2022-005944
リープフロッグ充電システムを備えた充電式バッテリジャンプスタート装置
- 審判番号
- 2022-005944
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-506817外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年04月20日
- 審決日
- 2023年03月27日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ザ・ノコ・カンパニー
- 【請求人代理人】山尾 憲人
- 【請求人代理人】前堀 義之
- 分類
- P18 .121-Z (H02J)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 13項目
第1 手続の経緯
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本願は、2018年(平成30年)9月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2017年9月22日 米国、2017年9月22日 米国、2017年9月25日 米国、2017年10月3日 米国、2017年10月4日 米国、2017年10月5日 米国、2017年10月6日 米国、2017年10月6日 米国、2017年10月6日 米国、2018年9月5日 米国、2018年9月13日 米国、2018年9月19日 米国)を国際出願日とする特許出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
第2 本願発明
本願の請求項1-15に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1-15に記載された事項により特定されるものと認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。なお、説明の便宜のため、本願発明を<a>-<f>の記号を付して分説した。
「<a> リープフロッグ充電システムを備えた充電式バッテリジャンプスタート装置(310)であって、<b> 第1の12Vバッテリ(332)と、<c> 第2の12Vバッテリ(332)と、<d> 前記第1の12Vバッテリ(332)と前記第2の12Vバッテリ(332)とに対して電気的に接続された電気制御スイッチであり、前記第1の12Vバッテリ(332)と前記第2の12Vバッテリ(332)とを並列に接続するための並列スイッチ位置と、前記第1の12Vバッテリ(332)と前記第2の12Vバッテリ(332)とを直列に接続するための直列スイッチ位置と、を有した電気制御スイッチ(318)と、<e> 前記第1の12Vバッテリ(332)と前記第2の12Vバッテリ(332)とに対して接続されたリープフロッグ充電器(710A、B)と、を含み、<f> 前記リープフロッグ充電器(710A、B)は、前記第1の12Vバッテリ(332)と前記第2の12Vバッテリ(332)とを順次に双方のバッテリが完全に充電されるまで、交互的な順序で漸増的に部分的に充電するように構成される、充電式バッテリジャンプスタート装置。」
第3 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の請求項1についての拒絶理由のうちの理由4は次のとおりのものである。
理由4.(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1-3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
引用文献1.米国特許第5083076号明細書
引用文献2.国際公開第2015/004946号(周知技術を示す文献)
引用文献3.特開2016-19303号公報(周知技術を示す文献)
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1、引用発明
原査定の拒絶の理由で引用した引用文献1(米国特許第5083076号明細書)(1992年1月21日登録)には、以下の記載がある。なお、下線は強調のため当審にて付与した。
「The present invention relates to a portable battery-containing unit usable to jump start a variety of different types of vehicles including large trucks and heavy equipment. Such unit is designed for use with electrical systems and starters of different voltages (12 volts or 24 volts) by connection of jumper cables having standard end clamps to the vehicle batteries, but with polarity and voltage indicators to assure that the vehicle batteries are not connected to the booster batteries if the end clamps are improperly connected.」(第1欄6行~同15行)
(当審訳:本発明は、大型トラックおよび大型車両の様々な異なるタイプの自動車を、ジャンプスタートをするのに使用可能な携帯用バッテリ内蔵機器に関するものである。このようなユニットは、自動車のバッテリに標準的な端部クランプを有しているジャンパケーブルを接続することにより、電気システムおよび異なる電圧(12Vまたは24V)のスタータで使用するように設計されており、端部クランプが不適切に接続されている場合に、車両バッテリがブースタバッテリに接続されないようにするための極性及び電圧インジケータを備えている。)
