2022-002592
トラヒック予測装置、トラヒック予測プログラム、トラヒック予測方法及びトラヒック予測システム
- 審判番号
- 2022-002592
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-248348外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年02月22日
- 審決日
- 2022年08月16日
- 公報発行日
- 2022年09月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .121-WY (H04L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
本願は、平成29年12月25日の出願であって、その手続の経緯は次のとおりである。
第2 原査定の概要
原査定(令和3年11月16日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1~9,11~15に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1~4に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第3 本願発明
本願請求項1~15に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明15」という。)は、出願当初の特許請求の範囲の請求項1~15に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1,13,14は、それぞれ次のとおりの発明である。
「【請求項1】通信端末の通信量を示すトラヒック情報を記憶する記憶手段と、イベントに関する所定のキーワードを含むネットワーク上のサービスに投稿されたメッセージから、開催される予定のイベントを示す開催予定イベント情報を取得するイベント情報取得手段と、前記イベント情報取得手段が取得した前記開催予定イベント情報に対応する過去の前記トラヒック情報を、前記記憶手段から取得するトラヒック情報取得手段と、前記トラヒック情報取得手段が取得した前記過去のトラヒック情報を出力する出力手段と、を備えるトラヒック予測装置。」
「【請求項13】コンピュータに、通信端末の通信量を示すトラヒック情報を記憶するステップと、イベントに関する所定のキーワードを含むネットワーク上のサービスに投稿されたメッセージから、開催される予定のイベントを示す開催予定イベント情報を取得するステップと、続きを表示(全14行)取得した前記開催予定イベント情報に対応する過去の前記トラヒック情報を、前記トラヒック情報を記憶する記憶手段から取得するステップと、取得した前記過去のトラヒック情報を出力するステップと、を実行させるためのトラヒック予測プログラム。【請求項14】コンピュータが実行する、通信端末の通信量を示すトラヒック情報を記憶するステップと、イベントに関する所定のキーワードを含むネットワーク上のサービスに投稿されたメッセージから、開催される予定のイベントを示す開催予定イベント情報を取得するステップと、取得した前記開催予定イベント情報に対応する過去の前記トラヒック情報を、前記トラヒック情報を記憶する記憶手段から取得するステップと、取得した前記過去のトラヒック情報を出力するステップと、を有するトラヒック予測方法。」
なお、本願発明2~12は、本願発明1を減縮した発明である。本願発明15は、請求項1~12のいずれか一項に記載のトラヒック予測装置を含むトラヒック予測システムの発明である。
第4 引用文献の記載、引用発明等
1 引用文献1
(1)原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。
「【0205】(3-3)通信事業分野への適用例次に図19を参照して、電気通信事業分野にデータ管理システム1を適用した場合の実施形態を説明する。【0206】続きを表示(全21行)データ管理システム1Cは、基地局単位または複数基地局合計での、所定の将来期間におけるデータ通信量の時系列での予測値を算出する。データ管理システム1Cは、算出したデータ通信量に基づいて、運用可能な設備、例えば交換機などの設備の運転計画生成と実行を行うためのシステムである。データ管理システム1Cは、通信事業者1000C、公共情報提供者9000Cおよび基地局2000Cならびにそれぞれが有する各種装置および各種端末から構成される。通信事業者1000Cは、通信状況管理者1000C1、設備管理者1000C2から構成される事業者である。【0207】通信状況管理者1000C1は、過去からのデータ通信量の時系列のデータと、一時的な事象などの因子データとに基づいて、例えば30分単位毎の将来のデータ通信量を予測する部署または担当者である。