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特許拒絶査定不服審判

2021-014809

無線通信デバイスの製造方法および無線通信デバイス製造装置

審判番号
2021-014809
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-087861
請求日
2021年11月01日
審決日
2022年06月29日
公報発行日
2022年09月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社村田製作所
  • 【請求人代理人】山尾 憲人
  • 【請求人代理人】岡部 博史
審判長/審判官
  • 審判長 田中 秀人
  • 審判官 山澤 宏
  • 審判官 山崎 慎一
分類
P18 .121-Z (G06K) / P18 .575-Z (G06K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020- 87861「無線通信デバイスの製造方法および無線通信デバイス製造装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年10月 8日出願公開、特開2020-166871〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2019年8月26日を国際出願日(優先権主張 平成30年(2018年)10月15日(以下、「優先日」という。) 日本国)とする特願2020-505280号の一部を令和2年5月20日に新たな特許出願としたものであって、令和3年4月5日付けで拒絶理由が通知され、これに対して令和3年6月7日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、令和3年7月27日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされた。これに対して、令和3年11月1日に審判請求がなされると同時に手続補正がなされ、令和3年12月15日に前置報告がなされ、令和4年1月27日に上申書が提出されたものである。 第2 令和3年11月1日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和3年11月1日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。) 「【請求項1】 第1および第2の結合部を含むアンテナパターンを備える材料シートを実装位置に向かって搬送し、 前記実装位置に到達する前の前記材料シートに接着部材を設け、 実装装置が、RFICチップと前記RFICチップに接続された第1および第2の端子電極とを含むRFICモジュールを、ピックアップ位置でピックアップし、 前記実装装置が、ピックアップしたRFICモジュールを、前記第1の結合部と前記第1の端子電極とが対向するとともに前記第2の結合部と前記第2の端子電極とが対向するように、前記実装位置で前記材料シート上の前記接着部材に実装し、 ニップローラ対が、前記RFICモジュールが前記接着部材に実装されている前記材料シートを挟持して前記RFICモジュールを前記接着部材に接着し、 前記RFICチップが、前記RFICモジュール内に内蔵され、 前記アンテナパターンを備える前記材料シートを巻回する供給リールから前記材料シートを引き出して実装位置に向かって搬送し、 前記接着部材が、絶縁性の粘着層であって、前記供給リールに巻回された状態の前記材料シートに設けられている、無線通信デバイスの製造方法。 【請求項2】 前記材料シート、前記接着部材、および前記RFICモジュールの積層方向視で、前記第1の結合部のサイズが前記第1の端子電極のサイズに比べて大きいとともに前記第2の結合部のサイズが前記第2の端子電極のサイズに比べて大きく、 前記積層方向視で、前記第1の端子電極が前記第1の結合部の中央に位置するとともに前記第2の端子電極が前記第2の結合部の中央に位置することが可能に、前記第1の結合部と第2の結合部との間のピッチ間隔および前記第1の端子電極と第2の端子電極との間のピッチ間隔が規定されている、請求項1に記載の無線通信デバイスの製造方法。 【請求項3】 前記積層方向視で、前記第1および第2の端子電極を最小面積で内含する第1の領域が前記接着部材に比べて小さく且つ前記接着部材の輪郭線内に位置するとともに、前記接着部材が前記第1および第2の結合部を最小面積で内含する第2の領域に比べて小さく且つ前記第2の領域内に位置する、請求項2に記載の無線通信デバイスの製造方法。 【請求項4】 前記実装装置が、前記RFICモジュールをそれぞれ吸着保持する複数のノズルを備える実装ヘッドを有し、 前記ピックアップ位置で前記実装ヘッドの複数ノズルそれぞれが前記RFICモジュールをピックアップしている間、前記材料シートを前記実装位置に向かって搬送し、 前記実装ヘッドの複数のノズルが前記RFICモジュールを前記材料シートの前記接着部材に実装している間、前記実装位置に位置する材料シートの部分を固定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の無線通信デバイスの製造方法。 【請求項5】 前記実装位置で前記RFICモジュールが実装された材料シートを、回収リールによって巻き取る、請求項1から4のいずれか一項に記載の無線通信デバイスの製造方法。 【請求項6】 前記回収リールの巻回軸の半径がRであって前記RFICモジュールの厚さがHである場合、前記RFICモジュールから巻回方向にはみ出る前記接着部材のはみ出し量Bが、数式1を満足する、請求項5に記載の無線通信デバイスの製造方法。 【数1】 [図:0001388176000001.jpg] 【請求項7】 前記RFICモジュールは、前記RFICチップと前記第1および第2の端子電極との間に設け られた整合回路を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の無線通信デバイスの製 造方法。 【請求項8】 第1および第2の結合部を含むアンテナパターンを備える材料シートを実装位置に向か って搬送する搬送装置と、 前記材料シートに接着部材を塗布する塗布装置と、 前記接着部材が塗布された前記材料シートを巻回する供給リールと、 前記供給リールから前記材料シートを引き出して実装位置に向かって搬送する搬送ユニットと、 RFICチップと前記RFICチップに接続された第1および第2の端子電極とを含むRFICモジ ュールをピックアップ位置でピックアップし、ピックアップしたRFICモジュールを、前記 第1の結合部と前記第1の端子電極とが対向するとともに前記第2の結合部と前記第2の 端子電極とが対向するように、前記実装位置で前記材料シート上の前記接着部材に実装す る実装装置と、 前記RFICモジュールが前記接着部材に実装されている前記材料シートを挟持して前記RF ICモジュールを前記接着部材に接着するニップローラ対を有し、 前記RFICチップが、前記RFICモジュール内に内蔵され、 前記前記接着部材が、絶縁性の粘着層である、無線通信デバイス製造装置。