特許訂正審判
2021-390171
造形ステージ用粘着シートおよび積層造形装置
- 審判番号
- 2021-390171
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2018-514173
- 登録番号
- 6824254
- 請求日
- 2021年10月27日
- 審決日
- 2022年01月13日
- 公報発行日
- 2022年06月24日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】日東電工 株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人後藤特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 加藤 友也
- 審判官 植前 充司
- 審判官 奥田 雄介
- 分類
- P141 .852-Y (B29C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第7項、特許法第126条第5項、特許法第126条第4項、特許法第126条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6824254号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第6824254号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項18について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 主な手続きの経緯
特許第6824254号(請求項の数25。以下、「本件特許」という。)に係る出願は、2017年(平成29年)3月7日(優先権主張 平成28年4月26日、平成28年10月13日)を国際出願日とする出願(特願2018-514173号)であって、令和3年1月14日に特許権の設定登録がされたものである。
そして、令和3年10月27日に本件訂正審判が請求された。
第2 請求の趣旨及び理由
1 請求の趣旨
結論同旨。
2 請求の理由(訂正の内容)
請求人の求めた訂正(以下、「本件訂正」という場合がある。)について、訂正事項ごとに掲記すると、以下のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項18に「前記粘着剤層の厚さ1~1000nmである」と記載されているのを、「前記粘着剤層の厚さ1~1000μmである」に訂正する。
(2)訂正事項2
明細書の段落【0021】に「当該粘着剤層の厚さは、好ましくは1~1000nmである」と記載されているのを、「当該粘着剤層の厚さは、好ましくは1~1000μmである」に訂正する。
第3 当審の判断
1 訂正の目的、新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否についての検討
(1)訂正事項1(上記第2 2(1))についての検討
ア 訂正の目的
本件特許の請求項18における「前記粘着剤層の厚さ1~1000nmである」について、願書に添付した明細書には、次の記載がある。(なお、下線は合議体が付したものである。以下同じ。)
・「【0021】
本発明の第1および第2の側面において、粘着力低下可能層における粘着剤は、好ましくはアクリル系粘着剤を含み、当該粘着剤層の厚さは、好ましくは1~1000nmである。」
・「【0033】
粘着シートX1の粘着剤層11の厚さは、粘着剤層11において良好な粘着性を実現するという観点から、好ましくは1~1000μmである。粘着剤層11の厚さの下限は、より好ましくは3μm、より好ましくは5μm、より好ましくは8μmである。粘着剤層11の厚さの上限は、より好ましくは500μm、より好ましくは100μm、より好ましくは30μmである。このような粘着剤層の厚さ範囲については、後述の他の粘着剤層においても同様である。」
・「【0110】
実施例1~7は参考例として記載するものである。
〔実施例1〕
〈造形ステージ用粘着シートの作製〉
