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特許拒絶査定不服審判

2021-014154

親局通信装置、光通信ネットワークシステム、及び通信システム

審判番号
2021-014154
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-107101外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年10月19日
審決日
2022年09月06日
公報発行日
2022年10月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H04L) / P18 .537-WY (H04L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-107101「親局通信装置、光通信ネットワークシステム、及び通信システム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年12月27日出願公開、特開2018-207180、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、平成29年5月30日の出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。

令和3年 1月18日付け:拒絶理由通知書
令和3年 3月25日: 意見書、手続補正書の提出
令和3年 7月14日付け:拒絶査定
令和3年10月19日: 審判請求書、手続補正書の提出
令和4年 4月27日付け:拒絶理由通知書(以下、「当審拒絶理由」と

いう。)

令和4年 7月11日: 意見書、手続補正書の提出

第2 本願発明

本願請求項1-5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明5」という。)は、令和4年7月11日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
無線通信端末と無線信号を送受信する無線アンテナを有する複数の無線アンテナ装置と、前記無線アンテナ装置を介して前記無線通信端末との信号の送受信処理を行う信号処理装置との間のデータ伝送を行う光通信ネットワークシステムを構成する親局通信装置において、
それぞれの前記無線アンテナ装置に接続された子局通信装置と、スター型ネットワークにより接続し、前記信号処理装置から供給されたデータを処理して前記子局通信装置への下り信号として送出する処理、及びそれぞれの前記子局通信装置から受信した上り信号を処理して前記信号処理装置に送信するトランスポート部と、
前記信号処理装置がそれぞれの前記無線アンテナ装置を制御する内容を示すアンテナ制御情報を取得するアンテナ制御情報取得手段と、
続きを表示(全14行)
前記トランスポート部が接続する前記子局通信装置のそれぞれに対して、非省電力モード又は複数の省電力モードのいずれかの動作モードで動作するように制御する省電力制御処理を行う省電力制御手段と、
前記アンテナ制御情報取得手段が取得したアンテナ制御情報に基づいて、前記省電力制御手段が行う省電力制御処理の内容を決定する省電力制御決定手段とを有し、
それぞれの前記子局通信装置及びそれぞれの前記無線アンテナ装置は、非省電力モードと、省電力効果が高いほど指示を受けてから非省電力モードへ復帰させる復帰処理が完了するまでの復帰処理時間が長くなる複数段階の省電力モードを含む動作モードに対応しており、
前記信号処理装置は、
それぞれの前記無線アンテナ装置について設置位置に対応する領域を管理しており、
対応する領域である自領域に前記無線通信端末が存在しておらず、かつ、非省電力動作モードで動作する前記無線アンテナ装置について、次に非省電力モードで動作を開始していなければならないタイミングを示す動作開始必要タイミングの情報と、それぞれの省電力モードの復帰処理時間の情報とを保持し、前記動作開始必要タイミングよりも前に前記復帰処理を完了して非省電力モードに復帰可能であり、かつ、最も省電力効果の高い省電力モードを選択し、
自領域に前記無線通信端末が存在しておらず、かつ、非省電力動作モードで動作する前記無線アンテナ装置に対して、選択した省電力モードで動作するように指示する情報を設定したアンテナ制御情報を送信し、
自領域に隣接する隣接領域に前記無線通信端末が存在する場合の前記動作開始必要タイミングよりも、隣接領域に前記無線通信端末が存在しない場合の前記動作開始必要タイミングを後のタイミングに設定し、
前記省電力制御決定手段は、アンテナ制御情報に基づいて、いずれかの段階の省電力モードに移行することの指示を受けた前記無線アンテナ装置を検出すると、その前記無線アンテナ装置に対応する前記子局通信装置に対してアンテナ制御情報で指示された段階に対応する段階の省電力モードに移行することを決定する
ことを特徴とする親局通信装置。」

なお、本願発明2-5の概要は以下のとおりである。

本願発明2-3は、本願発明1を減縮した発明である。

本願発明4は、本願発明1-3のいずれかの「親局通信装置」を引用する「光通信ネットワークシステム」の発明である。

本願発明5は、本願発明4の「光通信ネットワークシステム」を引用する「通信システム」の発明である。

第3 引用文献、引用発明等

1 引用文献1及び引用発明

(1) 引用文献1

原査定において引用された引用文献1(特開2017-46050号公報)には、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。

ア 段落【0002】-【0008】

【背景技術】

【0002】

急増するモバイルのトラフィックを収容するために、従来と比べてカバーエリアの狭い無線基地局(スモールセル)を多数設置することによって、単位面積当たりのスループットを向上させる技術がある。スモールセルは、ベースバンド処理部(BBU:Base Band Unit)と、リモート無線送受信部(RRH:Remote Radio Head)とを含んで構成される。

【0003】

BBUは、無線通信の管理制御や信号処理を行う。例えばLTE(Long Term Evolution)サービスでは、BBUは、上位ネットワークから受け取ったIP(Internet Protocol)パケットをOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号に変調してRRHに送る。また、BBUは、RRHから受け取ったOFDM信号をIPパケットに復調して上位ネットワークに送る。

