特許拒絶査定不服審判
2021-012825
構造化表面の製造方法
- 審判番号
- 2021-012825
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-512192
- 請求日
- 2021年09月24日
- 審決日
- 2022年06月27日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ライプニッツ-インスティトゥート フィア ノイエ マテリアーリエン ゲマインニュッツィゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクタ ハフトゥンク
- 【請求人代理人】特許業務法人三枝国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 辻本 泰隆
- 審判官 小田 浩
- 審判官 松永 稔
- 分類
- P18 .121-Z (H01B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-512192「構造化表面の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月16日国際公開、WO2017/042094、平成30年12月13日国内公表、特表2018-536962〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)9月2日(パリ条約による優先権主張2015年9月7日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 4月17日 翻訳文の提出
令和 2年 7月10日付け 拒絶理由通知書
令和 2年10月12日 意見書、手続補正書の提出
令和 2年11月17日付け 拒絶理由通知書
令和 3年 2月22日 意見書、手続補正書の提出
令和 3年 5月13日付け 拒絶査定
令和 3年 9月24日 審判請求書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和2年11月17日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
1(新規性)この出願の請求項11ないし13に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2(進歩性)この出願の請求項1ないし13に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1ないし3に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2013-73475号公報
2.特開2012-9239号公報
3.特表2009-505358号公報
第3 本願発明
本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和3年9月24日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。(以下、「本願発明」という。)
「【請求項1】
(a)ナノワイヤと少なくとも1つの溶媒とを含む組成物を準備する工程と、
(b)前記組成物を基板上で構造化する工程と、
(c)前記溶媒の少なくとも一部を除去する工程と、
を含む、金属構造体を製造する方法であって、
前記ナノワイヤが15nm未満の平均直径を有する、方法。」
第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された、引用文献2には、図面とともに次の記載がある。(下線は当審で付した。以下同じ。)
「【技術分野】
【0001】
本発明は、導電膜の製造方法及び導電膜に関するものである。」
「【背景技術】
【0002】
従来、透明導電膜としては、金、銀、白金、銅などの各種金属薄膜をはじめ、錫や亜鉛をドープした酸化インジウム系(ITO、IZO)、アルミニウムやガリウムをドープした酸化亜鉛系(AZO、GZO)、フッ素やアンチモンをドープした酸化錫系(FTO、ATO)、等の金属酸化物膜が一般的に用いられている。また、透明導電膜は低抵抗を有し、かつ高透過率を有するものが求められている。しかし、上記の導電性酸化物を用いて透明導電膜を作製した場合、スパッタリング法などの真空プロセスを使用することで透明導電膜を形成するため、低抵抗を得るためには、厚く均一な膜を形成しなければならず、その結果、光透過率の減少に加えて、コストの高騰等の問題が生じ、特にフィルム上での低抵抗化には、限界があった。
その改善策として、近年、可視光領域(400nm~700nm)で透明な導電性材料である金属ナノワイヤに焦点があてられている。金属ナノワイヤは導電性であるため、フィルム等の基材表面に塗布することで、導電層を形成することができるため、基材の表面抵抗を低減させることができる。また、金属ナノワイヤの直径が200nm以下と小さいため、可視光領域での光透過性が高く、金属ナノワイヤとして銀ナノワイヤを用いることで、銀本来の高い導電性と合わせて、良好な導電性と透明性を併せ持つ、金属酸化物膜に代わる透明導電膜としての応用が期待されている。