過去からのデータ通信量は、基地局単位、複数基地局合計または予め定めた基地局群毎に計測する。一時的な事象はデータ通信量の変動を説明し得る例えばスポーツイベントなどである。【0208】通信状況管理者1000C1は、データ管理装置3Cと、データ通信量の予測値を算出するための予測演算装置2Cと、これら装置とのデータのやり取りを行うための情報入出力端末4Cとを備える。データ管理装置3Cは、計測した過去からのデータ通信量の時系列のデータと、データ通信量の変動を説明し得る因子データとを記憶する。【0209】設備管理者1000C2は、例えば交換機などのデータ通信に関わる設備の運転計画の立案と実行を行う部署または担当者である。設備管理者1000C2は、設備情報の管理と、設備の運転計画の立案と、実行のための制御信号を送信するための設備管理装置5C1と、設備管理装置5C1から制御信号を受信し実際に設備制御を実行するための制御装置5C2とを備える。【0210】公共情報提供者9000Cは、スポーツイベントなどの有無の情報や、気温や、湿度や、気圧や、風速や、降水量や、降雪量などの気象に関する過去の履歴情報と将来の予報情報などを提供する事業者である。公共情報提供者9000Cは、過去履歴情報と予報情報とを配信するための公共情報配信装置7Cを備える。【0211】基地局2000Cは、データ通信の管制を行う設備であり、情報入出力端末6C2と、データ通信量を所定の時間間隔で計測し、データ管理装置3Cまたは予測演算装置2Cに送信するための計測装置6C1とを備える。情報入出力端末6C2は、通信事業者1000Cに、設備の所在地などのデータ通信の傾向に影響を与えうる情報を送信する。【0212】以上が、電気通信事業分野にデータ管理システム1を適用した場合の実施形態における装置構成の一例である。なお本実施の形態における各装置および各装置が有する処理部の処理は、すでに開示した実施の形態における処理と同じである。【0213】ただし本実施の形態において、予測対象過去計測データ351Aは、基地局単位、複数基地局合計または予め定めた基地局群毎に計測した時系列でのデータ通信量の過去計測データである。【0214】また説明変数過去計測データ352Aは、暦日の時系列でのデータや、気象の時系列でのデータや、台風上陸の有無やスポーツイベントなどの有無といったデータ通信量に変動をもたらす因子の時系列でのデータなどである。」
「【図19】[図:0001388294000001.jpg]」
(2)上記(1)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「通信事業者1000C、公共情報提供者9000Cおよび基地局2000Cならびにそれぞれが有する各種装置および各種端末から構成され、通信事業者1000Cは、通信状況管理者1000C1、設備管理者1000C2から構成され、通信状況管理者1000C1は、過去からのデータ通信量の時系列のデータと、一時的な事象などの因子データとに基づいて、将来のデータ通信量を予測する部署であり、過去からのデータ通信量は、基地局単位、複数基地局合計または予め定めた基地局群毎に計測し、一時的な事象はデータ通信量の変動を説明し得る例えばスポーツイベントなどであり、通信状況管理者1000C1は、データ管理装置3Cと、データ通信量の予測値を算出するための予測演算装置2Cと、これら装置とのデータのやり取りを行うための情報入出力端末4Cとを備え、データ管理装置3Cは、計測した過去からのデータ通信量の時系列のデータと、データ通信量の変動を説明し得る因子データとを記憶し、公共情報提供者9000Cは、スポーツイベントなどの有無の情報や、気温や、湿度や、気圧や、風速や、降水量や、降雪量などの気象に関する過去の履歴情報と将来の予報情報などを提供する事業者であり、公共情報提供者9000Cは、過去履歴情報と予報情報とを配信するための公共情報配信装置7Cを備える、データ管理システム1C。」
2 引用文献2
原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「1.はじめにスマートフォンやタブレットといった高機能なモバイル端末の普及に伴い、ネットワークを流れるトラヒック量は、量・変動ともに大きくなっている。(・・・中略・・・)ネットワークに将来流れるトラヒックの予測方法に関しては、様々な検討が進められてきた[4]~[6]。これらのトラヒック予測手法では、過去に観測されたトラヒックの時系列データをもとに、トラヒック変動モデルのパラメータを推定し、そのトラヒック変動モデルを用いて将来のトラヒック変動を予測する。しかしながら、これらの予測手法では、現実世界で発生したイベントに伴い、ネットワークを利用するユーザが局所的に集中するといった、過去のトラヒック変動には予兆が含まれないようなトラヒック増加を予測することはできない。