特許拒絶査定不服審判
2022-000655
パッケージングシステム上に3Dマイクロ光学画像を印刷する方法
- 審判番号
- 2022-000655
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-569876
- 請求日
- 2022年01月14日
- 審決日
- 2023年03月23日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
- 【請求人代理人】弁理士法人谷・阿部特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 古屋野 浩志
- 審判官 藤本 義仁
- 審判官 比嘉 翔一
- 分類
- P18 .113-Z (B41M) / P18 .121-Z (B41M) / P18 .537-Z (B41M) / P18 .57 -Z (B41M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-569876「パッケージングシステム上に3Dマイクロ光学画像を印刷する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 1月10日国際公開、WO2019/010149、令和 2年 8月13日国内公表、特表2020-524097〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年7月3日(パリ条約による優先権主張2017年7月5日、欧州)を国際出願日とする出願であって、令和2年12月16日付けで拒絶理由が通知され、これに対して、令和3年3月19日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年9月10日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされたのに対し、令和4年1月14日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。
第2 令和4年1月14日に提出された手続補正書による補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和4年1月14日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を全文にわたって補正をするものであるところ、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の(すなわち、令和3年3月19日に提出された手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項1乃至17を、下記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1乃至16へと補正するものである。(下線は審決で付した。以下同じ。)
(1)本件補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】
パッケージングシステム上に3Dマイクロ光学画像を印刷する方法であって、
a.第1及び第2の主表面を有する基材を用意する工程と、
b.前記基材の前記第1の主表面の少なくとも一部に複数の画像を印刷して、印刷された第1の主表面を有する基材を用意する工程と、
c.前記基材の前記印刷された第1の主表面上に透明なワニス層を適用する工程であって、前記ワニス層は、前記基材の前記印刷された第1の主表面と接触している内側表面及び前記基材から離れる方向に面した外側表面を有する、工程と、
d.前記ワニス層の前記外側表面上に複数のレリーフ特徴部を形成する工程であって、前記レリーフ特徴部がマイクロレンズである、工程と、
を含み、
前記ワニス層上の前記レリーフ特徴部は、フレキソキャスティングプレートを使用するフィルムレスキャスティングプロセスによって形成される、方法。
【請求項2】
前記基材を前記フレキソキャスティングプレートに押し付けて前記ワニス層を転写し、それにより前記レリーフ特徴部を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基材を、前記フレキソキャスティングプレートと圧胴との間に挟むことによって、前記フレキソキャスティングプレートに押し付けて前記ワニス層を転写し、それにより前記レリーフ特徴部を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記レリーフ特徴部の前記マイクロレンズが、前記ワニス層から一体的に形成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記基材は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される剛性の非多孔質ポリマー材料である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記画像は、インクジェット印刷、インモールドラベリング、転写印刷、輪転グラビア、シルクスクリーン印刷、凸版印刷、オフセットリソグラフィ、及びフレキソ印刷から選択されるプロセスによって印刷される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記画像はマイクロ画像である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