【0004】

RRHは、BBUから受け取ったOFDM信号を増幅し、アンテナを利用してUE(User Equipment)に送る。また、RRHは、UEから受け取ったOFDM信号を増幅してBBUに送る。

【0005】

BBUとRRHとを接続する構成として、C-RAN(Central Radio Access Network)構成がある。C-RAN構成では、複数のBBUを1台の装置に統合し、各BBUのそれぞれをRRHと光ファイバで一対一接続する。これによって、C-RAN構成では、スモールセルを効率的に数多く設置することができる。

【0006】

しかし、C-RAN構成では、必要な光ファイバの数が、スモールセルの設置数に比例する。そのため、スモールセルの設置数が増加するに従い、光ファイバの維持や敷設のた

めのコストが増大するという問題がある。

【0007】

このような問題に鑑みて、BBUとRRHとの間のネットワーク、すなわちMFH(Mobile Front Haul)として、受動型光加入者ネットワーク(PON:Passive Optical Network)を利用することが提案されている(例えば非特許文献1参照)。

【0008】

PONは、局内に設けられる1つの局側装置(OLT:Optical Line Terminal)と、加入者宅にそれぞれ設けられる複数の加入者側装置(ONU:Optical Network Unit)と、光カプラとを備えて構成される。OLT及びONUと、光カプラとは、いわゆるスター型光ファイバで接続される。スター型光ファイバでは、OLTと光カプラの間の接続に、一芯の光ファイバが用いられる。この一芯の光ファイバは、光カプラによって分岐され複数のONUにより共有される。

イ 段落【0095】-【0098】

「【0095】
既に説明したように、スリープ制御部は、周期的に図5に示す処理フローを行う。
【0096】
PONにおける上り光信号及び下り光信号の帯域割当は、動的帯域割当(DBA:Dynamic Bandwidth Allocation)周期で更新される。そのため、スリープ制御を行う最小周期はDBA周期となる。
【0097】
図9に示すように、OLT-MACは、DBA周期で、スリープ制御部に各ONUの使用帯域情報を通知する。スリープ制御部は、取得した使用帯域情報を用いて、図5に示すスリープ制御の処理フローを行う。
【0098】
各ONUの使用帯域が小さい時間帯では、スリープ候補ONUグループの特定が可能である。その場合には、上述したように、スリープ候補ONUグループに対応するスリープ候補RRHグループをスリープさせるRRH及びONUとして決定する。一方、各ONUの使用帯域が大きい時間帯では、スリープ候補ONUグループの特定が不可能となる。その場合には、いずれのRRH及びONUもスリープ状態に移行させない、すなわち全てのRRH及びONUをアクティブ状態とする決定をする。」

