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特許拒絶査定不服審判

2022-002980

電子機器の情報喪失防止装置

審判番号
2022-002980
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-029926外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年02月28日
審決日
2023年02月20日
公報発行日
2023年03月31日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H02J)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018- 29926「電子機器の情報喪失防止装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 8月29日出願公開、特開2019-146412、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成30年2月22日の出願であって、令和3年9月16日付けで拒絶理由通知がされ、同年10月29日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がされ、令和4年1月6日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年2月28日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(令和4年1月6日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 1.本願の以下の請求項に係る発明は、以下の引用文献に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 ・請求項1 ・引用文献1―2 ・請求項2-4 ・引用文献1-3 <引用文献等一覧> 1.米国特許第04783619号明細書 2.特開2002―067836号公報 3.特開2003―224934号公報 第3 本願発明 本願請求項1-4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明4」という。)は、令和4年2月28日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定される発明であるところ、本願発明1は、以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 電子機器または、前記電子機器を搭載した装置、および前記電子機器を搭載した車両における電源の交換時における電子機器の情報喪失防止装置であって、 前記電源の出力電圧よりも低い出力電圧を有するバックアップ用電源と、 前記電子機器または前記装置、および前記車両における電気的負荷部への接続手段と、を有し、 前記バックアップ用電源と前記接続手段との間に、 前記バックアップ用電源側から前記接続手段側への電流を通過させる逆電流防止手段と、 前記逆電流防止手段の下流側で、前記バックアップ用電源から前記接続手段側に流れる方向の電流に起因して点灯するLEDから成るバックアップ電流通電確認手段と、を備えることを特徴とする電子機器の情報喪失防止装置。」 また、本願発明2-4は、概略、本願発明1を減縮した発明である。 第4 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。 (1)「The power supply back-up device 1 comprises a first electrical connector 3, a second electrical connector 5, and a pair of electric wires 7 joining the two electrical connectors.The first electrical connector or power plug 3 is composed of a generally cylindrical housing 9 that is made of a tough and endurable non-conducting material. A thermal setting plastic is a suitable material for the housing 9. The interior of the housing 9 may be generally hollow. The housing 9 is designed to tightly secure one end of the wires 7. In FIG. 1 the wires 7 provide support for the battery when the connector 3 is supported in the cigar lighter 39. The housing 9 is further fabricated to retain a first contact 11 and a second contact 13 in electrical isolation from each other. The first contact 11 is made of an electrically conductive material, and it extends from one end of the housing generally along the longitudinal axis of the housing. It is preferred that the first contact 11 be reciprocable along the first electrical connector's axis, and further that it be resiliently biased outwardly from the end of the first electrical connector 