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特許拒絶査定不服審判

2021-015755

特定装置、特定方法及び特定プログラム

審判番号
2021-015755
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-168801外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年11月17日
審決日
2022年09月27日
公報発行日
2022年10月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G06Q) / P18 .537-WY (G06Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-168801「特定装置、特定方法及び特定プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 3月25日出願公開、特開2021- 47551、請求項の数(20)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 18項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は,令和元年9月17日の出願であって,その手続の経緯は,概略,以下のとおりである。

令和3年 5月26日付け:拒絶理由通知
令和3年 8月 2日 :意見書,手続補正書の提出
令和3年 8月 6日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和3年11月17日 :拒絶査定不服審判の請求,手続補正書の提出
令和4年 6月 9日付け:拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)

通知

令和4年 8月 9日 :意見書,手続補正書の提出

第2 原査定の概要

原査定の概要は,次のとおりである。

この出願の請求項1~11,13~17,19,20に係る発明は,以下の引用文献1,2および4に記載された発明に基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり,この出願の請求項12および18に係る発明は,以下の引用文献1ないし4に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1: 特表2011-522331号公報
引用文献2: 特開2009-134558号公報
引用文献3: 特開2018-139036号公報
引用文献4: 特開2019-095831号公報

第3 本願発明

本願請求項1~20に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」~「本願発明20」という。)は,令和4年8月9日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~20に記載された事項により特定される,次のとおりの発明である。

「【請求項1】
緯度と経度に基づいてメッシュ状に区画された各地域メッシュと関連するネットワーク上の情報であって,当該各地域メッシュに所在する施設に関するネットワーク上の施設情報および当該各地域メッシュに所在する利用者のネットワーク上の行動を示す利用者情報を地域メッシュごとに取得する取得部と,
各地域メッシュに所在する施設に関する前記施設情報の類似性に基づいて,各地域メッシュに所在する施設に関する前記施設情報それぞれを各地域メッシュの施設に関するコンテキストを示す一の多次元量それぞれに変換し,各地域メッシュに所在する利用者のネットワーク上の行動を示す前記利用者情報の類似性に基づいて,各地域メッシュに所在する各利用者の前記利用者情報それぞれを各地域メッシュに所在する各利用者のコンテキストを示す一の多次元量それぞれに変換し,各地域メッシュの施設に関するコンテキストを示す一の多次元量および各地域メッシュに所在する各利用者のコンテキストを示す一の多次元量それぞれの組の類似性に基づいて,変換した各地域メッシュの施設に関するコンテキストを示す一の多次元量および変換した各地域メッシュに所在する各利用者のコンテキストを示す一の多次元量それぞれの組を前記各地域メッシュのコンテキストを示す一の多次元量に変換する変換部と,
前記一の多次元量の類似性に基づいて,判定対象となる対象地域メッシュとネットワーク上の情報が類似する他の地域メッシュを特定する特定部と
続きを表示(全74行)
を有することを特徴とする特定装置。
【請求項2】
前記取得部は,前記各地域メッシュと関連性を有する利用者のネットワーク上の行動を示す情報を取得し,
前記特定部は,前記利用者のネットワーク上の行動が前記対象地域メッシュと類似する他の地域メッシュを特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の特定装置。
【請求項3】
前記取得部は,前記各地域メッシュに所在する利用者のネットワーク上の行動を示す情報を取得する
ことを特徴とする請求項2に記載の特定装置。
【請求項4】
前記取得部は,前記利用者が利用する端末装置から取得した位置情報に基づいて,前記利用者を特定し,特定した利用者のネットワーク上の行動を示す情報を取得する
ことを特徴とする請求項3に記載の特定装置。
【請求項5】
前記取得部は,前記利用者が入力した検索クエリの履歴である検索履歴を取得する ことを特徴とする請求項2~4のうちいずれか1つに記載の特定装置。
【請求項6】
前記取得部は,前記利用者が閲覧したコンテンツの履歴である閲覧履歴を取得する
ことを特徴とする請求項2~5のうちいずれか1つに記載の特定装置。
【請求項7】
前記取得部は,前記利用者の位置の履歴である位置履歴を取得する
ことを特徴とする請求項2~6のうちいずれか1つに記載の特定装置。
【請求項8】
前記取得部は,前記利用者による購買の履歴である購買履歴を取得する
ことを特徴とする請求項2~7のうちいずれか1つに記載の特定装置。
【請求項9】
前記取得部により取得された情報に基づいて,前記利用者に関する情報を推定する推定部
を有し,
前記特定部は,前記推定部により推定された前記利用者に関する情報が前記対象地域メッシュと類似する他の地域メッシュを特定する
ことを特徴とする請求項2~8のうちいずれか1つに記載の特定装置。
【請求項10】
前記推定部は,前記利用者の前記地域メッシュにおける行動のコンテキストを推定する
ことを特徴とする請求項9に記載の特定装置。
【請求項11】
前記推定部は,前記利用者の興味に関する情報を推定する
ことを特徴とする請求項9または10に記載の特定装置。
【請求項12】
前記取得部により取得された情報に基づいて,前記利用者の信頼性を示すスコアを算出する算出部
を有し,
前記特定部は,前記算出部により算出されたスコアの傾向が前記対象地域メッシュと類似する他の地域メッシュを特定する
ことを特徴とする請求項2~11のうちいずれか1つに記載の特定装置。
【請求項13】
前記取得部は,前記各地域メッシュに所在する施設に関するネットワーク上の情報を取得し,
前記特定部は,施設に関するネットワーク上の情報が,対象地域メッシュに所在する施設に関するネットワーク上の情報と類似する他の地域メッシュを特定する
ことを特徴とする請求項1~12のうちいずれか1つに記載の特定装置。
【請求項14】
前記取得部は,前記各地域メッシュに所在する施設を訪問した利用者に関するネットワーク上の情報を取得する
ことを特徴とする請求項13に記載の特定装置。
【請求項15】
前記取得部は,前記各地域メッシュに所在する施設を訪問した利用者により投稿された情報であって,当該施設に関する情報を取得する
ことを特徴とする請求項13または14に記載の特定装置。
【請求項16】
判定対象となる対象地域メッシュの指定を利用者から受付ける受付部と,
前記特定部が特定した他の地域メッシュを示す情報を前記利用者に提供する提供部と
を有することを特徴とする請求項1~15のうちいずれか1つに記載の特定装置。
【請求項17】
前記特定部は,前記対象地域メッシュとネットワーク上の情報が類似する複数の他の地域メッシュを特定する
ことを特徴とする請求項1~16のうちいずれか1つに記載の特定装置。
【請求項18】
前記変換部は,
前記ネットワーク上の情報間の類似性に基づいて情報を多次元量に変換するモデルを用いて,前記ネットワーク上の情報を多次元量に変換する
ことを特徴とする請求項1~17のうちいずれか1つに記載の特定装置。
【請求項19】
特定装置が実行する特定方法であって,
緯度と経度に基づいてメッシュ状に区画された各地域メッシュと関連するネットワーク上の情報であって,当該各地域メッシュに所在する施設に関するネットワーク上の施設情報および当該各地域メッシュに所在する利用者のネットワーク上の行動を示す利用者情報を地域メッシュごとに取得する取得工程と,
各地域メッシュに所在する施設に関する前記施設情報の類似性に基づいて,各地域メッシュに所在する施設に関する前記施設情報それぞれを各地域メッシュの施設に関するコンテキストを示す一の多次元量それぞれに変換し,各地域メッシュに所在する利用者のネットワーク上の行動を示す前記利用者情報の類似性に基づいて,各地域メッシュに所在する各利用者の前記利用者情報それぞれを各地域メッシュに所在する各利用者のコンテキストを示す一の多次元量それぞれに変換し,各地域メッシュの施設に関するコンテキストを示す一の多次元量および各地域メッシュに所在する各利用者のコンテキストを示す一の多次元量それぞれの組の類似性に基づいて,変換した各地域メッシュの施設に関するコンテキストを示す一の多次元量および変換した各地域メッシュに所在する各利用者のコンテキストを示す一の多次元量それぞれの組を前記各地域メッシュのコンテキストを示す一の多次元量に変換する変換工程と,
前記一の多次元量の類似性に基づいて,判定対象となる対象地域メッシュとネットワーク上の情報が類似する他の地域メッシュを特定する特定工程と
を含むことを特徴とする特定方法。
【請求項20】
緯度と経度に基づいてメッシュ状に区画された各地域メッシュと関連するネットワーク上の情報であって,当該各地域メッシュに所在する施設に関するネットワーク上の施設情報および当該各地域メッシュに所在する利用者のネットワーク上の行動を示す利用者情報を地域メッシュごとに取得する取得手順と,
各地域メッシュに所在する施設に関する前記施設情報の類似性に基づいて,各地域メッシュに所在する施設に関する前記施設情報それぞれを各地域メッシュの施設に関するコンテキストを示す一の多次元量それぞれに変換し,各地域メッシュに所在する利用者のネットワーク上の行動を示す前記利用者情報の類似性に基づいて,各地域メッシュに所在する各利用者の前記利用者情報それぞれを各地域メッシュに所在する各利用者のコンテキストを示す一の多次元量それぞれに変換し,各地域メッシュの施設に関するコンテキストを示す一の多次元量および各地域メッシュに所在する各利用者のコンテキストを示す一の多次元量それぞれの組の類似性に基づいて,変換した各地域メッシュの施設に関するコンテキストを示す一の多次元量および変換した各地域メッシュに所在する各利用者のコンテキストを示す一の多次元量それぞれの組を前記各地域メッシュのコンテキストを示す一の多次元量に変換する変換手順と,
前記一の多次元量の類似性に基づいて,判定対象となる対象地域メッシュとネットワーク上の情報が類似する他の地域メッシュを特定する特定手順と
をコンピュータに実行させるための特定プログラム。」

