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特許拒絶査定不服審判

2021-017270

ショベル、並びに、ショベルの管理装置及び支援装置

審判番号
2021-017270
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-126504外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年12月14日
審決日
2023年04月17日
公報発行日
2023年05月26日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (E02F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2017-126504「ショベル、並びに、ショベルの管理装置及び支援装置」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 1月17日出願公開、特開2019- 7308、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成29年6月28日の出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。 令和3年 1月28日付け:拒絶理由通知 令和3年 4月 7日 :意見書・手続補正書の提出 令和3年 9月 8日付け:拒絶査定(原査定) 令和3年12月14日 :審判請求書・手続補正書の提出 第2 審判請求時の補正について 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 令和3年12月14日にされた手続補正(以下「本件補正」という)は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1ないし8の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。) 「【請求項1】 下部走行体と、 前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、 前記上部旋回体に搭載される運転室と、 前記運転室内に設置されるマイクと、 前記上部旋回体に搭載される揮発性記憶装置、不揮発性記憶装置及び制御装置と、を有するショベルであって、 前記制御装置は、 前記ショベルに搭載される情報取得装置が出力するデータを前記揮発性記憶装置に記憶し、且つ、 前記マイクの出力が所定条件を満たすと、前記揮発性記憶装置に記憶されたデータの一部を特定して前記不揮発性記憶装置に記憶し、前記所定条件が満された後も運転を継続する、 ショベル。 【請求項2】 前記制御装置は、前記マイクが採取した、前記ショベルの操作者の発話の内容、又は、該発話の内容から推定される操作者の感情に基づき、前記揮発性記憶装置に記憶されたデータの一部を特定して前記不揮発性記憶装置に記憶する、 請求項1に記載のショベル。 【請求項3】 前記制御装置は、前記情報取得装置が所定周期毎に出力するデータを時系列的に前記揮発性記憶装置に記憶し、 前記マイクの出力に基づいて基準時点を決定し、 前記基準時点を含む所定期間中に前記揮発性記憶装置に記憶されたデータを前記不揮発性記憶装置に記憶する、 請求項1又は2に記載のショベル。 【請求項4】 前記制御装置は、前記マイクの出力に基づいて前記ショベルの操作者の発話の内容否定的であるか否かを判定し、否定的であると判定した場合、該発話が行われた時点を含む所定期間中に前記揮発性記憶装置に記憶されたデータを前記不揮発性記憶装置に記憶する、 請求項3に記載のショベル。 【請求項5】 前記制御装置は、前記マイクの出力に基づいて前記ショベルの操作者の発話の内容が肯定的であるか否かを判定し、肯定的であると判定した場合、該発話が行われた時点を含む所定期間中に前記揮発性記憶装置に記憶されたデータを前記不揮発性記憶装置に記憶する、 請求項3又は4に記載のショベル。 【請求項6】 前記制御装置は、特定したデータに関するコメントの入力を促すコメント入力処理を実行し、該コメント入力処理を通じて入力されたコメントに関する情報を、前記不揮発性記憶装置に記憶されるデータに付加する、 請求項1乃至5の何れかに記載のショベル。 【請求項7】 下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、前記上部旋回体に搭載される運転室と、前記運転室内に設置されるマイクと、前記上部旋回体に搭載される揮発性記憶装置、不揮発性記憶装置、制御装置及び通信装置と、を有するショベルであり、前記制御装置が、前記ショベルに搭載される情報取得装置が出力するデータを前記揮発性記憶装置に記憶し、前記マイクの出力が所定条件を満たすと、前記揮発性記憶装置に記憶されたデータの一部を特定して前記不揮発性記憶装置に記憶し、前記所定条件が満された後も運転を継続するとともに、前記通信装置を介し、前記不揮発性記憶装置に記憶されたデータを外部に送信するところのショベルに関するショベルの管理装置であって、 前記ショベルが送信する前記マイクの出力が前記所定条件を満たした後の前記データを受信し前記マイクの出力とともに表示する表示部と、を有する、 ショベルの管理装置。 【請求項8】 下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、前記上部旋回体に搭載される運転室と、前記運転室内に設置されるマイクと、前記上部旋回体に搭載される揮発性記憶装置、不揮発性記憶装置、制御装置及び通信装置と、を有するショベルであり、前記制御装置が、前記ショベルに搭載される情報取得装置が出力するデータを前記揮発性記憶装置に記憶し、前記マイクの出力が所定条件を満たすと、前記揮発性記憶装置に記憶されたデータの一部を特定して前記不揮発性記憶装置に記憶し、前記所定条件が満された後も運転を継続するとともに、前記通信装置を介し、前記不揮発性記憶装置に記憶されたデータを外部に送信するところのショベルに関するショベルの支援装置であって、 前記ショベルが送信する前記マイクの出力が前記所定条件を満たした後の前記データを受信し前記マイクの出力とともに表示する表示部と、を有する、 ショベルの支援装置。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、令和3年4月7日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 下部走行体と、 前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、 前記上部旋回体に搭載される運転室と、 前記運転室内に設置されるマイクと、 前記上部旋回体に搭載される揮発性記憶装置、不揮発性記憶装置及び制御装置と、を有するショベルであって、 前記制御装置は、 前記ショベルに搭載される情報取得装置が出力するデータを前記揮発性記憶装置に記憶し、且つ、 前記マイクの出力に基づき、前記揮発性記憶装置に記憶されたデータの一部を特定して前記不揮発性記憶装置に記憶し、運転を継続する、 ショベル。 