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特許拒絶査定不服審判

2021-011746

ゲーム制御装置

審判番号
2021-011746
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-161104外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年09月03日
審決日
2022年06月22日
公報発行日
2022年07月29日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G06Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-161104「ゲーム制御装置」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 3月14日出願公開、特開2019- 40334、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 14項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、平成29年8月24日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和 2年11月27日付け:拒絶理由通知書
令和 3年 1月27日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年 5月27日付け:拒絶査定(原査定)
令和 3年 9月 3日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要

原査定(令和3年5月27日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1,3,6に係る発明は、以下の引用文献1,2に基づいて、また、本願請求項2,5に係る発明は、以下の引用文献1~3に基づいて、更に、本願請求項4に係る発明は、以下の引用文献1~4に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>

1:特開2009-95497号公報

2:特開2014-94059号公報

3:特開2013-13625号公報

4:特開2007-213434号公報

第3 本願発明

本願請求項1~5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明5」という。)は、令和3年9月3日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
ゲームに用いるゲーム用チップが有する識別情報にアクセス可能なチップ通信部と、
前記ゲーム用チップを識別する識別情報に前記ゲーム用チップの認証を行うための情報が関連付けられたチップデータベースを有するサーバとのデータ通信を可能にする通信接続部と、
記憶部と、
続きを表示(全44行)
制御部と、
前記ゲームにおいてゲームを行うプレイヤーと、ゲームを管理するディーラーとの間における前記ゲーム用チップのチップ額、前記ゲーム前の前記ゲーム用チップの所有者、前記ゲーム後の前記ゲーム用チップの所有者、及び、前記ゲーム用チップがベットされたベット対象のベット領域の情報を含む取引情報を取得可能な取引情報取得部と、
を有し、
前記制御部は、
前記サーバから、前記チップデータベースを所定のタイミングでダウンロードしてオフラインデータとして前記記憶部に記憶し、
前記チップ通信部がゲーム用チップにアクセスした際に、前記サーバへの前記データ通信が不可であるか否かを判定し、
前記データ通信が可能である場合、前記サーバの前記チップデータベースを参照して前記ゲーム用チップを認証し、
前記データ通信が不可である場合、前記オフラインデータを参照して、前記ゲーム用チップの認証を行い、
前記取引情報取得部が前記取引情報を取得した際に、前記サーバへの前記データ通信が不可であるか否かを判定し、
前記データ通信が可能である場合、前記取引情報を前記サーバへ送信し、