第4 引用文献の記載,引用発明等

1 引用文献1

(1)原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献1には,図面とともに,次の記載がある(下線は当審による。以下同様。)。

ア 「【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照 (省略)
【0002】
続きを表示(全26行)
本教示は,全般的には地理的ロケーション(geographic locations)に関連するデータの集約(aggregation)及び提示(presentation)に関し,より具体的には,ユーザのためにリコメンデーション及び他のサービスを生成するのに使用され得る所定の地理的区域(geographic area)の特徴,アトラクション及び他の関心点(points of interest)を特徴付ける地域プロファイル(regional profile)を生成するために移動体デバイスまたは他のソースによって生成される地理データタグの分析に関する。
【背景技術】
【0003】
セルラアプリケーション及び他のアプリケーションでのロケーションベースのサービスにおいて,「タグ」は,ある情報を記述するためにその情報に割り当てられたキーワード,テキスト,または他の属性とすることができる。1つまたは複数のタグを1つまたは複数のユーザによって1つの情報に割り当てることができる。地理データタグ(「ジオタグ(geotag)」)は,関連する属性と一緒に緯度/経度座標などの地理的ロケーションを組み込むタイプのタグとされ得る。ジオタグは,記述情報を地球上の物理的ロケーションに関連付けることを可能にすることができる。
【0004】
現在,様々なウェブサイトがディジタル写真,チケット,ブログ及び類似物などのアイテムに地理的ロケーション情報を追加する機能を提供している。一部のディジタルカメラは,撮影時に写真に地理的ロケーション情報を追加する機能を有するが,1つのジオタグ情報を地理的ロケーションに自動的に関連付ける機能は提供しない。さらに,携帯電話またはディジタルカメラは,個々の写真または他のオブジェクトに添付するためにジオタグを作成でき,これらのジオタグを付けられたオブジェクトを他のユーザと直接に共有できる場合があるが,複数のユーザから受け取られたジオタグを付けられたデータに反映されるより高次の属性を集約でき,分析できるプラットフォームは存在しない。
【0005】
例えば,ある種のセル電話はユーザが所定の都市内の訪問されたロケーションの地図を格納し,ユーザがしばしば訪れる個々のレストランのジオタグを付けられたレイティングを入力することを許す場合がある。しかし,例えばユーザ人口全体に推奨すべき使用可能なレストランの集合地域レイティングを作るために情報をアセンブルし,ソートすることができる集合データベースにジオタグ情報をアップロードする機構は,入手可能ではない。従って,マーケティングの機会及びリコメンデーションの機会が利用されないままになる可能性がある。というのは,所定の地域内の様々な特徴及びアトラクションに対するユーザの集合的な反応が編成されず,あるいは付近の他のユーザから使用可能にされないからである。ある地域の地方住人でさえ,これらのユーザ及び他のユーザのために新たな旅行,休暇,リクリエーション,または他の可能性への関心を生み出すためにその情報を活用できる,彼らの地域内で使用可能な全ての特徴及びアトラクションを知ってはいない可能性がある。
【0006】
従って,ある情報を地理データタグの形の地理的ロケーションに関連付ける能力を提供し,地理的地域(geographic regions)のより高次のプロファイルを生成するために,地理データタグ内に含まれるデータを集約し分析すると同時に,これらの地域プロファイルから導出される関連するリコメンデーションを生成する技術及びプラットフォームが望ましい可能性がある。
【発明の概要】
【0007】
以下では,1つまたは複数の基本的な理解を提供するために,そのような態様の単純化された要約を提示する。この要約は,全ての企図される態様の徹底的な概要ではなく,全ての態様の重要またはクリティカルな要素を識別することも,いずれかまたは全ての態様の範囲を区切ることも意図されていない。その唯一の目的は,後で提示されるより詳細な説明の前置きとして単純化された形で1つまたは複数の態様の幾つかの概念を提示することである。
【0008】
本教示によれば,1つまたは複数の態様では地域プロファイリングプラットフォームが地理的ロケーションに関連するジオタグデータのセットを受け取り,囲む地域の集合プロファイルを生成するためにその内容を分析するように動作する,地理的ロケーションに関連するデータを集約し,提示するシステム及び方法が提供される。本教示の1つまたは複数の実施態様では,地域プロファイリングプラットフォームは,それぞれが1つまたは複数の地理的ロケーションに関連する,ジオタグデータの複数のセットを受け取ることができる。1つまたは複数の実施態様では,ジオタグのそれぞれは関連する地理的ロケーションを識別する地理識別子を含むことができる。1つまたは複数の実施態様では,埋め込まれた地理識別子をジオタグデータ及び全ての他の符号化された情報の受取と同時に自動的に獲得することができる。
【0009】
1つまたは複数の態様によれば,地域プロファイリングプラットフォームはジオタグデータの集合セットに基づいて関連する地理的ロケーションの1つまたは複数の属性を識別し,集約し,編成し,格納することができる。ジオタグデータの集合セットは,ブロック,区画,郵便番号区域,市,州,国,または他の地理的地域の地域プロファイルを導出するのに使用され得る。
【0010】
地域プロファイルは,例えば地方のレストラン,公園,スポーツ会場,住宅地,商業センタもしくは小売りセンタ,または地域内の他のリソースなど,区域内で使用可能な関心点(points of interest)(POI)のセットを含むことができる。地域プロファイルは,1つの点について,対象地域で使用可能な特徴のあるまたは顕著な特徴,アトラクション,サービス,または他のリソースを符号化し,要約することができる。1つまたは複数の態様で,さらなる点について,地域プロファイリングプラットフォームは,所定のロケーションのために展開された地域プロファイルにアクセスし,その区域内の個々のユーザに与えるべきより高次のデータを展開するために,または他の形でプロファイルを使用することができる。
【0011】
例えば,地域プロファイリングプラットフォームは,地方の関心を持たれている地点のセット内の特徴を抽出し,その地域またはその地域のサブセクションで使用可能なレストラン,下宿,リクリエーション,エンターテイメント,または他の特徴もしくはリソースに関するユーザへのリコメンデーションまたはサジェスチョンを生成することができる。1つまたは複数の実施態様では,ユーザは,彼らが受け取ることを望むリコメンデーションまたは他の情報をフィルタリングするのに使用できる個々のプリファレンスのセットを格納することができる。1つまたは複数の態様では,プラットフォームによって作られた,ユーザプロファイルまたはプリファレンスを追跡するか生成するユーザプロファイリングデータを同様にリコメンデーション情報のフィルタリングに使用することができる。1つまたは複数の態様では,ソーシャルネットワーキングサービスのメンバなどのユーザの友人のプリファレンスまたは挙動をリコメンデーション情報のフィルタリングに使用することもできる。1つまたは複数の態様では,ユーザは,地域プロファイルを生成するのに使用されるデータベースに投入し,そのデータベースを更新するために,区域に関連するレイティング,キーワード,コメント及び他の注釈を含む地域内のロケーションに関する追加のジオタグデータを自由に追加することができる。1つまたは複数の態様では,ユーザ供給のジオタグデータは,所定の地域に特有のカスタマイズされたトレーニングセット
を使用してその内容を復号できる音声クリップまたはサンプルを含むことができる。1つまたは複数の態様では,リコメンデーション情報をユーザのプリファレンスまたは現在のロケーションに適合されるか他の変数に基づく,動的に順序付けられるメニューまたは他のダイアログもしくはインタフェース内でユーザに提示することができる。」
イ 「【0019】
本発明の諸態様は,地理的ロケーションに関連するデータを集約し,提示する方法及び装置に関する。より具体的には,1つまたは複数の態様で,特定のサイトまたはロケーションの地理データタグすなわちジオタグが移動体デバイスまたは他のソースによって生成され,そのロケーションに関連する地域の地域プロファイルを展開するために集約され,分析される,プラットフォーム及び技術が提供される。1つまたは複数の態様で,ジオタグデータのセットは,格納され,特定のロケーションに関連付けられるユーザレイティング,カテゴリタグ,評言,リンク及び/または他のデータ,属性,もしくはメタデータを含むことができる。例えば米国カリフォルニア州ロサンゼルスのハリウッド大通りに位置する小売店を移動体ユーザまたは他の消費者によってレイティングするか説明することができ,そのレイティングまたは他の説明コンテンツもしくはタグをそのロケーションの地理ポジション(例えば,全地球測位システムまたはGPSフィックスを介して取り込まれる)に関連付けることができる。
【0020】
1つまたは複数の態様によれば,プロファイリングサーバまたは他のリソースもしくはサービス内でホスティングされるプロファイルモジュールは,地域内のサイトまたはロケーションのジオタグデータに基づいて地域プロファイルを生成するために,特定の地域のジオタグデータのセットを収集し,組み合わせることができる。プロファイルモジュールは,例えばジオタグデータのセットを編成し,検査し,類似する特徴,アトラクション,またはリソースを表すか含むロケーションを識別することができる。従って,例えばプロファイリングされる地域は,複数のレストラン,ホテル,朝食付き宿泊サイト,または旅行産業もしくはサービス業に関連する他のロケーションを含むことができる。プロファイルモジュールは,例えばレストランであるものとしてロケーションを識別するジオタグデータのセットを識別し,さらに,レストランとして識別されたロケーションをメキシコ料理,イタリア料理,タイ料理,または他のカテゴリもしくはタイプなどの異なるタイプにソートしまたは編成することができる。地域内の使用可能な特徴,アトラクション,ロケーション及び他のリソースの特徴を表す地域プロファイルを生成するために,その地域内のロケーションの他の属性または特徴を識別し,編成し,ソートすることができる。」

