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特許異議申立

2021-700993

電子タバコカートリッジ

審判番号
2021-700993
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-122714
登録番号
6858998
請求日
2021年10月14日
審決日
2023年03月10日
公報発行日
2023年06月30日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】Future Technology株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
  • 【異議申立人】株式会社 MFC
  • 【異議申立人代理人】西内 盛二
  • 【異議申立人】深セン市益中源科技有限公司
  • 【異議申立人代理人】西内 盛二
審判長/審判官
  • 審判長 西村 泰英
  • 審判官 平城 俊雅
  • 審判官 菅家 裕輔
分類
P1651.121-YAA(A24F) / P1651.536-YAA(A24F) / P1651.537-YAA(A24F) / P1651.851-YAA(A24F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6858998号発明「電子タバコカートリッジ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6858998号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2、4-15〕について訂正することを認める。 特許第6858998号の請求項1ないし15に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6858998号の請求項1~15に係る特許は、平成29年11月10日に出願した特願2017-217732号の一部を令和2年7月17日に新たな特許出願としたものについて、令和3年3月29日にその特許権の設定登録がされ、令和3年4月14日に特許掲載公報が発行されたものである。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和3年10月14日 :特許異議申立人 株式会社MFC(外1名)(以下「異議申立人」という。)による請求項1~15に係る特許に対する特許異議の申立て 令和4年 2月16日付け:取消理由通知書 同年 4月18日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 同年 6月28日 :異議申立人による意見書の提出 同年 9月15日付け:取消理由通知書(決定の予告) 同年11月16日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 なお、令和4年11月16日に提出された特許権者による意見書及び訂正請求書に対して、異議申立人に期間を指定して意見書を提出する機会を設けたが、異議申立人から意見書は提出されなかった。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和4年11月16日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次の事項からなる(なお、下線を付した箇所は訂正箇所である。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「前記支持要素は、前記エアロゾル形成基材を直接又は間接に支持する支持面を有し、」とあるのを、 「前記支持要素は、前記エアロゾル形成基材を直接又は間接に支持する支持面を有し、 前記支持面は第1の面と第2の面を含み、前記エアロゾル形成基材の中心軸に沿って観察した場合、前記第1の面は前記第2の面を囲み、 前記第2の面は、前記第1の面と段差を介して連接され、」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に 「前記中心軸に沿って観察した場合、前記第1の面は前記第2の面を囲み、」とあるのを、 「前記中心軸に沿って観察した場合、前記第1の面は前記第2の面を囲み、 前記第2の面は、前記第1の面と段差を介して連接され、」に訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的について 訂正事項1は、請求項1における「支持要素」が有する「支持面」について、「第1の面と第2の面を含み、前記エアロゾル形成基材の中心軸に沿って観察した場合、前記第1の面は前記第2の面を囲み、前記第2の面は、前記第1の面と段差を介して連接され」ることを限定するものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 本件特許明細書の段落【0027】には、「図5に示すように支持要素は以下の特徴を有する。支持要素(301)は、支持要素の上流側に位置する第一の支持面(301A)と、前記第一の支持面の下流側に第二の支持面(301B)を有している。支持面(301A)と支持面(301B)は連接している。また、連接部には段差(301C)があり、前記段差を介して連接しているともいえる。」と記載されている。 また、本件特許の図2からは、エアロゾル形成基材(110)の中心軸の方向と、支持要素(300)の中心軸の方向と、が略平行である様子が看取でき、そして、図5からは、支持要素(301)の支持面を支持要素(301)の中心軸に沿って観察した場合、第一の支持面(301A)が第二の支持面(301B)を囲む様子が看取できる。 よって、訂正事項1は、これらの記載に基づく訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて 訂正事項1は、上記(1)アのように訂正前の請求項1における記載をさらに限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。 したがって、訂正事項は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的について 訂正事項2は、請求項2における「支持要素」が有する「第1の面と第2の面」について、「前記第2の面は、前記第1の面と段差を介して連接され」ることを限定するものである。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 本件特許明細書の段落【0027】には、「支持面(301A)と支持面(301B)は連接している。また、連接部には段差(301C)があり、前記段差を介して連接しているともいえる。」と記載されている。 