3. Biasing can be accomplished by means of a helical spring inserted within the housing 9 in any suitable fashion. An insulated electrical conductor 15 of the pair of wires 7 is secured to the first contact 11 inside the housing 9. The second contact 13 of the first electrical connector 3 protrudes slightly above the housing cylindrical surface 16. The second contact 13 is firmly joined inside the housing 9 to an electrical conductor 17. The housing 9 has a shape and dimensions that enables it to be removably inserted into a conventional motor vehicle cigar lighter 39. Thus, the first electrical connector 3 functions a a male plug for being selectively inserted into and removed from the cigar lighter 39. When inserted, the contact 11 becomes part of the vehicle's positive electrical circuit, and the second connector 13 becomes part of the vehicle negative electrical circuit. The second electrical connector 5 is composed of a body 19 of electrically insulating material. Mounted in the body 19 are a first contact 21 and a second contact 23. In the preferred embodiment, the contacts 21 and 23 are shaped and sized to releasably engage the negative and positive poles 25, 27, respectively, of a standard nine volt battery 29.The second electrical connector 5 is further constructed such that the contact 21 joins with the insulated electrical conductor 17, and the contact 23 joins with the insulated electrical conductor 15. Thus, the contact 11 of the first electrical connector 3 is connected to the battery positive pole 27 and the contact 13 is connected to the battery negative pole 25.Inserted in the circuit between the second electrical connector's positive contact 23 and the insulated electrical conductor 15 are a small lamp 31 and a diode 30 (FIG. 3).」(公報第2欄51行目~第3欄37行目) (当審訳:電源バックアップ装置1は、第1の電気コネクタ3 、第2の電気コネクタ5およびその2個の電気コネクタと結合する一対の電気配線7を備えている。第1の電気コネクタすなわち電力プラグ3は、強靱な、耐久性のある、非導電材料から形成される一般的な略円筒状のハウジング9で構成されている。熱硬化性プラスチックは、ハウジング9に適切な材料である。ハウジング9の内部は、略中空であってもよい。ハウジング9は、電気配線7の一端を強固に固定するために設計されている。図1において、電気配線7は、第1の電気コネクタ3がシガレットライター39に挿入され支持されている状態ではバッテリを支える。さらに、ハウジング9は、第1の接点11と第2接点13を互いに電気的に絶縁されたように製造される。第1の接点11は、導電性材料から作られ、ハウジングの一方の端部からハウジングの長手方向軸線に沿って延在している。第1の接点11は第1電気コネクタの軸に沿って往復動可能であり、さらに、第1の電気コネクタ3の端部から外向きに弾性的に付勢されていることが好ましい。外向きの弾性的な付勢は、任意の適切な様式でハウジング9内に挿入されたコイルばねによって達成され得る。一対の電気配線7の絶縁された電気導体15は、ハウジング9内の第1の接点11に固定されている。 第1の電気コネクタ3の第2の接点13は、ハウジングの円筒形表面16の上方にわずかに突出している。第2の接点13は、ハウジング9の内部に接合された導電体17に固着されている。 ハウジング9は、従来の自動車のシガレットライター39内に取り外し可能に挿入されることを可能にする形状と寸法を有する。これにより、第1の電気コネクタ3は、シガレットライター39に抜き差しする雄型プラグとして機能する。第1の電気コネクタ3が挿入されると、第1の接点11は、自動車の正の電気回路の一部となり、第2の接点13は、自動車の負の電気回路の一部となる。 第2の電気コネクタ5は、電気的に絶縁性材料の本体19から構成されている。本体19には、第1接点21と第2接点23が埋め込まれている。好ましい実施形態では、接点21よび23は、それぞれ、標準の9ボルトの電池29の負極25および正極27に解放可能に、それぞれ係合するような形状及びサイズにされる。