【請求項2】 前記制御装置は、前記マイクが採取した、前記ショベルの操作者の発話の内容、又は、該発話の内容から推定される操作者の感情に基づき、前記揮発性記憶装置に記憶されたデータの一部を特定して前記不揮発性記憶装置に記憶する、 請求項1に記載のショベル。 【請求項3】 前記制御装置は、前記情報取得装置が所定周期毎に出力するデータを時系列的に前記揮発性記憶装置に記憶し、 前記マイクの出力に基づいて基準時点を決定し、 前記基準時点を含む所定期間中に前記揮発性記憶装置に記憶されたデータを前記不揮発性記憶装置に記憶する、 請求項1又は2に記載のショベル。 【請求項4】 前記制御装置は、前記マイクの出力に基づいて前記ショベルの操作者の発話の内容否定的であるか否かを判定し、否定的であると判定した場合、該発話が行われた時点を含む所定期間中に前記揮発性記憶装置に記憶されたデータを前記不揮発性記憶装置に記憶する、 請求項3に記載のショベル。 【請求項5】 前記制御装置は、前記マイクの出力に基づいて前記ショベルの操作者の発話の内容が肯定的であるか否かを判定し、肯定的であると判定した場合、該発話が行われた時点を含む所定期間中に前記揮発性記憶装置に記憶されたデータを前記不揮発性記憶装置に記憶する、 請求項3又は4に記載のショベル。 【請求項6】 前記制御装置は、特定したデータに関するコメントの入力を促すコメント入力処理を実行し、該コメント入力処理を通じて入力されたコメントに関する情報を、前記不揮発性記憶装置に記憶されるデータに付加する、 請求項1乃至5の何れかに記載のショベル。 【請求項7】 下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、前記上部旋回体に搭載される運転室と、前記運転室内に設置されるマイクと、前記上部旋回体に搭載される揮発性記憶装置、不揮発性記憶装置、制御装置及び通信装置と、を有するショベルであり、前記制御装置が、前記ショベルに搭載される情報取得装置が出力するデータを前記揮発性記憶装置に記憶し、前記マイクの出力に基づき、前記揮発性記憶装置に記憶されたデータの一部を特定して前記不揮発性記憶装置に記憶し、運転を継続するとともに、前記通信装置を介し、前記不揮発性記憶装置に記憶されたデータを外部に送信するところのショベルに関するショベルの管理装置であって、 前記ショベルが送信するデータを受信して表示する表示部と、を有する、 ショベルの管理装置。 【請求項8】 下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、前記上部旋回体に搭載される運転室と、前記運転室内に設置されるマイクと、前記上部旋回体に搭載される揮発性記憶装置、不揮発性記憶装置、制御装置及び通信装置と、を有するショベルであり、前記制御装置が、前記ショベルに搭載される情報取得装置が出力するデータを前記揮発性記憶装置に記憶し、前記マイクの出力に基づき、前記揮発性記憶装置に記憶されたデータの一部を特定して前記不揮発性記憶装置に記憶し、運転を継続するとともに、前記通信装置を介し、前記不揮発性記憶装置に記憶されたデータを外部に送信するところのショベルに関するショベルの支援装置であって、 前記ショベルが送信するデータを受信して表示する表示部と、を有する、 ショベルの支援装置。」 2 補正の適否について 本件補正は、本件補正前の請求項1、7及び8に記載された「前記マイクの出力に基づき、前記揮発性記憶装置に記憶されたデータの一部を特定して前記不揮発性記憶装置に記憶し、運転を継続する」について、「前記マイクの出力が所定条件を満たすと、前記揮発性記憶装置に記憶されたデータの一部を特定して前記不揮発性記憶装置に記憶し、前記所定条件が満された後も運転を継続する」とするとの限定(下線部)を付加し、また本件補正前の請求項7及び8に記載された「前記ショベルが送信するデータを受信して表示する表示部」について、「前記ショベルが送信する前記マイクの出力が前記所定条件を満たした後の前記データを受信し前記マイクの出力とともに表示する表示部」とするとの限定(下線部)を付加するものであって、補正前後の請求項1、7及び8に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題を変更するものではないから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また新規事項を追加するものではない。 そして、「第3 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1ないし8に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。 以上のように、本件補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反するものではない。 したがって、請求項1ないし8に係る本件補正は適法になされたものである。 第3 本願発明 本願請求項1ないし8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明8」という。)は、本件補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定される、上記第2の1(1)に記載したとおりのものである。 第4 原査定の概要 原査定(令和3年9月8日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 (進歩性)この出願の請求項1ないし6に係る発明は、下記引用文献1及び2に記載された発明に基いて、また請求項7及び8に係る発明は、下記引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献: 1.再公表特許第2014/013911号 2.特開2004-149287号公報 第5 引用文献、引用発明等 1 引用文献1について 引用文献1(再公表特許第2014/013911号)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付与。) (1) 「【0001】 本発明は、ショベルの運転状態を管理する管理装置及び管理方法に関する。 【背景技術】 【0002】 建設機械に搭載されたセンサでの検出値に基づいて、建設機械の故障の発生を判定する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。故障情報が管理センタに送られ、管理センタでは、異常値を検出したセンサに基づいて、故障診断手順が抽出される。建設機械の運転者は、この故障診断手順に従って故障診断を行なう。 ・・・ 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 故障診断手順が示されても、センサの検出値及び故障診断手順に従った診断のみでは、故障の原因を特定することができない場合がある。ショベルのような建設機械では、ブーム等のアタッチメントをエンジンの出力で発生した油圧で駆動し、且つ、アタッチメント及びキャビンが搭載された上部旋回体を油圧又は電動で旋回駆動しながら作業を行なうので、運転状態を把握するための多数のセンサを設ける必要がある。また、これらセンサの検出値は、ショベルの作業を行なっている間は時間の経過と共に大きく変動することが多い。このため、ある時点でのセンサの検出値から故障や異常が発生したと判断されても、故障や異常に至った原因を判定あるいは推定することが難しい。 【0005】 本発明は上述の問題に鑑みなされたものであり、ショベルの各部の状態を表す値を表示して、運転者やメンテナンス作業者が容易に異常の原因を判定することのできるショベルの管理装置及び管理方法を提供することを目的とする。 【0006】 本発明の一実施態様によるショベルの管理装置は、ショベルの入力量検出部で検出された操作入力量とショベルにおける複数のセンサで検出された物理量とを含む検出情報を一時的に格納する一時記憶部と、異常情報を格納する異常情報記憶部と、前記検出情報に基づいて異常判定を行ない、第1の時刻で異常発生が判定されたら、前記第1の時刻よりも前の第2の時刻から、少なくとも第1の時刻までの間の検出情報を異常情報として、前記一時記憶部から前記異常情報記憶部に転送する制御部とを有する。」 (2) 「【0008】 上述の発明によれば、検出情報を、異常発生を判定した時刻より前の時刻から時系列的に表示装置に表示する。運転者やメンテナンス作業者は、異常が発生した際に、表示装置に表示された操作入力量や物理量を時系列的に比較することで、異常発生の原因を判定あるいは推定することができ、異常診断にかかる時間を短縮することができる。 ・・・ 【0011】 図1は、本発明が適用される管理装置が搭載されたショベルの側面図である。ショベルの下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載されている。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端に、アーム5が取り付けられ、アーム5の先端にバケット6が取り付けられている。ブーム4,アーム5及びバケット6は、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。上部旋回体3には、キャビン10が設けられ、且つエンジン等の動力源が搭載される。キャビン10には運転席が設けられており、運転者は運転席に着座しながらショベルを操作する。」 (3) 「【0018】 コントローラ30は、油圧アクチュエータの動作速度を制御するための制御装置であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータで構成される。コントローラ30のCPUは、ショベルの動作や機能に対応するプログラムをROMから読み出してRAMに展開しながらプログラムを実行することで、それぞれに対応する処理を実行させる。 【0019】 以上のような構成のショベルにおいて、ショベルの運転状態を管理するために管理装置がショベルに設けられる。管理装置は複数のセンサからの検出値を検出情報として一時的に記憶しておき、必要なときに検出情報を表示装置に送信して表示させる。 【0020】 表示装置は、例えばタッチパネルよりなる入力表示装置であり、運転席の近傍で運転者が見やすい位置に配置される。本実施形態では、入力表示装置として携帯型情報機器(一般に「携帯端末」と称される。)を用いる。より具体的には、携帯端末としての多機能型携帯情報端末であるいわゆるスマートフォン、タブレット端末等を入力表示装置として運転席の近傍に配置する。管理装置は、ショベルの運転状況や制御情報を多機能型携帯情報端末の表示部に表示させることで、運転者に情報を提供することができる。また、運転者は多機能型携帯情報端末の入力機能を利用して情報や指令をショベルの制御装置や管理装置に入力することができる。 【0021】 近年、多機能型携帯情報端末は広く普及しており、ショベルの運転者のほとんどは、多機能型携帯情報端末を所有している。そこで、運転席の近傍の所定の位置に多機能型携帯情報端末を取り付けるためのホルダ等の取り付け部を設けておくことで、ショベルの運転者はショベルの運転を開始する際に、個人所有の多機能型携帯情報端末を取り付け部に設置することで、個人所有の多機能型携帯情報端末をショベルの入力表示装置として用いることができる。このようにショベルの入力表示装置として用いる携帯機器は、個人所有の多機能型携帯情報端末に限られず、ショベル用として事業者が予め準備した携帯機器であってもよい。 【0022】 ショベルのキャビン10内の運転席の近傍に多機能型携帯情報端末の取り付け部を設けておくことで、多機能型携帯情報端末を取り付け部に取り付けるだけで、多機能型携帯情報端末をショベルの表示装置として使用することができる。」 (4) 「【0031】 エンジン11は、エンジン制御装置(ECU)74により制御されている。ECU74からは、エンジン11の状態を示す各種データ(例えば、冷却水温(物理量)、エンジン噴射圧(物理量)を示すデータ)がコントローラ30に常時送信されている。したがって、コントローラ30は一時記憶部(メモリ)30aにこのデータを蓄積しておき、必要なときに多機能型携帯情報端末40に送信することができる。 【0032】 コントローラ30には以下のように各種のデータが供給され、コントローラ30の一時記憶部30aに格納される。 【0033】 まず、可変容量式油圧ポンプであるメインポンプ14のレギュレータ14aから斜板角度を示すデータがコントローラ30に供給される。また、メインポンプ14の吐出圧力を示すデータが、吐出圧力センサ14bからコントローラ30に送られる。これらのデータ(物理量を示すデータ)は検出情報として一時記憶部30aに格納される。メインポンプ14が吸入する作動油が貯蔵されたタンクには、油温センサ14cが設けられており、タンク内の作動油の温度を表すデータが、油温センサ14cからコントローラ30に供給される。 【0034】 また、操作レバー26A~26Cを操作した際にコントロールバルブ17に送られるパイロット圧が、油圧センサ15a、15bで検出され、検出したパイロット圧を示すデータがコントローラ30に送られる。このデータ(操作入力量を示すデータ)も検出情報として一時記憶部30aに格納される。」 (5) 「【0037】 また、運転者が多機能型携帯情報端末40の音声入力機能を使用したいときに操作するスイッチ42が、例えば、操作レバー26Aに設けられる。スイッチ42を運転者が操作すると、信号がコントローラ30に送られる。