このような現実世界で発生したイベントに起因する、非日常的なトラヒック変動は、高機能なモバイル端末の普及に伴い大きくなっている。これに対し、非日常的なトラヒック変動の予兆は、現実世界を反映したソーシャルメディアデータに含まれている可能性がある。高機能モバイル端末の普及に伴い、ソーシャルメディアは著しく成長を続けており、人々の行動に関する多様なデータを取得することが可能である。現在、情報科学の分野では、ソーシャルメディアから得られるデータの活用に関して様々な検討が進められている[7],[8]。このことから、トラヒック予測の分野への応用も期待することが出来る。ソーシャルメディアから得られる情報をもとに、イベントを検出し、当該イベントに起因するトラヒック量を予測することによって、従来のトラヒック予測手法に比べて予測精度が向上し、予測型の動的ネットワーク制御の性能を向上させることが可能となる。続きを表示(全12行)そこで、本稿では、ソーシャルメディアデータを解析することで、非日常的なトラヒック変動の発生を予知出来ることを確認する。確認するにあたり、現実世界で発生したイベントによって、非日常的なトラヒック変動が発生している時間帯を予知する手法を提案する。提案手法では、Twitterのツイート情報を解析し、予知に用いる。ユーザがツイートする内容は、現実世界で発生するイベントを反映したものである。提案手法では、ツイートを解析することにより、現実世界で発生しているイベントを検知し、当該イベントに関連するツイート数の伸びにより、当該イベントの規模を予測し、予測されたイベントの規模に基づき、非日常的なトラヒック変動の発生を予知する。以降の本稿の構成は次の通りである。2.では、非日常的トラヒック変動の予兆となる情報をソーシャルメディアデータから抽出する方法と、抽出された情報を用いた非日常的トラヒック変動予知手法について述べる。3.では、提案手法を評価し、評価結果にもとついて、非日常トラヒック変動の予兆について考察を行う。4.で、まとめと今後の課題について述べる。2.ソーシャルメディアデータからの情報抽出本章では、現実世界で発生したイベントに起因するトラヒック変動の予兆を含む情報をソーシャルメディアから抽出する手法について述べる。抽出された情報にそのような予兆が含まれている場合、非日常的トラヒック変動の予知精度を向上させることが可能となる。そこで、本稿では、抽出された情報を用いて非日常的トラヒック変動を予知する手法についても検討する。2.1 ソーシャルメディアデータの概要本稿では、ソーシャルメディアデータとして、Twitter Streaming API[9]から得られたツイートを用いる。Twitterでは、各ユーザが投稿するものはツイートと呼ばれる短文であり、気軽に投稿できるため、当該ユーザの現在の状況に関連したツイートが多くある。そのため、現実世界で発生しているイベントを検知することが可能であると考えられる。また、Twitterでは、ツイートを行う際に、当該ツイートを行った位置情報を付与することが可能であり、他のユーザと位置情報を共有することができる。本稿では、ソーシャルメディアデータから現実世界において各地域で発生するイベントに起因する非日常的なトラヒック変動を早期に予知することを目指しており、各地域のイベントを検知するためには、上述のツイートの付与された位置情報は有用である。ツイートに付与された位置情報をもとにすることにより、特定の地域のみで特定の単語の出現頻度が高くなると、当該単語に関するイベントが発生したと検知することが可能となる。以上の理由から、位置情報付きのツイートを用いて、非日常的なトラヒック変動を予知することとした。2.2 イベント関連単語の抽出ツイートに含まれるテキストには、現在もしくは将来発生する現実世界のイベントに関連した単語(イベント関連単語)が含まれていると考えられる。そのため、テキストを解析すれば、非日常的なトラヒック変動の予兆を把握することが可能となる。イベント関連単語を抽出するにあたり、ツイートに含まれるテキストを形態素解析によって品詞分解し、その中から名詞を抽出する。そして、抽出された名詞の中から、イベント関連単語を抽出する。イベント関連単語は、情報探索やテキストマイニングの分野で利用される、TFIDF[10](Term Frequency Inverse Document Frequency)を用いて抽出する。本節では、TFIDFの概要を記したのち、イベント関連単語抽出におけるTFIDFの適用方法について記す。」(8頁左欄~9頁左欄4行)
3 引用文献3