さらに、第2の電気コネクタ5は、接点21は、絶縁された電気導体17と接合し、接点23は、絶縁された電気導体15と結合するように構成されている。そのようにして、第1の電気コネクタ3の接点11が電池の正極27に接続され、接点13は、電池の負極25に接続される。第2の電気コネクタ(5)の正の接点23(第2接点23)と絶縁された電気導体15との間の回路に挿入されているのが、スモールランプ31とダイオード30である(図3)。) (2)「The function of the power supply back-up device 1 will be explained in conjunction with FIGS. 2 and 3. In FIG. 2, reference numeral 33 represents a conventional automotive storage battery installed in a motor vehicle. The negative pole 35 of the battery 33 is connected to electrical ground, and the positive pole 37 is shown connected to the vehicle cigar lighter 39 and to a computer controlled clock 41. It will be understood, of course, that the positive pole 37 is electrically connected with other vehicle electrical components in addition to the lighter 39 and clock 41. FIG. 2 illustrates the normal operating condition for the motor vehicle. In FIG. 3, it is assumed that the motor vehicle is undergoing servicing such that the battery 33 has been electrically disconnected from the vehicle. It will be appreciated that the battery 33 may remain physically located and mechanically installed within the vehicle. In accordance with the present invention, before the battery 33 is electrically disconnected from the vehicle, the nine-volt battery 29, which preferably is an alkaline battery, is engaged with the second electrical connector 5.The first electrical connector 3 is plugged into the vehicle cigar lighter 39. The lamp 31 will glow when a good connection is made between the power supply back-up device 1 and the vehicle circuit, thus indicating to the service man that it is safe to disconnect the main battery. In that way, electrical power to the computer controlled accessories such as the clock 41 remains uninterrupted. Consequently, the programmed settings in the clock 41 and other accessories are not lost when the normal power source is lost. For safety purposes, the second electrical connector 5 also includes the diode 30, which prevents current from the main battery 33 from damaging the nine-volt battery 29. To prolong the life of the battery 29, it is recommended that the vehicle doors be left closed and that the hood and trunk dome lights be disconnected. When the service work is complete, the storage battery 33 is reconnected electrically to the vehicle circuits before the back-up device 1 is unplugged from the cigar lighter 39. By using the back-up device of the present invention, the computer powered clocks and other accessories retain their pre-set settings and require no reprogramming or resetting due to vehicle battery disconnection.」(公報第3欄53行目~第4欄29行目) (当審訳:「電源バックアップ装置1の機能は、図2および図3を参照して説明される。図2において、符号33は、自動車に搭載される自動車用蓄電池を示している。自動車用蓄電池33の負極35はアースに接続されており、自動車用蓄電池33の正極37は、自動車のシガレットライター39およびコンピュータ制御クロック41に接続されていると見てとれる。