【0003】
金属ナノワイヤを用いた導電層は、金属ナノワイヤ含有組成物を基材表面に塗布して形成しており、導電ネットワークは金属ナノワイヤ同士が接触することにより形成されるため、直線状の金属ナノワイヤの場合には、うまく絡ませて導電ネットワークを形成することが困難である。また、金属ナノワイヤの凝集防止を図るため、金属ナノワイヤは分散剤等の有機物で被覆されており、金属ナノワイヤ含有組成物を基材表面に塗布した後、アニール処理やプレス処理を施すことにより、金属ナノワイヤ同士の接触を促進させて、導電性を高めているのが現状である(例えば、特許文献1参照)。」
「【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態等について詳細な説明をする。
【0013】
〔導電性繊維〕
本発明に用いられる導電性繊維とは、導電性を有し、かつ繊維長が繊維径と比較して十分に長いものであり、繊維長と繊維径の比であるアスペクト比(=繊維長/繊維径)の値が10以上、好ましくは30以上のものを指す。
導電性繊維としては、例えば、金属酸化物繊維、金属ナノワイヤ、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーなどがあり、形態としては、ファイバー状、チューブ状、等のものがある。本発明において用いる導電性繊維としては、繊維径が200nm以下であることが好ましく、かつ導電性の観点から金属ナノイワイヤもしくはカーボンナノチューブおよびカーボンナノファイバーから選ばれる少なくとも一種を含む導電性繊維が好ましい。また、金属ナノワイヤ群から選択する場合には、貴金属元素(例えば、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム)及び鉄、銅、コバルト、錫からなる群に属する少なくとも一種の金属を含むことが好ましく、導電性およびコストの観点より、銀により構成される金属ナノワイヤがより好ましい。
・・・ 中 略 ・・・
【0018】
〔導電膜の製造方法〕
本発明の導電膜の製造方法は、透明基材上に導電性パターンを有する導電膜を製造する方法であって、
(a)透明基材表面に導電性繊維と導電性ポリマーとを含有する分散液を塗工する工程、(b)規則的な凹凸形状を有する鋳型を分散液側から透明基材表面に当接して、透明基材と鋳型の凹部との間に形成される空間に導電性繊維を含有する導電性パターンを形成する工程、
を有することを特徴とする。
【0019】
以下、透明導電膜の製造方法に関して、図面を用いて説明する。なお、説明中では導電性繊維としてナノワイヤを用い、かつ、鋳型の凸部先端部が四角錐形状を有する弾性体からなるものである場合について説明する。
図1は鋳型と透明基材およびナノワイヤ分散液の配置を示す概略図である。ナノワイヤ分散液はあらかじめバーコート等の方法により塗工し、透明基材上にナノワイヤをランダムに配置させることができる。塗工時の膜厚は、鋳型の形状およびサイズにより決定する。図1の配置から、鋳型を当接し(図2)、圧力を付与することで、鋳型の凸部先端に設けられた尖塔形状を有する弾性体部分が微変形し、ナノワイヤ分散液を鋳型の凹部に選択的に排斥する(図3)。その後、さらに押圧することで、鋳型の凸部先端に設けられた弾性体部分がさらに変形し、ナノワイヤ分散液を完全に凹部に閉じ込め、ナノワイヤ構造体を作製する(図4)。押圧後、場合によっては加熱処理し、ナノワイヤ構造体を硬化させた後(図5)、鋳型を徐々に引き上げる(図6、7、8)ことで、ナノワイヤ構造体が透明基材上に形成される(図9)。鋳型を引き上げる際、図7及び図8のように、鋳型の凸部は弾性体であることから、形状が自己復元され、鋳型は連続して使用することができる。以上の方法を用いることにより、所定の位置に配置が困難であった導電性繊維を、鋳型の形状を利用することで所定の位置に配置が可能となり、導電性繊維による任意のメッシュ形状やストライプ形状が容易に作製可能となる。また、印刷法を利用したナノワイヤインクを用いることで形成した、メッシュ形状(特許文献8及び非特許文献1、参照)と比較して、よりアスペクト比が高い長繊維のパターニングが可能である。」
「【0023】
2.導電膜の作製
<実施例>
2.1 導電膜αの作製
(1)銀ナノワイヤ分散液の調製
銀ナノワイヤ溶液(ClaearOhm、Cambrios Technologies Corp.製)とポリエチレンジオキシチオフェン系の導電性高分子であるポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS、Clevios FE、H.C.Starck社製)およびイソプロピルアルコールを1:2:1で配合し、攪拌したものを銀ナノワイヤ分散液αとした。また、使用した銀ナノワイヤの線径は約100nm、アスペクト比は90~350であった。
(2)塗工、プレス
