商標拒絶査定不服審判
2021-013212
イリョーマンガタイショー、イリョーマンガ、マンガタイショー、イリョー、タイショー
- 審判番号
- 2021-013212
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-016794
- 請求日
- 2021年09月30日
- 審決日
- 2022年09月29日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】横浜市
- 【請求人代理人】五味 和泰
- 【請求人代理人】淡路 里美
- 【請求人代理人】渡辺 貴康
- 審判長/審判官
- 審判長 齋藤 貴博
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 綾 郁奈子
- 分類
- T18 .13 -Z (W41)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-16794拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「医療マンガ大賞」の文字を標準文字で表してなり、第41類「興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),漫画その他の著作物に関する賞の企画・運営又は開催及びこれらに関する情報の提供,賞の企画・運営又は開催,コンテストの企画・運営又は開催,漫画に関するイベントの企画・運営又は開催及びこれらに関する情報の提供,技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,講演会・講習会・研修会・セミナー又はシンポジウムの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,漫画を内容とする電子出版物の提供,オンラインによる漫画本の提供,漫画本の供覧,漫画図書及び漫画記録の供覧,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,インターネットを利用して行う映像の提供,映画の上映・制作又は配給,インターネットを利用して行う音楽の提供,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),娯楽情報の提供,オンラインによるゲームの提供,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,録音済み記録媒体の貸与,録画済み記録媒体の貸与」を指定役務として、令和2年2月17日に登録出願されたものである。
本願は、令和3年2月4日付けで拒絶理由の通知がされ、同年4月1日に意見書が提出されたが、同年6月24日付けで拒絶査定がされた。
これに対して令和3年9月30日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「医療マンガ大賞」と横書きしてなるところ、「医療」の文字は「医術で病気をなおすこと。」を、「マンガ」の文字は「絵を連ね、多くはせりふをそえて表現した物語。コミック。」を、「大賞」の文字は「その分野で最もすぐれたものに与える賞。」(広辞苑第六版 株式会社岩波書店)を、それぞれ意味し、全体としては「医療を内容とする漫画について、最もすぐれたものに与える賞」程度を認識させるものである。また、医療を内容とする漫画が、「医療漫画」と称されており、かつ、優れた漫画作品について与えられる賞が「マンガ大賞」や「漫画大賞」と称されている事実がある。そうすると、本願商標をその指定役務について使用した場合、取引者及び需要者は、医療を内容とする漫画について、優れた漫画作品について与えられる賞についての役務(例えば、「医療を内容とする漫画について、優れた漫画作品について与えられる賞に係る興行の企画・運営又は開催,医療を内容とする漫画その他の著作物に関する賞の企画・運営又は開催及びこれらに関する情報の提供」等)であると理解するにとどまるというのが相当であり、本願商標は単に役務の質・特徴を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものである。よって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審においてした証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲のとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、証拠調べの結果を通知した。
4 証拠調べに対する意見
請求人は、前記3の証拠調べ通知に対して、要旨以下のように述べた。
(1)「最も優れた賞に係る企画、運営又は開催」等の役務分野における「○○大賞」の商標というのは、「書籍等の題号」におけるのと、同様の実情があり、一定の内容を暗示させる文字がよく用いられることから、大賞の分類・種別等の内容を明らかに認識させるかにより、役務の「質」を表示するといえるのかが判断されるべきであるから、「○○大賞」が特定の内容を認識させるかは、「一定期間にわたり定期的に異なる内容の作品が制作されていること」、「標章が、出所識別標識としても使用されていること」を取引の実情として考慮して判断されるべきである。
(2)本願商標からは、「医療漫画に関して最も優れた賞」という漠然とした意味合いが容易に想起されたとしても、医療漫画に関するどのように最も優れた賞であるのか(例えば、絵が最もうまいのか、扱われるテーマの描写が最も秀逸なのか、主人公が最もリアルに描かれているのか、業界の実情が最も正確に表現され役立つのか)、需要者に直接かつ具体的に認識させるものではなく、「医療漫画に関して最も優れた賞」と呼ばれる分類・種別のジャンル一定の内容を明らかに認識させるものと認められない。
(3)本願指定役務分野において、書籍のジャンルを表す文字と「大賞」の文字を結合した「○○大賞」や「○○アワード(AWARD)」から構成される商標が、商標法第3条第1項第3号に該当しないと判断され登録されている。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性
本願商標は、「医療マンガ大賞」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「医療」の文字は、「医術で病気をなおすこと。」を、「マンガ」の文字は、「絵を連ね、多くはせりふをそえて表現した物語。コミック。」等を意味する「漫画」の片仮名表記と認められ、「大賞」の文字は、「その分野で最もすぐれたものに与える賞。」(出典:いずれも広辞苑第七版)を意味するものであるから、本願商標全体の文字からは、「医療に関する漫画の分野で最もすぐれたものに与える賞」の意味合いを認識させるものである。