当然のことながら、正極37は、ライター39及びコンピュータ制御クロック41に加えて、他の自動車の電気部品と電気的に接続されることが理解される。図2は、自動車の通常の作動状態を示している。 図3では、自動車用蓄電池33が、車体から電気的に外されたようなサービスを受けているものとする。なお、自動車用蓄電池33は、物理的に配置され、車体内に設置され機械的に残っていてもよい。本発明によれば、蓄電池33が車体から電気的に切断される前に、9ボルトの電池29、好ましくはアルカリ電池である、は、第2電気コネクタ5と係合する。第1電気コネクタ3は、自動車のシガレットライター39に挿入接続される。ランプ31は、電源バックアップ装置1と自動車の回路との間の良好な接続が行われるときに点灯して、主たる蓄電池を切断しても安全なことを作業者に表示する。このようにして、コンピュータ制御クロック41のようなコンピュータ制御された他のアクセサリ機器への電力供給は妨げられないままである。結果的に、通常電源が失われたときにコンピュータ制御クロック41及び他のアクセサリ機器内のプログラムされた設定は失われない。また、安全性の目的のために、第2の電気コネクタ5は、ダイオード30を含み、主たる自動車用蓄電池33からの電流が9ボルトの電池29に損傷を与えることを防ぐ。9ボルトの電池29の寿命を長くするために、車両ドアは閉じたままにすることが推奨され、車室あるいはトランク内のライトを消しておくことが推奨される。 作業者がサービス作業を完了すると、電源バックアップ装置1が自動車のシガレットライター39から抜かれる前に、自動車用蓄電池33が車体の電気回路に電気的に再接続される。本発明のバックアップ装置を用いることで、コンピュータの電源、クロック、および他のアクセサリ機器は、予め設定された設定を保持し、車体の自動車用蓄電池33が電気的に外されたことによる再プログラミング又は再設定を必要としない。」) 「fig.1 [図:0001394845000001.jpg] 」 「Fig.2 [図:0001394845000002.jpg] 」 「Fig.3 [図:0001394845000003.jpg] 」 ここで、Fig.3から「スモールランプ31」は、「ダイオード30」のアノード側に直列に接続され、「9ボルトの電池29」から、「第1の接点11」と「第2の接点13」側へ流れる方向の電流が流れると点灯することが見て取れる。 また、Fig.1~3から、「ダイオード30」、「スモールランプ31」は、いずれも、「第2電気コネクタ5」に備えられており、「第2電気コネクタ5」に接続された「9ボルトの電池29」と、「第1電気コネクタ3」に備えられた「第1の接点11」、「第2の接点13」との間にあることが見て取れる。 したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。 (引用発明) 「電源バックアップ装置1であって、 電源バックアップ装置1は、第1の電気コネクタ3 、第2の電気コネクタ5および2個の電気コネクタを結合する一対の電気配線7を備え、 第1の電気コネクタすなわち電力プラグ3はハウジング9で構成され、 ハウジング9は、第1の接点11と第2接点13を互いに電気的に絶縁されたように製造され、 一対の電気配線7の絶縁された電気導体15は、ハウジング9内の第1の接点11に固定され、 第2の接点13は、ハウジング9の内部に接合された導電体17に固着され、 ハウジング9は、自動車のシガレットライター39内に取り外し可能に挿入されることを可能であり、 第1の電気コネクタ3がシガレットライター39に挿入されると、第1の接点11は、自動車の正の電気回路の一部となり、第2の接点13は、自動車の負の電気回路の一部となり、 第2の電気コネクタ5は、電気的に絶縁性材料の本体19から構成され、 本体19には、第1接点21と第2接点23が埋め込まれ、 接点21および接点23は、それぞれ、標準の9ボルトの電池29の負極25および正極27に解放可能に、それぞれ係合し、 接点21は、絶縁された電気導体17と接合し、 接点23は、絶縁された電気導体15と結合し、 第1の電気コネクタ3の接点11が電池29の正極27に接続され、接点13は、電池29の負極25に接続され、 第2の電気コネクタ5の正の接点23と絶縁された電気導体15との間の回路に挿入されているのが、スモールランプ31とダイオード30であり 自動車用蓄電池33の負極35はアースに接続されており、正極37は、自動車のシガレットライター39およびコンピュータ制御クロック41に接続され、 正極37は、ライター39及びコンピュータ制御クロック41に加えて、他の自動車の電気部品と電気的に接続され、 自動車用蓄電池33が、車体から電気的に外されたようなサービスを受ける際に、 自動車用蓄電池33が車体から電気的に切断される前に、9ボルトの電池29は、第2電気コネクタ5と係合し、 第1電気コネクタ3は、自動車のシガレットライター39に挿入接続され、 スモールランプ31は電源バックアップ装置1と自動車の回路との間の良好な接続が行われるときに点灯して、主たる蓄電池33を切断しても安全なことを作業者に表示し、 コンピュータ制御クロック41のようなコンピュータ制御された他のアクセサリ機器への電力供給は妨げられないままであり、 通常電源が失われたときにコンピュータ制御クロック41及び他のアクセサリ機器内のプログラムされた設定は失われず 安全性の目的のために、第2の電気コネクタ5は、ダイオード30を含み、自動車用蓄電池33からの電流が9ボルトの電池29に損傷を与えることを防ぎ、 ダイオード30、スモールランプ31は、いずれも、第2電気コネクタ5に備えられており、第2電気コネクタ5に接続された9ボルトの電池29と、第1電気コネクタ3に備えられた第1の接点11、第2の接点13との間にあり、 スモールランプ31は、ダイオード30のアノード側に直列に接続され、9ボルトの電池29から、第1の接点11と第2の接点13側へ流れる方向の電流が流れると点灯され、 作業者がサービス作業を完了すると、電源バックアップ装置1が自動車のシガレットライター39から抜かれる前に、自動車用蓄電池33が車体の電気回路に電気的に再接続され、 コンピュータの電源、クロック、および他のアクセサリ機器は、予め設定された設定を保持し、車体の自動車用蓄電池33が電気的に外されたことによる再プログラミング又は再設定を必要としない 電源バックアップ装置1。」 