ウ 【図11】-【図12】

「
[図:0001389080000001.jpg]
[図:0001389080000002.jpg]
」

エ 段落【0103】-【0128】

「【0103】
<第2の実施の形態>
(スモールセル)
第1の実施の形態では、MFHにTDMPONを利用する場合の構成例について説明した(図1参照)。しかし、上述したスリープ制御方法は、MFHにTDM及びWDMを併用したPON(TDM/WDM-PON)を利用するスモールセルに対して用いることもできる。そこで、第2の実施の形態として、MFHにTDM/WDM-PONを利用するスモールセルについて説明する。
続きを表示(全42行)
【0104】
まず、図11を参照して、MFHにTDM/WDM-PONを利用した場合のスモールセルの構成について説明する。図11は、TDM/WDM-PONを使用したスモールセルの模式図である。なお、第1の実施の形態におけるスモールセルと同様の構成要素については、共通する符号を付し、重複する説明を省略する。
【0105】
スモールセル20において、BBU500及びRRH600間のMFHは、TDM/WDM-PON25を利用して接続される。
【0106】
TDM/WDM-PON25は、OLT150と、光カプラ300と、複数のONU400とを含んで構成されている。OLT150は、管理部160、スイッチング素子170、複数の終端装置(OSU:Optical Subscriber Unit)200、及び合分波部180を有している。複数のOSU200は、光カプラ300に光ファイバで接続されている。また、複数のONU400も、それぞれ光カプラ300に光ファイバで接続されている。
【0107】
BBU500は、OSU200とそれぞれ一対一接続されている。また、RRH600は、それぞれONU400と一対一接続されている。なお、図11では、それぞれ4台のOSU200-1~4及びBBU500-1~4、並びにそれぞれ6台のONU400-1~6及びRRH600-1~6を備える構成例を示しているが、OSU200、BBU500、ONU400及びRRH600の数はこれに限定されない。
【0108】
ONU400は、UE700から受け取った上りデータと、帯域の要求などを行う上り制御信号を含む上り光信号を生成し、OSU200に送信する。
【0109】
OSU200は、BBU500から受け取った下りデータと、ONU400を管理するための下り制御信号を含む下り光信号を生成し、ONU400に送信する。
【0110】
ここで、TDM/WDM-PON25では、ONU400は、複数のOSU200のうちのいずれかに登録されればよい。
【0111】
TDM/WDM-PON25では、各OSU200に、それぞれ異なる波長が割り当てられる。そして、各OSU200は、割り当てられた波長の下り光信号を送信する。また、各OSU200は、割り当てられた波長の上り光信号を受信する。
【0112】
一方、ONU400は、登録されるOSU200が受信可能な波長の上り光信号を送信する。このとき、同じOSU200に登録されている他のONU400からの上り光信号が重ならないように、同じOSU200に登録されている各ONU400には、それぞれ異なる送信タイミングが割り当てられる。ONUは、OLTが指定した送信タイミングで、割り当てられた時間軸上の区間を利用し、上り光信号を送信する。
・・・(中略)・・・
【0118】
(OSU及びBBU)
図12を参照して、この実施形態に係るOSU及びBBUについて説明する。図12は、OSU及びBBUの模式図である。
【0119】
この実施の形態によるOSU及びBBUは、OSUが備えるOSU-MACを除いて、上述した第1の実施の形態におけるOLT及びBBUの構成と同様に構成することができる(図2参照)。そこで、第1の実施の形態におけるOLT及びBBUと同様の構成要素については、共通する符号を付し、重複する説明を省略する。
【0120】
OSU-MAC235は、下り制御信号を生成する。下り制御信号には、ONUに通知する、上り光信号の送信時刻及び送信波長、下り光信号の受信波長、並びにスリープ指示の情報等が含まれる。既に説明したように、TDM/WDM-PON25では、ONU400は、登録されたOSU200との間において、特定の波長で通信を行う。そのため、例えばDWAの結果、ONU400の管理先を切り替える場合などには、管理部160の指示によって、ONU400に対して、送信先のOSU200に応じた特定の波長で上り光信号を送信するように、また、送信先のOSU200に応じた特定の波長の下り光信号を受信するように、下り制御信号によって指示する。また、OSU-MAC235は、ONUから送られる上り制御信号に含まれる情報を読み取る。上り制御信号には、ONUの使用帯域の情報等が含まれる。このような下り制御信号の生成や上り制御信号の読み取り等の機能は、OSU-MAC235が実行するプログラムにより実現される。これら機能の処理結果等は、適宜RAM等の記憶部(図示せず)に格納される。
【0121】
また、OSU-MAC235が読み取った使用帯域の情報は、スリープ制御部245及び管理部160に送られる。
【0122】
スリープ制御部245は、OSU-MAC235から受け取った各ONUの使用帯域の情報、及びBBUから受け取った各RRHのカバーエリアの情報に基づいて、スリープさせるONU及びRRHを決定する。スリープ制御部245は、決定した、スリープさせるONUをOSU-MAC235及び管理部160に通知する。また、スリープ制御部240は、決定した、スリープさせるRRHをBBUに通知する。
【0123】
なお、図12では、スリープ制御部245を、OSU-MAC235から独立して設ける構成例について説明した。しかし、スリープ制御部245を、OSU-MAC235の一機能手段として構成することもできる。また、スリープ制御部245を、OSU200ではなく、BBU500に設けることもできる。さらに、スリープ制御部245を、各OSU200にそれぞれ設けるのではなく、管理部160の一機能手段として構成することもできる。
・・・(中略)・・・
【0127】
(スリープ制御方法及びDWA制御方法)
この実施形態に係るスリープ制御方法及びDWA制御方法について説明する。
【0128】
OSUのスリープ制御部は、自身が管理するOSU及びそれらOSUと接続されたRRHを対象として、周期的にスリープ制御を行う。スリープ制御部がスリープ制御を行う周期は、OLTの管理部がDWAを行う周期(DWA周期)に対応する。なお、この実施の形態におけるスリープ制御方法の処理フローは、図5を参照して説明した第1の実施の形態の処理フローと同様であるため、説明を省略する。」

(2) 引用発明

よって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。

「無線基地局(スモールセル)は、ベースバンド処理部(BBU:Base Band Unit)と、リモート無線送受信部(RRH:Remote Radio Head)とを含んで構成され、
RRHは、BBUから受け取ったOFDM信号を増幅し、アンテナを利用してUE(User Equipment)に送り、また、RRHは、UEから受け取ったOFDM信号を増幅してBBUに送り、
BBUとRRHとの間のネットワークとして、受動型光加入者ネットワーク(PON:Passive Optical Network)を利用し、
局内に設けられる1つの局側装置(OLT:Optical Line Terminal)と、加入者宅にそれぞれ設けられる複数の加入者側装置(ONU:Optical Network Unit)と、光カプラとは、いわゆるスター型光ファイバで接続され、
続きを表示(全20行)
スモールセル20において、BBU500及びRRH600間は、TDM/WDM-PON25を利用して接続され、
TDM/WDM-PON25は、OLT150と、光カプラ300と、複数のONU400とを含んで構成され、
OLT150は、管理部160、スイッチング素子170、複数の終端装置(OSU:Optical Subscriber Unit)200、及び合分波部180を有し、
BBU500は、OSU200とそれぞれ一対一接続され、
RRH600は、それぞれONU400と一対一接続され、
OSU200は、BBU500から受け取った下りデータと、ONU400を管理するための下り制御信号を含む下り光信号を生成し、ONU400に送信し、
ONU400は、登録されるOSU200が受信可能な波長の上り光信号を送信し、
OSU-MAC235は、下り制御信号を生成し、下り制御信号には、ONUに通知する、スリープ指示の情報等が含まれ、
スリープ制御部245は、OSU-MAC235から受け取った各ONUの使用帯域の情報、及びBBUから受け取った各RRHのカバーエリアの情報に基づいて、スリープさせるONU及びRRHを決定し、
スリープ制御部245は、決定した、スリープさせるONUをOSU-MAC235及び管理部160に通知し、
また、スリープ制御部240は、決定した、スリープさせるRRHをBBUに通知し、
なお、この実施の形態におけるスリープ制御方法の処理フローは、
OLT-MACは、動的帯域割当(DBA:Dynamic Bandwidth Allocation)周期で、スリープ制御部に各ONUの使用帯域情報を通知し、スリープ制御部は、取得した使用帯域情報を用いて、スリープ制御の処理フローを行い、
各ONUの使用帯域が小さい時間帯では、スリープ候補ONUグループの特定が可能であり、その場合には、スリープ候補ONUグループに対応するスリープ候補RRHグループをスリープさせるRRH及びONUとして決定し、
一方、各ONUの使用帯域が大きい時間帯では、スリープ候補ONUグループの特定が不可能となり、その場合には、いずれのRRH及びONUもスリープ状態に移行させない、すなわち全てのRRH及びONUをアクティブ状態とする決定をする、
OLT150。」

