商標拒絶査定不服審判
2021-014876
イセジ
- 審判番号
- 2021-014876
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-109281
- 請求日
- 2021年11月02日
- 審決日
- 2022年11月09日
- 公報発行日
- 2023年01月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】大洋株式会社
- 【請求人代理人】丸山 修
- 審判長/審判官
- 審判長 豊田 純一
- 審判官 小田 昌子
- 審判官 渡邉 潤
- 分類
- T18 .13 -Z (W29)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-109281拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「伊勢路」の文字を標準文字で表してなり、第29類「加工野菜及び加工果実,野菜の漬物」を指定商品として、令和2年9月3日に登録出願されたものである。
本願は、令和3年3月22日付けで拒絶理由の通知がされ、同年5月2日に意見書が提出されたが、同年8月3日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年11月2日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、「伊勢路」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「伊勢地方。」の意味を有する語であり、食品を取り扱う業界において、商品の生産、販売場所を表示する語として使用されている事実がある。そうすると、本願商標をその指定商品に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、その商品が「伊勢地方で生産又は販売される商品」であること、すなわち、商品の産地、販売地、品質を表示したものとして認識するにとどまるというのが相当であり、また、本願商標を、その指定商品中、「伊勢地方で生産又は販売される商品」以外の商品に使用したときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。したがって、本願商標は、商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標及び商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標というべきであるから、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における審尋
当審において、令和4年6月17日付け審尋により、請求人(出願人)(以下「請求人」という。)に対し、別掲1ないし別掲5のとおりの事実を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。
第4 審尋に対する請求人の回答(要旨)
請求人は、上記第3の審尋に対し、令和4年7月30日受付の意見書(以下「意見書」という。)を提出し、意見書において、要旨、以下、1ないし3のとおりの意見を述べた。
1 本願商標「伊勢路」と同じ商標の登録例が存在する。
2 「伊勢路」の語は、「伊勢地方」のほか、「伊勢に行く路」の意味があり、「伊勢に行く路」は、伊勢地方に限らない。また、「伊勢路」の語を「伊勢に行く路の周辺地域」と解したとしても、いわゆる伊勢地方にとどまらない広範囲の地域を意味し、本願商標が、取引者、需要者に指定商品を産出する三重県の伊勢地方を直観させ、本願の指定商品の産地を表示したものとして認識させることはないと解するのが自然である。
3 本願商標「伊勢路」に識別力がないとする根拠として挙げる別掲1ないし別掲5の例は、いずれも適切な例ではなく、別掲1ないし別掲4が挙げる例は、いずれも「伊勢路」の例でない。
第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性
本願商標は、上記第1のとおり、「伊勢路」の文字を標準文字で表してなるところ、これは、「伊勢に行く路。また、伊勢地方。」(「広辞苑 第七版」発行者:株式会社岩波書店)を意味する語である。
そして、「伊勢路」のように、「○○路」(「○○」は地域名を表す文字)と表記される「箱根路」、「木曽路」、「近江路」及び「大和路」といった地域は、別掲1のとおり、観光地として知られている実情があることに加え、別掲2のとおり、これらの地域において生産された野菜や果実を使用した「加工野菜及び加工果実」が製造、販売されている事実がある。
さらに、「箱根路」、「木曽路」、「近江路」及び「大和路」と同様に、「伊勢路」と称される地方が、別掲3のとおり、観光地として知られている実情があることが認められ、また、別掲4及び別掲5のとおり、「伊勢路」と称される伊勢地方において生産された野菜や果実を使用した「加工野菜及び加工果実」が製造、販売されている事実があることが認められる。
そうすると、本願商標を、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、当該商品が、「伊勢に行く路の周辺地域や伊勢地方において製造、販売されるもの」であると理解するにとどまるから、本願商標は、単に、商品の産地及び販売地を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、「本願商標「伊勢路」と同じ商標の登録例が存在する。」旨主張する。
しかしながら、請求人の挙げる登録例は、本願商標とは、指定商品が異なるものであって、かつ、具体的事案の判断においては、過去の登録例等に拘束されることなく、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と取引の実情に応じて個別的に判断されるべきであるから、請求人の挙げる登録例の存在によって、上記1の認定、判断が左右されるものではない。
(2)請求人は、「「伊勢路」の語は、「伊勢地方」のほか、「伊勢に行く路」の意味があり、「伊勢に行く路」は、伊勢地方に限らない。また、「伊勢路」の語を「伊勢に行く路の周辺地域」と解したとしても、いわゆる伊勢地方にとどまらない広範囲の地域を意味し、本願商標が、取引者、需要者に指定商品を産出する三重県の伊勢地方を直観させ、本願の指定商品の産地を表示したものとして認識させることはないと解するのが自然である。」旨主張する。
しかしながら、上記1のとおり、本願商標「伊勢路」の文字は、「伊勢に行く路。また、伊勢地方。」の意味を有する語であり、「○○路」(「○○」は地域名を表す文字)と表記される「箱根路」等の地域は、別掲1のとおり、観光地として知られている実情があることに加え、後掲2のとおり、これらの地域において生産された野菜や果実を使用した「加工野菜及び加工果実」が製造、販売されている事実があり、また、「箱根路」等と同様に、「伊勢路」と称される地方が、別掲3のとおり、観光地として知られている実情があることが認められ、さらに、別掲4及び別掲5のとおり、「伊勢路」と称される伊勢地方において生産された野菜や果実を使用した「加工野菜及び加工果実」が製造、販売されている事実があることが認められる。
そうすると、本願商標「伊勢路」を、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、当該商品が、「伊勢に行く路の周辺地域や伊勢地方において製造、販売されるもの」であると理解するにとどまり、本願商標は、単に、商品の産地及び販売地を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと判断するのが相当であり、たとえ、「伊勢路」の文字が、三重県の伊勢地方に限定して理解されなくとも、上記1の認定、判断に影響を及ぼすものではなく、また、別掲1ないし別掲5で提示した証拠に基づけば、本願商標「伊勢路」の文字から「伊勢物語」を想起することは考えにくいものである。
(3)請求人は、「本願商標「伊勢路」に識別力がないとする根拠として挙げる別掲1ないし別掲5の例は、いずれも適切な例ではなく、別掲1ないし別掲4が挙げる例は、いずれも「伊勢路」の例でない。」旨主張する。
しかしながら、「商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである」(東京高裁平成12年(行ケ)第76号,同年9月4日判決参照)と判示されていることからすると、仮に、請求人以外に「伊勢路」の文字を使用している事実がないとしても、別掲1ないし別掲5で提示した証拠に基づけば、上記1のとおり、本願商標を、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、当該商品が、「伊勢に行く路の周辺地域や伊勢地方において製造、販売されるもの」であると理解するにとどまるから、本願商標は、単に、商品の産地及び販売地を普通に用いられる方法で表示するにすぎないと判断するのが相当である。
(4)以上のとおり、請求人の上記主張は、いずれも採用することができず、その他、請求人の主張は、採用するべき事情はない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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