よって、訂正事項2は、上記の記載に基づく訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて 訂正事項2は、上記(2)アのように訂正前の請求項2における記載をさらに限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 3 一群の請求項について 訂正前の請求項4~15は、訂正前の請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。また、訂正前の請求項4~15は、訂正前の請求項2を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項2によって記載が訂正される請求項2に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正後の請求項1、2、4~15は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 4 むすび したがって、本件訂正の訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するから、訂正後の請求項〔1、2、4-15〕について訂正することを認める。 第3 訂正発明 上記「第2 訂正の適否」のとおり、本件訂正が認められるから、本件訂正後の請求項1~15に係る発明(以下「訂正発明1」~「訂正発明15」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~15に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 蓋と、充填物であるエアロゾル形成基材と、支持要素と、包装部材とを備える電子タバコカートリッジであって、 前記エアロゾル形成基材は、前記蓋と前記支持要素とに挟まれて配置され、 前記包装部材は、前記エアロゾル形成基材及び前記支持要素を包装し、 前記蓋は、前記エアロゾル形成基材を前記包装部材の内部に保持し、 前記支持要素は、前記エアロゾル形成基材を直接又は間接に支持する支持面を有し、 前記支持面は第1の面と第2の面を含み、前記エアロゾル形成基材の中心軸に沿って観察した場合、前記第1の面は前記第2の面を囲み、 前記第2の面は、前記第1の面と段差を介して連接され、 前記支持面は凹凸を有することを特徴とする電子タバコカートリッジ。 【請求項2】 蓋と、充填物であるエアロゾル形成基材と、支持要素と、包装部材とを備える電子タバコカートリッジであって、 前記エアロゾル形成基材は、前記蓋と前記支持要素とに挟まれて配置され、 前記包装部材は、前記エアロゾル形成基材及び前記支持要素を包装し、 前記蓋は、前記エアロゾル形成基材を前記包装部材の内部に保持し、 前記支持要素は、前記エアロゾル形成基材を直接又は間接に支持する第1の面と第2の面を備え、 前記第1の面と前記第2の面は、前記エアロゾル形成基材の中心軸に対して垂直又は傾斜し、 前記中心軸に沿って観察した場合、前記第1の面は前記第2の面を囲み、 前記第2の面は、前記第1の面と段差を介して連接され、 前記第1の面又は前記第2の面は、凹凸を有することを特徴とする電子タバコカートリッジ。 【請求項3】 蓋と、充填物であるエアロゾル形成基材と、支持要素と、包装部材とを備える電子タバコカートリッジであって、 前記エアロゾル形成基材は、前記蓋と前記支持要素とに挟まれて配置され、 前記包装部材は、前記エアロゾル形成基材及び前記支持要素を包装し、 前記蓋は、前記エアロゾル形成基材を前記包装部材の内部に保持し、 前記支持要素は、前記エアロゾル形成基材の中心軸に対して垂直な又は傾斜する第1の面、前記中心軸に対して垂直であり又は傾斜し、前記第1の面と段差を介して連接される第2の面、および前記第1の面または前記第2の面に連接される側部を備え、 前記第1の面と前記第2の面の少なくとも一つは、前記エアロゾル形成基材を直接又は間接に支持し、 前記第1の面又は前記第2の面は、凹凸を有することを特徴とする電子タバコカートリッジ。 【請求項4】 前記充填物は、粒状、短冊状、棒状、及びシート状の少なくともいずれか一の形状であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電子タバコカートリッジ。 【請求項5】 前記粒状の形状の充填物は、粉体、顆粒、フレーク、ペレットの少なくともいずれか一の形状であることを特徴とする請求項4に記載の電子タバコカートリッジ。 【請求項6】 前記蓋は、前記エアロゾル形成基材が前記電子タバコカートリッジから脱落することを防止することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電子タバコカートリッジ。 【請求項7】 前記蓋の材質は、フィルター、紙又はスポンジであることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電子タバコカートリッジ。 【請求項8】 前記蓋は、前記電子タバコカートリッジを電子タバコ本体に挿入したときに、前記電子タバコ本体の加熱部分が貫通するように構成されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電子タバコカートリッジ。 【請求項9】 前記蓋は、前記エアロゾル形成基材の芳香の散逸を防止することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の電子タバコカートリッジ。 【請求項10】 前記エアロゾル形成基材は、増粘剤又は安定剤の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の電子タバコカートリッジ。 【請求項11】 前記エアロゾル形成基材は、茶類を含むことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の電子タバコカートリッジ。 【請求項12】 前記支持要素は、前記エアロゾル形成基材と接することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の電子タバコカートリッジ。 【請求項13】 前記支持要素は、前記エアロゾル形成基材から発生するエアロゾルの流路を備えることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の電子タバコカートリッジ。 【請求項14】 前記流路は、前記エアロゾル形成基材側の反対側へ延伸し、前記支持要素の周縁部に位置することを特徴とする請求項13に記載の電子タバコカートリッジ。 【請求項15】 前記支持要素は、シリコーンを含むことを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の電子タバコカートリッジ。」 