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、令和3年6月7日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 第1および第2の結合部を含むアンテナパターンを備える材料シートを実装位置に向かって搬送し、 前記実装位置に到達する前の前記材料シートに接着部材を設け、 実装装置が、RFICチップと前記RFICチップに接続された第1および第2の端子電極とを含むRFICモジュールを、ピックアップ位置でピックアップし、 前記実装装置が、ピックアップしたRFICモジュールを、前記第1の結合部と前記第1の端子電極とが対向するとともに前記第2の結合部と前記第2の端子電極とが対向するように、前記実装位置で前記材料シート上の前記接着部材に実装し、 ニップローラ対が、前記RFICモジュールが前記接着部材に実装されている前記材料シートを挟持して前記RFICモジュールを前記接着部材に接着し、 前記RFICチップが、前記RFICモジュール内に内蔵されている、無線通信デバイスの製造方法。 【請求項2】 前記アンテナパターンを備える前記材料シートを巻回する供給リールから前記材料シートを引き出して実装位置に向かって搬送し、 前記接着部材が、絶縁性の粘着層であって、前記供給リールに巻回された状態の前記材料シートに設けられている、請求項1に記載の無線通信デバイスの製造方法。 【請求項3】 前記材料シート、前記接着部材、および前記RFICモジュールの積層方向視で、前記第1の結合部のサイズが前記第1の端子電極のサイズに比べて大きいとともに前記第2の結合部のサイズが前記第2の端子電極のサイズに比べて大きく、 前記積層方向視で、前記第1の端子電極が前記第1の結合部の中央に位置するとともに前記第2の端子電極が前記第2の結合部の中央に位置することが可能に、前記第1の結合部と第2の結合部との間のピッチ間隔および前記第1の端子電極と第2の端子電極との間のピッチ間隔が規定されている、請求項1または2に記載の無線通信デバイスの製造方法 。 【請求項4】 前記積層方向視で、前記第1および第2の端子電極を最小面積で内含する第1の領域が前記接着部材に比べて小さく且つ前記接着部材の輪郭線内に位置するとともに、前記接着部材が前記第1および第2の結合部を最小面積で内含する第2の領域に比べて小さく且つ前記第2の領域内に位置する、請求項3に記載の無線通信デバイスの製造方法。 【請求項5】 前記実装装置が、前記RFICモジュールをそれぞれ吸着保持する複数のノズルを備える実装ヘッドを有し、 前記ピックアップ位置で前記実装ヘッドの複数ノズルそれぞれが前記RFICモジュールをピックアップしている間、前記材料シートを前記実装位置に向かって搬送し、 前記実装ヘッドの複数のノズルが前記RFICモジュールを前記材料シートの前記接着部材に実装している間、前記実装位置に位置する材料シートの部分を固定する、請求項1から4のいずれか一項に記載の無線通信デバイスの製造方法。 【請求項6】 前記実装位置で前記RFICモジュールが実装された材料シートを、回収リールによって巻き取る、請求項1から5のいずれか一項に記載の無線通信デバイスの製造方法。 【請求項7】 前記回収リールの巻回軸の半径がRであって前記RFICモジュールの厚さがHである場合、前記RFICモジュールから巻回方向にはみ出る前記接着部材のはみ出し量Bが、数式1を満足する、請求項6に記載の無線通信デバイスの製造方法。 【数1】 [図:0001388176000002.jpg] 【請求項8】 前記RFICモジュールは、前記RFICチップと前記第1および第2の端子電極との間に設け られた整合回路を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の無線通信デバイスの製 造方法。 【請求項9】 第1および第2の結合部を含むアンテナパターンを備える材料シートを実装位置に向か って搬送する搬送装置と、 前記実装位置に到達する前の前記材料シートに接着部材を塗布する塗布装置と、 RFICチップと前記RFICチップに接続された第1および第2の端子電極とを含むRFICモジ ュールをピックアップ位置でピックアップし、ピックアップしたRFICモジュールを、前記 第1の結合部と前記第1の端子電極とが対向するとともに前記第2の結合部と前記第2の 端子電極とが対向するように、前記実装位置で前記材料シート上の前記接着部材に実装す る実装装置と、 前記RFICモジュールが前記接着部材に実装されている前記材料シートを挟持して前記RF ICモジュールを前記接着部材に接着するニップローラ対を有し、 前記RFICチップが、前記RFICモジュール内に内蔵されている、無線通信デバイス製造装置。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「アンテナパターンを備える材料シートを実装位置に向かって搬送し」について、「前記アンテナパターンを備える前記材料シートを巻回する供給リールから前記材料シートを引き出して実装位置に向かって搬送し」と限定し、さらに、補正前の請求項1の「前記材料シートに接着部材を設け」について、「前記接着部材が、絶縁性の粘着層であって、前記供給リールに巻回された状態の前記材料シートに設けられ」と限定を付加したものである。 また、本件補正前の請求項2を削除するものである。 さらに、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「アンテナパターンを備える材料シートを実装位置に向かって搬送し」について、「前記アンテナパターンを備える前記材料シートを巻回する供給リールから前記材料シートを引き出して実装位置に向かって搬送し」と限定し、さらに、補正前の請求項1の「前記材料シートに接着部材を設け」について、「前記接着部材が、絶縁性の粘着層であって、前記供給リールに巻回された状態の前記材料シートに設けられ」と限定を付加したものである。 そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。