前記コイルの軸方向寸法をL5としたとき、L3>L1>L4>L2,L4=L5の関係に選定してなることを特徴とするロータリソレノイド。 【請求項2】 前記マグネットは、シャフトの直交方向一方向に配向し、かつこの配向方向にS極とN極の2極に分割着磁した円筒形、又はシャフトの半径方向にラジアル配向し、かつこのラジアル配向にS極とN極の2極に分割着磁した円筒形に形成することを特徴とする請求項1記載のロータリソレノイド。 【請求項3】 前記ケーシングの内部又は外部には、係止により前記マグネットロータ部の回動範囲を設定範囲に規制するストッパ機構を備えることを特徴とする請求項1記載のロータリソレノイド。 【請求項4】 前記センタコア部の表面に絶縁塗料を塗布することによりコーティング絶縁層を設け、このコーティング層上に、前記マグネットワイヤを直接巻回してなることを特徴とする請求項1記載のロータリソレノイド。 【請求項5】 前記マグネットワイヤには熱融着線を用いることを特徴とする請求項1又は4記載のロータリソレノイド。」 第4 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について (1)引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。以下同様。)。 ア 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、特にバルブ制御に使用される単相電磁回転駆動装置に関する。」 イ 「【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、60°~120°の行程と大きなトルクとを必要とする用途では、現状の駆動装置は特に重量及び寸法に関して幾つかの欠点がある。」 ウ 「【0006】 【課題を解決するための手段】このために、本発明は特に、70°/N~110°/Nの、好ましくは80°/N~100°/Nの角行程を有し、2N個(Nは1又は2に等しい)の磁石、及び透磁率の高い材料製の鉄心を有する回転子と、少なくとも1つのコイルを有し且つ少なくとも1つの結合部分によって結合された2つの極性部分を含んでいる固定子とを含み、極性部分と回転子鉄心とが、2N個の孤Ya上に伸びている一定長さEのギャップをその間に限定している型の単相電磁回転駆動装置に関する。」 エ 「【0031】 【実施例】添付図面を参照して以下の説明を読めば、本発明が更に良く理解されるであろう。 【0032】図1は本発明の駆動装置の第1の実施例の断面図を示す。 【0033】この実施例の駆動装置は、回転子1と固定子2とを有する。回転子1は軸3の周りに回転移動する。回転子は、2つの磁石5,6を支持する円筒形の軟鉄心4からなっている。これらの磁石5,6は瓦状、即ち薄い円筒扇形である。これらの磁石は半径方向を反対の向きに磁化される。磁石は、接着させるか又はカラーをはめることによって軟鉄心4に固定されている。 【0034】磁石5,6の各々は約120°/Nの円孤上に伸びている。図示する場合(N=1)、磁石は約120°に伸びている。磁石5,6は端と端とが合わさっているのではなく、それぞれが約60°の円弧上に伸びている円筒形空間7,8をそれらの間に保持している。磁石の半径方向厚さLは約2.5ミリメートルである。回転子の磁石5,6の高さは約25ミリメートルである。 【0035】固定子2は、コイル12を支持する固定子の結合部分11によって結合された2つの極性部分9,10を有する。固定子は、回転子の軸3に垂直な軟鉄又は鉄-ケイ素鋼板の積層部分からなっている。回転子鉄心4及び固定子の極9,10は、一部分が磁石5,6によって占められている半径方向長さEのギャップをその間に限定している。」 オ 「【0041】図3に示す実施例では、駆動装置は、結合され且つそれぞれが180°/Nに伸びている2つの磁石5,6を含んでいる。固定子の極性部分9,10はそれほどエンベローピングではなく、その端部は、図1に示す実施例よりも明らかに幅の広い隙間Sによって離されている。」 カ 「【0046】ギャップの半径方向長さEは3ミリメートルである。 【0047】磁石の半径方向長さLは2.5ミリメートルである。」 キ 「【図3】 [図:0001396035000001.jpg] 」 ク 上記エには、図1に示された実施例において、コイル12を支持する結合部分11によって結合された2つの極性部分9、10を有する固定子2と、軸3の周りに回転移動し、2つの磁石5、6を支持する円筒形の軟鉄心4からなる回転子1とを有することが記載されており、この記載を踏まえると、上記オ、カ及び図3に示された実施例(以下「図3に示された実施例」という。)の固定子及び回転子1も、前記した点について同様の構成を備えているといえる。 