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特許拒絶査定不服審判

2022-003025

電子患者介護用のシステム、方法および装置

審判番号
2022-003025
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-195004
請求日
2022年02月28日
審決日
2025年10月23日
公報発行日
2026年04月24日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】デカ プロダクツ リミティド パートナーシップ
  • 【請求人代理人】青木 篤
  • 【請求人代理人】三橋 真二
  • 【請求人代理人】南山 知広
審判長/審判官
  • 審判長 佐藤 智康
  • 審判官 松田 直也
  • 審判官 古川 哲也
分類
P18 .121-WZ (G16H)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-195004「電子患者介護用のシステム、方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 3月19日出願公開、特開2020- 42830〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2013年(平成25年)12月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年12月21日(米国)、2013年5月23日(米国)、2012年12月21日(米国)、2013年12月20日(米国)、2012年12月21日(米国)、2012年12月21日(米国)、2013年5月23日(米国))を国際出願日として出願した特願2015-549809号の一部を、2018年(平成30年)3月19日に新たな特許出願(特願2018-50746号)とし、さらにその一部を、2019年(令和元年)10月28日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 令和3年 1月21日 拒絶理由通知書(起案日) 令和3年 4月23日 意見書・手続補正書の提出 令和3年10月20日 拒絶査定(起案日) 令和4年 2月28日 審判請求書の提出 令和4年12月22日 拒絶理由通知書(起案日) 令和5年 3月27日 意見書・手続補正書の提出 令和5年 9月11日 審決(起案日)(以下、「一次審決」という。) 令和6年 1月24日 審決取消訴訟の提起(令和6年(行ケ)第10005号) 令和6年11月27日 令和6年(行ケ)第10005号の判決言渡(一次審決の取消し) 令和7年 2月 7日 拒絶理由通知書(起案日) 令和7年 6月26日 意見書・手続補正書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1~16に係る発明は、令和7年6月26日提出の手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1~16に記載された事項により特定されるものであり、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「 【請求項1】 電子患者介護用のシステムであって、 ウェブ・サービス、または、ウェブ・サービスと、ルーティング機能および医療デバイスソフトウェア更新のうちの少なくとも1つを提供するように構成されたゲートウェイ;および 前記ウェブ・サービスを使用して前記ゲートウェイと動作可能に通信するように構成された医療デバイス を備えるとともに、前記ウェブ・サービスがトランザクション・ベースのウェブ・サービスである、システム。」 第3 令和7年2月7日付け拒絶理由通知の概要 令和7年2月7日付け拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)の理由は、概略、次のとおりのものである。 「1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 2.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記(引用文献等については下記引用文献一覧参照) ●理由1(進歩性)について ・請求項1 ・引用文献等 1~2 ●理由2(明確性)について (省略) 引 用 文 献 等 一 覧 1.特表2007-528241号公報 2.特開2002-143097号公報」 第4 引用文献の記載、引用発明等 1 引用文献1 (1)引用文献1の記載 当審拒絶理由通知で引用した引用文献1(特表2007-528241号公報、2007年(平成19年)10月11日公表)には、以下の記載がある(下線は当審において付与した。以下同じ。)。 「【技術分野】 【0002】 本発明は、医療装置に関し、具体的には、ポンプ等の医療装置用のサーバーに関する。 【背景技術】 【0003】 医療ポンプは、患者に対して介護を提供するための重要な部分である。これらは、鎮痛、栄養摂取、化学療法ならびにインシュリン等の異なる様々な治療に用いられている。これらの各治療は、通常、ポンプの動作を制御するため別のプログラムを必要とする。また、通常、各プログラムは、搬送用に処方された物質、処方されたドーセージ、患者の身体属性等の様々な要素にもよるが、それぞれの患者について異なる動作パラメーターを必要とする。 