原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0012】以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における情報表示システム100のシステム構成を示す図である。本実施形態の情報表示システム100は、通信装置10及び情報送信装置20を備える。通信装置10及び情報送信装置20は、ネットワーク30を介して通信可能に接続されている。また、情報表示システム100には情報登録装置40が接続される。【0013】続きを表示(全33行)通信装置10は、例えばスマートフォン、タブレット装置、携帯電話、パーソナルコンピュータ、ノートパソコン、ゲーム機器等の情報処理装置を用いて構成される。通信装置10は、ユーザの操作に応じて、イベント(行先)の情報(以下、「イベント情報」という。)の送信要求を情報送信装置20に送信する。本実施形態におけるイベントとは、例えば花火大会やお祭りなどの行事や催し物である。送信要求とは、ユーザがイベント情報を情報送信装置20に送信させるための要求である。送信要求には、イベントに関するキーワード、日時及び位置情報などの情報が含まれる。位置情報は、通信装置10が単数又は複数のアクセスポイント(不図示、以下同様)又はGPS(Global Positioning System)衛星(不図示、以下同様)から送信される電波を受信した場所(地点)の情報を表す。位置情報は、例えば緯度、経度などの情報である。通信装置10は、例えばPlace Engine(登録商標)の技術を用いて自装置の位置情報を取得する。【0014】情報送信装置20は、情報処理装置を用いて構成される。情報送信装置20は、複数のイベント情報(案内情報)を記憶している。情報送信装置20は、通信装置10から送信された送信要求に含まれるキーワードに対応するイベントであり、かつ、要求元である通信装置10のユーザが参加可能であるイベントのイベント情報を通信装置10に送信する。参加可能であるイベントとは、イベントが行われている所定の期間内に、イベントが行われている場所に要求元である通信装置10のユーザが辿り着けるイベントである。ネットワーク30は、どのように構成されたネットワークでもよい。例えば、ネットワーク30はインターネットを用いて構成されてもよい。【0015】情報登録装置40は、情報処理装置を用いて構成される。情報登録装置40は、例えばイベントを開催する主催者(以下、「イベント主催者」という。)の操作に応じてイベント情報の登録を行う。情報登録装置40は、登録されたイベント情報をネットワーク30を介して情報送信装置20に送信する。なお、情報表示システム100には、複数の情報登録装置40が接続されてもよい。【0016】図2は、通信装置10及び情報送信装置20の機能構成を表す概略ブロック図である。まず、通信装置10の機能構成を説明する。通信装置10は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、情報表示プログラムを実行する。情報表示プログラムの実行によって、通信装置10は、入力部101、位置情報取得部102、通信部103、表示部104を備える装置として機能する。なお、通信装置10の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。また、情報表示プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、情報表示プログラムは、電気通信回線を介して送受信されてもよい。【0017】入力部101は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、タッチパネル、ボタン等の既存の入力装置を用いて構成される。入力部101は、ユーザの指示を通信装置10に入力する際にユーザによって操作される。入力部101は、例えばキーワードや日時などの情報の入力を受け付ける。また、入力部101は、入力装置を通信装置10に接続するためのインタフェースであってもよい。この場合、入力部101は、入力装置においてユーザの入力に応じて生成された入力信号を通信装置10に入力する。位置情報取得部102は、単数又は複数のアクセスポイント又はGPS衛星から送信される電波を受信し、受信した電波に基づいて自装置の位置情報を取得する。【0018】通信部103は、情報送信装置20との間で通信を行う。通信部103は、例えば送信要求を情報送信装置20に送信し、情報送信装置20からイベント情報を受信する。表示部104は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像表示装置である。表示部104は、通信部103によって受信されたイベント情報を表示する。表示部104は、画像表示装置を通信装置10に接続するためのインタフェースであってもよい。この場合、表示部104は、イベント情報を表示するための映像信号を生成し、自身に接続されている画像表示装置に映像信号を出力する。