記画像は規則的なパターンで配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記画像のサイズは、少なくとも20μm、好ましくは20~300μmの範囲にあり、前記画像間の距離は、1μm~1mm、好ましくは5μm~100μm、より好ましくは10~50μmの範囲にある、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ワニスは、熱硬化性若しくは光硬化性、又はその両方であり、好ましくはUV硬化性であり、好ましくは前記ワニスはアクリルワニスである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記レリーフ特徴部は、50nm~150μm、好ましくは10~30μmの範囲の高さ、少なくとも20μm、好ましくは20~300μmの範囲の直径、及び部分球の形状を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記レリーフ特徴部と前記画像とは同一のパターンを有し、好ましくは画像の各々はレリーフ特徴部に重ね合わされており、前記レリーフ特徴部は前記画像と少なくとも同じ最大直径を有し前記画像の上部で中心に配置されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記画像は、フレキソ印刷プレートを使用してフレキソ印刷によって印刷されるか、若しくは前記レリーフ特徴部は、フレキソキャスティングプレートを使用するフィルムレスキャスティングプロセスによって形成されるか、又はその両方であり、前記フレキソ印刷プレート、前記フレキソキャスティングプレート、又はその両方は、射出成形、ブロー成形、エンボス加工、印刷、エングレービング、又はこれらの組み合わせを含むプロセスによって作製される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記フレキソ印刷プレート若しくは前記フレキソキャスティングプレート、又はその両方は可撓性であり、プラスチック材料、好ましくはポリプロピレンで作製されている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記フレキソ印刷プレート若しくは前記フレキソキャスティングプレート、又はその両方は、以下のステップ:
i.可撓性の、パターン付き基材を用意するステップと、
ii.前記パターン付き基材のパターン付き表面を未硬化の軟質フォトポリマープレート上に押圧して、未硬化の、パターン付きフォトポリマープレートを用意するステップと、
iii.前記未硬化の、パターン付きフォトポリマープレートを硬化させて、パターン付きフレキソプレートを用意するステップと、
を含むプロセスによって作製される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記フレキソキャスティングプレートは、以下のステップ:
(i)レーザーパルスエングレービングによって作製された、パターン付き剛性基材、好ましくはパターン付き鋼板を用意するステップと、
(ii)前記パターン付き剛性基材上に、射出成形プロセスで、ポリマー材料、好ましくはポリプロピレンを適用して、前記フレキソキャスティングプレートを用意するステップと、
を含むプロセスによって作製される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項17】
A.第1及び第2の主表面を有する基材と、
B.前記第1の主表面の少なくとも一部上の複数の画像と、
C.印刷された前記画像を重ね合わせた前記基材の前記第1の主表面上の透明なワニス層であって、前記透明なワニス層が前記基材の印刷された前記第1の主表面と接触している内側表面及び前記基材から離れる方向に面した外側表面を有する、透明なワニス層と、
を備える、3Dマイクロ光学画像パッケージングシステムであって、前記ワニス層は、前記ワニス層の前記外側表面上に複数のレリーフ特徴部を有し、前記レリーフ特徴部はマイクロレンズであり、
前記レリーフ特徴部の前記マイクロレンズが、前記ワニス層から一体的に形成されている、
3Dマイクロ光学画像パッケージングシステム。」
(2)本件補正後の特許請求の範囲
「【請求項1】
パッケージングシステム上に3Dマイクロ光学画像を印刷する方法であって、
a.第1及び第2の主表面を有する基材を用意する工程と、
b.前記基材の前記第1の主表面の少なくとも一部に複数の画像を印刷して、印刷された第1の主表面を有する基材を用意する工程と、
c.前記基材の前記印刷された第1の主表面上に透明なワニス層を適用する工程であって、前記ワニス層は、前記基材の前記印刷された第1の主表面と接触している内側表面及び前記基材から離れる方向に面した外側表面を有する、工程と、
d.前記ワニス層の前記外側表面上に複数のレリーフ特徴部を形成する工程であって、前記レリーフ特徴部がマイクロレンズである、工程と、
を含み、
前記画像は、フレキソ印刷プレートを使用してフレキソ印刷によって印刷され、前記レリーフ特徴部は、フレキソキャスティングプレートを使用して形成され、前記フレキソ印刷プレート、前記フレキソキャスティングプレート、又はその両方は、射出成形、ブロー成形、エンボス加工、印刷、エングレービング、又はこれらの組み合わせを含むプロセスによって作製される、方法。
【請求項2】