得られた銀ナノワイヤ分散液αを、厚さが100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(コスモシャイン A4100、東洋紡績社製、以下、PETと略記する)フィルムに滴下し、これをナノインプリント装置の下型に真空吸着させた。また、上型には、作製した鋳型を真空吸着させて取り付けた。また、使用したPETフィルムの表面エネルギーは43.2mJ/m2であった。フィルムおよび鋳型を取り付けた後、ナノインプリント装置を用いて1.6MPaの圧力をかけることでプレスした。その際、ワークの移動速度を0.005mm・s-1に設定した。その後、さらに2.3MPaまで圧力を上昇させ、加圧後80℃まで上型および下型を加熱した(2min)。所定の時間が経過した後、常温まで冷却し、徐々に減圧して、導電膜と鋳型を分離した。
(3)乾燥
プレスし、導電膜が積層されたPETフィルムを110℃の乾燥機内で乾燥させ(2min)、取り出したものを導電膜αとした。」
したがって、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「鋳型を当接し、圧力を付与することで、鋳型の凸部先端に設けられた尖塔形状を有する弾性体部分が微変形し、ナノワイヤ分散液を鋳型の凹部に選択的に排斥し、その後、さらに押圧することで、鋳型の凸部先端に設けられた弾性体部分がさらに変形し、ナノワイヤ分散液を完全に凹部に閉じ込め、ナノワイヤ構造体を作製する方法であって、
銀ナノワイヤ溶液とポリエチレンジオキシチオフェン系の導電性高分子であるポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸およびイソプロピルアルコールを1:2:1で配合し、攪拌したものを銀ナノワイヤ分散液α(使用した銀ナノワイヤの線径は約100nm、アスペクト比は90~350)とし、
得られた銀ナノワイヤ分散液αを、厚さが100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)に滴下し、これをナノインプリント装置の下型に真空吸着させ、上型には、作製した鋳型を真空吸着させて取り付けた後、ナノインプリント装置を用いて1.6MPaの圧力をかけることでプレスし、その後、さらに2.3MPaまで圧力を上昇させ、加圧後80℃まで上型および下型を加熱し、所定の時間が経過した後、常温まで冷却し、徐々に減圧して、導電膜と鋳型を分離し、
導電膜が積層されたPETフィルムを110℃の乾燥機内で乾燥させ、取り出したものを導電膜αとする、
導電膜αの作製方法。」
2 周知技術について
(1)引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された、引用文献1には、図面とともに次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、配線構造体、配線構造体の製造方法、及びタッチパネルに関し、特にバインダーと導電性繊維とを含む透明導電膜を適用した技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、タッチパネルが注目されている。タッチパネルは、PDA(携帯情報端末)や携帯電話等の小サイズへの適用が主となっているが、パソコン用ディスプレイ等への適用による大サイズ化が進むと考えられる。
【0003】
従来、タッチパネルの透明電極として、ITO(酸化インジウムスズ)を用いている。しかしながら、上述の将来動向を考慮すれば、ITOは抵抗が大きく、適用サイズが大きくなるにつれて、電極間の電流の伝達速度が遅くなり、応答速度(指先を接触してからその位置を検出するまでの時間)が遅くなるという問題がある。また、ITOは透明性が十分でない問題がある。
【0004】
そこで、金属細線(導電性繊維)を含む透明導電膜をタッチパネルの透明電極として、使用することが検討されている。導電性繊維を含む透明導電膜を電極に用いたタッチパネルとしては、例えば、特許文献1~3が知られている。」
「【0064】
<透明導電膜>
透明導電膜は、少なくともバインダーと導電性繊維を含有している。バインダーは特に限定はないが、感光性化合物、更に必要に応じてその他の成分を含有してなることが好ましい。
【0065】
〔導電性繊維〕
前記導電性繊維の材料としては、導電性を有していれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。金属及びカーボンの少なくともいずれかであることが好ましく、これらの中でも、前記導電性繊維は、金属ナノワイヤー、金属ナノチューブ、及びカーボンナノチューブの少なくともいずれかであることが好ましい。
【0066】
<<金属ナノワイヤー>>
-材料-
前記金属ナノワイヤーの材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0067】
-金属-
前記金属としては、例えば、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンテル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、又はこれらの合金などが挙げられる。これらの中でも、導電性に優れる点で、銀、及び銀との合金が好ましい。