前記データ通信が不可である場合、前記取引情報を前記記憶部に蓄積し、前記データ通信が復旧後、蓄積した前記取引情報を前記サーバへ送信することを特徴とするゲーム制御装置。
【請求項2】
前記ゲームのゲーム結果を取得可能なゲーム結果取得部をさらに有し、
前記制御部は、
前記ゲーム結果取得部が前記ゲーム結果を取得した際に、前記サーバへの前記データ通信が不可であるか否かを判定し、
前記データ通信が可能である場合、前記ゲーム結果を前記サーバへ送信し、
前記データ通信が不可である場合、前記ゲーム結果を前記記憶部に蓄積し、前記データ通信が復旧後、蓄積した前記ゲーム結果を前記サーバへ送信することを特徴とする請求項1に記載のゲーム制御装置。
【請求項3】
前記チップデータベースは最終更新時刻を有しており、
前記制御部は、
前記所定のタイミングにおいて、前記サーバの前記チップデータベースの最終更新時刻が、前記オフラインデータの最終更新時刻よりも新しい場合に、前記サーバから前記チップデータベースを前記オフラインデータとしてダウンロードすることを特徴とする請求項1に記載のゲーム制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記ゲーム用チップの新規追加登録を要求された場合、前記サーバへの前記データ通信が不可であるか否かを判定し、
前記データ通信が可能である場合、当該ゲーム用チップを識別する識別情報に有効である情報を対応付けてサーバに登録し、
前記データ通信が不可である場合、当該ゲーム用チップを識別する識別情報に有効である情報を対応付けて前記記憶部に蓄積し、前記データ通信が復旧後、蓄積した前記識別情報が有効であることを前記サーバへ登録することを特徴とする請求項1に記載のゲーム制御装置。
【請求項5】
ディーラーにより進行され、プレイヤーが結果に対してベットを行い、前記ディーラーと前記プレイヤーとの間でゲーム用チップの取引を行うゲームのためのゲーム制御装置であって、
ゲームに用いるゲーム用チップが有する識別情報にアクセス可能なチップ通信部と、
前記ゲーム用チップを識別する識別情報に前記ゲーム用チップの認証を行うための情報と、チップ額と、前記ゲーム前の前記ゲーム用チップの所有者を示す情報と、前記ゲーム後の前記ゲーム用チップの所有者を示す情報と、前記ゲーム用チップがベットされたベット対象のベット領域の情報と、を含む取引情報とが関連付けられ、前記取引が行われるごとに前記所有者を示す情報が更新される最終更新時刻を有したチップデータベースを有するサーバとのデータ通信を可能にする通信接続部と、
記憶部と、
制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記サーバから、前記チップデータベースを所定のタイミングで、前記サーバの前記チップデータベースの最終更新時刻が、前記オフラインデータの最終更新時刻よりも新しい場合に、ダウンロードしてオフラインデータとして前記記憶部に記憶し、
前記チップ通信部がゲーム用チップにアクセスした際に、前記サーバへの前記データ通信が不可であるか否かを判定し、
前記データ通信が可能である場合、前記サーバの前記チップデータベースを参照して前記ゲーム用チップを認証し、
前記データ通信が不可である場合、前記オフラインデータを参照して、前記ゲーム用チップの認証を行い、
前記取引が行われるごとに、前記オフラインデータの当該ゲーム用チップの前記ゲーム前のゲーム用チップの所有者を示す情報と前記ゲーム後のゲーム用チップの所有者を示す情報とを更新し、
前記サーバへの前記データ通信が不可であるか否かを判定して、前記データ通信が可能である場合、前記サーバの前記チップデータベースを参照して前記サーバの前記チップデータベースにおける前記ゲーム前のゲーム用チップの所有者を示す情報と前記ゲーム後のゲーム用チップの所有者を示す情報とを更新し、前記データ通信が不可である場合、前記データ通信が復旧後、前記データ通信が不可である間に更新された未送信の前記オフラインデータの前記ゲーム用チップの前記ゲーム前のゲーム用チップの所有者を示す情報と前記ゲーム後のゲーム用チップの所有者を示す情報とを、前記サーバの前記チップデータベースに同期させることを特徴とするゲーム制御装置。」