前記基材を前記フレキソキャスティングプレートに押し付けて前記ワニス層を転写し、それにより前記レリーフ特徴部を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基材を、前記フレキソキャスティングプレートと圧胴との間に挟むことによって、前記フレキソキャスティングプレートに押し付けて前記ワニス層を転写し、それにより前記レリーフ特徴部を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記レリーフ特徴部の前記マイクロレンズが、前記ワニス層から一体的に形成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記基材は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される剛性の非多孔質ポリマー材料である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記画像は、インクジェット印刷、インモールドラベリング、転写印刷、輪転グラビア、シルクスクリーン印刷、凸版印刷、オフセットリソグラフィ、及びフレキソ印刷から選択されるプロセスによって印刷される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記画像はマイクロ画像である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記画像は規則的なパターンで配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記画像のサイズは、少なくとも20μm、好ましくは20~300μmの範囲にあり、前記画像間の距離は、1μm~1mm、好ましくは5μm~100μm、より好ましくは10~50μmの範囲にある、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ワニスは、熱硬化性若しくは光硬化性、又はその両方であり、好ましくはUV硬化性であり、好ましくは前記ワニスはアクリルワニスである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記レリーフ特徴部は、50nm~150μm、好ましくは10~30μmの範囲の高さ、少なくとも20μm、好ましくは20~300μmの範囲の直径、及び部分球の形状を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記レリーフ特徴部と前記画像とは同一のパターンを有し、好ましくは画像の各々はレリーフ特徴部に重ね合わされており、前記レリーフ特徴部は前記画像と少なくとも同じ最大直径を有し前記画像の上部で中心に配置されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記フレキソ印刷プレート若しくは前記フレキソキャスティングプレート、又はその両方は可撓性であり、プラスチック材料、好ましくはポリプロピレンで作製されている、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記フレキソ印刷プレート若しくは前記フレキソキャスティングプレート、又はその両方は、以下のステップ:
i.可撓性の、パターン付き基材を用意するステップと、
ii.前記パターン付き基材のパターン付き表面を未硬化の軟質フォトポリマープレート上に押圧して、未硬化の、パターン付きフォトポリマープレートを用意するステップと、
iii.前記未硬化の、パターン付きフォトポリマープレートを硬化させて、パターン付きフレキソプレートを用意するステップと、
を含むプロセスによって作製される、請求項1又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記フレキソキャスティングプレートは、以下のステップ:
(i)レーザーパルスエングレービングによって作製された、パターン付き剛性基材、好ましくはパターン付き鋼板を用意するステップと、
(ii)前記パターン付き剛性基材上に、射出成形プロセスで、ポリマー材料、好ましくはポリプロピレンを適用して、前記フレキソキャスティングプレートを用意するステップと、
を含むプロセスによって作製される、請求項1又は13に記載の方法。
【請求項16】
A.第1及び第2の主表面を有する基材と、
B.前記第1の主表面の少なくとも一部上の複数の画像と、
C.印刷された前記画像を重ね合わせた前記基材の前記第1の主表面上の透明なワニス層であって、前記透明なワニス層が前記基材の印刷された前記第1の主表面と接触している内側表面及び前記基材から離れる方向に面した外側表面を有する、透明なワニス層と、
を備える、3Dマイクロ光学画像パッケージングシステムであって、前記ワニス層は、前記ワニス層の前記外側表面上に複数のレリーフ特徴部を有し、前記レリーフ特徴部はマイクロレンズであり、前記画像は、フレキソ印刷プレートを使用してフレキソ印刷によって印刷され、前記レリーフ特徴部は、フレキソキャスティングプレートを使用して形成され、前記フレキソ印刷プレート、前記フレキソキャスティングプレート、又はその両方は、射出成形、ブロー成形、エンボス加工、印刷、エングレービング、又はこれらの組み合わせを含むプロセスによって作製されており、前記レリーフ特徴部の前記マイクロレンズが、前記ワニス層から一体的に形成されている、
3Dマイクロ光学画像パッケージングシステム。」
2 補正の適否について
(1)本件補正事項