【0004】 さらに、診療所、病院あるいは他の施設は、自身の全医療ポンプを管理することが必要である。ポンプを管理するには、プログラムを更新し、処方された治療に応じてポンプに適切なプログラムをロードすること、ポンプに対する動作パラメーターをロードし追跡すること、ならびに、ポンプの性能を追跡することが必要となる。」 「【0015】 図1を参照すると、ポンプサーバーシステム10のある実施形態は、ポンプサーバー100、臨床(POC)サーバー102、一以上のプログラム可能な装置104、ならびに一以上の医療ポンプ106を含んでいる。ポンプサーバー100ならびにPOCサーバー102は、コンピュータネットワーク108に接続されている。」 「【0019】 ポンプサーバー100およびPOCサーバー102は、情報を管理し、様々な機能を実行し、ならびに、ポンプサーバーシステム10内の様々な装置とやりとりする役割を分担し、調整を行う。ポンプサーバー100およびPOCサーバー102は、情報を記憶し、その情報記憶のための重要な機能を実行する、いずれのプログラム可能な装置であってもよい。様々な実施形態において、サーバーは、医療ポンプ106の動作および監視に関する様々な機能を実行するようにプログラムされる。ポンプサーバー100およびPOCサーバー102を含む構成は、いくつかの利点を有する。例えば、医療ポンプ106をプログラムする必要があり、そうでない場合、一台だけの装置とポンプサーバー100間をインターフェースするよう構成される。異なる製造メーカーの、あるいは、同じ製造メーカーの異なるポンプである医療ポンプ106を用いる医療機関にとっての他の利点は、ネット枠接続されたハードウエアの様々な部品について、異なるポンプごとに全てプログラムする必要がなく、医療ポンプ106と直接通信するポンプサーバー100だけをプログラムすればよいことである。これにより、装置の在庫から様々な医療ポンプ106を増減することができるので、より簡易でコスト効率が高くなる。 【0020】 ポンプサーバー100は、ポンプ106およびPOCサーバー102と直接通信を行う。次に、POCサーバーは、他の全ての装置と通信を行う。この例示的な実施形態において、POCサーバー102は、ネットワーク108と通信中で、選択されたいずれかの医療ポンプ106からデータを取り込むようポンプサーバー100に対して指示し;ネットワーク108と通信中で、選択されたいずれかの医療ポンプ106にデータを送るようポンプサーバー100に対して指示をし;選択された医療ポンプ106がネットワーク108と通信中であるか否かに関係なく、ポンプサーバー100から、選択されたいずれかの医療ポンプ106に関するデータを要求する。」 「【0022】 ポンプサーバーは、様々な機能を実行する様々なデータを記憶し、ネットワーク108を介して医療ポンプ106およびPOCサーバー102と直接通信を行う。この例示的な実施形態において、ポンプサーバー100は、情報(例えば、現在のプログラムのIDおよび医療ポンプ106内にロードされるバージョン、履歴記録、アラームの現状、バッテリーの状態、ならびに、オドメーター等の生体医用工学的、次のメインテナンスまでの時間等)を要求し、ネットワーク108上の医療ポンプ106からこれを受け取り;医療ポンプ106から一方的なメッセージ(例えば、アラーム、手動ポンププログラムの変更、前もってプログラムされた周期的更新等)を受け取り;医療ポンプ106から取り込み、又は、そこに送った情報のデータベースを維持し;医療ポンプ106に対して、ネットワーク接続されたプログラム可能な装置104から、遠隔からIDおよび医療ポンプ106上で現在ロードされているプログラムのバージョンを介護者が確認し、医療ポンプ106の状況を確認することを含む様々な役割を実行し、ある実施形態では、介護者が、設定および滴定(titration)等の様々なプログラミングパラメーターを変更することを可能にするウエッブブラウザインターフェースを提供し;ポンプに一定の出来事が生じた場合(例えば、警報が鳴る、プログラムが変更される、患者が毒物を飲んだ(patient tampering)、試用ドーズ量と服用量の比率が高すぎて患者の痛みが適切に抑えられていないことを示す、ならびに、医療ポンプ106内にソフトリミット(soft limit)を超えるプログラムが行われた)に、クライアントアプリケーションに電子メールを送信し、呼び出す(page)、あるいは、通知を行う等のポンプアラート機能を提供し;医療ポンプ106上のデイスプレイにメッセージを送信し(例えば、アラームを受けると、患者に対し看護師がそちらに向かっている旨の表示を行う);音声メッセージを送り(例えば、アラームを受けると、患者に対し看護師がそちらに向かっている旨を告げる);ナースステーションのプリンタ116又はファクシミリ114に対してメッセージ(例えば、午後8時頃に医療ポンプ106のタンクの交換が必要である旨)を送信し;プログラム可能な装置104を用いて医療ポンプ106に関する情報(例えば、マニュアルの電子コピー、問題解決のためのガイド、患者のためのガイド等)を介護者に提供し;医療ポンプ106上でロードされるプログラムの更新を確認し、新たなあるいは更新されたソフトウエアを医療ポンプ106にダウンロードし;ならびに、生体医用工学的テストプロセス中、ポンプおよびドキュメント結果を制御する。」 「【0027】 医療ポンプ106は、患者に溶液を注入するよう構成された、いずれの医療ポンプであってもよい。