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特許拒絶査定不服審判

2021-015926

配信構成管理装置、配信構成管理プログラム、及び情報配信システム

審判番号
2021-015926
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-156595外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年11月19日
審決日
2022年06月08日
公報発行日
2022年08月26日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H04L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-156595「配信構成管理装置、配信構成管理プログラム、及び情報配信システム」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 3月 7日出願公開、特開2019- 36829、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、平成29年8月14日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和3年 3月17日付け: 拒絶理由通知書

同 年 5月18日 : 意見書、手続補正書の提出

同 年 8月18日付け: 拒絶査定

同 年11月19日 : 審判請求書の提出

第2 原査定の概要

原査定(令和3年8月18日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-11に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1: 特表2005-508121号公報

第3 本願発明

本願請求項1-11に係る発明(以下、「本願発明1」-「本願発明11」という。)は、令和3年5月18日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-11に記載された事項により特定される発明であり、それらのうちの本願発明1は、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
配信データの配信元である配信元ノードを頂点としてツリー状のネットワークで構築された複数の受信ノードの配信ツリーの構成を管理する配信構成管理装置において、
前記配信元ノード及び複数の前記受信ノードの少なくともネットワークアドレスを含むノード情報と、前記配信ツリーの構成情報とを記憶する記憶部と、
前記配信ツリーに新規に参加又は前記配信ツリーの再構成が必要な前記受信ノードである対象ノードに対して、前記記憶部に記憶された前記ノード情報と前記配信ツリーの構成情報とから、前記配信データを直接受信する元となる親ノードと成り得る親ノード候補の情報を生成する親ノード候補生成部と、
前記対象ノードの前記ネットワークアドレス、及び前記親ノード候補生成部で生成される前記親ノード候補の前記ネットワークアドレスに基づき、前記対象ノードと前記親ノード候補の前記ネットワークアドレス間の距離情報を算出するネットワークアドレス間距離計算部と、
前記ネットワークアドレス間の距離情報を用いて、前記親ノード候補の内から前記対象ノードの前記親ノードを決定する親ノード選択部と、
前記親ノード選択部で選択された結果に従い、前記配信ツリーの構成情報を更新する配信ツリー情報更新部とを有し、
前記ネットワークアドレス間距離計算部は、前記対象ノードの前記ネットワークアドレスと、前記親ノード候補の前記ネットワークアドレスのプレフィックス部分の一致長に基づいて、前記ネットワークアドレス間の距離情報を算出する
ことを特徴とする配信構成管理装置。」

