2021-014796
発光装置
- 審判番号
- 2021-014796
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-224959外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年11月01日
- 審決日
- 2022年11月18日
- 公報発行日
- 2023年02月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】日亜化学工業株式会社
- 分類
- P18 .121-Z (H01S)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
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本願は、2016年(平成28年)11月18日(国内優先権主張 2015年(平成27年)11月18日、以下「優先日」という。)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
補正の却下の決定、拒絶査定
第2 令和 3年11月 1日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和 3年11月 1日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1および6の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「【請求項1】主面から上方に突出し、銅または銅合金からなる載置部を有する基体と、前記載置部を囲むように前記基体の前記主面に接合され、鉄を含む合金からなる環状の端子保持部材と、前記端子保持部材の上面に接合され、前記基体及び前記端子保持部材と共に封止空間を構成するキャップと、前記載置部の側面に設けられた半導体レーザ素子と、前記端子保持部材を貫通したリード端子と、を備え、前記基体は、前記主面を有する土台部と、前記載置部とを有し、前記土台部と前記載置部とが一体となって形成される、発光装置。」
「【請求項6】主面から上方に突出し、銅または銅合金からなる載置部を有する基体と、前記載置部を囲むように前記基体の前記主面に接合され、鉄を含む合金からなる環状の端子保持部材と、前記端子保持部材の上面に接合され、前記基体及び前記端子保持部材と共に封止空間を構成するキャップと、前記載置部の上面に設けられた半導体レーザ素子と、前記端子保持部材を貫通したリード端子と、を備え、前記基体は、前記主面を有する土台部と、前記載置部とを有し、前記土台部と前記載置部とが一体となって形成される、発光装置。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和 2年 9月 30日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1および6の記載は次のとおりである。
「【請求項1】主面から上方に突出し、銅または銅合金からなる載置部を有する基体と、前記載置部を囲むように前記基体の前記主面に接合され、鉄を含む合金からなる環状の端子保持部材と、前記端子保持部材の上面に接合され、前記基体及び前記端子保持部材と共に封止空間を構成するキャップと、前記載置部の側面に設けられた半導体レーザ素子と、前記端子保持部材を貫通したリード端子と、を備える発光装置。」
「【請求項6】主面から上方に突出し、銅または銅合金からなる載置部を有する基体と、前記載置部を囲むように前記基体の前記主面に接合され、鉄を含む合金からなる環状の端子保持部材と、前記端子保持部材の上面に接合され、前記基体及び前記端子保持部材と共に封止空間を構成するキャップと、前記載置部の上面に設けられた半導体レーザ素子と、前記端子保持部材を貫通したリード端子と、を備える発光装置。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1および6に記載された発明を特定するために必要な事項である「基体」について、上記のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1およびに記載された発明と補正後の請求項1および6に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1、6に記載される発明(以下「本件補正発明1」、「本件補正発明6」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明1,6
本件補正発明1,6は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項
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ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2007-27716号公報(平成19年2月1日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は当審で付した。以下同じ。)
「【0001】本発明はレーザダイオード素子のためのパッケージならびにこの種のパッケージを備えたレーザダイオード素子に関する。加えて、本発明はレーザダイオード素子を製作する方法に関する。」
「【0007】担体と、該担体上に配置された少なくとも1つの保持装置とを備えた、レーザダイオード素子のためのパッケージが提示される。パッケージは表面実装のために構成されている。保持装置は少なくとも1つの貫通部を有しており、貫通部内には電気的な接続導体が保持されている。」
「【0012 】担体は有利な構成では表側にレーザダイオードチップまたはレーザダイオードバーのための実装領域を有している。その際有利には、レーザダイオードチップまたはレーザダイオードバーが直接的に実装領域に実装されるようになっている。ただし、レーザダイオードチップまたはレーザダイオードバーを間接的に、例えば相応の付加的なホルダを介して実装領域に実装することも可能である。」
「【0037】有利な実施形態では、レーザダイオード素子の保持装置上にカバーボディが設置されている。カバーボディは有利には少なくとも1つのビーム透過性の窓を有している。有利には、カバーボディが光学的なエレメントとして形成されている。択一的には、光学的なエレメントがカバーボディ上に配置されている。パッケージの簡単な構造により、カバーボディと、場合によってはカバーボディに結合された光学的なエレメントとが特に精緻にレーザダイオードに対して相対的に調整される。」