「With reference to FIG. 1, a portable battery booster 1 in accordance with the present invention preferably uses a wheeled cabinet 2 having a top handle 3 allowing the unit to be moved conveniently from one location to another. For example, the booster can be moved easily from a storage or charging location to a vehicle to be jump started. The cabinet 2 contains at least two internal booster batteries and a separate conventional charger for each battery. Both chargers can be actuated by connecting a single electrical plug 4 to a source of line current, and a separate ammeter 5 is provided for each charger to indicate the progress of charging of the corresponding booster battery. Electrical power conveyed through the plug 4 preferably operates an internal fan to draw air through an inlet 6 to cool the interior of the cabinet 2 during charging of the batteries. Exhaust outlets can be provided in the bottom, back and/or sides of the cabinet.」(第2欄54行~第3欄3行)
(当審訳:図1を参照すると、本発明による携帯用バッテリブースタ1は、好ましくは、頂部ハンドル3を有する車輪付きキャビネット2を使用することによって、1つの位置から別の位置に好都合に移動させることができる。例えば、ブースタは、保管場所または、充電場所からジャンプスタートさせる自動車の場所へ容易に移動させることができる。キャビネット2は、少なくとも2個の内部ブースタバッテリやそれぞれのバッテリに対して、別々の従来の充電器を備えている。充電器の両方は、ライン電流のソースを単一の電源プラグ4に接続することによって作動させることができ、別個の電流計5が、各充電器に接続されたブースタバッテリのそれぞれの充電の進行を示すために提供される。プラグ4を通じて送られる電力は、入口6を通して空気を吸引するように内部のファンを動かし、バッテリの充電の間のキャビネット2の内部を冷却するように動作することが好ましい。排気口は、キャビネットの底部、背面及び/又は側面とすることができる。)
「The essential components of the electrical circuit for the first embodiment of the present invention are shown schematically in FIG. 3. As previously described, a separate charger 15 is provided for each of the internal booster batteries B1 and B2, such chargers being interconnected so as to be powered by connection of the single electrical plug 4 to a source of line current.The negative jumper cable 7 and its end clamp 9 are connected to the negative terminal of one of the internal booster batteries B2.The positive jumper cable 8 and its end clamp 10 are connected to the positive terminal of the other internal booster battery B1.The negative cable segment 7' projecting from the cabinet to the plug 12 is connected to the negative terminal of battery B1, whereas the positive cable segment 8' projecting from the cabinet to the plug 12 is connected to the positive terminal of battery B2.Plug 12 has a negative conductor portion 16, i.e., the conductor portion connected to cable segment 7', and a positive conductor portion 17, i.e., the conductor portion connected to the positive cable segment 8'. Socket 13 has a negative conductor portion 18 and a positive conductor portion 19 engageable by the negative and positive conductor portions of the plug 12, respectively, when the plug is inserted into such socket.Conductor 18 is connected to cable 7 by a lead 20, and