なお、本願発明2-11の概要は以下のとおりである。

本願発明2-8は、本願発明1を減縮した発明である。

本願発明9は、本願発明1に対応するプログラムの発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。

本願発明10-11は、少なくとも本願発明1を含むシステムの発明である。

第4 引用文献、引用発明

1 引用文献1、引用発明

(1)原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。

「【0013】
本発明の一実施形態では、コンテンツ・プロバイダ101からデータ・ストリームを受信する複数のクライアントは階層構造として配列されている。例えば、図1は、システム100内のクライアントが、第1層のクライアント112をルートとする第1のツリー102、第1層のクライアント116をルートとする第2のツリー106の状態として配列されていることを示している。」
「【0015】
システム100はさらに、複数のクライアントを階層構造に配列させ、図1に示されているツリー102、106を確定するクライアント接続マネージャ105を含む。新規クライアントがデータ伝送を要求すると、ネットワーク・サーバ107はその要求しているクライアントをクライアント接続マネージャ105に導き、クライアント接続マネージャはその要求しているクライアントを、コンテンツ・プロバイダ101からブロードキャストされているデータを受信できるように階層構造内に置く。
【0016】
クライアント接続マネージャ105は、図1の波線で示されているように、ツリー102内の第1層のクライアント112とツリー106内の第1層のクライアント116との制御信号接続を維持する。本発明の一実施形態では、クライアント接続マネージャ105は第1層のクライアントとのみの制御信号接続を維持する。低位層のクライアント、例えば、第2層のクライアント122または第3層のクライアント134などは、その親との制御信号接続を維持する。低位層のクライアントやツリー構造のステータスに関するデータは、低位層のクライアントからツリー内のそれぞれの親に伝播する。本発明の他の実施形態では、クライアント接続マネージャ105は複数の層すなわちレイヤのクライアントとの制御信号接続を維持する。一実施形態では、クライアント接続マネージャ105は、ファイヤウォールの背後にないすべてのクライアントとの制御信号接続を維持する。他の実施形態では、クライアント接続マネージャ105は、第1、第2層のクライアントとの制御信号接続を維持する。さらに他の実施形態では、クライアント接続マネージャ105は、クライアントの性格とクライアント接続マネージャ105の最大容量に応じていくつかの低位層のクライアントとの制御信号接続を選択的に維持する。」
「【0026】
図3は、本発明による、階層構造型マルチキャスティング・ネットワーク・システム、例えば図1に示されているシステム100を確立する経路指定プロセス300を例示する流れ図である。例えば、経路指定プロセス300は、図1に示されているデータ伝送システム100を確立するため図2に示されているプロセス200の経路選択ステップ208として使用される。経路指定プロセス300は、システム100内のノードのポートへ接続を要求するクライアントをシステム100内の利用可能なデータ伝送容量に応じて経路指定する再帰的プロセスである。要求しているクライアントを十分な容量を備えるノードに導く経路を設定することにより、プロセス300はネットワークのデータ伝送容量を安定かつ効率よく利用できるシステム100を確立する。経路指定プロセス300を説明するため、経路指定プロセス300が現在実行されているノードを現在ノードと呼ぶことにする。」
「【0044】
本発明の一実施形態では、プロセス300は、さらに、サブネット・フィルタ処理ステップ362を含む。ステップ364で、プロセス300は要求しているクライアントと現在ノードとのサブネット関係に応じてスコアを現在ノードに割り当てる。4つのカルテットのすべてが要求しているクライアントのカルテットと一致しているネットワーク・アドレスの場合に、高いスコア、例えば1を現在ノードに割り当てる。ネットワーク・アドレス内の一致するカルテットの数が減るのに対応して、現在ノードに割り当てるスコアを下げてゆく。要求しているクライアントと一致するネットワーク・アドレスを持つノードに高いスコアを割り当てることにより、プロセス300は、要求しているクライアントと同じサブネット内にあるノードに要求しているクライアントを導く。要求しているクライアントを同じサブネット内のノードに接続するのは、ノードと要求しているクライアントとの間のデータ伝送の効率と信頼性が向上するため有益である。」
「
[図:0001387329000001.jpg]
」
「【図3】
[図:0001387329000002.jpg]
」

(2)引用発明

上記(1)から、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「コンテンツ・プロバイダ101からデータ・ストリームを受信する複数のクライアントは階層構造として配列され、
システム100内のクライアントが、第1層のクライアント112をルートとする第1のツリー102、第1層のクライアント116をルートとする第2のツリー106の状態として配列され、
システム100はさらに、複数のクライアントを階層構造に配列させ、ツリー102、106を確定するクライアント接続マネージャ105を含み、新規クライアントがデータ伝送を要求すると、ネットワーク・サーバ107はその要求しているクライアントをクライアント接続マネージャ105に導き、クライアント接続マネージャはその要求しているクライアントを、コンテンツ・プロバイダ101からブロードキャストされているデータを受信できるように階層構造内に置き、
クライアント接続マネージャ105は、ファイヤウォールの背後にないすべてのクライアントとの制御信号接続を維持し、
経路指定プロセス300は、データ伝送システム100を確立するためプロセス200の経路選択ステップ208として使用され、
経路指定プロセス300は、システム100内のノードのポートへ接続を要求するクライアントをシステム100内の利用可能なデータ伝送容量に応じて経路指定する再帰的プロセスであり、
経路指定プロセス300のサブネット・フィルタ処理ステップ362では、4つのカルテットのすべてが要求しているクライアントのカルテットと一致しているネットワーク・アドレスの場合に、高いスコアを現在ノードに割り当て、ネットワーク・アドレス内の一致するカルテットの数が減るのに対応して、現在ノードに割り当てるスコアを下げる、
システム100におけるクライアント接続マネージャ105。」