コントローラ30はこの信号に基づいて多機能型携帯情報端末40に制御信号を送り、多機能型携帯情報端末40の音声入力機能をONとする。 【0038】 このように、運転者は操縦レバーから手を離さずにスイッチ42を容易に操作することができ、多機能型携帯情報端末40の音声入力機能を利用して、指令をショベルの制御装置に入力することができる。 【0039】 音声入力用のマイクロフォンとしては、多機能型携帯情報端末40の本体に組み込まれているマイクロフォン40aを利用することができる。すなわち、運転者は、操縦レバーに設けられたスイッチ42を操作した後、多機能型携帯情報端末40に向かって所望の指令を表す音声を発声すれば、マイクロフォン40aから音声信号が多機能型携帯情報端末40の音声認識部40bに入力される。多機能型携帯情報端末40の音声認識部40bは、マイクロフォン40aから入力された音声信号に音声認識処理を施し、入力された音声信号に相当する指令を判定する。音声認識部40bが判定した指令は、多機能型携帯情報端末40の表示入力装置40c(例えば、タッチパネル)に表示されるとともに、接続部58を介してショベルのコントローラ30に送られる。このように、運転者の意図した指令が多機能型携帯情報端末40の音声認識機能を介してショベルに入力される。なお、多機能型携帯情報端末40に外付けマイクロフォン44を接続し、外付けマイクロフォン44を運転者が音声を入力しやすい位置に配置しておいてもよい。 【0040】 以上のように、本実施形態によれば、多機能型携帯情報端末40をショベルの表示装置として利用し、管理装置からの検出情報を表示することができる。 【0041】 以上のような構成のショベルにおいて、コントローラ30の制御部30bは上述の各種データを含む検出情報に基づいて、ショベルに異常が発生したか否かを判定する。そして、コントローラ30の制御部30bが、異常が発生したと判定すると、制御部30bは、判定した時刻より前の時刻t1から異常が発生したと判定した時刻t2までに一時記憶部30aに蓄積していた検出情報を、異常情報として異常情報記憶部30cに転送させる。 【0042】 以上のような構成で、コントローラ30の一時記憶部30a、異常情報記憶部30c及び制御部30bにより、本実施形態による管理装置が構成される。一時記憶部30aはコントローラ30のメモリであり、異常情報記憶部30cもコントローラ30の中のメモリである。一時記憶部30aと異常情報記憶部30cのために一つのメモリを分割して用いてもよい。また、制御部30bはCPU等の演算装置がプログラムを実行することにより実現される。 【0043】 一時記憶部30aに蓄積されていた異常情報が異常情報記憶部30cに格納されると、その後、制御部30bからの指令により、異常情報記憶部30cに格納された異常情報は、表示装置としての多機能型携帯情報端末40に送られる。そして、異常情報は、多機能型携帯情報端末40の表示部40cに予め決められたパターンで表示される。 【0044】 また、管理装置に指令を送ることで、いつでも異常情報を多機能型携帯情報端末40(表示装置)に送信して表示させることができる。例えば、異常が発生した後にメンテナンス作業者がショベルの故障診断や修理を行なうときに、そのメンテナンス作業者が、異常情報を表示するように管理装置に対して指令を入力することで、異常情報が多機能型携帯情報端末40に表示される。メンテナンス作業者は、表示装置としての多機能型携帯情報端末40に表示された異常情報を確認することができる。そして、後述のように、メンテナンス作業者は、多機能型携帯情報端末40(表示装置)に表示された異常情報を見ることで、異常の原因を特定することができる。 【0045】 あるいは、ショベルの管理装置は、多機能型携帯情報端末40のデータ通信機能を利用して、異常情報を遠隔のサービスセンタに設置されているセンタ管理装置90に無線送信させることができる。センタ管理装置90の表示装置に異常情報を表示することで、遠隔にいるメンテナンス作業者が、異常の原因を判定又は推定することができる。したがって、メンテナンス作業者がショベルの修理に行く前に、異常の原因を推定することで、修理に必要な道具や部品を予め準備しておくことができる。これにより、ショベルの設置場所に実際に出向いてから修理道具をサービスセンタにとりに戻ったり、部品を発注したりする必要がなくなり、修理に要する時間を短縮することができる。この場合、センタ管理装置90が本願発明のショベルの管理装置として機能する。 【0046】 あるいは、異常情報を受け取ったサービスセンタは、センタ管理装置90から通信網を介して、ショベルのメンテナンス作業者の多機能型携帯情報端末94に異常情報を転送することとしてもよい。この場合、多機能型携帯情報端末94は、本願発明のショベルの管理装置又はその一部として機能し、コントローラ30の一時記憶部30a、制御部30b、異常情報記憶部30cに対応する一時記憶部94x、制御部94y、異常情報記憶部94zの一部又は全部を備えていてもよい。この場合、多機能型携帯情報端末94に備えられた制御部94yは、異常情報記憶部94zに記憶された検出情報を表示部94cに表示させる。」 (6) 「【0055】 次に、異常情報の表示方法について説明する。ここでは、多機能型携帯情報端末94に異常情報が送られて表示された場合について説明する。なお、以下の説明は、多機能型携帯情報端末40に異常情報が送られた場合にも同様に適用される。 【0056】 図6は異常情報が表示された多機能型携帯情報端末94の表示部94cを示す図である。図6に示す例では、異常情報は、1)操作入力量として油圧センサ15a、15bで検出したパイロット圧(レバー入力)と、2)吐出圧力センサ14bで検出した油圧(物理量)であるポンプ圧と、3)ECU74から送られてくるエンジンの燃料噴射圧(物理量)と、4)ECU74から送られてくるエンジン水温(物理量)と、5)油温センサ14cで検出した作動油の温度(物理量)を含んでおり、これらデータが時刻を横軸にとったタイムチャートとして縦に並べて表示される。」 (7)以上の(1)ないし(6)の記載から、上記引用文献1には次の「ショベル」の発明(以下、「引用発明A」という。)が記載されていると認められる。 (引用発明A) 「下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載され、上部旋回体3には、キャビン10が設けられ、キャビン10には運転席が設けられる、ショベルであって、(【0011】) ショベルの運転状態を管理するために管理装置がショベルに設けられ、管理装置は複数のセンサからの検出値を検出情報として一時的に記憶しておき、必要なときに検出情報を表示装置に送信して表示させ、(【0019】) 多機能型携帯情報端末を入力表示装置として運転席の近傍に配置し、管理装置は、ショベルの運転状況や制御情報を多機能型携帯情報端末の表示部に表示させることで、運転者に情報を提供することができ、また、運転者は多機能型携帯情報端末の入力機能を利用して情報や指令をショベルの制御装置や管理装置に入力することができ、(【0020】) ショベルのキャビン10内の運転席の近傍に多機能型携帯情報端末の取り付け部を設けておくことで、多機能型携帯情報端末を取り付け部に取り付けるだけで、多機能型携帯情報端末をショベルの表示装置として使用することができ、(【0022】) コントローラ30は、油圧アクチュエータの動作速度を制御するための制御装置であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータで構成され、(【0018】) エンジン11は、エンジン制御装置(ECU)74により制御され、ECU74からは、エンジン11の状態を示す各種データ(例えば、冷却水温(物理量)、エンジン噴射圧(物理量)を示すデータ)がコントローラ30に常時送信され、コントローラ30は一時記憶部(メモリ)30aにこのデータを蓄積しておき、必要なときに多機能型携帯情報端末40に送信することができ、(【0031】) さらに、可変容量式油圧ポンプであるメインポンプ14のレギュレータ14aから斜板角度を示すデータが、メインポンプ14の吐出圧力を示すデータが、吐出圧力センサ14bから、メインポンプ14が吸入する作動油が貯蔵されたタンクには、油温センサ14cが設けられており、タンク内の作動油の温度を表すデータが、油温センサ14cから、操作レバー26A~26Cを操作した際にコントロールバルブ17に送られるパイロット圧が、油圧センサ15a、15bで検出され、検出したパイロット圧を示すデータが、それぞれコントローラ30に送られ、一時記憶部30aに格納され、(【0033】、【0034】) 運転者は、多機能型携帯情報端末40の音声入力機能を利用して、指令をショベルの制御装置に入力することができ、(【0038】) 音声入力用のマイクロフォンとしては、多機能型携帯情報端末40の本体に組み込まれているマイクロフォン40aを利用することができ、すなわち、運転者は、多機能型携帯情報端末40に向かって所望の指令を表す音声を発声すれば、マイクロフォン40aから音声信号が多機能型携帯情報端末40の音声認識部40bに入力され、音声認識部40bが判定した指令は、多機能型携帯情報端末40の表示入力装置40c(例えば、タッチパネル)に表示されるとともに、接続部58を介してショベルのコントローラ30に送られ、このように、運転者の意図した指令が多機能型携帯情報端末40の音声認識機能を介してショベルに入力され、 あるいは、多機能型携帯情報端末40に外付けマイクロフォン44を接続し、外付けマイクロフォン44を運転者が音声を入力しやすい位置に配置しておいてもよく、(【0039】) 以上のような構成のショベルにおいて、コントローラ30の制御部30bは各種データを含む検出情報に基づいて、ショベルに異常が発生したか否かを判定し、そして、コントローラ30の制御部30bが、異常が発生したと判定すると、制御部30bは、判定した時刻より前の時刻t1から異常が発生したと判定した時刻t2までに一時記憶部30aに蓄積していた検出情報を、異常情報として異常情報記憶部30cに転送させ、(【0041】) コントローラ30の一時記憶部30a、異常情報記憶部30c及び制御部30bにより、本実施形態による管理装置が構成され、(【0042】) 一時記憶部30aに蓄積されていた異常情報が異常情報記憶部30cに格納されると、その後、制御部30bからの指令により、異常情報記憶部30cに格納された異常情報は、表示装置としての多機能型携帯情報端末40に送られ、そして、異常情報は、多機能型携帯情報端末40の表示部40cに予め決められたパターンで表示され、(【0043】) また、管理装置に指令を送ることで、いつでも異常情報を多機能型携帯情報端末40(表示装置)に送信して表示させることができ、例えば、異常が発生した後にメンテナンス作業者がショベルの故障診断や修理を行なうときに、そのメンテナンス作業者が、異常情報を表示するように管理装置に対して指令を入力することで、異常情報が多機能型携帯情報端末40に表示され、メンテナンス作業者は、表示装置としての多機能型携帯情報端末40に表示された異常情報を確認することができ、多機能型携帯情報端末40(表示装置)に表示された異常情報を見ることで、異常の原因を特定することができ、(【0044】) あるいは、ショベルの管理装置は、多機能型携帯情報端末40のデータ通信機能を利用して、異常情報を遠隔のサービスセンタに設置されているセンタ管理装置90に無線送信させることができ、センタ管理装置90の表示装置に異常情報を表示することで、遠隔にいるメンテナンス作業者が、異常の原因を判定又は推定することができる、(【0045】) ショベル。(【0011】)」 また、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明B」、「引用発明C」という。)も記載されていると認められる。 (引用発明B) 「引用発明Aのショベルに対応する、センタ管理装置90。」 (引用発明C) 「引用発明Aのショベルに対応する、多機能型携帯情報端末40。」 2 引用文献2について 引用文献2(特開2004-149287号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。 (1) 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、エレベータの防犯システムに係り、特に乗りかご内での犯罪等を防止するためのエレベータの防犯システムに関する。 【0002】 【従来の技術】 従来、エレベータの防犯システムとして、乗りかご内に監視用のカメラを設置しておき、その監視カメラで撮影された映像データをモニタ画面上で監視するものが知られている。・・・ 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 上述したように、エレベータの防犯システムでは、監視カメラにて乗りかご内を撮影することが一般的に行われているが、その監視カメラによって撮影された映像データの記録は乗りかご内の乗客の有無に関係なく連続的に行われている。このため、記憶装置として大容量のものを用意しておくか、あるいは、定期的にメモリ交換を行う必要があるなどの問題があった。 【0005】 また、監視カメラによって撮影された映像データは監視室等に設置されたモニタ画面上にリアルタイムで常時表示されるようになっているので、保守員がそのモニタ画面の光景に見慣れてしまい、異常が発生した場合に直ぐに気付かずに対応が遅れるなどの問題があった。 【0006】 また、この種の防犯システムでは、監視室等にいる保守員がモニタ画面上で乗りかご内の異常を確認してから何らかの対応を取ることになるため、迅速性に欠け、異常発生時に乗りかご内の乗客の安全性を十分に確保できないなどの問題があった。 