【0019】次に、情報送信装置20の機能構成を説明する。情報送信装置20は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、情報送信プログラムを実行する。情報送信プログラムの実行によって、情報送信装置20は、通信部201、情報取得部202、イベント情報記憶部203、情報検索部204、地図情報記憶部205、移動時間算出部206、時刻算出部207、判定部208、送信制御部209を備える装置として機能する。なお、情報送信装置20の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。また、情報送信プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、情報送信プログラムは、電気通信回線を介して送受信されてもよい。【0020】通信部201は、通信装置10との間で通信を行う。通信部201は、例えば通信装置10から送信された送信要求を受信し、イベント情報を通信装置10に送信する。情報取得部202は、情報登録装置40から送信されたイベント情報を取得する。また、情報取得部202は、ネットワーク30上に存在するサイトからイベント情報を取得してもよいし、SNS(Social Networking Service)からイベント情報を取得してもよいし、サーチエンジンで収集されたイベント情報を取得してもよい。情報取得部202は、取得したイベント情報をイベント情報記憶部203に記録する。イベント情報記憶部203は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。イベント情報記憶部203は、イベント情報データベースを記憶している。【0021】図3は、イベント情報データベースの具体例を示す図である。イベント情報データベースは、イベントに関する情報を表すレコード50を複数有する。レコード50は、キーワード、開催位置情報、開始日時、基準時刻、終了日時、イベント情報概要、リンク先及び連絡先の各値を有する。キーワードは、イベントを一意に識別するための識別情報を表す。なお、キーワードは、複数の文言から構成されてもよい。開催位置情報は、イベントが行われる場所の情報を表す。開催位置情報の具体例として、緯度及び経度の情報がある。緯度は、イベントが行われる場所の緯度を表す。経度は、イベントが行われる場所の経度を表す。開始日時は、イベントが開始される日時を表す。基準時刻は、ユーザがイベントに参加可能であるか否か判断するための基準となる時刻を表す。基準時刻は、イベントごとに適宜設定される。終了日時は、イベントが終了する日時を表す。イベント情報概要は、イベントの具体的な内容を表す。リンク先は、イベントの詳細などの情報が公開されているサイトのURL(Uniform Resource Locator)を表す。連絡先は、イベント主催者の電話番号やメールアドレスを表す。【0022】図3に示される例では、イベント情報データベースには1つのキーワードが存在する。図3において、イベント情報データベースの最上段の行は、キーワードの値が“花火大会”、緯度の値が“35.7”、経度の値が“139.5”、開始日時の値が“20XX/08/20 19:00”、基準時刻の値が“20:00”、終了日時の値が“20XX/08/20 20:30”、イベント情報概要の値が“(例)~エリアで1万発の花火を打ち上げます”、リンク先の値が“http://xxxx.xxxx”、連絡先の値が“06-6105-xxxx”である。すなわち、キーワード“花火大会”で識別されるイベントが行われる場所の緯度及び経度が“35.7度”、“139.5度”であり、イベントの開始日時が“20XX年8月20日 19時00分”であり、ユーザがイベントに参加可能であるか否か判断するための基準となる時刻が“20時00分”であり、イベントの終了日時が“20XX年8月20日 20時30分”であり、イベントの具体的な内容が“(例)~エリアで1万発の花火を打ち上げます”であり、イベントの情報が公開されているサイトのURLが“http://xxxx.xxxx”であり、イベント主催者の連絡先(電話番号)が“06-6105-xxxx”であることが表されている。【0023】図2に戻って、情報送信装置20の説明を続ける。情報検索部204は、通信部201によって受信された送信要求に含まれるキーワード及び日時に対応するイベントの情報をイベント情報データベースから検索する。その後、情報検索部204は、検索結果を移動時間算出部206に出力する。地図情報記憶部205は、地図情報を記憶している。地図情報には、地形に関する情報、地名に関する情報及び地名の位置情報(例えば、緯度及び経度)に関する情報などが含まれる。」
4 引用文献4