上述のアクリル系ポリマー溶液S1に、この溶液S1中の固形分(上述のアクリル系ポリマーA1)100質量部に対して4質量部のイソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」,ポリイソシアネート化合物,東ソー株式会社製)と30質量部の熱膨張性微小球(商品名「マツモトマイクロスフェアー F-50D」,120℃膨張タイプ,松本油脂製薬株式会社製)とを配合して、熱剥離型粘着剤層形成用の組成物(粘着剤組成物C1)を作製した。また、上述のアクリル系ポリマー溶液S2に、この溶液S2中の固形分(上述のアクリル系ポリマーA2)100質量部に対して5質量部のイソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」,ポリイソシアネート化合物,東ソー株式会社製)を配合して、粘着剤層形成用の組成物(粘着剤組成物C2)を作製した。次に、上述のPET基材B1において下塗り剤U1が塗布されていない面(即ち、下塗り層が設けられていない側の面)に粘着剤組成物C2を塗布して粘着剤組成物層を形成し、PET基材B1上の当該粘着剤組成物層を覆うように剥離フィルムを張り合わせた。次に、PET基材B1において下塗り剤U1が塗布されている面(即ち、下塗り層側の面)に上述の粘着剤組成物C1を塗布して粘着剤組成物層を形成した。次に、これら粘着剤組成物層について加熱によって乾燥させ且つ架橋反応を生じさせて、粘着剤組成物C2由来の厚さ25μmの粘着剤層、および、粘着剤組成物C1由来の厚さ30μmの熱剥離型粘着剤層を、形成した。このときの加熱温度は100℃であり且つ加熱時間は5分間である。以上のようにして、[粘着剤層(非熱剥離型)/PET基材B1/熱剥離型粘着剤層]の積層構造を有する実施例1の造形ステージ用の粘着シート(両面粘着シート)を作製した。」
・「【0112】
〔実施例2〕
〈造形ステージ用粘着シートの作製〉
上述のアクリル系ポリマー溶液S3に、上述のアクリル系ポリマー溶液S4およびアルミキレート架橋剤(商品名「ALCH-TR」,川研ファインケミカル株式会社製)を、溶液S3中の固形分(上述のアクリル系ポリマーA3)100質量部に対して溶液S4中の固形分(側鎖結晶性アクリル系ポリマーたる上述のアクリル系ポリマーA4)が5質量部およびアルミキレート架橋剤が1質量部となる量比で配合して、熱剥離型粘着剤層形成用の組成物(粘着剤組成物C3)を作製した。次に、上述のPET基材B2の一方の面に粘着剤組成物C2を塗布して粘着剤組成物層を形成し、PET基材B2上の当該粘着剤組成物層を覆うように剥離フィルムを張り合わせた。次に、PET基材B2の他方の面に上述の粘着剤組成物C3を塗布して粘着剤組成物層を形成した。次に、これら粘着剤組成物層について加熱によって乾燥させ且つ架橋反応を生じさせて、粘着剤組成物C2由来の厚さ25μmの粘着剤層、および、粘着剤組成物C3由来の厚さ30μmの熱剥離型粘着剤層を、形成した。このときの加熱温度は130℃であり且つ加熱時間は3分間である。以上のようにして、[粘着剤層(非熱剥離型)/PET基材B2/熱剥離型粘着剤層]の積層構造を有する実施例2の造形ステージ用の粘着シート(両面粘着シート)を作製した。」
・「【0114】
〔実施例3〕
〈造形ステージ用粘着シートの作製〉
上述のアクリル系ポリマー溶液S5に、この溶液S5中の固形分(上述のアクリル系ポリマーA5)100質量部に対して1質量部のアルミキレート架橋剤(商品名「ALCH-TR」,川研ファインケミカル株式会社製)を配合して、冷却剥離型粘着剤層形成用の組成物(粘着剤組成物C4)を作製した。次に、上述のPET基材B2の一方の面に粘着剤組成物C2を塗布して粘着剤組成物層を形成し、PET基材B2上の当該粘着剤組成物層を覆うように剥離フィルムを張り合わせた。次に、PET基材B2の他方の面に上述の粘着剤組成物C4を塗布して粘着剤組成物層を形成した。次に、これら粘着剤組成物層について加熱によって乾燥させ且つ架橋反応を生じさせて、粘着剤組成物C2由来の厚さ25μmの粘着剤層、および、粘着剤組成物C4由来の厚さ30μmの冷却剥離型粘着剤層を、形成した。このときの加熱温度は130℃であり且つ加熱時間は3分間である。以上のようにして、[粘着剤層(非熱剥離型)/PET基材B2/冷却離型粘着剤層]の積層構造を有する実施例3の造形ステージ用の粘着シート(両面粘着シート)を作製した。」
・「【0116】
〔実施例4〕
〈造形ステージ用粘着シートの作製〉