ウ 図1

[図:0001389143000001.jpg]

エ 「【0025】
地域プロファイリング及び関連活動に関して,図1に全般的に示されているように,基地局106及び関連するネットワークリソースによってホスティングされまたはサポートされる無線ネットワーク内で動作する移動体デバイス102は,プロファイリングされる地域に接近し,それに向かってまたはその中で移動することができる。1つまたは複数の態様では,移動体デバイス102は,セル電話,ネットワーク対応メディアプレーヤ,ネットワーク対応携帯情報端末(PDA),WiFi(登録商標)対応通信デバイス,全地球測位システム(GPS)ユニット,あるいは他の無線,移動体,またはポータブルのデバイス,クライアント,またはハードウェアを含むことができる。1つまたは複数の態様では,移動体デバイス102は,移動体デバイス102の地理的ロケーションまたは地理ポジションを識別し,または取り込むためにロケーションモジュール106を組み込むことができる。1つまたは複数の態様では,ロケーションモジュール106は,全地球測位システム(GPS),基地局三角測量及び/または三辺測量,Galileo(Global System Mobile)ロケータサービス,あるいは移動体デバイス102のロケーションを取り込むか検出するための他の技術などの様々なロケーション検出テクノロジまたはロケーション検出サービスとするか,これを含むことができる。
【0026】
基地局106に登録されている間に,移動体デバイス102は,ロケーションモジュール106を介してデバイスロケーションデータ146のセットを生成し,セルラインタフェースなどの無線インタフェースを介してデバイスロケーションデータ146を基地局106に伝送しまたはアップロードすることができる。基地局106は,関連するリソースと一緒に,遠隔的にホスティングされるサーバまたはサーバのセットなどのプロファイリングサーバ170と通信することができる。1つまたは複数の態様では,プロファイリングサーバ170は,基地局106及び/または関連する地域プロファイリングサービスに登録された1つまたは複数の移動体デバイス102のデバイスロケーションデータ146を受信するように構成されたプロファイルモジュール136をホスティングすることができる。プロファイルモジュール136は,1つまたは複数の態様で,移動体デバイス102がその中を移動しつつある,移動体デバイス102が接近しつつある,または移動体デバイス102の付近の外にある,プロファイリングされる地域を識別することができる。プロファイルモジュール136は,その後,関心を持たれている地域の地域プロファイル190,移動体デバイス102のユーザのユーザプロファイル118を見つけるために地域プロファイルデータベース116にアクセスし,本明細書で説明するように,移動体デバイス102に伝送するためにリコメンデーション情報144のセットを生成することができる。1つまたは複数の態様では,移動体デバイス102のユーザのユーザプロファイル118を関心を持たれているカテゴリまたはロケーションを指定するためを含めてユーザ自身によって入力するか構成することができ,かつ/またはユーザのロケーション履歴,レイティング履歴,トランザクション履歴,もしくはプロファイリングされる地域110に関連する他の挙動の分析によってプロファイルモジュール136によって生成しまたは変更することができる。」

オ 図6

[図:0001389143000002.jpg]

カ 「【0040】
1つまたは複数の態様では,対象のプロファイリングされる地域110について地域プロファイル190が展開され,格納された後に,1つまたは複数の態様では,プロファイルモジュール136は,関心を持たれている最初にプロファイリングされた地域110に類似するプロファイルを示す追加の1つまたは複数の地域を識別するために,所定のプロファイリングされる地域110の既知の特性を活用することができる。図6に,1つの態様による,対象のプロファイリングされる地域110に類似する地域の識別を生成する処理の流れ図を示す。602で,処理を開始することができる。604では,所定のプロファイリングされる地域110の地域プロファイル190を例えば図5に示された処理を使用してまたは他の形で生成することができる。606では,プロファイルモジュール136は,プロファイリングされる地域110の地域プロファイル190との比較に使用すべき1つまたは複数の追加のターゲット地域のプロファイルを計算することができる。
【0041】
608では,プロファイルモジュール136は,プロファイリングされる地域110の地域プロファイル190と一致する全ての地域を見つけるために,1つまたは複数の追加のターゲット地域内の1つまたは複数のプロファイルを見つけることができる。1つまたは複数の態様では,プロファイリングされる地域110内のロケーションのジオタグデータ114の集合的なセット内の最小個数の属性またはフィールドを識別された追加のターゲット地域のセット内の匹敵する地域とマッチングすることによって,マッチングを実行することができる。例えば2つの地域は,両方が最高レベルの分類で「住宅」として分類される場合に,高レベル一致と考えることができる。610では,プロファイルモジュール136はプロファイリングされる地域110に最も類似する入手可能な1つまたは複数の地域を判定するために,追加のターゲット地域をさらに比較することができる。例えばも最高レベルで「住宅」として分類された2つの地域を学校,図書館,公園及び/または他のロケーション,場所,もしくは特徴の相互の存在を識別するためにさらに比較することができる。612では,最も類似するターゲット地域または比較結果に基づく地域をその地域類似性が探されている対象のプロファイリングされる地域110に最も類似する地域(1つまたは複数)として返すことができる。1つまたは複数の態様では,次に類似するまたは他のランキングもしくは個数の一致するターゲット地域を返すことができる。618では,処理を繰り返すか,以前の処理点に戻るか,さらなる処理点にジャンプするか,終了することができる。
【0042】
さらなる点での本教示の1つまたは複数の態様では,地域レベルで類似する地域を見つけるためにディスカバリプロセスを実行するほかに,移動体デバイス102のユーザが目的地地域の境界内で,お互いへの類似性を示す個々のロケーションを見つけるかまたは識別することを望む場合がある。これに関して,他のロケーションまたは場所が特性の類似するセットを反映するかどうかを判定するために,ユーザのごく近くの地域または他の目的地地域の地域プロファイル190にアクセスすることができる。例えば,あるユーザが英国ロンドンのパブで長い待ちを経験しつつあり,近くの類似する施設を見つけたいと思う場合に,移動体デバイス102のユーザは,その大都市区域内の類似する属性を表示する「places like here(ここに似た場所)」のリストまたは地図を要求することができる。類似するロケーションを次に近い通り,ブロック,街,または他の地理的距離もしくは地理的区域の中の目的地地域に制限することができる。類似するロケーションに関する結果をユーザプロファイル118,友人または他のソーシャルグループのメンバのプロファイルまたは現在のロケーション,あるいは他の判断基準などの追加の要因によってフィルタリングすることができる。」