【0007】 本発明は上記のような点に鑑みなされたもので、防犯上必要となる映像データのみを記録すると共に保守員に異常の発生を確実に知らせることができ、さらに、異常発生時に迅速な対応を行って乗客の安全性を確保することのできる信頼性の高いエレベータの防犯システムを提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】 本発明のエレベータの防犯システムは、乗りかご内に設置された監視用のカメラと、上記乗りかご内に乗客が存在するか否かを判断する乗客判断手段と、この乗客判断手段によって上記乗りかご内に乗客がいるものと判断された場合に上記カメラによって撮影される上記乗りかご内の映像データを記録する記録手段と、上記乗りかご内で異常が発生したか否かを判断する異常判断手段と、この異常判断手段によって上記乗りかご内で異常が発生したものと判断された場合に上記乗りかごを最寄階で停止させて戸開すると共に警報を鳴らし、上記記録手段に記録された映像データを特定の場所に転送する制御手段とを具備して構成される。 ・・・ 【0010】 また、乗りかご内に異常が発生すると、乗りかごが最寄階で停止、戸開すると共に警報が鳴る。したがって、乗客を最寄階で直ぐ降りて避難させることができ、また、警報により周囲に異常が発生した旨を知らせることができる。さらに、異常発生時に記録手段に記録された映像データは特定の場所に転送され、例えばモニタ画面に表示される。これにより、特定の場所で待機している保守員は映像データが転送されて来たことを緊急状態であると受け取ることができ、モニタ画面上で異常状態を確認するなどして適切な対応を取ることができる。 【0011】 乗りかご内の異常の発生を検知する方法として、例えば振動センサ、音量センサ、音声認識センサなどが用いられる。 【0012】 同様に、音量センサを用いた構成では、この音量センサにより所定レベル以上の音量が検知することで乗りかご内で異常が発生したものと判断する。その際に、異常発生時の音量レベルを学習し、その音量レベルを異常判断の基準レベルとして用いることで異常判断の精度を上げることができる。 【0013】 音声認識センサを用いた構成では、この音声認識センサによって特定のパターンを有する音声データを認識することで上記乗りかご内で異常が発生したものと判断する。その際に、異常発生時の音声データを学習し、その音声データを異常判断用のパターンに加えることで異常判断の精度を上げることができる。 ・・・ 【0015】また、異常発生後にその異常が問題ないと判明した場合に外部からの解除指示に従って上記乗りかごを正常運転に復帰させたり、・・・異常発生後に・・・上記乗りかごを正常運転に復帰させることが可能である。」 (2) 「【0017】 図1は本発明の一実施形態に係るエレベータの防犯システムの構成を示す図であり、建物内のエレベータと同じ建物内にある管理人室、さらに遠隔地にある支社店とを通信ケーブルによって接続した場合の構成が示されている。 【0018】 本システムは、エレベータの乗りかご11内での犯罪等を防止するためのものであって、図1に示すように、防犯用の監視カメラ12、映像記録装置13、振動センサ14、音声及び音量認識センサ15、制御盤16、映像管理装置17、センサ管理装置18、映像監視モニタ24、遠隔コントロール装置25などを備える。 【0019】 監視カメラ12を含め、映像記録装置13、振動センサ14、音声及び音量認識センサ15、制御盤16、映像管理装置17、センサ管理装置18はエレベータ側に設置されたものであり、そのうちの制御盤16以外は乗りかご11に設置されている。なお、図中の19は乗りかご11のドアである。この乗りかご11内には、図3に示すように荷重センサ11a、ドアセンサ11b、警報ブザー11cが設置されている。 【0020】 監視カメラ12は、乗りかご11の天井面に設置されており、乗りかご11内の様子を撮影して、その映像データを映像管理装置17に送る。映像記録装置13は、監視カメラ12で撮影された乗りかご11内の映像データを記録するための記録手段であって、例えばハードディスク装置や光ディスク装置などによって構成される。 【0021】 振動センサ14、音声及び音量認識センサ15は異常検知用のセンサとして設置されたものである。このうち、振動センサ14は、乗りかご11内の振動を検知するためのセンサであり、その検知信号をセンサ管理装置18に出力する。音声及び音量認識センサ15は、乗りかご11の音声及び音量を検知するためのセンサであり、その検知信号をセンサ管理装置18に出力する。 【0022】 映像管理装置17は、監視カメラ12で撮影された映像データの管理制御を行うものであり、異常発生時にその映像データを映像記録装置13に送って記録したり、管理人室20や支社店21に転送するなどの処理を行う。センサ管理装置18は、各種センサの信号に基づいて乗りかご11内で異常が発生したか否かを判断するなどの処理を行う。 【0023】 一方、管理人室21および支社店22には、それぞれに映像監視モニタ24、遠隔コントロール装置25が設置されている。 【0024】 映像監視モニタ24は、監視対象としているエレベータの乗りかご11から転送されてくる映像データを表示する。保守員はこの映像監視モニタ24を見て乗りかご11内を監視し、必要に応じて遠隔コントロール装置25を操作してエレベータを遠隔的に制御する。遠隔コントロール装置25は、エレベータの乗りかご11に対して異常検知解除の指示や、映像記録装置13に記録された映像データを取り出す指示などを行うものである。」 (3) 「【0030】 制御盤16は、センサ管理装置18と接続されており、センサ管理装置18によって乗りかご11内の異常が検出された場合に、直ぐに最寄階に乗りかご11を停止させると共に、乗りかご11のドア19を開き、さらに警報ブザー11cを鳴らす機能を有する(図4のステップA14~A17参照)。また、管理人室21や支社店22に設置された遠隔コントロール装置25を通じて異常検知解除信号が送られて来ると、制御盤16は乗りかご11のドア19を閉め、警報ブザー11cを止めた後に、乗りかご11を正常運転に復帰させる機能を有する(図8のステップE11→E17参照)。 【0031】 また、異常検知解除信号がなくても、異常発生後に所定時間経過する間に乗りかご11内から乗客がいなくなった場合には、制御盤16は乗りかご11のドア19を閉め、警報ブザー11cを止めた後に、乗りかご11を正常運転に復帰させる機能を有する(図8のステップE12~E15、E17参照)。」 (4) 「【0032】 映像管理装置17は、映像信号処理部17a、映像管理部17b、異常検知解除部17c、制御信号部17d、映像送信部17eを備える。 【0033】 映像信号処理部17aは、監視カメラ12によって撮影された映像データを処理する。映像管理部17bは、映像信号処理部17aにて処理された映像データを入力し、人体センサ12bとセンサ管理装置18の出力結果に応じて映像記録装置13や映像監視モニタ24に当該映像データを送る処理を行う。 