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特許異議申立

2021-700949

水路

審判番号
2021-700949
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2016-217258
登録番号
6856353
請求日
2021年10月04日
審決日
2022年11月10日
公報発行日
2022年12月28日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】JFE建材株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人インテクト国際特許事務所
  • 【権利者代理人】石橋 良規
  • 【異議申立人】日鉄建材 株式会社
  • 【異議申立人代理人】長谷川 芳樹
  • 【異議申立人代理人】黒木 義樹
  • 【異議申立人代理人】阿部 寛
審判長/審判官
  • 審判長 居島 一仁
  • 審判官 西田 秀彦
  • 審判官 有家 秀郎
分類
P1651.536-YB (E02B) / P1651.537-YB (E02B) / P1651.113-YB (E02B) / P1651.121-YB (E02B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第36条、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6856353号発明「水路」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6856353号の請求項1~10に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6856353号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし10に係る特許についての出願は、平成28年11月7日に出願され、令和3年3月22日に特許権の設定登録がされ、同年4月7日に特許掲載公報が発行された。 その後、その特許について、令和3年10月4日に特許異議申立人日鉄建材株式会社(以下「申立人」という。)より特許異議の申立てがされ、同年12月17日付けで取消理由が通知され、令和4年2月18日に特許権者より意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)がされ、同年6月7日に申立人より意見書の提出がされ、同年6月24日付けで訂正拒絶理由が通知され、同年7月29日に特許権者より意見書の提出及び本件訂正請求に係る手続補正(以下「本件補正」という。)がされたものである。 第2 訂正の適否 1 訂正の趣旨及び訂正の内容 本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の趣旨は、「特許第6856353号の明細書、特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1から10について訂正することを求める。」というものであり、その内容は、以下の訂正事項1~24からなるものである。(下線は訂正箇所を示す。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「地盤変動等による荷重」と記載されているのを、 「地盤変動による荷重」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2から10も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に、 「容易に変形することで前記腹起し材の変形を小さくすることができる部材」と記載されているのを、 「変形し、水平方向に対する断面二次モーメントが前記腹起し材の水平方向に対する断面二次モーメントより小さい部材」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2から10も同様に訂正する)。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項5に、 「地盤変動等による荷重」と記載されているのを、 「地盤変動による荷重」に訂正する(請求項5の記載を引用する請求項8から10も同様に訂正する)。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5に、 「容易に変形することで前記腹起し材の変形を小さくすることができる部材」と記載されているのを、 「変形し、水平方向に対する断面二次モーメントが前記腹起し材の水平方向に対する断面二次モーメントより小さい部材」に訂正する(請求項5の記載を引用する請求項8から10も同様に訂正する)。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項6に、 「地盤変動等による荷重」と記載されているのを、 「地盤変動による荷重」に訂正する(請求項6の記載を引用する請求項8から10も同様に訂正する)。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6に、 「容易に変形することで前記腹起し材の変形を小さくすることができる部材」と記載されているのを、 「変形し、水平方向に対する断面二次モーメントが前記腹起し材の水平方向に対する断面二次モーメントより小さい部材」に訂正する(請求項6の記載を引用する請求項8から10も同様に訂正する)。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項7に、 「地盤変動等による荷重」と記載されているのを、 「地盤変動による荷重」に訂正する。なお、特許請求の範囲の請求項7には、「地盤変動等による荷重」という記載が2カ所あるが、両方の記載を訂正する(請求項7の記載を引用する請求項8から10も同様に訂正する)。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項7に、 「容易に変形することで前記腹起し材の変形を小さくすることができる部材」と記載されているのを、 「変形し、水平方向に対する断面二次モーメントが前記腹起し材の水平方向に対する断面二次モーメントより小さい部材」に訂正する。なお、特許請求の範囲の請求項7には、「容易に変形することで前記腹起し材の変形を小さくすることができる部材」という記載が2カ所あるが、両方の記載を訂正する(請求項7の記載を引用する請求項8から10も同様に訂正する)。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項8に、 「地盤変動等による荷重」と記載されているのを、 「地盤変動による荷重」に訂正する(請求項8の記載を引用する請求項9及び10も同様に訂正する)。