2 引用文献2-8について

(1) 引用文献2

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2016-225864号公報)には、段落【0016】に、以下の記載がある。

「【0016】
一方、PONシステムには、光アクセスネットワークでの低消費電力性を高めるため、スリープ機能が付加されている。
図20は、スリープ機能を有するPONシステムの構成例を示す図である。
下りリンクに関して、OLT950は、上位装置から信号を受信した後に、バッファ部210にその信号を待機させる。OLT950は、バッファ部210から読み出された順に信号を下りフレーム処理部220に出力する。下りフレーム処理部220は、バッファ部210から出力された信号のフレームを、PONシステムで用いられるフレームに変換する。このとき、下りフレーム処理部220は、スリープ/起動制御部951からスリープ機能に関する制御情報を受け取り、制御信号としてフレームに挿入する。E/O変換部は230、上り信号を電気信号から光信号に変換した後に、光ファイバ500に送る。ONU960のO/E変換部310は、光ファイバ500により伝送された光信号を受信して電気信号に変換し、下りフレーム処理部320に出力する。下りフレーム処理部320は、O/E変換部310から受信した信号を、PONフレームから所望のフレームに変換し、下位装置に出力する。ここで、下りフレーム処理部320は、OLT950から送信されたスリープ機能に関する制御信号を電気信号から取得してスリープ/起動命令読取部961に出力する。スリープ/起動命令読取部961は、制御信号がスリープ命令である場合に休止部370に通知し、休止部370は、ONU960をスリープ状態に遷移させる。」

(2) 引用文献3

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2017-22514号公報)には、段落【0033】に、以下の記載がある。

「【0033】
上り必要RB量予想機能15は、例えば、統計情報保持機能13で保持されている統計情報と、要求RB受付機能14で受付した上りRB要求の履歴とに基づいて、次に各UE30から要求される上り方向のRB量を予測する処理を行う。上り必要RB量予想機能15による予測処理については種々の予測アルゴリズムを適用することができるため詳しい説明については省略する。」

(3) 引用文献4

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(特開2014-138327号公報)には、段落【0032】に、以下の記載がある。

「【0032】
通知を受けたパワーセーブ処理部48は、MLD REPORT(join)フレームを受けたということはそれ以降にマルチキャスト配信サーバ26からマルチキャストトラフィックが定期的に流入することが予測されるため、パワーセーブモードをTxモードに設定するようONU12に指示を出す。パワーセーブ処理部48は、LLIDを通知されているので、OLT10の配下のONU12に対して個別にTxモード/TRxモードの設定を指示できる。パワーセーブ処理部48は、OLT10配下のONU12がTxモード/TRxモードのいずれに設定されているか記憶している。」

(4) 引用文献5

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5(特開2011-61714号公報)には、段落【0054】に、以下の記載がある。

「【0054】
本願の請求項1、21、22、23、26、27、28に記載の発明によれば、クライアント端末がこれから移動する目的地を予測し、クライアント端末の現在位置から目的地への移動経路を予測し、さらにこの移動経路上におけるクライアント端末の通信状況を予測して、クライアント端末との間で通信状況に応じた情報転送、同期処理を実行することができる。」

(5) 引用文献6

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献6(再公表特許第2013/187098号)には、段落[0050]に、以下の記載がある。

「[0050] 次に、図2、図4を用いてONU2-1の機能について説明する。ONU2-2~2-4もONU2-1と同様である。ONU2-1は、通信状態としてスリープ(省電力)モードに移行する機能を備えている。ここでいうスリープ(省電力)モードとは上り方向、または下り方向に送信すべきデータがない場合等に、光送信器27のみ、または光送信器27および光受信器26の両方の電源を落とすことで停止させ、消費電力の低減を図るモードである。ここでは、OLT1からONU2-1~2-4に対してスリープ(省電力)モードへの遷移を要求し、ONU2-1~2-4が当該要求に対する応答を送信した後に、スリープモードへ遷移する手順を例に説明する。」