第5 対比・判断

1 本願発明1について

(1)対比

ア 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

(ア)引用発明の「コンテンツ・プロバイダ101」、「データ・ストリーム」、「クライアント」は、本願発明1の「配信元ノード」、「配信データ」、「受信ノード」に相当する。

引用発明の「システム100」の構成は「コンテンツ・プロバイダ101からデータ・ストリームを受信する複数のクライアントは階層構造として配列され、システム100内のクライアントが、第1層のクライアント112をルートとする第1のツリー102、第1層のクライアント116をルートとする第2のツリー106の状態として配列され」ているから、本願発明1の「配信データの配信元である配信元ノードを頂点としてツリー状のネットワークで構築された複数の受信ノードの配信ツリー」の構成に相当する。

(イ)引用発明の「クライアント接続マネージャ105」は、「ツリー102、106を確定する」ものであるから、上記(ア)を踏まえると、本願発明1の「配信データの配信元である配信元ノードを頂点としてツリー状のネットワークで構築された複数の受信ノードの配信ツリーの構成を管理する配信構成管理装置」に相当する。

(ウ)引用発明の「サブネット・フィルタ処理ステップ362では、」「4つのカルテットのすべてが要求しているクライアントのカルテットと一致しているネットワーク・アドレスの場合に、高いスコアを現在ノードに割り当て、ネットワーク・アドレス内の一致するカルテットの数が減るのに対応して、現在ノードに割り当てるスコアを下げる」ことを行っているから、当然の前提として、階層構造であるネットワーク内にあるすべてのノードのネットワーク・アドレスを記憶するものを有しているといえ、引用発明の当該記憶するものは、本願発明1の「前記配信元ノード及び複数の前記受信ノードの少なくともネットワークアドレスを含むノード情報と、前記配信ツリーの構成情報とを記憶する記憶部」に相当する。

さらに、引用発明では、「現在ノード」の「ネットワーク・アドレス内のカルテット」と「要求しているクライアントのカルテット」を比較しているから、当然の前提として、該「現在ノード」を候補として生成するものを有しているといえ、「経路指定プロセス300」は「新規クライアントがデータ伝送を要求すると、データを受信できるように階層構造内に置」くことを行うものであって、再帰的プロセスでもあることからみて、上記生成するものは、本願発明1の「前記配信ツリーに新規に参加又は前記配信ツリーの再構成が必要な前記受信ノードである対象ノードに対して、前記記憶部に記憶された前記ノード情報と前記配信ツリーの構成情報とから、前記配信データを直接受信する元となる親ノードと成り得る親ノード候補の情報を生成する親ノード候補生成部」に相当する。

(エ)引用発明の「要求しているクライアントのカルテット」及び「現在ノード」の「ネットワーク・アドレス内のカルテット」は、それぞれ、本願発明1の「前記対象ノードの前記ネットワークアドレス」及び「前記親ノード候補生成部で生成される前記親ノード候補の前記ネットワークアドレス」に相当する。

引用発明は、ネットワーク・アドレスのカルテットを比較することで割り当てるスコアを算出しているから、該算出する手段を有しているといえ、該「スコア」は本願発明1の「ネットワークアドレス間の距離情報」と「ネットワークアドレス間の差異情報」である点で共通し、該算出する手段は本願発明1の「ネットワークアドレス間距離計算部」と「ネットワークアドレス間差異計算部」である点で共通している。

(オ)引用発明は上記スコアを用いてクライアントをノードに接続するから、ネットワークアドレス間の差異情報を用いて「現在ノードの内からクライアントに接続する高いスコアの現在ノードを決定する手段」を有しているといえる。

したがって、上記(エ)を踏まえると、引用発明の「決定する手段」は、本願発明1の「前記ネットワークアドレス間の距離情報を用いて、前記親ノード候補の内から前記対象ノードの前記親ノードを決定する親ノード選択部」とは、「前記ネットワークアドレス間の差異情報を用いて、前記親ノード候補の内から前記対象ノードの前記親ノードを決定する親ノード選択部」である点で共通する。