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項8に、 「容易に変形することで前記腹起し材の変形を小さくすることができる部材」と記載されているのを、 「変形し、水平方向に対する断面二次モーメントが前記腹起し材の水平方向に対する断面二次モーメントより小さい部材」に訂正する(請求項8の記載を引用する請求項9及び10も同様に訂正する)。 (11)訂正事項11 特許請求の範囲の請求項10に、 「地盤変動等による荷重」と記載されているのを、 「地盤変動による荷重」に訂正する。 (12)訂正事項12 特許請求の範囲の請求項10に、 「容易に変形することで前記腹起し材の変形を小さくすることができる部材」と記載されているのを、 「変形し、水平方向に対する断面二次モーメントが前記腹起し材の水平方向に対する断面二次モーメントより小さい部材」に訂正する。 (13)訂正事項13 明細書の段落【0017】に、 「地盤変動等による荷重」と記載されているのを、 「地盤変動による荷重」に訂正する。 (14)訂正事項14 明細書の段落【0017】に、 「容易に変形することで前記腹起し材の変形を小さくすることができる部材」と記載されているのを、 「変形し、水平方向に対する断面二次モーメントが前記腹起し材の水平方向に対する断面二次モーメントより小さい部材」に訂正する。 (15)訂正事項15 明細書の段落【0021】に、 「地盤変動等による荷重」と記載されているのを、 「地盤変動による荷重」に訂正する。 (16)訂正事項16 明細書の段落【0021】に、 「容易に変形することで前記腹起し材の変形を小さくすることができる部材」と記載されているのを、 「変形し、水平方向に対する断面二次モーメントが前記腹起し材の水平方向に対する断面二次モーメントより小さい部材」に訂正する。 (17)訂正事項17 明細書の段落【0022】に、 「地盤変動等による荷重」と記載されているのを、 「地盤変動による荷重」に訂正する。 (18)訂正事項18 明細書の段落【0022】に、 「容易に変形することで前記腹起し材の変形を小さくすることができる部材」と記載されているのを、 「変形し、水平方向に対する断面二次モーメントが前記腹起し材の水平方向に対する断面二次モーメントより小さい部材」に訂正する。 (19)訂正事項19 明細書の段落【0023】に、 「地盤変動等による荷重」と記載されているのを、 「地盤変動による荷重」に訂正する。なお、明細書の段落【0023】には、「地盤変動等による荷重」という記載が2カ所あるが、両方の記載を訂正する。 (20)訂正事項20 明細書の段落【0023】に、 「容易に変形することで前記腹起し材の変形を小さくすることができる部材」と記載されているのを、 「変形し、水平方向に対する断面二次モーメントが前記腹起し材の水平方向に対する断面二次モーメントより小さい部材」に訂正する。なお、明細書の段落【0023】には、「容易に変形することで前記腹起し材の変形を小さくすることができる部材」という記載が2カ所あるが、両方の記載を訂正する。 (21)訂正事項21 明細書の段落【0024】に、 「地盤変動等による荷重」と記載されているのを、 「地盤変動による荷重」に訂正する。 (22)訂正事項22 明細書の段落【0024】に、 「容易に変形することで前記腹起し材の変形を小さくすることができる部材」と記載されているのを、 「変形し、水平方向に対する断面二次モーメントが前記腹起し材の水平方向に対する断面二次モーメントより小さい部材」に訂正する。 (23)訂正事項23 明細書の段落【0026】に、 「地盤変動等による荷重」と記載されているのを、 「地盤変動による荷重」に訂正する。 (24)訂正事項24 明細書の段落【0026】に、 「容易に変形することで前記腹起し材の変形を小さくすることができる部材」と記載されているのを、 「変形し、水平方向に対する断面二次モーメントが前記腹起し材の水平方向に対する断面二次モーメントより小さい部材」に訂正する。 2 訂正拒絶理由の概要 訂正事項2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24は、以下(1)及び(2)のとおり適法でない。 そして、訂正事項2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24に係る訂正については、訂正後の請求項1~10に係る一群の請求項を訂正するものであるから、その他の訂正事項の適否にかかわらず、請求項1~10に係る一群の請求項の訂正である訂正事項1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21及び23に係る訂正も認めることができない。 したがって、訂正事項1~24に係る本件訂正は認められない。 (1)訂正事項2について 訂正事項2は、本件訂正請求前の請求項1に、「容易に変形することで前記腹起し材の変形を小さくすることができる部材」と記載されているのを、「変形し、水平方向に対する断面二次モーメントが前記腹起し材の水平方向に対する断面二次モーメントより小さい部材」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2から10も同様に訂正する)ものである。 しかしながら、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件明細書等」という。)のうち、明細書の段落【0039】には、「緩衝部材4」について、「緩衝部材4は、この例では、L字状鋼板からなり、H形鋼からなる腹起し材3のウエッブ3bにボルト結合されている。緩衝部材4は、地盤変動等により腹起し材3と水路本体1との取付け部分に作用する荷重によって、容易に変形可能な材質あるいは板厚を有している。」と記載されているが、「断面二次モーメント」については記載されていない。 また、図4及び図5に記載されたL字状の「緩衝部材4」は、「水平方向に対する断面二次モーメントが前記腹起し材の水平方向に対する断面二次モーメントより小さい部材」とも解されるが、一例が図示されているだけであって、「緩衝部材4」を「水平方向に対する断面二次モーメントが前記腹起し材の水平方向に対する断面二次モーメントより小さい部材」とするという技術的事項が開示されているとは認められない。 また、訂正事項2に係る訂正後の「水平方向に対する断面二次モーメントが前記腹起し材の水平方向に対する断面二次モーメントより小さい部材」は、「部材」(緩衝部材)と「腹起し材」との間で、断面二次モーメントの大小関係のみを特定したものであり、このような断面二次モーメントの大小関係を満たすものであれば、請求項1に係る発明の「腹起し材」及び「緩衝部材」の形状として、図4及び図5に記載された、H形の腹起し材及びL字状の緩衝部材だけでなく、本件明細書等に記載されていないさまざまな形状の腹起し材及び緩衝部材が含まれることになる。 したがって、上記訂正事項2は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であると認めることはできず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものではない。 (2)訂正事項4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24について 訂正事項4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24は、訂正事項2と同様に訂正するものであるから、上記(1)と同様に本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であると認めることはできず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものではない。 3 本件補正の適否 (1)本件補正の内容 本件補正は、令和4年7年29日付け手続補正書の別紙の記載から、訂正事項1及び13、並びに2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24について補正するものと認める。 ア 訂正事項1に係る補正の内容 「ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、「地盤変動等による荷重」と記載されているのを、「地盤変動による荷重」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2から10も同様に訂正する。)」という記載を、 「アー1 訂正事項1-1 特許請求の範囲の請求項1に、「前記水路本体の長手方向に沿って取り付けられた腹起し材」と記載されているのを、「前記水路本体の長手方向に沿って取り付けられた断面形状H形の腹起し材」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2から10も同様に訂正する)。 ア-2 訂正事項1-2 特許請求の範囲の請求項1に、「地盤変動等による荷重」と記載されているのを、「地盤変動による荷重」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2から10も同様に訂正する。)」に補正する。 イ 訂正事項13に係る補正の内容 「ス 訂正事項13 明細書の段落【0017】に、「地盤変動等による荷重」と記載されているのを、「地盤変動による荷重」に訂正する。」という記載を、 「スー1 訂正事項13-1 明細書の段落【0017】に、「前記水路本体の長手方向に沿って取り付けられた腹起し材」と記載されているのを、「前記水路本体の長手方向に沿って取り付けられた断面形状H形の腹起し材」に訂正する。 ス-2 訂正事項13-2 明細書の段落【0017】に、「地盤変動等による荷重」と記載されているのを、「地盤変動による荷重」に訂正する。」に補正する。 ウ 訂正事項2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24に係る補正 (ア)訂正事項2に係る補正の内容 「変形し、水平方向に対する断面二次モーメントが前記腹起し材の水平方向に対する断面二次モーメントより小さい部材」という記載を、 「変形し、水平方向に対する断面二次モーメントが前記腹起し材の水平方向に対する断面二次モーメントより小さい断面L形の部材」に補正する。 (イ)訂正事項4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24に係る補正の内容 「変形し、水平方向に対する断面二次モーメントが前記腹起し材の水平方向に対する断面二次モーメントより小さい部材」という記載を、 「変形し、水平方向に対する断面二次モーメントが前記腹起し材の水平方向に対する断面二次モーメントより小さい断面L形の部材」に補正する。 (2)本件補正の適否 訂正事項1及び13に係る補正のうち、訂正事項1-1及び13-1に係る補正は、「腹起し材」の形状について限定する訂正事項を追加するものであり、訂正事項1-2及び13-2に係る補正は、「地盤変動等による荷重」について「地盤変動による荷重」に限定する訂正事項に変更するものである。 また、訂正事項2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24に係る補正は、「部材」の形状について特定していない訂正事項を、「部材」の形状について「断面形状L形」に限定する訂正事項に変更するものである。 上記補正のうち、少なくとも、訂正事項1-1及び13-1に係る補正は、新たに訂正事項を加える補正であって、本件訂正請求により訂正を求める内容が追加されて、審理の対象が変更されることを意味するから、訂正請求書の請求の趣旨を実質的に変更するものであり、訂正請求書の要旨を変更するものであると認める。 よって、本件補正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第131条の2第1項の規定に違反するものであるから、これを認めない。 4 訂正の適否 上記3に示したとおり本件補正は認められないから、本件訂正の内容は上記1に示したとおりであるところ、以下、その適否について判断する。 本件訂正前の請求項2~10は、請求項1を直接的あるいは間接的に引用する関係にあるから、本件訂正は一群の請求項1~10に対し請求されたものである。 そして、訂正事項2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24は、上記通知した訂正拒絶理由のとおり、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるとはいえない。 したがって、本件訂正請求による、一群の請求項である訂正前の請求項1~10に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものではないから、訂正は認められない。 第3 本件発明 令和4年2月18日にした本件訂正請求は認容することができないから、特許第6856353号の請求項1ないし10に係る発明(以下「本件発明1」等といい、本件発明1ないし10をまとめて「本件発明」という。)は、特許査定時の特許請求の範囲に記載された以下のとおりのものである。 「【請求項1】 波付け方向と直交する方向にU字状に折り曲げられた波形鋼板からなる水路本体と、前記水路本体の上縁部に、前記水路本体の長手方向に沿って取り付けられた腹起し材と、前記腹起し材間に取り付けられた切梁とから構成される水路において、 前記腹起し材は、地盤変動等による荷重によって容易に変形することで前記腹起し材の変形を小さくすることができる部材を介して前記水路本体に取り付けられていることを特徴とする水路。 【請求項2】 前記波形鋼板は、コルゲート鋼板からなることを特徴とする、請求項1に記載の水路。 【請求項3】 前記腹起し材の水平方向に対する断面二次モーメントは、前記水路本体の水平方向に対する断面二次モーメントより大きいことを特徴とする、請求項1または2に記載の水路。 