2021-014363
現実シーンの複製物に仮想画像及び音声データを重ね合わせるための方法及び装置、並びに携帯デバイス
- 審判番号
- 2021-014363
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-521463外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年10月22日
- 審決日
- 2022年05月31日
- 公報発行日
- 2022年06月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】スリーディーキューアール ゲーエムベーハー
- 【請求人代理人】新保 斉
- 分類
- P18 .121-WY (G06F) / P18 .537-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 18項目
第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)11月7日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2016年11月8日、ドイツ)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 原査定の概要
原査定(令和3年6月11日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
理由2(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
理由3(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記(引用文献等については引用文献等一覧参照)
理由2について
・請求項 16
請求項16の末尾の記載「コンピュータプログラム製品」との記載について、コンピュータプログラム自体であるのか、記録媒体であるのか、コンピュータシステム等を意味するのか、不明確である。
理由3について
・請求項 1-16
・引用文献等 1-3
<引用文献等一覧>
1.特開2015-158461号公報
2.特開2016-115268号公報
3.ZHOU, Zhiying 他3名,An experimental study on the role of 3D sound in augmented reality environment,Interacting with computers,
2004年12月 1日,Vol.16,No.6,第1043-1068ページ
第3 本願発明
本願請求項1-14に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明14」という。)は、令和3年10月22日になされた手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-14に記載された事項により特定される発明であり、このうち、本願発明1は、以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】現実シーンの光学的かつ音響的な複製物に仮想の三次元又は二次元の画像及び音声データを重ね合わせる方法であって、前記方法は、複製物データを読み取るステップ(480)であって、前記複製物データは、携帯デバイス(100)の少なくとも1つの環境センサ(102)によって取り込まれた前記現実シーン(106)の画像複製物(108)を表現する画像データ(364)を表現し、前記複製物データは更に、前記携帯デバイス(100)の少なくとも1つの更なる環境センサ(103)によって取り込まれた前記現実シーン(106)の音響的複製物を表現する音声データ(365)を表現する、ステップと、続きを表示(全15行)前記画像データ(364)からマーカーデータ(132)を決定するステップ(484)であって、前記マーカーデータ(132)は、前記現実シーン(106)内に配置されたマーカー(112)の複製物(116)及び位置決めを表現する、ステップと、前記マーカーデータ(132)を使用して、複数(252)の仮想画像及び音声データ(140)から選択された、画像及び音声データを表現する仮想画像及び音声データ(140)を読み取るステップ(488)であって、前記仮想画像及び音声データ(140)は、三次元的に定義された物体及び/又は様々な角度から取り込まれた物体のキャプチャの選択項目である仮想複製物(124)として表現するための表現命令と、前記仮想複製物(124)を位置決めするための位置決め命令と、音響データを再生するための位置決め命令と、を含む、ステップと、前記複製物データから物体データ(134)を決定するステップ(486)であって、前記物体データ(134)は、画像及び音響的複製物(118)、並びに前記現実シーン(106)内の前記マーカー(112)の周囲に配置された物体(110)の物体部分(114)の位置決めからなり、前記マーカー(112)の周囲に配置された前記物体(110)の前記物体部分(114)は、新しい自然マーカーを作成し保存するために抽出される、ステップと、前記物体データ(134)及び前記仮想画像及び音声データ(140)を使用して、前記物体部分(114)の前記複製物(118)を参照して、前記仮想複製物(124)及び前記音響データを表現するための位置決め規則(142)を確認するステップ(492)であって、前記物体部分(114)の前記複製物(118)は、前記仮想複製物(124)及び前記音響データを位置決めするための前記マーカー(112)の代替として使用される、ステップと、前記現実シーン(106)の更なる光学的及び音響的複製物(120)に前記仮想複製物(124)および前記音響データを重ね合わせるために、前記位置決め規則(142)を使用するステップ(494)と、を含み、前記読み取るステップ(480、488)、前記決定するステップ(484、486)と新しい自然マーカーを作成し保存するステップ、前記確認するステップ(492)、および前記使用するステップ(494)を連続的に繰り返すステップが、短い時間間隔、特に1秒あたり数回で実施されて、新しい自然マーカーが連続的に作成され保存される、方法。」
また、本願発明2-14についての概要は、以下のとおりである。
本願発明2-11は、本願発明1を減縮した方法の発明である。
本願発明12は、本願発明1-11のいずれか一項に記載の方法の前記ステップを実現するための装置の発明である。
本願発明13は、本願発明12を減縮した発明である。
本願発明14は、本願発明1-11のいずれか一項に記載の方法を実施する、コンピュータプログラムを格納した記憶媒体の発明である。
第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献2、引用発明について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は、強調のために当審が付与した。以下同様。)
「【背景技術】【0002】カメラ等の撮像部により撮像された画像の一部に画像等のコンテンツを重畳して表示させる拡張現実(Augmented Reality:AR)技術が知られている。AR技術では、撮像画像から認識されたARマーカ(基準物)に対する位置情報や識別情報(マーカID)に基づき、拡張空間に重畳して表示される画像データ(以下、必要に応じて「ARコンテンツ」という)等を配置する。【0003】例えば、従来のAR表示では、テンプレートマッチング等により撮影画像にARマーカ形状が写っているかを認識し、認識したARマーカからマーカIDを読み取る。次に、マーカ領域の大きさや形状(歪み)から、マーカとカメラとの位置関係を推定し、推定した位置関係を用いて、ARコンテンツの配置(位置、向き等)を決定し、決定した配置でARコンテンツを画像に重畳表示している。【0004】また、AR技術において、任意の場所にARコンテンツを関連付ける際に、ARマーカに基づいて、そのARマーカの位置から相対的な位置にコンテンツを表示する技術が知られている。また、認識中の識別子が特定の理由(例えば、識別子の認識を妨げる物体が識別子の前に出現したり、識別子がカメラ外にフレームアウトする等)により、ARマーカの認識が行えなくなる場合がある。このような場合に、そのARマーカの位置情報、形状情報等を追尾し、ARコンテンツの表示等の処理を継続される技術として、オブジェクトトラッキング技術が知られている。オブジェクトトラッキングとは、例えばARマーカの認識後に、そのARマーカを認識していなくても画像上の環境に対する特徴点情報(以下、「環境マップ」という)等に基づいて位置情報のトレースを可能とする技術である。」
「【0012】<情報処理システムの概略構成例>図1は、情報処理システムの概略構成の一例を示す図である。図1に示す情報処理システム10は、サーバ11と、情報処理装置の一例としての1又は複数の端末装置12-1~12-n(以下、必要に応じて「端末装置12」と総称する)とを有する。サーバ11及び端末装置12は、例えば通信ネットワーク13によりデータの送受信が可能な状態で接続されている。【0013】続きを表示(全29行)サーバ11は、基準物の一例としてのARマーカ、及びARマーカに対応付けて登録された各ARコンテンツ(ARオブジェクト)が管理されている。ここで、ARマーカとは、例えばARコンテンツ等の各種コンテンツ情報の内容や表示する位置等を指定するための標識となるもの(識別子)である。ARマーカは、例えば二次元コード等のように、所定の領域内に所定の模様や文字パターン等が形成された画像等であるが、これに限定されるものではない。【0014】また、基準物の一例としては、ARマーカに限定されるものではなく、例えば壁掛け時計や絵画、壁紙、置物等の実物体(いわゆる自然マーカ)であってもよい。この場合、基準物の認識(検出)は、例えば実物体の形状や色、模様等に対応する特徴情報と、予め設定された基準物毎の特徴情報とを比較して、実物体を特定することで、その実物体に対応する識別情報(ID)を上述したマーカIDとして用いることができる。【0015】ARコンテンツとは、例えば現実空間に対応する三次元の仮想空間上に配置された物体のモデルデータ等であり、例えば端末装置12で撮影された画像に重畳して表示される重畳用データ(オブジェクト情報)である。【0016】また、ARコンテンツは、例えば撮影画像中に含まれるARマーカの大きさや形状(歪み)等から推定されるARマーカとカメラ等の撮像部との位置関係を用いて、ARマーカを基準とした相対座標(マーカ座標系)で設定された位置に表示される。また、ARコンテンツは、上述した位置関係を用いて、ARマーカの撮影方向に対応する向きで表示される。位置関係とは、ARマーカと撮影位置との距離及び撮影方向のうち少なくとも1つを含むが、これに限定されるものでない。マーカ座標系は、例えば三次元空間座標系(X,Y,Z)であるが、これに限定されるものはなく、二次元平面座標系(X,Y)でもよい。【0017】本実施形態のARコンテンツは、マーカID等に対応付けられており、例えばテキスト、アイコン、アニメーション、マーク、模様、画像、映像等の様々な形態が含まれる。また、ARコンテンツは、表示出力されるものに限定されず、例えば音声等の情報であってもよい。【0018】サーバ11は、例えば端末装置12におけるARコンテンツの設定処理(オーサリング処理)により、端末装置12から得られるARマーカに関する情報(例えば、マーカID、ARマーカの位置情報等)と、ARマーカの位置を基準とする相対位置に設定されたARコンテンツとを登録する。