(カ)引用発明の経路指定プロセス300は再帰的プロセスであるから、上記(オ)で示したクライアントに接続する高いスコアの現在ノードを決定する手段の決定に従い、ツリーの階層構造を再帰的に経路指定する手段」を有しているといえる。

したがって、引用発明の当該経路指定する手段は、本願発明1の「前記親ノード選択部で選択された結果に従い、前記配信ツリーの構成情報を更新する配信ツリー情報更新部」に相当する。

イ 上記アから、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

<一致点>

「配信データの配信元である配信元ノードを頂点としてツリー状のネットワークで構築された複数の受信ノードの配信ツリーの構成を管理する配信構成管理装置において、
前記配信元ノード及び複数の前記受信ノードの少なくともネットワークアドレスを含むノード情報と、前記配信ツリーの構成情報とを記憶する記憶部と、
前記配信ツリーに新規に参加又は前記配信ツリーの再構成が必要な前記受信ノードである対象ノードに対して、前記記憶部に記憶された前記ノード情報と前記配信ツリーの構成情報とから、前記配信データを直接受信する元となる親ノードと成り得る親ノード候補の情報を生成する親ノード候補生成部と、
前記対象ノードの前記ネットワークアドレス、及び前記親ノード候補生成部で生成される前記親ノード候補の前記ネットワークアドレスに基づき、前記対象ノードと前記親ノード候補の前記ネットワークアドレス間の差異情報を算出するネットワークアドレス間差異計算部と、
前記ネットワークアドレス間の差異情報を用いて、前記親ノード候補の内から前記対象ノードの前記親ノードを決定する親ノード選択部と、
前記親ノード選択部で選択された結果に従い、前記配信ツリーの構成情報を更新する配信ツリー情報更新部とを有する、
ことを特徴とする配信構成管理装置。」

<相違点>

(相違点1)

「ネットワークアドレス間の差異情報」及び「ネットワークアドレス間差異計算部」に関し、本願発明1は「ネットワークアドレス間の距離情報」及び「ネットワークアドレス間距離計算部」であるのに対し、引用発明は「スコア」及び「算出する手段」である点。

(相違点2)

本願発明1は、「前記ネットワークアドレス間距離計算部は、前記対象ノードの前記ネットワークアドレスと、前記親ノード候補の前記ネットワークアドレスのプレフィックス部分の一致長に基づいて、前記ネットワークアドレス間の距離情報を算出する」のに対して、引用発明は「4つのカルテットのすべてが要求しているクライアントのカルテットと一致しているネットワーク・アドレスの場合に、高いスコアを現在ノードに割り当て、ネットワーク・アドレス内の一致するカルテットの数が減るのに対応して、現在ノードに割り当てるスコアを下げ」る点。

(2)判断

相違点1と相違点2はともにネットワークアドレス間の差異に関する相違点であるから、相違点1は相違点2とともに検討する。

本願発明1における「ネットワークアドレスのプレフィックス部分の一致長」は、本願明細書の段落【0050】の「2つのIPアドレス間の距離に相当する指標として、IPアドレスのプレフィックス部分の一致長(2つのIPアドレスの上位ビットから何ビットが一致しているか)を、用いてIPアドレス間距離を算出(推定)する。」との記載を参酌すると、ネットワークアドレスの先頭からの連続して一致する長さと解され、本願発明1は、距離が近いノード間ではネットワークアドレスのプレフィックス部分が一致しているとの前提を利用し、物理的なネットワークトポロジー的に近い位置であるノードを親ノードとするものである一方、引用発明ではネットワークアドレスにおける一致するカルテットの数であって、引用文献1にはネットワークアドレスの先頭からの連続する数とすることの開示も示唆もなく、そのようにすることが本願出願前において周知技術であったともいえない。

(3)小括

よって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2-8について

本願発明2-8は、本願発明1を減縮した発明であるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本願発明9について

本願発明9は本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明であるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

4 本願発明10-11について

本願発明10-11は、少なくとも本願発明1を含むシステムの発明であるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 むすび

以上のとおり、本願発明1-11は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-015926

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