上述のアクリル系ポリマー溶液S6に、この溶液S6中の固形分(上述のアクリル系ポリマーA6)100質量部に対して5質量部のイソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」,ポリイソシアネート化合物,東ソー株式会社製)と5質量部の光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」,BASF社製)とを配合して、電磁波剥離型粘着剤層形成用の組成物(粘着剤組成物C5)を作製した。次に、上述のPET基材B2の一方の面に上述の粘着剤組成物C2を塗布して粘着剤組成物層を形成し、PET基材B2上の当該粘着剤組成物層を覆うように剥離フィルムを張り合わせた。次に、PET基材B2の他方の面に粘着剤組成物C5を塗布して粘着剤組成物層を形成した。次に、これら粘着剤組成物層について加熱によって乾燥させ且つイソシアネート架橋剤による架橋反応を生じさせて、粘着剤組成物C5由来の厚さ20μmの電磁波剥離型粘着剤層、および、粘着剤組成物C2由来の厚さ25μmの粘着剤層を、形成した。このときの加熱温度は130℃であり且つ加熱時間は3分間である。以上のようにして、[電磁波剥離型粘着剤層/PET基材B2/粘着剤層(非電磁波剥離型)]の積層構造を有する実施例4の造形ステージ用の粘着シート(両面粘着シート)を作製した。」
・「【0118】
〔実施例5〕
〈造形ステージ用粘着シートの作製〉
上述のアクリル系ポリマー溶液S7に、この溶液S7中の固形分(上述のアクリル系オリゴマーA7)100質量部に対して30質量部の電磁波硬化性ウレタンアクリレート(商品名「KAYARAD DPHA」,日本化薬株式会社製)と、5質量部のイソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」,ポリイソシアネート化合物,東ソー株式会社製)と、5質量部の光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」,BASF社製)とを配合して、電磁波剥離型粘着剤層形成用の組成物(粘着剤組成物C6)を作製した。次に、上述のPET基材B2の一方の面に上述の粘着剤組成物C2を塗布して粘着剤組成物層を形成し、PET基材B2上の当該粘着剤組成物層を覆うように剥離フィルムを張り合わせた。次に、PET基材B2の他方の面に粘着剤組成物C6を塗布して粘着剤組成物層を形成した。次に、これら粘着剤組成物層について加熱によって乾燥させ且つイソシアネート架橋剤による架橋反応を生じさせて、粘着剤組成物C6由来の厚さ20μmの電磁波剥離型粘着剤層、および、粘着剤組成物C2由来の厚さ25μmの粘着剤層を、形成した。このときの加熱温度は130℃であり且つ加熱時間は3分間である。以上のようにして、[電磁波剥離型粘着剤層/PET基材B2/粘着剤層(非電磁波剥離型)]の積層構造を有する実施例5の造形ステージ用の粘着シート(両面粘着シート)を作製した。」
・「【0120】
〔実施例6〕
〈伸張性基材の作製〉
・・・
【0121】
〈造形ステージ用粘着シートの作製〉
スチレン-ブタジエンゴム(商品名「SBR1013」,結合スチレン量43質量%,JSR株式会社製)50質量部と、天然ゴム(商品名「RSS1級」,野村貿易株式会社製)50質量部と、テルペン樹脂(商品名「YSレジン PX1150」,軟化温度115℃,ヤスハラケミカル株式会社製)50質量部と、アルキルフェノール樹脂(商品名「タッキロール201」,田岡化学工業株式会社製)10質量部と、有機金属化合物アルミキレート(商品名「ALCH」,川研ファインケミカル株式会社製」7質量部と、フェノール系老化防止剤(商品名「イルガノックス1010」,BASF社製)1質量部と、溶媒としてのトルエンとを混合して、粘着剤層形成用の固形分濃度20質量%の組成物(粘着剤組成物C7)を作製した。次に、伸張性基材における、下塗り層が形成されている側の面にて、粘着剤組成物C7を塗布してこれを乾燥させ、厚さ10μmの粘着剤層を形成した。以上のようにして、[伸張性基材/ゴム系粘着剤層]の積層構造を有する実施例6の造形ステージ用の粘着シート(片面粘着シート)を作製した。」
・「【0123】
〔実施例7〕
〈造形ステージ用粘着シートの作製〉