ケ 上記図3の記載から、結合部分11及び結合部分11によって結合された2つの極性部分9、10は、コの字形に形成されているといえるから、固定子は、コの字形に形成した結合部分11及び2つの極性部分9、10のうち、結合部分11にコイル12が支持されているといえる。 コ 上記図3の記載から、結合部分11の両側に位置する2つの極性部分9、10間に配置された磁石5、6を支持する円筒形の軟鉄心4からなる回転子1が備えられているといえる。 サ 上記カ及び図3の記載から、軟鉄心4から極性部分9、10までのギャップの半径方向長さをE、磁石5、6の半径方向長さをLとすると、2つの極性部分9、10における相対向する平行面に形成した対向面に、回転子1の磁石5、6の周面に対してE-Lの間隙を介して対面する湾曲面が形成されているといえる。 シ 上記図3の記載から、磁石5、6の外形寸法をL1及び内径寸法をL2とし、2つの極性部分9、10間の最大間隔寸法をL3及び最小間隔寸法をL4とし、コイル12の軸方向寸法をL5としたとき、L3>L1>L4であることが、看取できる。 (2)引用発明 前記(1)アないしシから、引用文献1には、図3に示された実施例として、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「コイル12を支持する結合部分11によって結合された2つの極性部分9、10を有する固定子及び軸3の周りに回転移動し、2つの磁石5、6を支持する円筒形の軟鉄心4からなる回転子1とを備える単相電磁回転駆動装置であって、コの字形に形成した前記結合部分11及び前記2つの極性部分9、10のうち、前記結合部分11に前記コイル12が支持された固定子と、前記結合部分11の両側に位置する前記2つの極性部分9、10間に配置された前記磁石5、6を支持する円筒形の前記軟鉄心4からなる回転子1を備え、前記軟鉄心4から前記極性部分9、10までのギャップの半径方向長さをE、前記磁石5、6の半径方向長さをLとすると、前記2つの極性部分9、10における相対向する平行面に形成した対向面に、前記回転子1の前記磁石5、6の周面に対してE-Lの間隙を介して対面する湾曲面が形成されているとともに、前記磁石5、6の外形寸法をL1及び内径寸法をL2とし、前記2つの極性部分9、10間の最大間隔寸法をL3及び最小間隔寸法をL4とし、前記コイル12の軸方向寸法をL5としたとき、L3>L1>L4である単相電磁回転駆動装置。」 2.引用文献2について (1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、ロータリアクチュエータに係り、詳しくは揺動型のロータリアクチュエータに関するものである。」 イ 「【0020】ロータ収容孔12内には、ロータ4が回転可能に収容されている。ロータ4は、ロータシャフト18に円柱状のロータ磁石19が嵌挿されている。ロータ磁石19は1箇所で直径方向に磁化されている。ロータシャフト18の下端は、ケース2内底部に設けられた軸受け部20A(図3参照)に回動可能に支持されている。又、ロータシャフト18の上部は、蓋5に設けられた軸受け20Bに回動可能に支持されている。」 ウ 「【図3】 [図:0001396035000002.jpg] 」 3.引用文献4について (1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 「[0023] 図1は第一の実施形態によるロータリーソレノイドを示す。このロータリーソレノイドでは、箱状の外周ケース部10の上面より突出した出力軸20をスイング角±θとして反復的に回動させる。外周ケース部10は、上ケース11と下ケース12とを側面部で結合させる構造であり、両ケース11・12は例えば樹脂材料により形成されている。両ケース11・12において上下方向に長い出力軸20に対応する部位には軸受部13が一体に形成されており、それぞれ出力軸20を回動自在に支持する。出力軸20の下端部は下ケース12上で支持され、出力軸20の上部は上ケース11の軸受部13から外部に導出されている。」 イ 「[図1] [図:0001396035000003.jpg] 」 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 引用発明の「極性部分9、10」、「結合部分11」は、それぞれ本願発明1の「サイドコア部」、「センタコア部」に相当し、引用発明の「極性部分9、10」と「結合部分11」を合わせたものは、本願発明1の「ステータコア」に相当する。以下同様に、「コイル12」は、「コイル」に、「単相電磁回転駆動装置」は「ロータリソレノイド」に相当する。 引用発明の「コイル12を支持する結合部分11によって結合された2つの極性部分9、10を有する固定子」は、結合部分11にコイル12を巻回していることが明らかであるから、本願発明1の「ケーシングに固定し、かつステータコアに巻回したコイルを有するステータ部」と、「ステータコアに巻回したコイルを有するステータ部」という限りにおいて一致する。 