【請求項4】 前記腹起し材は、H形鋼からなることを特徴とする、請求項1から3の何れか1つに記載の水路。 【請求項5】 前記地盤変動等による荷重によって容易に変形することで前記腹起し材の変形を小さくすることができる部材は、前記水路本体と前記腹起し材とにボルト・ナットにより取り付けられていることを特徴とする、請求項1から4の何れか1つに記載の水路。 【請求項6】 前記地盤変動等による荷重によって容易に変形することで前記腹起し材の変形を小さくすることができる部材は、前記水路本体と前記腹起し材とにボルト・ナットにより取り付けられ、前記水路本体および前記腹起し材に形成されたボルト孔は、前記ボルトの径より大きいことを特徴とする、請求項1から4の何れか1つに記載の水路。 【請求項7】 前記地盤変動等による荷重によって容易に変形することで前記腹起し材の変形を小さくすることができる部材は、前記水路本体と前記腹起し材とにボルト・ナットにより取り付けられ、前記地盤変動等による荷重によって容易に変形することで前記腹起し材の変形を小さくすることができる部材に形成されたボルト孔は、前記ボルトの径より大きいことを特徴とする、請求項1から4の何れか1つに記載の水路。 【請求項8】 前記地盤変動等による荷重によって容易に変形することで前記腹起し材の変形を小さくすることができる部材は、L字状鋼板からなることを特徴とする、請求項1から7の何れか1つに記載の水路。 【請求項9】 前記水路本体は、ステンレス鋼板からなっていることを特徴とする、請求項1から8の何れか1つに記載の水路。 【請求項10】 前記水路本体と前記地盤変動等による荷重によって容易に変形することで前記腹起し材の変形を小さくすることができる部材とは、絶縁板を介して取り付けられていることを特徴する、請求項9に記載の水路。」 第4 当審の判断 1 取消理由通知に記載した取消理由の概要 (1)取消理由1(明確性要件) 本件特許の特許請求の範囲の請求項1には、「前記腹起し材は、地盤変動等による荷重によって容易に変形することで前記腹起し材の変形を小さくすることができる部材を介して前記水路本体に取り付けられている」との記載があるところ、「地盤変動等による荷重」、「容易に変形する」及び「前記腹起し材の変形を小さくする」の記載が不明確である。また、請求項1を引用して記載する請求項2~10おいても同様である。したがって、本件特許の特許請求の範囲は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。 (2)取消理由2(サポート要件) 本件発明1ないし10は、本件発明の課題を解決することができる手段を有しているということはできないため、本件特許の特許請求の範囲は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。 2 取消理由についての当審の判断 (1)取消理由1について ア 「地盤変動等による荷重」について、 (ア)本件明細書の段落【0011】には「波形鋼板製水路は、田園地帯等の軟弱地盤に構築する際の有効な水路構造物であるが、大規模地震等による地盤の液状化や不当沈下が発生した場合、地盤の変動に伴い水路本体も変形する。」との記載があり、段落【0012】には「この結果、図11(a)から(c)に示す平常時の状態が、図12(a)から(c)に示すように、腹起し材22部分の水路本体21が上下左右に変形して、水路断面が狭まったり、水路本体の破損や漏水が生じて、水路としての機能が損なわれるおそれがあった。」との記載がある。なお、段落【0033】には、「【図11】平常時の水路の形状を示す図であり、(a)は断面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。」との記載、及び、「【図12】腹起し材部分の水路本体が上下左右に変形した状態を示す図であり、(a)は断面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。」との記載がある。 (イ)【図11】には、以下の記載がある 「 [図:0001392014000001.jpg] 」 (ウ)【図12】には、下記の記載がある。 「 [図:0001392014000002.jpg] 」 図11が平常時の状態であることを踏まえると、図12において、「地盤26」が、平常時とは異なる状態に変化した点((a))や、「水路本体21」が変形するとともに、両側の「腹起し材22」の位置や向きが変化した点((a)~(c))が看て取れる。 (エ)上記段落【0011】、【0012】及び図12の記載並びに、水路本体は、水が効率よく流れるようにするため変形させて設けないという技術常識を踏まえれば、図11(a)に記載された地盤が、変動していない状態のものであり、図12(a)に記載された「地盤26」が、変動した状態のものといえる。そうすると、「地盤変動」とは、地盤が、平常時とは異なる状態に変化することと理解できる。 また、上記図12の記載及び前記技術常識を踏まえれば、図12において、「水路本体21」が変形するとともに、両側の「腹起し材22」の位置や向きが変化したのは、「地盤26」が平常時とは異なる状態に変化したこと、すなわち、「地盤変動」し、これにより生じた荷重が原因となっているものといえる。そうすると、「地盤変動」「による荷重」とは、地盤が、平常時とは異なる状態に変化することにより生じた荷重と理解することができる。 さらに、「部材」(緩衝部材)が変形する原因となる「荷重」は、本件明細書の段落【0011】に記載のとおり、主として「地盤の液状化や不当沈下が発生した場合」の「地盤変動」により生じるものといえるが、これに限らず、水路本体内側などからの荷重も想定でき、当該荷重によっても「部材」(緩衝部材)が変形することは明らかである。 そうすると、本件発明1における「地盤変動等による荷重」とは、「地盤変動による荷重」を含んでいて、これに限定されない、「部材」(緩衝部材)が変形する原因となる「荷重」と理解できるから、上記記載の意味するところは、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。 イ 「容易に変形することで前記腹起し材の変形を小さくすることができる部材」について 当該記載より前には、「地盤変動等による荷重によって」と記載されており、また、当該記載から「容易に変形する」ものが、「腹起し材」ではなく「部材」を指していて、前記「部材」が、「前記腹起し材の変形を小さくすることができる」ことを意味していることは明らかである。 そうすると、「容易に変形する」とは、「地盤変動等による荷重」が水路に作用した場合に、「腹起し材」よりも「部材」(緩衝部材)の方が容易に変形することと理解でき、また、「前記腹起し材の変形を小さくする」とは、「地盤変動等による荷重」が作用した場合に、「部材」(緩衝部材)が「腹起し材」より容易に変形することで力を吸収し、「腹起し材」の変形量を小さくすることと理解できるから、上記記載の意味するところは、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。 