第4 引用文献、引用発明等

1.引用文献1について

(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明はゲームチップ、ゲームチップ書込装置、ゲームチップ読取装置及びゲームチップ監視システムに関し、例えば、カジノ用のゲームチップやそれを取り扱う装置やシステムに適用し得るものである。
【背景技術】
続きを表示(全92行)
【0002】(略)
【0003】
そのため、今日では、ゲームチップ(カジノ用のゲームチップを含む)にICタグを適用し、遊技場(カジノ)や金額やチップ番号などの識別情報を読取装置側で識別可能にしたものも提案されている(特許文献1、2参照)。これにより、あるカジノ用の小額のゲームチップが他のカジノの高額のゲームチップとして使用されるようなことや、偽造されたゲームチップが使用されるようなことを防止している。
・・・(中略)・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0004】(略)
【0005】
また、真偽判定などを、各読取装置から与えられた識別情報などに基づいて、カジノにおけるセンタサーバが実行するような場合には、センタサーバに処理が集中して過負荷になり易く、各読取装置とセンタサーバとを結ぶネットワークに障害が発生した場合には、真偽判定もできなくなってしまう。
【0006】(略)
【0007】
そのため、センタ側の装置に処理を集中させることなく不正を防止し得る、しかも、通信路の障害時に所望の処理を実行できるゲームチップ、ゲームチップ書込装置、ゲームチップ読取装置及びゲームチップ監視システムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】~【0023】(略)
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、センタ側の装置に処理を集中させることなく不正を防止し得る、しかも、通信路の障害時に所望の処理を実行できるゲームチップ、ゲームチップ書込装置、ゲームチップ読取装置及びゲームチップ監視システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(A)主たる実施形態
以下、本発明に係るゲームチップ、ゲームチップ書込装置、ゲームチップ読取装置及びゲームチップ監視システムをホテルのカジノシステムに適用した第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0026】
図1は、実施形態のカジノシステムを含む、ホテルシステムの構成を示すブロック図である。
【0027】
図1において、ホテルシステム100は、ホテルサーバ2、サービスサーバ10、イントラサービスサーバ12、マルチメディアサーバ14、ハウスカードサーバ18、PTS(プレーヤトラッキングシステム)サーバ56、集計・分析サーバ62、カジノデポジットサーバ66等の各種サーバを有し、また、フロント4、レストラン6、バー8、客室16、カジノ22等にもシステムの構成要素が設けられており、上述の構成要素がバス状、メッシュ状、リング状などの任意の網構成を有するネットワークNを介して接続されている。
【0028】~【0029】(略)
【0030】
カジノ22には、各種ゲームに係る構成に加え、ゲームチップ発行/精算機58が設けられている。ゲームチップ発行/精算機58は、現金とゲームチップとの間の交換(発行/精算)や、ハウスカード20に基づいて客を確認した上でのデポジットとゲームチップとの間の交換(発行/精算)を行うものである。例えば、ルーレットゲームに関して言えば、後述するように、カジノ22には、対をなすルーレット盤24及び遊技台68が設けられている。
【0031】~【0032】(略)
【0033】
PTSサーバ56は、カジノ22における客(プレーヤ)のゲーム結果(例えば、ルーレットゲームの結果)の履歴などを一括管理するものである。集計・分析サーバ62には、配当金算出機能が構築されている。例えば、ルーレットゲームであれば、集計・分析サーバ62の配当金算出機能は、ルーレット盤上におけるルーレット球の位置(出目)と、集計したゲームチップのベット位置及び価値(掛け金)とに基づいて、今回のルーレットゲームの配当金を算出する。カジノデポジットサーバ66は、カジノ22内のデポジットを一括管理しているものである。
【0034】
次に、カジノゲームの構成例として、ルーレットゲームに係る構成を説明する。図2~図4は、ルーレットゲームに係る構成を示す説明図である。図2は、ルーレット盤に係る構成を示している。図3は、ルーレットゲームに係る遊技台68の概略構成を示している。図4は、ゲームチップのベットの様子を示している。