conductor 19 is connected to cable 8 by a lead 21. Consequently, when plug 12 is inserted into the socket 13, the negative terminal of battery B1 is connected to the negative terminal of battery B2 by the cable segment 7', interfitted conductors 16 and 18, lead 20 and cable 7.Similarly, the positive terminal of battery B2 is connected to the positive terminal of battery B1 by cable segment 8', interfitted conductors 17 and 19, lead 21 and cable 8. In such condition, booster batteries B1 and B2 are connected in parallel between the end clamps 9 and 10 for supplying 12-volt power between such clamps.Socket 14 has negative and positive conductors 22 and 23 engageable by the negative and positive conductors 16 and 17 of the plug 12 when such plug is inserted into socket 14. Proceeding from the negative clamp 9, such clamp is connected to the negative terminal of battery B2 by cable 7. From the positive terminal of such battery, cable segment 8' extends to the positive conductor 17 of plug 12 engaged against the positive conductor 23 of socket 14. Such positive conductor 23 is connected to the negative conductor 22 of the socket by a lead 25.The negative conductor 22 of socket 14 will be engaged by the negative conductor 16 of the plug which, through cable segment 7', extends to the negative terminal of battery B1. From the positive terminal of battery B1, cable 8 extends to the positive end clamp 10. Consequently, when plug 12 is inserted into the socket 14, the batteries B1 and B2 are connected in series between the end clamps 9 and 10 to provide 24-volt power.」(第4欄30行~第5欄17行)
(当審訳:「本発明の第1の実施形態の電気回路の重要な構成要素は、図3に概略的に示される。前述したように、セパレート充電器15は、インターナルブースタバッテリB1及びB2の各々に設けられており、単一の電気プラグ4の接続により給電ラインから電力を供給するために相互に接続されている。負極側のジャンパケーブル7及びその端部クランプ9は、インターナルブースタバッテリB2の負極端子に接続されている。正極側のジャンパケーブル8及びその端部クランプ10は、他のインターナルブースタバッテリB1の正極端子に接続されている。キャビネットからプラグ12に向かって伸びる負極側ケーブルセグメント7’は、バッテリB1の負極端子に接続され、キャビネットからプラグ12に向かって伸びる正極側ケーブルセグメント8’は、バッテリB2の正極端子に接続されている。プラグ12は、ケーブルセグメント7’に接続された導体部分である負導体部分16と、正極側側ケーブルセグメント8’に接続された導体部分である正導体部分17を有する。ソケット13は、プラグがソケット内に挿入されるとプラグ12の負側および正側の導体部分により係合可能な負の導体18と、正の導体19とを有している。導体18は、リード線20によりケーブル7に接続され、導体19は、リード線21によってケーブル8に接続される。これにより、プラグ12がソケット13に挿入されると、バッテリB1の負極端子は、ケーブルセグメント7’、相互嵌合された導体16および18、リード線20およびケーブル7によって、電池B2の負極端子に接続される。同様に、バッテリB2の正極端子は、ケーブルセグメント8’で、バッテリB1の正極端子に接続されて、導体17、19、リード線21、ケーブル8によって、相互嵌合される。このような状態において、ブースタバッテリB1、B2は、12ボルトの電力を供給するための端部クランプ9および10との間に並列に接続されている。ソケット14は、プラグ12がソケット14に挿入されるときに、プラグ12の負及び正の導体16および17によって係合可能な負および正の導体22および23を有する。負のクランプ9は、ケーブル7によってバッテリB2の負極端子に接続されている。そのバッテリの正極端子から、正極側ケーブルセグメント8’が伸びて、ソケット14の正の導体23に対して係合されたプラグ12の正の導体17に至る。その正の導体23は、リード線25によってソケットの負導体22に接続されている。ソケット14の負の導体22は、バッテリB1の負極端子まで延在するケーブルセグメント7'を通じてプラグの負の導体16に係合される。電池B1の正極端子から、ケーブル8は、正端部クランプ10に延びる。従ってプラグ12がソケット14に挿入されたとき、バッテリB1、B2が端部クランプ9及び10との間に直列に接続されて、24ボルトを提供する。」)