【0034】 詳しくは、映像管理部17bは、人体センサ12bなどによって乗りかご11内に乗客がいると判断された場合に、監視カメラ12によって撮影された映像データを映像記録装置13に送って記録動作を開始し(図4のステップA11~A13参照)、さらに、センサ管理装置18によって乗りかご11内に異常が発生したものと判断された場合には、その映像データを管理人室21や支社店22に転送して、そこに設置された映像監視モニタ24上に表示を行う(図4のステップA18参照)。 ・・・ (5) 「【0052】 また、音声及び音量認識センサ15によって検知された乗りかご11内の音量レベルが異常判断の基準となる所定レベル以上であった場合に異常状態であると判断する。このときに用いられる音量の基準レベルを示すデータは異常検出パターン部18dに格納されている。さらに、音声及び音量認識センサ15では音声の内容を認識しており、その認識された音声データが特定のパターンを有する場合に異常状態であると判断する。この音声パターンとしては、例えば「きゃ-」とか「助けて-」など、異常発生時に乗客が何らかの異常が発生したときに声にする可能性の高い言葉であって、これらのパターンデータが異常検出パターン部18dに格納されている。」 (6)上記(1)ないし(5)の記載から、上記引用文献2には、以下の技術事項(以下、「引用文献2技術事項」という。)が記載されていると認められる。 (引用文献2技術事項) 「エレベータの乗りかご11内での犯罪等を防止するための、エレベータの防犯システムであって、(【0017】、【0018】) 防犯用の監視カメラ12、映像記録装置13、振動センサ14、音声及び音量認識センサ15、制御盤16、映像管理装置17、センサ管理装置18、映像監視モニタ24、遠隔コントロール装置25などを備え、(【0018】) 監視カメラ12を含め、映像記録装置13、振動センサ14、音声及び音量認識センサ15、制御盤16、映像管理装置17、センサ管理装置18はエレベータ側に設置されたものであり、そのうちの制御盤16以外は乗りかご11に設置され、(【0019】) 監視カメラ12は、乗りかご11内の様子を撮影して、その映像データを映像管理装置17に送り、映像記録装置13は、監視カメラ12で撮影された乗りかご11内の映像データを記録するための記録手段であって、(【0020】) 振動センサ14、音声及び音量認識センサ15は異常検知用のセンサとして設置されたものであり、振動センサ14は、乗りかご11内の振動を検知するためのセンサであり、その検知信号をセンサ管理装置18に出力するもので、音声及び音量認識センサ15は、乗りかご11の音声及び音量を検知するためのセンサであり、その検知信号をセンサ管理装置18に出力するもので、(【0021】) 映像管理装置17は、監視カメラ12で撮影された映像データの管理制御を行うものであり、異常発生時にその映像データを映像記録装置13に送って記録したり、管理人室20や支社店21に転送するなどの処理を行い、センサ管理装置18は、各種センサの信号に基づいて乗りかご11内で異常が発生したか否かを判断するなどの処理を行い、(【0022】) 管理人室21および支社店22には、それぞれに映像監視モニタ24、遠隔コントロール装置25が設置され、(【0023】) 映像監視モニタ24は、監視対象としているエレベータの乗りかご11から転送されてくる映像データを表示し、保守員はこの映像監視モニタ24を見て乗りかご11内を監視し、必要に応じて遠隔コントロール装置25を操作してエレベータを遠隔的に制御し、遠隔コントロール装置25は、エレベータの乗りかご11に対して異常検知解除の指示や、映像記録装置13に記録された映像データを取り出す指示などを行うもので、(【0024】) 制御盤16は、センサ管理装置18と接続されており、センサ管理装置18によって乗りかご11内の異常が検出された場合に、直ぐに最寄階に乗りかご11を停止させると共に、乗りかご11のドア19を開き、さらに警報ブザー11cを鳴らす機能を有し、また、管理人室21や支社店22に設置された遠隔コントロール装置25を通じて異常検知解除信号が送られて来ると、制御盤16は乗りかご11のドア19を閉め、警報ブザー11cを止めた後に、乗りかご11を正常運転に復帰させる機能を有し、(【0030】) また、異常検知解除信号がなくても、異常発生後に所定時間経過する間に乗りかご11内から乗客がいなくなった場合には、制御盤16は乗りかご11のドア19を閉め、警報ブザー11cを止めた後に、乗りかご11を正常運転に復帰させる機能を有し、(【0031】) 映像管理装置17は、映像信号処理部17a、映像管理部17b、異常検知解除部17c、制御信号部17d、映像送信部17eを備え、(【0032】) 映像信号処理部17aは、監視カメラ12によって撮影された映像データを処理し、映像管理部17bは、映像信号処理部17aにて処理された映像データを入力し、センサ管理装置18の出力結果に応じて映像記録装置13や映像監視モニタ24に当該映像データを送る処理を行い、(【0033】) 詳しくは、センサ管理装置18によって乗りかご11内に異常が発生したものと判断された場合には、その映像データを管理人室21や支社店22に転送して、そこに設置された映像監視モニタ24上に表示を行う、(【0034】) エレベータの防犯システム。」 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明Aとを対比する。 ア 引用発明Aの、 「下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載され、上部旋回体3には、キャビン10が設けられ、キャビン10には運転席が設けられる、ショベル」は、 本願発明1の、 「下部走行体と、 前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、 前記上部旋回体に搭載される運転室と、 を有するショベル」に相当する。 イ 引用発明Aの、「多機能型携帯情報端末40の本体に組み込まれているマイクロフォン40a」、あるいは「多機能型携帯情報端末40」に接続した「外付けマイクロフォン44」は、「ショベルのキャビン10内の運転席の近傍に多機能型携帯情報端末の取り付け部を設けておく」もの、あるいは「外付けマイクロフォン44を運転者が音声を入力しやすい位置に配置」するものであり、すなわちいずれも運転席のあるキャビン10内に設置されるものであることは明らかであるから、本願発明1の、「運転室内に設置されるマイク」に相当する。 ウ 引用発明Aの、「制御部30b」を有する「コントローラ30」は、本願発明1の「制御装置」に相当する。 引用発明Aの「コントローラ30の一時記憶部30a、異常情報記憶部30c」について、「一時記憶部30aに蓄積されていた異常情報が異常情報記憶部30cに格納される」というものであることを踏まえると、引用発明Aの「一時記憶部30a、異常情報記憶部30c」は、 本願発明1の、「揮発性記憶装置、不揮発性記憶装置」に相当する。 