第4 取消理由通知の概要 当審において令和4年9月15日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 1 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について 本件特許の請求項1、2、4~15に係る特許は、特許請求の範囲の記載が発明の詳細な説明に記載したものでないため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 2 特許法第29条第2項(進歩性)について 本件特許の請求項1、2、4~15に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項1、2、4~15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 記 <甲各号証> 甲第1号証:特表2015-503337号公報 甲第2号証:特表2016-506729号公報 甲第3号証:国際公開第2017/109678号 (甲第3号証の翻訳文として、甲第3号証のパテントファミリーである特表2019-508015号公報(以下「甲3訳文」という。)を参照する。) 甲第4号証:登録実用新案第3212228号公報 (以下、「甲第1号証」ないし「甲第4号証」を「甲1」ないし「甲4」という。) 第5 甲各号証について 1 甲1について (1)甲1の記載 甲1には、次の記載がある(なお、下線は理解の一助のために当審が付与した。以下同様。)。 「【0014】 エアロゾル発生装置は、電気加熱式エアロゾル発生装置とすることができ、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基材を加熱しエアロゾルを発生するために電力により作動される加熱器を備えたエアロゾル発生装置である。エアロゾル発生装置は、ガス加熱式エアロゾル発生装置であってもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基材と相互作用し、ユーザの口腔を通って肺に直接吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙装置とすることができる。」 「【0016】 エアロゾル形成基材は、ニコチンを含むことができる。エアロゾル形成基材は、タバコを含むことができ、例えば、加熱時にエアロゾル形成基材から放出される揮発性タバコ香味化合物を含有するタバコ含有材料を含むことができる。好ましい実施形態において、エアロゾル形成基材は、均質タバコ材料、例えば、キャスト葉タバコを含むことができる。」 「【0021】 前方プラグの利点の1つは、取り扱い中又は出荷中にロッドの遠位端からエアロゾル形成基材が放出するのを防ぐことができる点である。前方プラグの別の利点は、加熱要素のような熱源との最適な係合を可能にするためロッドの遠位端から所定距離にエアロゾル形成基材を位置付けるのを助けることができる点である。」 「【0024】 前方プラグは、前方プラグを通じて空気を吸い込むことを可能にするフィルタ材料から作ることができる。これは、ユーザが前方プラグを介してロッドを通じて空気を吸い込むことを可能にすることができる。前方プラグは、好都合には、従来のマウスピースフィルタと同じ材料から形成することができる。例えば、前方プラグは、ある長さのセルロース・アセテート・トウから形成することができる。前方プラグの透過性は、喫煙物品を通る吸い込み抵抗を制御するのを助けるために変えることができる。或いは、前方プラグは、空気を透過しない材料から形成することができる。このような実施形態において、喫煙物品は、空気が側壁を通ってロッド内に流入するように構成することができる。任意選択的に、側壁を通ってロッド内に吸い込まれる空気は、シガレット紙を通じて、又はシガレット紙を貫通して定められる細孔を通じて入ることができる。 【0025】 前方プラグは、セラミック、ポリマー、バイオポリマー、金属、ゼオライト、紙、ボール紙、不活性材料、及び無機材料を含む群から選択された1又はそれ以上の材料を含むことができる。」 「【0033】 エアロゾル形成基材が固体エアロゾル形成基材である場合には、固体エアロゾル形成基材は、例えば、ハーブ葉、タバコ葉、タバコリブの断片、再構成タバコ、均質化タバコ、押し出しタバコ、及び膨張タバコの1又はそれ以上を含有する粉体、顆粒、ペレット、線条、スパゲッティ・ストランド、ストリップ、又はシートのうちの1又はそれ以上を含むことができる。固体エアロゾル形成基材は、遊離形態とすることができ、或いは、好適なコンテナ又はカートリッジ内に提供することができる。例えば、固体エアロゾル形成基材のエアロゾル形成材料は、神又は他のラッパー内に収容され、プラグの形態を有することができる。エアロゾル形成基材がプラグの形態である場合、あらゆるラッパーを含むプラグ全体が、エアロゾル形成基材とみなすことができる。 【0034】 任意選択的に、固体エアロゾル形成基材は、固体エアロゾル形成基材の加熱時に放出される追加のタバコ又は非タバコの揮発性香味化合物を含有することができる。固体エアロゾル形成基材はまた、例えば、追加のタバコ又は非タバコの揮発性香味化合物を含むカプセルを含有することができ、このようなカプセルは、固体エアロゾル形成基材の加熱中に溶融することができる。 【0035】 任意選択的に、固体エアロゾル形成基材は、熱的に安定した担体上に設けるか、又は内部に埋め込むことができる。担体は、粉体、顆粒、ペレット、線条、スパゲッティ・ストランド、ストリップ、又はシートの形態をとることができる。固体エアロゾル形成基材は、例えば、シート、発泡体、ゲル、又はスラリーの形態で担体の表面上に堆積することができる。固体エアロゾル形成基材は、担体の表面全体上に堆積することができ、或いは、使用注に非均一な香味送出を提供するためにパターンで堆積することができる。」 「【0050】 図1は、第1の実施形態による喫煙物品1を示している。喫煙物品1は、5つの要素、すなわち、前方プラグ2と、エアロゾル形成基材7と、中空のセルロース・アセテート管体6と、移送セクション4と、マウスピースフィルタ3とを備える。これら5つの要素は、順次的且つ同軸に整列して配列され、シガレット紙5により組み立てられてロッド15を形成する。ロッドは、使用中にユーザがその口に挿入する唇側端部20と、唇側端部20に対してロッド15の反対側の端部に位置する遠位端30とを有する。唇側端部30と遠位端30との間に位置する要素は、唇側端部20の上流側にある、又は代替として、遠位端30の下流側にあると説明することができる。」 「【0054】 管体6は、エアロゾル形成基材7の直ぐ下流側に位置し、セルロース・アセテートから形成される。管体6は、3.3ミリメートルの直径を有するアパーチャを定める。管体6の機能の1つは、加熱要素と接触できるようにロッド15の遠位端に向かってエアロゾル形成基材7を位置付けることである。管体6は、加熱要素の挿入時にエアロゾル形成基材7がロッド15に沿って唇側端部20に向けて押し込まれるのを防ぐ役割を果たす。」 「【0057】 上記で確認された5つの要素は、シガレット紙5内に緊密に巻かれることにより組み立てられる。この特定の実施形態におけるシガレット紙5は、従来のシガレット紙である。例えば、シガレット紙は、セルロース繊維(水素結合により連結された十字繊維)、1又はそれ以上のフィラー、及び1又はそれ以上の燃焼助剤を含む異方性構造の多孔性材料とすることができる。」 