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特許拒絶査定不服審判

2023-017854

配管容積の算出方法、及び、流量制御機器又は流量計測機器の校正器

審判番号
2023-017854
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-525551
請求日
2023年10月20日
審決日
2024年12月11日
公報発行日
2025年02月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社堀場エステック
  • 【請求人代理人】西村 竜平
  • 【請求人代理人】齊藤 真大
審判長/審判官
  • 審判長 濱野 隆
  • 審判官 中塚 直樹
  • 審判官 谷垣 圭二
分類
P18 .121-Z (G01F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

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特願2020-525551「配管容積の算出方法、及び、流量制御機器又は流量計測機器の校正器」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年12月19日国際公開、WO2019/240075〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2019年(令和元年)6月10日を国際出願日とする日本語特許出願であって(優先権主張 平成30年6月15日)、その手続の経緯の概略は、以下のとおりである。 令和5年 2月28日付け:拒絶理由通知書 同年 4月20日 :意見書、手続補正書の提出 同年 7月19日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月25日 :原査定の謄本の送達) 同年10月20日 :審判請求書、手続補正書の提出 なお、平成30年6月15日を以下「優先日」という。 第2 本願発明 本願の請求項1~3に係る発明は、令和5年10月20日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次の記載により特定されるとおりのものである。 なお、検討の便宜上、本願発明の構成を次のように構成Xと構成Aから構成Hまでに分説した。 <本願発明> 「【請求項1】 (構成A)流量制御機器により所定の設定流量に制御した流体を配管部材を介して容器に導き、当該容器内の圧力の時間変化率を算出する第1算出ステップと、 (構成B)流体が導かれる容器の容積、流体が導かれる容器の数、流体の温度、又は流体の種類の何れかを前記第1算出ステップとは異ならせて、前記流量制御機器により前記設定流量に制御した流体を配管部材を介して容器に導き、当該容器内の圧力の時間変化率を算出する第2算出ステップと、 (構成C)前記第1算出ステップにおいて算出された圧力の時間変化率及び前記第2算出ステップにおいて算出された圧力の時間変化率に基づいて前記配管部材の容積を算出する管容積算出ステップとを備え、 (構成D)前記第1算出ステップにおいて前記流体が導かれる前記容器に接続されている前記配管部材とは別の配管の容積が既知であり、 (構成E)前記第2算出ステップにおいて前記流体が導かれる前記容器に接続されている前記配管部材とは別の配管の容積が既知であり、 (構成F)容積が互いに異なる第1容器及び第2容器を並列に接続し、 (構成G)前記第1算出ステップにおいて、前記流量制御機器により前記設定流量に制御された流体を、前記第2容器に導くことなく、前記第1容器に導き、 (構成H)前記第2算出ステップにおいて、前記流量制御機器により前記設定流量に制御された流体を、前記第1容器に導くことなく、前記第2容器に導く、 (構成X)算出方法。」 第3 原査定の概要 原査定の本願発明に係る拒絶の理由2の概要は、次のとおりである。 (進歩性の欠如)本願発明は、下記の引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.特表2010-531999号公報 引用文献2.特開平07-281760号公報(主たる引用文献) 第4 当審の判断 1 引用文献の記載事項並びに引用発明及び技術常識1の認定 (1) 引用文献2の記載事項及び引用発明の認定 ア 引用文献2の記載事項 原査定の拒絶の理由において引用された特開平07-281760号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。 なお、下線は当審が付した。以下同様である。 (ア) 段落【0001】 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、半導体製造プロセスにおけるガスシステムに使用するマスフローコントローラの流量検定に関し、さらに詳細にはシステム中に組み込んだ状態でのマスフローコントローラが計測する絶対流量の計測精度の検定が可能な絶対流量検定システムに関するものである。」 (イ) 段落【0016】~【0023】、【図1】、【図3】~【図4】 「【0016】 【実施例】以下、本発明のガス実流量検定システムを具体化してガス配管系に組み込んだ一実施例を図面を参照して説明する。図3は本発明にかかるガス実流量検定システムを組み込んだガスシステムのブロック図である。図3においては、2種類のプロセスガス(A,B)がそれぞれマスフローコントローラ(11A,11B)を挟む第1開閉弁(15A,15B)と第2開閉弁(2A,2B)とを通してプロセスチャンバ5A,5Bに供給されるようになっている。一方、マスフローコントローラ11を窒素ガスでパージするための窒素ガス供給ラインが、窒素ガスタンクから、レギュレタ32、フィルタ33、パージ弁17を介して、連結用開閉弁(4A,4B)を経て各ガスラインに合流している。また、パージ弁17と連結用開閉弁4の間の配管には、圧力センサ13が接続している。また、パージ弁17と連結用開閉弁4の間の配管には、計測用開閉弁14を介して計測用ガスタンク12が接続している。ここで、連結用開閉弁4A,4Bを設けているのは、マスフローコントローラ11A,11Bを個別に検定するためである。すなわち、マスフローコントローラ11Aを検定する場合は、連結用開閉弁4Aのみ開とし、他の連結用開閉弁4B等を閉じて使用する。圧力センサ13は、マスフローコントローラ11の入口側の配管における窒素ガスの圧力を計測するものである。プロセスチャンバ5A,5Bは、ドライエッチング、気相成膜、熱酸化等を行うためのものである。」 「【図3】 [図:0001418901000001.jpg] 」 「【0017】この計測用ガスタンク12を含む窒素ガスの配管系の構成を簡略化して示すと、図1のようになる。すなわち、パージ弁17とマスフローコントローラ11の間のマスフローコントローラ入口配管16上にあって、所定圧力P1の窒素ガスを蓄える計測用ガスタンク12が配設されている。また、計測用ガスタンク12とマスフローコントローラ入口配管16との間に計測用開閉弁14が配設されている。