上述のアクリル系ポリマー溶液S2に、この溶液S2中の固形分(上述のアクリル系ポリマーA2)100質量部に対して5質量部のイソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」,ポリイソシアネート化合物,東ソー株式会社製)と、20質量部の粘着付与剤(商品名「スミライトレジン PR12603」,住友デュレズ株式会社製)と、20質量部のロジンエステル(商品名「エステルガムAT」,荒川化学工業株式会社製)とを配合して、粘着剤層形成用の組成物(粘着剤組成物C8)を作製した。マニラ麻の不織布基材(厚さ50μm,坪量20g/m2)の両面にて、粘着剤組成物C8を塗布して乾燥させ 、厚さ55μmの粘着剤層を形成した。以上のようにして、[粘着剤層/不織布基材/粘着剤層]の積層構造を有する粘着シートを作製した。一方、上述のアクリル系ポリマー溶液S2に、この溶液S2中の固形分(上述のアクリル系ポリマーA2)100質量部に対して5質量部のイソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」,ポリイソシアネート 化合物,東ソー株式会社製)と100質量部の熱膨張性微小球(商品名「マツモトマイクロスフェアー F-50D」,120℃膨張タイプ,松本油脂製薬株式会社製)とを配合して、熱剥離型粘着剤層形成用の組成物(粘着剤組成物C9)を作製した。次に、厚さ25μmのポリエステルフィルムの片面を剥離処理して得た剥離フィルムの剥離処理面に、粘着剤組成物C9を塗布して粘着剤組成物層を形成した。次に、剥離フィルム上で当該粘着剤組成物層について加熱によって乾燥させ且つ架橋反応を生じさせて、厚さ50μmの熱剥離型粘着剤層を形成した。このときの加熱温度は100℃であり且つ加熱時間は5分間 である。そして、粘着剤組成物C8から形成された粘着剤層を両面に有する上記粘着シートの片面の粘着剤層と当該熱剥離型粘着剤層とを貼り合せた。以上のようにして、[粘着剤層(非熱剥離型)/不織布基材/粘着剤層(非熱剥離型)/熱剥離型粘着剤層]の積層構造を有する実施例7の造形ステージ用の粘着シート(両面粘着シート)を作製した。」
・「【0125】
〔実施例8〕
〈造形ステージ用粘着シートの作製〉
上述のPET基材B1の一方の面(下塗り層が設けられていない側の面)に電磁波剥離型粘着剤層形成用の上述の粘着剤組成物C5を塗布して粘着剤組成物層を形成した。次に、当該粘着剤組成物層について加熱によって乾燥させ且つイソシアネート架橋剤による架橋反応を生じさせて、厚さ20μmの電磁波剥離型粘着剤層を形成した。このときの加熱温度は130℃であり且つ加熱時間は3分間である。一方、厚さ25μmのポリエステルフィルムの片面を剥離処理して得た剥離フィルムの剥離処理面に、熱剥離型粘着剤層形成用の上述の粘着剤組成物C9を塗布して粘着剤組成物層を形成した。次に、剥離フィルム上で当該粘着剤組成物層について加熱によって乾燥させ且つ架橋反応を生じさせて、厚さ50μmの熱剥離型粘着剤層を形成した。このときの加熱温度は100℃であり且つ加熱時間は5分間である。そして、粘着剤組成物C5から形成された電磁波剥離型粘着剤層を一方の面の側に伴う上記PET基材B1の他方の面(下塗り層側の面)の側に、当該熱剥離型粘着剤層を貼り合せた。以上のようにして、[電磁波剥離型粘着剤層/PET基材B1/熱剥離型粘着剤層]の積層構造を有する実施例8の造形ステージ用の粘着シート(両面粘着シート)を作製した。」
・「【0127】
〔比較例1〕
〈粘着シートの作製〉
上述のアクリル系ポリマー溶液S8と、四官能エポキシ系架橋剤(商品名「TETRAD-C」,三菱瓦斯化学株式会社製)と、重合ロジンエステル(商品名「ペンセルD-135」,荒川化学工業株式会社製)とを、溶液S8が100質量部、四官能エポキシ系架橋剤が0.02質量部、および重合ロジンエステルが40質量部の量比で配合して、粘着剤層形成用の組成物(粘着剤組成物C11)を作製した。次に、表面に剥離処理の施された厚さ38μmのポリエステルフィルム(剥離フィルム)上に、粘着剤組成物C11を塗布して粘着剤組成物層を形成した。次に、剥離フィルム上で当該粘着剤組成物層について乾燥させ且つ架橋反応を生じさせて、厚さ65μmの粘着剤層を形成した。このときの加熱温度は100℃であり、加熱時間は3分間である。このような手法により、剥離フィルム付きの粘着剤層(厚さ65μm)を二つ形成した。次に、マニラ麻の不織布基材(厚さ50μm,坪量20g/m2)の両面のそれぞれに当該粘着剤層を貼り合せた。以上のようにして、[粘着剤層/不織布基材/粘着剤層]の積層構造を有する比較例1の粘着シート(両面粘着シート)を作製した。」
・「【0129】
〔比較例2〕