・・・」 「【0030】 図3は、パルス酸素濃度計等の他の臨床用医療装置120を含む他の実施形態を示している。医療ポンプ106と同様に、もう一つの医療装置120は、他のネットワーク接続された装置と通信するのではなく、ネットワーク108を通じポンプサーバー100と直接通信を行う。この実施形態において、ポンプサーバー100は、介護者が定めるプログラム済みのルールを用いて、様々な医療装置120および/又は医療ポンプ106を選択的に動作させるためプログラムされる。例えば、ポンプサーバー100は、他の医療装置120から受信したデータに基づいて、医療ポンプ106の動作を開始あるいは停止するようプログラムされる(例えば、呼吸数が所定の限界を下回って低下した場合、ポンプサーバー100は、医療ポンプ106にポンプ動作を停止し、アラームを生成するよう指示する)。 前記ポンプサーバー100は、様々な医療ポンプ106と医療装置との間で仮想的な接続を選択的に供給する。この結果、互いに直接やりとりするために医療装置120および医療ポンプ106をプログラムする必要がない。再度述べると、各医療装置をそれぞれプログラムする必要がないので、この機能により、機器の一覧表に様々な装置を追加することが容易であり、費用がかからない。医療ポンプ106と同様に、ポンプサーバー100は、書面、電子メール、ファクシミリ、プリントアウト、音声メッセージ等を通じて、医療装置120のため、様々なアラートを生成し及び/又は通信するためプログラムされる。」 「【0031】 図4は、ポンプサーバー100のアーキテクチャの一実施形態を示す。この実施形態において、ポンプサーバー100は、POCサーバー102およびウエッブサーバー124とやりとりするためのインターフェース122を含んでいる。かかるインターフェース122は、プログラム可能な装置104等の他の装置が、遠隔から医療ポンプ106あるいは医療装置120とインターフェースをとることを可能にする。ウエッブサーバー124は、インターフェース、通信ソフトウエア又は他のプログラム等の特別なソフトウエアを遠くのあるいは他の装置にロードせずに、標準的なテキストファイルを用いて、他の装置がポンプサーバー100と通信することを可能にする。リモート装置は、別個の、医療装置120から識別可能ないずれかの装置を含んでいる。標準的なテキストファイルの例は、ハイパーテキスト・マークアップ言語(HTML)、汎用マークアップ言語(SGML)および拡張マークアップ言語(XML)等のマークアップ言語に基づいて形成されたファイルを含む。」 「 [図:0001433365000001.jpg] 」(図1) 「 [図:0001433365000002.jpg] 」(図3) 「 [図:0001433365000003.jpg] 」(図4) ア 上記【0002】によれば、引用文献1に開示された「ポンプサーバーシステム10」は、ポンプ等の医療装置用のサーバーであるところ、【0003】によれば、医療ポンプは、患者に対して介護を提供するためのものである。 イ 上記【0015】によれば、「ポンプサーバーシステム10」は、ポンプサーバー100、臨床(POC)サーバー102、一以上のプログラム可能な装置104、ならびに一以上の医療ポンプ106を含んでいる。 ウ 上記【0019】、【0020】によれば、「ポンプサーバー100」は、医療ポンプ106と直接通信し、「POCサーバー102」は、ネットワーク108と通信中で、選択されたいずれかの医療ポンプ106からデータを取り込むようポンプサーバー100に指示し、選択された医療ポンプ106がネットワーク108と通信中であるか否かに関係なく、ポンプサーバー100から、選択されたいずれかの医療ポンプ106に関するデータを要求するものである。 エ 上記【0022】によれば、「ポンプサーバー100」は、様々な機能を実行する様々なデータを記憶し、ネットワーク108を介して医療ポンプ106およびPOCサーバー102と直接通信を行うものであり、現在のプログラムのIDおよび医療ポンプ106内にロードされるバージョン等の情報を要求し、ネットワーク108上の医療ポンプ106からこれを受け取り、医療ポンプ106に対して、ネットワーク接続されたプログラム可能な装置104から、遠隔からIDおよび医療ポンプ106上で現在ロードされているプログラムのバージョンを介護者が確認し、医療ポンプ106の状況を確認することを含む様々な役割を実行し、介護者が、設定および滴定(titration)等の様々なプログラミングパラメーターを変更することを可能にするウエッブブラウザインターフェースを提供し、医療ポンプ106上でロードされるプログラムの更新を確認し、新たなあるいは更新されたソフトウエアを医療ポンプ106にダウンロードするものである。 オ 上記【0027】によれば、「医療ポンプ106」は、患者に溶液を注入するよう構成されたポンプである。 カ 上記【0030】によれば、「ポンプサーバー100」は、パルス酸素濃度計等の他の医療装置120から受信したデータに基づいて、医療ポンプ106の動作を開始あるいは停止するようプログラムされる(呼吸数が所定の限界を下回って低下した場合、ポンプサーバー100は、医療ポンプ106にポンプ動作を停止し、アラームを生成するよう指示する)ものである。 キ 上記【0031】によれば、「ポンプサーバー100」は、POCサーバー102およびウエッブサーバー124とやりとりするためのインターフェース122を含み、「ウエッブサーバー124」は、標準的なテキストファイルを用いて、他の装置がポンプサーバー100と通信することを可能にし、標準的なテキストファイルは、ハイパーテキスト・マークアップ言語(HTML)、汎用マークアップ言語(SGML)および拡張マークアップ言語(XML)等のマークアップ言語に基づいて形成されたファイルを含むものである。 (2)引用発明 上記(1)によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 [引用発明] ポンプサーバー100、臨床(POC)サーバー102、一以上のプログラム可能な装置104、ならびに患者に対して介護を提供するための一以上の医療ポンプ106を含むポンプサーバーシステム10であって、 ポンプサーバー100は、医療ポンプ106と直接通信し、 POCサーバー102は、ネットワーク108と通信中で、選択されたいずれかの医療ポンプ106からデータを取り込むようポンプサーバー100に指示し、選択された医療ポンプ106がネットワーク108と通信中であるか否かに関係なく、ポンプサーバー100から、選択されたいずれかの医療ポンプ106に関するデータを要求し、 ポンプサーバー100は、様々な機能を実行する様々なデータを記憶し、ネットワーク108を介して医療ポンプ106およびPOCサーバー102と直接通信を行うものであり、現在のプログラムのIDおよび医療ポンプ106内にロードされるバージョン等の情報を要求し、ネットワーク108上の医療ポンプ106からこれを受け取り、医療ポンプ106に対して、ネットワーク接続されたプログラム可能な装置104から、遠隔からIDおよび医療ポンプ106上で現在ロードされているプログラムのバージョンを介護者が確認し、医療ポンプ106の状況を確認することを含む様々な役割を実行し、介護者が、設定および滴定(titration)等の様々なプログラミングパラメーターを変更することを可能にするウエッブブラウザインターフェースを提供し、医療ポンプ106上でロードされるプログラムの更新を確認し、新たなあるいは更新されたソフトウエアを医療ポンプ106にダウンロードするものであって、 医療ポンプ106は、患者に溶液を注入するよう構成されたポンプであり、 ポンプサーバー100は、パルス酸素濃度計等の他の医療装置120から受信したデータに基づいて、医療ポンプ106の動作を開始あるいは停止するようプログラムされる(呼吸数が所定の限界を下回って低下した場合、ポンプサーバー100は、医療ポンプ106にポンプ動作を停止し、アラームを生成するよう指示する)ものであり、 ポンプサーバー100は、POCサーバー102およびウエッブサーバー124とやりとりするためのインターフェース122を含み、ウエッブサーバー124は、標準的なテキストファイルを用いて、他の装置がポンプサーバー100と通信することを可能にし、標準的なテキストファイルは、ハイパーテキスト・マークアップ言語(HTML)、汎用マークアップ言語(SGML)および拡張マークアップ言語(XML)等のマークアップ言語に基づいて形成されたファイルを含む、 ポンプサーバーシステム10。 2 引用文献2 (1)引用文献2の記載 当審拒絶理由通知で引用した引用文献2(特開2002-143097号公報、平成14年5月21日に出願公開)には、以下の記載がある。 「【0001】 【発明の属する利用分野】本発明は、利用者の生体現象をデータとして計測しこれを連続モニタリングしながら、予めスコア化された判定用スコアリングテーブルの利用者固有の判定用スコアデータと比較して疾病発症予知レベルを判定して該疾病発症予知レベルを利用者に通報する疾病発症予知通報システム及び方法に関する。」 「【0010】先ず、疾病発症予知通報システム全体の構成について、図1を参照して説明する。1はデータ計測通信手段である利用者装着端末であり、データ計測部(センサ部)2とデータ通信部3とを備えている。データ計測部(センサ部)2は利用者の身体(腹部、胸部、手首、上腕、上腿など)に装着して使用し、血圧変動・心拍変動などの生命予後に関する生体データを非観血的無拘束状態にて連続して計測する。データ通信部3は、計測された生体データを含む各種データを送受信可能になっている。尚、利用者は、主として40歳以上の中高齢者を対象としているが、これに限定されるものではない。」 「【0014】尚、データ通信部3としてPHS、携帯電話を利用した場合には、無線により各々の基地局を介してヘルスケア情報サービスセンター4へリアルタイムで計測した生体データを送信することができる。また、ヘルスケア情報サービスセンター4へ通信した各々の基地局の受信範囲より利用者の位置をつき止めるために用いることも可能である。また、在宅型で健康管理を行う場合には、データ通信部3と固定電話、パーソナルコンピュータ又はデジタル放送対応のテレビジョンをつないで、メモリに蓄積した生体データを電話回線(ISDN)、CATV回線、又はインターネットを通じて確実に送信することができる。」 「【0018】上述したスコア化された判定用スコアデータは、生体データベース5の判定用スコアリングテーブルに格納されている。具体的には、例えば図3及び図4の右側ゾーンに示すように、利用者個々の健康状態により疾病発症予知レベルとして正常であることを示す健康ゾーンI、循環器系疾患(心臓病や脳卒中)や痴呆の発症を予知して生活スタイルの改善指導を促すケアゾーンII、医師の診療を受けることを促すキュアゾーンIIIとに各々区分して格納されている。これらの疾病発症予知レベルは、利用者の年齢や利用者個人の健康状態(一次予防群に該当する者か二次予防群に該当する者か)などによって個別具体的に設定される。