原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0015】1. 実施形態1(1). 構成概略図1を参照して、本発明の実施形態に係る混雑予測サーバPSと、混雑予測サーバPSに関係するコンピュータ装置とを概略的に示す。本実施形態のコンピュータ装置は、所定のプロトコル(TCP/IP等)に従って通信を実行する。続きを表示(全17行)【0016】混雑予測サーバPSは、位置情報サーバLSから提供されるユーザ(携帯端末)の位置情報LIを時系列的に解析することにより、混雑度予測を実行すべきエリアAである予測対象エリアTAを選別し、選別された予測対象エリアTAの各々について混雑度予測を実行する。混雑予測サーバPSは、混雑度予測の結果をクライアント端末CLに提示する。【0017】本実施形態における混雑度予測の時間的単位は、予測対象期間(例えば、翌日以降の1週間)に含まれるサブ期間(例えば、1日または1時間)である。予測対象期間は、デフォルト値として予め定められていてもよいし、クライアント端末CLからの要求に基づいて動的に設定されてもよい。混雑度予測の地理的単位は、エリアAである。本実施形態において、エリアAは、緯度及び経度に基づいて格子状に分割された矩形領域(メッシュ)である。以上のメッシュは、日本国の総務省統計局が提供する標準地域メッシュ(例えば、4分の1地域メッシュ)であってもよいし、他の手法により画定されたメッシュであってもよい。【0018】イベント情報サーバESは、日時と場所を指定して開催される各種のイベントに関するイベント情報EIを記憶し、記憶されているイベント情報EIを混雑予測サーバPSに提供する。イベント情報EIは、イベント名称、開催場所(緯度・経度)、および開催日時を少なくとも含む。イベント情報EIは、予測対象エリアTAの選別に用いられ得る。【0019】ブログサーバBSは、ユーザ端末(たとえば、スマートフォン)からの投稿情報PIを受信して記憶すると共に、記憶されている投稿情報PIを混雑予測サーバPSに提供する。本実施形態において、投稿情報PIは、イベント情報EIを抽出するのに用いられる。【0020】以下、投稿情報PIの例を非限定的に列挙する。-マイクロブログサービス(例えば、Twitter[登録商標])における140文字以下の短文投稿(例えば、ツイート[登録商標])-ブログ(ウェブログ)サービスにおける日記や寸評等の投稿-ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)におけるステータス投稿」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
ア 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
(ア)引用発明の「通信状況管理者1000C1」が「備え」る「データ管理装置3C」は、「計測した過去からのデータ通信量の時系列のデータと、データ通信量の変動を説明し得る因子データとを記憶」するものである。また、引用発明の「過去からのデータ通信量」は、「基地局単位、複数基地局合計または予め定めた基地局群毎に計測」するものである。
ここで、基地局が通信端末を収容する設備であることは技術常識であるから、引用発明の「データ通信量の時系列のデータ」は、本願発明1の「通信端末の通信量を示すトラヒック情報」に相当し、それを「記憶」する「データ管理装置3C」は、本願発明1の「記憶手段」に相当する。
よって、引用発明の「通信状況管理者1000C1」は、本願発明1の
「通信端末の通信量を示すトラヒック情報を記憶する記憶手段」
に相当する構成を備えるものである。
(イ)引用発明の「通信状況管理者1000C1」は、「過去からのデータ通信量の時系列のデータと、一時的な事象などの因子データとに基づいて、将来のデータ通信量を予測する部署」である。
ここで、引用発明の「一時的な事象」は「データ通信量の変動を説明し得る例えばスポーツイベントなど」であるから、「将来のデータ通信量を予測する」ために用いる「一時的な事象などの因子データ」は、「スポーツイベント」であり得るものである。
また、引用発明では、「公共情報提供者9000Cは、スポーツイベントなどの有無の情報や、気温や、湿度や、気圧や、風速や、降水量や、降雪量などの気象に関する過去の履歴情報と将来の予報情報などを提供する事業者であり、公共情報提供者9000Cは、過去履歴情報と予報情報とを配信するための公共情報配信装置7Cを備える」ものとされるから、「一時的な事象などの因子データ」が「スポーツイベント」である場合、引用発明の「通信状況管理者1000C1」は、「公共情報提供者9000C」から「スポーツイベント」に関する「将来の予報情報」を取得して、これに対応する「将来のデータ通信量を予測する」ものであることが明らかである。