本件補正は、本件補正前の請求項17の「3Dマイクロ光学画像パッケージングシステム」の発明特定事項である「画像」について、「前記画像は、フレキソ印刷プレートを使用してフレキソ印刷によって印刷され、前記レリーフ特徴部は、フレキソキャスティングプレートを使用して形成され、前記フレキソ印刷プレート、前記フレキソキャスティングプレート、又はその両方は、射出成形、ブロー成形、エンボス加工、印刷、エングレービング、又はこれらの組み合わせを含むプロセスによって作製されており、」へと補正するもの(以下「補正事項」という。)を含む。
(2)補正目的について
ア 特許法第17条の2第5項の規定によれば、拒絶査定不服審判の請求と同時にする特許請求の範囲についての補正は、請求項の削除(第1号)、特許請求の範囲の減縮(第2号)、誤記の訂正(第3号)、明瞭でない記載の釈明(第4号)のいずれかを目的とするものに限るとされている。
イ そこで、補正事項について、以下、検討する。
ウ 上記補正事項は、「前記画像は、フレキソ印刷プレートを使用してフレキソ印刷によって印刷され、前記レリーフ特徴部は、フレキソキャスティングプレートを使用して形成され、前記フレキソ印刷プレート、前記フレキソキャスティングプレート、又はその両方は、射出成形、ブロー成形、エンボス加工、印刷、エングレービング、又はこれらの組み合わせを含むプロセスによって作製されており、」と下線で強調したとおり、「画像」、「レリーフ特徴部」、「フレキソ印刷プレート」及び「フレキソキャスティングプレート」の形成方法又は作製方法を特定する事項である。
エ 他方、補正事項が、「画像」、「レリーフ特徴部」、「フレキソ印刷プレート」及び「フレキソキャスティングプレート」の構造又は特性を表しているものではないことは、特許請求の範囲、明細書、及び図面の記載や技術常識から明らかである。
オ そうすると、補正事項は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項17に記載された発明特定事項である「画像」、「レリーフ特徴部」、「フレキソ印刷プレート」及び「フレキソキャスティングプレート」をさらに限定するものとはいえないのであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。
カ また、補正事項が、同項第1、3、4の各号に掲げられた、いずれの目的とするものにも該当しないことは明らかである。
キ してみると、補正事項は、同項第1号乃至第4号に掲げられたいずれを目的とするものにも該当しない。
よって、補正事項を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定を満たすものではない。
3 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
4 独立特許要件について
上記のとおり、本件補正前の請求項17に係る補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮(いわゆる限定的減縮)を目的とするものに該当するものではないが、念のため、本件補正後の請求項17に係る補正が限定的減縮であると仮定して、本件補正後の請求項16に係る発明(令和4年1月14日に提出された手続補正書の特許請求の範囲に記載された事項により特定される、上記「1 (2)本件補正後の特許請求の範囲」の請求項16に係る発明(以下、「本願補正発明」という。))が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。
(1)本願補正発明
本件補正発明は、上記「1 (2)」に示した本件補正後の請求項16に記載された事項により特定されるものと認められる。
(2)明確性要件
ア 上記2(2)のとおり、「前記画像は、フレキソ印刷プレートを使用してフレキソ印刷によって印刷され、前記レリーフ特徴部は、フレキソキャスティングプレートを使用して形成され、前記フレキソ印刷プレート、前記フレキソキャスティングプレート、又はその両方は、射出成形、ブロー成形、エンボス加工、印刷、エングレービング、又はこれらの組み合わせを含むプロセスによって作製されており、」との特定事項は、「画像」、「レリーフ特徴部」、「フレキソ印刷プレート」及び「フレキソキャスティングプレート」の構造や特性との関係が不明である。
イ また、本件特許出願において、「画像」、「レリーフ特徴部」、「フレキソ印刷プレート」及び「フレキソキャスティングプレート」が形成方法又は作製方法の違いにより、その構造又は特性が、異なるものとも認められない。
ウ 他方、審判請求書の主張を参酌しても、本件特許出願時において、「画像」、「レリーフ特徴部」、「フレキソ印刷プレート」及び「フレキソキャスティングプレート」について、これらの構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情が存在するものとも認められない。
エ そうすると、「前記画像が、フレキソ印刷プレートを使用してフレキソ印刷によって印刷され、前記レリーフ特徴部は、フレキソキャスティングプレートを使用して形成され、前記フレキソ印刷プレート、前記フレキソキャスティングプレート、又はその両方は、射出成形、ブロー成形、エンボス加工、印刷、エングレービング、又はこれらの組み合わせを含むプロセスによって作製されており、」との特定事項は、本願の「画像」、「レリーフ特徴部」、「フレキソ印刷プレート」及び「フレキソキャスティングプレート」について、その構造又は特性を表すものではないと解するのが相当である。