図3は心臓病スコアデータと判定用スコアデータ、脳梗塞スコアデータと判定用スコアデータとを、1時間単位で24時間にわたって比較した比較例を示すサンプル図、図4は心臓病スコアデータと判定用スコアデータ、脳梗塞スコアデータと判定用スコアデータとを、1日単位で1週間にわたって比較した比較例を示すサンプル図である。この他にもヘルスケア情報サービスセンター4は、心臓病スコアデータと判定用スコアデータ、脳梗塞スコアデータと判定用スコアデータとを、例えば月単位で1年間にわたって、年単位で複数年にわたって比較した比較例をサンプル図として表示可能になっている。ヘルスケア情報サービスセンター4は、データ通信部3より送信された利用者の時々刻々変化する生体データを解析して得られたスコアデータ(図3、図4の棒グラフ)と、生体データベース5より読み出された当該利用者の判定用スコアデータ(図3、図4の右側ゾーン)とを比較し、疾病発症予知レベルを明示して利用者のデータ通信部3に通報するトランザクション処理を行う。尚、図3、図4において心臓病スコア及び脳梗塞スコアを最下層から最上層に向かって濃度が異なる棒グラフで示したが、該棒グラフの濃淡で表示された各エリアの持つ意味合いは、最下層が基礎医学情報スコア、中間層が時間生物学的生命予後スコア、最上層が時間生物学的疾病発症リズムスコアを各々示すものである。また、ヘルスケア情報サービスセンター4は、痴呆発症レベルについても同様に痴呆スコアデータと判定用スコアデータとの比較例をサンプル図として表示可能になっている。」 (2)引用文献2の記載の技術事項 上記(1)によれば、引用文献2には、次の技術事項が記載されている。 「 疾病発症予知レベルを判定して該疾病発症予知レベルを利用者に通報する疾病発症予知通報システムであって、 データ計測部(センサ部)2は利用者の身体に装着して使用し、生体データを連続して計測し、 生体データをインターネットを通じて送信することができ、 ヘルスケア情報サービスセンター4は、データ通信部3より送信された利用者の時々刻々変化する生体データを解析して得られたスコアデータと、生体データベース5より読み出された当該利用者の判定用スコアデータとを比較し、疾病発症予知レベルを明示して利用者のデータ通信部3に通報するトランザクション処理を行う 疾病発症予知通報システム。」 第5 当審の判断 1 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)引用発明の「ポンプサーバーシステム10」は、「患者に対して介護を提供するための」「一以上の医療ポンプ106を含む」ものであり、当該システムにおいて、「ポンプサーバー100は、様々な機能を実行する様々なデータを記憶し、ネットワーク108を介して医療ポンプ106およびPOCサーバー102と直接通信を行う」など電子的な処理を行うものであるから、後述する相違点は別にして、本願発明の「電子患者介護用のシステム」に相当する。 (2)ア 引用発明の「ポンプサーバー100」は、「様々な機能を実行する様々なデータを記憶し、ネットワーク108を介して医療ポンプ106およびPOCサーバー102と直接通信を行うもの」であり、「医療ポンプ106」と「直接通信を行う」ための接続機能を備えているのであるから、いわゆる「ゲートウェイ」といえる。 イ そして、引用発明の「ポンプサーバー100」は、「介護者が、設定および滴定(titration)等の様々なプログラミングパラメーターを変更することを可能にするウエッブブラウザインターフェースを提供」するものであって、「POCサーバー102およびウエッブサーバー124とやりとりするためのインターフェース122を含み、ウエッブサーバー124は、標準的なテキストファイルを用いて、他の装置がポンプサーバー100と通信することを可能にし、標準的なテキストファイルは、ハイパーテキスト・マークアップ言語(HTML)、汎用マークアップ言語(SGML)および拡張マークアップ言語(XML)等のマークアップ言語に基づいて形成されたファイルを含む」ものである。 してみると、引用発明の「ポンプサーバー100」は、「ウエッブブラウザインターフェースを提供」するものであって、「拡張マークアップ言語(XML)等のマークアップ言語に基づいて形成されたファイルを含む」「標準的なテキストファイルを用い」て「ウエッブサーバー124とやりとりする」ものであるから、ウエッブブラウザインターフェースを提供したり、ウエッブサーバー124とやりすることによって、ウェブを介したサービス、すなわち、「ウェブ・サービス」を提供しているといえる。 ウ さらに、引用発明は、「ポンプサーバー100は、医療ポンプ106と直接通信し」、「POCサーバー102は、ネットワーク108と通信中で、選択されたいずれかの医療ポンプ106からデータを取り込むようにポンプサーバー100指示し、選択された医療ポンプ106がネットワーク108と通信中であるか否かに関係なく、ポンプサーバー100から、選択されたいずれかの医療ポンプ106に関するデータを要求」するものであるから、引用発明の「ポンプサーバー100」は「ルーティング機能」を有しているといえる。 加えて、引用発明の「ポンプサーバー100」は、「現在のプログラムのIDおよび医療ポンプ106内にロードされるバージョン等の情報を要求し、ネットワーク108上の医療ポンプ106からこれを受け取り、医療ポンプ106に対して、ネットワーク接続されたプログラム可能な装置104から、遠隔からIDおよび医療ポンプ106上で現在ロードされているプログラムのバージョンを介護者が確認し、医療ポンプ106の状況を確認することを含む様々な役割を実行し」、「医療ポンプ106上でロードされるプログラムの更新を確認し、新たなあるいは更新されたソフトウエアを医療ポンプ106にダウンロードする」ものであるから、「医療デバイス」である「医療ポンプ106」に対して、「更新されたソフトウエア」を「ダウンロード」している。 