【0068】
前記銀との合金で使用する金属としては、金、白金、オスミウム、パラジウム、イリジウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0069】
-形状-
前記金属ナノワイヤーの形状としては、特に制限はない。目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円柱状、直方体状、断面が多角形となる柱状など任意の形状をとることができる。高い透明性が必要とされる用途では、円柱状や断面の多角形の角が丸まっている断面形状であることが好ましい。
【0070】
前記金属ナノワイヤーの断面形状は、基材上に金属ナノワイヤー水分散液を塗布し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより調べることができる。
【0071】
-平均短軸長さ径及び平均長軸長さ-
前記金属ナノワイヤーの平均短軸長さ(「平均短軸径」、「平均直径」と称することがある)としては、1nm~50nmが好ましく、10nm~40nmがより好ましく、15nm~35nmが更に好ましい。
【0072】
前記平均短軸長さが、1nm未満であると、耐酸化性が悪化し、耐久性が悪くなることがあり、50nmを超えると、金属ナノワイヤー起因の散乱が生じ、十分な透明性を得ることができないことがある。
【0073】
前記金属ナノワイヤーの平均短軸長さは、透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM-2000FX)を用い、300個の金属ナノワイヤーを観察し、その平均値から金属ナノワイヤーの平均短軸長さを求めた。なお、前記金属ナノワイヤーの短軸が円形でない場合の短軸長さは、最も長いものを短軸長さとした。
【0074】
前記金属ナノワイヤーの平均長軸長さ(「平均長さ」と称することがある)としては、1μm~50μmであることが好ましく、5μm~45μmがより好ましく、10μm~40μmが更に好ましい。
【0075】
前記平均長軸長さが、1μm未満であると、密なネットワークを形成することが難しく、十分な導電性を得ることができないことがあり、50μmを超えると、金属ナノワイヤーが長すぎて製造時に絡まり、製造過程で凝集物が生じてしまうことがある。
【0076】
前記金属ナノワイヤーの平均長軸長さは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM-2000FX)を用い、300個の金属ナノワイヤーを観察し、その平均値から金属ナノワイヤーの平均長軸長さを求めた。なお、前記金属ナノワイヤーが曲がっている場合、それを弧とする円を考慮し、その半径、及び曲率から算出される値を長軸長さとした。」
したがって、引用文献1には、次の事項(以下、「引用文献1記載事項」という。)が記載されている。
「透明導電膜は、少なくともバインダーと金属ナノワイヤーを含有している透明導電膜であって、
前記金属ナノワイヤーの平均短軸長さ(「平均短軸径」、「平均直径」と称することがある)としては、1nm~50nmが好ましく、
1nm未満であると、耐酸化性が悪化し、耐久性が悪くなることがあり、50nmを超えると、金属ナノワイヤー起因の散乱が生じ、十分な透明性を得ることができないことがあること。」
(2)周知文献1について
本願の優先日前に頒布された文献である、特開2009-129607号公報(以下、「周知文献1」という。)には、図面とともに次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、微細な導電線材のネットワーク構造により形成された電極に関し、特に複数の微細な導電線材間の接点が電気的に良く接続されたネットワーク構造型電極に関する。
【0002】
また当該電極を積層して形成される透明導電膜する。更には、当該前記電極と透明導電膜の製造方法に関する。」
「【0037】
(導電線材)
本願において、「導電線材」とは、導電性を有し、かつ概ね1次元的な形状を有する材料であれば良い。概ね1次元的な形状は、直線状、任意の曲線形状などであり、またループした部分、枝分かれした部分などを含んでいても良い。導電線材の断面形状は、中空のチューブ状、ワイヤー状、これらの集合したファイバー状などである。
【0038】
更に具体的な形状は以下のものが好ましい。線径は、透光性や光散乱性の観点から、可視光の波長の1/2以下である200nm以下が好ましく、より好ましくは50nm以下である。多くの導電線材で線径は小さければ小さいほど良いが、0.5nm以下の線径を得ることは困難であり、0.1nm以下の線径を得ることは著しく困難なため実用上好ましくない。
【0039】