(2)上記(1)より,特に,下線部に着目すると,引用文献1には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「地理的ロケーションに関連するデータを集約し,提示する方法及び装置に関し,
プロファイリングサーバ内でホスティングされるプロファイルモジュールは,地域内のサイトまたはロケーションのジオタグデータに基づいて地域プロファイルを生成するために,特定の地域のジオタグデータのセットを収集し,組み合わせることができ,
プロファイルモジュールは,類似する特徴を表すか含むロケーションを識別することができるものであり,
地域プロファイリング及び関連活動に関して,無線ネットワーク内で動作する移動体デバイス102は,プロファイリングされる地域に接近し,それに向かってまたはその中で移動することができ,
続きを表示(全13行)
移動体デバイス102は,セル電話を含むことができ,
移動体デバイス102は,デバイスロケーションデータ146のセットを生成し,セルラインタフェースなどの無線インタフェースを介してデバイスロケーションデータ146を基地局106に伝送しまたはアップロードすることができ,
基地局106は,関連するリソースと一緒に,遠隔的にホスティングされるプロファイリングサーバ170と通信することができ,
ユーザのロケーション履歴,レイティング履歴,トランザクション履歴,もしくはプロファイリングされる地域110に関連する他の挙動の分析によってプロファイルモジュール136によって生成しまたは変更することができ,
プロファイルモジュール136は,関心を持たれている最初にプロファイリングされた地域110に類似するプロファイルを示す追加の1つまたは複数の地域を識別するために,所定のプロファイリングされる地域110の既知の特性を活用することができ,
プロファイルモジュール136は,プロファイリングされる地域110の地域プロファイル190との比較に使用すべき1つまたは複数の追加のターゲット地域のプロファイルを計算することができ,
プロファイリングされる地域110内のロケーションのジオタグデータ114の集合的なセット内の最小個数の属性またはフィールドを識別された追加のターゲット地域のセット内の匹敵する地域とマッチングすることによって,マッチングを実行することができ,
最も類似するターゲット地域または比較結果に基づく地域をその地域類似性が探されている対象のプロファイリングされる地域110に最も類似する地域(1つまたは複数)として返すことができる
プロファイリングサーバ。」

2 引用文献2

原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献2には,図面とともに,次の記載がある。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は,利用者がある物品を利用したり購入したり検索したり,あるWEB情報を閲覧したりした場合に,その物品やそのWEB情報に関連した別の物品や別のWEB情報をその利用者に推薦するための物品推薦装置,物品推薦方法及び物品推薦用プログラムに関する。
【背景技術】
続きを表示(全27行)
【0002】
利用者がある物品を利用したり購入したり,ある情報を閲覧したりした場合に,その物品や情報と関連した別の物品や情報をその利用者に推薦する方法および装置に関しては,以前からいくつかの技術が開発されている。
【0003】
そのような技術としては,利用者同士の嗜好の類似性を仮定した技術が開発されている。
【0004】
第1の利用者が,第1物品と第2の物品を購入した場合,その購入履歴を記録しておき,第2の利用者が第1の物品を購入したときに,第1の利用者の購入履歴を利用して,第2の利用者に,第2の物品を推薦する,という方法が発明されている。この物品推薦方法は,同じ物品を購入する利用者同士は嗜好が類似しており,第1の利用者が購入した物品と同じものを第2の利用者も購入する可能性が高い,という仮定に基づいている。
【0005】
しかしながら,物品の購入だけからでは,利用者同士の嗜好の類似性が当てはまらない場合も多い。第1の利用者が,第1の物品と第2の物品を利用したからといって,第1の物品と第2の物品の間には関連性がほとんどない場合もある。
【0006】
この問題に対して,多くの利用者の購入履歴を足し合わせることで関連性の強い物品群を関連付ける方法が発明されている。第1の物品を購入した利用者の多くが,第2の物品も購入している場合,第1の物品と第2の物品とは関連性が強いと判断する。その判断に基づき,新たに第1の物品を購入した利用者に第2の物品を推薦する,という方法である。この方法を採用した物品推薦装置は,現在,インターネットの分野で広く使われている。
【0007】
他の技術としては,物品の類似性を利用する技術も提案されている。特許文献1には,物品に「商品の特徴を表すイメージ語」を付与しておき利用者の購入した物品と同じイメージ語をもつ別の物品を利用者に推薦する発明が記述されている。
【特許文献1】 特開2004-318597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の物品推薦技術が有効である可能性があるのは,同種のメディア種別に属する物品の推薦に限られるという問題があった。ここで,同種のメディアの物品とは,小説などのフィクション系書籍同士,ドキュメンタリなどのノンフィクション系書籍同士,漫画などの絵画系書籍同士,写真集などの静止画系書籍同士(すなわちジャンル別書籍同士),映画などのジャンル別動画系DVD(Digital Versatile Disc)同士,ジャンル別音楽CD(Compact Disc)同士,などを意味する。
【0009】
従来の物品推薦技術が同種のメディアの物品の推薦に限られる理由は,異なるメディアの物品同士に関しては,単純な購買履歴だけからでは,従来の方法が前提としている仮定が成立しない可能性が高いためである。つまり,同じ物品を購入する利用者同士は嗜好が類似しており,第1の利用者が購入した別のメディアの物品と同じものを第2の利用者も購入する可能性が高い,という仮定が成立しない可能性が高いためである。この仮定が成立しない可能性が高い理由は,利用者が第1のメディア,例えば小説に関して持つ嗜好と,第2のメディア,例えば音楽に関して持つ嗜好とは,利用者ごとに異なる可能性が高いからである。
【0010】
また,従来の,物品の類似性を利用する技術では,「商品の特徴を表すイメージ語」を利用しているため,たとえば「丸い」「ソフト」「クール」といったイメージ語が共通する物品だからといって,利用者が興味をもつとは限らないという問題がある。
【0011】
本発明は,上記の問題点を鑑みてなされたものであり,利用者が選択した物品と異なったメディア種別に属する物品もその利用者に推薦することを可能とする物品推薦装置,物品推薦方法及び物品推薦用プログラムを提供することを目的とする。」

イ 図1

[図:0001389143000003.jpg]

ウ 「【0019】
図1は本発明の実施の形態を示すブロック図である。
【0020】
エリア利用者特定手段1は,ある人が利用する街やその中心となる鉄道の駅を特定する手段である。具体的には,利用者の位置情報を取得するGPSや,駅の改札通過情報を取得する電子切符,物品・サービス購入を示す電子マネーなどがこのエリア利用者特定手段1の例である。ある利用者が,GPSや電子切符や電子マネーを利用することで,その利用者が,ある街やその中心となる鉄道の駅を利用したという情報が,エリア利用者特定手段1によって取得される。
続きを表示(全25行)
【0021】
利用者プロファイル入力手段2は,利用者の年齢,性別,職業など,利用者のプロファイルを取得するする手段である。具体的には,パソコンや携帯端末などがこの利用者プロファイル入力手段2の例である。
【0022】
物品購入情報取得手段3は,利用者が物品を購入したり利用したりしたという情報を取得する手段である。具体的には,電子マネーなどが,この物品購入情報取得手段3の例である。
【0023】
利用者が,電子マネーなどを利用することで,その利用者が購買したり利用したりした物品の情報が取得される。なお,ある利用者が物品を購買したり利用したりする場所は,エリア利用者特定手段1で取得される特定の街やその中心となる鉄道の駅でなくてよく,一般の場所でよい。
【0024】
WEBコンテンツ閲覧情報取得手段4は,利用者がWEB上のコンテンツを閲覧したり購入したり利用したりしたという情報を取得する手段である。具体的には,パソコンや携帯端末などが,このWEBコンテンツ閲覧情報取得手段4の例である。利用者が,パソコンや携帯端末などを利用することで,WEB上のコンテンツを閲覧したり購入したり利用したりしたという情報が取得される。なお,ある利用者がWEB上のコンテンツを閲覧し
たり購入したり利用したりする場所は,エリア利両者特定手段1で取得される特定の街やその中心となる鉄道の駅でなくてよく,一般の場所でよい。
【0025】
エリア利用者特徴抽出手段5は,エリア利用者特定手段1と利用者プロファイル入力手段2とからの情報を得て,特定の街やその中心となる鉄道の駅を利用する利用者グループを抽出する。そして,エリア利用者特徴抽出手段5は,特定の街やその中心となる鉄道の駅ごとに,その場所を利用する利用者グループと,利用者プロファイル入力手段2から得た,その利用者グループを構成する利用者各人のプロフィールと,物品購入情報取得手段3から得た,その構成利用者各人の物品購買履歴と,WEBコンテンツ閲覧情報取得手段4から得た,その構成利用者各人のWEBコンテンツ閲覧履歴とを,各エリア利用者物品購入履歴・WEBコンテンツ閲覧履歴データベース6に伝達する。
【0026】
各エリア利用者物品購入履歴・WEBコンテンツ閲覧履歴データベース6は受け取った情報を,各エリアごとに格納する。
【0027】
エリア・グループ化手段7は,エリア利用者特徴抽出手段5によって得られたおのおのの街やその中心となる鉄道の駅を利用する利用者グループの物品購買履歴およびWEBコンテンツ閲覧履歴を,おのおのの街やその中心となる鉄道の駅の特徴として比較し,特徴の近い複数の街やその中心となる駅をグループ化する。
【0028】
そして,エリア・グループ化手段7は,グループ化された複数の街やその中心となる鉄道の駅ごとに,そのエリア・グループを利用する利用者グループを構成する各人のプロフィールと,物品購買履歴と,WEBコンテンツ閲覧履歴とを,エリア・グループ利用者物品購入履歴・WEBコンテンツ閲覧履歴データベース8に伝達する。
【0029】
エリア・グループ利用者物品購入履歴・WEBコンテンツ閲覧履歴データベース8は,受け取った情報を,エリア・グループごとに格納する。
【0030】
このようにして,エリア・グループ利用者物品購入履歴・WEBコンテンツ閲覧履歴データベース8にエリア・グループごとに,そのエリア・グループを利用する利用者グループを構成する各人のプロフィールと,物品購買履歴と,WEBコンテンツ閲覧履歴とが蓄積された状況において,ある利用者が,物品利用・検索・購入情報入力手段10により,物品を利用したり,検索したり,購入したりした情報をエリア・グループ情報推薦手段9に送信する。」