また、マスフローコントローラ入口配管16には、マスフローコントローラ11の入口側の圧力を計測する圧力センサ13が配設されている。一方、パージ弁17はパイロット式開閉弁であって、パージ弁17を駆動するためのエアを供給、遮断する電磁弁21が接続されている。」 「【図1】 [図:0001418901000002.jpg] 」 「【0018】次に、本システムの制御装置の構成について図2(当審注:「図3」の誤記。)により説明する。流量検定制御装置22は、演算手段であるCPU23、入出力インターフェイスであるI/O24、アナログデータをデジタルデータに変換するためのA/Dコンバータ25、表示装置26、上位コンピュータとのインターフェイスであるI/O27により構成されている。ここで、図2(当審注:「図3」の誤記。)のCPU23には、制御プログラムを記憶しているROM、及び一時的にデータ等を記憶するRAMを含んでいる。圧力センサ13の出力は、A/Dコンバータ25に接続されている。また、電磁弁21は、I/O24に接続している。一方、流量検定制御装置22は、プロセス全体を制御している上位コンピュータ28に接続している。すなわち、I/O27はデータ通信線31を介して、上位コンピュータ28側のインターフェイスであるI/O29に接続している。I/O29は、上位コンピュータ28のCPU30に接続している。 【0019】次に、上記構成を有するマスフローコントローラの絶対流量検定システムの作用を説明する。始めに、通常プロセスの作用を説明する。かかるガスシステムにおいて通常のプロセスレシピを実行する際には、遮断弁(4A,4B)を閉として、計測用ガスタンク12からの窒素ガスが各ガスラインに流れることがなく、かつ、各プロセスガスが圧力センサ13の方に逆流することのないようにした上で、各マスフローコントローラ11に設定電圧を印加し、必要な第1開閉弁15及び第2開閉弁2を開として、プロセスチャンバ5に各プロセスガスを必要な流量だけ流す。プロセスチャンバ5内には、処理しようとするウェハが収納されており、適宜加熱、プラズマ印加等を行い、プロセスガスの作用と併せて必要な処理が行われる。 【0020】さて、かかるガスシステムにおいて、マスフローコントローラ11Aを新品に交換した場合を考える。一般にマスフローコントローラは内部に細管を有するので、同一形式のものであっても、その印加電圧と実絶対流量との関係の個体差は無視しえず、システムに組み込んだ状態での実際の絶対流量を計測して、必要とする流量に対する印加電圧を設定し直しておくのが、プロセスの良好な操業を図る上で望ましい。また、実レシピを多数回数実行することにより、細管の詰まり等により、マスフローコントローラ11の特性が変化することがあるので、絶対流量の精度が品質に直接与える影響のきわめて大きい半導体製造工程においては、必要に応じてマスフローコントローラ11が計測する絶対流量を検定することが必要である。本実施例のガスシステムでは、ガス絶対流量検定システムが組み込まれているので、各マスフローコントローラ(11A,11B)のガス絶対流量を計測し、マスフローコントローラ11の精度を確認することができる。 【0021】本実施例のガスシステムにおけるガス実流量計測の手順を図4のフローチャートに基づいて説明する。ここでは、マスフローコントローラ11Aの絶対流量を検定する方法について説明する。図1のガスシステムにおいてガス絶対流量を計測するには、まず第1開閉弁15Aを閉とし、マスフローコントローラ11AへのプロセスガスAの供給を遮断し、第2開閉弁2A及びマスフローコントローラ11A、計測用開閉弁14、連結用開閉弁4A、パージ弁17を開いて、マスフローコントローラ11内に残っているプロセスガスAを排出し、マスフローコントローラ11内部を窒素ガスでパージする(S1)。これにより、計測用ガスタンク12内にパージ圧力の窒素ガスが蓄えられる。次に、マスフローコントローラ11Aの流量設定を通常プロセスで使用する予定の所定値とし(S2)、パージ弁17を閉じ、マスフローコントローラ11Aに対して、計測用ガスタンク12内の窒素ガスを流す(S3)。そして、圧力センサ13が計測した圧力は、A/Dコンバータ25によりA/D変換され、CPU23に読み込まれる。また、CPU23は、所定圧力P1を検出した時から時間計測を行い、所定圧力P2を検出するまでに要する時間Tを計測する。 【0022】そして、CPU23が上記圧力降下P1-P2、時間Tにより、気体の状態方程式に基づいて、マスフローコントローラ11Aに流れた窒素ガスの絶対流量を算出する(S5)。次に、その算出方法について説明する。気体の状態方程式 PV=nRTここで、Pは気体の圧力、Vは気体の容積、nは気体のモル数、Tは気体の温度である。この気体の状態方程式を時間tで微分することにより、(dP/dt)V=(dn/dt)RTとなり(当審注:この式の左辺には体積Vが抜けている誤記があるため、当審において、当該誤記を正すために体積Vを補った上で摘記した。以下の(式1)の右辺においても同様である。)、これを(dn/dt)について整理すると、 (dn/dt)=(dP/dt)V/(RT)となる。 (式1) 一方、流量Qは、 Q=(dn/dt)mとなる。 (式2) ここで、mは気体の分子量である。(式1)及び(式2)より、 Q=(dP/dt)mV/(RT)となる。 (式3) 【0023】本実施例では、dP=P2-P1、dt=T、mは窒素ガスの分子量、Vは計測用ガスタンク12の容積V1、Rは気体定数、Tは窒素ガスの温度である。本作用においる気体の変化では気体の温度はほとんど変化しないので、窒素ガスの温度は、室温20度をそのまま使用している。また、容積Vは正確には、計測用ガスタンク12の容積とマスフローコントローラ入口配管16の容積とを加えた容積で計算する必要がある。本実施例では、簡便のため、計測用ガスタンク12の容積で計算を行っているが、本実施例の計測用ガスタンク12の容積は、マスフローコントローラ入口配管16の容積の約100倍に設定してあるので、容積による誤差を1%程度に押さえることができる。マスフローコントローラ11は一つづつ、流量計の実測絶対流量により検定されており、計測値と絶対流量との関係が設計値として表等で示されている。本発明の目的の一つは、実際の配管系にマスフローコントローラ11を組み込んだときに、計測値と絶対流量の関係が変化しないことを確認することである。従って、算出した絶対流量とマスフローコントローラ11Aの設計値とを比較することにより、マスフローコントローラ11Aの検定を行う(S6)。」 「【図4】 [図:0001418901000003.jpg] 」 (ウ) 段落【0025】~【0029】 「【0025】次に、第二の実施例について説明する。第二の実施例の構成は第一の実施例と全く同様なので、説明を省略する。第二の実施例で第一の実施例と異なっているのは、マスフローコントローラ入口配管16の容積を求めている点であるので、第二の実施例のマスフローコントローラ入口配管16を求める作用を図5を用いて詳細に説明する。ここでも、マスフローコントローラ11Aの絶対流量を検定する方法について説明する。第1開閉弁15を閉じ、パージ弁17、連結用開閉弁4A、計測用開閉弁14、マスフローコントローラ11を開いて、マスフローコントローラ11A内を窒素ガスでパージする(S11)。 