〈粘着シートの作製〉
不織布基材の代わりに上記のPET基材B1を用いたこと、および、粘着剤組成物C11から厚さ65μmの粘着剤層の代わりに厚さ30μmの粘着剤層を形成したこと以外は比較例1と同様にして、比較例2の粘着シート(両面粘着シート)を作製した。比較例2の粘着シートは、[粘着剤層/PET基材B1/粘着剤層]の積層構造を有する。」
すなわち、本件特許の請求項18には、「粘着剤層の厚さ1~1000nm」との記載があり、本件特許の明細書の段落【0021】にも、「粘着剤層の厚さは、好ましくは1~1000nm」との記載があるが、本件特許の明細書及び特許請求の範囲全体を通して、「nm」という単位が記載されているのはこの2箇所のみである。
他方、本件特許の明細書の段落【0033】には、「粘着剤層11の厚さは、粘着剤層11において良好な粘着性を実現するという観点から、好ましくは1~1000μm」との記載があり、実施例1~8及び比較例1~2においても全て数十μm単位の厚さを有する粘着剤層が用いられている。(例えば、実施例1では「粘着剤組成物C2由来の厚さ25μmの粘着剤層、および、粘着剤組成物C1由来の厚さ30μmの熱剥離型粘着剤層」が用いられている。)
また、良好な粘着性を与えるためには粘着剤層が一定程度の厚みを有することが必要であるところ、きわめて薄いnm単位の厚みの粘着剤層では本件特許の請求項18に係る発明が想定する効果が得られないことは技術的に明らかである。
そうすると、本件特許の請求項18及び明細書の段落【0021】における「nm」との記載は、「μm」の誤記であることは明らかである。
したがって、訂正事項1による請求項18の訂正は、誤記の訂正を目的とするものである。
イ 新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
訂正事項1は、上記のとおり、願書に添付した明細書に記載した事項においてしたものである。
そして、上記アの検討のとおり、本件特許の請求項18には「nm」と記載されるものの、技術的に見て「μm」であることを意図するものと当業者は認識するものといえるから、当該訂正は、特許請求の範囲を実質上拡張し、又は変更するものと認めることはできない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するといえる。
(2)訂正事項2(上記第2 2(2))についての検討
ア 訂正の目的
上記(1)アで検討したとおり、本件特許の請求項18及び明細書の段落【0021】における「nm」との記載は、「μm」の誤記であることは明らかである。
したがって、訂正事項2による明細書の訂正は、誤記の訂正を目的とするものである。
イ 新規事項の追加、及び、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、並びに、明細書の訂正に係る請求項
訂正事項2は、上記のとおり、願書に添付した明細書に記載した事項においてしたものである。
また、上記(1)イの検討のとおり、訂正事項2の訂正によって、訂正前の特許請求の範囲における請求項18が実質上拡張し、又は変更されたと認めることはできない。
そして、この訂正に係る請求項は、請求項18のみであるから、訂正事項2に係る明細書の訂正は、当該訂正に係る請求項の全てについて行われている。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第4項ないし第6項の規定に適合するといえる。
2 独立特許要件についての検討
上記1で検討したとおり、訂正事項1、2は、いずれも誤記の訂正を目的とするものである。そこで、訂正後における特許請求の範囲に記載されている請求項18により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるか(いわゆる独立特許要件の充足性。特許法第126条第7項)について検討したが、独立特許要件を欠くとする事由を見いだすことができない。
したがって、本件訂正は特許法第126条第7項の規定に適合する。
第4 むすび
以上の次第であるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第4項ないし第7項の規定に適合するので、適法な訂正と認める。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-390171