したがって、請求項1についての本件補正は特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か(特許出願の際独立して特許を受けることができるものか否か)を検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に本件補正後の請求項1として記載したとおりのものである。 (2)引用文献、引用発明 ア 引用文献1 (ア)本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、原査定の理由において引用された、特開2005-309960号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は、当審において付加した。以下、同じ。) A 「【発明を実施するための最良の形態】 【0020】 以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。 【0021】 図1乃至図4は、本発明によるICタグの製造方法およびその製造装置の実施の形態を示す図である。 【0022】 まず図3(a)(b)によりICタグについて説明する。ここで、ICタグとは外部のリーダ・ライタとの間で非接触でデータの授受を行なう非接触ICタグのみならず、アンテナ回路中に接続用として用いられるインターポーザーも含んでいる。図3(a)に示すようにICタグ10は非導電体シート(基材シートともいう)21と、非導電体シート21上に設けられた一対の導電体22と、一対の導電体22上に接着剤18を介して接着固定されたICチップ20とを備えている。 【0023】 このうちICチップ20はICチップ本体20aと、ICチップ本体20aの下面に設けられた平坦状電極20bとを有し、この平坦状電極20bが接着剤18を介して一対の導電体22に接続されている。 【0024】 一方、図3(b)に示すように、ICチップ20がICチップ本体20aと、ICチップ本体20aに設けられ先端が尖った電極20cとを有していてもよい。 【0025】 図3(b)に示すようにICチップ20の電極20cは先端が尖っているため、ICチップ20を後述する熱圧着機26により加圧した場合、電極20cが接着剤18を介して導電体22に突き刺さる。このことにより、電極20cを導電体22に堅固に固定することができる。」 B 「【0035】 次にICタグの製造方法について図4により説明する。 【0036】 まずUV発泡剥離シート11a上に多数のICチップ20からなるダイシング済ウェハ12を接着して固定することにより剥離シート付ウェハ11を作製して準備する。次にこの剥離シート付ウェハ11を透明ガラスからなるウェハ保持部13上に載置して固定する。 【0037】 他方、PETまたは紙等の材料からなる非導電体シート(基材シート)21と、この非導電体シート21上に配置された金属箔や導電インキからなり、帯状に延びる一対の導電体22とを有する導電体形成済シート21aが準備される。この導電体形成済シート21aの一対の導電体22は所定の間隙をおいて配置され、この一対の導電体22間をまたがってICチップ20が配置されるようになっている。 【0038】 このような構成からなる導電体形成済シート21aは、予めシート供給部35に設置され、このシート供給部35から導電体形成済シート21aが剥離シート付ウエハ11を保持するウェハ保持部13側へ供給される。 【0039】 次にシート供給部35から供給された導電体形成済シート21aの一対の導電体22のうちICチップ20の電極20bが接続される部分に対して、ディスペンサ25から接着剤18が塗布される。 【0040】 次に導電体形成済シート21aがウェハ保持部13に保持された剥離シート付ウエハ11の近傍に達する。このとき剥離シート付ウエハ11のウエハ12はその回路面が下方、すなわちUV発泡剥離シート11a側を向いている。このように回路面が下方を向くウェハ12を有する剥離シート付ウェハ11は、ダイシングシート(図示せず)上に回路面を上方に向けた状態でウェハ12を載置しておき、このウェハ12をダイシングシート上でダイシングした後、ウェハ12を回路面がUV発泡剥離シート11a側に向くようUV発泡剥離シート11aに持ちかえることにより構成される。 【0041】 その後、シート供給部35から供給された導電体形成済シート21aが停止する。次に剥離シート付ウエハ11を保持するウェハ保持部13の下方からUV光照射部14のUVランプ19によりUV光16が照射される。この場合、UVランプ19と剥離シート付ウエハ11との間に、1個のICチップ20に対応する形状の開口15aを有するマスク15が配置され、UVランプ19からのUV光16はこのマスク15の開口15aを通って剥離シート付ウエハ11のUV発泡剥離シート11aのうち1個のICチップ20に対応する裏側の部分に達する。 【0042】 なお、UVランプ19からのUV光16をICチップ20に対応する大きさにUV光を集光する集光レンズ(図示せず)を介して剥離シート付ウエハ11のUV発泡剥離シート11aのうち1個のICチップ20に対応する部分に照射してもよい。 【0043】 剥離シート付ウエハ11にUV光16が達すると、UV発泡剥離シート11aのうちUV光16が照射する部分の接着力が低下する。このとき、UV発泡剥離シート11a上に接着されていたダイシング済ウエハ12のうち、UV発泡剥離シート11aの接着力が低下した部分に対応する1個のICチップ20がUV発泡剥離シート11aから剥離して浮き上がる。次にUV発泡剥離シート11aから浮き上がったICチップ20は、インデックステーブル30の降下する吸着ピックアップノズル31により吸着される。 【0044】 その後、吸着ピックアップノズル31が上昇し、インデックステーブル30が回転することにより、吸着ピックアップノズル31に吸着されていたICチップ20が導電体形成済シート21a側へ移載される。次に吸着ピックアップノズル31が降下してICチップ20が導電体形成済シート21aの導電体22上に載置され、さらにICチップ20は導電体22上に接着剤18を介して接続される。 【0045】 この間、XY移動ロボット29によりウェハ保持部13がX方向およびY方向に移動して、吸着ピックアップノズル31により吸着されたICチップ20に隣接するICチップ20がマスク15の開口15aの直上にくる。 【0046】 その後、熱圧着機26によりICチップ20を導電体形成済シート21a側へ加圧し、このようにしてICチップ20の平坦状電極20bを導電体形成済シート21aの導電体22に接着剤18を介して確実に接着固定することができる。 【0047】 次に導電体形成済シート21aが各々のICチップ20毎に断載される。