そうすると、引用発明の「ポンプサーバー100」は、本願発明と同様、「医療デバイスソフトウェア更新」を提供するものであるといえる。 エ 上記ア~ウの検討を踏まえると、引用発明の「ポンプサーバー100」は「ゲートウェイ」であって、「ウェブ・サービス」と「ルーティング機能」と「医療デバイスソフトウェア更新」とを提供するものである。 してみると、引用発明の「ポンプサーバー100」と、本願発明の「ウェブ・サービス、または、ウェブ・サービスと、ルーティング機能および医療デバイスソフトウェア更新のうちの少なくとも1つを提供するように構成されたゲートウェイ」とは、「ウェブ・サービスと、ルーティング機能および医療デバイスソフトウェア更新を提供するように構成されたゲートウェイ」である点で共通する。 (3)上記(2)で検討したとおり、引用発明の「ポンプサーバー100」は、「ウェブ・サービス」「を提供するように構成されたゲートウェイ」であって、さらに、「ネットワーク108を介して医療ポンプ106」と「直接通信を行うもの」であり、「医療ポンプ106」は「医療デバイス」である。 してみると、引用発明の「医療ポンプ106」は、ウェブ・サービスを提供するゲートウェイと直接通信する医療デバイスであって、ウェブ・サービスを使用してゲートウェイと通信しているといえるから、本願発明の「前記ウェブ・サービスを使用して前記ゲートウェイと動作可能に通信するように構成された医療デバイス」に相当する。 2 一致点及び相違点 上記1によれば、本願発明と引用発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。 [一致点] 電子患者介護用のシステムであって、 ウェブ・サービスと、ルーティング機能および医療デバイスソフトウェア更新を提供するように構成されたゲートウェイ;および 前記ウェブ・サービスを使用して前記ゲートウェイと動作可能に通信するように構成された医療デバイス を備えるシステム。 [相違点] [相違点1] ゲートウェイが提供する機能について、本願発明は、「ウェブ・サービス」と、または、「ウェブ・サービスと、ルーティング機能および医療デバイスソフトウェア更新のうちの少なくとも1つ」を提供するとしており、ウェブ・サービスのみを提供することや、ウェブ・サービスと、ルーティング機能および医療デバイスソフトウェア更新のうちの1つを提供することを包含しているのに対して、引用発明は、かかる3つの機能を全て提供するとしている点。 [相違点2] ウェブ・サービスについて、本願発明は、「ウェブ・サービスがトランザクション・ベースのウェブ・サービスである」のに対して、引用発明は、「ウェブ・サービスがトランザクション・ベースのウェブ・サービスである」とはしていない点。 3 相違点の判断 上記相違点について検討する。 (1)相違点1について 本願発明は、ゲートウェイが、「ウェブ・サービスと、または、ウェブ・サービスと、ルーティング機能および医療デバイスソフトウェア更新のうちの少なくとも1つと、」を提供するとしているところ、これは、ゲートウェイが、ウェブ・サービスとルーティング機能および医療デバイスソフトウェア更新の全て機能を提供することを包含するものであるから、上記相違点1は実質的な相違点ではない。 また、仮に、本願発明の「ゲートウェイ」は、ウェブ・サービスのみを提供したり、ウェブ・サービスと、ルーティング機能および医療デバイスソフトウェア更新のうちの1つのみを提供するものであると限定的に解釈したとしても、引用発明において、ゲートウェイが提供する「ウェブ・サービスと、ルーティング機能および医療デバイスソフトウェア更新」のうち、いずれかの機能を選択して提供するとすることは、当業者であれば適宜なし得るものにすぎないから、ウェブ・サービスのみを提供したり、ウェブ・サービスと、ルーティング機能および医療デバイスソフトウェア更新のうちの1つのみを提供するとすることも任意である。 以上のとおり、相違点1は実質的な相違点ではなく、仮に、相違点であるとしても当業者であれば必要に応じて適宜なし得る事項にすぎない。 (2)相違点2について ア 相違点2の検討をする前に、一次審決の審決取消訴訟(令和6年(行ケ)10005号)の判決での判示事項を確認する。 審決を取り消す旨の判決の拘束力は、判決主文が導き出されるのに必要な事実認定及び法律判断にわたる(最三小平成4年4月28日判決、民集46巻4号245頁)。 したがって、当審は、令和6年(行ケ)10005号判決の判決主文が導き出されるのに必要な認定判断に係る、次の判示事項に拘束されるものである。 特許法第36条第6項第2号(明確性要件)及び同条第4項第1号(実施可能要件)について「「ウェブ・サービス」という用語は、「インターネット上に分散した複数のウェブアプリケーションシステムをシステム同士で連携させる技術であり、XML、UDDI、WSDL及びSOAPの規格に適合したもの」という意味で用いられ、本願の国際出願日の当時、技術常識となっていたと認められる。