また、サーバ11は、端末装置12におけるオーサリング処理により、端末装置12からマーカIDに対応する1又は複数のARコンテンツの設定情報を取得した場合に、そのARコンテンツ情報(例えば、ARコンテンツID、座標値、回転角度、拡縮率、ARコンテンツ格納先情報(テクスチャパス)等)を登録して管理する。【0019】また、サーバ11は、端末装置12から、ARコンテンツの取得要求等を受信した場合には、端末装置12から送信されたマーカIDに対応させて、予め登録されたARコンテンツに関する情報を抽出し、抽出した情報を端末装置12に送信する。【0020】サーバ11は、例えばPersonal Computer(PC)等でもよいが、これに限定されるものではなく、例えば一以上の処理装置を有するクラウドコンピューティングにより構成されるクラウドサーバ等であってもよい。【0021】端末装置12は、カメラ等の撮像部等により、実空間上にあるARマーカを撮影する。また、端末装置12は、カメラ等により撮影された画像又は通信ネットワーク13等を介して外部装置から得られる画像(以下、必要に応じて「取得画像」という)に含まれるARマーカから、対応する情報を認識する。また、端末装置12は、認識したARマーカに対してARオブジェクトの登録を行う。この登録情報は、サーバ11に送信され、サーバ11内で管理されてもよく、端末装置12内部で管理されていてもよい。【0022】また、端末装置12は、撮影等により取得した画像にARマーカが含まれている場合に、そのARマーカを認識し、認識した結果として得られたマーカIDに対応付けられているARコンテンツ(オブジェクト)を取得し、取得したARコンテンツを、画像データに対してARマーカの表示位置(座標)を基準にした相対的な座標位置に重畳表示する。【0023】なお、端末装置12は、認識中(検出中)のARマーカ(基準物)が特定の理由(例えば、ARマーカの認識を妨げる物体がARマーカの前に出現したり、ARマーカがカメラの画角外にフレームアウトする等)により、ARマーカの認識が行えなくなる場合がある。このような場合に、端末装置12は、そのARマーカの位置情報、形状情報等を追尾し、コンテンツの表示等の処理を継続されるオブジェクトトラッキングによるARコンテンツ表示を行う。【0024】このとき、端末装置12は、複数のARマーカ認識時に、オブジェクトトラッキングによる処理負荷が高くなるため、ARマーカ毎に環境マップ(基準物が設置されている環境に関する情報(環境情報))を設定する場合に、同時認識するARマーカが増える毎に処理速度が低下する。また、負荷低減のために、オブジェクトトラッキング対象とする環境マップを減らした場合、ロストした(認識不能(検出不能)になった)ARマーカのトラッキングが不可能なケースがある。【0025】そこで、端末装置12は、ARマーカを複数認識しているタイミングで、そのARマーカに対して環境マップが設定されているか否かの判定を行い、環境マップが両方に設定されている場合、環境マップの中心点(元々認識していたARマーカの中心座標)から、他のARマーカの相対位置及び相対形状を取得し、各々の環境マップにその情報を追加する。」
「【0028】端末装置12は、例えばタブレット端末やスマートフォン、Personal Digital Assistants(PDA)、ノート型PC等であるが、これに限定されるものではなく、例えばゲーム機器、携帯電話等の通信端末であってもよい。」
「【0034】撮像部22は、静止画又は予め設定されたフレーム間隔で画像(動画像)を撮影する。撮像部22は、撮像した画像を制御部31へ出力したり、記憶部23に記憶させる。撮像部22は、例えばデジタルカメラ等であるが、これに限定されるものではない。【0035】記憶部23は、本実施形態における情報処理(例えば、表示制御処理等)に必要な各種情報を記憶する。例えば、記憶部23は、制御部31による制御に基づき、各種情報を記憶する。記憶部23は、例えばARコンテンツ生成時の設定情報やARコンテンツ情報、環境マップ等を記憶する。また、記憶部23は、ARマーカ管理情報(現在認識しているマーカーのIDや位置等)の情報を一時的に記憶してもよい。」
「【0037】表示部24は、取得画像(例えば、撮像部22により撮影された画像や通信ネットワーク13を介して外部より取得した画像)等を表示する。表示部24は、表示される取得画像にARマーカが含まれている場合、そのARマーカに対応するARコンテンツ(重畳用の画像データ等)を所定の位置に重畳して表示する。また、表示部24は、画面生成部30により生成された重畳画像や、本実施形態における処理の開始や終了等をユーザが選択するためのボタン、その他各種の指示入力ボタン等を表示する。表示部24は、ディスプレイやモニタ等であるが、これに限定されるものではない。」
「【0039】判定部26は、取得画像にARマーカが含まれるか否かを判定する。例えば、判定部26は、撮像部22により得られる撮影画像に対して画像認識を行い、予め設定された複数のARマーカ画像とのマッチングを行って画像中におけるARマーカの有無を判定する。【0040】また、判定部26は、ARマーカ認識からオブジェクトトラッキング処理への切り替えの判定や、ユーザ入力に対するアプリケーションの起動や終了等を判定する。また、判定部26は、認識部27により認識したARマーカの領域の大きさや形状から画像の撮影位置を推測し、推測した画像撮影位置とARマーカの位置関係を示す情報を生成してもよい。位置関係を示す情報とは、例えばARマーカと撮影位置との距離及び方向のうち少なくとも1つであるが、これに限定されるものではない。判定部26における判定は、定期的、又は端末装置12の撮影位置が所定の距離以上移動した場合等の所定のタイミングで行う。続きを表示(全14行)【0041】認識部27は、判定部26からの判定結果により、取得画像中に1又は複数のARマーカが存在すると判定された場合、各ARマーカに対応する識別情報(マーカID)を取得する。また、認識部27は、取得画像から認識(検出)していたARマーカが遮蔽物等の影響で認識不能(検出不能)となった場合(ロストした場合)に、環境マップを用いたオブジェクトトラッキング処理により認識不能となったARマーカの位置情報を取得する。【0042】例えば、認識部27は、環境マップ生成部29により取得画像に含まれる2つのARマーカ(第1のARマーカ、第2のARマーカ)の環境マップを生成し、その後の取得画像において、第1及び第2のARマーカの両方が認識不能となった場合に、第1のARマーカに対する環境情報と環境マップから得られる相対位置情報とを用いて、第2のARマーカの位置情報を生成する。【0043】また、認識部27は、例えば第1及び第2のARマーカの一方が認識不能となった場合に、認識可能(検出可能)な一方の基準物に対する環境情報と環境マップから得られる相対位置情報とを用いて、認識不能となった基準物の位置情報を生成する。【0044】また、認識部27は、ARマーカが認識不能となった場合に、現在の取得画像より所定フレーム前まで認識済み(検出済み)であったか否かを判断し、認識済みであった場合に、そのARマーカの位置情報を取得する処理を行ってもよい。また、認識部27は、オブジェクトトラッキング処理における特徴点の抽出、特徴点のマッチング処理等を行う。また、認識部27は、オブジェクトトラッキング処理により得られる位置情報に基づいて、認識不能となったARマーカに対応するマーカIDを取得する。【0045】なお、上述したARマーカの判定や認識では、ARマーカに限定されるものではなく、例えば取得画像に含まれる実物体(例えば、壁掛け時計や配管、絵画等)を基準物としてもよい。この場合、認識部27は、取得画像から実物体の特徴情報を抽出し、抽出した特徴情報と、予め登録された特徴情報とを比較し、同一又は類似度が所定値以上の特徴情報から物体を特定し、その物体に対応する識別情報を取得する。特徴情報とは、物体のエッジ情報や輝度情報等の特徴量に基づいて取得することができ、お互いの特徴情報がどの程度一致しているかに応じて物体を特定することができるが、これに限定されるものではない。」
「【0048】また、コンテンツ生成部28は、例えばオーサリング処理等において、ARコンテンツの位置情報、及びARコンテンツを形成する表示データと、マーカIDとを対応付けてARコンテンツ情報を生成する。例えば、コンテンツ生成部28は、ユーザが画面上で指定した点を、ARマーカの位置を基準とした座標系(マーカ座標系)に変換することで、その変換後の座標値をARマーカに基づく相対位置情報とすることができるが、これに限定されるものではない。コンテンツ生成部28は、生成したコンテンツ情報をマーカIDと対応付けて記憶部23に記憶してもよく、サーバ11に登録要求を行ってもよい。【0049】更に、コンテンツ生成部28は、ARコンテンツの位置情報及びARコンテンツを形成する表示データと、ARマーカの識別情報とを対応付けて、ARコンテンツ情報を生成する。例えば、コンテンツ生成部は、ユーザが画面上で指定した点を、マーカ座標系に変換し、変換後の座標値を位置情報とする。【0050】環境マップ生成部29は、判定部26による判定結果により、取得画像に1又は複数の複数のARマーカが存在すると判定された場合に、認識部27により認識された各ARマーカに環境マップ(環境情報)を生成する。また、環境マップ生成部29は、所定時間間隔で、環境マップを更新してもよい。また、環境マップ生成部29は、管理者等によるオーサリング処理のときに行ってもよく、オーサリング処理後の作業員等による運用時の撮影中に行ってもよい。」
「【0055】<端末装置12のハードウェア構成例>次に、端末装置12のハードウェア構成例について図を用いて説明する。図3は、端末装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図3の例において、端末装置12は、マイクロフォン(以下、「マイク」という)41と、スピーカ42と、カメラ43と、表示部44と、操作部45と、センサ部46と、電力部47と、無線部48と、近距離通信部49と、補助記憶装置50と、主記憶装置51と、CPU52と、ドライブ装置53とを有し、これらはシステムバスBで相互に接続されている。【0056】マイク41は、ユーザが発した音声や、その他の音を入力する。スピーカ42は、通話相手先の音声を出力したり、着信音等の音を出力する。マイク41及びスピーカ42は、例えば、通話機能等により通話相手と会話するとき等に用いることができるが、これに限定されるものではなく、音声による情報の入出力に用いることができる。【0057】カメラ43は、例えば予め設定された画角内の実空間の画像(動画像、静止画像)を撮影する。カメラ43は、例えば上述した撮像部22の一例である。【0058】表示部44は、ユーザに対してOperating System(OS)や各種アプリケーションで設定された画面(例えば、実空間にARオブジェクトが重畳された画像等)を表示する。また、表示部44は、タッチパネルディスプレイ等でもよく、その場合には表示部44は、入出力部としての機能を有する。」
「【0073】<情報処理(表示制御処理)の一例:オーサング処理>次に、本実施形態における情報処理(オーサング処理)の一例についてフローチャートを用いて説明する。図4は、オーサリング時における情報処理の一例を示すフローチャートである。図4の例において、端末装置12は、オーサリングプログラム等の対応するアプリケーションを起動し(S01)、例えば撮像部22等による撮影により実空間における画像(動画像でも静止画像でもよい)を取得する(S02)。なお、S02の処理で取得される画像は、端末装置12以外の装置から撮影された画像であってもよい。【0074】次に、判定部26は、取得画像中のARマーカの有無を判定し、ARマーカを認識(検出)したか否かを判断する(S03)。ARマーカを認識した場合(S03において、YES)、そのARマーカの識別情報(マーカ)を認識し、ARマーカに既に対応付けられたARコンテンツがある場合には、そのARコンテンツを取得して画面に表示する(S04)。次に、コンテンツ生成部28は、ARコンテンツの追加、変更等の編集を開始するか否かを判断し(S05)、ユーザ指示等により開始する場合(S05において、YES)、編集を実施する(S06)。【0075】次に、各ARマーカに対する環境マップ(環境情報)の生成を開始するか否かを判断し(S07)、環境マップの生成を開始する場合(S07において、YES)、環境マップ生成部29は、環境マップ生成処理を実行する(S08)。S07の処理では、例えば取得画像中に複数のARマーカが認識できている場合には、環境マップの生成を開始すると判断することができるが、判断基準はこれに限定されるものではない。」