なお、本願において、「線径」とは、導電線材の長さ方向に対し垂直な断面をとり、断面積と同面積の円の直径(外径)として定義する。したがって、断面の形状は円、楕円、多角形、あるいはこれらの中間形状のどれであっても良い。線材の断面位置によって異なる形状や異なる断面積であっても良く、この場合は十分な数の断面の平均値として線径が定義される。断面がチューブ状で中空の場合には、最外縁が囲む部分の面積を用いる。断面がファイバー状の場合も同様に、束の最外縁が囲む部分の面積を用いる。
【0040】
線材として利用可能な材料の具体例として、以下が挙げられる。
【0041】
金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブ(SWNT、MWNT等)、導電性高分子(PANi,PPy,PT,PEDOT:PSS等)
このほか、導電性を示し、かつ概ね一次元的な構造を形成できる物質であれば、どのようなものであっても本発明に適用できる。また、上記の導電線材を二種類、あるいはそれ以上組み合わせて用いても良い。上記の中でも金属ワイヤーとカーボンナノチューブは高い導電性、フレキシブル性、化学的安定性を併せて有しており好ましい。
【0042】
また導電性高分子は導電線材に限らず、他の導電性線材の透明バインダ、透明平滑化材等としても用いることもできる。さらに導電性を示す材料のナノ粒子を混合して用いても良く、この場合に好ましい粒径の範囲は導電線材の線径と同程度で200nm以下が好ましく、より好ましくは50nm以下である。導電線材に対する他の導電材料の含有率は、質量比で導電線材以下であることが好ましい。
【0043】
〈金属ナノワイヤーの製造〉
本願において、「金属ナノワイヤー」とは、線径が200nm以下、好ましくは50nm以下であるワイヤー状金属(繊維)であって、金属元素、合金、金属酸化物を含む金属化合物等を原料として形成されたものをいう。なお、ここで、「線径」は、前記の定義と同義である。
【0044】
金属ナノワイヤーは、少なくとも銀、金、銅、ニッケル、アルミニウム、コバルトの何れかを含むことが好ましく、その他如何なる金属を含んでも良い。金属ナノワイヤーは公知の技術から製造できる。特にAgナノワイヤーは、エチレングリコールやポリビニルピロリドンなどのポリオール中で、硝酸銀などの銀塩を還元する液相法により合成できる。
【0045】
形状の揃ったAgナノワイヤーを大量に合成する方法は、例えばXia.Y,et.al.,Chem.Mater.誌14巻,2002,p.4736-4745や、Xia.Y,et.al.,Nanoletters誌3巻,2003,p.955-960に記載されている。
【0046】
好ましい実施形態の一つは、DNAなどの生物学的物質上に種物質層を最初に核生成し、その後種物質層上に金属前駆体を設置し、金属に変換する方法である。例えば、核生成を引き起こす物質や、金属前駆体溶液からの金属ナノワイヤーの成長を引き起こす物質に基づいて、種物質が選択できる。より詳細には、パラジウムを含む種物質層は銅や金の成長に利用できる。別の例では、銅を生成するためには、種物質としてパラジウムのほかにパラジウム含有分子、金、金含有分子が利用できる。他の種物質の例として、ニッケル、銅、Co、Pt、Ru、銀、Co合金およびニッケル合金が挙げられる。更にDNAなどのアニオン性生物学的物質を鋳型として、金属イオンを配列させ、還元剤により金属を析出させ金属ナノワイヤーを形成する方法も利用できる。また、鋳型としてポリスチレンスルホン酸などの一般のポリカルボン酸を用いることもできる。ナノワイヤー成長に使える金属は、銅、金、銀、ニッケル、パラジウム、Co、Pt、Ru、W、Cr、Mo、Ag、CoPtなどのCo合金、Ni合金、FePtなどのFe合金、酸化チタン、酸化コバルト、酸化銅、酸化ハフニウム、ZnO、酸化バナジウム、酸化インジウム、酸化アルミニウム、ITO、酸化ニッケル、酸化錫、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ジルコニウムなどが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0047】
金属ナノワイヤーの線径が大きくなると、光吸収は大きくなるが抵抗は低下する。結晶粒界と表面散乱による電気抵抗の影響は、線径10nm以下では劇的に減少する。全体として電気抵抗は10nmから100nmまでは線径が大きくなるのにつれて減少する。
【0048】
本発明に係る金属ナノワイヤーは、上記の方法以外に、例えば、N.R.Jana,L.Gearheart and C.J.Murphyによる方法(Chm.Commun.,2001,p617-p618)や、C.Ducamp-Sanguesa,R.Herrera-Urbina, and M.Figlarz等の方法(J.Solid State Chem.,100.1992,p272~p280)、及び特開2002-266007号、特開2004-269987号、特開2005-335054号、特開2007-239055号公報等に開示されている方法によって製造することもできる。なお、金属ナノワイヤーの製造はこれらの方法に限らない。」
「【0109】
(透明導電膜の製造)