【0026】次に、マスフローコントローラ11Aを設定流量状態にし、圧力P1を計測する(S12)。次に、計測用開閉弁14を閉じた後パージ弁17を閉じ、圧力が所定の低圧P2になったときにマスフローコントローラ11Aを閉じ、圧力P2を計測する(S13)。計測用開閉弁14を閉じた後パージ弁17を閉じているのは、パージ弁17を先に閉じると、計測用ガスタンク12内に蓄えられるガス量に誤差が発生するからである。次に、計測用開閉弁14を開き、所定時間経過後圧力P3を計測する(S14)。次に、計測した圧力P1、P2、P3、及び計測用ガスタンク12の容積V0よりマスフローコントローラ入口配管16の容積VXを算出する(S15)。 【0027】次に、その算出方法について説明する。 PV=nRTより、n=PV/(RT)。 (計測用ガスタンク12内のモル数)+(マスフローコントローラ入口配管16内のモル数)=(バルブを開にした時の全モル数)だから、P1V0/(RT)+P2VX/(RT)=P3(V0+VX)/(RT)となり、これを整理すると、(P1-P3)V0=(P3-P2)VXこれをVXについて解くと、 VX=V0(P1-P3)/(P3-P2) (式4) ここで、既知の計測用ガスタンク12の容積をV0とし、マスフローコントローラ入口配管16の容積をVXとしている。 【0028】S16からS19のステップは、第1実施例と同様であり、説明を省略する。(式2)により、マスフローコントローラ入口配管16の容積VXを求めることができ、(式3)においてV=V0+VXとすることにより、マスフローコントローラ入口配管16の容積まで含めて、絶対流量を第一実施例より正確に算出することができる。本実施例では、計測用ガスタンク12内を高圧P1、マスフローコントローラ入口配管16内を低圧P2としてから、計測用開閉弁14を開いて、計測用ガスタンク12及びマスフローコントローラ入口配管16内を中圧P3としてマスフローコントローラ入口配管16の容積VXを求めているが、逆に、計測用開閉弁14内を低圧P1、マスフローコントローラ入口配管16内を高圧P2としてから、計測用開閉弁14を開いて、中圧P3としてマスフローコントローラ入口配管16内の容積VXを求めても同様である。 【0029】第二の実施例のマスフローコントローラ絶対流量検定システムによれば、第1開閉弁15Aを遮断した後、マスフローコントローラ11Aを遮断状態にし、マスフローコントローラを所定の開度にして、圧力センサにより計測用ガスの圧力P1を計測し、次に、圧力センサの計測する圧力が所定の低圧P2になったときに、マスフローコントローラを遮断状態にし、次に、計測用開閉弁を開いて、所定時間経過後圧力センサにより圧力P3を計測し、圧力P1、P2、P3及び計測用タンクの容積V(当審注:「V0」の誤記。)からマスフローコントローラ入口配管の容積を算出し、その容積を用いてマスフローコントローラ絶対流量検定を行っているので、第一の実施例と比較して、マスフローコントローラ入口配管16の容積を求めることができ、絶対流量を正確に算出することができる。そのため、計測用ガスタンク12の容積を大きくしないで済み、システムをコンパクトに構成することができる。」 (エ) 段落【0030】~【0034】、【図2】、【図6】 「【0030】次に、第三の実施例について説明する。第三の実施例の構成を図2に示す。第三の実施例が第一の実施例と異なるのは、計測用ガスタンク12及び計測用開閉弁14を各々2組備えている点である。すなわち、第1計測用ガスタンク121が第1計測用開閉弁141を介して、マスフローコントローラ入口配管16に接続し、第2計測用ガスタンク122が第2計測用開閉弁142を介して、マスフローコントローラ入口配管16に接続している。次に、第三の実施例の作用を図6を用いて詳細に説明する。ここでも、マスフローコントローラ11Aの絶対流量を検定する方法について説明する。図1(当審注:「図2」の誤記。)のガスシステムにおいてガス絶対流量を計測するには、まず第1開閉弁15Aを閉とし、マスフローコントローラ11AへのプロセスガスAの供給を遮断し、第2開閉弁2A、マスフローコントローラ11A、第1計測用開閉弁141、第2計測用開閉弁142、連結用開閉弁4A、パージ弁17を開いて、マスフローコントローラ11内に残っているプロセスガスAを排出し、マスフローコントローラ11A内を窒素ガスでパージする(S21)。これにより、第1計測用ガスタンク121、第2計測用ガスタンク122にパージ圧力の窒素ガスを蓄える。 【0031】次に、マスフローコントローラ11Aの流量設定を通常プロセスで使用する予定の所定値とする(S22)。次に、第1計測用開閉弁141を開き、第2計測用開閉弁142を閉じる(S23)。次に、パージ弁17を閉じ、圧力センサ13により圧力がP1からP3に圧力降下する時間T1を測定する(S24)。次に、パージ弁17を開ける(S25)。次に、第1計測用開閉弁141を閉じ、第2計測用開閉弁142を開ける(S26)。次に、パージ弁17を閉じ、圧力センサ13により圧力がP2からP4に圧力降下する時間T2を測定する(S27)。 【0032】そして、CPU23が計測した圧力降下時間T1、T2を用いて、気体の状態方程式に基づいて、マスフローコントローラ11Aに流れた窒素ガスの絶対流量を算出する(S28)。そして、算出した絶対流量と設計値とを比較して、マスフローコントローラ11の検定をおこなう(S29)。次に、窒素ガスの絶対流量の算出方法について説明する。(式3)より、第1計測用ガスタンク121の容積をV1、第2計測用ガスタンク122の容積をV2、マスフローコントローラ入口配管16の容積をVXとすれば、 Q=(dP/dt1)m(V1+VX)/(RT)となる。 (式5) Q=(dP/dt2)m(V2+VX)/(RT)となる。 (式6) (式5)と(式6)からVXを消去すると、 Q=(dP/(dt1-dt2))m(V1-V2)/(RT)となる。(式7) (式7)は、タンクの容積の差分だけ圧力降下時間の差になっていると考えて、dt=dt2-dt1、V=V2-V1を(式3)に代入した形である。これにより、マスフローコントローラ入口配管16の容積VXを求めることができるので、マスフローコントローラ入口配管16の容積まで含めて、絶対流量を第一実施例より正確に算出することができる。 【0033】本実施例では、(1)第2計測用開閉弁142を閉じた状態で第1計測用開閉弁141を開けて計測し、(2)次に、第1計測用開閉弁141を閉じた状態で第2計測用開閉弁142を開けて計測を行っているが、(2)の場合に第1計測用開閉弁141を開いた状態のままで第2計測用開閉弁142を開いて計測を行っても良い。流量Qは、2つのタンクの容積の差分だけ圧力降下する時間の差として計測されるので、この方法によれば、同じタンクを使用しても容積差を大きくできるからである。 