「【0059】 第1の実施形態の喫煙物品は、好適なエアロゾル発生装置と共に消費又は喫煙される。図1は、消費のためにこのような装置11と係合されたときの喫煙物品を示している。 【0060】 エアロゾル発生装置11は、消費用に喫煙物品1を受けるためのシース12を含む。加熱要素8は、シース12内に位置し、喫煙物品1の遠位端30と係合するように位置決めされる。加熱要素8は、先端40において終端するブレード形の形状にされる。 【0061】 喫煙物品1がシース内に押し込まれると、加熱要素8の先端40は、前方プラグ2の外側表面と係合する。喫煙物品1に力を加えることにより、加熱要素8が前方プラグ2を貫通し、その結果、加熱要素8の先端40が、エアロゾル形成基材7と接触状態になる。圧力を更に加えることにより、加熱要素8がエアロゾル形成基材7内に貫通するようになる。喫煙物品1の遠位端30が、ストッパーとして機能するシース12の端壁と当接するので、これ以上の貫通が阻止される。」 「【図1】 [図:0001398219000001.jpg] 」 (2)上記(1)の記載からわかること ア 段落【0050】、図1から、「喫煙物品1が、前方プラグ2と、エアロゾル形成基材7と、管体6と、シガレット紙5とを備える」ことがわかる。 イ 段落【0016】から、「エアロゾル形成基材7は、タバコを含む」ことがわかる。 ウ 段落【0014】から、「エアロゾル発生装置11は、電気加熱式である」ことがわかる。 エ 段落【0059】から、「喫煙物品1は、エアロゾル発生装置11と係合し、消費又は喫煙される」ことがわかる。 オ 図1から、「エアロゾル形成基材7が、前方プラグ2と管体6とに挟まれて配置される」様子が看取できる。 カ 段落【0050】、【0057】から、「シガレット紙5内に、エアロゾル形成基材7及び管体6が巻かれる」ことがわかる。 キ 段落【0021】から、「前方プラグ2は、エアロゾル形成基材7が放出するのを防ぐ」ことがわかる。 ク 段落【0054】から、「管体6は、エアロゾル形成基材7の直ぐ下流側に位置して、エアロゾル形成基材7が押し込まれるのを防ぐ」ことがわかる。また、図1からは、「管体6がエアロゾル形成基材7に接触する接触面を有する」様子が看取できる。これらのことから、「管体6は、エアロゾル形成基材7が押し込まれるのを防ぐように、エアロゾル形成基材7の直ぐ下流側の位置でエアロゾル形成基材7に接触する接触面を有する」ことがわかる。 (3)甲1に記載された発明 上記(2)ア~クから、甲1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「前方プラグ2と、タバコを含むエアロゾル形成基材7と、管体6と、シガレット紙5とを備え、電気加熱式のエアロゾル発生装置11と係合し、消費又は喫煙される喫煙物品1であって、 エアロゾル形成基材7は、前方プラグ2と管体6とに挟まれて配置され、 シガレット紙5内に、エアロゾル形成基材7及び管体6が巻かれ、 前方プラグ2は、エアロゾル形成基材7が放出するのを防ぎ、 管体6は、エアロゾル形成基材7が押し込まれるのを防ぐように、エアロゾル形成基材7の直ぐ下流側の位置でエアロゾル形成基材7に接触する接触面を有する喫煙物品1。」 2 甲2について (1)甲2の記載 甲2には、次の記載がある。 「【0107】 図5は、エアロゾル生成物品10を図示する。エアロゾル生成物品10は、同軸の並びに配列される4つのエレメント:エアロゾル形成基体20、支持体エレメント30、エアロゾル冷却エレメント40およびマウスピース50を含む。これらの4つのエレメントは、連続して配列され、および外側の包み紙60によって取り囲まれ、エアロゾル生成物品10を形成する。エアロゾル生成10(aerosol-generating 10)は、近位または口末端70を有し、使用者は使用の間、彼または彼女の口の中に挿入し、および遠位端80は、口末端70に対してエアロゾル生成物品10の反対側の末端に位置する。」 「【0110】 支持体エレメント30は、エアロゾル形成基体20の下流に直接位置し、およびエアロゾル形成基体20に隣接する。図5に示した態様において、支持体エレメントは、中空酢酸セルロース管である。支持体エレメント30は、それがエアロゾル生成装置の加熱エレメントによって貫通されることができるように、エアロゾル生成物品10の最端の遠位端80にてエアロゾル形成基体20を位置する。さらに下に記述するように、支持体エレメント30は、エアロゾル生成装置の加熱エレメントがエアロゾル形成基体20に挿入されるときに、エアロゾル形成基体20がエアロゾル冷却エレメント40の方へエアロゾル生成物品10内に下流へと押し込まれるのを防ぐように働く。また、支持体エレメント30は、エアロゾル形成基体20からエアロゾル生成物品10のエアロゾル冷却エレメント40に間隔をあけるスペーサーとして働く。」 「【0118】 エアロゾル生成装置110は、加熱エレメント120を作動させることができる電力供給および電子機器を含む(図7に示した)。このような作動は、手動でもよく、またはエアロゾル生成装置110のエアロゾル生成物品受け入れチャンバの中に挿入されるエアロゾル生成物品10における使用者の吸い込みに応答して自動的に起こってもよい。複数の開口部は、エアロゾル生成装置に提供されて空気がエアロゾル生成物品10に流れるのを可能にする;空気の流れの方向は、図6に矢印によって図示する。」 「【0130】 エアロゾル形成基体は、エアロゾル生成物品の最端の上流末端に位置することができる。エアロゾル生成物品は:エアロゾル形成基体の上流の前側プラグをさらに含むことができ、外側の包み紙は、前側プラグを取り囲み、および前側プラグは、エアロゾル生成装置の加熱エレメントによって貫通される。エアロゾル形成基体は、均質化されたタバコ材料の集められたシートを含むことができる。均質化されたタバコ材料のシートは、波形加工され得る。支持体エレメントは、中空管状エレメントを含むことができる。支持体エレメントは、中空酢酸セルローストウを含むことができる。」 「【0219】 支持体エレメントは、任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成されてもよい。たとえば、支持体エレメントは:酢酸セルロース;ボール紙;波形加工された耐熱紙または波形加工された硫酸紙などの波形加工紙;および低密度ポリエチレン(LDPE)などの重合体材料からなる群より選択される1つまたは複数の材料から形成されてもよい。好ましい態様において、支持体エレメントは、酢酸セルロースから形成される。」 「【図5】 [図:0001398219000002.jpg] 」 (2)甲2に記載された事項 上記(1)から、甲2には、次の事項(以下「甲2事項」という。)が記載されていると認められる。 「電子機器を含むエアロゾル生成装置110に挿入されるエアロゾル生成物品10は、タバコを含むエアロゾル形成基体20と支持体エレメント30とを含み、 支持体エレメント30は、エアロゾル形成基体20の下流に直接位置し、およびエアロゾル形成基体20に隣接し、 支持体エレメント30は、酢酸セルロースから形成され、中空酢酸セルローストウを含むことができる、ということ。」 