「【0058】図1に示したレーザダイオード素子1はレーザモジュールである。レーザダイオード素子1は担体21と保持装置22とを備えたパッケージ2を有している。【0059】保持エレメントとも呼ばれる保持装置22はパッケージ2のためのフレームとして形成されている。保持装置22は、互いに対向して位置する2つの側面に、その都度1つの貫通部5を有している。貫通部5は開口、例えば貫通孔の形で形成されている。貫通部5は保持装置の外側から内側にかけて延在している。フレーム状に形成された保持装置は担体21の表側(表面)の中央の領域を、キャビティが形成されているように包囲する。このキャビティ内には例えばルミネセンスダイオードチップ(Luminezenzdiodenchip)3が配置されている。【0060】貫通部5内にはその都度電気的な接続導体4が差し込まれている。接続導体4は充填材51により貫通部内に固定されている。充填材は例えばガラスを有しているか、またはガラスから成っている。例えば二酸化ケイ素をベースとするガラスは電気的に絶縁性である。その結果、電気的な接続導体4は保持装置22に対して電気的に絶縁されている。それにより、保持装置22は、必然的に短絡の危険が接続導体4間に生じることなく、電気的に伝導性の材料を有しているか、またはそのような材料から成っていることができる。【0061】例えば保持装置22は金属材料、例えばコバルト、ニッケルおよび鉄を有する合金から成っている。特に適しているのは、17%のコバルト、29%のニッケルおよび54%の鉄から成る組成を有する合金である。この合金は低い熱膨張係数を有しており、特にガラス-金属-結合のために適している。択一的には、ニッケルおよび鉄を有する合金が使用されることができる。この合金は例えば42%のニッケルおよび58%の鉄から成る組成を有している。」
「【0068】担体21の例示的な構造は特に良好に、図2に示した断面図から見て取れる。図2に示した例では、担体が実質的に4つの担体プレートまたは担体層211,212,213,214を有している。担体は例えばDCB基板(Direct Copper Bonding-Substrat)を有している。ただし、多層の構造の代わりに、担体は例えば唯一の層または唯一のプレートを有していてもよい。唯一の層またはプレートは例えば窒化アルミニウムのようなセラミック材料から成っているか、または金属材料から成っている。窒化アルミニウムはその低い調達コストおよびその高い熱伝導性に基づいて有利である。択一的に、担体は例えばケイ素または炭化ケイ素を有していてもよい。【0069】図2に示した担体は例えば窒化アルミニウムのようなセラミック材料から成る第3の担体層213を有している。第3の担体層213の表側および裏側は第2の担体層212および第4の担体層214を有している。第2、第4の担体層は例えば銅のような金属材料を有しているか、またはそのような材料から成っている。【0070】第3の担体層213の表側に配置されている第2の担体層212上には、例えば第1の担体層211が配置されている。第1の担体層211はサブマウントとして役立つ。第1の担体層211は例えば窒化アルミニウムのような電気的に絶縁性の材料から成っており、その表側に金属層を有している。金属層は例えば金および/またはスズを有している。金属層は例えばレーザダイオードチップ3のための実装面の形の実装領域を形成する。・・・(略)・・・【0072】別の択一例として、担体が唯一の金属プレートを有していることも可能である。金属材料として、先に保持装置22との関連で提示したのと同じものが考えられる。」
「【0078】その種のカバーボディを備えたレーザダイオード素子1を図3~図5に示す。これらのレーザダイオード素子1はレンズ61を備えたカバープレート6を有している。カバープレート6とレンズ61とは例えば同じ材料から成っていることができ、例えば二酸化ケイ素をベースとするか、または二酸化ケイ素から成るガラスから成っていることができる。カバープレート6およびレンズ61は加えて互いに一体的に形成されていることができる。択一的には、両者が別個の部分として構成されており、レンズ61がカバープレート6上に載置されていることが可能である。」
図1,2、4および6は、次のとおりである。
「[図:0001393652000001.jpg][図:0001393652000002.jpg][図:0001393652000003.jpg][図:0001393652000004.jpg]」
図2から、第1の担体層211や第2の担体層212が第3の担体層213の保持装置22と接する面から表側に突出した形状を有することが見て取れる。さらに、図4から、カバープレート6が保持蔵置22の上に設けられることが見て取れる。
(イ)上記(ア)から、引用文献1には、次の技術的事項(以下「引用文献1に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
a 引用文献1に記載された技術は、担体と該担体上に配置された少なくとも1つの保持装置とを備えたパッケージを用いた半導体レーザ素子に関するものであり(【0001】、【0058】)、パッケージは表面実装のために構成され、保持装置は少なくとも1つの貫通部を有しており、貫通部内には電気的な接続導体が保持されている。(【0007】、図1、2、4、6)
b 保持装置はパッケージのためのフレームとして形成され、互いに対向して位置する2つの側面に、その都度1つの貫通部を有し、貫通部は開口、例えば貫通孔の形で形成され、貫通部は保持装置の外側から内側にかけて延在し、フレーム状に形成された保持装置は担体の表側(表面)の中央の領域を、キャビティが形成されているように包囲している。(【0059】、図1、2、6)
接続導体は充填材により保持装置の貫通部内に固定され、充填材は例えばガラスを有しているか、またはガラスから成っている。(【0060】)
保持装置は金属材料、例えばコバルト、ニッケルおよび鉄を有する合金、特に適しているのは、17%のコバルト、29%のニッケルおよび54%の鉄から成る組成を有する合金であり、この合金は低い熱膨張係数を有しており、特にガラス-金属-結合のために適している。(【0061】)。
c 担体は第1~第4の担体層からなる多層の構造を有するか、多層の構造の代わりに、例えば唯一の層または唯一のプレートを有していてもよく、唯一の層またはプレートは例えば窒化アルミニウムのようなセラミック材料から成っているか、または金属材料から成っている。(【0068】、図2)
多層の構造において、第2、第4の担体層は例えば銅のような金属材料を有しており、(【0069】)
第3の担体層の表側で突出している第2の担体層上には、第1の担体層が配置され、第1の担体層はサブマウントとして役立ち、第1の担体層は例えば窒化アルミニウムのような電気的に絶縁性の材料から成っており、その表側に金属層を有し、金属層は例えば金および/またはスズを有し、金属層は例えばレーザダイオードチップのための実装面の形の実装領域を形成する。(【0012】、【0070】、図2)
(ウ)上記(ア)、(イ)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「レーザダイオード素子は担体と保持装置とを備えたパッケージを有し、(【0001】、【0007】、図1、2、4,6)保持装置はパッケージのためのフレームとして形成され、保持装置は少なくとも1つの貫通部を有しており、貫通部内には電気的な接続導体が保持され、フレーム状に形成された保持装置は担体の表側(表面)の中央の領域を、キャビティが形成されているように包囲し、(【0059】、図1,2)貫通部内には電気的な接続導体が差し込まれ、接続導体は充填材により貫通部内に固定され、充填材は例えばガラスを有しているか、またはガラスから成っており、(【0060】)保持装置は金属材料、例えばコバルト、ニッケルおよび鉄を有する合金、特に適しているのは、17%のコバルト、29%のニッケルおよび54%の鉄から成る組成を有する合金であり、(【0061】)。担体は唯一の層またはプレートであって金属材料から成っており(【0068】、図2)、表側で 保持装置と接する面から表側に突出した形状を有し、当該突出した形状にレーザダイオードチップの実装領域を有し、(【0007】、【0070】)担体の実装領域に実装されたレーザダイオードチップを有し、(【0073】)保持装置上にカバープレートが設置される、(【0037】、【0078】、図4)レーザダイオード素子。(【0001】、【0058】)」