(6) 引用文献7

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献7(再公表特許第2013/108559号)には、段落[0038]に、以下の記載がある。

「[0038] 以下、図7及び図8を参照して、省電力制御システム1の省電力動作を説明する。この省電力動作によれば、加入者側装置20間で異なる処理遅延時間が生じても、局側装置10が加入者側装置20間で省電力動作の周期の位相を一致させる情報(図6に示す時間差ΔTa,ΔTb)を求めることによって、加入者側装置20を互いに同じタイミング(省電力動作の周期の位相が一致した状態)で通信停止状態(スリープ状態)とすることができる。ここで、通信停止状態(スリープ状態)とは、加入者側装置20の光送信部23および光受信部24の両方を停止(送受信機能を停止)させてもよく、また、光送信部23のみを停止(送信機能を停止)させるようにしてもよい。また、省電力動作とは上述の通信停止状態(スリープ状態)と通常動作(一時起動状態)を予め定められた時間交互に行う動作を言う。なお、適宜省電力動作を行う加入者側装置20の状態を省電力モードと呼び、通常動作状態から省電力動作状態へ移行することを省電力モードへ移行するという。また、省電力動作の周期の位相(以下、適宜単に位相と略記する)とは、省電力動作の周期の任意の時間位置を指すものとし、例えば、省電力動作の開始時点等をいうこととする。」

(7) 引用文献8

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献8(再公表特許第2012/114827号)には、段落[0021]に、以下の記載がある。

「[0021] この実施の形態の通信システムには、(1)光送信器141のみ省電力状態にできるONU10、(2) 光送信器141および光受信器142を省電力状態にできるONU10、(3)いずれの省電力状態の制御にも対応できないONU10が混在する。そして、これらのONU10は、以下の2つの省電力モードのいずれか一方に対応、両方に対応、いずれにも不対応、の4つのタイプに分類できる。
[1]Txスリープモード(Tx_only Sleep mode或いはDoze mode):受信機能[Rx]は常時オン状態で、送信機能(Tx)のみ周期的にオンとオフを繰り返す。
[2]TRxスリープモード(TRx Sleep mode或いはCyclic sleep mode):送信機能[Tx]および受信機能[Rx]で周期的にオンとオフを繰り返す。」

第4 対比・判断

1 本願発明1について

(1) 対比

本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「リモート無線送受信部(RRH:Remote Radio Head)」、すなわち、「RRH600」は、「RRHは、BBUから受け取ったOFDM信号を増幅し、アンテナを利用してUE(User Equipment)に送り、また、RRHは、UEから受け取ったOFDM信号を増幅してBBUに送」るから、本願発明1の「無線通信端末と無線信号を送受信する無線アンテナを有する複数の無線アンテナ装置」に相当する。

引用発明の「ベースバンド処理部(BBU:Base Band Unit)」、すなわち、「BBU500」は、本願発明1の「前記無線アンテナ装置を介して前記無線通信端末との信号の送受信処理を行う信号処理装置」に相当する。

引用発明の「受動型光加入者ネットワーク(PON:Passive Optical Network)」、すなわち、「TDM/WDM-PON25」は、「OLT150と、光カプラ300と、複数のONU400とを含んで構成され」るから、本願発明1の「無線通信端末と無線信号を送受信する無線アンテナを有する複数の無線アンテナ装置と、前記無線アンテナ装置を介して前記無線通信端末との信号の送受信処理を行う信号処理装置との間のデータ伝送を行う光通信ネットワークシステム」に相当する。

よって、引用発明の「局側装置(OLT:Optical Line Terminal)」、すなわち、「OLT150」は、本願発明1の「無線通信端末と無線信号を送受信する無線アンテナを有する複数の無線アンテナ装置と、前記無線アンテナ装置を介して前記無線通信端末との信号の送受信処理を行う信号処理装置との間のデータ伝送を行う光通信ネットワークシステムを構成する親局通信装置」に相当する。

イ 引用発明の「加入者宅にそれぞれ設けられる複数の加入者側装置(ONU:Optical Network Unit)」、すなわち、「ONU400」は、本願発明1の「それぞれの前記無線アンテナ装置に接続された子局通信装置」に相当する。

よって、引用発明において、「OLT150」が有する「複数の終端装置(OSU:Optical Subscriber Unit)200」は、「局内に設けられる1つの局側装置(OLT:Optical Line Terminal)と、加入者宅にそれぞれ設けられる複数の加入者側装置(ONU:Optical Network Unit)と、光カプラとは、いわゆるスター型光ファイバで接続され」、「OSU200は、BBU500から受け取った下りデータと、ONU400を管理するための下り制御信号を含む下り光信号を生成し、ONU400に送信し、ONU400は、登録されるOSU200が受信可能な波長の上り光信号を送信し」ているから、本願発明1の「それぞれの前記無線アンテナ装置に接続された子局通信装置と、スター型ネットワークにより接続し、前記信号処理装置から供給されたデータを処理して前記子局通信装置への下り信号として送出する処理、及びそれぞれの前記子局通信装置から受信した上り信号を処理して前記信号処理装置に送信するトランスポート部」に相当する。