本発明に係る透明導電膜は、透明基板上に本発明の電極を積層して形成されたことを特徴とする。すなわち、本願においては、可視光領域で透明な基板上に導電線材ネットワーク電極を積層した膜を「透明導電膜」と称する。
【0110】
当該透明導電膜の製造方法としては、下記の工程を経ることを特徴とする透明導電膜の製造方法が好ましい。
(1)導電線材分散液を透明基板上に塗布後、溶媒を除去し、導電線材のネットワーク構造を形成する工程、(2)前記導電線材のネットワーク構造に光照射する工程
なお、上記各工程の実施は、前述の方法に準拠して行う。」
したがって、周知文献1には、次の事項(以下、「周知文献1記載事項」という。)が記載されている。
「導電線材分散液を透明基板上に塗布後、溶媒を除去し、導電線材のネットワーク構造を形成する工程を含む透明導電膜の製造方法において、導電線材としては、線径が50nm以下である金属ナノワイヤーが好ましく、線径は、透光性や光散乱性の観点から、線径は小さければ小さいほど良いが、0.5nm以下の線径を得ることは困難であり、0.1nm以下の線径を得ることは著しく困難なため実用上好ましくないこと。」
(3)周知文献2について
本願の優先日前に頒布された文献である、特表2013-522814号公報(以下、「周知文献2」という。)には、図面とともに次の記載がある。
「【0002】
(技術分野)
本発明は、透明導電体、透明導電体を製造およびパターン化する方法、ならびに透明導電体の適用に関する。」
「【0014】
ある実施形態は、ナノ構造(例えば、ナノワイヤ)の導電性層に基づく、透明導体を対象とする。種々の実施形態では、導電性層は、金属ナノワイヤの疎ネットワークを含む。加えて、導電性層は、透明かつ可撓性であって、導電性である、少なくとも1つの表面を含むことができる。それは、可撓性および剛性基板を含む、種々の基板上に被膜または積層することができる。導電性層はまた、マトリクス材または保護膜およびナノワイヤを含む、複合構造の一部を形成することができる。マトリクス材は、典型的には、複合構造に対して、ある化学、機械、および光学特性を付与することができる。他の実施形態は、導電性層を加工およびパターン化する方法を説明する。
【0015】
導電性ナノ構造
本明細書で使用されるように、「導電性ナノ構造」または「ナノ構造」とは、概して、電気的に導電性のナノサイズの構造を指し、その少なくとも1つの寸法(すなわち、幅または直径)は、500nm未満、より典型的には、100nmまたは50nm未満である。種々の実施形態では、ナノ構造の幅または直径は、10から40nm、20から40nm、5から20nm、10から30nm、40から60nm、50から70nmの範囲内である。
【0016】
ナノ構造は、任意の形状または幾何学形状であることができる。所与のナノ構造の幾何学形状を画定するための方法の1つは、ナノ構造の長さおよび幅(または、直径)の比率を指す、その「縦横比」によるものである。ある実施形態では、ナノ構造は、等方的に成形される(すなわち、縦横比=1)。典型的等方性または実質的等方性ナノ構造は、ナノ粒子を含む。好ましい実施形態では、ナノ構造は、異方的に成形される(すなわち、縦横比≠1)。異方性ナノ構造は、典型的には、その長さに沿って、縦軸を有する。例示的異方性ナノ構造は、ナノワイヤ(少なくとも10、より典型的には、少なくとも50の縦横比を有する、中実ナノ構造)、ナノロッド(10未満の縦横比を有する、中実ナノ構造)、およびナノチューブ(中空ナノ構造)を含む。
【0017】
縦方向に、異方性ナノ構造(例えば、ナノワイヤ)は、長さ500nm超、または1μm超、または10μm超である。種々の実施形態では、ナノ構造の長さは、5から30μmの範囲内、または15から50μm、25から75μm、30から60μm、40から80μm、または50から100μmの範囲内である。
【0018】
ナノ構造は、任意の導電性材料であることができる。より典型的には、ナノ構造は、元素金属(例えば、遷移金属)または金属化合物(例えば、金属酸化物)を含む、金属材料から形成される。金属材料はまた、2種類以上の金属を含む、二元金属材料または金属合金であることができる。好適な金属は、銀、金、銅、ニッケル、金めっき銀、白金、およびパラジウムを含むが、それらに制限されない。本開示は、主に、ナノワイヤ(例えば、銀ナノワイヤ)を説明するが、前述の定義内の任意のナノ構造を等しく採用することができることに留意されたい。
【0019】
図1は、直径d1で割られる長さL1に相当するアスペクト比を有するナノワイヤ2を示す。適切なナノワイヤは、一般的に、10から100,000の範囲のアスペクト比を有する。アスペクト比が大きいと、より効果的な導電網が形成可能になると共に、高透明性のためにワイヤの全体密度が低くなることから、透明導電体層を得るために有利になる。すなわち、高アスペクト比を有する導電性ナノワイヤが使用される場合、導電網を達成するナノワイヤの密度は、導電網が実質的に透明になるように十分低くなることが可能である。
【0020】
層の透明性を定義する一つの方法として、吸収係数がある。層を通過する光の照度は、
I=I0e-ax
として定義され、