イ 引用文献2
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、米国特許出願公開第2015/0055667号(平成27年2月26日出願公開。以下「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
「[0001] This disclosure relates to laser components and methods of producing laser components.」
(日本語訳:[0001]本開示は、レーザコンポーネントおよびレーザコンポーネントの製造方法に関する。)
「[0138] FIG. 2 shows a perspective and slightly schematic illustration of a carrier block 300. The carrier block 300 has the shape of an elongated cuboid having a longitudinal side 330 oriented parallel to a longitudinal direction 331 of the carrier block 300. A base side 340 of the carrier block 300 is arranged perpendicular to the longitudinal side 330 of the carrier block 300, the base side likewise being oriented parallel to the longitudinal direction 331. The carrier block 300 can have dimensions of 1 mm×1 mm×10 mm, for example. In this case, the carrier block 300 can preferably have the longest length in the longitudinal direction 331. The carrier block 300 comprises a material having a high thermal conductivity. The thermal conductivity of the carrier block 300 may, for example, be higher than 300 W/mK. By way of example, the carrier block 300 can comprise copper. It is also possible for the carrier block 300 to have a different shape than a cuboidal shape.」
(日本語訳:[0138] 図2は、キャリアブロック300の透視図およびわずかに概略的な説明図を示す。キャリアブロック300は、キャリアブロック300の長手方向331に平行に配向した長手方向330を有する細長い直方体の形状を有する。キャリアブロック300の基部側340は、キャリアブロック300の長手方向330に対して垂直に配置されており、基部側も同様に長手方向331に平行に配向している。キャリアブロック300は、例えば、1mm×1mm×10mmの寸法を有することができる。この場合、キャリアブロック300は、好ましくは長手方向331に最も長い長さを有することができる。キャリアブロック300は、高い熱伝導性を有する材料を含む。キャリアブロック300の熱伝導率は、例えば、300W/mKより高くてもよい。一例として、キャリアブロック300は、銅を含むことができる。また、キャリアブロック300を直方体形状とは異なる形状としてもよい。)
「[0151] FIG. 4 shows a schematic perspective illustration of a housing 400.The housing 400 is open such that an interior 410 of the housing 400 with a base surface 411 of the housing 400 is visible and accessible. Side walls of the housing 400 are perpendicular to the base surface 411. FIG. 5 shows an enlarged illustration of part of the housing 400.[0152] By way of example, the base surface 411 of the housing 400 can comprise copper. The side walls of the housing 400 can comprise the same material as the base surface 411 or another material.[0153] The housing 400 has a first contact pin 401, a second contact pin 402, a third contact pin 403, a fourth contact pin 404, a fifth contact pin 405, a sixth contact pin 406, a seventh contact pin 407 and an eighth contact pin 408. The contact pins 401, 402, 403, 404, 405, 406, 407, 408 each comprise an electrically conductive material and lead from the outer side of the housing 400 through bushings 420 arranged in the side walls of the housing 400 into the interior 410 of the housing 400. The bushings 420 are preferably arranged in a sealing fashion and can be glass bushings, for example. The first contact pin 401, the third contact pin 403, the fifth contact pin 405 and the seventh contact pin 407 are arranged in a first side wall of the housing 400. The second contact pin 402, the fourth contact pin 404, the sixth contact pin 406 and the eighth contact pin 408 are arranged in a second side wall of the housing 400 which is opposed to the first side wall.」