【0035】
ルーレットゲームは、周知のように、ルーレット盤24に投入されるルーレット球28の出目位置を予想して、予想出目位置に対応するベット部位にゲームチップ30をベットすることにより、出目位置の予想の正否を争うゲームである。
【0036】
ルーレットゲームに係る構成として、ベット用ボード32と、チップ情報記録手段34と、出目検出手段36と、ベット情報検出手段38と、配当金算出手段62aと、ゲームチップ回収手段68aと、ゲームチップ供給手段68bとを有している。
【0037】
ベット用ボード32は、遊技台68上に設けられるものであり、ルーレット盤24の出目位置に対応する複数のベット部位(例えば、0,00,1,2,…,35,36の数字で区分けされた各スポットや、列や行を特定するように区分けされた各スポット等)が割り当てられ、ゲームチップ30をベットするためのものである。
【0038】
チップ情報記録手段34は、ゲームチップ30に設けられ、当該ゲームチップ30に関する情報が記録されたものである。チップ情報記録手段34は、IDタグとして各ゲームチップ30に埋め込まれている。
【0039】
チップ情報記録手段34に記録されているゲームチップ30に関する情報には、図5に示すように、当該ゲームチップ30を特定する固有番号(ゲームチップを識別する番号)INF1、価値(1ドル、5ドル、10ドル等)や色INF2、当該ゲームチップ30を使用可能な場所(カジノ22)INF3、当該ゲームチップ30を所持可能な者を特定する情報(例えば、その者に対応付けられているハウスカード20の情報)INF4等に関する情報が含まれる。ここで、少なくともゲームチップ30を所持可能な者の情報INF4は、原データがハッシュ関数で圧縮されている。また、全ての情報INF1、INF2、…は、秘密鍵によって暗号化された上で、ゲームチップ30に記録されている。
【0040】
出目検出手段36は、ルーレット盤24に設けられ、当該ルーレット盤24上におけるルーレット球28の出目位置や出目種類を検出するものである。
【0041】
ベット情報検出手段38は、ベット用ボード32に設けられ、ベット部位にゲームチップ30がベットされた際に、チップ情報記録手段34に記録されたゲームチップ30に関する情報を読み取ることによって、当該ゲームチップ30のベット位置及び価値を検出するものである。
【0042】
出目検出手段36及びベット情報検出手段38は、その基本構成が同様であり、図4に示すように、ID読取装置と計量装置40とから構成されている。ID読取装置は、X側スキャンドライバ42から互いに平行に延出し、先端が互いに結ばれてループアンテナを形成しているX側アンテナ要素44a及び44b(以下、X側アンテナ44と呼ぶ)と、Y側スキャンドライバ48から互いに平行に延出し、先端が互いに結ばれてループアンテナを形成しているY側アンテナ要素50a及び50b(以下、Y側アンテナ50と呼ぶ)、とを直交配置して構成されている。
【0043】
ID読取装置によれば、例えば、ゲームチップ30がベット用ボード32のベット部位にベットされた状態において、X側アンテナ44から読取用電波(質問電波)を発信させると、そのX側アンテナ44が敷設されている近傍が読取領域となり、Y側アンテナ50からスキャン電波を発信させると、そのY側アンテナ50が敷設されている近傍が読取領域となり、その結果、アンテナ相互のクロスポイント付近が読取領域となる。あるクロスポイント付近にゲームチップ28がベットされていると、そのゲームチップ28のチップ情報記録手段(IDタグ)34は、読取用電波(質問電波)の到来に応じて、記録している情報を含む応答電波を返信し、X側アンテナ44及びY側アンテナ50が応答電波を捕捉する。
【0044】
X側アンテナ44及びY側アンテナ50が捕捉した応答電波が、スキャンドライバ42及び48を介して与えられたベット情報検出手段本体(図示せず)は、ゲームチップ30のベット位置、及び、ゲームチップ30に記録されている情報の原データを認識する。応答電波を捕捉したX側アンテナ44及びY側アンテナ50の組み合わせは、ベット位置を規定するものとなっている。
【0045】
ベット情報検出手段本体は、ゲームチップ30の記録情報が与えられると、図6に示すような処理を実行する。
【0046】
ベット情報検出手段本体は、与えられた記録情報に対して公開鍵を用いて復号を行う(S1)。
【0047】