そして、当該「スポーツイベント」に関する「将来の予報情報」は、本願発明1の「開催される予定のイベントを示す開催予定イベント情報」に相当する。また、引用発明の「通信状況管理者1000C1」は、上記「スポーツイベント」に関する「将来の予報情報」を取得する手段を当然に備えており、当該手段は、本願発明1の「イベント情報取得手段」に相当する。
よって、引用発明の「通信状況管理者1000C1」は、本願発明1の
「開催される予定のイベントを示す開催予定イベント情報を取得するイベント情報取得手段」
に相当する構成を備えるものである。
(ウ)上記(イ)のとおり、引用発明の「通信状況管理者1000C1」は、「公共情報提供者9000C」から「スポーツイベント」に関する「将来の予報情報」を取得して、これに対応する「将来のデータ通信量を予測する」ものであることが明らかである。ここで、「将来のデータ通信量を予測する」ことは、トラヒックに関する情報を特定することであるといえる。
また、引用発明の「通信状況管理者1000C1」は、「データ通信量の予測値を算出するための予測演算装置2C」を「備え」るから、「通信状況管理者1000C1」が「過去からのデータ通信量の時系列のデータと、一時的な事象などの因子データとに基づいて、将来のデータ通信量を予測する」動作は、具体的には「予測演算装置2C」で行われるといえる。
以上の点について、上記(イ)で更に検討した点を踏まえると、引用発明の「通信状況管理者1000C1」が「備え」る「予測演算装置2C」と、本願発明1の
「前記イベント情報取得手段が取得した前記開催予定イベント情報に対応する過去の前記トラヒック情報を、前記記憶手段から取得するトラヒック情報取得手段」
とは、
「前記イベント情報取得手段が取得した前記開催予定イベント情報に対応するトラヒックに関する情報を特定する手段」
である点で共通している。
(エ)引用発明の「通信状況管理者1000C1」が「データ管理装置3Cと、データ通信量の予測値を算出するための予測演算装置2Cと、これら装置とのデータのやり取りを行うための情報入出力端末4Cとを備え」ることについて、「情報入出力端末4C」は、「予測演算装置2C」と「データのやり取りを行う」ことから、「データ通信量の予測値」を「出力」する端末であることが明らかである。
この点について、上記(ウ)を踏まえると、引用発明の「通信状況管理者1000C1」が「備え」る「情報入出力端末4C」と、本願発明1の
「前記トラヒック情報取得手段が取得した前記過去のトラヒック情報を出力する出力手段」
とは、
「前記トラヒックに関する情報を特定する手段が特定した前記トラヒックに関する情報を出力する出力手段」
である点で共通している。
(オ)引用発明の「将来のデータ通信量を予測する部署」である「通信状況管理者1000C1」と、本願発明1の「トラヒック予測装置」とは、内部の構成の差異は別として、「トラヒック予測システム」である点で共通している。
イ 上記アから、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「通信端末の通信量を示すトラヒック情報を記憶する記憶手段と、開催される予定のイベントを示す開催予定イベント情報を取得するイベント情報取得手段と、前記イベント情報取得手段が取得した前記開催予定イベント情報に対応するトラヒックに関する情報を特定する手段と、前記トラヒックに関する情報を特定する手段が特定した前記トラヒックに関する情報を出力する出力手段と、を備えるトラヒック予測システム。」
(相違点1)
本願発明1の「開催される予定のイベントを示す開催予定イベント情報」の「取得」元は、「イベントに関する所定のキーワードを含むネットワーク上のサービスに投稿されたメッセージ」であるのに対して、引用発明の「スポーツイベント」に関する「将来の予報情報」の「提供」元は、「公共情報提供者9000C」である点。
(相違点2)
「トラヒックに関する情報を特定する手段」が、本願発明1では、「トラヒック情報取得手段」であって、特定される情報が、「記前記憶手段から取得する」、「過去の前記トラヒック情報」であるのに対して、引用発明では、「データ通信量の予測値を算出するための予測演算装置2C」であって、特定される情報が、「将来のデータ通信量」である点。
(相違点3)
「出力手段」の「出力する」内容が、本願発明1では、「前記トラヒック情報取得手段が取得した前記過去のトラヒック情報」であるのに対して、引用発明では、「将来のデータ通信量」である点。
(相違点4)
「トラヒック予測システム」が、本願発明1では、「トラヒック予測装置」であるのに対して、引用発明では、「通信状況管理者1000C1」であって、これが備える「データ管理装置3C」、「スポーツイベント」に関する「将来の予報情報」を取得する手段、「予測演算装置2C」及び「情報入出力端末4C」が単一の装置を構成するものではない点。