(日本語訳:[0151] 図4は、ハウジング400の概略透視図を示す。ハウジング400は、ハウジング400のベース表面411を有するハウジング400の内部410が可視かつアクセス可能であるように開口している。ハウジング400の側壁は、ベース表面411に対して垂直である。図5は、ハウジング400の一部を拡大した説明図を示す。
[0152] 一例として、ハウジング400のベース表面411は、銅を含むことができる。ハウジング400の側壁は、ベース表面411と同じ材料または別の材料を含むことができる。
[0153] ハウジング400は、第1のコンタクトピン401と、第2のコンタクトピン402と、第3のコンタクトピン403と、第4のコンタクトピン404と、第5のコンタクトピン405と、第6のコンタクトピン406と、第7のコンタクトピン407と、第8のコンタクトピン408とを有する。コンタクトピン401、402、403、404、405、406、407、408は、それぞれ導電性材料を含み、ハウジング400の外側からハウジング400の側壁に配置されたブッシング420を通ってハウジング400の内部410に導かれる。ブッシング420は、好ましくは、シーリング様式で配置され、例えば、ガラスブッシングであり得る。第1接点ピン401、第3接点ピン403、第5接点ピン405及び第7接点ピン407は、ハウジング400の第1側壁に配置されている。第2接点ピン402、第4接点ピン404、第6接点ピン406及び第8接点ピン408は、第1側壁に対向する筐体400の第2側壁に配置されている。)
「[0155] The carrier blocks 300 are arranged on the base surface of the interior 410 of the housing 400 such that the base sides 340 of the carrier blocks 300 face the base surface 411 of the housing 400. Preferably, the base sides 340 of the carrier blocks 300 are soldered on the base surface 411 of the interior 410 of the housing 400. The soldering can be carried out by a soft solder or a preform, for example, at a temperature of 180℃. The carrier blocks 300 are preferably in good thermal contact with the base surface 411 of the housing 400.[0156] Since the base sides 340 of the carrier blocks 300 face the base surface 411 of the housing 400, the emission directions 331 of all the laser chips 100 arranged on the carrier blocks 300 are oriented perpendicular to the base surface 411.」
(日本語訳:[0155]キャリアブロック300は、キャリアブロック300のベース側340がハウジング400のベース面411に対向するように、ハウジング400の内部410のベース面に配置される。好ましくは、キャリアブロック300のベース側面340は、ハウジング400の内部410のベース面411にはんだ付けされている。はんだ付けは、例えば180℃の温度で、柔らかいはんだまたはプリフォームによって行うことができる。キャリアブロック300は、好ましくは、ハウジング400のベース表面411と良好に熱的に接触している。
[0156]キャリアブロック300のベース側340は筐体400のベース面411に面しているので、キャリアブロック300上に配置された全てのレーザチップ100の出射方向331はベース面411に対して垂直に配向している。)
「[0164] FIG. 6 shows a perspective illustration of the housing 400 in a processing state temporally succeeding the illustration in FIG. 4. In the illustration in FIG. 6, the housing 400 has been closed with a glass window 430. The housing 400 closed with the glass window 430 together with the carrier blocks 300 arranged therein forms a laser component 500.・・・(略)・・・[0166] The glass window 430 can optionally hermetically tightly seal the interior 410 of the housing 400. For this purpose, the glass window 430 can be inserted into the housing 400 by a welding process, for example. In a hermetically sealed closure of the housing 400, the interior 410 can be filled with a desired atmosphere, for example with dry air.」
(日本語訳:[0164] 図6は、図4の図に続く処理状態における筐体400の透視図を示している。図6の図示では、ハウジング400はガラス窓430で閉じられている。ガラス窓430で閉じられたハウジング400は、内部に配置されたキャリアブロック300とともに、レーザ部品500を形成する。
・・・(略)・・・
[0166] ガラス窓430は、任意選択で、ハウジング400の内部410を気密に密封することができる。この目的のために、ガラス窓430は、例えば溶接プロセスによってハウジング400に挿入することができる。ハウジング400の密閉された閉鎖において、内部410は、所望の雰囲気、例えば乾燥空気で満たされうる。)
FIG 2、4~6は、次のとおりである。
「[図:0001393652000005.jpg][図:0001393652000006.jpg][図:0001393652000007.jpg][図:0001393652000008.jpg]」
FIG4,5から、キャリアブロック300がハウジング400のベース表面411から突出していること、および、キャリアブロック300の側面にレーザチップ100が設けられていること、が見て取れる。
(イ)上記(ア)から、引用文献2には、次の技術的事項(以下「引用文献2に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
a 引用文献2に記載された技術は、レーザコンポーネントに関するものである。([0001])
b ベース表面に銅を含むことができる。([0152])
c ハウジングはガラス窓で閉じられ、ガラス窓は、任意選択で、ハウジングの内部を気密に密封することができる。([0164]、[0166]、FIG6)