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 ア「電子機器または、前記電子機器を搭載した装置、および前記電子機器を搭載した車両における電源の交換時における電子機器の情報喪失防止装置であって、」について (ア)本願発明1は、「電源の交換時における電子機器の情報喪失防止装置」であって、「電源の交換時」に、「揮発性メモリを有する電子機器」(本願明細書段落【0001】)に、「備えられた揮発性メモリに記録された情報の喪失を避ける」(本願明細書段落【0002】)ための「バックアップ電源として用いられる装置」であるから、「電子機器の情報」の「喪失」を「防止」する「装置」と解釈され、「バックアップ電源」によって「電子機器」の「情報」が喪失防止されるような本願発明1の「電子機器」は、例えば「揮発性メモリ」(本願明細書段落【0003】)のような、「情報」を格納するものと解釈される。 (イ)引用発明において、「コンピュータ制御クロック41及び他のアクセサリ機器内のプログラムされた設定は失われない」とあることから、「コンピュータ制御クロック41」や、「他の電気部品」は、「プログラムされた設定」である「情報」を格納するものといえる。したがって、引用発明における「コンピュータ制御クロック41」や、「他の電気部品」は、いずれも上記(ア)で検討したように、本願発明1における「情報」を格納する「電子機器」に含まれるといえる。 (ウ)引用発明における「自動車」は、「コンピュータ制御クロック41」、「他の電気部品」を搭載していることは明らかである。また、本願発明1の「電子機器を搭載した装置」は、「前記電子機器を搭載した車両」に準じて同様に電子機器を搭載した一般的な「装置」であって、「車両」以外の一般的な「装置」と解することができる。 したがって、引用発明における「コンピュータ制御クロック41」、「他の電気部品」を搭載している「自動車」は、本願発明1の「電子機器または、前記電子機器を搭載した装置、および前記電子機器を搭載した車両」に含まれるといえる。 (エ)引用発明における「自動車用蓄電池33」は、本願発明1における「電源」に相当する。 (オ)引用発明における「電源バックアップ装置1」は、「自動車用蓄電池33が、車体から電気的に分離されたようなサービスを受け」る際に、「主たる自動車用蓄電池33を切断しても安全なことを作業者に表示」し、「コンピュータ制御クロック41」や「他のアクセサリ機器」への「電力供給」が継続されて、「通常電源」が失われたときに「コンピュータ制御クロック41」及び「他のアクセサリ機器」内の「プログラムされた設定」が「失われ」ることを防止するものであり、ここで前記「通常電源」は、「コンピュータ制御クロック41」及び「他のアクセサリ機器」内の「プログラムされた設定」が「失われ」ることを防止するものであるから、「自動車用蓄電池33」を意味するものといえ、引用発明における「電源バックアップ装置」は、「作業者がサービス作業を完了すると」、「自動車のシガレットライター39から抜かれる前に、自動車用蓄電池33が車体の電気回路に電気的に再接続され」ものであり、「自動車用蓄電池33」の「再接続」は、「サービス作業」が「電源の交換」であることを意味するから、上記(ア)~(エ)も考慮すると、引用発明における「電源バックアップ装置1」は、本願発明1の「電子機器または、前記電子機器を搭載した装置、および前記電子機器を搭載した車両における電源の交換時における電子機器の情報喪失防止装置」に相当する。 イ「前記電源の出力電圧よりも低い出力電圧を有するバックアップ用電源と、」について (ア)引用発明の「9ボルトの電池29」は、「第2電気コネクタ5と係合し、第1電気コネクタ3は、自動車のシガレットライター39に接続され」、「コンピュータ制御クロック41」や「他のアクセサリ機器への電力供給は妨げられないままであ」り、「通常電源」である自動車用蓄電池33「が失われたときにコンピュータ制御クロック41及び他のアクセサリ機器内のプログラムされた設定は失われない」ようにするためのもので、「電源バックアップ装置1」の作動電源を供給するものであり、また、引用発明の「自動車用蓄電池33」の出力電圧が「電池29」の出力電圧である「9ボルト」より低いかどうかについては特定されていないから、引用発明の「9ボルトの電池29」と、本願発明1の「前記電源の出力電圧よりも低い出力電圧を有するバックアップ用電源」とは、「出力電圧を有するバックアップ用電源」という点で共通する。 ウ「前記電子機器または前記装置、および前記車両における電気的負荷部への接続手段と、を有し、」について (ア)引用発明の「コンピュータ制御クロック41」、「他の電気部品」は、「自動車用蓄電池33」が「車体から電気的に分離されたようなサービスを受けている」際には、「9ボルトの電池29」から作動電力の供給を受ける電気的な負荷であるから、本願発明1の「前記電子機器または前記装置、および前記車両における電気的負荷部」に含まれる。 (イ)引用発明は、「第1の電気コネクタ3がシガレットライター39に挿入されると、第1の接点11は、自動車の正の電気回路の一部となり、第2の接点13は、自動車の負の電気回路の一部となり」であり、引用発明の「第1の接点11」と「第2の接点13」は、「第1の電気コネクタ3」が「シガレットライター39に挿入される」と、「第1の接点11」が「自動車の正の電気回路の一部」となり、「第2の接点13」が「自動車の負の電気回路の一部」となることによって、「9ボルトの電池29」が「コンピュータ制御クロック41」や「他のアクセサリ機器」への電力供給を行うものであるから、上記(ア)も考慮すると、引用発明の「第1の接点11」と「第2の接点13」は、本願発明1の「前記電子機器または前記装置、および前記車両における電気的負荷部への接続手段」に相当する。 