3 甲3について (1)甲3の記載 甲3及び甲3訳文には、次の記載がある。 「The porous support element may define a filter element. The filter element may be formed of a network of fibres. The network of fibres may be a nonwoven fibre element. The porous support element may be a plug of filtration material. Fibers forming the porous support element may be derived from polylactic acid. Fibers forming the porous support element may be cellulose acetate. The filter element may be a plug of cellulose acetate or a plug of polylactic acid. The porous element may comprise a plastic mesh. The plastic mesh may have holes of from about 1 mm2 to about 4mm2 or of about 2mm2. 」(第5ページ第12~18行) (【0026】 多孔性支持要素はフィルター要素を画定してもよい。フィルター要素は繊維の網状組織で形成されてもよい。繊維の網状組織は不織繊維要素であってもよい。多孔性支持要素は濾過材料のプラグであってもよい。多孔性支持要素を形成する繊維は、ポリ乳酸に由来するものであってもよい。多孔性支持要素を形成する繊維は、酢酸セルロースであってもよい。フィルター要素は酢酸セルロースのプラグまたはポリ乳酸のプラグであってもよい。多孔性要素はプラスチックメッシュを備えてもよい。プラスチックメッシュは約1平方mm~約4平方mm、または約2平方mmの穴を有してもよい。) 「FIG. 1 and FIG. 2 illustrate an exemplary inhaler article 100. FIG. 2 is a cross-sectional schematic diagram of the illustrative inhaler article of FIG. 1 along the longitudinal axis. The inhaler article 100 includes a body 110 extending along a longitudinal axis LA from a mouthpiece end 112 to a distal end 114 and a capsule cavity 116 defined within the body 110. A mouthpiece air channel 111 extends from the capsule cavity 116 to the mouthpiece end 112. An end cap 120 is disposed within the distal end 112 and extends to the capsule cavity 116. The end cap 120 extends from an end cap distal end 124 to an end cap inner end 122. The end cap 20 includes an air channel 113 extending from the end cap distal end 124 to the end cap inner end 122. The air channel 113 is non-parallel with the longitudinal axis LA. The end cap inner end 122 and a porous support element 140 bound the capsule cavity 116. A capsule 130 is disposed within the cavity 116. The capsule 130 contains particles comprising nicotine. The end cap 120 and the porous support element 140 cooperate to contain the capsule 130 longitudinally within the capsule cavity 116. The mouthpiece end 112 is illustrated having a recessed end where the body 110 bounds an open space at the mouthpiece end 112. Alternatively the porous support element 140 can extend to the mouthpiece end 112 to fill the entire mouthpiece end 112. 」(第13ページ第1~16行) (【0064】 図1および図2は、模範的な吸入器物品100を図示する。図2は、図1の例示的な吸入器物品の長軸方向軸に沿った概略断面図である。吸入器物品100は、マウスピース端112から遠位端114へと長軸方向軸LAに沿って延びる本体110と、本体110内に画定されたカプセル空洞116とを含む。マウスピース空気チャネル111はカプセル空洞116からマウスピース端112へと延びる。端キャップ120は遠位端112の中に配置され、かつカプセル空洞116へと延びる。端キャップ120は端キャップ遠位端124から端キャップ内側端122へと延びる。端キャップ120は、端キャップ遠位端124から端キャップ内側端122へと延びる空気チャネル113を含む。空気チャネル113は長軸方向軸LAと非平行である。 【0065】 端キャップ内側端122と多孔性支持要素140はカプセル空洞116の境界となる。カプセル130は空洞116の中に配置される。カプセル130はニコチンを含む粒子を含む。端キャップ120と多孔性支持要素140は、カプセル130をカプセル空洞116の中に長軸方向に収容するように協働する。マウスピース端112はマウスピース端112で本体110が開放空間と境界となるように陥凹した端を有して図示される。別の方法として、多孔性支持要素140はマウスピース端112全体を充填するようにマウスピース端112へと延びることができる。) 