3 引用文献3

原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献3には,図面とともに,次の記載がある。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明はデータ処理技術に関し,特にデータを分析する技術に関する。
【背景技術】
続きを表示(全20行)
【0002】
コンピュータの普及に伴い,顧客に商品を販売した実績を示す販売実績情報をデータベース等に蓄積させている企業が増加している。この販売実績情報を活用して,ユーザの販売活動を支援するための情報(以下,「販売活動支援情報」と呼ぶ。)をコンピュータシステムにより作成する企業もある。例えば特許文献1では,商品を各種観点から分類し,この分類情報と販売実績情報とを対応づけることにより販売活動支援情報を作成する。
【0003】
特許文献1とは別の方法として,商品を購入した顧客の属性と販売実績情報とを対応づけることにより販売活動支援情報が作成されることもある。この場合,ポイントカードやクレジットカードを利用して商品を購入した顧客について,それらのカード作成時に登録された顧客の属性情報が利用されることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開2001-167203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし,実際に商品を購入する購入者と,実際にその商品を消費する消費者とは異なることもある。例えば,ある世帯の主婦が購入した商品の消費者は,その世帯の夫であることもある。したがって,購入者の属性に基づいて作成された販売活動支援情報は,消費者の属性を反映しないものになりがちであり,商品の販売者にとって有用な情報とならない場合もあった。
【0006】
このような背景を踏まえ,本発明者は,購入者が居住する地域(以下,「エリア」と呼ぶ。)に関し,住民の属性が類似する地域のグループ(以下,「エリアクラスタ」または「エリアタイプ」とも呼ぶ。)に注目した。すなわち,商品の購入者の属性に基づくミクロな観点からではなく,購入者が居住するエリアクラスタの住民属性に基づくマクロな観点から販売実績情報を分析することにより,商品の販売者にとって有用な販売活動支援情報を作成できると考えた。
【0007】
本発明は,上記課題に鑑みてなされたものであり,1つの目的は,商品またはサービスの販売を効果的に支援することにある。」

イ 図6

[図:0001389143000004.jpg]

ウ 「【0029】
図6は,図1の販売情報分析装置1の機能構成を示すブロック図である。本明細書のブロック図において示される各ブロックは,ハードウェア的には,コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき,ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが,ここでは,それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって,これらの機能ブロックはハードウェア,ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは,当業者には理解されるところであり,これらのいずれかに限定されるものではない。
【0030】
また,販売情報分析装置1においては,当該装置を効率よく利用するための機能および環境を提供して当該装置の全体を統括的に制御するオペレーションシステム(以下,「OS」と呼ぶ。)が実行されている。かかるOSによってブロック図の各機能ブロックが動作させられることにより,複数のソフトウェアが実行される。
続きを表示(全22行)
【0031】
販売情報分析装置1は,ユーザインタフェース処理部10と,データ保持部20と,データ処理部40とを備える。ユーザインタフェース処理部10は,ユーザ端末500とのユーザインタフェース処理を担当する。データ保持部20は,各種データを保持するための記憶領域である。データ処理部40は,ユーザインタフェース処理部10やデータ保持部20や販売情報保持装置300から取得されたデータをもとにして各種のデータ処理を実行する。さらに,データ処理部40は,ユーザインタフェース処理部10とデータ保持部20との間のインタフェースの役割も果たす。
【0032】
ユーザインタフェース処理部10:
ユーザインタフェース処理部10は,分析要求検出部12と,分析結果出力部14とを有する。分析要求検出部12は,LAN400を介して,ユーザ端末500から送信されるデータを受信する。例えば,商品を指定してその商品が属する商品カテゴリについての商品シェアの分析を要求する分析要求データや,商品を指定してその商品が購買された要因の分析を要求する分析要求データを受信する。分析結果出力部14は,LAN400を介して,ユーザ端末500に対してデータを送信する。例えば,商品シェアを示す分析結果データや,商品が購買された要因を示す分析結果データを送信する。
【0033】
データ保持部20:
データ保持部20は,エリアクラスタ情報保持部22と,販促効果情報保持部24と,商品カテゴリ情報保持部26と,商品指標値情報保持部28とを有する。
【0034】
エリアクラスタ情報保持部22は,エリアクラスタと各エリアと住民属性との対応関係を示すエリアクラスタ情報を保持する。図7は,エリアクラスタ情報のデータ構造を示す。エリアクラスタ欄200には,エリアクラスタの識別情報が記録される。エリア欄202には,エリアクラスタに含まれる複数のエリアが記録される。人口欄204には,各エリアの人口が記録される。
【0035】
住民属性欄206には,エリアクラスタの住民属性が記録される。エリアクラスタの住民属性とは,言い換えれば,エリア欄202の複数のエリアに共通して当てはまる住民属性である。この住民属性には,各エリアクラスタについての人口統計学的な属性データを示すデモグラフィック属性と,各エリアクラスタの住人が有する価値観やライフスタイルといった人間心理にかかわる属性データを示すサイコグラフィック属性が含まれる。
【0036】
デモグラフィック属性の例としては,「30~40代の比較的小さな子供がいる核家族」,「収入が平均よりもやや高く,大学卒以上の人が多い」などがある。一方で,サイコグラフィック属性の例としては,「女性20代について,ブランド・安全性・経済性を非常に重視するが,環境指向はほとんどない」,「女性30代について,ブランドをやや重視し,環境指向である」などがある。つまり,エリアクラスタ情報は,各エリアクラスタの消費者の生活環境や考え方,言い換えれば,消費者像を示す情報である。
【0037】
住民指標値欄208には,エリアクラスタの住民属性を指標値化した住民指標値が記録される。住民指標値とは,エリアクラスタの住民属性が複数種類の評価基準と適合する度合いを所定の評価関数によりそれぞれ指標化した複数種類の適合値である。住民指標値の具体例としては,平均年収,平均世帯人数,世帯あたりの平均子供数,30歳代割合,40歳代割合等である。言い換えれば,住民指標値は,コンピュータによる計算のために,住民属性を複数の数値に変換したものである。
【0038】
エリアクラスタ情報の作成方法の一例を説明する。エリアクラスタ情報の作成には,各エリアについての属性情報であって,公開された各種の統計情報と,独自の推計情報と,アンケートの結果情報を用いる。統計情報には,年代の比率,性別の比率,職業の比率,学歴比率等が含まれる。推計情報には,平均所得,平均資産,平均地価等が含まれる。アンケートの結果情報には,ライフスタイル,価値観,消費趣向等の回答結果が含まれる。定性的な情報は,所定の評価関数により指標値化する。図示しないエリアクラスタ情報作成部は,各エリアについて指標値化された各種属性情報を変量とするクラスタ分析により,各エリアをグループ分けする。なお,クラスタ分析に使用された各種指標値を住民指標値欄208の値としてもよく,住民指標値欄208の値に基づいて住民属性欄206に設定すべきデータを人間の判断により設定してもよい。また,各エリアにおける各種商品の販売実績についてもクラスタ分析の変量としてもよい。」