「Fig.1[図:0001401101000001.jpg]」
「Fig.3[図:0001401101000002.jpg]」
以上の記載された事項と図面より、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。なお、説明の便宜のため、引用発明をA-Rの記号を付して分説した。
(引用発明)
「A セパレート充電器15は、インターナルブースタバッテリB1及びB2の各々に設けられており、単一の電気プラグ4の接続により給電ラインから電力を供給するために相互に接続され、B 負極側のジャンパケーブル7及びその端部クランプ9は、インターナルブースタバッテリB2の負極端子に接続され、C 正極側のジャンパケーブル8及びその端部クランプ10は、他のインターナルブースタバッテリB1の正極端子に接続され、D キャビネットからプラグ12に向かって伸びる負極側ケーブルセグメント7’は、バッテリB1の負極端子に接続され、キャビネットからプラグ12に向かって伸びる正極側ケーブルセグメント8’は、バッテリB2の正極端子に接続され、続きを表示(全19行)E プラグ12は、ケーブルセグメント7’に接続された導体部分である負導体部分16と、正極側ケーブルセグメント8’に接続された導体部分である正導体部分17を有し、F ソケット13は、プラグがソケット内に挿入されるとプラグ12の負側および正側の導体部分により係合可能な負の導体18と、正の導体19とを有し、G 導体18は、リード線20によりケーブル7に接続され、導体19は、リード線21によってケーブル8に接続され、H プラグ12がソケット13に挿入されると、バッテリB1の負極端子は、ケーブルセグメント7’、相互嵌合された導体16および18、リード線20およびケーブル7によって、電池B2の負極端子に接続され、I バッテリB2の正極端子は、ケーブルセグメント8’で、バッテリB1の正極端子に接続されて、導体17、19、リード線21、ケーブル8によって、相互嵌合され、J このような状態において、ブースタバッテリB1、B2は、12ボルトの電力を供給するための端部クランプ9および10との間に並列に接続され、K ソケット14は、プラグ12がソケット14に挿入されるときに、プラグ12の負及び正の導体16および17によって係合可能な負および正の導体22および23を有し、L 負のクランプ9は、ケーブル7によってバッテリB2の負極端子に接続され、M バッテリの正極端子から、正極側ケーブルセグメント8’が伸びて、ソケット14の正の導体23に対して係合されたプラグ12の正の導体17に至り、N 正の導体23は、リード線25によってソケットの負導体22に接続され、O ソケット14の負の導体22は、バッテリB1の負極端子まで延在するケーブルセグメント7'を通じてプラグの負の導体16に係合され、P 電池B1の正極端子から、ケーブル8は、正端部クランプ10に延び、Q プラグ12がソケット14に挿入されたとき、バッテリB1、B2が端部クランプ9及び10との間に直列に接続されて、24ボルトを提供する、R 自動車を、ジャンプスタートをするのに使用可能な携帯用バッテリ内蔵機器であって、ジャンプスタートさせる自動車の場所へ容易に移動させることができる、自動車をジャンプスタートさせるための携帯用バッテリブースタ1。」
2 周知技術
(1)引用文献2
原査定の拒絶の理由で引用した引用文献2(国際公開第2015/004946号)(2015年1月15日公開)には、以下の事項が記載されている。
「[0059]現段階では、図5、図6のN1に示すように、バッテリAの充電が行われて、バッテリAが充電休止状態のため(図8 ステップS111 YES)、次に、バッテリBに対して充電が行われる(図8 ステップS112 図5、図6 N2参照)。そして、バッテリBに対する一定量充電が完了すると(図8 ステップS113 YES)、バッテリBが充電休止状態になる(図8 ステップS114)。[0060]次に、バッテリAに対して充電が行なわれる(図8 ステップS115 図5、図6 N3参照)。そして、バッテリAに対して一定量充電が行われると(図8 ステップS116 YES)、バッテリAが充電休止状態となる(図8 ステップS117)。[0061]現段階では、図5、図6に示すように、バッテリA、バッテリBのいずれのバッテリも規定充電容量Cmaxとまで充電されていないため、図8のステップS118の判断がNO、ステップS120の判断がNO、ステップS121の判断がNOとなり、図8のステップS112でバッテリBに対して充電が行われる(図5、図6 N4参照)。[0062]このように、図8のステップS112~S117、ステップS118(NO)、ステップS120(NO)、ステップS121(NO)の処理が繰り返し実行されることで、バッテリAとバッテリBに対して交互に充電(図5、図6 N5、N6、・・、Nn、Nn+1参照)が行われる。[0063]そして、例えば、バッテリAの現在充電容量CAnowが規定充電容量Cmaxよりも大きくなると(図8 ステップS118 YES)、バッテリAの充電が完了する(ステップS119)。[0064]次に、図8 ステップS120で、バッテリBの現在充電容量CBnowと規定充電容量Cmaxとが比較される。そして、CBnow<Cmaxであれば(図8 ステップS120 NO)、ステップS121で、一方のバッテリAの充電完了が判断される。前述のように、バッテリAの充電が完了しているため(図8 ステップS121 YES)、ステップS122でバッテリBの充電が行われる。そして、バッテリBの現在充電容量CBnow>規定充電容量Cmaxになると(図8 ステップS120 YES)、バッテリBの充電が完了する(ステップS123)。[0065]このように、バッテリA,Bに対してほぼ規定充電容量Cmaxまで充電を行えるようになる。また、充電を交互に行う構成のため、途中で充電を中止した場合でも、バッテリAとバッテリBとにはほぼ等しい電力量が充電されるようになる。[0066]本実施形態に係る充電器10によると、各々のバッテリA,Bにおける有効充電容量MA,MBのうちで最も小さい有効充電容量よりも小さな規定充電容量Cmaxを設定し、バッテリA,Bの充電容量が規定充電容量Cmaxまで達したら充電を停止できるように構成されている。このため、複数のバッテリA,Bにそれぞれ等しい電力量が充電されるようになり、電動工具(図示省略)に直列接続された複数のバッテリA,Bがほぼ同時期に残容量が零となる。」