「A separate piercing element (not shown) may be utilized by a consumer to pierce the nicotine capsule 130 and form the single aperture 220 through the piercing channel shown in FIG. 1 in the end cap 120 along the longitudinal axis LA. The piercing element may be withdrawn from the single aperture 220. A consumer may then utilize the nicotine capsule 130 in an inhaler device 100. 」(第13ページ第22~26行) (【0067】 消費者は別個の貫通要素(図示せず)を利用してニコチンカプセル130を貫通し、長軸方向軸LAに沿って端キャップ120の中で貫通チャネル(図1に図示)を通した単一の開口部220を形成しうる。貫通要素は単一の開口部220から引き出されうる。消費者はその後、吸入器装置100内のニコチンカプセル130を利用しうる。) 「 [図:0001398219000003.jpg] 」 (【図2】) (2)甲3に記載された事項 上記(1)から、甲3には、次の事項(以下「甲3事項」という。)が記載されていると認められる(ただし、甲3訳文の記載に基づく。)。 「吸入器物品100はカプセル空洞116を含み、 多孔性支持要素140は、酢酸セルロース繊維で形成され、カプセル空洞116の境界となり、 ニコチンカプセル130はカプセル空洞116の中に配置され、 消費者は貫通要素を利用してニコチンカプセル130を貫通する、ということ。」 4 甲4について (1)甲4の記載 甲4には、次の記載がある。 「【0013】 <電子タバコカートリッジ100> 図1および図2(A)、(B)に示すように、電子タバコカートリッジ100は、エアロゾル形成基材110、支持部材120、冷却部材130(図2(B)に例示する場合)、マウスピース140および包装部材150を有する。電子タバコカートリッジ100の外形は、たとえば棒状または円筒形状を呈する。」 「【0015】 <エアロゾル形成基材110> エアロゾル形成基材110は、固体化合物および液体化合物の少なくともいずれかを含みうる。エアロゾル形成基材110は、タバコを含むエアロゾル形成材料を含みうる。また、エアロゾル形成基材110は、グリセリンおよびプロピレングリコールを含むエアロゾルフォーマをさらに含みうる。エアロゾル形成基材110は、固体である場合、たとえば、棒状、短冊状、粉体状、顆粒状、ペレット状、小片状、シート状、繊維状、多孔質状またはブロック状の形態をとりうる。エアロゾル形成基材110は、上記のいずれかの形態で所定量または所定数がまとめられ、電子タバコカートリッジ100の一端部に充填される。図3に示すように、たとえば、エアロゾル形成基材110は、棒状の形態の充填物111が所定数束ねられた状態で電子タバコカートリッジ100の一端部に配置される。 【0016】 充填物111の材料としては、タバコ葉、タバコ茎、膨張タバコおよび均質化タバコのうち少なくともいずれかを含みうる。また、充填物111の材料としては、非タバコ植物、すなわちタバコ以外の植物を含みうる。植物の使用部位としては、たとえば、根(鱗根(鱗茎)、塊根(イモ類)、球根などを含む)、茎、皮(茎皮、樹皮などを含む)、葉、花(花弁、雌蕊、雄蕊などを含む)、樹木の幹や枝など様々な部位を含む。」 「【0020】 また、茶類を使用できる。茶類は茶になる植物が異なるだけでなく、同じ植物であっても加工方法によって異なるお茶になる。茶類としては、紅茶、緑茶の他に、たとえば、明日葉茶、甘茶、アマチャヅル茶、アロエ茶、イチョウ葉茶、ウーロン茶、ウコン茶、ウラジロガシ茶、エゾウコギ茶、オオバコ茶、カキオドシ茶、柿の葉茶、カミツレ茶、カモミールティ、河原決明茶、カリン茶、菊花茶、ギムネマ茶、グァバ茶、クコ茶、桑の葉茶、黒豆茶、ゲンノショウコ茶、玄米茶、ゴボウ茶、コンフリー茶、昆布茶、桜茶、サフラン茶、シイタケ茶、シソ茶、ジャスミン茶、しょうが茶、スギナ茶、セキショウ茶、センブリ茶、ソバ茶、タラノキ茶、タンポポ茶、甜茶、ドクダミ茶、杜仲茶、ナタマメ茶、ニワトコ茶、ネズミモチ茶、ハトムギ茶、ハブ茶、ビワの葉茶、プーアル茶、紅花茶、松葉茶、マテ茶、麦茶、メグスリノキ茶、ヨモギ茶、ユーカリ茶、羅漢果茶およびルイボスティなどを含む。これらお茶については飲用後の茶殻を使用してもよい。茶殻などを使用すれば高価なお茶などを再利用して有効活用できる。」 「【0030】 また、エアロゾル形成基材110と支持部材120との間に他の部材が配置されてもよい。すなわち、支持部材120は、エアロゾル形成基材との間に他の部材を挟んで配置されうる。他の部材は、たとえば充填物111の微粒子を除去する薄いフィルターや、エアロゾル形成基材110を支持する別の支持部材などを含みうる。」 「【0032】 より具体的には、支持部材120は、側部122が包装部材150の内面に固定されているため、エアロゾル形成基材110の周縁部分を確実に支持できる。また、支持部材120は、中心部121を有するため、エアロゾル形成基材110に挿入される加熱要素211によってエアロゾル形成基材110の中央部の充填物111がX方向に押し出されるのを防止できる。このように、本実施形態の支持部材120では、加熱要素211による力が働く中央部ではなく、周縁部にエアロゾルの流路が設けられている。 【0033】 エアロゾル形成基材110が加熱されて生成したエアロゾルは、中心部121と支持部材120を覆う包装部材150の内面との間に形成された空間を流路として、電子タバコカートリッジ100の上記一端部から他端部へ向けて移送される(図中の矢印を参照)。」 「【0042】 また、支持部材120は、好適には、たとえばシリコーンを使用して形成されうるが、シリコーンに限定されず、耐熱性に優れた他の材料を使用してもよい。」 「【図2】 [図:0001398219000004.jpg] 」 「【図4】 [図:0001398219000005.jpg] 」 (2)上記(1)の記載からわかること ア 段落【0013】、【0030】から、「電子タバコカートリッジ100は、エアロゾル形成基材110及び支持部材120を有し、エアロゾル形成基材110と支持部材120との間に、フィルターなどの他の部材を配置してもよい」ことがわかる。 イ 段落【0015】から、「エアロゾル形成基材110は、粉体、顆粒及びペレットの少なくともいずれか一の形状である粒状、短冊状、棒状並びにシート状の少なくともいずれか一の形状である」ことがわかる。 ウ 段落【0016】から、「エアロゾル形成基材110として充填される充填物111の材料として、塊根(イモ類)を含む」ことがわかる。 エ 段落【0020】から、「エアロゾル形成基材110は、茶類を含む」ことがわかる。 オ 段落【0032】~【0033】から、「支持部材120の周縁部には、エアロゾル形成基材110から発生するエアロゾルをエアロゾル形成基材110側の反対側へ移送する流路が設けられている」ことがわかる。 カ 段落【0042】から、「支持部材120は、シリコーンを含む」ことがわかる。 (3)甲4に記載された事項 上記(2)ア~カから、甲4には、次の事項(以下「甲4事項」という。)が記載されていると認められる。 「(a)電子タバコカートリッジ100は、エアロゾル形成基材110及び支持部材120を有し、エアロゾル形成基材110と支持部材120との間に、フィルターなどの他の部材を配置してもよく、 (b)エアロゾル形成基材110は、粉体、顆粒及びペレットの少なくともいずれか一の形状である粒状、短冊状、棒状並びにシート状の少なくともいずれか一の形状であり、 (c)エアロゾル形成基材110として充填される充填物111の材料として、塊根(イモ類)を含み、 (d)エアロゾル形成基材110は、茶類を含み、 (e)支持部材120の周縁部には、エアロゾル形成基材110から発生するエアロゾルをエアロゾル形成基材110側の反対側へ移送する流路が設けられており、 (f)支持部材120は、シリコーンを含む、 ということ。」 第6 当審の判断 1 取消理由通知(決定予告)に記載した取消理由について A 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について (1)訂正発明1、2、4~15について 本件訂正により、訂正発明1、2は、いずれも「第2の面が第1の面と段差を介して連接される」ことが特定された。 これにより、訂正発明1、2は、本件特許明細書の段落【0027】に「支持要素(301)は、支持要素の上流側に位置する第一の支持面(301A)と、前記第一の支持面の下流側に第二の支持面(301B)を有している。支持面(301A)と支持面(301B)は連接している。また、連接部には段差(301C)があり、前記段差を介して連接しているともいえる。」として記載されたものである。 よって、訂正発明1、2は、本件特許の発明の詳細な説明に記載したものであり、訂正発明1、2を直接又は間接的に引用する訂正発明4~15も、同様に、本件特許の発明の詳細な説明に記載したものである。 B 特許法第29条第2項(進歩性)について (1)訂正発明1について ア 対比 訂正発明1と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 (ア)引用発明における「前方プラグ2」は訂正発明1における「蓋」に相当し、以下同様に、「管体6」は「支持要素」に、「シガレット紙5」は「包装部材」に、それぞれ相当する。 (イ)引用発明における「エアロゾル形成基材7」は、甲1の図1から明らかなように、前方プラグ2と管体6とシガレット紙5との間の空間に配置されているため、訂正発明1における「充填物であるエアロゾル形成基材」に相当する。 (ウ)引用発明における、「タバコを含むエアロゾル形成基材7」「を備え、電気加熱式のエアロゾル発生装置11」「と係合し、消費又は喫煙される喫煙物品1」は、訂正発明1における、「電子タバコカートリッジ」に相当する。 (エ)そうすると、引用発明における、「前方プラグ2と、タバコを含むエアロゾル形成基材7と、管体6と、シガレット紙5とを備え、電気加熱式のエアロゾル発生装置11と係合し、消費又は喫煙される喫煙物品1」は、訂正発明1における、「蓋と、充填物であるエアロゾル形成基材と、支持要素と、包装部材とを備える電子タバコカートリッジ」に相当する。 (オ)引用発明における、「エアロゾル形成基材7は、前方プラグ2と管体6とに挟まれて配置され」ることは、訂正発明1における、「前記エアロゾル形成基材は、前記蓋と前記支持要素とに挟まれて配置され」ることに相当する。 (カ)引用発明における、「シガレット紙5内に、エアロゾル形成基材7及び管体6が巻かれ」ることは、紙内に巻くことで包装することが達成されることに照らすと、訂正発明1における、「前記包装部材は、前記エアロゾル形成基材及び前記支持要素を包装」することに相当する。 (キ)引用発明における、「前方プラグ2は、エアロゾル形成基材7が放出するのを防」ぐことは、甲1の図1も参酌すると、シガレット紙5内に巻かれたエアロゾル形成基材7がシガレット紙5の軸方向端部の開口から外に出てしまうことを、前方プラグ2が防ぐということであるといえるから、訂正発明1における、「前記蓋は、エアロゾル形成基材を前記包装部材の内部に保持」することに相当する。 (ク)引用発明における、「管体6は、エアロゾル形成基材7が押し込まれるのを防ぐように、エアロゾル形成基材7の直ぐ下流側の位置でエアロゾル形成基材7に接触する接触面を有」するという事項において、押し込まれるのを防ぐような接触面は、直接支持する機能を発揮しているといえるため、当該事項は、訂正発明1における、「前記支持要素は、前記エアロゾル形成基材を直接」「支持する支持面を有」することに相当する。 (ケ)そうすると、訂正発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 <一致点> 「蓋と、充填物であるエアロゾル形成基材と、支持要素と、包装部材とを備える電子タバコカートリッジであって、 エアロゾル形成基材は、蓋と支持要素とに挟まれて配置され、 包装部材は、エアロゾル形成基材及び支持要素を包装し、 蓋は、エアロゾル形成基材を包装部材の内部に保持し、 支持要素は、エアロゾル形成基材を直接支持する支持面を有する 電子タバコカートリッジ。」 <相違点1> 「支持面」の配置態様について、訂正発明1では、「支持面」が「前記支持面は第1の面と第2の面を含み、前記エアロゾル形成基材の中心軸に沿って観察した場合、前記第1の面は前記第2の面を囲み、前記第2の面は、前記第1の面と段差を介して連接され」ることが特定されているのに対し、引用発明では、「接触面」の配置態様について特定されていない点。 <相違点2> 「支持面」の表面形状について、訂正発明1では、「支持面」が「凹凸を有する」ことが特定されているのに対し、引用発明では、「接触面」の表面形状について特定されていない点。 イ 判断 上記相違点1について検討する。 引用発明において、「管体6は、エアロゾル形成基材7が押し込まれるのを防ぐように、エアロゾル形成基材7の直ぐ下流側の位置でエアロゾル形成基材7に接触する接触面を有する」ものであり、引用発明における「接触面」は、甲1の図1に示すとおり、単一の面である。 したがって、引用発明には、上記相違点1に係る訂正発明1の構成のような「前記支持面は第1の面と第2の面を含み、前記エアロゾル形成基材の中心軸に沿って観察した場合、前記第1の面は前記第2の面を囲み、前記第2の面は、前記第1の面と段差を介して連接され」る点は、開示されていない。 また、上記相違点1に係る訂正発明1の構成は、甲2事項、甲3事項、甲4事項のいずれにも記載されていない。 さらに、2つの物品の接触界面の粗さを向上すること(例えば、凹凸を設けること)によって滑ることを防止することが技術常識であったとしても、上記相違点1に係る訂正発明1の構成を示すものではない。 そして、訂正発明1は、上記相違点1に係る訂正発明1の構成を採用することにより、「エアロゾルが電子タバコカートリッジ内を移送される流路を確保しつつ、加熱要素の挿入時にエアロゾル形成基材を安定的に支持しながらも、加熱要素の挿入によりカートリッジに不具合を生じさせないような支持要素を提供することができる。