「【0078】<S08;環境マップ生成処理の一例>次に、上述したS08における環境マップ生成処理の一例について、フローチャートを用いて説明する。図5は、環境マップ生成処理の一例を示すフローチャートである。図5の例において、環境マップ生成部29は、認識部27がARマーカを認識したか否かを判断し(S21)、ARマーカを認識した場合(S21において、YES)、第1視点の画像を取得する(S22)。次に、環境マップ生成部29は、第1視点と異なる視点の第2視点の画像を取得する(S23)。S22の処理において2視点の画像を取得する場合には、三角測量が可能な視点位置を取得する必要がある。また、S23の処理において、この2視点の画像の特徴点を対応付けることでオブジェクトトラッキング処理におけるロストしたARマーカの座標値が取得可能となる。【0079】続きを表示(全24行)次に、環境マップ生成部29は、2視点の画像の特徴点の対応付けを行い(S24)、特徴点の対応付けが成功したか否かを判断する(S25)。対応付けが成功した場合(S25において、YES)、環境マップ生成部29は、2視点の画像から、特徴点の座標を取得する(S26)。次に、環境マップ生成部29は、特徴点の座標を環境マップに保存する(S27)。【0080】また、S21の処理においてARマーカを認識していない場合(S21において、NO)、S25の処理において特徴点の対応付けが成功していない場合(S25において、NO)、又はS27の処理後、環境マップ生成部29は、環境マップ生成を終了するか否かを判断し(S28)、終了しない場合(S28において、NO)、S21の処理に戻る。また、環境マップ生成を終了する場合(S28において、YES)、環境マップ生成処理を終了する。【0081】<情報処理(表示制御処理)の一例:運用処理>次に、本実施形態における運用時の情報処理(表示制御処理)の一例についてフローチャートを用いて説明する。図6は、運用時における情報処理の一例を示すフローチャートである。図6の例において、端末装置12は、運用プログラム等の対応するアプリケーションを起動し(S31)、例えば撮像部22等による撮影により実空間における画像(動画像でも静止画像でもよい)を取得する(S32)。なお、S32の処理で取得される画像は、端末装置12以外の装置から撮影された画像であってもよい。【0082】次に、判定部26は、取得した画像中からARマーカの有無を判定し、その判定結果からARマーカを認識したか否かを判断する(S33)。なお、S33の処理では、説明の便宜上、例えば取得画像から2つのARマーカを認識したか否かを判断しているが、これに限定されるものではなく、複数(3以上も含む)のARマーカを認識したか否かを判断してもよい。【0083】ARマーカを認識した場合(S33において、YES)、認識部27は、マーカIDに対応付けられた情報を取得し(S34)、その情報の中に環境マップの設定があるか否かを判断する(S35)。なお、S34の処理において、取得する情報としては、例えばマーカIDに対応するARコンテンツ情報や環境マップ等であるが、これに限定されるものではない。【0084】S35の処理において、環境マップの設定がある場合(S35において、YES)、環境マップ生成部29は、更新処理として、自マーカ(第1のARマーカ)と他マーカ(第2のARマーカ)との相対位置を取得して保存する(S36)。ここで、相対位置とは、例えば上述した相対距離ベクトル及び相対回転角度等であるが、これに限定されるものではなく、例えば相対形状等でもよい。【0085】次に、画面生成部30は、S34の処理で得られたARコンテンツ情報からマーカIDに対応するARコンテンツをマーカIDに対する相対的な位置等に表示する(S37)。【0086】また、S33の処理において、ARマーカが認識できなかった場合(S33において、NO)、現在の取得画像より所定フレーム(Nフレーム)前までにマーカ認識済み(マーカ検出済み)であったか否かを判断する(S38)。マーカ認識済みであったか否かとは、例えば現在の対象フレームからNフレーム前までの間に(過去に)、認識できたARマーカが存在したか否かに対応する。【0087】マーカ認識済みである場合(S38において、YES)、認識部27は、そのARマーカに環境マップがあるか否かを判断する(S39)。環境マップがある場合(S39において、YES)、認識部27は、その環境マップと現在の取得画像との特徴点のマッチング(比較)を行う(S40)。【0088】次に、認識部27は、S40のマッチング処理によるマッチ率(一致度)が予め設定された閾値以上か否かを判断し(S41)、閾値以上である場合(S41において、YES)、コンテンツ生成部28は、環境マップが設定されたマーカIDに対応するARコンテンツを生成し、表示部24に表示させる(S42)。」
「【0102】<オブジェクトトラッキングの利用シーン例>次に、オブジェクトトラッキングの利用シーン例について、図を用いて説明する。図10は、オブジェクトトラッキングの利用シーンの一例を示す図である。図10の例では、工場や施設等の実空間上に存在する物体60-1,60-2のうち、物体60-2に基準物の一例であるARマーカ61が設置されている。物体の例としては、例えば配管やバルブ、操作パネル、椅子、机、建物、車両、機械等であるが、これらに限定されるものではなく、実空間上に存在するあらゆる物体でもよい。また、物体そのものを基準物としてよい。【0103】管理者等のユーザ62は、端末装置12を所持し、端末装置12から撮影して表示部24の画面63に表示された取得画像に対して、ARマーカ61が認識できた場合に、その認識したARマーカに対応付けられたARコンテンツを表示する。【0104】このとき、例えば図10の画面63-1に示すように、ARマーカ61を一度認識できた状態で、そのARマーカが画面外に外れた場合や、図10の画面63-2に示すように、ARマーカ61を認識中に、画面内にARマーカ61を遮る遮蔽物(例えば、人物の手や移動物体等)64が出現した場合や照明の明暗の状態の変化があった場合には、ARマーカが認識できなくなり、対応するARコンテンツを表示することができない。そこで、上述したように、マーカ認識が途切れた場合において、本実施形態におけるオブジェクトトラッキングを実施することで、ARコンテンツの利用を継続させることが可能となる。」
「【0115】<ARコンテンツの表示例>図13は、本実施形態におけるARコンテンツの表示例を示す図である。図13(A)は、ARマーカ認識時のARコンテンツの表示例を示し、図13(B)は、オブジェクトトラッキング実施時におけるARコンテンツ表示例を示している。【0116】例えば、図13(A)に示すように、マーカ認識時には、ARマーカ61-1,61-2のうち、ARマーカ61-1に対応付けられてARコンテンツ70-1,70-2が画像データとして、撮影画像に対して重畳表示されている。これらのARコンテンツ70-1,70-2は、それぞれ物体60に対する注意事項やメッセージ、操作手順等のテキスト情報であるが、これに限定されるものではなく、例えば動画や音声等でもよい。【0117】ここで、図13(B)に示すように遮蔽物64によりARマーカ61-1をロストした場合(認識不能になった場合)、ARマーカ61-2に対応する環境マップを用いて、ARマーカ61-1の相対位置を取得し、取得した位置に対応させてARコンテンツ70-1,70-2を継続して表示させることができる。また、ARマーカ61-1,61-2の両方がロストした場合でも、一方の環境マップを用いて各ARマーカ61-1,61-2の位置を取得することができる。【0118】なお、上述の処理は、例えば現在の取得画像より所定フレーム(Nフレーム)前までにマーカ認識済みであったか否かを判断し、所定フレーム前までマーカ認識済みであった場合に行ってもよい。これにより、ARマーカ61が遮蔽物64等により遮蔽されてから所定時間(所定フレーム数)の間だけ、ARコンテンツ70を表示させることができる。」
「【図1】[図:0001385080000001.jpg]」
「【図6】[図:0001385080000002.jpg]」
「【図13】[図:0001385080000003.jpg]」
したがって、上記引用文献2には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明>
「情報処理システム10は、サーバ11と、1又は複数の端末装置12-1~12-n(以下、必要に応じて「端末装置12」と総称する)とを有し、サーバ11及び端末装置12は、通信ネットワーク13によりデータの送受信が可能な状態で接続されサーバ11は、基準物の一例としてのARマーカ、及びARマーカに対応付けて登録された各ARコンテンツ(ARオブジェクト)が管理され、ここで、ARマーカとは、ARコンテンツ等の各種コンテンツ情報の内容や表示する位置等を指定するための標識となるもの(識別子)であり、ARマーカは、例えば二次元コード等のように、所定の領域内に所定の模様や文字パターン等が形成された画像等であり、また、基準物の一例としては、ARマーカに限定されるものではなく、例えば壁掛け時計や絵画、壁紙、置物等の実物体(いわゆる自然マーカ)であってもよく、この場合、基準物の認識(検出)は、例えば実物体の形状や色、模様等に対応する特徴情報と、予め設定された基準物毎の特徴情報とを比較して、実物体を特定することで、その実物体に対応する識別情報(ID)を上述したマーカIDとして用いることができ、ARコンテンツは、例えば撮影画像中に含まれるARマーカの大きさや形状(歪み)等から推定されるARマーカとカメラ等の撮像部との位置関係を用いて、ARマーカを基準とした相対座標(マーカ座標系)で設定された位置に表示され、また、ARコンテンツは、上述した位置関係を用いて、ARマーカの撮影方向に対応する向きで表示され、位置関係とは、ARマーカと撮影位置との距離及び撮影方向のうち少なくとも1つを含み、続きを表示(全35行)ARコンテンツは、マーカID等に対応付けられており、例えばテキスト、アイコン、アニメーション、マーク、模様、画像、映像等の様々な形態が含まれ、また、ARコンテンツは、表示出力されるものに限定されず、例えば音声等の情報であってもよく、サーバ11は、例えば端末装置12におけるARコンテンツの設定処理(オーサリング処理)により、端末装置12から得られるARマーカに関する情報(例えば、マーカID、ARマーカの位置情報等)と、ARマーカの位置を基準とする相対位置に設定されたARコンテンツとを登録し、また、サーバ11は、端末装置12におけるオーサリング処理により、端末装置12からマーカIDに対応する1又は複数のARコンテンツの設定情報を取得した場合に、そのARコンテンツ情報(例えば、ARコンテンツID、座標値、回転角度、拡縮率、ARコンテンツ格納先情報等)を登録して管理し、また、サーバ11は、端末装置12から、ARコンテンツの取得要求等を受信した場合には、端末装置12から送信されたマーカIDに対応させて、予め登録されたARコンテンツに関する情報を抽出し、抽出した情報を端末装置12に送信し、サーバ11は、例えばPersonal