(ウ)上記(ア)、(イ)から、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「キャリアブロックを有し、キャリアブロックは銅を含み、([0138])ハウジングを有し、ハウジングはベース表面と側壁とからなり、ベース表面を有するハウジングの内部が可視かつアクセス可能であるように開口し、側壁はベース表面に対して垂直であり、([0151]、FIG4)キャリアブロックはベース表面にはんだ付けされ、([0155])キャリアブロック300上に配置された全てのレーザチップ100の出射方向331はベース面411に対して垂直に配向するように、前記レーザチップは前記キャリアブロックの側面に設けられており、([0156]、FIG4,5)キャリアブロックはベース表面から突出しており、(FIG4,5)ベース表面は、銅を含むことができ、([0152])側壁は、ベース表面と別の材料を含み、([0152])コンタクトピンは、それぞれ導電性材料を含み、ハウジングの外側から側壁に配置されたブッシングを通ってハウジングの内部に導かれ、ブッシングは、好ましくは、シーリング様式で配置され、例えば、ガラスブッシングであり、([0153])ハウジングはガラス窓で閉じられ、ガラス窓は、任意選択で、ハウジングの内部を気密に密封することができる、([0164]、「0166」、FIG6)レーザコンポーネント。([0001]」
ウ 引用文献3
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開昭50-29284号公報(昭和50年3月25日出願公開。以下「引用文献3」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
「この発明は、レーザダイオード・パッケージ、詳しくは、高周波動作を可能とするレーザダイオード・パッケージに関するものである。」(第1頁左下欄下から2行目~右下欄第1行)
「このレーザダイオード・パッケージ10は、基板12を含んでおり、この基板は高導電性で熱伝導率の高い金属性材料、例えば、酸素を除去した高導電性の銅で作られている。」(第2頁左上欄下から5行目~最終行)
(イ)上記(ア)から、引用文献3には、次の技術的事項(以下「引用文献3に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「レーザーダイオード・パッケージにおいて、(第1頁左下欄下から2行目~右下欄第1行)基板として熱伝導率の高い金属性材料として銅を用いる、(第1頁左下欄下から2行目~右下欄第1行)技術的事項。」
エ 引用文献4
(ア)本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、米国特許出願公開第2015/0270682号(平成27年9月24日出願公開。以下「引用文献4」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
「[0034]The carrier may also provide a housing, e.g. a closed housing, so that the semiconductor laser light sources are arranged in a protected manner As a result, the semiconductor laser light sources may be arranged so as to be protected from, inter alia, external effects, for example owing to atmospheric ambient conditions or else from mechanical effects. The housing may have a transparent cover in the region of the laser light emission sides of the semiconductor laser light sources, said transparent cover enabling as much transmission as possible for the laser light of the semiconductor laser light sources. Such a cover may consist, for example, of a correspondingly adapted glass or plastic which provides a high level of transmission, e.g. for the wavelength range of the laser light generated by the semiconductor laser light sources, and/or is correspondingly adapted and/or has a high thermal conductivity, for example sapphire. 」
(日本語訳:[0034]キャリアはまたハウジングを、例えば密閉されたハウジングを、提供することができ、結果として半導体レーザ光源は保護されて配置され、半導体レーザ光源は、例えば大気圧周囲条件に起因しまたは機械的影響から、とりわけ外部の影響から、保護されるように配置される。ハウジングは、半導体レーザ光源のレーザ光出射側の領域において、透明なカバーを有し、前記透明カバーは、半導体レーザ光源のレーザ光に対して可能な限り多くの送信を可能にすることができる。そのようなカバーは、たとえば、半導体レーザ光源により発生するレーザ光の波長域での透過率が、例えば、ハイレベルを対応して適合されたガラスまたはプラスチックからなることができる、および/またはそれに対応して適合される、及び/又は高い熱伝導率、例えば、サファイアを備えている。)
「[0054]FIG. 1 shows a perspective schematic illustration of a light source arrangement 30 in accordance with various embodiments including a plurality of semiconductor laser light sources 20 each having an optical axis 22, which semiconductor laser light sources are in this case in the form of semiconductor lasers. The semiconductor lasers 20 are arranged in such a way that their optical axes 22 are oriented parallel to one another, so that respective laser light emission sides 24 of the semiconductor lasers 20 point in the same spatial direction 18 in relation to the laser light 26 emitted by the semiconductor lasers 20. The light source arrangement 30 may furthermore have a deflection unit 32 for converging and influencing beam paths 44 of the laser light emitted by the semiconductor lasers 20 in order to form a beam bundle 34. In accordance with various embodiments, the semiconductor lasers 20 are arranged on a surface 36 of a carrier 38 so as to be distributed two-dimensionally over the surface 36. Such a carrier is also referred to as “multi-die package” (MDP).」