また、この「ウェブ・サービス」との関係において、「トランザクション」という用語は、「複数の処理をひとまとまりにしたものであって、同時にアクセスされる基礎データの一貫性を確保することができるもの」という意味で用いられると認められ、そうすると、「トランザクション・ベースのウェブ・サービス」とは、この「トランザクション」を基礎とした「ウェブ・サービス」という意味の用語であって、これも、本願の国際出願日(平成25年12月20日)の当時、技術常識となっていたと認められる。」(判決16ページ)。 かかる用語の解釈は、記載要件の判断におけるものであるが、本願発明の要旨認定において、これと異なる用語の解釈とすべき特段の事項は見いだせない。 以上を踏まえて、以下、相違点2の検討をする。 イ 上記「第4」の2(2)に示したとおり、引用文献2には、「疾病発症予知レベルを判定して該疾病発症予知レベルを利用者に通報する疾病発症予知通報システムであって、データ計測部(センサ部)2は利用者の身体に装着して使用し、生体データを連続して計測し、生体データをインターネットを通じて送信することができ、ヘルスケア情報サービスセンター4は、データ通信部3より送信された利用者の時々刻々変化する生体データを解析して得られたスコアデータと、生体データベース5より読み出された当該利用者の判定用スコアデータとを比較し、疾病発症予知レベルを明示して利用者のデータ通信部3に通報するトランザクション処理を行う疾病発症予知通報システム。」との技術事項が記載されている。 引用文献2に記載の「疾病発症予知通報システム」は、医療システムであるといえる。 そして、引用文献2に記載の「生体データ」は、「インターネットを通じて送信することができ」るものであるから、引用文献2に記載の「疾病発症予知通報システム」は、インターネットを利用する医療システムであるといえ、さらに、一般に通信技術において「ウェブ」と「インターネット」とは同義であることに鑑みると、ウェブ・サービスを提供する医療システムであるといえる。 また、引用文献2に記載の「ヘルスケア情報サービスセンター4」は、「データ通信部3より送信された利用者の時々刻々変化する生体データを解析して得られたスコアデータと、生体データベース5より読み出された当該利用者の判定用スコアデータとを比較し、疾病発症予知レベルを明示して利用者のデータ通信部3に通報するトランザクション処理を行う」ものであるから、トランザクション・ベースの通報処理を行うものである。 以上を踏まえると、引用文献2には、ウェブ・サービスを提供する医療システムであって、トランザクション・ベースの通報処理を行う医療システムが開示されているといえる。 ウ 一方、引用発明も、ウェブ・サービスを提供する医療システムであって、「呼吸数が所定の限界を下回って低下した場合、ポンプサーバー100は、医療ポンプ106にポンプ動作を停止し、アラームを生成するよう指示する」ものであるから、通報処理(アラーム)を行うものである。 してみると、引用発明と引用文献2に記載の医療システムは、ともに、ウェブ・サービスを提供する医療システムであって、通報処理を行う点でも共通するものであるから、引用発明の通報処理に引用文献2に記載のトランザクション・ベースの通報処理を適用し、「ウェブ・サービスがトランザクション・ベースのウェブ・サービスである」とすることは、当業者であれば容易になし得たものである。 エ さらに、引用発明の「ポンプサーバー100」は、「ウエッブブラウザインターフェースを提供」するものであって、「拡張マークアップ言語(XML)等のマークアップ言語に基づいて形成されたファイルを含む」「標準的なテキストファイルを用い」て「ウエッブサーバー124とやりとりする」ものであるから、上記1(2)イのとおり、「ポンプサーバー100」は、「ウェブ・サービス」を提供しているといえ、また、「ポンプサーバー100」は、上記1(2)ウのとおり、「医療デバイス」である「医療ポンプ106」に対して、「更新されたソフトウエア」を「ダウンロード」している。そして、このようなソフトウエアのダウンロードによる更新は無事に実行される必要がある、すなわち、ダウンロードの要求に対して、ダウンロード中等にトラブルなく無事に更新処理を終える、又は、ダウンロード中等にトラブルが発生したとしても、トラブル解消後に再度ダウンロード等を行い更新処理を実行し処理を終えるという、複数の処理の一貫性が要求されることは技術常識である。 そうすると、引用文献1には、引用発明においてトランザクション・ベースでウェブ・サービスを実行することが示唆されているといえる。 さらに、引用文献2には、上記イのとおり、ウェブ・サービスを提供する医療システムであって、トランザクション・ベースの通報処理を行う医療システムが開示されているといえることから、以上を踏まえると、引用発明に引用文献2に記載された技術事項を適用することで相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものである。 (3)本願発明の効果について 上記相違点1~2を勘案しても、本願発明の奏する効果は、引用発明及び引用文献2に記載の技術事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 (4)請求人が意見書でする主張について ア 請求人の主張の概要 請求人は、令和7年6月26日提出の意見書で次のように主張する。 (ア)引用文献2に記載のシステムは「PHS、携帯電話などの移動体通信端末」を用いるもので、「疾病発症予知通報システム」が患者データを受信して評価して「疾病の発症予測」を行い、音声、文字、画像、点灯などにより「移動体通信端末」へ通知を行うものであって、この「移動体通信端末」へ通知は、「PHS、携帯電話」などの通信に期待される、かなり単純なクエリと回答であるから、本願発明が備える「ウェブ・サービス、または、ウェブ・サービスと、ルーティング機能および医療デバイスソフトウェア更新のうちの少なくとも1つを提供するように構成されたゲートウェイ」および「前記ウェブ・サービスを使用して前記ゲートウェイと動作可能に通信するように構成された医療デバイス」を備えるとともに「前記ウェブ・サービスがトランザクション・ベースのウェブ・サービスである」「システム」とは異なる旨。(主張(ア)) (イ)引用文献1、2に記載の発明を上位概念化して「ともに、ウェブ・サービスを提供する医療システム」と認定されているものの、引用文献1に記載のものは「医療機関において医療機器を管理するためのシステム」であり、引用文献2に記載のものは「PHS、携帯電話などの移動体通信端末を利用した疾病発症予知通報システム」であるから、医療機器の管理を目的とするものではないため、引用文献1、2の記載の発明は、発明の対象が全く異なり、発明の目的、解決しようとする課題も異なり、さらに、それぞれのシステムのネットワーク構成も大きく異なることから、引用文献1に記載の発明と、引用文献2に記載の発明とを組み合わせることは容易とはいえない旨。(主張(イ)) (ウ)引用文献1に記載の発明と、引用文献2に記載の発明は、それぞれ異なる目的、課題に関して、異なる課題解決策を提示しているから、引用文献2に記載の発明の構成の一部に着目して、引用文献1に記載の発明に適用すべき動機付けはないため、その適用は当然容易ではなく、そもそも、引用文献2に記載の「(疾病発症予知レベルを明示して利用者のデータ通信部3に通報する)トランザクション処理」とは「予め生体データベース5の判定用スコアリングテーブルに格納された判定用スコアデータと比較して疾病発症予知レベルを判定し、この判定結果を利用者が携帯(装着)するデータ通信部3にケアゾーンIIに相当する場合には注意信号I、キュアゾーンIIIに相当する場合には注意信号IIに分けて通報する」というものであるから、このような「利用者のデータ通信部に通報するトランザクション処理」を引用文献1に記載の「ポンプ等の医療装置用のサーバー」に適用することは想定できない旨。(主張(ウ)) イ 請求人の主張についての検討 請求人の主張について検討をする。 (ア)主張(ア)について 請求人は、引用文献2に記載のシステムは「PHS、携帯電話などの移動体通信端末」へ通知は、「PHS、携帯電話」などの通信に期待される、かなり単純なクエリと回答であるから、本願発明が備える「システム」とは異なる旨主張する請求人の前記主張は、本願発明の「システム」は、引用文献2に記載のシステムのように「PHS、携帯電話」を用いるシステムではないことを前提とする主張であるが、そもそも本願発明は、「PHS、携帯電話」を用いることを排除しておらず、むしろ、本願明細書の【0356】には、「方法900の監視クライアントは、・・・、携帯電話、・・・携帯情報端末などであってもよい。」と記載されていることに鑑みると、本願発明の「システム」は、「PHS、携帯電話」を用いることも包含していると解するのが相当である。よって、請求人の前記主張は前提を欠くものである。そして、引用文献2に記載されている事項は、上記「第4」の2(2)のとおりの技術事項に基づくと、上記(2)イのとおり、ウェブ・サービスを提供する医療システムであって、トランザクション・ベースの通報処理を行う医療システムが開示されているといえるものである。 このように、請求人の主張(ア)は、この点を考慮しておらず、適切な主張であるとすることはできない。そして、そのような適切でない前提に基づく引用文献2に記載された「システム」が本願発明の「システム」と異なるとする主張を採用することはできない。 よって、請求人の主張(ア)は採用できない。 (イ)主張(イ)について 引用発明の「ポンプサーバーシステム10」は、医療システムといえるところ、上記3(2)エのとおり、引用発明において、トランザクション・ベースでウェブ・サービスを実行することは示唆されているといえる。そして、引用文献2には、上記(ア)のとおり、ウェブ・サービスを提供する医療システムであって、トランザクション・ベースの通報処理を行う医療システムが開示されているといえる。 そうすると、引用発明と引用文献2に記載された技術事項とは、「ウェブ・サービスを提供する医療システム」という共通の技術分野に属するものであって、さらに、引用発明に引用文献2に記載された技術事項を組み合わせることについて強い動機付けがあるといえる。 よって、請求人の主張(イ)は採用できない。 (ウ)主張(ウ)について 上記(ア)のとおり、引用文献2には、ウェブ・サービスを提供する医療システムであって、トランザクション・ベースの通報処理を行う医療システムが開示されているといえ、上記(イ)のとおり、引用発明に引用文献2に記載された技術事項を組み合わせることについて強い動機付けがあるといえる。 そうすると、上記3(2)のとおり、引用発明に引用文献2に記載された技術事項を適用して、相違点2の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものである。 よって、請求人の主張(ウ)は採用できない。 4 結論 よって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-003025

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