更に、電子タバコの使用の際カートリッジの挿入を容易とし、操作性を向上させることができる。」(本件特許明細書の【0013】)という効果を奏するものである。 ウ 小括 よって、相違点2について検討するまでもなく、訂正発明1は、引用発明、及び甲2~4事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)訂正発明2について ア 対比 訂正発明2と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 (ア)上記(1)ア(ア)~(キ)を参酌すると、 引用発明における、 「前方プラグ2と、タバコを含むエアロゾル形成基材7と、管体6と、シガレット紙5とを備え、電気加熱式のエアロゾル発生装置11と係合し、消費又は喫煙される喫煙物品1であって、 エアロゾル形成基材7は、前方プラグ2と管体6とに挟まれて配置され、 シガレット紙5内に、エアロゾル形成基材7及び管体6が巻かれ、 前方プラグ2は、エアロゾル形成基材7が放出するのを防」ぐ「喫煙物品1。」は、 訂正発明2における、 「蓋と、充填物であるエアロゾル形成基材と、支持要素と、包装部材とを備える電子タバコカートリッジであって、 前記エアロゾル形成基材は、前記蓋と前記支持要素とに挟まれて配置され、 前記包装部材は、前記エアロゾル形成基材及び前記支持要素を包装し、 前記蓋は、前記エアロゾル形成基材を前記包装部材の内部に保持」する「電子タバコカートリッジ。」に相当する。 (イ)引用発明における、「管体6は、エアロゾル形成基材7が押し込まれるのを防ぐように、エアロゾル形成基材7の直ぐ下流側の位置でエアロゾル形成基材7に接触する接触面を有」するという事項において、押し込まれるのを防ぐような接触面は、直接支持する機能を発揮しているといえるため、当該事項と、訂正発明2における、「前記支持要素は、前記エアロゾル形成基材を直接」「支持する第1の面と第2の面を備え」ることとは、「支持要素は、エアロゾル形成基材を直接支持する支持面を備える」という限りにおいて一致する。 (ウ)そうすると、訂正発明2と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 <一致点> 「蓋と、充填物であるエアロゾル形成基材と、支持要素と、包装部材とを備える電子タバコカートリッジであって、 エアロゾル形成基材は、蓋と支持要素とに挟まれて配置され、 包装部材は、エアロゾル形成基材及び支持要素を包装し、 蓋は、エアロゾル形成基材を包装部材の内部に保持し、 支持要素は、エアロゾル形成基材を直接支持する支持面を備える 電子タバコカートリッジ。」 <相違点3> 「支持面」の配置態様について、訂正発明2では、「支持面」が「第1の面と第2の面」であり、当該「第1の面と第2の面」が、「エアロゾル形成基材の中心軸に対して垂直又は傾斜し、」「中心軸に沿って観察した場合、前記第1の面は前記第2の面を囲み、前記第2の面は、前記第1の面と段差を介して連接され」ることが特定されているのに対し、引用発明では、「接触面」の配置態様について特定されていない点。 <相違点4> 「支持面」の表面形状について、訂正発明2では、「支持面」が「凹凸を有する」ことが特定されているのに対し、引用発明では、「接触面」の表面形状について特定されていない点。 イ 判断 上記相違点3について検討する。 相違点3は、上記(1)イで検討した相違点1と同様の「前記第2の面は、前記第1の面と段差を介して連接され」るとの発明特定事項を含むものである。 よって、上記(1)イで検討した理由と同様の理由により、訂正発明2は、引用発明、及び甲2~4事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)訂正発明4~15について 訂正発明4~15は、訂正発明1、2を直接又は間接的に引用するものであるから、上記(1)イで検討した理由と同様の理由により、引用発明、及び甲2~4事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について (1)特許法第36条第6項第2号(明確性)について 異議申立人は、請求項1~3に記載の「支持面は凹凸を有する」における「凹凸」という構造について明確に限定しておらず、請求項1~3における「凹凸」について客観的な特徴パラメータが特定されていない場合は、当該用語は、当業者にとって明確ではない旨主張する(特許異議申立書第43~44頁)。 しかしながら、「凹凸」とは、「へこみと出っぱり。平らでないさま。」(広辞苑 第六版)という意味であり、用語の意味自体は明確であるから、特徴パラメータが特定されていないことをもって明確ではないとすることはできない。 そして、本件特許明細書を参酌すると、「また、第一の支持面又は第二の支持面は、前記エアロゾル形成基材の中心軸に垂直な平面に対して傾斜をする面を有してもよく、又は、凹凸を有していてもよい。」(【0051】)と記載されているから、第一の支持面又は第二の支持面の表面に形成された小さな凹凸であると理解できる。 よって、訂正発明1~3は明確であり、訂正発明1~3を直接的又は間接的に引用する訂正発明4~15も明確である。 (2)特許法第36条第4項第1号(実施可能要件)について 異議申立人は、特許権者が審査において拒絶理由通知書に対して応答した際に主張した「この凹凸を設けることで、加熱要素挿入時にエアロゾル形成基材が滑ることなく確実に保持することができる」という効果について、本件特許明細書には全く言及されていないから、本件特許明細書は、支持面の有する「凹凸」及びその効果について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載していない」旨主張する。 しかしながら、支持部材の表面の凹凸が、支持部材に接触するエアロゾル形成基材を滑らないように支持する機能を有することは、当業者にとって自明な事項であり、また、支持部材の表面の凹凸は、当業者であれば、どのような寸法であれ、表面加工すること等により形成することが十分に可能であるから、本件特許明細書に具体的に凹凸の形成方法が記載されていないとしても、当業者が実施することができないということはできない。 よって、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1~15に係る発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載したものである。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1~15に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1~15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-700993

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