Computer(PC)等でもよく、一以上の処理装置を有するクラウドコンピューティングにより構成されるクラウドサーバ等であってもよく、端末装置12は、カメラ等の撮像部等により、実空間上にあるARマーカを撮影し、カメラ等により撮影された画像に含まれるARマーカから、対応する情報を認識し、認識したARマーカに対してARオブジェクトの登録を行い、この登録情報は、サーバ11に送信され、サーバ11内で管理されてもよく、端末装置12内部で管理されていてもよく、また、端末装置12は、撮影等により取得した画像にARマーカが含まれている場合に、そのARマーカを認識し、認識した結果として得られたマーカIDに対応付けられているARコンテンツ(オブジェクト)を取得し、取得したARコンテンツを、画像データに対してARマーカの表示位置(座標)を基準にした相対的な座標位置に重畳表示し、端末装置12は、認識中(検出中)のARマーカ(基準物)が特定の理由(例えば、ARマーカの認識を妨げる物体がARマーカの前に出現したり、ARマーカがカメラの画角外にフレームアウトする等)により、ARマーカの認識が行えなくなる場合があり、このような場合に、端末装置12は、そのARマーカの位置情報、形状情報等を追尾し、コンテンツの表示等の処理を継続されるオブジェクトトラッキングによるARコンテンツ表示を行い、オブジェクトトラッキングとは、例えばARマーカの認識後に、そのARマーカを認識していなくても画像上の環境に対する特徴点情報(以下、「環境マップ」という)等に基づいて位置情報のトレースを可能とする技術であり、端末装置12は、ARマーカを複数認識しているタイミングで、そのARマーカに対して環境マップが設定されているか否かの判定を行い、環境マップが両方に設定されている場合、環境マップの中心点(元々認識していたARマーカの中心座標)から、他のARマーカの相対位置及び相対形状を取得し、各々の環境マップにその情報を追加し、端末装置12は、例えばタブレット端末やスマートフォン、Personal Digital Assistants(PDA)、ノート型PC等であるが、ゲーム機器、携帯電話等の通信端末であってもよく、撮像部22は、静止画又は予め設定されたフレーム間隔で画像(動画像)を撮影し、撮像部22は、撮像した画像を制御部31へ出力したり、記憶部23に記憶させ、撮像部22は、例えばデジタルカメラ等であり、記憶部23は、制御部31による制御に基づき、各種情報を記憶し、例えばARコンテンツ生成時の設定情報やARコンテンツ情報、環境マップ等を記憶し、また、ARマーカ管理情報(現在認識しているマーカーのIDや位置等)の情報を一時的に記憶し、表示部24は、取得画像(例えば、撮像部22により撮影された画像)等を表示し、表示される取得画像にARマーカが含まれている場合、そのARマーカに対応するARコンテンツ(重畳用の画像データ等)を所定の位置に重畳して表示し、表示部24は、ディスプレイやモニタ等であり、判定部26は、取得画像にARマーカが含まれるか否かを判定し、例えば、撮像部22により得られる撮影画像に対して画像認識を行い、予め設定された複数のARマーカ画像とのマッチングを行って画像中におけるARマーカの有無を判定し、また、判定部26は、ARマーカ認識からオブジェクトトラッキング処理への切り替えの判定をし、判定部26における判定は、定期的、又は端末装置12の撮影位置が所定の距離以上移動した場合等の所定のタイミングで行い、認識部27は、判定部26からの判定結果により、取得画像中に1又は複数のARマーカが存在すると判定された場合、各ARマーカに対応する識別情報(マーカID)を取得し、また、認識部27は、取得画像から認識(検出)していたARマーカが遮蔽物等の影響で認識不能(検出不能)となった場合(ロストした場合)に、環境マップを用いたオブジェクトトラッキング処理により認識不能となったARマーカの位置情報を取得し、例えば、認識部27は、環境マップ生成部29により取得画像に含まれる2つのARマーカ(第1のARマーカ、第2のARマーカ)の環境マップを生成し、その後の取得画像において、第1及び第2のARマーカの両方が認識不能となった場合に、第1のARマーカに対する環境情報と環境マップから得られる相対位置情報とを用いて、第2のARマーカの位置情報を生成し、また、第1及び第2のARマーカの一方が認識不能となった場合に、認識可能(検出可能)な一方の基準物に対する環境情報と環境マップから得られる相対位置情報とを用いて、認識不能となった基準物の位置情報を生成し、また、認識部27は、オブジェクトトラッキング処理における特徴点の抽出、特徴点のマッチング処理等を行い、また、認識部27は、オブジェクトトラッキング処理により得られる位置情報に基づいて、認識不能となったARマーカに対応するマーカIDを取得し、コンテンツ生成部28は、例えばオーサリング処理等において、ARコンテンツの位置情報、及びARコンテンツを形成する表示データと、マーカIDとを対応付けてARコンテンツ情報を生成し、環境マップ生成部29は、判定部26による判定結果により、取得画像に1又は複数の複数のARマーカが存在すると判定された場合に、認識部27により認識された各ARマーカに環境マップ(環境情報)を生成し、また、環境マップ生成部29は、所定時間間隔で、環境マップを更新してもよく、端末装置12のハードウェア構成の一例として、端末装置12は、マイクロフォン(以下、「マイク」という)41と、スピーカ42と、カメラ43と、表示部44と、を有し、マイク41は、ユーザが発した音声や、その他の音を入力し、スピーカ42は、通話相手先の音声を出力したり、着信音等の音を出力し、マイク41及びスピーカ42は、例えば、通話機能等により通話相手と会話するとき等に用いることができ、これに限定されるものではなく、音声による情報の入出力に用いることができ、カメラ43は、例えば予め設定された画角内の実空間の画像(動画像、静止画像)を撮影し、カメラ43は、上述した撮像部22であり、表示部44は、ユーザに対してOperating System(OS)や各種アプリケーションで設定された画面(例えば、実空間にARオブジェクトが重畳された画像等)を表示し、情報処理(オーサング処理)について、端末装置12は、アプリケーションを起動し、撮像部22等による撮影により実空間における画像(動画像でも静止画像でもよい)を取得し、次に、判定部26は、取得画像中のARマーカの有無を判定し、ARマーカを認識(検出)したか否かを判断し、ARマーカを認識した場合、そのARマーカの識別情報(マーカ)を認識し、ARマーカに既に対応付けられたARコンテンツがある場合には、そのARコンテンツを取得して画面に表示し、次に、各ARマーカに対する環境マップ(環境情報)の生成を開始するか否かを判断し、環境マップの生成を開始する場合、環境マップ生成部29は、環境マップ生成処理を実行し、例えば取得画像中に複数のARマーカが認識できている場合には、環境マップの生成を開始すると判断することができるが、判断基準はこれに限定されるものではなく、環境マップ生成処理について、環境マップ生成部29は、認識部27がARマーカを認識したか否かを判断し、ARマーカを認識した場合、第1視点の画像を取得し、次に、環境マップ生成部29は、第1視点と異なる視点の第2視点の画像を取得し、この2視点の画像の特徴点を対応付けることでオブジェクトトラッキング処理におけるロストしたARマーカの座標値が取得可能となり、次に、環境マップ生成部29は、2視点の画像の特徴点の対応付けを行い、特徴点の対応付けが成功したか否かを判断し、対応付けが成功した場合、環境マップ生成部29は、2視点の画像から、特徴点の座標を取得し、次に、環境マップ生成部29は、特徴点の座標を環境マップに保存し、運用時の情報処理(表示制御処理)について、端末装置12は、運用プログラム等の対応するアプリケーションを起動し、撮像部22等による撮影により実空間における画像(動画像でも静止画像でもよい)を取得し、次に、判定部26は、取得した画像中からARマーカの有無を判定し、その判定結果からARマーカを認識したか否かを判断し、ARマーカを認識した場合、認識部27は、マーカIDに対応付けられた情報を取得し、その情報の中に環境マップの設定があるか否かを判断し、環境マップの設定がある場合、環境マップ生成部29は、更新処理として、自マーカ(第1のARマーカ)と他マーカ(第2のARマーカ)との相対位置を取得して保存し、次に、画面生成部30は、得られたARコンテンツ情報からマーカIDに対応するARコンテンツをマーカIDに対する相対的な位置等に表示し、また、ARマーカが認識できなかった場合、現在の取得画像より所定フレーム(Nフレーム)前までにマーカ認識済み(マーカ検出済み)であったか否かを判断し、マーカ認識済みである場合、認識部27は、そのARマーカに環境マップがあるか否かを判断し、環境マップがある場合、認識部27は、その環境マップと現在の取得画像との特徴点のマッチング(比較)を行い、次に、認識部27は、マッチング処理によるマッチ率(一致度)が予め設定された閾値以上か否かを判断し、閾値以上である場合、コンテンツ生成部28は、環境マップが設定されたマーカIDに対応するARコンテンツを生成し、表示部24に表示させ、オブジェクトトラッキングの利用シーン例について、工場や施設等の実空間上に存在する物体60-1,60-2のうち、物体60-2に基準物の一例であるARマーカ61が設置されており、ユーザ62は、端末装置12を所持し、端末装置12から撮影して表示部24の画面63に表示された取得画像に対して、ARマーカ61が認識できた場合に、その認識したARマーカに対応付けられたARコンテンツを表示し、このとき、例えば、ARマーカ61を一度認識できた状態で、そのARマーカが画面外に外れた場合や、ARマーカ61を認識中に、画面内にARマーカ61を遮る遮蔽物64が出現した場合には、ARマーカが認識できなくなり、対応するARコンテンツを表示することができないため、そこで、上述したように、マーカ認識が途切れた場合において、オブジェクトトラッキングを実施することで、ARコンテンツの利用を継続させることが可能となり、ARコンテンツの表示例について、マーカ認識時には、ARマーカ61-1,61-2のうち、ARマーカ61-1に対応付けられてARコンテンツ70-1,70-2が画像データとして、撮影画像に対して重畳表示されており、これらのARコンテンツ70-1,70-2は、それぞれ物体60に対する注意事項やメッセージ、操作手順等のテキスト情報であるが、これに限定されるものではなく、例えば動画や音声等でもよく、遮蔽物64によりARマーカ61-1をロストした場合(認識不能になった場合)、ARマーカ61-2に対応する環境マップを用いて、ARマーカ61-1の相対位置を取得し、取得した位置に対応させてARコンテンツ70-1,70-2を継続して表示させることができ、また、ARマーカ61-1,61-2の両方がロストした場合でも、一方の環境マップを用いて各ARマーカ61-1,61-2の位置を取得することができ、なお、上述の処理は、例えば現在の取得画像より所定フレーム(Nフレーム)前までにマーカ認識済みであったか否かを判断し、所定フレーム前までマーカ認識済みであった場合に行ってもよく、これにより、ARマーカ61が遮蔽物64等により遮蔽されてから所定時間(所定フレーム数)の間だけ、ARコンテンツ70を表示させることができる情報処理方法。」
2.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【発明を実施するための形態】【0013】以下、図を参照しつつ、姿勢推定装置について説明する。この姿勢推定装置は、撮像部が所定の撮影周期でその周囲を撮影して画像を生成する度に、その画像に基づいて撮影時の撮像部の位置及び姿勢を推定する。その際、この姿勢推定装置は、予め設置された、形状及び設置位置が既知のマーカが画像に写っており、かつ、画像からマーカを検出できる場合には、画像上でのマーカの位置に基づいて撮像部の位置及び姿勢を推定することで演算量を抑制する。一方、姿勢推定装置は、画像からマーカを検出できない場合には、マーカの周囲にあり、かつ、画像に写っている複数の特徴的な点(以下、自然特徴点と呼ぶ)を画像から検出し、それらの特徴点に基づいて撮像部の位置及び姿勢を推定する。」