ウ 引用発明の「OSU200」が有する「OSU-MAC235」は、「下り制御信号を生成し、下り制御信号には、ONUに通知する、スリープ指示の情報等が含まれ」るから、本願発明1の「前記トランスポート部が接続する前記子局通信装置のそれぞれに対して、非省電力モード又は複数の省電力モードのいずれかの動作モードで動作するように制御する省電力制御処理を行う省電力制御手段」と、「前記トランスポート部が接続する前記子局通信装置のそれぞれに対して、非省電力モード又は省電力モードのいずれかの動作モードで動作するように制御する省電力制御処理を行う省電力制御手段」である点で共通するといえる。

エ 引用発明の「OSU200」が有する「スリープ制御部245」は、「スリープ制御部245は、決定した、スリープさせるONUをOSU-MAC235及び管理部160に通知し」ているから、本願発明1の「前記アンテナ制御情報取得手段が取得したアンテナ制御情報に基づいて、前記省電力制御手段が行う省電力制御処理の内容を決定する省電力制御決定手段」と、「前記省電力制御手段が行う省電力制御処理の内容を決定する省電力制御決定手段」である点で共通するといえる。

オ 引用発明の「スリープ制御部245は、OSU-MAC235から受け取った各ONUの使用帯域の情報、及びBBUから受け取った各RRHのカバーエリアの情報に基づいて、スリープさせるONU及びRRHを決定し」ていることは、本願発明1の「それぞれの前記子局通信装置及びそれぞれの前記無線アンテナ装置は、非省電力モードと、省電力効果が高いほど指示を受けてから非省電力モードへ復帰させる復帰処理が完了するまでの復帰処理時間が長くなる複数段階の省電力モードを含む動作モードに対応して」いることと、「それぞれの前記子局通信装置及びそれぞれの前記無線アンテナ装置は、非省電力モードと、省電力モードを含む動作モードに対応して」である点で共通するといえる。

カ 引用発明の「スリープ制御部245は、OSU-MAC235から受け取った各ONUの使用帯域の情報、及びBBUから受け取った各RRHのカバーエリアの情報に基づいて、スリープさせるONU及びRRHを決定し」ていることは本願発明1の「前記信号処理装置は、

それぞれの前記無線アンテナ装置について設置位置に対応する領域を管理しており、

対応する領域である自領域に前記無線通信端末が存在しておらず、かつ、非省電力動作モードで動作する前記無線アンテナ装置について、次に非省電力モードで動作を開始していなければならないタイミングを示す動作開始必要タイミングの情報と、それぞれの省電力モードの復帰処理時間の情報とを保持し、前記動作開始必要タイミングよりも前に前記復帰処理を完了して非省電力モードに復帰可能であり、かつ、最も省電力効果の高い省電力モードを選択し、

自領域に前記無線通信端末が存在しておらず、かつ、非省電力動作モードで動作する前記無線アンテナ装置に対して、選択した省電力モードで動作するように指示する情報を設定したアンテナ制御情報を送信し、

自領域に隣接する隣接領域に前記無線通信端末が存在する場合の前記動作開始必要タイミングよりも、隣接領域に前記無線通信端末が存在しない場合の前記動作開始必要タイミングを後のタイミングに設定し、

前記省電力制御決定手段は、アンテナ制御情報に基づいて、いずれかの段階の省電力モードに移行することの指示を受けた前記無線アンテナ装置を検出すると、その前記無線アンテナ装置に対応する前記子局通信装置に対してアンテナ制御情報で指示された段階に対応する段階の省電力モードに移行することを決定する」ことと、「前記信号処理装置は、

それぞれの前記無線アンテナ装置について設置位置に対応する領域を管理して」いる点で共通するといえる。

よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。

[一致点]

「無線通信端末と無線信号を送受信する無線アンテナを有する複数の無線アンテナ装置と、前記無線アンテナ装置を介して前記無線通信端末との信号の送受信処理を行う信号処理装置との間のデータ伝送を行う光通信ネットワークシステムを構成する親局通信装置において、
それぞれの前記無線アンテナ装置に接続された子局通信装置と、スター型ネットワークにより接続し、前記信号処理装置から供給されたデータを処理して前記子局通信装置への下り信号として送出する処理、及びそれぞれの前記子局通信装置から受信した上り信号を処理して前記信号処理装置に送信するトランスポート部と、
前記トランスポート部が接続する前記子局通信装置のそれぞれに対して、非省電力モード又は省電力モードのいずれかの動作モードで動作するように制御する省電力制御処理を行う省電力制御手段と、
前記省電力制御手段が行う省電力制御処理の内容を決定する省電力制御決定手段とを有し、
それぞれの前記子局通信装置及びそれぞれの前記無線アンテナ装置は、非省電力モードと、省電力モードを含む動作モードに対応しており、
前記信号処理装置は、
それぞれの前記無線アンテナ装置について設置位置に対応する領域を管理している、
ことを特徴とする親局通信装置。」

[相違点1]