このようにして、非導電体シート(基材シート)21と、非導電体シート21上の導電体22と、導電体22上に接着剤18を介して接着固定されたICチップ20とからなるICタグ10が得られる。この場合、ICタグ10はアンテナ回路の接続用に用いられるインターポーザーであってもよい。 【0048】 なお、導電体形成済シート21aのICチップ20が配置される部分に予め塗布されている接着剤18は非導電接着剤、若しくは、導電性接着剤、若しくは、異方性導電接着剤である。実装したICチップ20と導電体形成済シート21aの間を熱圧着、若しくは、圧着することによって、ICチップ20を導電体形成済シート21aに電気的に接合固着することができる。 【0049】 導電体形成済シート21aのICチップ20が配置される部分に予め塗布されている接着剤18は導電接着剤、若しくは、異方性導電接着剤、若しくは、非導電性接着剤である。ICチップ20が先端が尖った電極20cを有し、実装したICチップ20と導電体形成済シート21aの間を熱圧着、若しくは、圧着することによって、ICチップ20を導電体形成済シート21aに電気的に接合固着することができる。 【0050】 導電体形成済シート21aのICチップ20が配置される部分に予め塗布されている接着剤18は非導電性接着剤である。実装したICチップ20に超音波振動を与えることによってICチップ20を導電体形成済シート21aに電気的に接合固着することができる。」 C 「【図1】 [図:0001388176000003.jpg] 」 D 「【図3】 [図:0001388176000004.jpg] 」 E 「【図4】 [図:0001388176000005.jpg] 」 F 上記Aの段落【0022】には、「ICタグとは外部のリーダ・ライタとの間で非接触でデータの授受を行なう非接触ICタグ」であることが記載され、上記B及び図4(上記E)には、“ICタグの製造方法”が記載されている。 してみると、引用文献1には、“外部のリーダ・ライタとの間で非接触でデータの授受を行なう非接触ICタグであるICタグの製造方法”が記載されているといえる。 G 上記Bの段落【0036】には、“UV発泡剥離シート11a上に多数のICチップ20からなるダイシング済ウェハ12を接着して固定することにより剥離シート付ウェハ11を作製して準備し、次にこの剥離シート付ウェハ11を透明ガラスからなるウェハ保持部13上に載置して固定”することが記載されている。 H 上記Bの段落【0037】には、“PETまたは紙等の材料からなる非導電体シート(基材シート)21と、この非導電体シート21上に配置された金属箔や導電インキからなり、帯状に延びる一対の導電体22とを有する導電体形成済シート21aを準備”することが記載されている。 I 上記Bの段落【0038】には、“導電体形成済シート21aを、予めシート供給部35に設置し、このシート供給部35から導電体形成済シート21aを剥離シート付ウェハ11を保持するウェハ保持部13側へ供給”することが記載されている。 J 上記Bの段落【0039】には、“次にシート供給部35から供給された導電体形成済シート21aの一対の導電体22のうちICチップ20の電極20bが接続される部分に対して、ディスペンサ25から接着剤18を塗布”することが記載され、また、上記Aの段落【0023】及び【0024】には、“ICチップ20の平坦状電極20bは、先端が尖った電極20cとしてもよい”ことが記載されている。 してみると、引用文献1には、“次にシート供給部35から供給された導電体形成済シート21aの一対の導電体22のうちICチップ20の電極20cが接続される部分に対して、ディスペンサ25から接着剤18を塗布”することが記載されているといえる。 K 上記Bの段落【0040】には、「次に導電体形成済シート21aがウェハ保持部13に保持された剥離シート付ウエハ11の近傍に達する」ことが記載され、さらに、段落【0041】には、「その後、シート供給部35から供給された導電体形成済シート21aが停止する」ことが記載されている。 してみると、引用文献1には“次に導電体形成済シート21aがウェハ保持部13に保持された剥離シート付ウェハ11の近傍に達すると、シート供給部35から供給される導電体形成済シート21aを停止”することが記載されている。 L 上記Bの段落【0041】には、「次に剥離シート付ウエハ11を保持するウェハ保持部13の下方からUV光照射部14のUVランプ19によりUV光16が照射される」ことが記載され、さらに、段落【0043】には、「剥離シート付ウエハ11にUV光16が達すると、UV発泡剥離シート11aのうちUV光16が照射する部分の接着力が低下する。このとき、UV発泡剥離シート11a上に接着されていたダイシング済ウエハ12のうち、UV発泡剥離シート11aの接着力が低下した部分に対応する1個のICチップ20がUV発泡剥離シート11aから剥離して浮き上がる。次にUV発泡剥離シート11aから浮き上がったICチップ20は、インデックステーブル30の降下する吸着ピックアップノズル31により吸着される」ことが記載されている。 してみると、引用文献1には“次に剥離シート付ウェハ11を保持するウェハ保持部13の下方からUV光照射部14のUVランプ19によりUV光16を照射し、UV発泡剥離シート11aのうちUV光16が照射する部分の接着力を低下させ、UV発泡剥離シート11aの接着力が低下した部分に対応する1個のICチップ20がUV発泡剥離シート11aから剥離して浮き上がらせ、次にUV発泡剥離シート11aから浮き上がったICチップ20を、インデックステーブル30の降下する吸着ピックアップノズル31により吸着”することが記載されているといえる。 M 上記Bの段落【0044】には、“その後、吸着ピックアップノズル31を上昇させ、インデックステーブル30が回転することにより、吸着ピックアップノズル31に吸着されていたICチップ20を導電体形成済シート21a側へ移載させ、次に吸着ピックアップノズル31を降下させICチップ20を導電体形成済シート21aの導電体22上に載置し、ICチップ20を導電体22上に接着剤18を介して接続”することが記載されている。 N 上記Bの段落【0046】には、「その後、熱圧着機26によりICチップ20を導電体形成済シート21a側へ加圧」することが記載されている。 O 上記Bの段落【0047】には、“次に導電体形成済シート21aを各々のICチップ20毎に断載し、このようにして、非導電体シート21と、非導電体シート21上の導電体22と、導電体22上に接着剤18を介して接着固定されたICチップ20とからなるICタグ10を得る”ことが記載されている。 