次に、この復号で得られた、ゲームチップ30を特定する固有番号(ゲームチップを識別する番号)INF1、価値(1ドル、5ドル、10ドル等)や色INF2、当該ゲームチップ30を使用可能な場所(カジノ22)INF3から、ゲームチップ30の正当性を判定する(S2)。この判定時には、必要に応じて、PTSサーバ56と通信を行うようにしても良い。例えば、復号で得られたゲームチップ30の固有番号が、当該カジノで割り当てている固有番号の一つかを確認するようにしても良い。なお、固有番号の一覧データを、ベット情報検出手段本体が保持している場合には、このような通信による確認は不要となる。
【0048】~【0049】(略)
【0050】
以上のようにして、検出され、正当性が確認されたデータは、PTSサーバ56や集計・分析サーバ62に送られ、その履歴が一括管理されたり、配当金の算出に利用されたりする。
【0051】~【0052】(略)
【0056】
遊技台68に設けられているゲームチップ回収手段68aは、回収口を有する。1階のルーレットゲームの終了時に、ベット用ボード32にベットされていたゲームチップ30を、熊手状又はT字状の回収道具で引き寄せられて回収口から貯蔵部に移動される。貯蔵部では、回収されたゲームチップ30が価値やそのときのプレーヤによって分別されて貯蔵される。ここで、貯蔵部は、ゲームチップ30の情報の読取、認識構成を有している。
(註:「1階のルーレットゲームの終了時」は「1回のルーレットゲームの終了時」の誤記と認める。)
【0057】
遊技台68に設けられているゲームチップ供給手段68bは、配当金に相当するゲームチップ30を、該当するプレーヤのチップ受け台70に供給するものである。チップ受け台70は、例えば、遊技台68に設けられているものであり、後述するハウスカード読取手段60の近傍に設けられているものである。ゲームチップ供給手段68bは、貯蔵部に配当対象のプレーヤに係るゲームチップが配当分だけ存在する場合には、それを供給する。
【0058】
ゲームチップ供給手段68bは、貯蔵部に配当対象のプレーヤに係るゲームチップが配当分より少なく貯蔵されている場合(全く貯蔵されていない場合を含む)には、配当対象のプレーヤ以外の、しかも、現在のプレーヤではないプレーヤに係るゲームチップから供給するものを決定し、供給する。
【0059】
配当対象のプレーヤ以外の、しかも、現在のプレーヤではないプレーヤに係るゲームチップを供給する際には、図7に示すような情報の更新処理を行ってから供給を行う。
【0060】
ゲームチップ供給手段68bは、配当対象のプレーヤのハウスカード情報を、配当対象のプレーヤのハウスカード20が載置されているハウスカード読取手段60から得る(S10)。そのハウスカード情報を、ハッシュ関数で圧縮する(S11)。
【0061】
供給しようとするゲームチップ30から記録情報を読取ってバッファリングした後(S12)、供給しようとするゲームチップ30の記録情報をクリア(例えばオール0を書き込む)させる(S13)。
【0062】
読み取って得た記録情報を公開鍵で復号する(S14)。復号された情報列のうち、当該ゲームチップ30を所持可能な者を特定する情報INF4の部分を、ステップS11で圧縮したハウスカード情報に置き換える(S15)。この置き換えた情報列を秘密鍵で暗号化し(S16)、暗号化された情報を、供給しようとするゲームチップ30に書き込む(S17)。
【0063】~【0072】(略)
【0073】
また、暗号化及び復号を同じ鍵で行う場合には、鍵の盗難時の不都合を考慮し、復号をセンタ側のサーバで実行することが考えられる。しかし、このようにした場合には、センタ側サーバの処理が過負荷になりやすく、処理が遅くなる恐れがあり、また、センタ側サーバとの通信路に障害が発生した場合には復号を行うことができない。上記実施形態では、ゲームチップに記録する情報を秘密鍵で暗号化しているため偽造し難く、そのため、センタ側サーバではなく、各ゲーム装置に復号を実行させることができる。すなわち、復号処理をカジノ内で分散して実行できるため、処理が集中して処理が遅くなることや、通信路に障害が発生したときの復号できない状態を、未然に防止することができる。
【0074】
また、上記実施形態によれば、ゲームチップの所持者に係る情報を、デジタル署名方式で記録し、確認し得るようにしたので、正当なゲームチップの不正者による使用も検知することができる。
【0075】
(B)他の実施形態
上記実施形態では、ゲームチップを利用するゲームがルーレットゲームとして説明したが、ゲームチップを利用するゲームの種類は問われないものである。
【0076】
また、ゲームチップに記録する情報は上記実施形態のものに限定されるものではない。例えば、チップの有効期限や、発行したゲームチップ発行/精算機58の識別情報を記録情報を含めるようにしても良い。
【0077】~【0082】(略)」