「【0015】図1は、姿勢推定装置の一つの実施形態である携帯端末のハードウェア構成図である。携帯端末1は、表示部2と、撮像部3と、記憶媒体アクセス装置4と、記憶部5と、制御部6とを有する。表示部2、撮像部3、記憶媒体アクセス装置4、記憶部5及び制御部6は、筐体7内に配置される。なお、携帯端末1は、例えば、携帯電話機、携帯情報端末またはタブレット型コンピュータである。さらに携帯端末1は、携帯端末1を他の機器に接続するための通信インターフェース回路(図示せず)を有していてもよい。なお図1は、携帯端末1が有する構成要素を説明するための図であり、携帯端末1の各構成要素の実際の配置を表した図ではないことに留意されたい。【0016】携帯端末1は、撮像部3が所定の撮影周期ごとに周囲を撮影して得られた画像に写っているマーカまたは自然特徴点に基づいて、撮像部3の位置及び姿勢を推定する。そしてこの携帯端末1は、その位置及び姿勢の推定結果を利用して、画像上に様々な情報を重畳することで、ARをユーザに提供してもよい。続きを表示(全24行)【0017】表示部2は、例えば、液晶ディスプレイ、あるいは有機エレクトロルミネッセンスディスプレイを有し、表示部2の表示画面が、筐体7の正面に対向するユーザを向くように配置される。そして表示部2は、撮像部3により生成された画像など、ユーザに対して様々な情報を表示する。また表示部2は、タッチパネルディスプレイを有してもよい。この場合、表示部2は、例えば、様々なアイコンまたは操作ボタンを、制御部6からの制御信号に応じて表示する。そして表示部2は、表示されたアイコンまたは操作ボタンの位置にユーザが触れた場合に、その位置に応じた操作信号を生成し、その操作信号を制御部6へ出力する。【0018】撮像部3は、例えば、2次元アレイ状に配置された固体撮像素子を有するイメージセンサと、そのイメージセンサ上に被写体の像を結像する撮像光学系とを有する。【0019】撮像部3は、所定の撮影周期ごとに携帯端末1の周囲を撮影することで、その撮影周期ごとに画像を生成する。なお、生成される画像は、RGB表色系により表されるカラー画像であってもよく、あるいは、グレー画像であってもよい。そして撮像部3は、画像を生成する度に、生成した画像を制御部6へ出力する。なお、撮影周期は、例えば、33msecである。【0020】記憶媒体アクセス装置4は、例えば、半導体メモリカードといった記憶媒体8にアクセスする装置である。記憶媒体アクセス装置4は、例えば、記憶媒体8に記憶された、制御部6上で実行されるコンピュータプログラムを読み込み、制御部6に渡す。また、後述するように、制御部6が姿勢推定装置としての機能を実現するコンピュータプログラムを実行する場合には、記憶媒体アクセス装置4は、記憶媒体8から姿勢推定用コンピュータプログラムを読み込んで、制御部6に渡してもよい。【0021】記憶部5は、例えば、読み書き可能な不揮発性の半導体メモリと、読み書き可能な揮発性の半導体メモリとを有する。そして記憶部5は、制御部6上で実行される各種のアプリケーションプログラム及び各種のデータを記憶する。また記憶部5は、姿勢推定処理に利用される各種のデータを記憶する。例えば、記憶部5は、直近の一定期間(例えば、数フレーム~数十フレームに相当する期間)に取得された画像から推定された撮像部3の位置及び姿勢を表す情報を記憶する。【0022】さらに記憶部5は、実空間に設定された三次元の世界座標系における、マーカの三次元座標と、複数の自然特徴点のそれぞれについての3次元座標とその自然特徴点を特定するための特徴量とが格納された三次元マップを記憶する。【0023】図2は、マーカの一例を示す図である。マーカ200は、識別用パターン201と、識別用パターン201を囲む矩形パターン202とを有する。識別用パターン201は、例えば、マーカ200が設置された場所の周囲の模様との区別が付き易いパターンであればよい。本実施形態では、撮像部3の位置及び姿勢を推定するために、矩形パターン202の外周の四隅の位置が画像上で検出される。なお、マーカは、図2に示されたものに限られず、マーカが設置された場所の周囲の模様との区別が付き易いものであればよい。また、撮像部3の位置及び姿勢の推定に、マーカの他の位置が利用されてもよい。【0024】なお、本実施形態では、実空間に設定される世界座標系は、簡単化のために、マーカの中心を原点とし、マーカが含まれる平面にX軸及びY軸を設定し、マーカが含まれる平面の法線をZ軸とする。【0025】図3は、三次元マップの一例を示す図である。三次元マップ300の各行には、それぞれ、自然特徴点またはマーカの外周の四隅の何れかの三次元座標と、マーカか自然特徴点かを表す種別フラグ(自然特徴点:f、マーカ:m)と、自然特徴点の特徴量が記録される。この例では、1行目~64行目には、例えば、各自然特徴点の三次元座標などが記録されている。また、65行目~68行目には、マーカの四隅の三次元座標などが記録されている。【0026】なお、自然特徴点の特徴量は、画像上で自然特徴点を特定するために利用できるものであればよく、例えば、自然特徴点が位置する画像上での画素の輝度値と、その周囲8近傍画素または24近傍画素の輝度値とすることができる。・・・(略)」
「【図1】[図:0001385080000004.jpg]」
「【図2】[図:0001385080000005.jpg]」
「【図3】[図:0001385080000006.jpg]」
したがって、上記引用文献1には次の技術的事項(以下、「引用文献1技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献1技術的事項>
「姿勢推定装置について、姿勢推定装置は、撮像部が所定の撮影周期でその周囲を撮影して画像を生成する度に、その画像に基づいて撮影時の撮像部の位置及び姿勢を推定し、その際、予め設置された、形状及び設置位置が既知のマーカが画像に写っており、かつ、画像からマーカを検出できる場合には、画像上でのマーカの位置に基づいて撮像部の位置及び姿勢を推定し、一方、画像からマーカを検出できない場合には、マーカの周囲にあり、かつ、画像に写っている複数の特徴的な点(以下、自然特徴点と呼ぶ)を画像から検出し、それらの特徴点に基づいて撮像部の位置及び姿勢を推定し、姿勢推定装置の一つの実施形態である携帯端末のハードウェア構成として、携帯端末1は、表示部2と、撮像部3と、記憶媒体アクセス装置4と、記憶部5と、制御部6とを有し、携帯端末1は、撮像部3が所定の撮影周期ごとに周囲を撮影して得られた画像に写っているマーカまたは自然特徴点に基づいて、撮像部3の位置及び姿勢を推定し、そしてこの携帯端末1は、その位置及び姿勢の推定結果を利用して、画像上に様々な情報を重畳することで、ARをユーザに提供してもよく、表示部2は、撮像部3により生成された画像など、ユーザに対して様々な情報を表示し、撮像部3は、イメージセンサと、そのイメージセンサ上に被写体の像を結像する撮像光学系とを有し、所定の撮影周期ごとに携帯端末1の周囲を撮影することで、その撮影周期ごとに画像を生成し、なお、撮影周期は、例えば、33msecであり、記憶部5は、実空間に設定された三次元の世界座標系における、マーカの三次元座標と、複数の自然特徴点のそれぞれについての3次元座標とその自然特徴点を特定するための特徴量とが格納された三次元マップを記憶し、実空間に設定される世界座標系は、マーカの中心を原点とし、マーカが含まれる平面にX軸及びY軸を設定し、マーカが含まれる平面の法線をZ軸とし、三次元マップ300の各行には、それぞれ、自然特徴点またはマーカの外周の四隅の何れかの三次元座標と、マーカか自然特徴点かを表す種別フラグ(自然特徴点:f、マーカ:m)と、自然特徴点の特徴量が記録される、姿勢推定装置。」
3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、次の事項が記載されている。
(1)第1043頁「Abstract」欄
「[図:0001385080000007.jpg]」
(当審対訳)
「概要拡張現実(AR)環境の調査研究は、技術者、コンピュータ、および認知科学者にとって人気のある研究テーマになっている。オーディオAR環境に焦点を当てたアプリケーション指向研究が公表されているが、ARコンテキストにおける3次元(3D)音の有効性、および3D音の追加がAR体験にどの程度寄与するかという重要な研究問題を精力的に研究および評価するための研究はほとんど行われていない。したがって、我々は、2つのAR環境を開発し、AR状況における3D音の効果を研究するために、ヒト対象を用いて活発な実験を行った。研究は2つのシナリオに関する。第1のシナリオでは、1人の参加者は、視覚のみ及び3D音を伴う視覚を使用して、増加した仮想オブジェクトの相対的な奥行きを判断しなければならない。第2のシナリオでは、2人の参加者が協力して、ゲームベースのAR環境で共同タスクを実行しなければならない。したがって、この研究の目的は、(1)単一カメラAR環境における奥行きの知覚に対する3D音の影響にアクセスすること、(2)タスク性能および「人間の存在および協調」の感覚に対する3D音の影響を研究すること、(3)人間-コンピュータおよび人間-人間相互作用における3D音の役割をより理解すること、(4)性別がAR環境における3D音の影響に影響を及ぼし得るかどうかを調査すること、である。この研究の成果は、3D音を導入することによって、より没入感があり、リアルで、楽しい体験を提供するオーディオARシステムの開発に有用な影響を及ぼすことができる。我々の結果は、AR環境における3D音が奥行きの判定の精度を著しく改善し、タスク性能を改善することを示唆する。我々の結果はまた、3D音が、人間の存在および協調の感覚に有意に寄与し、対象が「空間オブジェクトを識別する」のに役立つことを示唆する。」
(2)第1047頁下から7行目~第1048頁第15行「2.2 Implementation」欄
「[図:0001385080000008.jpg][図:0001385080000009.jpg]」
(当審対訳)
「2.2 実装最も一般的なARパラダイムでは、ユーザは、HMDを装着し、それを通して、ユーザは、直接、またはディスプレイの正面に取り付けられたビデオカメラを介して、実世界を視認する。次いで、仮想オブジェクトは、実世界上に重畳される。このタイプの(Feiner他、1993年)のような初期の研究では、シーン内のオブジェクトに2Dテキスト情報を単に重ね合わせたが、現在では、3次元でオブジェクトを重ね合わせることが一般的になっている。このための最小限の要件は、カメラの位置がシーン全体(またはその中のオブジェクト)に対して決定されなければならないことである。次いで、シーンとカメラ座標との間の変換行列を使用して、仮想オブジェクトの正確でシームレスなビューを生成することができる。この変換行列が与えられると、ユーザの頭部座標系における仮想オブジェクト(仮想音源)の正確な3D位置を得ることができ、これは3Dサウンドシンセサイザの基本要件である。以下のサブセクションで変換行列を得るために2つの手法を導入する。我々の実験では、OpenAL(ロキエンターテインメントソフトウェア)を適用して3D音を生成した。必要とされる本質的なパラメータは、仮想音源の3D位置及びユーザの耳に対するその速度である。より一般的には、仮想音源の3D位置及び速度、並びにユーザの頭部の位置及び向きが必要とされる。次のパートでは、この問題を解決するために2つの追跡方法を導入する。しかし、我々の実験では、仮想音源に対する頭部の相対速度は、2m/s程度しかないので、我々は、それらの相対運動によって引き起こされるドップラー効果を無視し、したがって、我々はそれらの位置及び向きにのみ関心を持った。」