(日本語訳:[0054]図1は、光軸22をそれぞれ備え、このケースでは半導体レーザを形成する複数の半導体レーザ光源20を含む様々な実施形態に従った光源構成30の概略斜視図を示している。半導体レーザ20は、その光軸22aが互いに平行に配向されるように配置されており、半導体レーザ20のレーザ光出射面24は、半導体レーザ20から出射されたレーザ光26に対して同じ空間方向18に向くようになっている。光源装置30は、光束34を形成するために、半導体レーザ20から出射されたレーザ光のビームパス44を収束し、偏向ユニット32を有していてもよい。様々な実施形態によれば、半導体レーザ20は、キャリア38の表面36上で2次元的に分布するよう、キャリア38の表面36に配置される。このようなキャリアは、マルチダイ パッケージ(MDP)とも呼ばれる。)
「[0057]For this purpose, the carrier 38 has four bar-shaped carrier elements 40, on which the semiconductor lasers 20 are arranged. The carrier elements 40 are arranged on a common carrier frame 42 of the carrier 38 parallel to one another on a plane oriented transversely to the optical axes 22. In this case, the carrier elements 40 are also formed from the same material as the carrier 38. In various embodiments, provision may be made for the carrier elements 40 to be formed integrally with the carrier 38. This configuration enables very good thermal coupling of the carrier elements 40 to the carrier 38, with the result that high-performance heat dissipation from the semiconductor lasers 20 can be realized.」
(日本語訳:[0057]この目的のために、キャリア38は4本のバー状のキャリア要素40を有し、キャリア要素40上には半導体レーザ20が配置されている。キャリア要素40は、光軸22に対して横方向に配向された平面上に互いに平行な複数のキャリア38のキャリアフレーム42上に配置されている。この場合、支持部材40はまた、キャリア38と同じ材料から形成されている。様々な実施形態では、キャリア要素40をキャリア38と一体的に形成されてもよい。この構成によれば、キャリア要素40の支持体38への非常に良好な熱的結合を可能にし、半導体レーザ20からの高放熱特性を実現することができる。)
Fig.1は、次のとおりである。
「[図:0001393652000009.jpg]」
(イ) 上記アから、引用文献4には、次の技術的事項(以下「引用文献4に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「半導体レーザ有する光源構成において、([0054])キャリアは4本のバー状のキャリア要素を有し、キャリア要素上には半導体レーザが配置され、([0057]、Fig.1)半導体レーザは、キャリアの表面上で2次元的に分布するよう、キャリアの表面に配置されるものであって、([0054]、Fig.1)密閉されたハウジングが提供され、([0034])キャリア要素をキャリアと一体的に形成することで、キャリア要素の支持体への非常に良好な熱的結合を可能にし、半導体レーザからの高放熱特性を実現することができる、([0057])技術的事項。」
(3)本件補正発明6と引用発明1との対比
ア 本件補正発明6と引用発明1とを対比する。
(ア)本件補正発明6の「主面から上方に突出し、銅または銅合金からなる載置部を有する基体」かつ「前記基体は、前記主面を有する土台部と、前記載置部とを有し、前記土台部と前記載置部とが一体となって形成される」との特定事項について
a 引用発明1の「担体」は、本件補正発明6の「基体」に相当する。
b 引用発明1の「担体」の「担体」の「保持装置と接する面」は、本件補正発明6の「主面」に相当する。さらに、引用発明1の「担体」が「保持装置と接する面から表側に突出する形状」を有していることは、本件補正発明6の「主面から上方に突出」することに相当する。
c 引用発明1の「担体」は「表側にレーザダイオードチップの実装領域」することから、当該担体は本件補正発明6の「載置部」を有している。さらに、引用発明1の「担体」において、前記「載置部」に相当するもの以外のものは、本件補正発明6の「土台部」に相当する。
d 上記特定事項は「載置部」が「銅または銅合金」からなり、かつ、「前記土台部と前記載置部とが一体となって形成」されることから、当該特定事項は「前記土台部と前記載置部」が「銅または銅合金」の同じ材料で「一体となって形成される」ことを規定していると解される。引用発明1において「担体」は「金属材料から成って」「唯一の層または唯一のプレート」で構成されるものではあるが、前記「金属材料」として「銅または銅合金」を用いることは特定されていない。
そうすると、引用発明1は「前記土台部と前記載置部」が「銅または銅合金」の同じ材料で「一体となって形成される」構成を備えない。
e 上記a~dによれば、引用発明1は本件補正発明6の上記特定事項のうち「主面から上方に突出し」「前記基体は、前記主面を有する土台部と、前記載置部とを有」する特定事項を備える。一方で、引用発明1は、上記特定事項から解される「前記土台部と前記載置部」が「銅または銅合金」の同じ材料で「一体となって形成される」特定事項は備えていない。
(イ)本件補正発明6の「前記載置部を囲むように前記基体の前記主面に接合され、鉄を含む合金からなる環状の端子保持部材」との特定事項について
a 引用発明1の「保持装置」は、本件補正発明6の「端子保持部材」に相当する。
b 引用発明1の「保持装置」が「フレーム状に形成された保持装置は担体の表側(表面)の中央の領域を、キャビティが形成されているように包囲」することは、本件補正発明6の「端子保持部材」が「前記載置部を囲むように前記基体の前記主面に接合され」、「環状」であることに相当する。