(2)上記記載からみて、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

〈引用発明〉

「ホテルシステム100は、PTS(プレーヤトラッキングシステム)サーバ56、集計・分析サーバ62、カジノデポジットサーバ66等の各種サーバを有し、カジノ22等にもシステムの構成要素が設けられており、構成要素がネットワークNを介して接続されており、
カジノ22には、対をなすルーレット盤24及び遊技台68が設けられ、
PTSサーバ56は、カジノ22における客(プレーヤ)のゲーム結果(例えば、ルーレットゲームの結果)の履歴などを一括管理するものであり、
集計・分析サーバ62には、配当金算出機能が構築され、例えば、ルーレットゲームであれば、集計・分析サーバ62の配当金算出機能は、ルーレット盤上におけるルーレット球の位置(出目)と、集計したゲームチップのベット位置及び価値(掛け金)とに基づいて、今回のルーレットゲームの配当金を算出する、
続きを表示(全25行)
ルーレットゲームに係る遊技台68は、
ベット用ボード32と、チップ情報記録手段34と、出目検出手段36と、ベット情報検出手段38と、配当金算出手段62aと、ゲームチップ回収手段68aと、ゲームチップ供給手段68bとを有し、
チップ情報記録手段34は、ゲームチップ30に設けられ、当該ゲームチップ30に関する情報が記録されたものであり、チップ情報記録手段34は、IDタグとして各ゲームチップ30に埋め込まれ、
チップ情報記録手段34に記録されているゲームチップ30に関する情報には、当該ゲームチップ30を特定する固有番号(ゲームチップを識別する番号)INF1、価値(1ドル、5ドル、10ドル等)や色INF2、当該ゲームチップ30を使用可能な場所(カジノ22)INF3、当該ゲームチップ30を所持可能な者を特定する情報(例えば、その者に対応付けられているハウスカード20の情報)INF4等に関する情報が含まれ、
ベット情報検出手段38は、ベット用ボード32に設けられ、ベット部位にゲームチップ30がベットされた際に、チップ情報記録手段34に記録されたゲームチップ30に関する情報を読み取ることによって、当該ゲームチップ30のベット位置及び価値を検出するものであり、
あるクロスポイント付近にゲームチップ28がベットされていると、そのゲームチップ28のチップ情報記録手段(IDタグ)34は、読取用電波(質問電波)の到来に応じて、記録している情報を含む応答電波を返信し、
ベット情報検出手段は、ゲームチップ30のベット位置、及び、ゲームチップ30に記録されている情報を認識し、
ベット情報検出手段は、ゲームチップ30の記録情報が与えられると、
ゲームチップ30を特定する固有番号(ゲームチップを識別する番号)INF1、価値(1ドル、5ドル、10ドル等)や色INF2、当該ゲームチップ30を使用可能な場所(カジノ22)INF3から、ゲームチップ30の正当性を判定し、
この判定時には、
必要に応じて、PTSサーバ56と通信を行うようにしても良く、例えば、復号で得られたゲームチップ30の固有番号が、当該カジノで割り当てている固有番号の一つかを確認するようにしても良い、
なお、固有番号の一覧データを、ベット情報検出手段本体が保持している場合には、このような通信による確認は不要となる、
検出され、正当性が確認されたデータは、PTSサーバ56や集計・分析サーバ62に送られ、その履歴が一括管理されたり、配当金の算出に利用されたりする、
遊技台68に設けられているゲームチップ回収手段68aは、ルーレットゲームの終了時に、ベット用ボード32にベットされていたゲームチップ30を、回収口から貯蔵部に移動され、
貯蔵部では、回収されたゲームチップ30が価値やそのときのプレーヤによって分別されて貯蔵され、
貯蔵部は、ゲームチップ30の情報の読取、認識構成を有し、
遊技台68に設けられているゲームチップ供給手段68bは、配当金に相当するゲームチップ30を、該当するプレーヤのチップ受け台70に供給するものであり、
ゲームチップ供給手段68bは、貯蔵部に配当対象のプレーヤに係るゲームチップが配当分だけ存在する場合には、それを供給し、
ゲームチップ供給手段68bは、貯蔵部に配当対象のプレーヤに係るゲームチップが配当分より少なく貯蔵されている場合(全く貯蔵されていない場合を含む)には、配当対象のプレーヤ以外の、しかも、現在のプレーヤではないプレーヤに係るゲームチップから供給するものを決定し、供給し、
配当対象のプレーヤ以外の、しかも、現在のプレーヤではないプレーヤに係るゲームチップを供給する際には、情報の更新処理を行ってから供給を行う、
ルーレットゲームに係る遊技台68。」