ウ 申立人の主張 申立人は、「地盤変動等による荷重」という用語が不明確であり、また「容易に変形する」は、比較対象が明確にされておらず、どの程度変形しやすいものであれば「容易に変形する」といえるのかが明確でなく、「腹起し材の変形を小さくする」についても、比較対象が明確にされておらず、どの程度変形を小さくするものであれば、「変形を小さくする」といえるのかが明確でない旨主張する。(申立書8頁下から2行~9頁23行) しかしながら、本件明細書及び図面の記載並びに技術常識をふまえれば、上記ア及びイにおいて説示したとおり理解できるので、上記記載は明確である。 よって、申立人の主張を採用することはできない。 オ 小括 以上のとおりであるから、本件特許の特許請求の範囲の請求項1~10の記載は明確である。 (2)取消理由2について ア 本件発明の課題は、段落【0015】の記載からみて「波形鋼板からなるU字状の水路において、地盤変動による腹起し材部分の水路本体の変形量を最小限に止めることができる結果、水路として支障を来さない水路断面を維持することができ、しかも、水路本体の破損や漏水を防止すること」であると認められる。 イ 本件発明1が有する手段及び本件発明の課題を解決することについて 本件発明1は、「前記腹起し材は、地盤変動等による荷重によって容易に変形することで前記腹起し材の変形を小さくすることができる部材を介して前記水路本体に取り付けられていること」という構成を有している。 上記(1)で説示したとおり、上記構成のうち、「地盤変動等による荷重」とは、「部材」(緩衝部材)が変形する原因となる「荷重」と理解でき、「容易に変形する」とは、「地盤変動等による荷重」が水路に作用した場合に、「腹起し材」より、「部材」(緩衝部材)の方が容易に変形することと理解でき、また、「前記腹起し材の変形を小さくする」とは、「地盤変動等による荷重」が作用した場合に、「部材」(緩衝部材)が「腹起し材」より容易に変形することで力を吸収し、「腹起し材」の変形量を小さくすることと理解できるものである。 そして、腹起し材の変形を小さくすることができれば、腹起し材部分の水路本体の変形量を最小限に止めることができることは明らかであるから、本件発明1は、本件発明1が有する構成により、段落【0015】に記載の課題を解決することができると理解される。 また、発明の詳細な説明における段落【0039】ないし【0041】の説明も上記理解と整合するものである。 以上のとおりであるから、本件発明1は、本件発明の課題を解決することができる手段を有しているということができ、また、本件発明1を引用して記載する本件発明2ないし10も同様である。 したがって、本件発明1ないし10は、本件発明の課題を解決することができる手段を有しているといえるので、本件特許の特許請求の範囲は、特許法第36条第6項第1項に規定する要件を満たしている。 3 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 取消理由で採用しなかった申立人が主張する特許異議申立理由の概要は、以下のとおりである。 (1)委任省令違反 発明の詳細な説明には、発明の課題を解決するための解決手段としての本件発明1ないし10によって、どのように課題を解決されたかについて記載されていないので、委任省令要件違反に該当し、特許法36条4項1号に規定される要件を満たしていない。 (申立書7頁3-17行) (2)サポート要件違反 本件発明1は、「腹起し材」と「部材」との具体的な構造上の特徴を何ら特定していないためあらゆる形状を含みうる記載となっている一方、本件明細書の全体を見渡しても、腹起し材としてH形鋼以外の形状の部材を採用している記載はなく、「部材」としてL字状鋼板以外の形状の部材を採用している記載はなく、また、それらの形状以外にどのようなものを採用できるかについて当業者が理解できる程度の記載もないから、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。 また、本件明細書には、作用については段落【0040】で示された図7のみであり、何故、「水路として支障を来さない水路断面を維持することができ、しかも、水路本体の破損や漏水を防止することができる」と言う効果が果たせるか不明であり、本件発明1は発明の詳細な説明に記載された範囲を超えるものであるため、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載されたものではない よって、本件発明1及びこれを引用する本件発明2ないし10は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない。 (申立書7頁19行-8頁26行) (3)新規性欠如及び進歩性欠如 本件発明1及び2は下記甲第1号証に記載されているため新規性を有しておらず、また、甲1発明に下記甲第2号証~甲第7号証に記載の事項を組み合わせることで進歩性を有しておらず、また、本件発明4及び8は、甲1発明に下記甲第2号証~甲第7号証に記載の事項を組み合わせることで進歩性を有していない。 (9頁下から5行-16頁8行) [甲号証] 甲第1号証:実願昭63-62090号(実開平1-167487号)のマイクロフィルム 甲第2号証:特開2014-88753号公報 甲第3号証:特開2014-101745号公報 甲第4号証:特許第4427456号公報 甲第5号証:特許第5325858号公報 甲第6号証:特許第5639827号公報 甲第7号証:特開2011-122352号公報 上記特許異議申立理由について、以下検討する。 (1)委任省令違反について 本件発明1ないし10を解決手段として、どのように発明の課題を解決したかについては、上記2(2)で説示したとおり、本件明細書の発明の詳細な説明に記載されている。 なお、委任省令要件で、明細書の発明の詳細な説明に記載することが求められる事項は、通常は、「発明の属する技術分野」、「発明が解決しようとする課題及びその解決手段」である。 そこで、本件明細書の発明の詳細な説明をみると、 段落【0001】には、発明の属する技術分野として、「水路、特に、波形鋼板からなるU字状の水路」であることが示されている。 また、段落【0015】には、発明が解決しようとする課題として、「波形鋼板からなるU字状の水路において、地盤変動による腹起し材部分の水路本体の変形量を最小限に止めることができる結果、水路として支障を来さない水路断面を維持することができ、しかも、水路本体の破損や漏水を防止すること」であることが示されている。 さらに、段落【0027】には、発明の課題を解決するための手段として、「波付け方向と直交する方向にU字状に折り曲げられた波形鋼板からなる水路本体と、水路本体の上縁部に、水路本体の長手方向に沿って取り付けられた腹起し材と、腹起し材間に取り付けられた切梁とから構成される水路において、腹起し材を緩衝部材を介して水路本体に取り付けること」が示されている。 以上のことから、委任省令要件違反には該当せず、特許法36条4項1号に規定される要件を満たしているといえる。 (2)サポート要件違反について 発明の詳細な説明の段落【0037】には、「3は、水路本体1の上縁部に、水路本体1の長手方向に沿って取り付けられた腹起し材である。腹起し材3としては、その断面性能が水路本体1の断面性能より大きいものを使用する。この例では、腹起し材3は、H形鋼からなり、その断面性能は、例えば、水路本体1の断面性能より10倍程度大きい。」との記載があり、また、段落【0038】には「腹起し材3は、図4、図5に示すように、緩衝部材4を介して水路本体1にボルト結合されている。緩衝部材4は、この例では、L字状鋼板からなり、H形鋼からなる腹起し材3のウエッブ3bにボルト結合されている。緩衝部材4は、地盤変動等により腹起し材3と水路本体1との取付け部分に作用する荷重によって、容易に変形可能な材質あるいは板厚を有している。」との記載から理解できるとおり、本件明細書においては、腹起し材がH形鋼であること、緩衝部材がL字状鋼板であることは、「腹起し材」や「緩衝部材」(部材)の一例に過ぎないものである。また、本件明細書において、腹起し材がH形鋼以外のものを、また、緩衝部材がL字状鋼板以外のものを採用しえないと解する記載も示唆も見当たらない。 したがって、本件発明1が、「腹起し材」と「部材」との具体的な構造上の特徴を何ら特定していないとしても、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載された範囲を超えるものではない。 また、上記2(2)でも説示したとおり、本件発明1が有する手段により、「水路として支障を来さない水路断面を維持することができ、しかも、水路本体の破損や漏水を防止することができる」といえるから、本件発明1は発明の詳細な説明に記載された範囲を超えるものではない。 以上のとおりであるから、本件発明1及びこれを引用する本件発明2ないし10は、発明の詳細な説明に記載されたものであるから、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしている。 (3)新規性欠如及び進歩性欠如について ア 各甲号証について (ア)甲第1号証 a 甲第1号証の記載 (a)「<従来の技術> かんがい用水路や地すべり地区の集排水路などに使用するコルゲートフリュームは、従来第5、6図に示すように、コルゲート鋼板製のコルゲートフリューム本体1の上縁部に腹起こし材2、2’が取付けられており、この腹起こし材2、2’に亜鉛メッキを施したアングル材を切梁3として、ボルト4、4’により取付ける構造を有していた。」 (b)第6図 「 [図:0001392014000003.jpg] 」 第6図から、コルゲートフリューム本体1が、U字状に折り曲げられ、腹起こし材2、2’間に切梁3が取り付けられている点、及び腹起こし材2、2’が、コルゲートフリューム本体1の上端部にボルトで取り付けられた点が看取できる。 (c)第7図 「 [図:0001392014000004.jpg] 」 第7図から、コルゲートフリューム本体1の上縁部に、コルゲートフリューム本体1の長手方向に沿って腹起こし材2が取り付けられ、コルゲートフリューム本体1は、その長手方向に波状に形成された点が看取できる。 (d)上記(b)及び(c)より、コルゲートフリューム本体1は、長手方向と直交する方向にU字状に折り曲げられている点が看取できる。 b 甲第1号証に記載された発明 上記aによれば、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 (甲1発明) 「長手方向と直交する方向にU字状に折り曲げられ、その長手方向に波状に形成されたコルゲート鋼板製のコルゲートフリューム本体1と、コルゲートフリューム本体1の上縁部に長手方向に沿って取り付けられた腹起こし材2、2’と、腹起こし材2、2’間に取り付けられた切梁3と、を有し、 腹起こし材2、2’が、コルゲートフリューム本体1の上端部にボルト4、4’で取り付けられた、 コルゲートフリューム。」 (イ)甲第2号証 a 甲第2号証の記載 (a)「【0026】 次に本発明工法の実施形態をその工程順に説明する。補修対象の用水路は、矢板鋼鈑01を地盤(用水路底面)02に打ち込んで両岸からの背圧を受け止めて水路03を確保し、前記矢板鋼板01の上縁に笠木部04を設けて用水路を構築している。また笠木部04は、矢板鋼板01に被冠したH型鋼041と、H型鋼041の上部に打設した笠木コンクリート042で構成されているものである。」 (b)図1 「 [図:0001392014000005.jpg] 」 (c)図11 「 [図:0001392014000006.jpg] 」 b 甲第2号証に記載された事項 上記aによれば、甲第2号証には、次の事項(以下「甲第2号証に記載された事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲第2号証に記載された事項) 「地盤(用水路底面)02に打ち込んで両岸からの背圧を受け止めて水路03を確保した矢板鋼板01の上縁に笠木部04を設けて構築した用水路において、笠木部04は、矢板鋼板01に被冠したH型鋼041と、H型鋼041の上部に打設した笠木コンクリート042で構成されていること。」 (ウ)甲第3号証 a 甲第3号証の記載 (a)「【0018】 次に本発明の実施形態を、三実施例に基づいて説明する。本発明に係る用水路補修用切梁部材を使用する対象は、笠木部01を備えた水路03であれば良い。例えば矢板鋼板02を使用の農業用水路は、矢板鋼鈑02を土中に打ち込んで両岸からの背圧を受け止めて、水路03を確保し、更に前記矢板鋼板02の上縁に笠木部01を設けて用水路上縁を地面と仕切っているものである。この笠木部01は、矢板鋼板02に被冠したH型鋼04とH型鋼04の上部に打設した笠木コンクリート05で構成されているものである。」 (b)図3 「 [図:0001392014000007.jpg] 」 (c)図5 「 [図:0001392014000008.jpg] 」 b 甲第3号証に記載された事項 上記aによれば、甲第3号証には、次の事項(以下「甲第3号証に記載された事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲第3号証に記載された事項) 「土中に打ち込んで両岸からの背圧を受け止めて、水路03を確保した矢板鋼板02の上縁に笠木部01を設けた農業用水路において、笠木部01は、矢板鋼板02に被冠したH型鋼04とH型鋼04の上部に打設した笠木コンクリート05で構成されていること。」 (エ)甲第4号証 a 甲第4号証の記載 (a)「【0011】 また、前記基部5aには、耐圧版4上に載置され水平方向の位置決めをする鋼チャンネルとしてのC型鋼9が固定され、その側面を当接させて横架される。このC型鋼9は、アンカーボルト10などで耐圧版4に固定され、親杭5とは、ボルト・ナット11等で固定される。このようにして、各支持凹部6に親杭5を各々起立させる。 【0012】 そして、前記支持凹部6の各々において、モルタル12が埋め込まれる。