【0034】第三の実施例のマスフローコントローラ絶対流量検定システムによれば、所定圧力P1の窒素ガスを蓄える第1計測用ガスタンク121と、所定圧力P2の窒素ガスを蓄える第2計測用ガスタンク122と、第1計測用ガスタンク121とマスフローコントローラ入口配管16との間で管路を開閉する第1計測用開閉弁141と、第2計測用ガスタンク122とマスフローコントローラ入口配管16との間で管路を開閉する第2計測用開閉弁142とを有し、マスフローコントローラ11Aへのプロセスガスの供給を第一開閉弁15Aにより遮断した後、第1計測用開閉弁141を開いて、圧力センサ13により所定の圧力降下に要する時間T1を計測し、次に、第2計測用開閉弁142を開いて、圧力センサ13により所定の圧力降下に要する時間T2を計測し、計測した時間T1、T2、第1計測用ガスタンク121の容積、及び第2計測用ガスタンク122の容積からマスフローコントローラ11Aの絶対流量を検定しているので、第一の実施例と比較して、マスフローコントローラ入口配管16の容積を求めることができ、絶対流量を正確に算出することができる。また、第二の実施例において、マスフローコントローラ11を完全な遮断状態にするのは困難であるが、第三の実施例では、小型タンクを2つ必要とするだけなので、より正確に絶対流量を計測することができる。」 「【図2】 [図:0001418901000004.jpg] 」 「【図6】 [図:0001418901000005.jpg] 」 イ 引用文献2の記載から認定できる事項 (ア) 認定事項1 段落【0023】、【0030】及び【0031】の記載から、段落【0032】に記載された(式5)において、dP=P3-P1、dt1=T1であり、 (式6)において、dP=P4-P2、dt2=T2であり、 (式5)及び(式6)において、mは窒素ガスの分子量、Rは気体定数、Tは窒素ガスの温度であると認められる。 (イ) 認定事項2 a 引用文献2の第二の実施例においては、段落【0027】の(式4)によりマスフローコントローラ入口配管16の容積VXを求めているところ、(式4)の右辺の圧力P1、P2、P3及び計測用タンクの容積V0は、既知であることが前提となっている(【0027】~【0028】参照)。 b 引用文献2の第三の実施例においては、段落【0032】に(式5)及び(式6)により「マスフローコントローラ入口配管16の容積VX」を求めることができる旨の記載があり、(式5)と(式6)からQを消去してVXについて解くと、以下の(式A)が得られることから、第三の実施例においては、この(式A)により、マスフローコントローラ入口配管16の容積VXを求めていると認められる。 VX=[(dP/dt1)V1-(dP/dt2)V2]/[(dP/dt2)-(dP/dt1)] (式A) c ここで、前記aの第二の実施例において、VXを求めるための(式4)の右辺に登場する各量が既知であることが前提であるのと同様に、前記bの第三の実施例においても、VXを求めるための(式A)の右辺に登場する各量が既知であることが前提であると認められる。 d そうすると、引用文献2の第三の実施例において、 「(dP/dt1)」は、dP=P3-P1、dt1=T1により算出され、「(dP/dt2)」は、dP=P4-P2、dt2=T2により算出されることは明らかである。 ウ 引用発明の認定 前記アの引用文献2の記載事項及び前記イの認定事項を総合すると、引用文献2には、第三の実施例として、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明] 「マスフローコントローラ11Aの絶対流量を検定する方法に関し、(【0030】) パージ弁17とマスフローコントローラ11Aの間のマスフローコントローラ入口配管16上にあって、第1計測用ガスタンク121が第1計測用開閉弁141を介して、マスフローコントローラ入口配管16に接続し、第2計測用ガスタンク122が第2計測用開閉弁142を介して、マスフローコントローラ入口配管16に接続し、また、マスフローコントローラ入口配管16には、マスフローコントローラ11Aの入口側の圧力を計測する圧力センサ13が配設されている、計測用ガスタンクを含む窒素ガスの配管系において、(【0017】、【0030】) まず第1開閉弁15Aを閉とし、マスフローコントローラ11AへのプロセスガスAの供給を遮断し、第2開閉弁2A、マスフローコントローラ11A、第1計測用開閉弁141、第2計測用開閉弁142、連結用開閉弁4A、パージ弁17を開いて、マスフローコントローラ11内に残っているプロセスガスAを排出し、マスフローコントローラ11A内を窒素ガスでパージすることにより、第1計測用ガスタンク121、第2計測用ガスタンク122にパージ圧力の窒素ガスを蓄え、(【0030】) 次に、マスフローコントローラ11Aの流量設定を通常プロセスで使用する予定の所定値とし、次に、第1計測用開閉弁141を開き、第2計測用開閉弁142を閉じ、次に、パージ弁17を閉じ、圧力センサ13により圧力がP1からP3に圧力降下する時間T1を測定し、次に、パージ弁17を開け、次に、第1計測用開閉弁141を閉じ、第2計測用開閉弁142を開け、次に、パージ弁17を閉じ、圧力センサ13により圧力がP2からP4に圧力降下する時間T2を測定し、(【0031】) 第1計測用ガスタンク121の容積をV1、第2計測用ガスタンク122の容積をV2、マスフローコントローラ入口配管16の容積をVXとすれば、 Q=(dP/dt1)m(V1+VX)/(RT) (式5) Q=(dP/dt2)m(V2+VX)/(RT) (式6) となり、(【0032】) ただし、(式5)において、dP=P3-P1、dt1=T1であり、 (式6)において、dP=P4-P2、dt2=T2であり、 (式5)及び(式6)において、mは窒素ガスの分子量、Rは気体定数、Tは窒素ガスの温度であり、(認定事項1) マスフローコントローラ入口配管16の容積VXは、以下の(式A)により求めることができ、 VX=[(dP/dt1)V1-(dP/dt2)V2]/[(dP/dt2)-(dP/dt1)] (式A) (dP/dt1)は、dP=P3-P1、dt1=T1により算出され、 (dP/dt2)は、dP=P4-P2、dt2=T2により算出され、(認定事項2) これにより、マスフローコントローラ入口配管16の容積VXを求める方法。(【0032】)」 (2) 引用文献1及び引用文献4の記載事項と技術常識1の認定 ア 引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由において引用された特表2010-531999号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。 「【0006】 先行技術の質量流量検証装置(MFV)は流体送達システム及び/又は関連半導体プロセスツールの質量流量コントローラの性能の現場検証を提供するために使われてきた。図1は、質量流量コントローラMFC104のような被試験体(DUT)からの流れを検証するために使われるような1つの先行技術の質量流量検証装置(MFV)100の1例を示す。MFV100は、所定の体積を有する容器又はチャンバー102、気体マニフォールド(図示せず)とチャンバー102との間の流れを制御する上流又は第1弁108、チャンバー102から出口例えば真空ポンプへの流れを制御する下流又は第2弁110、典型的には容量式圧力計であって、チャンバー102内の圧力を感知するように構成された圧力センサー112、及び温度センサー114を含むことができる。