したがって、本願発明1と引用発明Aとの間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「下部走行体と、 前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、 前記上部旋回体に搭載される運転室と、 前記運転室10内に設置されるマイク61と、 揮発性記憶装置、不揮発性記憶装置及び制御装置と、を有するショベルであって、 前記制御装置は、 前記ショベルに搭載される情報取得装置が出力するデータを前記揮発性記憶装置に記憶する、 ショベル。」 (相違点A1)本願発明1では、「前記マイク61の出力が所定条件を満たすと、前記揮発性記憶装置52に記憶されたデータの一部を特定して前記不揮発性記憶装置53に記憶し、前記所定条件が満された後も運転を継続する」のに対し、引用発明Aの「マイクロフォン40a」あるいは「外付けマイクロフォン44」は、「指令をショベルの制御装置に入力する」ためのものに過ぎない点。 (相違点A2) 本願発明1においては、「揮発性記憶装置、不揮発性記憶装置及び制御装置」は「前記上部旋回体に搭載される」のに対し、引用発明Aにおいては、「多機能型携帯情報端末94は、本願発明のショベルの管理装置又はその一部として機能し、コントローラ30の一時記憶部30a、制御部30b、異常情報記憶部30cに対応する一時記憶部94x、制御部94y、異常情報記憶部94zの一部又は全部を備えて」いる場合を除き、「コントローラ30」、「一時記憶部30a」、「異常情報記憶部30c」の搭載位置が特定されない点。 (2)相違点についての判断 上記相違点A1について検討する。 上記引用文献2技術事項における防犯システムは「エレベータの乗りかご11内での犯罪等を防止するための、エレベータの防犯システム」であり、ショベルに関わるものではない上、「センサ管理装置18によって乗りかご11内の異常が検出された場合に、直ぐに最寄階に乗りかご11を停止させると共に、乗りかご11のドア19を開き、さらに警報ブザー11cを鳴らす」、すなわち、乗りかご11内での犯罪等を防止する防犯システムであるところ、異常が検出された場合には直ちに運転を停止するものであって、引用発明Aとは異なる技術分野に属する技術であり、引用文献2技術事項を引用発明Aに適用して当業者が相違点A1に係る本願発明1の構成を想到することは容易ではない。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者が引用発明A及び引用文献2技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 2 本願発明2ないし6について 本願発明2ないし6は、本願発明1の構成をすべて含み、更に減縮したものであるから、上記1と同様の理由により、当業者が引用発明A及び引用文献2技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 3 本願発明7について (1)対比 本願発明7と引用発明Bとを対比すると、上記1(1)の対比と同様に、少なくとも下記相違点で相違する。 (相違点B1)本願発明7では、 「前記マイクの出力が所定条件を満たすと、前記揮発性記憶装置に記憶されたデータの一部を特定して前記不揮発性記憶装置に記憶し、前記所定条件が満された後も運転を継続するとともに、前記通信装置を介し、前記不揮発性記憶装置に記憶されたデータを外部に送信」し、 「前記ショベルが送信する前記マイクの出力が前記所定条件を満たした後の前記データを受信し前記マイクの出力とともに表示する表示部と、を有する、」のに対し、 引用発明Bにおいては、「マイクロフォン40a」あるいは「外付けマイクロフォン44」は「指令をショベルの制御装置に入力する」ためのものに過ぎない点。 (2)相違点についての判断 上記1(2)における相違点A1についての検討と同様に、引用文献2技術事項を引用発明Bに適用して当業者が相違点B1に係る本願発明7の構成を想到することは容易ではなく、したがって、本願発明7は、当業者が引用発明B及び引用文献2技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 4 本願発明8について (1)対比 本願発明8と引用発明Cとを対比すると、上記1(1)の対比と同様に、少なくとも下記相違点で相違する。 (相違点C1)本願発明8では、 「前記マイクの出力が所定条件を満たすと、前記揮発性記憶装置に記憶されたデータの一部を特定して前記不揮発性記憶装置に記憶し、前記所定条件が満された後も運転を継続するとともに、前記通信装置を介し、前記不揮発性記憶装置に記憶されたデータを外部に送信する」し、 「前記ショベルが送信する前記マイクの出力が前記所定条件を満たした後の前記データを受信し前記マイクの出力とともに表示する表示部と、を有する」のに対し、 引用発明Cにおいては、「マイクロフォン40a」あるいは「外付けマイクロフォン44」は「指令をショベルの制御装置に入力する」ためのものに過ぎない点。 (2)相違点についての判断 上記1(2)における相違点A1についての検討と同様に、引用文献2技術事項を引用発明Cに適用してから当業者が相違点C1に係る本願発明8の構成を想到することは容易ではなく、したがって、本願発明8は、当業者が引用発明C及び引用文献2技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 第7 原査定についての判断 本件補正後の本願発明1ないし8は、補正前の発明の構成をすべて含み、更に減縮したものであるから、上記第6で説示したように、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1、2に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-017270

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    共通の審決分類: 121・E02F
  • 2024-017824拒絶査定不服審判 / 2026-06-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)電動式作業機械
    共通の審決分類: 121・E02F
  • 2024-007488拒絶査定不服審判 / 2026-06-04 / 原査定取消(特許/登録すべき)ローラー転圧装置を備えた油圧ショベル
    共通の審決分類: 121・E02F
  • 2024-013867拒絶査定不服審判 / 2026-05-26 / 原査定取消(特許/登録すべき)ショベル、情報処理装置
    共通の審決分類: 121・E02F

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