2.引用文献2について

(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0008】
リモコンIDごとの固有パスワード及び開錠権限の設定を各貸出機に記憶させようとすると、その設定を貸出機に記憶させるための遊技場側の作業負担等が過大となる。一方、リモコンIDごとの固有パスワード等の設定を各貸出機が記憶していないと、前記固有パスワード記憶手段及び/又は前記権限記憶手段と、貸出機とが、通信不可能なオフラインのとき開錠不可能になる。そこで、本発明の遊技場用システムでは、全てのリモコンIDについて共通の前記共通パスワードを貸出機に記憶させている。この共通パスワードを利用すれば、前記固有パスワード記憶手段及び/又は前記権限記憶手段と、貸出機とが、通信できないオフライン時であっても開錠操作が可能になる。
【0009】
さらに、この遊技場用システムでは、共通パスワードを照合に利用して開錠したとき、当該貸出機と前記開錠情報記憶手段とが通信可能な状態であれば、リモコンIDと対応する遊技機の識別情報とが開錠後に開錠情報記憶手段に送信される。一方、貸出機と開錠情報記憶手段とが通信不可能な状態である場合には、通信可能な状態に復帰した後、リモコンIDと対応する遊技機の識別情報とが開錠情報記憶手段に送信される。このような構成を採用することで本発明の遊技場用システムでは、前記固有パスワード記憶手段及び/又は前記権限記憶手段と、貸出機とが、通信できないオフライン時であっても、一定の安全性を確保しながら前記貨幣収納部の開錠操作を可能としている。」
「【0029】
さらに、本例の貸出機2は、島管理装置3と通信不可能な状態下で開錠するための共通パスワードを記憶しており、この共通パスワードによっても開錠可能である。貸出機2は、共通パスワードで開錠されたときには、リモコンIDと対応するスロットマシン13の遊技機番号(識別情報)とを含む開錠情報を遊技場管理装置5に向けて出力する。」
「【0039】
貸出機2は、図6のごとく、オフライン時用の共通パスワードを遊技場管理装置5から受信したとき(S101:YES)、その共通パスワードを記憶する(S102)。
また、貸出機2は、リモコンIDとパスワードに相当する4桁の数字とを含むリモコンデータをいずれかのリモコン20から受信した場合には(S103:YES)、島管理装置3と通信可能であるか否か判断する(S104)。島管理装置3と通信可能なオンライン時の場合には(S104:YES)、対応するスロットマシン13の遊技機番号と共にリモコンデータ(リモコンIDと4桁の数字)を島管理装置3に送信する(S105)。
【0040】
貸出機2は、島管理装置3から開錠要求信号を受信するか(S106)、エラー信号を受信するまで待機する(S106:NO→S127)。開錠要求信号を受信した場合には(S106:YES)、貨幣収納部21を開錠し(S107)、開錠操作に使用されたリモコン20のリモコンIDと遊技機番号を遊技場管理装置5に送信する(S108)。なお、遊技場管理装置5は、これらの送信データに基づいてオンライン時の開錠履歴データ(図4参照。)を生成する。エラー信号を受信した場合には(S127:YES)、表示LED211を利用してエラー表示を実行する(S128)。
【0041】
一方、ステップS104において島管理装置3と通信不可能なオフライン時の場合には(S104:NO)、リモコン20から受信した4桁の数字を、記憶している共通パスワードと照合する(S115)。共通パスワードと一致している場合には(S116:YES)、貨幣収納部21を開錠し(S117)、島管理装置3との通信復帰後、開錠操作に利用されたリモコン20のリモコンIDと遊技機番号を遊技場管理装置5に送信する(S118)。なお、遊技場管理装置5は、これらの送信データに基づいてオフライン時の開錠履歴データ(図5参照。)を生成する。一方、ステップS116において共通パスワードと一致しなかった場合には(S116:NO)、表示LED211を利用してエラー表示を実行する(S137)。」