オ してみると、「前記画像が、フレキソ印刷プレートを使用してフレキソ印刷によって印刷され、前記レリーフ特徴部は、フレキソキャスティングプレートを使用して形成され、前記フレキソ印刷プレート、前記フレキソキャスティングプレート、又はその両方は、射出成形、ブロー成形、エンボス加工、印刷、エングレービング、又はこれらの組み合わせを含むプロセスによって作製されており、」との特定事項は、不明確であるから、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしておらず、訂正後の請求項16に係る発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものではない。
(3)引用例
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願日前である平成23年9月15日に頒布された刊行物である特開2011-180444号公報(以下「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は立体画像形成装置及び立体画像形成方法に関し、特に記録媒体上にレンチキュラーレンズやマイクロレンズアレイを一体形成する立体画像形成装置及び立体画像形成方法に関する。
上記本発明は、3Dカメラに対応したフォトプリント分野、立体画像やパラパラアニメの大型看板を用いるサイン・ディスプレイ分野、ダイレクトメールなどの広告用途のプロダクションプリンティング分野などへの応用が可能である。
また、幅広い記録媒体に画像形成を行うことができるため、例えば各種紙、金属、缶、プラスチック、木質材、無機質材、塗装板、ラミネート板、PETフィルムなどへの印刷、エンボス加工や点字、三次元形状などの凹凸を形成する分野にも適した技術である。」
イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、コストを低減できる簡単な操作で、シート厚みが薄い良好な立体画像を形成できる立体画像形成装置及び立体画像形成方法の提供を目的とする。」
ウ 「【0010】
図2は、本発明によって形成される立体画像シートの他の例を示す断面図である。
この立体画像シートは、マイクロレンズアレイを利用したものであり、記録媒体100の上に分割画像104が形成され、その上にマイクロレンズアレイ120が形成されている。マイクロレンズアレイ120は、シート層121と、分割画像104に対応させて1つずつ形成された複数のマイクロレンズ部122とで構成されている。レンチキュラーレンズを用いた場合は1方向のみの立体画像が得られるのに対し、マイクロレンズアレイを用いたインテグラルフォトグラフィーの場合は、上下左右などの全方向からの立体画像が得られる。
【0011】
図3は、本発明の立体画像形成装置の一例を示す説明図(斜視図)である。
この立体画像形成装置は、架台200上に、記録媒体100を保持するステージ201を有し、このステージ201はY軸駆動手段202によってY方向に移動可能に配設されている。また、ステージ201は記録媒体を吸引或いは静電力などで吸着保持する吸着手段(不図示)を備えている。
一方、ステージ201の上方には、記録媒体100上に立体画像を形成する立体画像形成手段210が配置されている。
この立体画像形成手段210は、ヘッドベース211上に、着色インクを吐出させる液体吐出ヘッドからなる画像印刷用ヘッド212と、光硬化型の透明樹脂インクを吐出させる液体吐出ヘッドからなる、シート層形成用ヘッド213及びレンズ部形成用ヘッド218と、透明樹脂インクを光硬化させるための硬化用光照射ランプ215、219が搭載されている。
画像印刷用ヘッド212、シート層形成用ヘッド213、レンズ部形成用ヘッド218には、それぞれインクタンク(不図示)から着色インク供給用パイプ216、シート層形成用透明樹脂インク供給パイプ217、レンズ部形成用透明樹脂インク供給パイプ220を介してインクが供給される。また、図3では、光硬化型の着色樹脂インクを用いる場合の例として、該インクを硬化するための硬化用光照射ランプ214が搭載されている。」
エ 「【0013】
次に、上記立体画像形成装置を用いた本発明の立体画像形成方法の一例(第1実施形態)を図4に示す。なお、この図は分割画像とレンチキュラーレンズを連続して形成するプロセス(工程)を説明するための概略図である。
図4(a)は記録媒体100上に分割画像101を印刷する工程を示す。ここでは画像印刷用ヘッド212から記録媒体100上に着色樹脂インク301を吐出させて分割画像101を印刷し、硬化用光照射ランプ214で光を照射して着色樹脂インク301を硬化させる。
記録媒体100の材料としては特に限定は無く、浸透性、非浸透性を問わず幅広い材料を用いることができ、例えば、各種紙、金属、缶、プラスチック、木質材、無機質材、塗装板、ラミネート板、PETフィルムなどが挙げられる。また、着色樹脂インクも特に限定されず、水性顔料インクなど公知の種々のインクを用いることができる。
また、分割画像101は、左右の目の位置から撮影したデジタル画像ファイルをパソコンで処理して1枚の分割画像に変換した。
なお、分割画像の作製方法としては、上記したインク吐出ヘッドを用いる方式に限られるわけではなく、電子写真方式、昇華型印刷方式、オフセット印刷、フレキソ印刷などの公知の種々の方式を採用することができる。
【0014】
図4(b)は分割画像101を形成した記録媒体100上にシート層111を形成する工程を示す。