「【図5】[図:0001401101000003.jpg]」
「【図6】[図:0001401101000004.jpg]」
「【図8】[図:0001401101000005.jpg]」
引用文献2には、
「バッテリAの充電が行われて、バッテリAが充電休止状態のため」、「次に、バッテリBに対して充電が行われ」、「バッテリBに対する一定量充電が完了すると」、「バッテリBが充電休止状態にな」[0059]り、「次に、バッテリAに対して充電が行なわれ」、「バッテリAに対して一定量充電が行われると」、「バッテリAが充電休止状態とな」[0060]り、「バッテリA、バッテリBのいずれのバッテリも規定充電容量Cmaxとまで充電されていない」と、「バッテリBに対して充電が行われ」[0061]、「処理が繰り返し実行され」、「バッテリAとバッテリBに対して交互に充電」が行われ[0062]、「バッテリAの現在充電容量CAnowが規定充電容量Cmaxよりも大きくなると」、「バッテリAの充電が完了」[0063]し、「バッテリBの現在充電容量CBnowと規定充電容量Cmaxとが比較され」、「CBnow<Cmaxであれば」、「一方のバッテリAの充電完了が判断され」、、「バッテリAの充電が完了している」と、「バッテリBの充電が行われ」、「バッテリBの現在充電容量CBnow>規定充電容量Cmaxになると」、「バッテリBの充電が完了」[0064]し、「バッテリA,Bに対してほぼ規定充電容量Cmaxまで充電を行え」、「充電を交互に行」[0065]い、「各々のバッテリA,Bにおける有効充電容量MA,MBのうちで最も小さい有効充電容量よりも小さな規定充電容量Cmaxを設定し、バッテリA,Bの充電容量が規定充電容量Cmaxまで達したら充電を停止できる」[0066]ことが記載されている。
以上のように、引用文献2には、バッテリBの充電から開始されて、一定量充電が完了するとバッテリAの充電が開始されるという順序で、交互に充電が行われており、また、規定充電容量CmaxまでバッテリA、バッテリBを充電することは、規定充電容量Cmaxまで「完全に充電する」ことといえるから、「2つのバッテリを有し、バッテリを充電する際には、バッテリのそれぞれを交互な順序で切り替えながら徐々に充電が行われ、それによって最終的には、二つのバッテリを完全に充電すること」が記載されているといえる。
(2)引用文献3
原査定の拒絶の理由で引用した引用文献3(特開2016-19303号公報)(2016年2月1日公開)には、以下の事項が記載されている。
「【0072】図5に示すように、充電用アダプタからの直流電圧の入力により充放電制御部48が起動すると、充電制御処理を実行する。この充電制御処理では、まずS100にて、各ブロック10、20のバッテリ制御部68に起動指令を送信することにより、バッテリ制御部68を起動する。そして、続くS110では、各ブロック10、20のバッテリ制御部68から、バッテリ12、22の両端電圧(つまりバッテリ電圧)を取得し、S120に移行する。【0073】続きを表示(全29行)S120では、各バッテリ制御部68から取得したバッテリ電圧に基づき、最初に充電を開始すべきブロックを選択する。つまり、本実施形態では、第1ブロック10のバッテリ12と、第2ブロック20のバッテリ22とを同時に充電するのではなく、これら各ブロック10、20のバッテリ12、22を交互に充電する。【0074】このため、S120では、2つのブロック10、20の内、例えば、バッテリ電圧が低い方を、充電ブロックとして選択する。次に、S130では、S120にて充電ブロックとして選択したブロック(以下、選択ブロックという)10又は20のバッテリ制御部68に対し、充電FET52をオンさせる指令を送信することで、選択ブロック10又は20の充電FET52をオンさせる。【0075】また、続くS140では、DC/DCコンバータ42を動作させることで、DC/DCコンバータ42から充電電圧を出力させる。この結果、選択ブロックのバッテリ12又は22への充電が開始されることになる。【0076】なお、充放電制御部48は、バッテリ12、22への充電時、DC/DCコンバータ42からの出力(電流・電圧)を制御することで、選択ブロックのバッテリ12又は22に対しCC-CV充電(定電流定電圧充電)を行う。【0077】このように、S140にてDC/DCコンバータ42を動作させて、選択ブロックのバッテリ12又は22への充電を開始すると、S150にて、充電中のバッテリ12又は22は満充電状態になったか否かを判断する。【0078】そして、充電中のバッテリ12又は22は満充電状態でなければ、S160に移行して、現在充電中のバッテリ12又は22の残容量Aが、充電していない非選択ブロックのバッテリ22又は12の残容量Bよりも所定値以上大きいか否か(換言すれば、残容量の差(A-B)が所定値以上になったか否か)を判断する。【0079】なお、この判断には、各バッテリ12、22の絶対容量ではなく、後述のS200にて、前回各バッテリ12、22が満充電状態となったときに記憶したバッテリ容量を100%とする相対容量が使用される。【0080】これは、充電中のバッテリの相対容量の計算方法によって算出された残容量が、他のバッテリの相対容量の計算方法によって算出された残容量よりも所定値以上大きくなったことを検出して、充電するバッテリを切り替えることで、各ブロック10、20のバッテリ12、22が略同時に満充電となって、充電制御を完了できるようにするためである。【0081】S160にて、各ブロック10、20のバッテリ12、22の相対容量の差は所定値以上になったと判断されると、S170に移行し、そうでなければ、再度S150に移行する。【0082】S170では、DC/DCコンバータ42の動作を停止(オフ)させることにより、現在充電中のバッテリ12又は22への充電を停止させる。そして、続くS180では、充電ブロックを今まで充電していなかった非選択ブロックに変更することで、選択ブロックを切り替え、再度S140に移行する。【0083】次に、S150にて、充電中のバッテリ12又は22は満充電状態になったと判断されると、S190に移行して、今回満充電状態になった選択ブロックのバッテリ12又は22に加え、非選択ブロックのバッテリ22又は12も満充電状態になっているか否かを判断する。【0084】そして、2つのブロック10、20のバッテリ12、22が共に満充電状態になっていれば、今回の充電は完了したと判断して、S200に移行し、非選択ブロックのバッテリ22又は12は未だ満充電状態になっていなければ、S170に移行する。」