エ「前記バックアップ用電源と前記接続手段との間に、 前記バックアップ用電源側から前記接続手段側への電流を通過させる逆電流防止手段と、 前記逆電流防止手段の下流側で、前記バックアップ用電源から前記接続手段側に流れる方向の電流に起因して点灯するLEDから成るバックアップ電流通電確認手段と、を備える」について (ア)「前記バックアップ用電源側から前記接続手段側への電流を通過させる逆電流防止手段と、」について 引用発明の「ダイオード30」は、「自動車用蓄電池33からの電流が9ボルトの電池29に損傷を与えることを妨げ」、「9ボルトの電池29」から「第1の接点11」と「第2の接点13」側へ流れる電流を通過させる方向に設けられており、また「ダイオード30」が順方向の電流を通し逆方向の電流を通過させないことは技術常識であり、逆電流が流れることを防止しているといえるから、引用発明の「ダイオード30」は、本願発明1の「前記バックアップ用電源側から前記接続手段側への電流を通過させる逆電流防止手段」に相当する。 (イ)「前記逆電流防止手段の下流側で、前記バックアップ用電源から前記接続手段側に流れる方向の電流に起因して点灯するLEDから成るバックアップ電流通電確認手段と」について 引用発明の「スモールランプ31」は、「電源バックアップ装置1」と車体の「回路との間の良好な接続が行われるとき点灯して、主たる自動車用蓄電池33を切断しても安全なことを作業者に表示」するものであって、「ダイオード30」のアノード側に直列に接続され、「9ボルトの電池29」から、「第1の接点11」と「第2の接点13」側へ流れる方向の電流が流れると点灯されるから、本願発明1の「前記逆電流防止手段の下流側で、前記バックアップ用電源から前記接続手段側に流れる方向の電流に起因して点灯するLEDから成るバックアップ電流通電確認手段」とは、「前記逆電流防止手段で、前記バックアップ用電源から前記接続手段側に流れる方向の電流に起因して点灯するバックアップ電流通電確認手段」である点で共通する。 (ウ)「前記バックアップ用電源と前記接続手段との間に」、「逆電流防止手段」と、「バックアップ電流通電確認手段」と「を備える」点について、 上記(ア)、(イ)で検討した、引用発明の「ダイオード30」、「スモールランプ31」は、いずれも、「第2電気コネクタ5」に備えられており、「第2電気コネクタ5」に接続された「9ボルト電池29」と、「第1電気コネクタ3」に備えられた「第1の接点11」、「第2の接点13」との間にある。 したがって、ア~エより、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「電子機器または、前記電子機器を搭載した装置、および前記電子機器を搭載した車両における電源の交換時における電子機器の情報喪失防止装置であって、 出力電圧を有するバックアップ用電源と、 前記電子機器または前記装置、および前記車両における電気的負荷部への接続手段と、を有し、 前記バックアップ用電源と前記接続手段との間に、 前記バックアップ用電源側から前記接続手段側への電流を通過させる逆電流防止手段と、 前記逆電流防止手段で、前記バックアップ用電源から前記接続手段側に流れる方向の電流に起因して点灯するバックアップ電流通電確認手段と、を備えることを特徴とする電子機器の情報喪失防止装置。」 (相違点1) バックアップ用電源が有する出力電圧が、本願発明1においては、車両における「電源の出力電圧よりも低い」のに対して、引用発明では、そのような特定がない点。 (相違点2) 「バックアップ電流通電確認手段」が、本願発明1では、逆電流防止手段の「下流側」であるのに対し、引用発明では、そのような特定がない点。 (相違点3) 「バックアップ電流通電確認手段」が、本願発明1では、「LEDから成る」のに対して、引用発明では、「スモールランプ31」であって、「LED」という特定がない点。 (2)相違点についての判断 上記相違点1について検討すると、引用発明は「第1電気コネクタ3は、自動車のシガレットライター39に接続され、スモールランプ31は電源バックアップ装置1と回路との間の良好な接続が行われるとき、主たる自動車用蓄電池33を切断しても安全なことを作業者に表示」するのであることと、この際「自動車用蓄電池33」が、外される前の状態、すなわち依然として接続されている状態で、「スモールランプ31」が「表示」(点灯)されるものであり、「ダイオード30」の働きにより「自動車用蓄電池33」が接続されている状態で「スモールランプ31」が点灯するためには、「自動車用蓄電池33」よりも、「9ボルト電池29」のほうが電源電圧が高いことが必要であるから、引用発明が、「電源バックアップ装置」としての機能を果たすためには、「9ボルトの電池29」の電圧は、「自動車用蓄電池33」の電圧よりも高いことは明らかである。 したがって、引用発明において、「9ボルトの電池29」が有する出力電圧が、本願発明1のように「自動車用蓄電池33」の出力電圧よりも低いものとすることは、引用発明の「電源バックアップ装置」としての機能を果たすことができなくなるから、阻害要因であるといえる。よって、引用文献2及び3に記載された技術事項を踏まえても、引用発明において、前記相違点1に係る本願発明1の構成を設けることは、当業者が容易に想到し得たものとすることはできない。 したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものとはいえない。 2.本願発明2-4 本願発明2-4も、本願発明1のバックアップ用電源が有する出力電圧が、車両における「電源の出力電圧よりも低い」ことと同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。 第6 原査定について 1.理由1(特許法第29条第2項)について 上記「第5 対比・判断」の「1.本願発明1について」の「(2)相違点についての判断」の「(相違点1)」の検討のとおり、本願発明1は、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものであるとすることはできない。 したがって、上記「第6 2.本願発明2-4」の検討も踏まえて、本願発明1-4は、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-3に基づいて容易に発明できたものとはいえないから、原査定の理由1を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-002980

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