4 引用文献4

原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献4には,図面とともに,次の記載がある。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は,抽出装置,抽出方法,及び抽出プログラムに関する。
【背景技術】
続きを表示(全19行)
【0002】
従来,種々の情報を抽出する技術が提供されている。例えば,他のカテゴリーに属する概念間の相対的な関係を考慮した上で,概念間の類似性を推定する技術が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2007-213151号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】岩崎雅二郎 "木構造型インデックスを利用した近似k最近傍グラフによる近傍検索", 情報処理学会論文誌, 2011/2, Vol. 52, No. 2. pp.817-828.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,上記の従来技術では,類似の地域を適切に抽出することが難しい場合がある。例えば,他のカテゴリーに属する概念間の類似性を推定するだけでは,所望の情報を抽出することが難しい。例えば,同じカテゴリーに属する情報の類似性を推定することができるとは限らず,このような場合,所望の情報を抽出することが難しい。
【0006】
本願は,上記に鑑みてなされたものであって,類似の地域を適切に抽出する抽出装置,抽出方法,及び抽出プログラムを提供することを目的とする。」

イ 図1

[図:0001389143000005.jpg]

ウ 「【0011】
(実施形態)
〔1.抽出処理〕
図1を用いて,実施形態に係る抽出処理の一例について説明する。図1は,実施形態に係る抽出処理の一例を示す図である。図1では,抽出装置100が作物の一例として,ぶどう(葡萄)の生産が行われている地域をグラフ構造化したグラフデータ(グラフ情報)を検索することにより,類似する地域(以下,「類似地域」ともいう)を抽出する場合を示す。なお,作物は,ぶどうに限らず,田畑につくる植物(農作物)等であってもよい。例えば,作物は,リンゴ等の果物や小麦等の穀類やトマト等の野菜等の種々の作物であってもよい。図1では,抽出装置100は,各地域に対応するベクトルデータ(「ベクトル情報」や,単に「ベクトル」ともいう)を用いて地域をグラフ構造化したグラフ情報を用いる。なお,図1の例では,地域としてぶどう生産に適した地域を対象とする場合を一例として示すが,地域はぶどう生産に適した地域に限らず,鉱山の開発に適した地域など,どのような用途を対象とする地域であってもよい。すなわち,対象とする地域(オブジェクト)は,ベクトルとして表現可能であれば,どのような地域(情報)であってもよい。
続きを表示(全24行)
【0012】
〔1-1.グラフ情報について〕
また,抽出装置100は,図1中のグラフ情報GR11に示すように,各ベクトル(ノード)が有向エッジにより連結されたグラフデータを対象に抽出処理を行う。なお,図1中のグラフ情報GR11に示すようなグラフ情報は,抽出装置100が生成してもよいし,抽出装置100は,図1中のグラフ情報GR11に示すようなグラフ情報を情報提供装置50(図2参照)等の他の外部装置から取得してもよい。
【0013】
また,ここでいう,有向エッジとは,一方向にしかデータを辿れないエッジを意味する。以下では,エッジにより辿る元,すなわち始点となるノードを参照元とし,エッジにより辿る先,すなわち終点となるノードを参照先とする。例えば,所定のノード「A」から所定のノード「B」に連結される有向エッジとは,参照元をノード「A」とし,参照先をノード「B」とするエッジであることを示す。なお,各ノードを連結するエッジは,有向エッジに限らず,種々のエッジであってもよい。例えば,各ノードを連結するエッジは,ノードを連結する方向のないエッジであってもよい。例えば,各ノードを連結するエッジは,相互に参照可能なエッジであってもよい。例えば,各ノードを連結するエッジは,全て双方向エッジであってもよい。
【0014】
例えば,このようにノード「A」を参照元とするエッジをノード「A」の出力エッジという。また,例えば,このようにノード「B」を参照先とするエッジをノード「B」の入力エッジという。すなわち,ここでいう出力エッジ及び入力エッジとは,一の有向エッジをその有向エッジが連結する2つのノードのうち,いずれのノードを中心として捉えるかの相違であり,一の有向エッジが出力エッジ及び入力エッジになる。すなわち,出力エッジ及び入力エッジは,相対的な概念であって,一の有向エッジについて,参照元となるノードを中心として捉えた場合に出力エッジとなり,参照先となるノードを中心として捉えた場合に入力エッジとなる。なお,本実施形態においては,エッジについては,出力エッジや入力エッジ等の有向エッジを対象とするため,以下では,有向エッジを単に「エッジ」と記載する場合がある。
【0015】
例えば,抽出装置100は,数百万~数億単位の地域に対応するノードを対象に処理を行うが,図面においてはその一部のみを図示する。図1の例では,説明を簡単にするために,8個のノードを図示して処理の概要を説明する。例えば,抽出装置100は,図1中のグラフ情報GR11に示すように,ノードN1,N2,N3等に示すような複数のノード(ベクトル)を含むグラフ情報を取得する。また,図1の例では,グラフ情報GR11における各ノードは,そのノードとの間の距離が近い方から所定数のノードへのエッジ(出力エッジ)が連結される。例えば,所定数は,目的や用途等に応じて,2や5や10や100等の種々の値であってもよい。例えば,所定数が2である場合,ノードN1からは,ノードN1からの距離が最も近いノード及び2番目に距離が近い2つノードに出力エッジが連結される。なお,類似度を示す指標としての距離は,ベクトル(N次元ベクトル)間の距離として適用可能であれば,どのような距離であってもよく,例えば,ユークリッド距離やマハラノビス距離やコサイン距離等の種々の距離が用いられてもよい。
【0016】
また,このように「ノードN*(*は任意の数値)」と記載した場合,そのノードはノードID「N*」により識別されるノードであることを示す。例えば,「ノードN1」と記載した場合,そのノードはノードID「N1」により識別されるノードである。
【0017】
また,図1中のグラフ情報GR11では,ノードN10は,ノードN7へ向かう有向エッジであるエッジE7が連結される。すなわち,ノードN10は,ノードN7とエッジE7により連結される。このように「エッジE*(*は任意の数値)」と記載した場合,そのエッジはエッジID「E*」により識別されるエッジであることを示す。例えば,「エッジE11」と記載した場合,そのエッジはエッジID「E11」により識別されるエッ
ジである。例えば,ノードN10を参照元とし,ノードN7を参照先として連結されるエッジE7により,ノードN10からノードN7に辿ることが可能となる。この場合,有向エッジであるエッジE7は,ノードN10を中心として識別される場合,出力エッジとなり,ノードN7を中心として識別される場合,入力エッジとなる。また,図1のグラフ情報GR11中の双方向矢印は,両方のノードから他方のノードへの有向エッジが連結されることを示す。例えば,グラフ情報GR11中のノードN2とノードN451との間の双方向矢印は,ノードN2からノードN451へ向かう有向エッジと,ノードN451からノードN2へ向かう有向エッジとの2つのエッジが連結されることを示す。
【0018】
また,図1中のグラフ情報GR11は,ユークリッド空間であってもよい。また,図1に示すグラフ情報GR11は,各ベクトル間の距離等の説明のための概念的な図であり,グラフ情報GR11は,多次元空間である。例えば,図1に示すグラフ情報GR11は,平面上に図示するため2次元の態様にて図示されるが,例えば100次元や1000次元等の多次元空間であるものとする。
【0019】
ここで,ベクトルデータ間の距離は,地域の類似性を示し,距離が近いほど類似している。本実施形態においては,グラフ情報GR11における各ノードの距離を対応する各オブジェクト間の類似度とする。例えば,各ノードに対応する対象(地域)の類似性が,グラフ情報GR11内におけるノード間の距離として写像されているものとする。例えば,各ノードに対応する概念間の類似度が各ノード間の距離に写像されているものとする。ここで,図1に示す例においては,グラフ情報GR11における各ノード間の距離が短いオブジェクト同士の類似度が高く,グラフ情報GR11における各ノード間の距離が長いオブジェクト同士の類似度が低い。例えば,図1中のグラフ情報GR11において,ノードID「N35」により識別されるノードと,ノードID「N693」により識別されるノードとは近接している,すなわち距離が短い。そのため,ノードID「N35」により識別されるノードに対応するオブジェクトと,ノードID「N693」により識別されるノードに対応するオブジェクトとは類似度が高いことを示す。
【0020】
また,例えば,図1中のグラフ情報GR11において,ノードID「N7」により識別されるノードと,ノードID「N2」により識別されるノードとは遠隔にある,すなわち距離が長い。そのため,ノードID「N7」により識別されるノードに対応するオブジェクトと,ノードID「N2」により識別されるノードに対応するオブジェクトとは類似度が低いことを示す。」