上記分割画像101を形成した記録媒体100上に、シート層形成用ヘッド213から光硬化型のシート層形成用透明樹脂インク302を吐出し、続いて、硬化用光照射ランプ215で光を照射して硬化させ、均一な厚さを有する平坦なシート層111を形成する。シート層111の厚さは透明樹脂の屈折率とレンズ部の曲率半径を考慮して適宜決定するが、通常は0.3~2mm程度とする。
シート層形成用透明樹脂インク302の樹脂を構成するモノマーとしては、光照射によりラジカル重合又はカチオン重合する化合物が挙げられる。ラジカル重合性モノマーとしては(メタ)アクリレート類が、カチオン重合性モノマーとしてはオキセタン、脂環式エポキシ類などが代表的である。中でも、手持屈折率計R5000(アタゴ社製)を用いた屈折率の測定において約1.45以上の樹脂が得られるものが適している。」
オ 「【0018】
図4(c)はシート層111上にレンチキュラーレンズ部112を形成する工程を示す。
図3も参照して説明すると、レンズ部形成用ヘッド218を用いて、シート層111上にレンズ部形成用透明樹脂インク303を塗布し、続いて、硬化用光照射ランプ219で光を照射して硬化させ、レンチキュラーレンズ部112を形成する。このとき、レンズ部形成用透明樹脂インク303を、移動する記録媒体100に対して一定間隔で塗布し、光を照射して硬化させれば、図5に示すような、均一な蒲鉾(かまぼこ)状のレンチキュラーレンズ部112が形成される。
レンチキュラーレンズ部112形成用の光硬化型透明樹脂インクの樹脂を構成するモノマーとしては、光照射によりラジカル重合又はカチオン重合する化合物が挙げられる。ラジカル重合性モノマーとしては(メタ)アクリレート類が、カチオン重合性モノマーとしてはオキセタン、脂環式エポキシ類などが代表的である。中でも、手持屈折率計R5000(アタゴ社製)を用いた屈折率の測定において約1.50以上の樹脂が得られるものが適している。
【0019】
上記モノマーの具体例としては次のようなものが挙げられる。なお、各製品の屈折率を製品名の後に示した。
SR349〔エトキシ化(3)ビスフェノールAジアクリレート〕…1.543、SR602〔エトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレート〕…1.514(以上、サートマー社製)、ライトアクリレートPO-A(フェノキシエチルアクリレート)…1.5099(共栄社化学社製)、M-208(ビスフェノールF EO変性アクリレート)…1.539(東亞合成社製)、KAYARAD R-712…1.541(日本化薬社製)、V#160(ベンジルアルコール)…1.517、V#192(フェノキシエチルアクリレート)…1.519、1-AdA(1―アダマンチルアクリレート)…1.50、1-AdMA(1―アダマンチルメタクリレート)…1.50(以上、大阪有機化学工業社製)、PHE(フェノキシエチルアクリレート)…1.519、PHE-2(EO変性フェノールアクリレート)…1.509、PHE-2D(GX-8119D)(フェノキシジエチレングリコールアクリレート)…1.510、PHE-4(EO変性フェノールアクリレート)、BR-30(トリブロモフェニルアクリレート)…1.567、BR-31(GX-6099)(EO変性トリブロモフェニルアクリレート)…1.564、BR-42M(GX-6094)(EO変性テトラブロモビスフェノールAジメタクリレート)…1.564(以上、第一工業製薬社製)。
この内、ライトアクリレートPO-A、V#160、V#192、1-AdA、1-AdMA、PHE、PHE-2、PHE-2D(GX-8119D)、PHE-4、BR-30、BR-31(GX-6099)、BR-42M(GX-6094)は、粘度が低く、常温又は数十℃に加温することにより、インクジェットヘッドで吐出することが可能である。インクジェット方式で塗布できることにより、記録媒体に記録された着色画像の画質(解像度)に合わせて、レンズ形状を任意に変更することが可能となる。
レンチキュラーレンズ部112形成用の光硬化型透明樹脂インクの光重合開始剤及び硬化用光照射ランプは、シート層111形成用の光硬化型透明樹脂インクにおいて説明したものと同様のものを用いることができる。」
カ 「【0021】
次に、本発明の立体画像形成方法の第2実施形態について図2、図6を参照して説明する。図6は、本発明によって形成されるマイクロレンズアレイを利用した立体画像シートの一例を示す斜視図である。
まず、前記第1実施形態で説明した図4(a)、(b)と同様の工程により、記録媒体100上に分割画像104を形成した後、均一な厚さを有するシート層111を形成する。
次に、図4(c)に示したレンズ部形成用ヘッド218からレンズ部形成用透明樹脂インク303を吐出し、マイクロレンズ部122を形成して、マイクロレンズアレイ120を作製する。
このようにして、立体画像とマイクロレンズアレイの連続形成を行うことで、ピッチ及び形状が均一なマイクロレンズアレイが形成でき、より高精度、高精細なマイクロレンズアレイを形成することができる。」
キ 「【図2】
[図:0001401001000001.jpg]
」
ク 上記オより、マイクロレンズアレイ120は、分割画像104を形成した後、シート層形成用ヘッド213から光硬化型のシート層形成用透明樹脂インク302が吐出され、硬化され、レンズ部形成用ヘッド218からレンズ部形成用透明樹脂インク303が吐出され、硬化されてマイクロレンズ部122が形成されるまで連続形成されたものであって、「シート層形成用透明樹脂インク302」と「レンズ部形成用透明樹脂インク303」とは同材料であることから、マイクロレンズアレイ120は、一体的に透明樹脂インクで構成されたものであると認める。