P 上記Aの段落【0024】には、「ICチップ20がICチップ本体20aと、ICチップ本体20aに設けられ先端が尖った電極20cとを有」することが記載され、さらに、段落【0025】には「ICチップ20の電極20cは先端が尖っているため、ICチップ20を後述する熱圧着機26により加圧した場合、電極20cが接着剤18を介して導電体22に突き刺さる。このことにより、電極20cを導電体22に堅固に固定することができる」ことが記載され、また、導電体22は導電体形成済シート21aに形成されるものであるから、引用文献1には、“ICチップ20の電極20cは先端が尖っているため、ICチップ20を熱圧着機26により加圧した場合、電極20cが接着剤18を介して導電体22に突き刺さることにより、ICチップ20の電極20cを導電体形成済シート21aに形成された導電体22に堅固に固定すること”が記載されているといえる。 また、上記Bの段落【0049】には、「導電体形成済シート21aのICチップ20が配置される部分に予め塗布されている接着剤18は・・・、非導電性接着剤である。ICチップ20が先端が尖った電極20cを有し、実装したICチップ20と導電体形成済シート21aの間を熱圧着、若しくは、圧着することによって、ICチップ20を導電体形成済シート21aに電気的に接合固着することができる」ことが記載されている。 してみると、引用文献1には、“予め塗布されている接着剤18は非導電性接着剤であって、ICチップ20はICチップ本体20aに先端が尖った電極20cを有し、実装したICチップ20と導電体形成済シート21aの間を熱圧着、若しくは、圧着することによって、ICチップ20を導電体形成済シート21aの導電体22に電気的に接合固着することができる”ことが記載されているといえる。 (イ) 上記AないしPの記載内容(特に、下線部を参照)からすると、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「外部のリーダ・ライタとの間で非接触でデータの授受を行なう非接触ICタグであるICタグの製造方法であって、 UV発泡剥離シート11a上に多数のICチップ20からなるダイシング済ウェハ12を接着して固定することにより剥離シート付ウェハ11を作製して準備し、次にこの剥離シート付ウェハ11を透明ガラスからなるウェハ保持部13上に載置して固定し、 PETまたは紙等の材料からなる非導電体シート(基材シート)21と、この非導電体シート21上に配置された金属箔や導電インキからなり、帯状に延びる一対の導電体22とを有する導電体形成済シート21aを準備し、 導電体形成済シート21aを、予めシート供給部35に設置し、このシート供給部35から導電体形成済シート21aを剥離シート付ウェハ11を保持するウェハ保持部13側へ供給し、 次にシート供給部35から供給された導電体形成済シート21aの一対の導電体22のうちICチップ20の電極20cが接続される部分に対して、ディスペンサ25から接着剤18を塗布し、 次に導電体形成済シート21aがウェハ保持部13に保持された剥離シート付ウェハ11の近傍に達すると、シート供給部35から供給される導電体形成済シート21aを停止し、 次に剥離シート付ウェハ11を保持するウェハ保持部13の下方からUV光照射部14のUVランプ19によりUV光16を照射し、UV発泡剥離シート11aのうちUV光16が照射する部分の接着力を低下させ、UV発泡剥離シート11aの接着力が低下した部分に対応する1個のICチップ20がUV発泡剥離シート11aから剥離して浮き上がらせ、次にUV発泡剥離シート11aから浮き上がったICチップ20を、インデックステーブル30の降下する吸着ピックアップノズル31により吸着し、 その後、吸着ピックアップノズル31を上昇させ、インデックステーブル30が回転することにより、吸着ピックアップノズル31に吸着されていたICチップ20を導電体形成済シート21a側へ移載させ、次に吸着ピックアップノズル31を降下させICチップ20を導電体形成済シート21aの導電体22上に載置し、ICチップ20を導電体22上に接着剤18を介して接続し、 その後、熱圧着機26によりICチップ20を導電体形成済シート21a側へ加圧し、 次に導電体形成済シート21aを各々のICチップ20毎に断載し、このようにして、非導電体シート21と、非導電体シート21上の導電体22と、導電体22上に接着剤18を介して接着固定されたICチップ20とからなるICタグ10を得るものであって、 予め塗布されている接着剤18は非導電性接着剤であって、ICチップ20はICチップ本体20aに先端が尖った電極20cを有し、実装したICチップ20と導電体形成済シート21aの間を熱圧着、若しくは、圧着することによって、ICチップ20を導電体形成済シート21aの導電体22に電気的に接合固着することができる、 ICタグの製造方法。」 イ 引用文献2 本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、拒絶査定において引用された、国際公開第2018/012391号(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 A 「[0048] <加圧部> 加圧部16は、例えば、押さえロール16であって、仮接着されたシール材付きRFIC素子2に圧力を加えて、シール材付きRFIC素子2をアンテナパターン15a、15bに本接着する。 ここで、「本接着」とは、上記「仮接着」に対応するものであって、シール材付きRFIC素子2を2つのアンテナパターン15a、15bの間に固定された状態である。例えば、仮接着の場合には移動する程度の外力を加えても、シール材付きRFIC素子2が2つのアンテナパターン15a、15bの間から移動しない状態と定義できる。 これによって、図5Aに示すように、RFIC素子5の第1端子電極をアンテナパターン15aに接続し、第2端子電極5bをアンテナパターン15bに接続して、RFIDタグ10を構成することができる。 なお、加圧部16は、押さえロールに限られず、一軸型のプレス部であってもよい。」 B 「【図1】 [図:0001388176000006.jpg] 」 ウ 引用文献3 本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、特開2013-242698(以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 A 「【0033】 [RFIDタグの製造方法] 図5は、実施の形態1によるRFIDタグの製造方法を示すフローチャートである。以下、主として図1、図5を参照して、RFIDタグの製造方法について説明する。 