図1に示されるように、典型的なMFV100は圧力センサー112及び温度センサー114の出力信号を受け取り、上流弁108及び下流弁110の作動を制御するコントローラー120を含むことができる。 【0007】 図1を続いて参照すると、作動において、コントローラー120は、作動期間に、上流弁108及び下流弁110を先ず開けるように一般的にプログラムされ、それにより、上流弁108を通り容器102に入り下流弁110を出る流れが生ずるようにされている。流れが安定化できるのに十分な初期期間後、チャンバー102からの流れを止めるために下流弁110が閉じられるようにコントローラー120はさらにプログラムされる。チャンバー102がMFC104からの流体で満たされるにつれて、コントローラー120は、圧力計112からの容器圧力の測定信号を受け取り、そのクロックから時間の測定値を受け取り、気体流による容器圧力の変化率を決定する。コントローラー120は、これらの測定からMFC104により提供される実際の流速を決定するので、MFCの精度は決定可能である。 【0008】 流れの測定が行われた後、典型的には上流弁108は閉じられ、下流弁110は、例えば真空ポンプ(図示せず)への接続により容器102をパージするために開放される。このように、圧力測定のサンプル値を用いることによりコントローラー120は容器102の既知体積の時間に対する圧力の測定された変化(ΔP/Δt)から気体流速を計算できる。作動の1例はグラフ的に図2に、下記式(1)にしたがって数学的モデルで表現される。 【0009】 図2は、上昇率(”ROR”)測定テクニックを用いる典型的圧力計内圧力の圧力(P)対時間(t)関係200を描くグラフである。 …<後略>… 」 「【図1】 [図:0001418901000006.jpg] 」 「【図2】 [図:0001418901000007.jpg] 」 イ 引用文献4の記載事項 当合議体が新たに引用する、本願の優先日前に発行された特開2010-210528号(以下「引用文献4」という。)には、次の事項が記載されている。(なお、本審決においては、審査段階及び前置審査も含めて、引用文献の参照番号を統一して用いるために、「引用文献4」の参照番号を用いた。) (ア) 段落【0001】~【0005】、【図1】 「【0001】 本発明は、マスフローコントローラを具備する支流ガスラインが複数並列に設けられており、各支流ガスラインが合流して1つの合流後ガスラインとなるようなガス配管系におけるマスフローコントローラの検定方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 半導体の製造工程等においてプロセスチャンバに混合ガスを供給するために、ガス供給源に接続され、マスフローコントローラを具備する支流ガスラインが複数並列に設けられており、各支流ガスラインを合流させてプロセスチャンバに接続される1つの合流ガスラインからなるガス配管系が形成されている。 【0003】 このようなガス配管系において、各支流ガスライン上に設けられているマスフローコントローラが設定流量の通りに流量制御を行うことができているかどうかを検定するための診断システムが特許文献1に開示されている。 【0004】 このものは、図1に示すように合流後ガスラインMLに並列に分岐流路BLが形成され、その分岐流路BL上に予め容積が分かっている大容量のタンクA1と、その下流側に圧力センサA2とが設けられており、前記圧力センサA2で測定された圧力に基づいてマスフローコントローラ1の検定を行うものである。また、前記合流後ガスラインMLにおいて前記分岐流路BLの接続点の間と、前記分岐流路BLの入り口と出口近傍及びには開閉バルブがそれぞれ設けられている。 【0005】 このような検定システムA100によってROR方式と呼ばれるマスフローコントローラの検定方法が用いられる。具体的な検定手順について説明すると、マスフローコントローラの検定時には、分岐流路の入り口側の開閉バルブのみが開放され、その他の開閉バルブは閉止され、検定されるマスフローコントローラ1がある支流ガスラインSL以外の支流ガスラインSLも閉止される。その後、検定されるマスフローコントローラ1に所定の設定流量を設定して、前記タンクにガスが流入するようにし、圧力を上昇させる。その間の圧力変化を前記圧力センサによって測定し、その圧力変化からタンクA1の容積である検定用容積を算出する。次に、前記検定用容積と、既知のタンク容積と検定されるマスフローコントローラから前記タンクまでの概算容積との和である基準容積とを比較する。このとき、一致する場合には、設定流量通りにマスフローコントローラは流量制御を行えていると判断され、一致しない場合には、マスフローコントローラ内の流路のつまり等により設定流量の通りに流量制御が行えていないと判断される。」 「【図1】 [図:0001418901000008.jpg] 」 (イ) 段落【0058】~【0060】、【図8】 「【0058】 図8に示すようにマスフローコントローラ1を具備する支流ガスラインSLが複数並列に設けられており、各支流ガスラインSLが分流する前の分流前ガスラインに分流前バルブが設けられているガス配管系GSにおいても本発明を適用することは可能である。具体的には、前記支流ガスラインSLに並列に差圧式マスフローコントローラ2を具備する検定用ガスラインKLを設けて、その入り口側を前記分流前ガスラインNLに接続しておけばよい。 【0059】 このようなものであっても、前記分流前ガスライン上にある分流前バルブ、前記マスフローコントローラ1の上流に設けられている1次側バルブFV、によって規定される配管の容積を基準容積とし、前段圧力センサ214を圧力測定手段として用いれば、ROF型の検定方法を実施することができ、前記実施形態における検定システム100と略同様の効果を得ることができる。 【0060】 ROF型の検定方法について簡単に説明すると、前述したROR型の検定方法は基準容積に対してガスを流入させて、基準容積内の圧力上昇に基づいてマスフローコントローラの検定を行うものであるのに対し、ROF型は、まず、基準容積にガスを溜めこんでおき、検定されるマスフローコントローラのある支流ガスラインを開放してそのときの圧力低下に基づいて検定を行う方法である。具体的には、基準容積内を所定の圧力にした後に、検定用ガスラインを開放してその時の圧力測定手段にて測定される圧力低下に基づいて基準容積を算出する。その後、基準容積内を所定の圧力に昇圧し、今度は検定されるマスフローコントローラのある支流ガスラインを開放し、その時の圧力測定手段にて測定される圧力低下に基づいて検定用パラメータを算出し、基準容積に基づいた基準パラメータと検定用パラメータを比較し、マスフローコントローラの検定を行う。」 「【図8】 [図:0001418901000009.jpg] 」 ウ 技術常識1の認定 前記ア及びイで摘記した引用文献1及び引用文献4の記載に例示されているように、以下の技術事項は当業者にとって技術常識(以下「技術常識1」という。)であると認められる。 [技術常識1] 「マスフローコントローラ(MFC)が設定流量どおりに流量の制御を行えているか否かを判断するための手法として、基準容積にガスを溜めこんでおき、当該MFCのある支流ガスラインを開放してそのときの圧力低下率に基づいて判断を行うROF(Rate of Fall)方式の他に、基準容積に対してガスを流入させて、基準容積内の圧力上昇率に基づいて判断を行うROR(Rate of Rise)方式があること。」 2 対比 (1) 対比分析 本願発明と引用発明を対比する。 ア 構成Xの観点 引用発明においては、「マスフローコントローラ入口配管16の容積VX」を「(式A)により求める」としており、「マスフローコントローラ入口配管16の容積VX」が、算出されるものであることは明らかである。 そうすると、引用発明の「マスフローコントローラ入口配管16の容積VXを求める方法」は、本願発明の「算出方法」に相当する。 したがって、本願発明と引用発明は、「算出方法」の発明であるという点において一致する。 イ 構成Aの観点 (ア) 引用発明の「マスフローコントローラ11A」は、本願発明の「流量制御機器」に相当するところ、引用発明において「マスフローコントローラ11Aの流量設定を通常プロセスで使用する予定の所定値と[する]」ことは、本願発明において「流量制御機器により所定の設定流量に制御[する]」ことに相当する。 (イ) 引用発明の「窒素ガス」及び「マスフローコントローラ入口配管16」は、それぞれ本願発明の「流体」及び「配管部材」に相当する。 また、引用発明の「第1計測用ガスタンク121」は、本願発明の構成Aの「容器」に相当する。 ここで、引用発明の「第1計測用ガスタンク121」は「第1計測用開閉弁141を介して、マスフローコントローラ入口配管16に接続し」ているから、「第1計測用開閉弁141」、「パージ弁17」を開いて「マスフローコントローラ11A内を窒素ガスでパージすることにより」、「第1計測用ガスタンク121」に「パージ圧力の窒素ガスを蓄え」ることは、「窒素ガス」を「マスフローコントローラ入口配管16」を介して「第1計測用ガスタンク121」に導くことを意味するから、本願発明の構成Aの「流体を配管部材を介して容器に導[く]」ことに相当する。 (ウ) 引用発明において「(dP/dt1)は、dP=P3-P1、dt1=T1により算出され[る]」ところ、「T1」は、「圧力がP1からP3に圧力降下する時間」を意味するから、引用発明の「(dP/dt1)」は、本願発明の構成Aの「圧力の時間変化率」に相当する。 そうすると、引用発明の「(dP/dt1)」を「算出」することは、本願発明の「圧力の時間変化率を算出する第1算出ステップ」に相当する。 (エ) したがって、本願発明と引用発明は、「流量制御機器により所定の設定流量に制御した流体を配管部材を介して容器に導き、」「圧力の時間変化率を算出する第1算出ステップ」を備える点において共通する。 ウ 構成Bの観点 (ア) 引用発明において「マスフローコントローラ11Aの流量設定を通常プロセスで使用する予定の所定値と[する]」ことは、本願発明において「前記流量制御機器により前記設定流量に制御[する]」ことに相当する。 (イ) 引用発明の「第1計測用ガスタンク121」と「第2計測用ガスタンク122」の容積が異なるものであることは当然であるから(引用文献2の【0033】の「2つのタンクの容積の差分」という記載を参照)、引用発明の「第2計測用ガスタンク122」は、本願発明の構成Bの「流体が導かれる容器の容積」を「前記第1算出ステップとは異ならせ[た]」「容器」に相当する。 引用発明の「第2計測用ガスタンク122」は「第2計測用開閉弁142を介して、マスフローコントローラ入口配管16に接続し」ているから、「第2計測用開閉弁142」、「パージ弁17」を開いて「マスフローコントローラ11A内を窒素ガスでパージすることにより」、「第2計測用ガスタンク122」に「パージ圧力の窒素ガスを蓄え」ることは、本願発明において「流体が導かれる容器の容積」「を前記第1算出ステップとは異ならせて、」「流体を配管部材を介して容器に導[く]」ことに相当する。 (ウ) 引用発明において「(dP/dt2)」は、dP=P4-P2、dt2=T2により算出され[る]」ところ、「T2」は、「圧力がP2からP4に圧力降下する時間」を意味するから、引用発明の「(dP/dt2)」は、本願発明の構成Bの「圧力の時間変化率」に相当する。 そうすると、引用発明の「(dP/dt2)」を「算出」されることは、本願発明の「圧力の時間変化率を算出する第2算出ステップ」に相当する。 (エ) したがって、本願発明と引用発明は、「流体が導かれる容器の容積、流体が導かれる容器の数、流体の温度、又は流体の種類の何れかを前記第1算出ステップとは異ならせて、前記流量制御機器により前記設定流量に制御した流体を配管部材を介して容器に導き、」「圧力の時間変化率を算出する第2算出ステップ」を備える点において共通する。 エ 構成Cの観点 (ア) 引用発明の「マスフローコントローラ入口配管16の容積VX」は、本願発明の「配管部材の容積」に相当する。 (イ) 引用発明において、「マスフローコントローラ入口配管16の容積VX」は、「(式A)により求めることができ[る]」ところ、(式A)の右辺には、「(dP/dt1)」及び「(dP/dt2)」が含まれているから、「マスフローコントローラ入口配管16の容積VX」は、「dP=P3-P1、dt1=T1により算出され[る]」「(dP/dt1)」、及び、「dP=P4-P2、dt2=T2により算出され[る]」「(dP/dt2)」に基づいて算出されるものであるといえる。 (ウ) そうすると、引用発明の「(式A)により」「マスフローコントローラ入口配管16の容積VX」を「求めること」は、本願発明の「前記第1算出ステップにおいて算出された圧力の時間変化率及び前記第2算出ステップにおいて算出された圧力の時間変化率に基づいて前記配管部材の容積を算出する」ことに相当する。 (エ) したがって、本願発明と引用発明は、「前記第1算出ステップにおいて算出された圧力の時間変化率及び前記第2算出ステップにおいて算出された圧力の時間変化率に基づいて前記配管部材の容積を算出する管容積算出ステップ」を備える点において一致する。 オ 構成Fの観点 引用発明において「第1計測用ガスタンク121が第1計測用開閉弁141を介して、マスフローコントローラ入口配管16に接続し、第2計測用ガスタンク122が第2計測用開閉弁142を介して、マスフローコントローラ入口配管16に接続[する]」ことは、「マスフローコントローラ入口配管16」から見て「第1計測用ガスタンク121」と「第2計測用ガスタンク122」が並列に接続されていることを意味する(引用文献2の【図2】を参照)。 ここで、引用発明の「第1計測用ガスタンク121」及び「第2計測用ガスタンク122」は、それぞれ本願発明の「容積が互いに異なる第1容器及び第2容器」に相当する。 したがって、本願発明と引用発明は、「容積が互いに異なる第1容器及び第2容器を並列に接続し」ている点において一致する。 カ 構成Gの観点 前記イを踏まえると、引用発明において、「第1計測用開閉弁141」、「パージ弁17」を開いて「マスフローコントローラ11A内を窒素ガスでパージすることにより」、「第1計測用ガスタンク121」に「パージ圧力の窒素ガスを蓄え」ることは、本願発明の「前記第1算出ステップにおいて、前記流量制御機器により前記設定流量に制御された流体を、」「前記第1容器に導[く]」という点において共通する。 