ケ 上記キ【図2】より、分割画像104は複数形成され、マイクロレンズ部122は、マイクロレンズアレイ120の外側表面上に形成されているものと認める。
上記ア乃至キの記載事項、並びにク及びケの認定事項から、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「記録媒体100の上に、インク吐出ヘッドを用いる方式、電子写真方式、昇華型印刷方式、オフセット印刷、フレキソ印刷などの公知の種々の方式により、複数の分割画像104が形成され、その上に透明なマイクロレンズアレイ120が形成されている立体画像シートであって、
透明なマイクロレンズアレイ120は、シート層121と、外側表面には、複数の分割画像104に対応させて1つずつ形成された複数のマイクロレンズ部122とで一体的に透明樹脂インクで構成されている、
立体画像シート。」
(4)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
ア 後者の「記録媒体100」、「複数の分割画像104」、「マイクロレンズ部122」は、それぞれ、前者の「基材」、「複数の画像」、「マイクロレンズであるレリーフ特徴部」に相当する。
イ 後者の「記録媒体100」が2つの主表面を有することは明らかである。
ウ 後者の「複数の分割画像104」は、記録媒体100の上にフレキソ印刷で形成されたものであるから、前者の「画像」と後者の「分割画像104」とは、フレキソ印刷によって印刷され、記録媒体100の一方の主表面(第1の主表面)の上である点で共通する。
エ 後者の「マイクロレンズアレイ120」は、分割画像104上に形成されたものであるから、記録媒体100の一方の主表面(第1の主表面)の上のものであって、分割画像104が形成されていない箇所は、記録媒体100とマイクロレンズアレイ120とが接触していることは明らかである。
また、後者の「透明なマイクロレンズアレイ120」は、「シート層121」と、外側表面に、「複数の分割画像104に対応させて1つずつ形成された複数のマイクロレンズ部122」とを「一体的に透明樹脂インクで構成」したものであるから、前者の「透明なワニス層」と後者の「透明なマイクロレンズアレイ120」とは、「外側表面上に複数のレリーフ特徴部を有し、前記レリーフ特徴部はマイクロレンズ」であるとの概念で一致する。
さらに、後者の「透明なマイクロレンズアレイ120」は、「記録媒体100の上」で、「複数の分割画像104が形成され」たその上に形成さたものであるから、前者の「透明なワニス層」と後者の「透明なマイクロレンズアレイ120」とは、「印刷された画像を重ね合わせた基材の第1の主表面上の」ものであって、「前記基材の印刷された前記第1の主表面と接触している内側表面及び前記基材から離れる方向に面した外側表面を有する」との概念で一致する。
オ 後者の「マイクロレンズ部122」は、透明なマイクロレンズアレイ120の外側表面に形成されたものであるから、「マイクロレンズ部122」は、透明なマイクロレンズアレイ120の一部として「一体的に形成」されているといえる。
そうすると、前者の「透明なワニス層」と後者の「透明なマイクロレンズアレイ120」とは、外側表面上に複数のレリーフ特徴部を有し、前記レリーフ特徴部はマイクロレンズであるとの概念で一致する。
カ 後者の「立体画像シート」は、「記録媒体100」の上に、「複数の分割画像104」が形成され、その上に「透明なマイクロレンズアレイ120」が形成されたものであるから、前者の「3Dマイクロ光学画像パッケージングシステム」と後者の「立体画像シート」とは、「基材」と、「複数の画像」と、「透明なワニス層」とを備えたものとの概念で一致する。
そうすると、本願補正発明と引用発明とは、
[一致点]
「A.第1及び第2の主表面を有する基材と、
B.前記第1の主表面の少なくとも一部上の複数の画像と、
C.印刷された前記画像を重ね合わせた前記基材の前記第1の主表面上の透明なワニス層であって、前記透明なワニス層が前記基材の印刷された前記第1の主表面と接触している内側表面及び前記基材から離れる方向に面した外側表面を有する、透明なワニス層と、
を備える、3Dマイクロ光学画像パッケージングシステムであって、前記ワニス層は、前記ワニス層の前記外側表面上に複数のレリーフ特徴部を有し、前記レリーフ特徴部はマイクロレンズであり、前記画像は、フレキソ印刷プレートを使用してフレキソ印刷によって印刷され、前記レリーフ特徴部の前記マイクロレンズが、前記ワニス層から一体的に形成されている、
3Dマイクロ光学画像パッケージングシステム。」
で一致し、以下の点で一応相違する。
[一応の相違点]
本願補正発明が、「前記レリーフ特徴部は、フレキソキャスティングプレートを使用して形成され、前記フレキソ印刷プレート、前記フレキソキャスティングプレート、又はその両方は、射出成形、ブロー成形、エンボス加工、印刷、エングレービング、又はこれらの組み合わせを含むプロセスによって作製されており」ものであるのに対し、引用発明は、その点が定かでない点。
(5)判断
(2)エのとおり、「前記レリーフ特徴部は、フレキソキャスティングプレートを使用して形成され、前記フレキソ印刷プレート、前記フレキソキャスティングプレート、又はその両方は、射出成形、ブロー成形、エンボス加工、印刷、エングレービング、又はこれらの組み合わせを含むプロセスによって作製されており、」との特定事項は、本願の「レリーフ特徴部」、「フレキソ印刷プレート」及び「フレキソキャスティングプレート」について、その構造又は特性を表すものではない。