【0034】 図5のフローチャートにおいて、ステップS1,S2は、図2で説明したRFICモジュール付き供給テープ2の製造工程を示す。すなわち、接着テープ5は、その接着面が支持テープ4の開口部6から露出するように支持テープ4に貼り付けられる(ステップS1)。続いて、RFICモジュール3の天面28が、支持テープ4の開口部6から露出した接着面にそれぞれ貼り付けられる(ステップS2)。 【0035】 ステップS3,S4は、図1で説明した連続シート10S(基材シート10の連続体)に対する前工程を示す。すなわち、各基材シート10上に放射板(金属パターン)11A,11Bが形成されるとともに(ステップS3)、RFICモジュール3の貼付箇所およびその周辺の連続シート10S上に接着層29が形成される(ステップS4)。 【0036】 上記の金属パターンの形成方法(ステップS3)は特に限定されない。たとえば、金属粉末を含むペーストを塗布することによって金属パターンを形成してもよいし、金属箔を貼り付けることによって金属パターンを形成してもよいし、蒸着またはメッキなどの方法によって金属パターンを形成してもよい。 【0037】 上記のステップS1,S2とステップS3,S4とは、いずれを先に実行してもよいし、並行して進めてもよい。接着剤を塗布するための機構を図1のRFICモジュール3の実装装置1(区間ZN1の前)に設け、この塗布機構を用いてステップS4を実行してもよい。さらには、ステップS4に代えて、RFICモジュール3の実装面26に予め接着剤を塗布するようにしてもよい。 【0038】 上記の前工程(ステップS1~S4)によって作製されたRFICモジュール付きの供給テープ2と、接着層29および放射板11A,11B付きの連続シート10Sとは、それぞれリールに巻かれた状態で提供される。」 B 「【図5】 [図:0001388176000007.jpg] 」 (3)引用発明との対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「ICタグ」は、「外部のリーダ・ライタとの間で非接触でデータの授受を行なう非接触ICタグ」であるから、アンテナを備えることは明らかである。 そして、引用発明の「ICタグ」は、「非導電体シート21と、非導電体シート21上の導電体22と、導電体22上に接着剤18を介して接着固定されたICチップ20とからなる」ものであり、「ICタグ」に備えられる上記アンテナは、「導電体22」か「ICチップ20」に設けられることになるが、通常、「ICチップ20」にはアンテナは設けられないことから、引用発明の「導電体22」に、アンテナのためのアンテナパターンが備えられているものと認められる。 また、引用発明の「ICチップ20」は、「非導電体シート21」上の「一対の導電体22」に「接着固定され」るものであるから、引用発明の「導電体22」には「ICチップ20」を結合するための結合部をそれぞれ有していることは明らかであって、これらの結合部をそれぞれ「第1の結合部」、「第2の結合部」と称することは任意である。 したがって、引用発明の「一対の導電体22」は、本件補正発明の「第1および第2の結合部を含むアンテナパターン」に含まれるものである。 そして、引用発明の「導電体形成済シート21a」は、「非導電体シート21上に配置された金属箔や導電インキからなり、帯状に延びる一対の導電体22とを有する」ものであるから、本件補正発明の「第1および第2の結合部を含むアンテナパターンを備える材料シート」に相当する。 さらに、引用発明は、「導電体形成済シート21a」が「ウェハ保持部13に保持された剥離シート付ウェハ11の近傍に達すると」「停止し」、そこで、「ICチップ20を、インデックステーブル30の降下する吸着ピックアップノズル31により吸着し」、「その後、吸着ピックアップノズル31を上昇させ、インデックステーブル30が回転することにより、吸着ピックアップノズル31に吸着されていたICチップ20を導電体形成済シート21a側へ移載させ、次に吸着ピックアップノズル31を降下させICチップ20を導電体形成済シート21aの導電体22上に載置」するものであるから、「ウェハ保持部13に保持された剥離シート付ウェハ11の近傍」の位置は、「ICチップ20」を実装する位置といえる。 してみると、引用発明の「次に導電体形成済シート21aがウェハ保持部13に保持された剥離シート付ウェハ11の近傍に達すると、シート供給部35から供給される導電体形成済シート21aを停止」することは、本件補正発明の「第1および第2の結合部を含むアンテナパターンを備える材料シートを実装位置に向かって搬送」することに相当する。 さらに、通常、シートの供給は巻回したリールから引き出し行われることから、引用発明の「シート供給部35」は、「導電体形成済シート21a」を巻回したリールと認められる。 してみると、引用発明の「次に導電体形成済シート21aがウェハ保持部13に保持された剥離シート付ウェハ11の近傍に達すると、シート供給部35から供給される導電体形成済シート21aを停止」することは、本件補正発明の「前記アンテナパターンを備える前記材料シートを巻回する供給リールから前記材料シートを引き出して実装位置に向かって搬送」することに相当する。 イ 引用発明の「接着剤18」は、本件補正発明の「接着部材」に相当する。 そして、引用発明は、「導電体形成済シート21aを、予めシート供給部35に設置し、このシート供給部35から導電体形成済シート21aを剥離シート付ウェハ11を保持するウェハ保持部13側へ供給し」、「次にシート供給部35から供給された導電体形成済シート21aの一対の導電体22のうちICチップ20の電極20cが接続される部分に対して、ディスペンサ25から接着剤18を塗布し」、「次に導電体形成済シート21aがウェハ保持部13に保持された剥離シート付ウェハ11の近傍に達すると、シート供給部35から供給される導電体形成済シート21aを停止」するものであるから、引用発明は、「ウェハ保持部13に保持された剥離シート付ウェハ11の近傍」に到達する前の「導電体形成済シート21a」に「接着剤18」を設けているといえる。 したがって、引用発明の「次にシート供給部35から供給された導電体形成済シート21aの一対の導電体22のうちICチップ20の電極20bが接続される部分に対して、ディスペンサ25から接着剤18を塗布し」は、本件補正発明の「前記実装位置に到達する前の前記材料シートに接着部材を設け」に相当する。 