(2)判断
そこで、まず相違点1について検討する。
ネットワーク上のサービスに投稿されたメッセージから、開催される予定のイベントを示す開催予定イベント情報を取得するとの事項については、引用文献1~4のいずれにも記載されておらず、本願の出願日前において周知技術であったともいえない。
引用文献2(上記第4の2)には、「ツイートに含まれるテキストには、現在もしくは将来発生する現実世界のイベントに関連した単語(イベント関連単語)が含まれていると考えられる」こと、「ツイートを解析することにより、現実世界で発生しているイベントを検知」すること、そのために、「ツイートに含まれるテキストを形態素解析」して「イベント関連単語を抽出する」ことが記載されているが、本願発明1のように(現在開催中のイベントを除外した)「開催される予定のイベント」を示す開催予定イベント情報を取得することについては記載されていない。
引用文献3(同3)には、「ユーザが参加可能であるイベント」の案内情報をユーザの通知する技術が開示されているが、通信端末の通信量を示すトラヒック情報を出力する本願発明1のトラヒック予測装置とは技術分野が異なる。
また、同文献には、「SNSからイベント情報を取得」すること、「取得したイベント情報をイベント情報記憶部203に記録する」こと、「イベント情報記憶部203は、イベント情報データベースを記憶」すること(段落【0020】)、「イベント情報データベース」の「イベントに関する情報を表すレコード50」が、「キーワード、開催位置情報、開始日時、基準時刻、終了日時、イベント情報概要、リンク先及び連絡先」を有することが含まれること、「キーワードは、イベントを一意に識別する」こと(段落【0021】)、が記載されているが、「キーワード」は、「イベントを一意に識別する」から、「SNSからイベント情報を取得」する場合に、「キーワード」を取得することは自明であるとしても、「レコード50」の「キーワード」以外の全項目が常に「SNS」から取得できるとは考えにくい(例えば、「連絡先」は、「リンク先」を参照することで取得できると考えるのが自然である。)こと、日時の情報は、単体では何の日時であるかが特定できないこと、といった事情を考慮すると、「SNSから」「開始日時」を取得することは自明とはいえない。
そうすると、引用文献3に、開催される予定のイベントを示す開催予定イベント情報の取得元を「SNS」とすることが記載されているとまではいえない。
引用文献4(同4)には、所定エリアの混雑度を予測する技術が開示されているが、通信端末の通信量を示すトラヒック情報を出力する本願発明1のトラヒック予測装置とは技術分野が異なる。
また、同文献には、「ユーザ端末からの投稿情報PI」から「イベント情報EI」を「抽出」すること(段落【0019】)、「イベント情報EI」が「イベント名称、開催場所(緯度・経度)、および開催日時」の各項目を含むこと(段落【0018】)、が記載されているが、投稿情報からイベントの緯度や経度の情報が常に抽出できるとは考えにくい等の事情から、引用文献3と同様であって、引用文献4に、開催される予定のイベントを示す開催予定イベント情報の取得元を「投稿情報PI」とすることが記載されているとまではいえない。
また、仮に上記の事項が周知技術であったとしても、引用発明は、「事業者」である「公共情報提供者9000C」が「配信する」、「過去履歴情報」及び「予報情報」は、比較的信頼性が高く、安定的に提供される情報であるものと解されるところ、ネットワーク上のサービスに投稿されたメッセージは、通常、必ずしも信頼性が高いものではなく、安定的に取得可能でもないことから、引用発明において、当該情報の取得元をネットワーク上のサービスに投稿されたメッセージとすることについて、動機付けが存在するとはいえない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2~4に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本願発明2~15について
本願発明2~12,15はそれぞれ、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明13,14は、それぞれ、本願発明1に対応する「トラヒック予測プログラム」、「トラヒック予測方法」であるから、いずれも、本願発明1にと同様に、当業者であっても引用発明及び引用文献2~4に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、請求項1~15に係る発明は、引用文献1~4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-002592