第5 対比・判断

1 本願発明1について

(1)対比

本願発明1と,引用発明とを対比する。

ア 引用発明において,「地理的ロケーションに関連するデータを集約し,提示する方法及び装置に関し,」「プロファイルモジュールは,地域内のサイトまたはロケーションのジオタグデータに基づいて地域プロファイルを生成するために,特定の地域のジオタグデータのセットを収集し,組み合わせることができ,プロファイルモジュールは,類似する特徴,アトラクション,またはリソースを表すか含むロケーションを識別することができるものであり,例えばプロファイリングされる地域は,複数のレストラン,ホテル,朝食付き宿泊サイト,または旅行産業もしくはサービス業に関連する他のロケーションを含むことができ,例えばレストランであるものとしてロケーションを識別するジオタグデータのセットを識別し,さらに,レストランとして識別されたロケーションをメキシコ料理,イタリア料理,タイ料理,または他のカテゴリもしくはタイプなどの異なるタイプにソートしまたは編成することができ,地域内の使用可能な特徴,アトラクション,ロケーション及び他のリソースの特徴を表す地域プロファイルを生成するために,その地域内のロケーションの他の属性または特徴を識別し,編成し,ソートすることができ,地域プロファイリング及び関連活動に関して,無線ネットワーク内で動作する移動体デバイス102は,プロファイリングされる地域に接近し,それに向かってまたはその中で移動することができ,移動体デバイス102は,セル電話を含むことができ,移動体デバイス102は,デバイスロケーションデータ146のセットを生成し,セルラインタフェースなどの無線インタフェースを介してデバイスロケーションデータ146を基地局106に伝送しまたはアップロードすることができ,基地局106は,関連するリソースと一緒に,遠隔的にホスティングされるプロファイリングサーバ170と通信することができ,ユーザのロケーション履歴,レイティング履歴,トランザクション履歴,もしくはプロファイリングされる地域110に関連する他の挙動の分析によってプロファイルモジュール136によって生成し」,「最も類似するターゲット地域または比較結果に基づく地域をその地域類似性が探されている対象のプロファイリングされる地域110に最も類似する地域(1つまたは複数)として返すことができるプロファイリングサーバ」であるとされている。

ここで,引用発明の「複数のレストラン,ホテル,朝食付き宿泊サイト,または旅行産業もしくはサービス業に関連する他のロケーション」,および,「ユーザのロケーション履歴,レイティング履歴,トランザクション履歴,もしくはプロファイリングされる地域110に関連する他の挙動」は,それぞれ,本願発明1の「各地域」「に所在する施設に関するネットワーク上の施設情報」,および,「各地域」「に所在する利用者のネットワーク上の行動を示す利用者情報」に相当するといえる。

また,引用発明の「プロファイリングサーバ」は,「地理的ロケーションに関連するデータを集約し,提示する」「装置」であるといえる。

したがって,引用発明と,本願発明1とは,「各地域」「と関連するネットワーク上の情報であって,当該各地域」「に所在する施設に関するネットワーク上の施設情報および当該各地域」「に所在する利用者のネットワーク上の行動を示す利用者情報を地域」「ごとに取得する取得部」「を有する」「装置」である点で共通しているといえる。

しかし,本願発明1では,各地域を「緯度と経度に基づいてメッシュ状に区画」しているのに対し,引用発明の地域をどのように取り扱っているのか明らかでない点で相違している。

イ 引用発明は,「最も類似するターゲット地域または比較結果に基づく地域をその地域類似性が探されている対象のプロファイリングされる地域110に最も類似する地域(1つまたは複数)として返すことができるプロファイリングサーバ」であるとされている。

ここで,引用発明の「プロファイリングサーバ」は,「地理的ロケーションに関連するデータを集約し,提示する」「装置」であり,「最も類似するターゲット地域または比較結果に基づく地域をその地域類似性が探されている対象のプロファイリングされる地域110に最も類似する地域(1つまたは複数)として返すことができる」から,類似する地域を特定する装置であるといえる。

したがって,本願発明1と引用発明とは,「判定対象となる対象地域」「とネットワーク上の情報が類似する他の地域」「を特定する特定部とを有する」「特定装置」である点で共通しているといえる。

しかし,上記アで述べたように,本願発明1では,各地域を「緯度と経度に基づいてメッシュ状に区画」して取り扱っているのに対し,引用発明の地域をどのように取り扱っているのか明らかでない点で相違している。

また,本願発明1では,「各地域メッシュに所在する施設に関する前記施設情報の類似性に基づいて,各地域メッシュに所在する施設に関する前記施設情報それぞれを各地域メッシュの施設に関するコンテキストを示す一の多次元量それぞれに変換し,各地域メッシュに所在する利用者のネットワーク上の行動を示す前記利用者情報の類似性に基づいて,各地域メッシュに所在する各利用者の前記利用者情報それぞれを各地域メッシュに所在する各利用者のコンテキストを示す一の多次元量それぞれに変換し,各地域メッシュの施設に関するコンテキストを示す一の多次元量および各地域メッシュに所在する各利用者のコンテキストを示す一の多次元量それぞれの組の類似性に基づいて,変換した各地域メッシュの施設に関するコンテキストを示す一の多次元量および変換した各地域メッシュに所在する各利用者のコンテキストを示す一の多次元量それぞれの組を前記各地域メッシュのコンテキストを示す一の多次元量に変換する変換部」を有し,「前記一の多次元量の類似性に基づいて」判定対象となる対象地域」「とネットワーク上の情報が類似する他の地域」「を特定」しているのに対して,引用発明では,このような多次元量を算出していない点で相違している。

(2)一致点・相違点

本願発明1と,引用発明とは,以下アの点で一致し,以下イの点で相違する。

ア 一致点

「各地域と関連するネットワーク上の情報であって,当該各地域に所在する施設に関するネットワーク上の施設情報および当該各地域に所在する利用者のネットワーク上の行動を示す利用者情報を地域ごとに取得する取得部と,
判定対象となる対象地域とネットワーク上の情報が類似する他の地域を特定する特定部と
を有する特定装置。」

イ 相違点

(ア) 相違点1

本願発明1では,各地域を「緯度と経度に基づいてメッシュ状に区画」しているのに対し,引用発明の地域をどのように取り扱っているのか明らかでない点。

(イ) 相違点2

本願発明1では,「各地域メッシュに所在する施設に関する前記施設情報の類似性に基づいて,各地域メッシュに所在する施設に関する前記施設情報それぞれを各地域メッシュの施設に関するコンテキストを示す一の多次元量それぞれに変換し,各地域メッシュに所在する利用者のネットワーク上の行動を示す前記利用者情報の類似性に基づいて,各地域メッシュに所在する各利用者の前記利用者情報それぞれを各地域メッシュに所在する各利用者のコンテキストを示す一の多次元量それぞれに変換し,各地域メッシュの施設に関するコンテキストを示す一の多次元量および各地域メッシュに所在する各利用者のコンテキストを示す一の多次元量それぞれの組の類似性に基づいて,変換した各地域メッシュの施設に関するコンテキストを示す一の多次元量および変換した各地域メッシュに所在する各利用者のコンテキストを示す一の多次元量それぞれの組を前記各地域メッシュのコンテキストを示す一の多次元量に変換する変換部」を有し,「前記一の多次元量の類似性に基づいて」判定対象となる対象地域」「とネットワーク上の情報が類似する他の地域」「を特定」しているのに対して,引用発明では,このような多次元量を算出していない点。

(3)相違点についての判断

事案に鑑みて,まず,相違点2について検討する。

本願発明1の相違点2に係る構成の「各地域メッシュに所在する施設に関する前記施設情報の類似性に基づいて,各地域メッシュに所在する施設に関する前記施設情報それぞれを各地域メッシュの施設に関するコンテキストを示す一の多次元量それぞれに変換し,各地域メッシュに所在する利用者のネットワーク上の行動を示す前記利用者情報の類似性に基づいて,各地域メッシュに所在する各利用者の前記利用者情報それぞれを各地域メッシュに所在する各利用者のコンテキストを示す一の多次元量それぞれに変換し,各地域メッシュの施設に関するコンテキストを示す一の多次元量および各地域メッシュに所在する各利用者のコンテキストを示す一の多次元量それぞれの組の類似性に基づいて,変換した各地域メッシュの施設に関するコンテキストを示す一の多次元量および変換した各地域メッシュに所在する各利用者のコンテキストを示す一の多次元量それぞれの組を前記各地域メッシュのコンテキストを示す一の多次元量に変換する変換部」を有し,「前記一の多次元量の類似性に基づいて」判定対象となる対象地域」「とネットワーク上の情報が類似する他の地域」「を特定」するという構成について,引用文献1ないし4には,記載も示唆も無く,当該構成が周知であったとも認められない。

したがって,引用発明および引用文献2ないし引用文献4に基づいて,当業者は本願発明1の相違点2に係る構成を容易に想到することができない。

エ 小括

したがって,上記相違点1について判断するまでもなく,本願発明1は,引用発明および引用文献2ないし引用文献4に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2ないし本願発明18について

本願発明2ないし本願発明18は,いずれも,本願発明1を引用したものであって,本願発明1と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,引用発明および引用文献2ないし引用文献4に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