c 引用発明1の「保持装置」が「コバルト、ニッケルおよび鉄を有する合金、特に適しているのは、17%のコバルト、29%のニッケルおよび54%の鉄から成る組成を有する合金」であることは、本件補正発明6の「端子保持部材」が「鉄を含む合金」であることに相当する。
d 上記a~cによれば、引用発明1は、本件補正発明6の上記特定事項を備える。
(ウ)本件補正発明6の「前記端子保持部材の上面に接合され、前記基体及び前記端子保持部材と共に封止空間を構成するキャップ」との特定事項について
a 引用発明1の「保持装置上に設置される」「カバープレート」は、本件補正発明6の「前記端子保持部材の上面に接合され」る「キャップ」に相当する。
b 引用発明1の「キャップ」が「前記基体及び前記端子保持部材と共に封止空間を構成する」かは不明である。
c 上記aおよびbによれば、引用発明1は「前記端子保持部材の上面に接合され」る「キャップ」に相当する特定事項を有するが、当該「キャップ」が「前記基体及び前記端子保持部材と共に封止空間を構成する」か不明な点で、引用発明1は上記特定事項を備えない。
(エ)本件補正発明6の「前記載置部の上面に設けられた半導体レーザ素子」との特定事項について
引用発明1の「担体の実装領域に実装されたレーザダイオードチップ」は、本件補正発明6の「前記載置部の上面に設けられた半導体レーザ素子」に相当する。
したがって、引用発明1は、上記特定事項を備える。
(オ)本件補正発明6の「前記端子保持部材を貫通したリード端子」との特定事項について
引用発明1は「保持装置」の「貫通部」内に「差し込まれた」「接続導体」を有しており、当該「接続導体」は、本件補正発明6の「前記端子保持部材を貫通したリード端子」に相当する。
したがって、引用発明1は、上記特定事項を備える。
(カ)本件補正発明6の「発光装置」との特定事項について
引用発明1の「レーザダイオード素子」は、本件補正発明6の「発光装置」に相当する。
したがって、引用発明1は、上記特定事項を備える。
(キ)上記(ア)~(カ)から、本件補正発明6と引用発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「主面から上方に突出し、載置部を有する基体と、前記載置部を囲むように前記基体の前記主面に接合され、鉄を含む合金からなる環状の端子保持部材と、前記端子保持部材の上面に接合されるキャップと、前記載置部の上面に設けられた半導体レーザ素子と、前記端子保持部材を貫通したリード端子と、を備える、発光装置。」
【相違点1】
本件補正発明6は「前記土台部と前記載置部」が「銅または銅合金」の同じ材料で「一体となって形成される」ことが限定されているが、引用発明1は当該限定を備えていない点。
【相違点2】
「キャップ」について、本件補正発明6は「前記基体及び前記端子保持部材と共に封止空間を構成する」のに対して、引用発明1は当該「封止空間」が限定されていない点。
(4)判断
以下、相違点1,2について検討する。
ア 相違点1について
引用文献2および3に記載された技術的事項から、半導体レーザ素子を含む装置において、基体を金属材料で構成する際に当該金属材料として銅または銅合金を用いることは周知技術と認められる。
さらに、引用発明1では多層の構造からなる担体において、第2の担体層および第4の担体層として銅を用いていることから、引用発明1において当該担体の金属材料として銅は採用可能なものであると解される。
そうすると、引用発明1において、担体を金属材料から成る唯一の層または唯一のプレートで構成する際に、当該金属材料として銅または銅合金を選択することは当業者が容易に想到しうるものである。なお、担体を金属材料から成る唯一の層または唯一のプレートで構成したものとして、引用文献1の図2で示される多層の担体のように「載置部」となる表側に突出する形状を有するものとすることは当業者が適宜なしうる事項である。
イ 相違点2について
引用文献2および4に記載された技術的事項から、半導体レーザ素子を含む装置において内部を封止することは周知技術である。
引用発明1において、保持装置上にカバープレートを設置する際に、上記周知技術に基づいて、封止空間を構成するように設置することは、当業者が容易に想到しうるものである。
ウ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明6の奏する作用効果は、引用発明1及び引用文献2~4に記載された技術的事項から認められる周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
エ 小括
したがって、本件補正発明6は、引用発明1及び引用文献2~4に記載された技術的事項から認められる周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(5)本件補正発明1と引用発明2との対比
ア 本件補正発明1と引用発明2とを対比する。
(ア)本件補正発明1の「主面から上方に突出し、銅または銅合金からなる載置部を有する基体」との特定事項について
a 引用発明2の「キャリアブロック」は、本件補正発明1の「載置部」に相当する。
b 引用発明2の「ハウジング」の「ベース表面」および「キャリアブロック」の組合せは本件補正発明1の「基体」相当し、引用発明2の当該「ベース表面」の「キャリアブロック」がはんだ付けされる面は、本件補正発明1の「主面」に相当する。
c 引用発明2の「キャリアブロック」は、「銅を含み」、かつ、上記「主面」から突出するものであるから、当該引用発明2は本件補正発明1の「載置部」が「主面から上方に突出し、銅または銅合金からなる」構成を備える。
d a~cによれば、引用発明2は、上記特定事項を備える。
(イ)本件補正発明1の「前記載置部を囲むように前記基体の前記主面に接合され、鉄を含む合金からなる環状の端子保持部材」との特定事項について
a 引用発明2の「ハウジング」の「側壁」は、「ベース表面」上にあり、「キャリアブロック」を含む「ハウジング」の内部を構成するものであるから、本件補正発明1の「前記載置部を囲むように前記基体の前記主面に接合され」た「環状の端子保持部材」に相当する。
b 引用発明2の「側壁」は、「銅を含む」「ベース表面」と別の材料を含むものではあるが、当該別の材料が、本件補正発明1の「鉄を含む合金からなる」ことが特定されていない点で、上記特定事項を備えない。
c 上記aおよびbから、引用発明2の「側壁」は「前記載置部を囲むように前記基体の前記主面に接合され」た「環状の端子保持部材」を備える一方で、材料が「鉄を含む合金からなる」ことが限定されていないことで、上記特定事項は備えていない。
(ウ)本件補正発明1の「前記端子保持部材の上面に接合され、前記基体及び前記端子保持部材と共に封止空間を構成するキャップ」との特定事項について
a 引用発明2の「ガラス窓」は、本件補正発明1の「前記端子保持部材の上面に接合され」た「キャップ」に相当する。
b 引用発明2の「ガラス窓」は、ハウジングの内部を気密に密封することができるものであることから、当該「ガラス窓」は本件補正発明1の「キャップ」が「前記基体及び前記端子保持部材と共に封止空間を構成する」ことを備える。
c 上記aおよびbから、引用発明2は、上記特定事項を備える。
(エ)本件補正発明1の「前記載置部の側面に設けられた半導体レーザ素子」との特定事項について
a 引用発明2の「レーザチップ」は、本件補正発明1の「半導体レーザ素子」に相当する。
b 「半導体レーザ素子」について、引用発明2では「キャリアブロックの側面に設けられている」ことは、本件補正発明1の「前記載置部の側面に設けられた」ことに相当する。