「【0125】また、充電時には、充電中のバッテリの残容量(相対容量)が他方のバッテリよりも所定値以上大きくなったときに、充電するバッテリを変更する。このため、バッテリ12、22への充電時には、図8に例示するように、両バッテリ12、22が略同時に満充電となるよう、各バッテリ12、22をバランスよく交互に充電することができる。」
「【図5】[図:0001401101000006.jpg]」
「【図8】[図:0001401101000007.jpg]」
引用文献3には、「各バッテリ制御部68から取得したバッテリ電圧に基づき、最初に充電を開始すべきブロックを選択」(【0073】)し、「各ブロック10、20のバッテリ12、22を交互に充電」(【0073】)し、「充電中のバッテリ12又は22は満充電状態になったか否かを判断」(【0077】)し、「充電中のバッテリ12又は22は満充電状態でなければ」、「現在充電中のバッテリ12又は22の残容量Aが、充電していない非選択ブロックのバッテリ22又は12の残容量Bよりも所定値以上大きいか否か(換言すれば、残容量の差(A-B)が所定値以上になったか否か)を判断」(【0078】)し、
「充電中のバッテリの相対容量の計算方法によって算出された残容量が、他のバッテリの相対容量の計算方法によって算出された残容量よりも所定値以上大きくなったことを検出して、充電するバッテリを切り替え」(【0080】、図8)て、「各ブロック10、20のバッテリ12、22が略同時に満充電となって、充電制御を完了できるようにするため」に(【0080】)、
「各ブロック10、20のバッテリ12、22の相対容量の差は所定値以上になったと判断されると」(【0081】)、「現在充電中のバッテリ12又は22への充電を停止させ」(【0082】)、「充電ブロックを今まで充電していなかった非選択ブロックに変更することで、選択ブロックを切り替え」(【0082】)、「2つのブロック10、20のバッテリ12、22が共に満充電状態になっていれば、今回の充電は完了したと判断し」
(【0084】)、「図8に例示するように、両バッテリ12、22が略同時に満充電となるよう、各バッテリ12、22をバランスよく交互に充電する」ことが記載されている。
そして、引用文献3の「満充電」は、「完全」な「充電」といえ、また、引用文献3の「交互の充電」は、最初に選択されたブロックのバッテリから充電が開始され、交互に行われる充電であり、「交互な順序」で行われているから、引用文献3には「2つのバッテリを有し、バッテリを充電する際には、バッテリのそれぞれを交互な順序で切り替えながら徐々に充電が行われ、それによって最終的には、二つのバッテリを完全に充電すること」が記載されているといえる。
(3)周知技術
上記(1)、(2)より、以下は、周知技術であるといえる。
(周知技術)
「2つのバッテリを有し、バッテリを充電する際には、バッテリのそれぞれを交互な順序で切り替えながら徐々に充電が行われ、それによって最終的には、二つのバッテリを完全に充電すること。」
第5 対比
1 本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)<a>「リープフロッグ充電システムを備えた充電式バッテリジャンプスタート装置」について
引用発明は「自動車をジャンプスタートさせるための携帯用バッテリブースタ」(分説R)であり、「セパレート充電器15は、インターナルブースタバッテリB1及びB2の各々に設けられており、単一の電気プラグ4の接続により給電ラインから電力を供給するために相互に接続され」(分説A)、「電気プラグ4」が接続された「給電ライン」を電源として、「セパレート充電器15」が、「インターナルブースタバッテリB1、B2」を充電するものであるから、引用発明の「自動車をジャンプスタートさせるための携帯用バッテリブースタ」は、「充電システムを備えた」「充電式バッテリ」を有する「ジャンプスタート装置」といえ、引用発明の「自動車をジャンプスタートさせるための携帯型バッテリブースタ」と、本願発明の「リープフロッグ充電システムを備えた充電式バッテリジャンプスタート装置」は、「充電システムを備えた充電式バッテリジャンプスタート装置」である点で共通する。
(2)<b>~<e>について
ア <b><c>「第1の12Vバッテリと、第2の12Vバッテリと、」について
引用発明では、「ブースタバッテリB1、B2は、12ボルトの電力を供給するための端部クランプ9および10との間に並列に接続され」(分説J)るものであるから、それぞれ出力電圧12Vのバッテリであることは明らかであって、引用発明の「インターナルブースタバッテリB1」と、「インターナルブースタバッテリB2」は、それぞれ、本願発明の「第1の12Vバッテリ」と、「第2の12Vバッテリ」に相当する。
イ <d>「前記第1の12Vバッテリと前記第2の12Vバッテリとに対して電気的に接続された電気制御スイッチであり、前記第1の12Vバッテリと前記第2の12Vバッテリとを並列に接続するための並列スイッチ位置と、前記第1の12Vバッテリと前記第2の12Vバッテリとを直列に接続するための直列スイッチ位置と、を有した電気制御スイッチと、」について