そうすると、本願補正発明の「レリーフ特徴部」と、引用発明の「マイクロレンズ部122」とは、構造及び特性において何ら差異が無い、すなわち、物として同一と認められるから、上記一応の相違点は、実質的な相違点とは認められない。
仮に、上記一応の相違点が実質的な相違点であったとしても、フレキソキャスティングプレートを使用してレリーフ特徴部を形成すること、フレキソ印刷プレート及びフレキソキャスティングプレートを射出成形、ブロー成形、エンボス加工、印刷、エングレービング、又はこれらの組み合わせを含むプロセスによって作製することは、例を示すまでもなく、周知の技術手段であるから、上記一応の相違点は、当業者が容易になし得る程度のものである。
したがって、本願補正発明の発明特定事項は、すべて引用発明が備えているから、本願補正発明と、引用発明とに差異はないか、少なくとも、当業者が容易に想到し得るものである。
したがって、本願補正発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないか、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができない。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下された。
本願の請求項17に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和3年3月19日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項17に記載された事項により特定される、以下のとおりのものと認める。
「【請求項17】
A.第1及び第2の主表面を有する基材と、
B.前記第1の主表面の少なくとも一部上の複数の画像と、
C.印刷された前記画像を重ね合わせた前記基材の前記第1の主表面上の透明なワニス層であって、前記透明なワニス層が前記基材の印刷された前記第1の主表面と接触している内側表面及び前記基材から離れる方向に面した外側表面を有する、透明なワニス層と、
を備える、3Dマイクロ光学画像パッケージングシステムであって、前記ワニス層は、前記ワニス層の前記外側表面上に複数のレリーフ特徴部を有し、前記レリーフ特徴部はマイクロレンズであり、
前記レリーフ特徴部の前記マイクロレンズが、前記ワニス層から一体的に形成されている、
3Dマイクロ光学画像パッケージングシステム。」
2 原査定の拒絶の理由
原査定の理由とされた、令和2年12月16日付け拒絶理由通知書に記載した理由の概要は、以下のものを含むものである。
(新規性)この出願の請求項15に係る発明(拒絶査定時の請求項17(本願発明)に対応)は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された特開2011-180444号公報に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(進歩性)この出願の請求項15に係る発明(拒絶査定時の請求項17(本願発明)に対応)は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された特開2011-180444号公報に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
3 引用例
令和2年12月16日付けの拒絶理由通知書で引用された引用例、及び、その記載内容は上記「第2 4(3)」に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、実質的に、本件補正発明の「前記画像が、フレキソ印刷プレートを使用してフレキソ印刷によって印刷され、前記レリーフ特徴部は、フレキソキャスティングプレートを使用して形成され、前記フレキソ印刷プレート、前記フレキソキャスティングプレート、又はその両方は、射出成形、ブロー成形、エンボス加工、印刷、エングレービング、又はこれらの組み合わせを含むプロセスによって作製されており、」との事項を削除したものである。
そうすると、本願発明と引用発明とを対比すると、上記「第2 4(4)対比」での検討を勘案すると、両者は、
[一致点]
「A.第1及び第2の主表面を有する基材と、
B.前記第1の主表面の少なくとも一部上の複数の画像と、
C.印刷された前記画像を重ね合わせた前記基材の前記第1の主表面上の透明なワニス層であって、前記透明なワニス層が前記基材の印刷された前記第1の主表面と接触している内側表面及び前記基材から離れる方向に面した外側表面を有する、透明なワニス層と、
を備える、3Dマイクロ光学画像パッケージングシステムであって、前記ワニス層は、前記ワニス層の前記外側表面上に複数のレリーフ特徴部を有し、前記レリーフ特徴部はマイクロレンズであり、前記レリーフ特徴部の前記マイクロレンズが、前記ワニス層から一体的に形成されている、
3Dマイクロ光学画像パッケージングシステム。」
で一致する。
したがって、本願発明の発明特定事項は、すべて引用発明が備えているから、本願発明と、引用発明とに差異はない。
したがって、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用例に記載されたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-000655