親杭5を立設した後、図3に示すように、この親杭5,5間に横矢板13を横架させる。その後、親杭横矢板を構築した後に、地下外壁3と親杭横矢板との間の空間14に土砂を埋め戻す。」 (b)図3 「 [図:0001392014000009.jpg] 」 上記図3から、親杭5がウェブと2つのフランジを有するH型をしており、ウェブには、L字型の部材が設けられ、横矢板13が、前記フランジと前記L字型の部材の間に設けられている点。 b 甲第4号証に記載された事項 上記aによれば、甲第4号証には、次の事項(以下「甲第4号証に記載された事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲第4号証に記載された事項) 「立設した親杭5,5間に横矢板13を横架させたものであって、親杭5がウェブと2つのフランジを有するH型をしており、ウェブには、L字型の部材が設けられ、横矢板13が、前記フランジと前記L字型の部材の間に設けられていること。」 (オ)甲第5号証 a 甲第5号証の記載 (a)「【0003】 図7(a)は、特許文献1にも開示されている、支柱フレームとしてH型鋼を使用した従来の外壁パネルの取付構造を示す平面図である。 【0004】 この図例は、L型アングル120で外壁パネル101を固定する例である。具体的には、H型鋼110の一対のフランジ112、112と中央腹部113によって形成される両凹溝111、111内に配した2つのL型アングル120をH型鋼110の中央腹部113を挟んでボルト140とナット141によって締結することで、L型アングル120とフランジ112との間に空隙111aを形成し、その空隙111aに外壁パネル101を嵌め入れて固定できるようにしている。 【0005】 この取付構造によれば、使用する部材が少ない点ですぐれているが、取り付ける外壁パネル101の厚み寸法に合わせて、あらかじめH型鋼110の中央腹部113にボルト挿通孔114を開設しなければならないため施工に手間がかかるし、さらに、各部材に製造上の許容差があるため、外壁パネル101をH型鋼110にしっかりと固定できない(遊嵌状態となる)ことや、空隙111aの幅寸法が小さすぎて外壁パネル101を圧入できず、空隙111aの幅寸法あるいは外壁パネル101の側端部101aの幅寸法を現場で調節しなければならないこともあった。」 (b)図7(a) 「 [図:0001392014000010.jpg] 」 b 甲第5号証に記載された事項 上記aによれば、甲第5号証には、次の事項(以下「甲第5号証に記載された事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲第5号証に記載された事項) 「H型鋼110の一対のフランジ112、112と中央腹部113によって形成される両凹溝111、111内に配した2つのL型アングル120をH型鋼110の中央腹部113を挟んでボルト140とナット141によって締結することで、L型アングル120とフランジ112との間に空隙111aを形成し、その空隙111aに外壁パネル101を嵌め入れて固定できるようにすること。」 (カ)甲第6号証 a 甲第6号証の記載 (a)「【0003】 図7(a)は、特許文献1にも開示されている、支柱フレームとしてH型鋼を使用した従来の外壁パネルの取付構造を示す平面図である。 【0004】 この図例は、L型アングル120で外壁パネル101を固定する例である。具体的には、H型鋼110の一対のフランジ112、112と中央腹部113によって形成される両凹溝111、111内に配した2つのL型アングル120をH型鋼110の中央腹部113を挟んでボルト140とナット141によって締結することで、L型アングル120とフランジ112との間に空隙111aを形成し、その空隙111aに外壁パネル101を嵌め入れて固定できるようにしている。 【0005】 この取付構造によれば、使用する部材が少ない点ですぐれているが、取り付ける外壁パネル101の厚み寸法に合わせて、あらかじめH型鋼110の中央腹部113にボルト挿通孔114を開設しなければならないため施工に手間がかかるし、さらに、各部材に製造上の許容差があるため、外壁パネル101をH型鋼110にしっかりと固定できない(遊嵌状態となる)ことや、空隙111aの幅寸法が小さすぎて外壁パネル101を圧入できず、空隙111aの幅寸法あるいは外壁パネル101の側端部101aの幅寸法を現場で調節しなければならないこともあった。」 (b)図7(a) 「 [図:0001392014000011.jpg] 」 b 甲第6号証に記載された事項 上記aによれば、甲第6号証には、次の事項(以下「甲第6号証に記載された事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲第6号証に記載された事項) 「H型鋼110の一対のフランジ112、112と中央腹部113によって形成される両凹溝111、111内に配した2つのL型アングル120をH型鋼110の中央腹部113を挟んでボルト140とナット141によって締結することで、L型アングル120とフランジ112との間に空隙111aを形成し、その空隙111aに外壁パネル101を嵌め入れて固定できるようにすること。」 (キ)甲第7号証 a 甲第7号証の記載 (a)「【0024】 図3に示されるように、各床板18には、支持スパン方向に延びる配力筋22と、この配力筋22と直交する方向に延びる主筋24と、が埋設されている。主筋24方向(矢印B方向)に隣接する床部材14は、目地に充填されたグラウト、モルタル等の充填材26(図1参照)によって接合されている。なお、隣接する床部材14の主筋24は、機械式継手等を用いて曲げモーメントを伝達可能に接続しても良い。 【0025】 各床板18の鉄骨梁12側の端面には、複数(図1では、2つ)のL形アングル20(板材)が設けられている。L形アングル20は、鋼板を直角又は略直角に屈曲させて形成されており、床板18の端面を覆うウェブ20Aと、ウェブ20Aの上端部から床板18側へ延びて床板18の上面を覆うフランジ20Bと有し、床板18の端面及び上面にまたがっている。L形アングル20のウェブ20Aにはスタッド28(固定部材)が突設されている。スタッド28は床板18に埋設され、これにより、L形アングル20が床板18にせん断力を伝達可能に固定されている。なお、L形アングル20には、防錆処理を施すことが望ましい。また、L形アングル20は一つ以上あれば良い。 【0026】 ここで、L形アングル20は、床板18の製作時に床板18に固定される。具体的には、L形アングル20は、配力筋22及び主筋24と共に、床板18を製作する型枠内に設置される。この型枠内にコンクリートを打設することにより、スタッド28がコンクリートに埋設され、定着される。これにより、L形アングル20が床板18にせん断力を伝達可能に固定される。なお、スタッド28と床板18との定着長さは必要に応じて適宜設計可能である。また、スタッド28に替えて、異形鉄筋、アンカー等を用いても良い。 