本願発明1の「親局通信装置」は、「前記信号処理装置がそれぞれの前記無線アンテナ装置を制御する内容を示すアンテナ制御情報を取得するアンテナ制御情報取得手段」を有しているのに対して、引用発明では「アンテナ制御情報取得手段」を有していない点。

[相違点2]

本願発明1は、「前記アンテナ制御情報取得手段が取得したアンテナ制御情報に基づいて、前記省電力制御手段が行う省電力制御処理の内容を決定する省電力制御決定手段」を有するのに対し、引用発明では、「前記アンテナ制御情報取得手段が取得したアンテナ制御情報に基づいて」スリープ制御を行うことが特定されていない点。

[相違点3]

本願発明1は、「省電力制御手段」が非省電力モードと「複数の」省電力モードのいずれかの動作モードで動作するように制御を行い、「それぞれの前記子局通信装置及びそれぞれの前記無線アンテナ装置は、非省電力モードと、省電力効果が高いほど指示を受けてから非省電力モードへ復帰させる復帰処理が完了するまでの復帰処理時間が長くなる複数段階の省電力モードを含む動作モードに対応して」いるのに対し、引用発明のスリープ制御において、「複数の」省電力モードとして、「復帰処理時間」の異なる「複数段階」が存在することが特定されていない点。

[相違点4]

本願発明1では、スリープ制御において、「対応する領域である自領域に前記無線通信端末が存在しておらず、かつ、非省電力動作モードで動作する前記無線アンテナ装置について、次に非省電力モードで動作を開始していなければならないタイミングを示す動作開始必要タイミングの情報と、それぞれの省電力モードの復帰処理時間の情報とを保持し、前記動作開始必要タイミングよりも前に前記復帰処理を完了して非省電力モードに復帰可能であり、かつ、最も省電力効果の高い省電力モードを選択し、

自領域に前記無線通信端末が存在しておらず、かつ、非省電力動作モードで動作する前記無線アンテナ装置に対して、選択した省電力モードで動作するように指示する情報を設定したアンテナ制御情報を送信し、

自領域に隣接する隣接領域に前記無線通信端末が存在する場合の前記動作開始必要タイミングよりも、隣接領域に前記無線通信端末が存在しない場合の前記動作開始必要タイミングを後のタイミングに設定し、

前記省電力制御決定手段は、アンテナ制御情報に基づいて、いずれかの段階の省電力モードに移行することの指示を受けた前記無線アンテナ装置を検出すると、その前記無線アンテナ装置に対応する前記子局通信装置に対してアンテナ制御情報で指示された段階に対応する段階の省電力モードに移行することを決定する」のに対し、引用発明では、「各ONUの使用帯域情報を通知し、スリープ制御部は、取得した使用帯域情報を用いて、スリープ制御」を行うものであって、自他の領域の端末の有無や、動作開始必要タイミング等に基づいてスリープ制御を行うことが特定されていない点。

(2) 当審の判断

事案に鑑みて、上記[相違点4]について先に検討すると、本願発明1の上記[相違点4]に係る、スリープ制御において、「対応する領域である自領域に前記無線通信端末が存在しておらず、かつ、非省電力動作モードで動作する前記無線アンテナ装置について、次に非省電力モードで動作を開始していなければならないタイミングを示す動作開始必要タイミングの情報と、それぞれの省電力モードの復帰処理時間の情報とを保持し、前記動作開始必要タイミングよりも前に前記復帰処理を完了して非省電力モードに復帰可能であり、かつ、最も省電力効果の高い省電力モードを選択し、

自領域に前記無線通信端末が存在しておらず、かつ、非省電力動作モードで動作する前記無線アンテナ装置に対して、選択した省電力モードで動作するように指示する情報を設定したアンテナ制御情報を送信し、

自領域に隣接する隣接領域に前記無線通信端末が存在する場合の前記動作開始必要タイミングよりも、隣接領域に前記無線通信端末が存在しない場合の前記動作開始必要タイミングを後のタイミングに設定し、

前記省電力制御決定手段は、アンテナ制御情報に基づいて、いずれかの段階の省電力モードに移行することの指示を受けた前記無線アンテナ装置を検出すると、その前記無線アンテナ装置に対応する前記子局通信装置に対してアンテナ制御情報で指示された段階に対応する段階の省電力モードに移行することを決定する」ことについては、上記引用文献1-8には記載されておらず、周知技術であるともいえない。

ここで、引用文献2には(上記第3、2(1)参照。)、スリープ制御において、上位装置が自装置に宛てて送出した制御情報を受信することなく、OLTを介して伝送される下り信号から抽出した制御信号に基づいて、スリープ制御を行う技術が開示される。

引用文献3-4には(上記第3、2(2)-(3)参照。)、システムに流れるトラフィック量の予測に基づいて、伝送制御を行う周知技術が開示される。

引用文献5には(上記第3、2(4)参照。)、移動端末の移動の予測に基づいて、伝送制御を行う周知技術が開示される。

引用文献6-8には(上記第3、2(5)-(7)参照。)、省電力モードとして、データの受信を可能にする一方、データの送信は行わない伝送モードを用いる周知技術が開示される。