引用発明の「磁石5、6」は、本願発明1の「マグネット」に相当し、引用発明の「回転子1」は、2つの磁石5、6を支持する円筒形の軟鉄心4からなるものであるから、本願発明1の「マグネットロータ部」に相当する。そして、引用発明の「軸3の周りに回転移動し、2つの磁石5、6を支持する円筒形の軟鉄心4からなる回転子1」は、回動自在に支持されていることが明らかであるから、本願発明1の「当該ケーシングにより回動自在に支持されるマグネットロータ部」と、「回動自在に支持されるマグネットロータ部」という限りにおいて一致する。 引用発明の「結合部分11」は、「極性部分9、10」と「結合部分11」を合わせたものの中間に位置するから、引用発明の「コの字形に形成した前記結合部分11及び前記2つの極性部分9、10のうち、前記結合部分11に前記コイル12が支持された固定子」は、本願発明1の「コの字形に形成したステータコアの中間部に位置するセンタコア部にマグネットワイヤを巻回して製作したコイルを有するステータ部」と、「コの字形に形成したステータコアの中間部に位置するセンタコア部にコイルを有するステータ部」という限りにおいて一致する。 引用発明の「前記結合部分11の両側に位置する前記2つの極性部分9、10間に配置された磁石5、6を支持する円筒形の軟鉄心4からなる回転子1」は、本願発明1の「前記センタコア部の両側に位置する一対のサイドコア部間に配するマグネットを一体に有するとともに、一端側が前記一方の軸受部に支持され、かつ他端側が前記他方の軸受部に支持されるマグネットロータ部」と、「前記センタコア部の両側に位置する一対のサイドコア部間に配するマグネットを一体に有するマグネットロータ部」という限りにおいて一致する。 引用発明の「前記回転子1の前記磁石5、6の周面」は、上記1.(1)キの図3によると、回転子1の周面ともいえるから、本願発明1の「前記マグネットロータ部の周面」に相当し、引用発明の「前記軟鉄心4から前記極性部分9、10までのギャップの半径方向長さをE、前記磁石5、6の半径方向長さをLとすると、」「E-Lの間隙」は、本願発明1の「一定のクリアランス」に相当する。すると、引用発明の「前記軟鉄心4から前記極性部分9、10までのギャップの半径方向長さをE、前記磁石5、6の半径方向長さをLとすると、前記2つの極性部分9、10における相対向する平行面に形成した対向面に、前記回転子1の前記磁石5、6の周面に対してE-Lの間隙を介して対面する湾曲面が形成される」ことは、本願発明1の「前記一対のサイドコア部における相対向する平行面に形成した対向面に、前記マグネットロータ部の周面に対して一定のクリアランスを介して対面する湾曲面に形成する」ことに相当する。 引用発明の「前記磁石5、6の外形寸法をL1及び内径寸法をL2とし、前記2つの極性部分9、10間の最大間隔寸法をL3及び最小間隔寸法をL4とし、前記コイル12の軸方向寸法をL5としたとき、L3>L1>L4である」ことは、本願発明1の「前記マグネットの外径寸法をL1及び内径寸法をL2とし、前記一対のサイドコア部間の最大間隔寸法をL3及び最小間隔寸法をL4とし、前記コイルの軸方向寸法をL5としたとき、L3>L1>L4>L2,L4=L5の関係に選定してなる」と、「前記マグネットの外径寸法をL1及び内径寸法をL2とし、前記一対のサイドコア部間の最大間隔寸法をL3及び最小間隔寸法をL4とし、前記コイルの軸方向寸法をL5としたとき、L3>L1>L4の関係に選定してなる」という限りにおいて一致する。 したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「ステータコアに巻回したコイルを有するステータ部及び回動自在に支持されるマグネットロータ部を備えるロータリソレノイドであって、コの字形に形成したステータコアの中間部に位置するセンタコア部にコイルを有するステータ部と、前記センタコア部の両側に位置する一対のサイドコア部間に配するマグネットを一体に有するマグネットロータ部を備え、前記一対のサイドコア部における相対向する平行面に形成した対向面に、前記マグネットロータ部の周面に対して一定のクリアランスを介して対面する湾曲面に形成するとともに、前記マグネットの外径寸法をL1及び内径寸法をL2とし、前記一対のサイドコア部間の最大間隔寸法をL3及び最小間隔寸法をL4とし、前記コイルの軸方向寸法をL5としたとき、L3>L1>L4の関係に選定してなるロータリソレノイド。」 (相違点1)本願発明1は、ステータ部が「ケーシングに固定」され、マグネットロータ部が「ケーシングにより」回動自在に支持され、「横長の直方体形状に一体形成することにより、当該直方体形状の一面における開口部から内部における内面に前記ステータ部を構成する前記ステータコアの収容をガイドするガイド凹部を設け、かつこのガイド凹部の所定位置で少なくとも前記ステータコアの位置を規制可能な係止部を設けたステータ規制部を有するとともに、前記開口部に対向する底板部に一方の軸受部及び前記コイルの逃げ空間となる許容凹部を有する合成樹脂素材により一体形成したケーシング」と「前記開口部を閉塞し、かつ他方の軸受部を有する合成樹脂素材により一体形成したカバー」を有し、「一端側が前記一方の軸受部に支持され、かつ他端側が前記他方の軸受部に支持される」マグネットロータ部を備えるのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。 (相違点2)コイルについて、本願発明1は、センタコア部に「マグネットワイヤを巻回して製作した」ものであるのに対し、引用発明は、「結合部分11に前記コイル12が支持」されているものの、結合部分11にマグネットワイヤを巻回して製作したものかどうか不明である点。 (相違点3)マグネットの外径寸法をL1及び内径寸法をL2とし、一対のサイドコア部間の最大間隔寸法をL3及び最小間隔寸法をL4とし、コイルの軸方向寸法をL5としたとき、本願発明1は、「L3>L1>L4>L2,L4=L5の関係に選定してなる」のに対し、引用発明は、「L3>L1>L4」であるものの、「L4>L2」及び「L4=L5」の関係にあるか明らかでない点。 (2)相違点についての判断 上記相違点1について検討すると、引用文献2、4には、回転軸の上端及び下端を、上ケース及び下ケースによって回動可能に支持することは記載されているものの、「横長の直方体形状に一体形成することにより、当該直方体形状の一面における開口部から内部における内面に前記ステータ部を構成する前記ステータコアの収容をガイドするガイド凹部を設け」たものでなく、「かつこのガイド凹部の所定位置で少なくとも前記ステータコアの位置を規制可能な係止部を設け」たものでないから、「ステータ規制部」を有するものとはいえず、更に、「前記開口部に対向する底板部に一方の軸受部及び前記コイルの逃げ空間となる許容凹部を有する」ものでもない。そして、ケースに前記のようなガイド凹部や許容凹部を設けることにより、該凹部にステータコアやコイル等の一部を収容でき、全体形状の小型化や薄型化を図ることができることについても何ら示唆されていない。また、引用文献3、5、6にも、前記のようなガイド凹部及び係止部を設けたステータ規制部や、許容凹部について記載されていない。したがって、引用発明に、引用文献2から引用文献6に記載された事項を適用したとしても、本願発明1の相違点1に係る構成には到達し得ない。そして、本願発明1は、相違点1に係る構成を備えることにより、本願の発明の詳細な説明の段落【0014】に記載された「全体の外郭形状の小型化及び薄型化、特に、厚さが5〔mm〕以下の超薄型形状も容易に実現できる。この結果、部品間の隙間のような狭い空間への配設やアレー化による高密度配列も可能になるなど、様々な配設スペースに対応させることができ、汎用性及び発展性を飛躍的に高めることができる。」といった顕著な作用効果を奏するものであるから、相違点1に係る構成は単なる設計事項といえる程度のものではない。 したがって、本願発明1は、相違点2、3を検討するまでもなく、当業者であっても引用発明、引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 2.本願発明2-5について 本願発明2-5も、本願発明1の相違点1に係る構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 第6 原査定について 審判請求時の補正により、本願発明1-5は、ステータ部が「ケーシングに固定」され、マグネットロータ部が「ケーシングにより」回動自在に支持され、「横長の直方体形状に一体形成することにより、当該直方体形状の一面における開口部から内部における内面に前記ステータ部を構成する前記ステータコアの収容をガイドするガイド凹部を設け、かつこのガイド凹部の所定位置で少なくとも前記ステータコアの位置を規制可能な係止部を設けたステータ規制部を有するとともに、前記開口部に対向する底板部に一方の軸受部及び前記コイルの逃げ空間となる許容凹部を有する合成樹脂素材により一体形成したケーシング」と、「前記開口部を閉塞し、かつ他方の軸受部を有する合成樹脂素材により一体形成したカバー」を有し、「一端側が前記一方の軸受部に支持され、かつ他端側が前記他方の軸受部に支持される」マグネットロータ部を有するものとなっており、上記第5で検討したとおり、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-6に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-006024

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