(3)第1053頁下から10行目~第1054頁第9行「4.1.1 Design and procedures」欄
「[図:0001385080000010.jpg][図:0001385080000011.jpg]」
(当審対訳)
「4.1.1. 設計および手順この実験では、我々は、視覚ベースの追跡方法によって実施されるAR環境(図4)においてオブジェクトの相対的な奥行きを判断するためにユーザを支援する3D音の効果を調べた。ユーザは、増加した仮想オブジェクト上の2つのマーカの相対的な奥行きを知る必要があった。マーカを正確に位置決めするために、マーカを保持するホワイトボードを使用した。マーカと目が同じ高さになるように使用者の椅子の高さを設定した。このようにして、同一平面上の相対的な位置が相対的な奥行きを示すことができるので、奥行きの知覚に対する垂直方向の視覚的なてがかりを排除した。AR環境では、増加したオブジェクトが必ずしも同じ平面上に位置しているとは限らず、したがってこの状況は一般に利用可能ではないのだが、意味のあることである。2つのマーカの相対位置は、2つのマーカがカメラの視野においてほぼ同じサイズであるように見えるように慎重に選択された。セクション2.2.2で説明したように、これは、奥行きの混乱を引き起こし、したがって、仮想オブジェクトに3Dサウンドを追加することの有効性を慎重に決定することができる。予備研究(Mereu、1995年)は、視覚障害のあるユーザが、3Dアプリケーションにおいて奥行きと位置を知覚するために、音環境を使用することができることを示した。したがって、我々は、3D音がAR環境において奥行きを知覚するのにも有用であり得ることを提案する。この仮説を検証するために、我々はAR環境において3D音を実装し、対象の相対的な奥行き判定の精度を測定した。」
したがって、上記引用文献3には次の技術的事項(以下、「引用文献3技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献3技術的事項>
「AR状況における3D音の効果を研究するための実験において、3D音を伴う視覚を使用して、増加した仮想オブジェクトの相対的な奥行きを判断するものであって、ユーザは、HMDを装着し、それを通して、ディスプレイの正面に取り付けられたビデオカメラを介して、実世界を視認し、次いで、仮想オブジェクトは、実世界上に重畳され、AR環境においてオブジェクトの相対的な奥行きを判断するために3D音の効果を調べ、3D音がAR環境において奥行きを知覚するのにも有用であり得ること。」
第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア
(ア)引用発明の「実空間」は、本願発明1の「現実シーン」に相当する。そして、引用発明の「端末装置12」は、「撮像部22等による撮影により実空間における画像(動画像でも静止画像でもよい)を取得」し、「表示部24は、取得画像(例えば、撮像部22により撮影された画像)等を表示」するものであるから、当該「画像」は「実空間」を「撮影」したもの、いわば「実空間」の複製物を光学的に「表示」したものであるといえる。したがって、当該「表示」される「画像」は、本願発明1の「現実シーンの光学的かつ音響的な複製物」とは、「現実シーンの光学的な複製物」である点で共通するとともに、本願発明1の「画像複製物(108)」に相当する。
(イ)引用発明の「AR」とは「拡張現実感」を意味する「Augmented Reality」の略語であり、当該ARによる視覚、聴覚等の情報は、現実感のある仮想的な情報であることは、技術常識であるところ、引用発明の「ARコンテンツ」は、「表示される取得画像にARマーカが含まれている場合、そのARマーカに対応」して「所定の位置に重畳して表示」する「重畳用の画像データ等」であって、「例えばテキスト、アイコン、アニメーション、マーク、模様、画像、映像等の様々な形態が含まれ」、「また、ARコンテンツは、表示出力されるものに限定されず、例えば音声等の情報であってもよ」いものであること、そして、引用発明の当該「ARコンテンツ」としての「音声等の情報」は、本願発明1の「仮想」の「音声データ」に相当することから、引用発明の前記「ARコンテンツ」は、本願発明1の「仮想の三次元又は二次元の画像及び音声データ」に相当する。
(ウ)引用発明の「重畳」することは、本願発明1の「重ね合わせる」ことに相当する。したがって、上記(ア)及び(イ)を踏まえると、引用発明の「情報処理方法」は、後述する相違点を除き、本願発明1の「現実シーンの光学的かつ音響的な複製物に仮想の三次元又は二次元の画像及び音声データを重ね合わせる方法」とは、「現実シーンの光学的な複製物に仮想の三次元又は二次元の画像及び音声データを重ね合わせる方法」である点で共通する。
イ 引用発明では、「ARコンテンツを、画像データに対してARマーカの表示位置(座標)を基準にした相対的な座標位置に重畳表示」することから、上記ア(ア)~(ウ)を踏まえると、引用発明の前記「画像データ」は、「実空間」を「撮影」した「画像」の「データ」といえるものであり、したがって、本願発明1の「複製物データ」に相当する。よって、引用発明の「情報処理方法」として、「実空間」の「画像」を「撮影」することは、本願発明1の「複製物データを読み取るステップ」に相当するといえる。
ウ
(ア)引用発明の「端末装置12は、例えばタブレット端末やスマートフォン、Personal Digital Assistants(PDA)、ノート型PC等であるが、ゲーム機器、携帯電話等の通信端末であってもよ」いことから、本願発明1の「携帯デバイス(100)」に相当する。また、引用発明の「端末装置12」が有する「カメラ43は、例えば予め設定された画角内の実空間の画像(動画像、静止画像)を撮影し、カメラ43は、上述した撮像部22であ」ることから、本願発明1の「環境センサ(102)」に相当する。また、引用発明では、「ARコンテンツを、画像データに対してARマーカの表示位置(座標)を基準にした相対的な座標位置に重畳表示」することから、引用発明の前記「画像データ」は、「実空間」を「撮影」した「画像」の「データ」といえるものであり、上記イで示したように、本願発明1の「複製物データ」に相当するとともに、本願発明1の「画像複製物(108)を表現する画像データ(364)」に相当するといえる。
以上のことから、引用発明において、「画像データ」は、「端末装置12」が有する「カメラ43」によって「実空間」を「撮影」した「画像」のデータであることは、本願発明1の「前記複製物データは、携帯デバイス(100)の少なくとも1つの環境センサ(102)によって取り込まれた前記現実シーン(106)の画像複製物(108)を表現する画像データ(364)を表現」することに相当する。
(イ)引用発明の「マイクロフォン41」は、前記「カメラ43」とともに「端末装置12」が有する「ハードウェア構成」であって、「ユーザが発した音声や、その他の音を入力」することから、本願発明1の「更なる環境センサ(103)」に相当する。
(ウ)上記(ア)及び(イ)を踏まえると、引用発明の「情報処理方法」は、本願発明1の「方法」の「前記複製物データは、携帯デバイス(100)の少なくとも1つの環境センサ(102)によって取り込まれた前記現実シーン(106)の画像複製物(108)を表現する画像データ(364)を表現し、前記複製物データは更に、前記携帯デバイス(100)の少なくとも1つの更なる環境センサ(103)によって取り込まれた前記現実シーン(106)の音響的複製物を表現する音声データ(365)を表現する、ステップ」とは、「前記複製物データは、携帯デバイス(100)の少なくとも1つの環境センサ(102)によって取り込まれた前記現実シーン(106)の画像複製物(108)を表現する画像データ(364)を表現する、ステップ」を備える点で共通する。
エ 引用発明の「ARマーカに関する情報(例えば、マーカID、ARマーカの位置情報等)」は、「例えば、撮像部22により撮影された画像」である「取得画像中に1又は複数のARマーカが存在すると判定された場合」に「取得」される「各ARマーカに対応する識別情報(マーカID)」であるから、上記ウ(ア)を踏まえると、本願発明1の「前記画像データ(364)」から「決定」される「マーカーデータ(132)」に相当する。したがって、引用発明の上記「ARマーカに関する情報(例えば、マーカID、ARマーカの位置情報等)」を「取得」することは、本願発明1の「前記画像データ(364)からマーカーデータ(132)を決定するステップ(484)」に相当する。
オ 引用発明の「実空間上にあるARマーカ」は、本願発明1の「前記現実シーン(106)内に配置されたマーカー(112)」に相当する。また、引用発明の「端末装置12は、カメラ等の撮像部等により、実空間上にあるARマーカを撮影し、カメラ等により撮影された画像に含まれるARマーカから、対応する情報を認識」することから、当該「撮影された画像に含まれるARマーカ」は、本願発明1の「前記現実シーン(106)内に配置されたマーカー(112)の複製物(116)」に相当する。そして、引用発明の「端末装置12」が「ARマーカを認識し」、「取得」する「ARマーカに関する情報(例えば、マーカID、ARマーカの位置情報等)」のうちの「ARマーカの位置情報」は、本願発明1の「位置決め」に相当する。
したがって、上記エを踏まえると、引用発明の「情報処理方法」において、「端末装置12は、カメラ等の撮像部等により、実空間上にあるARマーカを撮影し、カメラ等により撮影された画像に含まれるARマーカから、対応する情報を認識」し、「取得」する「ARマーカに関する情報」は、「例えば、マーカID、ARマーカの位置情報等」であることは、本願発明1の「方法」の「前記マーカーデータ(132)は、前記現実シーン(106)内に配置されたマーカー(112)の複製物(116)及び位置決めを表現する、ステップ」に相当する。
カ 引用発明の「ARコンテンツは、マーカID等に対応付けられて」いることから、複数の「ARマーカ」が存在する引用発明においては、それぞれに対応する複数の「ARコンテンツ」が存在するといえる。そして、引用発明の「端末装置12は、撮影等により取得した画像にARマーカが含まれている場合に、そのARマーカを認識し、認識した結果として得られたマーカIDに対応付けられているARコンテンツ(オブジェクト)を取得し、取得したARコンテンツを、画像データに対してARマーカの表示位置(座標)を基準にした相対的な座標位置に重畳表示」することから、上記ア(イ)及びエを踏まえると、引用発明において、当該「端末装置12」は、「ARマーカを認識し」て、得られた「マーカID」を使用して、「マーカID」に「対応付けられているARコンテンツ」を「取得」することは、本願発明1の「前記マーカーデータ(132)を使用して、複数(252)の仮想画像及び音声データ(140)から選択された、画像及び音声データを表現する仮想画像及び音声データ(140)を読み取るステップ(488)」に相当する。