引用発明は「正の導体23は、リード線25によってソケットの負導体22に接続され」(分説N)、「ソケット14の負の導体22は、バッテリB1の負極の端子まで延在するケーブルセグメント7'を通じてプラグの負の導体16に係合され、電池B1の正極の端子から、ケーブル8は、正端部クランプ10に延び」(分説O)、「プラグ12がソケット14に挿入されたとき、バッテリB1、B2が端部クランプ9及び10との間に直列に接続されて、24ボルトを提供する」(分説Q)ものであり、一方で、「プラグ12がソケット13に挿入され」(分説H)た場合には、「バッテリB1の負極端子は、ケーブルセグメント7’、相互嵌合された導体16および18、リード線20およびケーブル7によって、電池B2の負極端子に接続され」(分説H)、「バッテリB2の正極端子は、ケーブルセグメント8’で、バッテリB1の正極端子に接続されて、導体17、19、リード導線21、ケーブル8によって、相互嵌合され」(分説I)、「ブースタバッテリB1、B2は、12ボルトの電力を供給するための端部クランプ9および10との間に並列に接続され」(分説J)るものであるから、プラグ12をソケット13、ソケット14のいずれに挿入するかに応じて出力の電圧を12Vと24Vとで切り替えているといえるので、「プラグ12とソケット13、ソケット14」を合わせたものが「スイッチ」といえる。そして、12Vの出力をする並列接続をするためのプラグ12のソケット13に挿入された状態を、「並列スイッチ位置」と呼び、24Vの出力をする直列接続を実現するためのプラグ12がソケット14に挿入された状態を、「直列スイッチ位置」と称することは任意である。
したがって、引用発明の「プラグ12とソケット13、ソケット14」と本願発明の「前記第1の12Vバッテリと前記第2の12Vバッテリとに対して電気的に接続された電気制御スイッチであり、前記第1の12Vバッテリと前記第2の12Vバッテリとを並列に接続するための並列スイッチ位置と、前記第1の12Vバッテリと前記第2の12Vバッテリとを直列に接続するための直列スイッチ位置と、を有した電気制御スイッチ」とは、「前記第1の12Vバッテリと前記第2の12Vバッテリとに対して電気的に接続されたスイッチであり、前記第1の12Vバッテリと前記第2の12Vバッテリとを並列に接続するための並列スイッチ位置と、前記第1の12Vバッテリと前記第2の12Vバッテリとを直列に接続するための直列スイッチ位置と、を有したスイッチ」という点で共通する。
ウ <e>「前記第1の12Vバッテリと前記第2の12Vバッテリとに対して接続されたリープフロッグ充電器と、」について
引用発明の「セパレート充電器15」は、「単一の電気プラグ4の接続により給電ラインから電力を供給されるようにインターナルブースタバッテリB1及びB2の各々に設けられ」(分説A)るものであるから、、本願発明の「前記第1の12Vバッテリと前記第2の12Vバッテリとに対して接続されたリープフロッグ充電器」とは、「前記第1の12Vバッテリと前記第2の12Vバッテリとに対して接続された充電器」である点で共通する。
エ <b>~<e>について
したがって、以上の対比を踏まえると、引用発明の「携帯型バッテリブースタ」が「インターナルブースタバッテリB1」と「インターナルブースタバッテリB2」と「プラグ12とソケット13、ソケット14」と「セパレート充電器15」を含む構成と、本願発明の「充電式バッテリジャンプスタート装置」が「第1の12Vバッテリ(332)と、
第2の12Vバッテリ(332)と、
前記第1の12Vバッテリ(332)と前記第2の12Vバッテリ(332)とに対して電気的に接続された電気制御スイッチであり、前記第1の12Vバッテリ(332)と前記第2の12Vバッテリ(332)とを並列に接続するための並列スイッチ位置と、前記第1の12Vバッテリ(332)と前記第2の12Vバッテリ(332)とを直列に接続するための直列スイッチ位置と、を有した電気制御スイッチ(318)と、
前記第1の12Vバッテリ(332)と前記第2の12Vバッテリ(332)とに対して接続されたリープフロッグ充電器(710A、B)と、を含」む構成とは、「 第1の12Vバッテリと、
第2の12Vバッテリと、
前記第1の12Vバッテリと前記第2の12Vバッテリとに対して電気的に接続されたスイッチであり、前記第1の12Vバッテリと前記第2の12Vバッテリとを並列に接続するための並列スイッチ位置と、前記第1の12Vバッテリと前記第2の12Vバッテリとを直列に接続するための直列スイッチ位置と、を有したスイッチと、
前記第1の12Vバッテリと前記第2の12Vバッテリとに対して接続された充電器と、を含」む点で共通する。
(3)<f>「前記リープフロッグ充電器は、前記第1の12Vバッテリと前記第2の12Vバッテリとを順次に双方のバッテリが完全に充電されるまで、交互的な順序で漸増的に部分的に充電するように構成される、」について
本願発明の「順次に双方のバッテリが完全に充電されるまで、交互的な順序で漸増的に部分的に充電する」との構成は、本願明細書段落【0356】~【0367】に記載された「リープフロッグ充電システム」において説明がされている発明特定事項である。特に、当該記載を参酌すると、具体的には、「両バッテリは、「リープフロッグ充電」を使用して、充電プロセス時には、互いに近い電位に維持され」、「ジャンプスタート時及び他のシステム機能時に、均等な電力供給が提供される。」(【0357】)ものである。また、「充電量が最も低いバッテリから始めて、他方のバッテリ332よりも約100mV高くなるまで一方のリチウムイオンバッテリ332を充電し、その後、他のバッテリ332を充電するようにスイッチングすることにより、達成され」、「双方のバッテリ332が完全に充電されるまで、続けられる。」(【0359】)との説明がある。
一方、引用発明には、「セパレート充電器15は、インターナルブースタバッテリB1及びB2の各々に設けられており、単一の電気プラグ4の接続により給電ラインから電力を供給する」(分説A)との特定がされており、バッテリB1及びバッテリB2の双方のバッテリに「電力」の「供給」、すなわち「充電」がされることは特定されているものの、当該「充電」の具体的な動作については、特定されていない。
したがって、引用発明の「セパレート充電器15」が「バッテリB1」と「バッテリB2」とを充電することと、本願発明の「前記リープフロッグ充電器は、前記第1の12Vバッテリと前記第2の12Vバッテリとを順次に双方のバッテリが完全に充電されるまで、交互的な順序で漸増的に部分的に充電する」こととは、「前記充電器は、前記第1の12Vバッテリと前記第2の12Vバッテリとを双方のバッテリが充電されるまで、充電する」という点で共通する。