ここで、I0は、層の第一の側面上の入射光であり、Iは、層の第二の側面上の照明レベルであり、e-axは、透明度要因である。透明度要因において、aは吸収係数であり、xは層の厚さである。1に近いが1未満の透明度要因を有する層は、実質的に透明であると考えられる。
【0021】
図2~5は、導電性ナノワイヤの光学的および電気的特徴のいくつかを示す。
【0022】
図2は、さまざまな光波長での銀のナノ楕円体の光吸収の理論モデルを示す。幅と長さに応じて、銀のナノ楕円体は、400と440ナノメートルとの間の範囲の波長における光の狭帯域および700nmを越える光波長に対して高い吸光係数を示す。しかしながら、それらは、約440から約700nmの間の範囲において実質的に透明であり、可視領域に入る。
【0023】
図3は、ポリエチレンテレフタレート(PET)基板に蒸着される銀ナノワイヤの層の吸収スペクトルを示す。吸収プロファイルで示されるように、PET基板上の銀ナノワイヤ層は、約440nmから700nmまでの範囲で実質的に透明であり、図2に示される理論モデルの結果と一致する。
【0024】
図4および5は、金属ナノワイヤのその直径に基づく抵抗性の理論モデルの結果を示す。ナノワイヤの直径が大きくなると抵抗性は実質的に減少するが、より多くの光を吸収する。図4でわかるように、粒界および表面散乱に基づく抵抗性への影響は、10nm未満で大きくなる。直径が大きくなるとこれらの影響は急激に減少する。したがって、全体の抵抗性は、直径が、10nmから100nmにかけて大幅に減少する(図5も参照)。しかしながら、電気的特性におけるこの改善は、透明導電体を必要とする適用についての透明性減少とのバランスをとらなければならない。」
したがって、周知文献2には、次の事項(以下、「周知文献2記載事項」という。)が記載されている。
「金属ナノワイヤの疎ネットワークを含む透明かつ可撓性である導電性層において、金属ナノワイヤの直径は、より典型的には、50nm未満であり、5から20nm、10から30nmの範囲内であり、高アスペクト比を有する導電性ナノワイヤが使用される場合、導電網を達成するナノワイヤの密度は、導電網が実質的に透明になるように十分低くなることが可能であり、また、ナノワイヤの直径が大きくなると抵抗性は実質的に減少するが、より多くの光を吸収し、抵抗性への影響は、10nm未満で大きくなり、全体の抵抗性は、直径が、10nmから100nmにかけて大幅に減少すること。」
(4)周知技術
上記引用文献1記載事項、周知文献1記載事項、周知文献2記載事項から、次の事項は周知技術(以下、「周知技術」という。」)である。
「少なくとも金属ナノワイヤーを含有している透明導電膜において、
前記金属ナノワイヤーの平均直径としては、透明性の観点から50nmより小さいことが好ましいこと。」
第5 対比
本願発明と引用発明を対比すると、以下のとおりとなる。
1 引用発明の「銀ナノワイヤ」及び「イソプロピルアルコール」は、それぞれ本願発明の「ナノワイヤ」及び「溶媒」に相当する。
そうすると、引用発明の「銀ナノワイヤ溶液とポリエチレンジオキシチオフェン系の導電性高分子であるポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸およびイソプロピルアルコールを1:2:1で配合し、攪拌したものを銀ナノワイヤ分散液α(使用した銀ナノワイヤの線径は約100nm、アスペクト比は90~350)」は、本願発明の「ナノワイヤと少なくとも1つの溶媒とを含む組成物」に相当する。
してみると、引用発明は、本願発明の「ナノワイヤと少なくとも1つの溶媒とを含む組成物を準備する工程」を備えているといえる。
2 引用発明の「PETフィルム」は、本願発明の「基板」に相当する。
そして、引用発明は、「鋳型を当接し、圧力を付与することで、鋳型の凸部先端に設けられた尖塔形状を有する弾性体部分が微変形し、ナノワイヤ分散液を鋳型の凹部に選択的に排斥し、その後、さらに押圧することで、鋳型の凸部先端に設けられた弾性体部分がさらに変形し、ナノワイヤ分散液を完全に凹部に閉じ込め、ナノワイヤ構造体を作製する方法であって」、「得られた銀ナノワイヤ分散液αを、厚さが100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)に滴下し、これをナノインプリント装置の下型に真空吸着させ、上型には、作製した鋳型を真空吸着させて取り付けた後、ナノインプリント装置を用いて1.6MPaの圧力をかけることでプレスし、その後、さらに2.3MPaまで圧力を上昇させ、加圧後80℃まで上型および下型を加熱し、所定の時間が経過した後、常温まで冷却し、徐々に減圧して、導電膜と鋳型を分離」することにより、「PETフィルム」上に「銀ナノワイヤ分散液α」から生成された導電膜からなる「ナノワイヤ構造体」を作成するものであるから、この「銀ナノワイヤ分散液α」から生成された導電膜からなる「ナノワイヤ構造体」は本願発明の「組成物」と、「基板上で構造化」された「組成物」である点で一致する。
そうすると、引用発明は、本願発明の「前記組成物を基板上で構造化する工程」を備えているといえる。