しかしながら、引用文献2-8には、本願発明1の上記[相違点4]に係る構成は、開示されていない。

よって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2-8に記載された技術的事項から、本願発明1の上記[相違点4]に係る構成を容易に想到することはできない。

したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2-8に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 請求項2-5について

本願発明2-5も、本願発明1の上記[相違点4]に係る、スリープ制御において、「対応する領域である自領域に前記無線通信端末が存在しておらず、かつ、非省電力動作モードで動作する前記無線アンテナ装置について、次に非省電力モードで動作を開始していなければならないタイミングを示す動作開始必要タイミングの情報と、それぞれの省電力モードの復帰処理時間の情報とを保持し、前記動作開始必要タイミングよりも前に前記復帰処理を完了して非省電力モードに復帰可能であり、かつ、最も省電力効果の高い省電力モードを選択し、

自領域に前記無線通信端末が存在しておらず、かつ、非省電力動作モードで動作する前記無線アンテナ装置に対して、選択した省電力モードで動作するように指示する情報を設定したアンテナ制御情報を送信し、

自領域に隣接する隣接領域に前記無線通信端末が存在する場合の前記動作開始必要タイミングよりも、隣接領域に前記無線通信端末が存在しない場合の前記動作開始必要タイミングを後のタイミングに設定し、

前記省電力制御決定手段は、アンテナ制御情報に基づいて、いずれかの段階の省電力モードに移行することの指示を受けた前記無線アンテナ装置を検出すると、その前記無線アンテナ装置に対応する前記子局通信装置に対してアンテナ制御情報で指示された段階に対応する段階の省電力モードに移行することを決定する」構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-8に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第5 原査定の概要及び原査定についての判断

原査定(令和3年7月14日付け拒絶査定)の概要は、本願請求項1-11に係る発明は、上記引用文献1-8に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

しかしながら、令和4年7月11日付け手続補正により補正された請求項1-5は、それぞれ、本願発明1の上記[相違点4]に係る、スリープ制御において、「対応する領域である自領域に前記無線通信端末が存在しておらず、かつ、非省電力動作モードで動作する前記無線アンテナ装置について、次に非省電力モードで動作を開始していなければならないタイミングを示す動作開始必要タイミングの情報と、それぞれの省電力モードの復帰処理時間の情報とを保持し、前記動作開始必要タイミングよりも前に前記復帰処理を完了して非省電力モードに復帰可能であり、かつ、最も省電力効果の高い省電力モードを選択し、

自領域に前記無線通信端末が存在しておらず、かつ、非省電力動作モードで動作する前記無線アンテナ装置に対して、選択した省電力モードで動作するように指示する情報を設定したアンテナ制御情報を送信し、

自領域に隣接する隣接領域に前記無線通信端末が存在する場合の前記動作開始必要タイミングよりも、隣接領域に前記無線通信端末が存在しない場合の前記動作開始必要タイミングを後のタイミングに設定し、

前記省電力制御決定手段は、アンテナ制御情報に基づいて、いずれかの段階の省電力モードに移行することの指示を受けた前記無線アンテナ装置を検出すると、その前記無線アンテナ装置に対応する前記子局通信装置に対してアンテナ制御情報で指示された段階に対応する段階の省電力モードに移行することを決定する」という事項に対応する構成を有するものとなっており、上記のとおり、本願発明1-5は、上記引用文献1に記載された発明及び上記引用文献2-8に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由についての理由1(明確性)について

当審では、この出願は、特許請求の範囲の請求項1-9の記載が、以下の(1)、(2)の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとの拒絶の理由を通知している。

(1) 請求項1に記載されている「それぞれの前記無線アンテナの各状態」において、該「無線アンテナ」は、電波を送受信する導体であって、「状態」が変化し得るものではないから、該「各状態」を特定できない。請求項2-9は、少なくとも請求項1を引用するから、同じことが指摘される。

(2) 請求項1には、「1又は複数の省電力モード」と記載されているから、該「省電力モード」の数に関し、「1」が包含されている。

一方、請求項1には、「前記省電力制御決定手段は、前記省電力制御手段が制御する動作モードを決定するために、それぞれの前記省電力モードから前記非省電力モードに復帰するまでの時間の情報とそれぞれの前記無線アンテナの各状態から通信が必要になるまでの時間の情報を保持し、アンテナ制御情報より得た前記トランスポート部での通信が必要となるまでの時間よりも短く、かつ、最も省電力効果の高い前記省電力モードを選択する」と記載されるとおり、省電力モードが1つの場合、上記「それぞれ」「最も」「選択する」は、「前記省電力モード」の数が複数であることを前提とする表現となっているから、「前記省電力制御決定手段」の動作が不明りょうであると認められる。

請求項2-9は、少なくとも請求項1を引用するから、同じことが指摘される。

しかしながら、令和4年7月11日付けの補正において、(1)補正前の「無線アンテナ」という誤記の用語は「無線アンテナ装置」と補正され、(2)「非省電力モード又は複数の省電力モードのいずれかの動作モードで動作するように制御する省電力制御処理を行う省電力制御手段」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

第7 むすび

以上のとおり、本願発明1-5は、当業者が引用発明及び引用文献2-8に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

したがって、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-014154

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