キ 引用発明の「ARコンテンツ」は、上記ア(イ)に示したとおり、本願発明1の「仮想の三次元又は二次元の画像及び音声データ」に相当する。そして、引用発明において、当該「ARコンテンツ」に対応する「マーカID」は、「そのARコンテンツ情報」として、例えば「ARコンテンツID、座標値、回転角度、拡縮率」が登録されており、当該「回転速度、拡縮率」は、その「ARコンテンツ」の表示のための情報といえることから、本願発明1の「表現するための表現命令」に相当するといえる。また、引用発明の「座標値」は、その「ARコンテンツ」を表示する座標の情報といえることから、本願発明1の「位置決めするための位置決め命令」に相当するといえる。また、引用発明の「ARコンテンツ」は、「例えば音声等の情報であってもよ」いものであるから、当該「音声」は、本願発明1の「音響データ」に相当する。そして、当該「音声等の情報」は、当該音声を再生するための情報を当然含むものといえるから、本願発明1の「音響データを再生するための位置決め命令」とは、「音響データを再生するための命令」である点で共通するといえる。
一方で、引用発明の「ARコンテンツ」は、上記ア(イ)に示したとおり、「例えばテキスト、アイコン、アニメーション、マーク、模様、画像、映像等の様々な形態が含まれ」るとあるものの、本願発明1のような「三次元的に定義された物体及び/又は様々な角度から取り込まれた物体のキャプチャの選択項目である」との特定はなく、また、「ARコンテンツ」は「拡張現実感」として、現実感のある仮想的な情報ではあるものの、本願発明1のような「複製」との特定もないことを踏まえると、引用発明の「情報処理方法」は、本願発明1の「方法」の「前記仮想画像及び音声データ(140)は、三次元的に定義された物体及び/又は様々な角度から取り込まれた物体のキャプチャの選択項目である仮想複製物(124)として表現するための表現命令と、前記仮想複製物(124)を位置決めするための位置決め命令と、音響データを再生するための位置決め命令と、を含む、ステップ」とは、「前記仮想画像及び音声データ(140)は、仮想物(124)として表現するための表現命令と、前記仮想物(124)を位置決めするための位置決め命令と、音響データを再生するための命令と、を含む、ステップ」を含む点で共通する。
ク
(ア)上記イに示すとおり、引用発明の「実空間」を「撮影」した「画像」は、本願発明1の「複製物データ」に相当するといえるから、引用発明の「画像上の環境に対する特徴点情報(環境マップ)」は、本願発明1の「前記複製物データ」から「決定」される「物体データ(134)」に相当する。
(イ)引用発明においては、「オブジェクトトラッキングとは、例えばARマーカの認識後に、そのARマーカを認識していなくても画像上の環境に対する特徴点情報(以下、「環境マップ」という)等に基づいて位置情報のトレースを可能とする技術」であり、「基準物の一例としてのARマーカ」を「認識していな」くても、「基準物の一例としては、ARマーカに限定されるものではなく、例えば壁掛け時計や絵画、壁紙、置物等の実物体(いわゆる自然マーカ)であってもよ」いことから、当該「例えば壁掛け時計や絵画、壁紙、置物等の実物体」は、本願発明1の「前記現実シーン(106)内の」「物体(110)の物体部分(114)」に相当する。そして、引用発明では、「取得画像から認識(検出)していたARマーカが遮蔽物等の影響で認識不能(検出不能)となった場合(ロストした場合)に、環境マップを用いたオブジェクトトラッキング処理により認識不能となったARマーカの位置情報を取得し、例えば、認識部27は、環境マップ生成部29により取得画像に含まれる2つのARマーカ(第1のARマーカ、第2のARマーカ)の環境マップを生成し、その後の取得画像において、第1及び第2のARマーカの両方が認識不能となった場合に、第1のARマーカに対する環境情報と環境マップから得られる相対位置情報とを用いて、第2のARマーカの位置情報を生成し、また、第1及び第2のARマーカの一方が認識不能となった場合に、認識可能(検出可能)な一方の基準物に対する環境情報と環境マップから得られる相対位置情報とを用いて、認識不能となった基準物の位置情報を生成し、また、認識部27は、オブジェクトトラッキング処理における特徴点の抽出、特徴点のマッチング処理等を行い、また、認識部27は、オブジェクトトラッキング処理により得られる位置情報に基づいて、認識不能となったARマーカに対応するマーカIDを取得」することから、引用発明においては、「位置情報」を含む「画像上の環境に対する特徴点情報(環境マップ)」が「生成」される「例えば壁掛け時計や絵画、壁紙、置物等の実物体」は、「ARマーカ」の周囲に配置されているといえる。
したがって、上記(ア)を踏まえると、引用発明は、本願発明1の「前記複製物データから物体データ(134)を決定するステップ(486)であって、前記物体データ(134)は、画像及び音響的複製物(118)、並びに前記現実シーン(106)内の前記マーカー(112)の周囲に配置された物体(110)の物体部分(114)の位置決めからな」る構成とは、「前記複製物データから物体データ(134)を決定するステップ(486)であって、前記物体データ(134)は、画像、並びに前記現実シーン(106)内の前記マーカー(112)の周囲に配置された物体(110)の物体部分(114)の位置決めからな」る構成を含む点で共通している。
(ウ)引用発明の「例えば壁掛け時計や絵画、壁紙、置物等の実物体(いわゆる自然マーカ)」として特定されている「自然マーカ」は、本願発明1の「自然マーカー」に相当する。そして、引用発明において、「判定部26は、取得画像にARマーカが含まれるか否かを判定し、例えば、撮像部22により得られる撮影画像に対して画像認識を行い、予め設定された複数のARマーカ画像とのマッチングを行って画像中におけるARマーカの有無を判定し、また、判定部26は、ARマーカ認識からオブジェクトトラッキング処理への切り替えの判定をし、判定部26における判定は、定期的、又は端末装置12の撮影位置が所定の距離以上移動した場合等の所定のタイミングで行」い、そして、「環境マップ生成部29は、判定部26による判定結果により、取得画像に1又は複数の複数のARマーカが存在すると判定された場合に、認識部27により認識された各ARマーカに環境マップ(環境情報)を生成し、また、環境マップ生成部29は、所定時間間隔で、環境マップを更新してもよ」いことから、上記(イ)を踏まえると、引用発明の「情報処理方法」は、本願発明1の「前記マーカー(112)の周囲に配置された前記物体(110)の前記物体部分(114)は、新しい自然マーカーを作成し保存するために抽出される、ステップ」に相当する構成を含むといえる。
ケ 引用発明においては、「端末装置12は、運用プログラム等の対応するアプリケーションを起動し、撮像部22等による撮影により実空間における画像(動画像でも静止画像でもよい)を取得し、次に、判定部26は、取得した画像中からARマーカの有無を判定し、その判定結果からARマーカを認識したか否かを判断し」、「ARマーカが認識できなかった場合、現在の取得画像より所定フレーム(Nフレーム)前までにマーカ認識済み(マーカ検出済み)であったか否かを判断し、マーカ認識済みである場合、認識部27は、そのARマーカに環境マップがあるか否かを判断し、環境マップがある場合、認識部27は、その環境マップと現在の取得画像との特徴点のマッチング(比較)を行い、次に、認識部27は、マッチング処理によるマッチ率(一致度)が予め設定された閾値以上か否かを判断し、閾値以上である場合、コンテンツ生成部28は、環境マップが設定されたマーカIDに対応するARコンテンツを生成し、表示部24に表示させ」るものであって、上記ウ(ア)を参照すると、引用発明では、「ARコンテンツを、画像データに対してARマーカの表示位置(座標)を基準にした相対的な座標位置に重畳表示」し、また、上記ク(イ)を参照すると、引用発明においては、「オブジェクトトラッキング」を用いて、「例えばARマーカの認識後に、そのARマーカを認識していなくても画像上の環境に対する特徴点情報(環境マップ)等に基づいて位置情報のトレースを可能とする」ことから、
引用発明は、「環境マップ」及び「ARコンテンツ」を用いて、「画像データに対して」、「ARコンテンツ」を「重畳表示」する「座標位置」を確認する動作を行うものといえる。したがって、引用発明の当該確認する動作は、本願発明1の「前記物体データ(134)及び前記仮想画像及び音声データ(140)を使用して、前記物体部分(114)の前記複製物(118)を参照して、前記仮想複製物(124)及び前記音響データを表現するための位置決め規則(142)を確認するステップ(492)」とは、「前記物体データ(134)及び前記仮想画像及び音声データ(140)を使用して、前記物体部分(114)の前記複製物(118)を参照して、前記仮想物(124)及び前記音響データを表現するための位置決め規則(142)を確認するステップ(492)」を含む点で共通する。
コ 上記ク(イ)及びケを参照すると、引用発明は、「ARマーカが認識できなかった場合」に、「環境マップ」として「例えば壁掛け時計や絵画、壁紙、置物等の実物体」の「いわゆる自然マーカ」が代わりに使用され、「環境マップが設定されたマーカIDに対応するARコンテンツを生成し、表示部24に表示させ」ることから、引用発明の「情報処理方法」は、本願発明1の「前記物体部分(114)の前記複製物(118)は、前記仮想複製物(124)及び前記音響データを位置決めするための前記マーカー(112)の代替として使用される、ステップ」と、「前記物体部分(114)の前記複製物(118)は、前記仮想物(124)及び前記音響データを位置決めするための前記マーカー(112)の代替として使用される、ステップ」を含む点で共通する。
サ 上記ケに示したとおり、引用発明は、「環境マップ」及び「ARコンテンツ」を用いて、「画像データに対して」、「ARコンテンツ」を「重畳表示」する「座標位置」を確認する動作を行うものといえるから、引用発明の「情報処理方法」は、本願発明1の「前記現実シーン(106)の更なる光学的及び音響的複製物(120)に前記仮想複製物(124)および前記音響データを重ね合わせるために、前記位置決め規則(142)を使用するステップ(494)」と、「前記現実シーン(106)の更なる光学的複製物(120)に前記仮想物(124)および前記音響データを重ね合わせるために、前記位置決め規則(142)を使用するステップ(494)」を含む点で共通する。
シ 上記イ及びカを踏まえると、引用発明は本願発明1の「前記読み取るステップ(480、488)」に相当する構成を備え、また、上記エ、ク(ア)及び(イ)を踏まえると、引用発明は本願発明1の「前記決定するステップ(484、486)」に相当する構成を備え、また、上記ク(ウ)を踏まえると、引用発明は本願発明1の「新しい自然マーカーを作成し保存する」ステップに相当する構成を含み、また、上記ケを踏まえると、引用発明は本願発明1の「前記確認するステップ(492)」に相当する構成を含み、上記サを踏まえると、引用発明は本願発明1の「前記使用するステップ(494)」に相当する構成を含んでいる。
そして、引用発明において、上記イに示した「実空間」の「画像」を「撮影」すること、また、上記エに示した「ARマーカに関する情報(例えば、マーカID、ARマーカの位置情報等)」を「取得」すること、また、上記カに示した「ARマーカを認識し」て得られた「マーカID」を使用して、「マーカID」に「対応付けられているARコンテンツ」を「取得」すること、また、上記ケ及びサに示した「画像データに対して」、「ARコンテンツ」を「重畳表示」する「座標位置」を確認することは、少なくとも「ARコンテンツ」を「継続して表示させる」ために、連続して繰り返しているといえる。ここで、一般に、特定の動作を「連続して繰り返す」ということは、当該特定の動作を所定の時間間隔で行うことを意味するといえる。