3 引用発明の「導電膜が積層されたPETフィルムを110℃の乾燥機内で乾燥さ」せることにより、「イソプロピルアルコール」の少なくとも一部を除去していることは明らかであるから、本願発明と引用発明とは、「前記溶媒の少なくとも一部を除去する」点で一致する。
そうすると、引用発明は、本願発明の「前記溶媒の少なくとも一部を除去する工程」を備えているといえる。
4 そして、引用発明の「導電膜αの作製方法」は「銀ナノワイヤ」からなる「ナノワイヤ構造体を作製」しているから、本願発明の「金属構造体を製造する方法」に対応する。
5 そうすると、本願発明と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
[一致点]
「(a)ナノワイヤと少なくとも1つの溶媒とを含む組成物を準備する工程と、
(b)前記組成物を基板上で構造化する工程と、
(c)前記溶媒の少なくとも一部を除去する工程と、
を含む、金属構造体を製造する方法。」
[相違点1]
本願発明は「前記ナノワイヤが15nm未満の平均直径を有する」のに対して、引用発明の「ナノワイヤ」の線径は約100nmである点。
第6 判断
1 相違点1について
上記相違点1について検討する。
上記周知技術にあるように「少なくとも金属ナノワイヤーを含有している透明導電膜において、前記金属ナノワイヤーの平均直径としては、透明性の観点から50nmより小さいことが好ましいこと」は周知技術であり、加えて、導電膜の透明度を高めることは、当該技術分野における通常の課題であるから、引用発明の「導電膜α」をより透明度の高いものとするために、「ナノワイヤ」の平均直径を15nm未満とすることは、当業者が容易に想到することである。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易になし得ることである。
2 請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、
「3.2 請求項1-12(新規性、進歩性)
3.2.1 拒絶査定において、以下の通り指摘されました。
「透明導電膜において、平均直径1~50nmの金属ナノワイヤーを使用することは周知技術(引用文献1の段落[0064]-[0065]、[0071]参照)である。そして、引用文献2に記載された発明において上記周知技術を適用することは、当業者が容易になし得る事項である。」
3.2.2 しかし、周知技術であることを示す証拠として具体的に挙げられているのは特許文献である引用文献1のみです。一般に、一件の特許文献のみをもって、そこに記載されている事項を直ちに周知技術であるとみなすことは妥当ではないことが明らかです。
3.2.3 また、引用文献1には、バインダーと導電性繊維を用いて表面に透明導電膜を形成することが開示されるに止まっています(0064段落等)。このようにバインダーにより導電性繊維を固定することにより透明導電膜を形成する技術は、本願発明におけるように、ナノワイヤと溶媒とを含む組成物を表面に適用した後に溶媒を除去し、ナノワイヤの自己構造化を促して膜を形成する技術(請求項1等)と本質的に異なっています。よって、仮に当業者が引用文献1の開示に接したとしても、本願発明の構成に想到することが容易になし得たことであるとは到底いえません。」
旨主張する。
しかしながら、上記引用文献1並びに周知文献1及び2に記載されているように、「少なくとも金属ナノワイヤーを含有している透明導電膜において、前記金属ナノワイヤーの平均直径としては、透明性の観点から50nmより小さいことが好ましいこと」は当該技術分野の周知技術であり、引用発明の「導電膜α」をより透明度の高いものとするために、「ナノワイヤ」の平均直径を15nm未満とすることは、当業者が容易に想到することである。
また、本願発明は、
「(a)ナノワイヤと少なくとも1つの溶媒とを含む組成物を準備する工程と、
(b)前記組成物を基板上で構造化する工程と、
(c)前記溶媒の少なくとも一部を除去する工程と、
を含む、金属構造体を製造する方法であって、
前記ナノワイヤが15nm未満の平均直径を有する、方法。」
であるから、本願発明が、「ナノワイヤの自己構造化を促して膜を形成する技術」であるとの主張は、請求項1に記載された事項に基づくものであるとはいえない。
また、仮に、上記「ナノワイヤの自己構造化を促して膜を形成する」ことが、本願発明の「(b)前記組成物を基板上で構造化する工程」に対応するとしても、上記第5の2で検討したように、引用発明も「前記組成物を基板上で構造化する工程」を備えているから、この点において、本願発明と引用発明が相違するものではない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献2に記載された発明並びに引用文献1及び周知文献1、2に記載された周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通所の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-012825