【0027】 床板18は、L形アングル20のウェブ20Aを鉄骨梁12のウェブ12Aに突き合わせて配置され、ウェブ20Aの上端にあるL形アングル20の屈曲部と鉄骨梁12のウェブ12Aとが隅肉溶接で接合されている。これにより、床板18と鉄骨梁12とが、常時及び地震時におけるせん断力(面内せん断力)を伝達可能に接合されている。なお、溶接には、完全溶け込み溶接、パーシャル溶接(部分溶け込み溶接)等の種々の溶接を用いることができる。また、図中の符号Wは溶接部を示している。」 (b)図3 「 [図:0001392014000012.jpg] 」 (c)図4 「 [図:0001392014000013.jpg] 」 b 甲第7号証に記載された事項 上記aによれば、甲第7号証には、次の事項(以下「甲第7号証に記載された事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲第7号証に記載された事項) 「各床板18の鉄骨梁12側の端面には、L形アングル20(板材)が設けられ、L形アングル20は、鋼板を直角又は略直角に屈曲させて形成され、床板18の端面及び上面にまたがっていて、床板18の製作時に床板18に固定されるものであり、床板18は、L形アングル20のウェブ20Aを鉄骨梁12のウェブ12Aに突き合わせて配置され、ウェブ20Aの上端にあるL形アングル20の屈曲部と鉄骨梁12のウェブ12Aとが隅肉溶接で接合されていること。」 イ 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 a 甲1発明の「波状に形成されたコルゲート鋼板製のコルゲートフリューム本体1」は、本件発明1の「波形鋼板からなる水路本体」に相当する。 甲1発明の「コルゲートフリューム本体1」は、「その長手方向に波状に形成されて」おり、「長手方向と直交する方向にU字状に折り曲げられ」ていることから、波付け方向と直交する方向にU字状に折り曲げられていることは明らかである。そうすると、甲1発明の「コルゲートフリューム本体1」が「長手方向と直交する方向にU字状に折り曲げられ」ていることは、本件発明1の「水路本体」が「波付け方向と直交する方向にU字状に折り曲げられ」ていることに相当する。 b 甲1発明の「コルゲートフリューム本体1の上縁部に長手方向に沿って取り付けられた腹起こし材2、2’」は、本件発明1の「前記水路本体の上縁部に、前記水路本体の長手方向に沿って取り付けられた腹起し材」に相当する。 c 甲1発明の「腹起こし材2、2’間に取り付けられた切梁3」は、本件発明1の「前記腹起し材間に取り付けられた切梁」に相当する。 d 甲1発明の「コルゲートフリューム」は、本件発明1の「水路」に相当する。 そうすると、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「波付け方向と直交する方向にU字状に折り曲げられた波形鋼板からなる水路本体と、前記水路本体の上縁部に、前記水路本体の長手方向に沿って取り付けられた腹起し材と、前記腹起し材間に取り付けられた切梁とから構成される水路。」 <相違点> 「腹起し材」について、本件発明1では、「地盤変動等による荷重によって容易に変形することで前記腹起し材の変形を小さくすることができる部材を介して前記水路本体に取り付けられている」のに対して、甲1発明では、「コルゲートフリューム本体1の上端部にボルト4、4’で取り付けられ」ている点。 (イ)判断 甲第1号証には、「ボルト4、4’」が、「地盤変動等による荷重によって容易に変形することで」、「腹起こし材2、2’の変形を小さくすることができる部材」と解しうる記載も示唆もなく、またこのような部材と解することが技術常識でもない。そうすると、上記相違点は、実質的な相違点である。 よって、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明ではない。 上記相違点について検討する。 a 甲第2号証に記載された事項の「矢板鋼板01」及び甲第3号証に記載された事項の「矢板鋼板02」はいずれも、地盤や土中に打ち込まれ水路を確保するためのものであるから、本件発明1の「水路本体」に相当する。 また、甲第2号証に記載された事項の「H型鋼041」及び甲第3号証に記載された事項の「H型鋼04」はいずれも、本件発明1の「腹起し材」に相当する。 しかしながら、甲第2号証に記載された事項の「H型鋼041」及び甲第3号証に記載された事項の「H型鋼04」は、いずれも、地盤変動等による荷重によって容易に変形することで前記H型鋼(本件発明1の「腹起し材」に相当)の変形を小さくすることができる部材を有していない。 b 甲第4号証に記載された事項の「L字状部材」、甲第5号証に記載された事項の「L型アングル120」、甲第6号証に記載された事項の「L型アングル120」及び甲第7号証に記載された事項の「L形アングル20」は、いずれもH形状の部材(各号証に記載された事項の「親杭5、5」、「H型鋼110」、「H型鋼110」及び「鉄骨梁12」)に取り付けられるものである。 しかしながら、各甲号証に記載された「L字状部材」、「L型アングル120」、「L型アングル120」及び「L形アングル20」は、いずれも地盤変動等による荷重によって変形するものではなく、また、前記H形状の部材は、いずれも腹起し材として機能するものではないから、地盤変動等による荷重によって容易に変形することで腹起し材の変形を小さくすることができる部材ではない。 c 上記a及びbのとおりであるから、甲1発明に、甲第2号証~甲第7号証に記載された事項を適用し、相違点に係る本件発明1に係る構成とすることはできない。 (ウ)小括 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明ではなく、また、甲1発明及び申立人が提出した甲第2号証ないし甲第7号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 イ 本願発明2、4及び8について 本件発明2、4及び8は、本件発明1を直接的又は間接的に引用しさらに限定するものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明2は、甲第1号証に記載された発明ではなく、また、本件発明2、4及び8は、甲1発明及び申立人が提出した甲第2号証ないし甲第7号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 第5 むすび 以上のとおりであるから,取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては,本件特許を取り消すことはできない。 また,他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり決定する。

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2021-700949

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