したがって、引用発明は、本願発明1の「前記読み取るステップ(480、488)、前記決定するステップ(484、486)と新しい自然マーカーを作成し保存するステップ、前記確認するステップ(492)、および前記使用するステップ(494)を連続的に繰り返すステップが、短い時間間隔、特に1秒あたり数回で実施されて、新しい自然マーカーが連続的に作成され保存される」構成とは、「前記読み取るステップ(480、488)、前記決定するステップ(484)、前記確認するステップ(492)、および前記使用するステップ(494)を連続的に繰り返すステップが、所定の時間間隔で実施される」構成を備える点で共通する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
<一致点>
「 現実シーンの光学的な複製物に仮想の三次元又は二次元の画像及び音声データを重ね合わせる方法であって、前記方法は、複製物データを読み取るステップ(480)であって、前記複製物データは、携帯デバイス(100)の少なくとも1つの環境センサ(102)によって取り込まれた前記現実シーン(106)の画像複製物(108)を表現する画像データ(364)を表現する、ステップと、前記画像データ(364)からマーカーデータ(132)を決定するステップ(484)であって、続きを表示(全14行)前記マーカーデータ(132)は、前記現実シーン(106)内に配置されたマーカー(112)の複製物(116)及び位置決めを表現する、ステップと、前記マーカーデータ(132)を使用して、複数(252)の仮想画像及び音声データ(140)から選択された、画像及び音声データを表現する仮想画像及び音声データ(140)を読み取るステップ(488)であって、前記仮想画像及び音声データ(140)は、仮想物(124)として表現するための表現命令と、前記仮想物(124)を位置決めするための位置決め命令と、音響データを再生するための命令と、を含む、ステップと、前記複製物データから物体データ(134)を決定するステップ(486)であって、前記物体データ(134)は、画像(118)、並びに前記現実シーン(106)内の前記マーカー(112)の周囲に配置された物体(110)の物体部分(114)の位置決めからなり、前記マーカー(112)の周囲に配置された前記物体(110)の前記物体部分(114)は、新しい自然マーカーを作成し保存するために抽出される、ステップと、前記物体データ(134)及び前記仮想画像及び音声データ(140)を使用して、前記物体部分(114)の前記複製物(118)を参照して、前記仮想物(124)及び前記音響データを表現するための位置決め規則(142)を確認するステップ(492)であって、前記物体部分(114)の前記複製物(118)は、前記仮想物(124)及び前記音響データを位置決めするための前記マーカー(112)の代替として使用される、ステップと、前記現実シーン(106)の更なる光学的複製物(120)に前記仮想物(124)および前記音響データを重ね合わせるために、前記位置決め規則(142)を使用するステップ(494)と、を含み、前記読み取るステップ(480、488)、前記決定するステップ(484)前記確認するステップ(492)、および前記使用するステップ(494)を連続的に繰り返すステップが、所定の時間間隔で実施される、方法。」
<相違点>
(相違点1)
複製物データは、本願発明1では、「更に、前記携帯デバイス(100)の少なくとも1つの更なる環境センサ(103)によって取り込まれた前記現実シーン(106)の音響的複製物を表現する音声データ(365)を表現する」ものであるのに対し、引用発明では、「端末装置12」に「マイクロフォン41」を備えるものの、当該「マイクロフォン41」に入力された音の「音響的複製物」を出力する構成は特定されておらず、したがって、本願発明1のような「環境センサ(103)によって取り込まれた前記現実シーン(106)の音響的複製物を表現する音声データ(365)を表現する」構成は特定されていない点。
(相違点2)
仮想画像及び音声データ(140)は、本願発明1では、「三次元的に定義された物体及び/又は様々な角度から取り込まれた物体のキャプチャの選択項目である仮想複製物(124)」であるのに対し、引用発明では、「ARコンテンツ」として「例えばテキスト、アイコン、アニメーション、マーク、模様、画像、映像等の様々な形態が含まれ」るとあるように、仮想物といえるものの、本願発明1のような「三次元的に定義された物体及び/又は様々な角度から取り込まれた物体のキャプチャの選択項目である仮想複製物」であるとの特定はされていない点。
(相違点3)
仮想画像及び音声データ(140)における、音響データを再生するための命令は、本願発明1では、「音響データを再生するための位置決め命令」であるのに対し、引用発明には、音響データを再生するための「位置決め」について特定されていない点。
(相違点4)
「前記読み取るステップ(480、488)、前記決定するステップ(484)、前記確認するステップ(492)、および前記使用するステップ(494)を連続的に繰り返すステップが、所定の時間間隔で実施される」構成において、本願発明は、さらに、「前記決定するステップ(486)と新しい自然マーカーを作成し保存するステップを連続的に繰り返すステップ」が、所定の時間間隔で実施されて、「新しい自然マーカーが連続的に作成され保存される」のに対し、引用発明にはそのような特定がされていない点。
(相違点5)
連続的に繰り返すステップにおいて、「所定の時間間隔で実施される」のは、本願発明1では、「短い時間間隔、特に1秒あたり数回で」実施されるのに対し、引用発明には、そのような特定がされていない点。
<相違点についての判断>
事案に鑑み、先に相違点4について検討する。
上記相違点4に係る本願発明1の「前記決定するステップ(486)と新しい自然マーカーを作成し保存するステップを連続的に繰り返すステップ」が、所定の時間間隔で実施されて、「新しい自然マーカーが連続的に作成され保存される」構成は、引用文献1-3のいずれにも記載も示唆もされておらず、本願の優先日前において周知技術であったとも認められない。
特に、引用発明(引用文献2に記載された発明)には、「判定部26は、取得画像にARマーカが含まれるか否かを判定し、例えば、撮像部22により得られる撮影画像に対して画像認識を行い、予め設定された複数のARマーカ画像とのマッチングを行って画像中におけるARマーカの有無を判定し、また、判定部26は、ARマーカ認識からオブジェクトトラッキング処理への切り替えの判定をし、判定部26における判定は、定期的、又は端末装置12の撮影位置が所定の距離以上移動した場合等の所定のタイミングで行」い、そして、「環境マップ生成部29は、判定部26による判定結果により、取得画像に1又は複数の複数のARマーカが存在すると判定された場合に、認識部27により認識された各ARマーカに環境マップ(環境情報)を生成」することが記載されており、判定部26における判定は「定期的」との特定がされているものの、当該「定期的」な判定により、「取得画像に1又は複数の複数のARマーカが存在すると判定された場合に、」その「認識された各ARマーカに環境マップ(環境情報)を生成」するのであるから、「環境マップ」の生成は、「ARマーカが存在すると判定された場合」に依存しており、「環境マップ」を生成するステップ自体は連続的に繰り返されるものとはいえない。
さらに、引用発明では、「ARコンテンツの表示例」として、「遮蔽物64によりARマーカ61-1をロストした場合(認識不能になった場合)、ARマーカ61-2に対応する環境マップを用いて、ARマーカ61-1の相対位置を取得し、取得した位置に対応させてARコンテンツ70-1,70-2を継続して表示させることができ、また、ARマーカ61-1,61-2の両方がロストした場合でも、一方の環境マップを用いて各ARマーカ61-1,61-2の位置を取得することができ、なお、上述の処理は、例えば現在の取得画像より所定フレーム(Nフレーム)前までにマーカ認識済みであったか否かを判断し、所定フレーム前までマーカ認識済みであった場合に行ってもよく、これにより、ARマーカ61が遮蔽物64等により遮蔽されてから所定時間(所定フレーム数)の間だけ、ARコンテンツ70を表示させることができる」とあることから、引用発明における「環境マップ」は「連続的に作成され保存される」ものとはいえず、ARマーカが認識された際に生成されるものと把握できる。
なお、引用発明には、「環境マップ生成部29は、判定部26による判定結果により、取得画像に1又は複数の複数のARマーカが存在すると判定された場合に、認識部27により認識された各ARマーカに環境マップ(環境情報)を生成し、また、環境マップ生成部29は、所定時間間隔で、環境マップを更新してもよ」いとの特定もあるものの、当該下線で示した部分は、「ARマーカが存在すると判定された場合」において、「所定時間間隔で、環境マップを更新」するものと把握でき、「ARマーカが存在すると判定された場合」に依存せずに、「環境マップ」を連続的に繰り返して生成するものとはいえない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明、引用文献1及び3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2.本願発明2-11について
本願発明2-11は、本願発明1を減縮した発明であるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献1及び3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
3.本願発明12、13について
本願発明12は、本願発明1-11のいずれか一項に記載の方法の前記ステップを実現するための装置の発明であるから、上記相違点4に係る本願発明1の「前記決定するステップ(486)と新しい自然マーカーを作成し保存するステップを連続的に繰り返すステップ」が、所定の時間間隔で実施されて、「新しい自然マーカーが連続的に作成され保存される」構成を有している。また、本願発明13は、本願発明12を減縮した発明である。したがって、本願発明12及び13は、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献1及び3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
4.本願発明14について
本願発明14は、本願発明1-11のいずれか一項に記載の方法を実施する、コンピュータプログラムを格納した記憶媒体の発明であるから、上記相違点4に係る本願発明1の「前記決定するステップ(486)と新しい自然マーカーを作成し保存するステップを連続的に繰り返すステップ」が、所定の時間間隔で実施されて、「新しい自然マーカーが連続的に作成され保存される」構成を有している。したがって、本願発明14は、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献1及び3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
第6 原査定について
1.理由2(特許法第36条第6項第2号)について
原査定では、「コンピュータプログラム製品」との記載について不明確である旨の通知をしていたが、令和3年10月22日になされた手続補正により、「コンピュータプログラム製品」を「コンピュータプログラムを格納した記憶媒体」とする補正がなされ、明確となったことから、原査定の理由2を維持することはできない。
2.理由3(特許法第29条第2項)について
上記「第5 対比・判断」で示したとおり、本願発明1-14は、原査定において引用された引用文献1-3に基づいて、容易に発明できたものとはいえないから、原査定の理由3を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明1-14は、当業者が引用発明、引用文献1及び3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-014363