c 上記aおよびbから、引用発明2は、上記特定事項を備える。
(オ)本件補正発明1の「前記端子保持部材を貫通したリード端子」との特定事項について
引用発明2の「ハウジングの外側から側壁に配置されたブッシングを通ってハウジングの内部に導かれ」る「コンタクトピン」は、本件補正発明1の「前記端子保持部材を貫通したリード端子」に相当する。
(カ)本件補正発明1の「前記基体は、前記主面を有する土台部と、前記載置部とを有し、前記土台部と前記載置部とが一体となって形成される」との特定事項について
引用発明2は「キャリアブロック」をハウジングの「ベース表面」にはんだ付けするものであるから、当該「キャリアブロック」と「ベース表面」とは別体のものと解される。
したがって、引用発明2は、上記特定事項を備えない。
(キ)本件補正発明1の「発光装置」との特定事項について
引用発明2の「レーザコンポーネント」は、本件補正発明1の「発光装置」に相当する。
したがって、引用発明2は、上記特定事項を備える。
(ク)上記(ア)~(キ)から、本件補正発明1と引用発明2との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「主面から上方に突出し、銅または銅合金からなる載置部を有する基体と、前記載置部を囲むように前記基体の前記主面に接合される環状の端子保持部材と、前記端子保持部材の上面に接合され、前記基体及び前記端子保持部材と共に封止空間を構成するキャップと、前記載置部の側面に設けられた半導体レーザ素子と、前記端子保持部材を貫通したリード端子と、を備える発光装置。」
【相違点3】
「端子保持部材」において、本件補正発明6は「鉄を含む合金」からなるのに対して、引用発明2は銅とは異なる材料を用いているが、上記「鉄を含む合金」と規定されていない点。
【相違点4】
「基体」の「土台部」と「載置部」について、本件補正発明6は「一体となって形成」されるのに対して、引用発明2は、それらが別体である点。
(6)判断
以下、相違点3,4について検討する。
ア 相違点3について
引用文献1には、上記(2)ア(イ)bのとおり「保持装置は金属材料、例えばコバルト、ニッケルおよび鉄を有する合金、特に適しているのは、17%のコバルト、29%のニッケルおよび54%の鉄から成る組成を有する合金であり、この合金は低い熱膨張係数を有しており、特にガラス-金属-結合のために適している」ことが記載されている。
引用発明2は、「端子保持装置」がハウジングの側壁において、ガラスブッシングを介してコンタクトピンが配置される、すなわち、ガラス-金属-結合を有するものである点で、引用文献1に記載された技術的事項と同一の技術分野に属するものである。
そうすると、引用発明2において、「端子保持装置」を構成する「金属材料」として、引用文献1に記載された技術的事項に基づいて、「低い熱膨張係数を有しており、特にガラス-金属-結合のために適した」「コバルト、ニッケルおよび鉄を有する合金」を採用し、上記相違点3に係る構成をなすことは、当業者が容易に想到しうるものである。
イ 相違点4について
引用文献4に記載された技術的事項における、「キャリア」は引用発明2の「ベース表面」に、「キャリア要素」は引用発明2の「キャリアブロック」に、それぞれ相当するものである。
そうすると、引用発明2と、引用文献4に記載された技術的事項は、複数の「レーザチップ」を「キャリアブロック」に配置し、複数の「キャリアブロック」を「ベース表面」に設ける「レーザコンポーネント」である点で同一の技術分野に属するものである。
引用発明2において、引用文献4に記載された技術的事項に基づいて、キャリア要素の支持体への非常に良好な熱的結合を可能にし、半導体レーザからの高放熱特性を実現するために、「ベース表面」と「キャリアブロック」とをはんだ付けすることに代えて、「ベース表面」と「キャリアブロック」とを「一体となって形成」して、上記相違点4に係る発明の構成をなすことは、当業者が容易に想到しうるものである。
ウ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明1の奏する作用効果は、引用発明2及び引用文献1、4に記載された技術的事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
エ 小括
したがって、本件補正発明1は、引用発明2及び引用文献1,4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和3年11月1日にされた手続補正は、上記のとおり却下され、また、令和3年2月5日にされた手続補正は令和3年7月26日付けの補正の却下の決定により却下されているので、本願の請求項に係る発明は、平成2年9月3日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1または6に係る発明(以下「本願発明1」または「本願発明6」という。)は、その請求項1または6に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、
この出願の請求項6に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、
また、
この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献2に記載された発明及び引用文献1に記載された技術的事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、
というものである。
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1~3の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明1および6は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明1および6のそれぞれから、「前記基体は、前記主面を有する土台部と、前記載置部とを有し、前記土台部と前記載置部とが一体となって形成される」との限定事項を削除したものである。
そうすると、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、本願発明6の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明6が引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明6は、引用発明1および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、前記第2の[理由]2(5)、(6)に記載したとおり、本願発明1の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明1が、引用発明2および引用文献1、4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、引用文献4に記載された技術的事項は上記限定事項に係る判断に用いられたものであるから、本願発明1は、引用発明2および引用文献1に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明1、6は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-014796