また、当審における証拠調べ通知(別掲)の1.で示したように、医療をテーマとする漫画が「医療漫画」といわれている事実があり、同2.で示したように、本願の指定役務である「漫画に関する賞の企画・運営又は開催」の分野において、特定のテーマにおける最もすぐれた漫画に与える賞である「○○マンガ大賞」や「○○漫画大賞」(○○には漫画のテーマが入る。)の企画、運営又は開催が行われている事実がある。
そして、本願商標を構成する各語から認識される意味合い、医療をテーマとする漫画が「医療漫画」といわれている事実及び特定のテーマにおける最もすぐれた漫画に与える賞である「○○マンガ大賞」や「○○漫画大賞」の企画、運営又は開催が行われている事実を踏まえると、本願商標をその指定役務のうち、「漫画に関する賞の企画・運営又は開催,漫画に関するイベントの企画・運営又は開催及びこれらに関する情報の提供」の役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、本願商標から「医療をテーマとする漫画の分野で最もすぐれたものに与える賞」の企画、運営又は開催及びこれに関連する役務であることを認識し、また、「オンラインによる漫画本の提供,漫画本の供覧,漫画図書及び漫画記録の供覧」の役務に使用した場合、「医療をテーマとする漫画の分野で最もすぐれたものに与える賞」を獲得した漫画本の提供や供覧であることを認識するというべきである。
してみれば、本願商標をその指定役務に使用したときは、取引者、需要者は、「医療をテーマとする漫画の分野で最もすぐれたものに与える賞」の企画、運営又は開催及び「医療をテーマとする漫画の分野で最もすぐれたものに与える賞」を獲得した漫画本の提供や供覧であると認識するにすぎず、本願商標は、その役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものであるというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、審判請求書において、同法同条第2項の適用を主張するものではないが、本願商標は、2018年から使用が開始され、横浜市を主催者とする特定のマンガ賞の出所を表す文字として機能している事実を考慮すべきである旨主張する。
しかしながら、本願商標をその指定役務に使用したときは、取引者、需要者は、「医療をテーマとする漫画の分野で最もすぐれたものに与える賞」の企画、運営又は開催等であると認識するにすぎないことは前記(1)のとおりであって、同法同条第2項の要件具備の判断から離れて、請求人の使用実績が、前記判断を左右するものとなり得ないことは明らかである。
イ 請求人は、本願の指定役務の分野における「○○大賞」の商標は、「書籍等の題号」におけるのと同様の実情があり、毎年定期的に発表される受賞作品の内容や受賞理由も異なり、請求人自身が本願商標を出所識別標識として使用しているのだから、本願商標が特定の内容を認識させるかは、「書籍等の題号」と同様に、「一定期間にわたり定期的に異なる内容の作品が制作されていること」、「標章が、出所識別標識としても使用されていること」を取引の実情として考慮して判断されるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人の役務において、毎年、受賞する作品が医療をテーマとする異なる漫画であることは当然の前提であるが、いずれも医療をテーマとする漫画であることは共通しているのだから、本願商標が、その指定役務の特定の内容(医療をテーマとする漫画の分野で最もすぐれたものに与える賞)を認識させるものであるとの判断において、「書籍等の題号」にかかる例外的な考慮要素である「一定期間にわたり定期的に異なる内容の作品が制作されていること」と同一視できるものではない。また、識別力のない商標を出所識別標識として使用すると、ただちに識別力を獲得するわけではないから、請求人が本願商標を出所識別標識として使用している事実のみを理由として、本願商標が、その役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標ではないと判断することはできない。
ウ 請求人は、本願商標からは、「医療漫画に関して最も優れた賞」という漠然とした意味合いが容易に想起されたとしても、医療漫画に関するどのように最も優れた賞であるのか(例えば、絵が最もうまいのか、扱われるテーマの描写が最も秀逸なのか、主人公が最もリアルに描かれているのか、業界の実情が最も正確に表現され役立つのか)、需要者に直接かつ具体的に認識させるものではなく、「医療漫画に関して最も優れた賞」と呼ばれる分類・種別のジャンル一定の内容を明らかに認識させるものではない旨主張する。
しかしながら、本願商標をその指定役務に使用したときは、取引者、需要者は、「医療をテーマとする漫画の分野で最もすぐれたものに与える賞」の企画、運営又は開催等であると認識するにすぎないことは前記(1)のとおりであり、十分に直接かつ具体的であって、それ以外の意味を認識することもできず、請求人が具体性として挙げる、「絵が最もうまい」「扱われるテーマの描写が最も秀逸」などは、受賞結果につながる評価の一要素にすぎず、医療漫画の分野でなくとも当てはまることであって、あらゆる漫画の評価において普遍のことであるから、これが明示されていない場合でも、結局のところ、「医療をテーマとする漫画の分野で最もすぐれたものに与える賞」の意味合いに包含されて認識されるとみるのが自然である。
エ 請求人は、本願の指定役務の分野において、書籍のジャンルを表す文字と「大賞」の文字を結合した「○○大賞」や「○○アワード(AWARD)」から構成される商標が、商標法第3条第1項第3号に該当しないと判断され登録されている旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が同号に該当するものであるか否かは、当該登録出願の査定時又は審決時において、その商標が使用される役務の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるべきものである。
オ したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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