2 一致点 相違点
上記1の検討より、本願発明と引用発明とを対比すると、以下の点で一致し、相違する。
(一致点)
「充電システムを備えた充電式バッテリジャンプスタート装置であって、第1の12Vバッテリと、第2の12Vバッテリと、前記第1の12Vバッテリと前記第2の12Vバッテリとに対して電気的に接続されたスイッチであり、前記第1の12Vバッテリと前記第2の12Vバッテリとを並列に接続するための並列スイッチ位置と、前記第1の12Vバッテリと前記第2の12Vバッテリとを直列に接続するための直列スイッチ位置と、を有したスイッチと、前記第1の12Vバッテリと前記第2の12Vバッテリとに対して接続された充電器と、を含み、前記充電器は、前記第1の12Vバッテリと前記第2の12Vバッテリとを双方のバッテリが充電されるまで、充電するように構成される、充電式バッテリジャンプスタート装置。」
(相違点1)
「スイッチ」が、本願発明では、「電気制御スイッチ」であるのに対して、引用発明では「電気制御」という特定がされていない点。
(相違点2)
「充電器」が、本願発明では、「リープフロッグ充電器」であるのに対して、引用発明では、そのような特定はされておらず、それにともなって、「充電器」による「第1の12Vバッテリ」と「第2の12Vバッテリ」への「充電」が、本願発明では、「完全に」充電されるまで、「順次に」、「交互的な順序で」、「漸増的に部分的に」されるのに対して、引用発明では、そのような特定はされていない点。
第6 判断
1 相違点についての検討
(1)相違点1についての検討
上記相違点1について検討すると、本願発明の「電気制御スイッチ」とは、本願明細書段落【0245】に「バッテリジャンプスタート装置10は、前面インターフェース16と、電源をオン又はオフとするための電源ボタン16aと、電気制御スイッチ18であるとともに、この制御スイッチ18を操作するための制御ノブ18aが設けられている電気制御スイッチ18と、を含む。制御スイッチ18の主要な動作部分は、カバー12の内部に位置している。制御スイッチ18は、ジャンプスタート対象車両の特定の電圧システム(例えば、12V又は24Vの車両電気システム)に応じて、ユーザが、制御ノブ18aを、第1位置(12Vモード)と第2位置(24Vモード)とのいずれか一方へと、選択的に回転させ得るように構成されている。」と記載されているように、「電気」的な接続を切り替えるスイッチを、操作者が手動で回転させて接点を切り替えることにより、二つの12Vのバッテリ-の接続を、並列接続と直列接続とで切り替えることによって、12Vと24Vの出力を切り替えるものであるから、電気的な接続の切り替え制御を手動で行う切り替えスイッチのことを意味すると解せる。
引用発明は、「プラグ12」を操作者が「ソケット13」に挿入することによって接続するか、あるいは「ソケット14」に挿入することによって接続するかによって、電気的な接続の切り替えを手動によって行うことで、12Vバッテリの接続を、並列接続とするか直列接続とするかの切り替えを行っている点で、電気的な制御をするスイッチといえ、該スイッチを切り替えることによって、12Vと24Vの電気出力を切り替えているから、実質的に、本願発明の「電気制御スイッチ」の概念に含まれるものである。したがって、当該相違点1は実質的な相違点ではない。
(2)相違点2についての検討
上記相違点2について検討すると、「2つのバッテリを有し、バッテリを充電する際には、バッテリのそれぞれを交互な順序で切り替えながら徐々に充電が行われ、それによって最終的には、二つのバッテリを完全に充電すること」は、前記「第4 2(3)」で示したとおり周知技術であって、「交互な順序」で、「切り替えながら」、「徐々に」行われる充電は、「部分的」な充電であり、「漸増的」な充電といえるから、引用発明の「セパレート充電器15」が行うバッテリB1とバッテリB2に行う上記「充電」に、上記周知技術を適用して、「完全に」充電されるまで、「順次に」、「交互な順序で」、「漸増的に」、「部分的に」充電することは当業者が容易に想到し得たことである。
また、「リープフロッグ」は、例えば、交互に解析する数値解析や、交互に前進する戦術などで用いられる用語であるから、「交互な順序」で、「切り替えながら」、「徐々に」充電を行う該充電器を「リープフロッグ充電器」と称することは任意である。
よって、本願発明は、引用発明、引用文献2及び引用文献3に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
第7 審判請求人の主張について
令和4年4月20日に提出された審判請求書において、その後に補充された請求の理由を参酌すると、請求人の主張は、概ね以下のとおりである。
「「リープフロッグ」の用語を用いた現状の記述は十分に明確であり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていると思料する。そして、同時に、第36条第6項第1号の規定要件、さらに第36条第4項第1号の規定要件も満たすことになると思料する。したがって、それを踏まえたうえで、第29条第2項の規定要件に関して改めて審査されるべきものであると思料する。」
しかしながら、原査定は、前記「第3」に示したとおり、理由4.(進歩性)として、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1-3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものを含むものであり、前記「第6」に示したとおり、本願発明は、引用発明(引用文献1に記載された発明)及び周知技術(引用文献2及び引用文献3)に基づいて当業者が容易に想到し得たものであるから、審判請求書による当該請求の理由は成り立たない。
第8 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明並びに引用文献2及び引用文献3に記載された周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-005944