3 本願発明19について

本願発明19は,本願発明1の発明のカテゴリを,単に,装置の発明から,方法の発明へと変更したものであって,本願発明1の相違点2と同様の下記構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,引用発明および引用文献2ないし引用文献4に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

「各地域メッシュに所在する施設に関する前記施設情報の類似性に基づいて,各地域メッシュに所在する施設に関する前記施設情報それぞれを各地域メッシュの施設に関するコンテキストを示す一の多次元量それぞれに変換し,各地域メッシュに所在する利用者のネットワーク上の行動を示す前記利用者情報の類似性に基づいて,各地域メッシュに所在する各利用者の前記利用者情報それぞれを各地域メッシュに所在する各利用者のコンテキストを示す一の多次元量それぞれに変換し,各地域メッシュの施設に関するコンテキストを示す一の多次元量および各地域メッシュに所在する各利用者のコンテキストを示す一の多次元量それぞれの組の類似性に基づいて,変換した各地域メッシュの施設に関するコンテキストを示す一の多次元量および変換した各地域メッシュに所在する各利用者のコンテキストを示す一の多次元量それぞれの組を前記各地域メッシュのコンテキストを示す一の多次元量に変換する変換工程」

4 本願発明20について

本願発明20は,本願発明1の発明のカテゴリを,単に,装置の発明から,プログラムの発明へと変更したものであって,本願発明1の相違点2と同様の下記構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,引用発明および引用文献2ないし引用文献4に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

「各地域メッシュに所在する施設に関する前記施設情報の類似性に基づいて,各地域メッシュに所在する施設に関する前記施設情報それぞれを各地域メッシュの施設に関するコンテキストを示す一の多次元量それぞれに変換し,各地域メッシュに所在する利用者のネットワーク上の行動を示す前記利用者情報の類似性に基づいて,各地域メッシュに所在する各利用者の前記利用者情報それぞれを各地域メッシュに所在する各利用者のコンテキストを示す一の多次元量それぞれに変換し,各地域メッシュの施設に関するコンテキストを示す一の多次元量および各地域メッシュに所在する各利用者のコンテキストを示す一の多次元量それぞれの組の類似性に基づいて,変換した各地域メッシュの施設に関するコンテキストを示す一の多次元量および変換した各地域メッシュに所在する各利用者のコンテキストを示す一の多次元量それぞれの組を前記各地域メッシュのコンテキストを示す一の多次元量に変換する変換手順」

第6 原査定についての判断

令和4年8月9日提出の手続補正書による補正の結果,本願発明1~20はそれぞれ,相違点1および2に係る発明特定事項,ないしは,それと類似する発明特定事項を有するものとなっており,上記第5のとおり,引用発明および引用文献2ないし引用文献4に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

したがって,原査定を維持することはできない。

第7 当審拒絶理由について

1 当審拒絶理由の概要

当審が令和4年6月9日付けで通知した当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

(1)明確性

この出願は,特許請求の範囲の請求項1-20の記載が下記の点で,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

明細書の段落【0018】には,「具体的には,ログサーバ200は,各地域に所在する利用者のネットワーク上の行動を示すログデータを取得する。例えば,・・・(中略)・・・。また,ログサーバ200は,利用者による投稿の履歴である投稿履歴を口コミの投稿サービスを提供する投稿サーバやSNS(Social Networking Service)サーバから取得する。」と記載され,「利用者のネットワーク上の行動を示すログデータ」には,「投稿履歴」が含まれる。該「投稿履歴」に関し,段落【0019】には「また,ログサーバ200は,各地域に所在する施設に関するネットワーク上の情報を取得する。例えば,ログサーバ200は,各地域に所在する施設を訪問した利用者に関するネットワーク上の情報を取得する。例えば,ログサーバ200は,取得した投稿履歴に基づいて,各地域に所在する施設を訪問した利用者により投稿された情報であって,施設に関する情報を取得する。・・・(後略)」と記載されていることからみて,「各地域に所在する施設に関するネットワーク上の情報」は「投稿履歴」に基づいて取得する。

そうすると,「各地域に所在する施設に関するネットワーク上の情報」は「利用者のネットワーク上の行動を示すログデータ」(投稿履歴)の一種と解される一方,段落【0018】の上記摘記箇所以外によれば,「利用者のネットワーク上の行動を示すログデータ」として「投稿履歴」とは異なる「位置履歴」及び「検索履歴」などが例示されている。

該「各地域に所在する施設に関するネットワーク上の情報」及び該「利用者のネットワーク上の行動を示すログデータ」は,それぞれ,請求項1記載の「前記施設情報」及び「前記利用者情報」に対応すると認められるから,請求項1記載の「変換部」が変換する「前記施設情報および前記利用者情報」は,同じ情報であるのか,異なる情報であるのか,それらの場合を含むのか,特定できない。

したがって,請求項1に記載された「変換部」が変換する「前記施設情報および前記利用者情報」が不明りょうである。

請求項1を引用する請求項2-18についても同じことが指摘される。

発明のカテゴリーが異なる請求項19-20についても同様の記載があり,同じことが指摘される。

よって,請求項1-20に係る発明は明確でない。

(2)サポート要件

この出願は,特許請求の範囲の請求項1-20の記載が下記の点で,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

本願明細書の段落【0005】に記載の「例えば,上述した技術では,利用者の移動経路が類似する施設を識別しているに過ぎず,例えば,所在する利用者のニーズや傾向が類似する地域を識別しているとは言えない。」との発明が解決しようとする課題によれば,本願発明は,施設に関する情報に加えて,利用者のニーズや傾向を識別することで,段落【0008】記載の「地域間の類似性の判定精度を向上させることができるといった効果を奏する」と認められる。

一方,変換する対象の情報に関し,請求項1には「前記施設情報および前記利用者情報」と記載されているところ,上述したように該「前記施設情報および前記利用者情報」の関係が規定されていないから,請求項1に係る発明には「前記施設情報および前記利用者情報」がともに「施設に関する情報」であるものを包含し,この場合,「所在する利用者のニーズや傾向が類似する地域を識別しているとは言え」ず,「地域間の類似性の判定精度を向上させることができるといった効果を奏」さない。

したがって,請求項1には,発明の詳細な説明に記載された,発明の課題を解決するための手段が反映されておらず,請求項1に係る発明は,発明の詳細な説明に記載した範囲を超えることとなる。

請求項1を引用する請求項2-18についても同じことが指摘される。

発明のカテゴリーが異なる請求項19-20についても同様の記載があり,同じことが指摘される。

よって,請求項1-20に係る発明は,発明の詳細な説明に記載したものでない。

2 検討

(1)明確性

これに対し,令和4年8月9日に提出された手続補正書による補正により,特許請求の範囲の請求項1の 「前記施設情報および前記利用者情報を前記各地域メッシュのコンテキストを示す一の多次元量に変換する変換部と」という記載は,「各地域メッシュに所在する施設に関する前記施設情報の類似性に基づいて、各地域メッシュに所在する施設に関する前記施設情報それぞれを各地域メッシュの施設に関するコンテキストを示す一の多次元量それぞれに変換し、各地域メッシュに所在する利用者のネットワーク上の行動を示す前記利用者情報の類似性に基づいて、各地域メッシュに所在する各利用者の前記利用者情報それぞれを各地域メッシュに所在する各利用者のコンテキストを示す一の多次元量それぞれに変換し、各地域メッシュの施設に関するコンテキストを示す一の多次元量および各地域メッシュに所在する各利用者のコンテキストを示す一の多次元量それぞれの組の類似性に基づいて、変換した各地域メッシュの施設に関するコンテキストを示す一の多次元量および変換した各地域メッシュに所在する各利用者のコンテキストを示す一の多次元量それぞれの組を前記各地域メッシュのコンテキストを示す一の多次元量に変換する変換部と」となり,請求項1に係る発明は,明りょうとなった。

また,請求項1を引用する請求項2-18についても,同様に,明りょうとなった。

さらに,発明のカテゴリーのみが異なる請求項19-20についても,同様の補正があり,同様に,明りょうとなった。

したがって,当審拒絶理由の理由1は解消した。

(2)サポート要件

これに対し,令和4年8月9日に提出された手続補正書による補正により,上記(1)のように補正されて,発明の課題を解決するための手段が反映され,請求項1に係る発明は,発明の詳細な説明に記載した範囲内となった。

また,請求項1を引用する請求項2-18についても,同様に,発明の詳細な説明に記載した範囲内となった。

さらに,発明のカテゴリーのみが異なる請求項19-20についても,同様の補正があり,同様に,発明の詳細な説明に記載した範囲内となった。

したがって,当審拒絶理由の理由2は解消した。

第8 むすび

以上のとおり,原査定の理由によって,本願を拒絶することはできない。

また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。

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2021-015755

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