キ 構成Hの観点 前記ウを踏まえると、引用発明において、「第2計測用開閉弁142」、「パージ弁17」を開いて「マスフローコントローラ11A内を窒素ガスでパージすることにより」、「第2計測用ガスタンク122」に「パージ圧力の窒素ガスを蓄え」ることは、本願発明の「前記第2算出ステップにおいて、前記流量制御機器により前記設定流量に制御された流体を、」「前記第2容器に導く」という点において共通する。 (2) 一致点及び相違点の認定 上記(1)の対比分析の検討結果をまとめると、本願発明と引用発明は、次のアに示す一致点において一致し、後記イに示す相違点において相違する。 ア 一致点 「流量制御機器により所定の設定流量に制御した流体を配管部材を介して容器に導き、圧力の時間変化率を算出する第1算出ステップと、 流体が導かれる容器の容積、流体が導かれる容器の数、流体の温度、又は流体の種類の何れかを前記第1算出ステップとは異ならせて、前記流量制御機器により前記設定流量に制御した流体を配管部材を介して容器に導き、圧力の時間変化率を算出する第2算出ステップと、 前記第1算出ステップにおいて算出された圧力の時間変化率及び前記第2算出ステップにおいて算出された圧力の時間変化率に基づいて前記配管部材の容積を算出する管容積算出ステップとを備え、 容積が互いに異なる第1容器及び第2容器を並列に接続し、 前記第1算出ステップにおいて、前記流量制御機器により前記設定流量に制御された流体を、前記第1容器に導き、 前記第2算出ステップにおいて、前記流量制御機器により前記設定流量に制御された流体を、前記第2容器に導く、算出方法。」である点。 イ 相違点 (ア) 相違点1 本願発明においては、「第1算出ステップ」及び「第2算出ステップ」のいずれにおいても、「流量制御機器により所定の設定流量に制御した流体」を「容器に導[く]」のが、「当該容器内の圧力の時間変化率を算出する」ためであり、「第1容器及び第2容器」のうち、「前記流量制御機器により前記設定流量に制御された流体」が導かれるものが、一方の容器のみであって、他方の容器には導かれないのに対して、 引用発明においては、「第1計測用ガスタンク121、第2計測用ガスタンク122にパージ圧力の窒素ガスを蓄え」るのが、「第1計測用ガスタンク121、第2計測用ガスタンク122」内の圧力の時間変化率を算出するためではなく、「第1計測用ガスタンク121、第2計測用ガスタンク122」の両方に「パージ圧力の窒素ガス」が蓄えられ、「圧力センサ13」は「マスフローコントローラ11の入口側の圧力を計測する」ものである点。 (イ) 相違点2 本願発明においては、「前記第1算出ステップにおいて前記流体が導かれる前記容器に接続されている前記配管部材とは別の配管の容積が既知であり」(構成D)、「前記第2算出ステップにおいて前記流体が導かれる前記容器に接続されている前記配管部材とは別の配管の容積が既知であ[る]」(構成E)のに対して、 引用発明においては「マスフローコントローラ入口配管16」以外の配管に関する構成は不明である点。 3 判断 (1) 相違点1について ア 技術常識1を踏まえた検定手法の置換可能性について (ア) 前記1(2)ウにおいて技術常識1として認定したとおり、「マスフローコントローラ(MFC)が設定流量どおりに流量の制御を行えているか否かを判断するための手法として、基準容積にガスを溜めこんでおき、当該MFCのある支流ガスラインを開放してそのときの圧力低下率に基づいて判断を行うROF(Rate of Fall)方式の他に、基準容積に対してガスを流入させて、基準容積内の圧力上昇率に基づいて判断を行うROR(Rate of Rise)方式があること」は、当業者にとって技術常識である。 (イ) ここで、引用発明においては、「第1計測用ガスタンク121」及び「第2計測用ガスタンク122」に「窒素ガスを蓄え」ておき、「第1計測用ガスタンク121」の「窒素ガス」を用いて測定する場合には、「第1計測用開閉弁141を開き、第2計測用開閉弁142を閉じ」て、「マスフローコントローラ11Aの入口側の圧力を計測」し、「第2計測用ガスタンク122」の「窒素ガス」を用いて測定する場合には、「第1計測用開閉弁141を閉じ、第2計測用開閉弁142を開け」て、「マスフローコントローラ11Aの入口側の圧力を計測する」ものであるところ、いずれの場合も、「圧力降下する時間」を測定しているから、(式5)の「(dP/dt1)」、(式6)の「(dP/dt2)」は、いずれも圧力低下率を意味している。 (ウ) そうすると、引用発明の「マスフローコントローラ11Aの絶対流量」の「検定」においては、ROF(Rate of Fall)方式が採用されていると認められる。 (エ) 上記アにおいて示した技術常識1を踏まえると、マスフローコントローラ(MFC)が設定流量どおりに流量の制御を行えているか否かを判断するための手法として、ROF(Rate of Fall)方式、ROR(Rate of Rise)方式のいずれの方式を採用するかは、当業者が適宜選択すべき設計事項であるというべきである。 (オ) そして、引用発明において、ROF方式に代えてROR方式を採用したとしても、(式5)及び(式6)の形は変更されないから(式A)も変更されることはなく、(式A)によりマスフローコントローラ入口配管16の容積VXを求めることが、ROF方式からROR方式への変更により影響を受けることはない。 (カ) したがって、引用発明の「マスフローコントローラ11Aの絶対流量を検定する方法」として、ROF方式に代えてROR方式を採用し、「第1計測用ガスタンク121、第2計測用ガスタンク122」内の圧力上昇率を算出するために、「第1計測用ガスタンク121、第2計測用ガスタンク122にパージ圧力の窒素ガスを蓄え」るように構成することは、当業者が容易に想到し得たものである。 イ 流体の導入先容器の選択と圧力の測定箇所について (ア) 引用発明の「マスフローコントローラ11Aの絶対流量を検定する方法」として、ROF方式に代えてROR方式を採用した場合、基準容積としては「第1計測用ガスタンク121」及び「第2計測用ガスタンク122」の二つがあり、異なる容積ごとに圧力を別々に測定することが要請されるのであるから、圧力測定に係る一方のガスタンクだけに窒素ガスを導き、他方のガスタンクには窒素ガスが導かれないようにすることは、当業者が当然なすべき設計変更にすぎない。 (イ) ここで、引用発明において「圧力センサ13」は「マスフローコントローラ11の入口側の圧力を計測する」ものであるが、引用発明の「第1計測用ガスタンク121」及び「第2計測用ガスタンク122」は「マスフローコントローラ入口配管16」に接続されているのであるから、第1計測用開閉弁141と第2計測用開閉弁142の開閉の組み合わせにより、一方のガスタンクの方にだけ窒素ガスを導き、他方のガスタンクには窒素ガスが導かれないようにしても、窒素ガスが導入されている方のガスタンク内の圧力と「マスフローコントローラ入口配管16」内の圧力が同一であることは自明である。 (ウ) そして、圧力が同一であることが自明な領域内のいずれの点で圧力測定を行うかは設計事項であるから、引用発明の「マスフローコントローラ11Aの絶対流量を検定する方法」として、ROF方式に代えてROR方式を採用した場合、マスフローコントローラ11の入口側の圧力を測定して時間変化率を算出することに代えて、ガスタンク内の圧力を測定して時間変化率を算出するようにすることは、当業者にとって自明な設計変更にすぎないものである。 ウ 相違点1の検討のまとめ 前記ア及びイを踏まえると、引用発明において、相違点1に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たものである。 (2) 相違点2について ア 引用文献2の【0034】の「第1計測用ガスタンク121とマスフローコントローラ入口配管16との間で管路を開閉する第1計測用開閉弁141」との記載、「第2計測用ガスタンク122とマスフローコントローラ入口配管16との間で管路を開閉する第2計測用開閉弁142」との記載を踏まえると、「第1計測用ガスタンク121とマスフローコントローラ入口配管16との間」には、「マスフローコントローラ入口配管16」とは別の「第1計測用開閉弁141」を備える配管(以下、この配管を「開閉弁配管1」といい、その容積を「VY1」とする。)が存在し、「第2計測用ガスタンク122とマスフローコントローラ入口配管16との間」には、「マスフローコントローラ入口配管16」とは別の「第2計測用開閉弁142」を備える配管(以下、この配管を「開閉弁配管2」といい、その容積を「VY2」とする。)が存在するといえる(【図2】に基づいて当合議体が作成した以下の図を参照)。 [図:0001418901000010.jpg] イ 引用発明の「マスフローコントローラ入口配管16の容積VX」は、本願発明の「配管部材の容積」に相当するところ、開閉弁配管1及び開閉弁配管2は、いずれも「マスフローコントローラ入口配管16」とは別の配管であるから、開閉弁配管1の容積VY1及び開閉弁配管2の容積VY2は、本来ならば、いずれも「マスフローコントローラ入口配管16の容積VX」には含まれないと考えるのが自然である。 ウ 他方、開閉弁配管1の容積VY1及び開閉弁配管2の容積VY2にも窒素ガスが導かれることは明らかであるにもかかわらず、引用発明の(式5)及び(式6)には、開閉弁配管1の容積VY1及び開閉弁配管2の容積VY2に相当する成分は明示的には含まれていないから、(式5)及び(式6)は、開閉弁配管1の容積VY1及び開閉弁配管2の容積VY2が「マスフローコントローラ入口配管16の容積VX」あるいは「第1計測用ガスタンク121の容積V1」、「第2計測用ガスタンク122の容積V2」のいずれかに含まれるものとして取り扱った上で成立する式であると考えることができる。 エ 開閉弁配管1の容積VY1及び開閉弁配管2の容積VY2が、それぞれ「第1計測用ガスタンク121の容積V1」、「第2計測用ガスタンク122の容積V2」に含まれるとした場合には、そもそもV1及びV2は既知であることが前提であるから、その一部であるVY1及びVY2も(V1及びV2に含まれる形で)当然既知なものになることは明らかである。 オ 開閉弁配管1の容積VY1及び開閉弁配管2の容積VY2が、「マスフローコントローラ入口配管16の容積VX」に含まれるとした場合には、(式A)によりVXを求めても、VY1及びVY2が直ちに判明することはないが、引用発明の「第1計測用ガスタンク121」及び「第2計測用ガスタンク122」に接続される別の配管の容積(VY1及びVY2)を別途の計測などにより既知なものとしておくか、前記配管部材の容積(VX)に含めて算出するかは、配管系の構成などに応じて適宜選択されるべき設計事項にすぎない。 カ したがって、引用発明において、相違点2に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たものである。 (3) 総合評価 前記(1)及び(2)において検討したとおり、相違点1に係る本願発明の構成は、技術常識1を踏まえると、当業者が容易に想到し得たものであり、相違点2に係る本願発明の構成も当業者が容易に想到し得たものである。 そして、相違点1及び2を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果としては、当該構成のものとして当業者が予測困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本願発明は、引用発明及び技術常識1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4) 請求人の主張について ア 請求人の主張内容 審判請求書において、請求人は、次のように主張している。 <請求人の主張> 引用発明の構成は、容積が互いに異なる第1計測用ガスタンク121及び第2計測用ガスタンク122を入口配管16において直列に接続したものであり、本願発明のように、容積が互いに異なる第1容器及び第2容器を並列に接続する構成は、一切開示も示唆もされていない。 これにより、本願発明によれば、容積が互いに異なる第1容器及び第2容器を並列に接続しているので、第1容器が接続される分岐管(第1分岐管)と第2容器が接続される分岐管(第2分岐管)の構成を同一にすることができ、また、各分岐管に設けられる開閉弁等の配管構成を同一にすることができる。したがって、第1算出ステップにおける第1容器内の圧力の時間変化率と、第2算出ステップにおける第2容器内の圧力の時間変化率とを同一の前提条件(例えば配管条件)で求めることができる。その結果、管容積算出ステップにおいて、配管部材の容積を精度良く算出することができ、流量計測機器を精度良く調整することができる。 イ 請求人の主張についての検討 引用発明の「第1計測用ガスタンク121」及び「第2計測用ガスタンク122」は「マスフローコントローラ入口配管16」に対してそれぞれ独立して直接接続されており、一方のガスタンクが他方のガスタンクを介して「マスフローコントローラ入口配管16」に接続されてはいない。また、圧力測定の際に二つのガスタンクにある窒素ガスは同時に入口配管へ供給されるものでもなく、第1計測用開閉弁141及び第2計測用開閉弁142の開閉の組み合わせを通じて、別個に供給されるものである。 したがって、前記二つのガスタンクが並列に接続されていることは明らかであり、請求人の前記主張は引用発明の構成を正解しているとはいえず、これを採用することはできない。 なお、仮に引用発明が二つのガスタンクを直列に接続するものであるとしても、引用発明にROR方式を採用した場合には、各容器の容積を異ならせて測定しなければ意味がないから、二つのガスタンクが並列に接続されるように設計変更を行うことは当然であって、本願発明が引用発明及び技術常識1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるという結論に変わりはなく、いずれにしても請求人の主張を採用することはできない。 第5 むすび 以上検討のとおり、本願発明は、引用発明及び技術常識1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-017854

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