さらに、引用発明の「接着剤18」は、「非導電性接着剤」であって、また、一般に、接着剤は粘着層であるから、引用発明の「次にシート供給部35から供給された導電体形成済シート21aの一対の導電体22のうちICチップ20の電極20bが接続される部分に対して、ディスペンサ25から接着剤18を塗布し」と、本件補正発明の「前記接着部材が、絶縁性の粘着層であって、前記供給リールに巻回された状態の前記材料シートに設けられている」とは、後記の点で相違するものの、“前記接着部材が、絶縁性の粘着層であって、前記材料シートに設けられている”の点では共通する。 ウ 引用発明の「ICチップ20」からなる「ICタグ」は、「外部のリーダ・ライタとの間で非接触でデータの授受を行なう非接触ICタグ」であるから、引用発明の「ICチップ20」は、本件補正発明の「RFICチップ」に相当する。 また、引用発明の「ICチップ20」が有する「電極20c」は、「導電体22」に結合するものであって、「導電体22」は「一対」からなるものであるから、引用発明の「電極20c」も「導電体22」に対応して一対の端子電極から構成されていることは明らかであって、これらの端子電極をそれぞれ「第1の端子電極」、「第2の端子電極」と称することは任意である。 してみると、引用発明の「電極20c」と、本件補正発明の「前記RFICチップに接続された第1および第2の端子電極」とは、後記の点で相違するものの、“前記RFICチップに関する第1および第2の端子電極”の点では共通し、そして、引用発明の「ICチップ20」及び「電極20c」と、本件補正発明の「RFICチップと前記RFICチップに接続された第1および第2の端子電極とを含むRFICモジュール」とは、後記の点で相違するものの、“RFICチップと前記RFICチップに関する第1および第2の端子電極とを含むRFIC部材”の点では共通する。 そして、引用発明は、「吸着ピックアップノズル31」が、「UV発泡剥離シート11aから浮き上がったICチップ20を、インデックステーブル30の降下」によって「吸着」し、「その後、吸着ピックアップノズル31を上昇させ、インデックステーブル30が回転することにより、吸着ピックアップノズル31に吸着されていたICチップ20を導電体形成済シート21a側へ移載させ、次に吸着ピックアップノズル31を降下させICチップ20を導電体形成済シート21aの導電体22上に載置し、ICチップ20を導電体22上に接着剤18を介して接続」するものである。ここで、「ICチップ20を導電体形成済シート21aの導電体22上に載置」する際には、当然、「導電体形成済シート21a」の「一対」の「導電体22」と、これに対応する「ICチップ20」の「電極20c」は対向するものと認められる。 してみると、引用発明の「吸着ピックアップノズル31」は、本件補正発明の「実装装置」に相当し、引用発明において、「インデックステーブル30」を「降下」させて、「吸着ピックアップノズル31」が「UV発泡剥離シート11aから浮き上がったICチップ20」を「吸着」する位置は、本件補正発明の「ピックアップ位置」に相当する。 そして、引用発明の「次に剥離シート付ウェハ11を保持するウェハ保持部13の下方からUV光照射部14のUVランプ19によりUV光16を照射し、UV発泡剥離シート11aのうちUV光16が照射する部分の接着力が低下し、UV発泡剥離シート11aの接着力が低下した部分に対応する1個のICチップ20がUV発泡剥離シート11aから剥離して浮き上がり、次にUV発泡剥離シート11aから浮き上がったICチップ20を、インデックステーブル30の降下する吸着ピックアップノズル31により吸着し」と、本件補正発明の「実装装置が、RFICチップと前記RFICチップに接続された第1および第2の端子電極とを含むRFICモジュールを、ピックアップ位置でピックアップし」とは、後記の点で相違するものの、“実装装置が、RFICチップと前記RFICチップに関する第1および第2の端子電極とを含むRFIC部材を、ピックアップ位置でピックアップし”の点では共通する。 さらに、上記アの点も踏まえると、引用発明の「その後、吸着ピックアップノズル31を上昇させ、インデックステーブル30が回転することにより、吸着ピックアップノズル31に吸着されていたICチップ20を導電体形成済シート21a側へ移載させ、次に吸着ピックアップノズル31を降下させICチップ20を導電体形成済シート21aの導電体22上に載置し」と、本件補正発明の「前記実装装置が、ピックアップしたRFICモジュールを、前記第1の結合部と前記第1の端子電極とが対向するとともに前記第2の結合部と前記第2の端子電極とが対向するように、前記実装位置で前記材料シート上の前記接着部材に実装し」とは、後記の点で相違するものの、“前記実装装置が、ピックアップしたRFIC部材を、前記第1の結合部と前記第1の端子電極とが対向するとともに前記第2の結合部と前記第2の端子電極とが対向するように、前記実装位置で前記材料シート上の前記接着部材に実装し”の点では共通する。 エ 引用発明は、「その後、熱圧着機26によりICチップ20を導電体形成済シート21a側へ加圧し」、また、「実装したICチップ20と導電体形成済シート21aの間を熱圧着、若しくは、圧着することによって、ICチップ20を導電体形成済シート21aの導電体22に電気的に接合固着することができる」ものであって、「熱圧着機26」は、ICチップ20が接着剤18に実装されている導電体形成済シート21aを挟持してICチップ20を接着剤18に接着する圧着手段といえる ここで、本件補正発明の「ニップローラ対」も、「前記RFICモジュール」と「前記接着部材に実装されている前記材料シートを挟持して」、「前記RFICモジュールを前記接着部材に接着」するものであるから、圧着手段といえる。 してみると、引用発明の「その後、熱圧着機26によりICチップ20を導電体形成済シート21a側へ加圧し」と、本件補正発明の「ニップローラ対が、前記RFICモジュールが前記接着部材に実装されている前記材料シートを挟持して前記RFICモジュールを前記接着部材に接着し」とは、後記の点で相違するものの、“圧着手段が、前記RFIC部材が前記接着部材に実装されている前記材料シートを挟持して前記RFIC部材を前記接着部材に接着し”の点では共通する。 オ 引用発明の「ICタグ」は、「外部のリーダ・ライタとの間で非接触でデータの授受を行なう非接触ICタグであ」り、無線通信デバイスと認められることから、引用発明の「ICタグの製造方法」は、本件補正発明の「無線通信デバイスの製造方法」に相当する。 したがって、本件補正発明と引用発明とを対比すると、両者は、以下の点で一致し、また、相違している。 <一致点> 「第1および第2の結合部を含むアンテナパターンを備える材料シートを実装位置に向かって搬送し、 前記実装位置に到達する前の前記材料シートに接着部材を設け、 実装装置が、RFICチップと前記RFICチップに関する第1および第2の端子電極とを含むRFIC部材を、ピックアップ位置でピックアップし、 前記実装装置が、ピックアップしたRFIC部材を、前記第1の結合部と前記第1の端子電極とが対向するとともに前記第2の結合部と前記第2の端子電極とが対向するように、前記実装位置で前記材料シート上の前記接着部材に実装し、 圧着手段が、前記RFIC部材が前記接着部材に実装されている前記材料シートを挟持して前記RFIC部材を前記接着部材に接着し、 前記アンテナパターンを備える前記材料シートを巻回する供給リールから前記材料シートを引き出して実装位置に向かって搬送し、 前記接着部材が、絶縁性の粘着層であって、前記材料シートに設けられている、無線通信デバイスの製造方法。」 <相違点1> 「RFICチップに関する第1および第2の端子電極」が、本件補正発明では、「前記RFICチップに接続された第1および第2の端子電極」であるのに対して、引用発明では、「ICチップ20」自体が「電極20c」を有している点。 <相違点2> 「RFIC部材」が、本件補正発明では、「RFICチップと前記RFICチップに接続された第1および第2の端子電極とを含むRFICモジュール」を有し、「前記RFICチップが、前記RFICモジュール内に内蔵され」ているのに対して、引用発明では、そのようなモジュールを有しておらず「RFICチップ」自体である点。 <相違点3> 「圧着手段」が、本件補正発明では、「ニップローラ対」であるのに対して、引用発明では、「熱圧着機26」である点。 <相違点4> 「接着部材」が、本件補正発明では、「前記供給リールに巻回された状態の前記材料シートに設けられている」のに対して、引用発明では、「シート供給部35から供給された導電体形成済シート21a」に対して設けられる点。 (4)判断 上記各相違点について検討する。 <相違点1>及び<相違点2>について RFIC分野において、RFICチップをRFICモジュール内に内蔵させ、また、RFICチップの電極をRFICモジュールの外部の端子電極と接続するために、RFICチップに接続された電極を設けることは、常套手段である。 したがって、引用発明のRFICチップに該常套手段を適用して、上記相違点1及び相違点2の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 <相違点3>について 上記第2の2(2)イの引用文献2にも記載されるように、シート、接着剤、RFIC素子からなる部分に圧力を加え接着を行う手段として、ローラで挟持すること(いわゆる「ニップローラ」で挟持すること)は原査定で示したとおり、周知の技術である。 したがって、引用発明における「ICチップ20」と「導電体形成済シート21a」との圧着手段として、「熱圧着機26」に代えて該周知のニップローラを用いて、本件補正発明の上記相違点3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 <相違点4>について RFIDタグの製造方法において、上記第2の2(2)ウの引用文献3に、接着層29を放射板11A,11B付きの連続シート10Sに塗布した後にリールに巻き、リールに巻かれた状態で接着層29および放射板11A,11B付きの連続シート10Sを提供することが記載されているように、アンテナ形成部分に接着剤が塗布されたシートの提供の具体的な態様として、リールに巻いた状態で提供することは、本願優先日前、普通に行われていたことにすぎない。 したがって、引用発明の「ICタグの製造方法」における、「接着剤18が塗布された「導電体形成済シート21a」の提供に関して、「導電体形成済シート21a」に「接着剤18」を塗布した後にリールに巻き、本件補正発明の上記相違点4の構成とすることは、当業者が設計時に適宜なし得た事項に過ぎない。 なお、審判請求人は、令和4年1月27日に提出の上申書において、上記相違点4について、本件補正発明においては、非導電性接着剤を介する容量結合である旨を主張している。 しかしながら、本件補正発明では、「接着部材が、絶縁性の粘着層」であることのみが特定されているに過ぎず、端子電極とアンテナパターンとの電気的接続関係が容量結合であることは記載されておらず、上記主張は、特許請求の範囲の記載に基づかない主張であるから、該主張を採用することはできない。 したがって、本件補正発明は、引用発明、周知の技術、及び引用文献3に記載の技術に基づいて当業者が容易になし得たものである。 よって、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 (5)結語 以上検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和3年11月1日付けの手続補正(本件補正)は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし9に係る発明は、令和3年6月7日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は上記第2の1(2)に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由の概要 (理由1)この出願の請求項1-9に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 1.特開2005-309960号公報 2.国際公開第2018/012391号 3 引用文献、引用発明 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明、原査定で引用された引用文献2の記載事項は、上記第2の2(2)でそれぞれ引用文献1及び引用文献2として記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、上記第2の2で検討した本件補正発明の発明特定事項である「アンテナパターンを備える材料シートを実装位置に向かって搬送し」、及び「前記材料シートに接着部材を設け」についての限定を省いたものである。 そうすると、本願発明と引用発明は、上記相違点1ないし相違点3で相違するが、相違点1ないし相違点3は、上記第2の2(4)で相違点について説示したとおりである。 したがって、本願発明は、引用発明、周知の技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は引用文献1に記載された発明、周知の技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-014809

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