(2)上記記載からみて、以下の技術は、本願出願時において周知なものと認められる。

〈周知技術〉

通信可能であるか否か判断し、通信不可能なオフラインのときには、オフライン用のデータを参照して処理を行うこと、および、そのためのシステム。

3.引用文献3について

(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0056】
このメダル預払システム1では、通信異常がない場合には各メダル預払機2は、管理装置3との間で通信しながら処理を行う通常運転(いわゆるオンライン運転)を実行する。通常運転とは、複数のメダル預払機2のそれぞれと管理装置3との間で通信が可能な通常状態において、各メダル預払機2が、会員登録やメダルの預払の取引があった場合に、これらの取引に関するデータや信号のやりとりを管理装置3との間で行うことである。一方、通信異常が発生した場合、通信異常中は、親機2Aが管理装置3の代替機として稼動し、各メダル預払機2は、縮退運転(いわゆるオフライン運転)を実行するようになっている。縮退運転とは、各メダル預払機2が親機2Aを管理装置3の代替機とみなして、前述した取引に関するデータや信号のやりとりを、管理装置3との間でなく、親機2Aとの間で行うことである。縮退運転の具体的な内容については、以降で説明する。
【0057】(略)
【0058】
続きを表示(全23行)
通信異常中でない場合において(ステップS1でNO)、所定のタイミングになると(ステップS2でYES)、制御部40は、試験信号を管理装置3に送信する(ステップS3)。試験信号を送信した後に管理装置3からの応答信号を制御部40が受信すると、通信成功になる(ステップS4でYES)。つまり、制御部40は、ステップS2~S4において、所定のタイミングになる度に、試験信号を管理装置3に送信することで、管理装置3との間で通信が正常に行えるか否かをチェックしている。
【0059】
通信状態をチェックする所定のタイミングでない場合において(ステップS2でNO)、制御部40は、前述した会員登録やメダルの預払(預入や払出)等に関して管理装置3と取引があるか否かを監視している(ステップS5)。取引があれば(ステップS5でYES)、制御部40は、その取引において管理装置3との間で通信が成功したか否かを確認する(ステップS4)。
【0060】~【0068】(略)
【0069】
なお、以上のように各メダル預払機2が通信異常に気付くことで自動的に各メダル預払機2が縮退運転を実行する以外に、係員が通信異常に気付いて各メダル預払機2に対して手動で縮退運転を実行させてもよい。
そして、ステップS21において親機2Aが管理装置3として稼動中である場合、つまり、既に通信異常中である場合(ステップS21でYES)、制御部40は、通信異常が解消されたか否かを監視している。通信異常が解消されると、管理装置3との間で通信異常があった子機2B(または管理装置3自身)から、通信異常が解消された旨(通信異常解消)が送信されてくる。制御部40は、この通信異常解消を受信すると(ステップS29でYES)、通信異常中に各子機2Bや自身(親機2A)で会員登録やメダルの預払の取引があった場合に親機2Aで取得されたデータ(取引データ)を、管理装置3に送信する(ステップS30)。
【0070】~【0097】(略)
【0098】
客によって投入されたメダル(預入メダル)の計数、または、メダルの払出が完了すると、子機2Bの制御部40は、預入または払出に関する取引データを作成する(ステップS66)。この取引データには、取引相手である客の会員番号と、本日の日付と、今回の取引が預入および払出のいずれであるかと、メダルの預入枚数または払出枚数と、当該預入枚数または払出枚数を加味した最新の貯メダル数とが含まれている(図4Aおよび図4D参照)。また、制御部40は、ステップS66において、当該取引データに基づいて、今回の預入または払出に関する履歴を作成し、メモリ部44(図3参照)に記録する。なお、メダルの預入や払出にトラブルがあった場合には、係員が、管理装置3にアクセスしなくても、子機2Bのメモリ部44に記録された当該履歴(ステップS62で記録された履歴も含む)に基づいて、トラブルの原因を探すことができる。
【0099】
その後、制御部40は、先程作成した取引データを管理装置3に送信する。管理装置3の制御部30は、受信した取引データに基づいてDB33(図3参照)における該当するデータを更新する(ステップS67)。具体的には、制御部30は、受信した取引データの客についての会員テーブル50(図4A参照)における貯メダル数を更新したり、当該客の履歴テーブル53(図4D参照)に、今回の取引データを新しい履歴として追加したりする。
【0100】(略)
【0101】
ただし、通信異常があった場合、前述した取引データおよび応答通知の送信(図11Bにおいて1点鎖線で囲まれた部分)は、メダル預払機2間で行われる。つまり、子機2Bの制御部40は、縮退運転として、取引データを、管理装置3の代替機である親機2Aに送信する。そして、ステップS67の処理が省略され、親機2Aの制御部40が、縮退運転として、受信した取引データに基づいてメモリ部44(図3参照)における該当するデータを更新する(ステップS68)。この場合、親機2Aの制御部40は、データの更新が完了すると、その旨を、応答通知として、取引データを送信してきた子機2Bに送信する。
【0102】~【0111】(略)
【0112】
そして、通信異常の有無にかかわらず、会員登録確定通知を受信した子機2Bの制御部40は、今回新規会員となった客について自身のメモリ部44(図3参照)等に一時的に記録されているデータを消去する(ステップS88)。これによって、一連の会員登録の取引が完了し、メダル預払システム1が待機を開始する(ステップS89)。
なお、図10~図12では、子機2Bで取引があった場合について説明しているが、親機2Aにおいて取引があった場合も、子機2Bで取引があった場合とほぼ同様である。ただし、子機2Bで取得されたデータが管理装置3へ送信されて、親機2Aにバックアップ管理されるといったデータ処理は、親機2Aの場合には、親機2Aで取得されたデータが一旦管理装置3へ送信されてから親機2Aにバックアップ管理されるというデータ処理になる。また、縮退運転において子機2Bが親機2Aに対してデータを送信したり問い合わせしたりする処理は、親機2Aが自分自身に対してデータを送信したり問い合わせしたりする処理になる。」

(2)上記記載からみて、引用文献3には、次の技術的事項が記載されていると認められる。

〈引用文献3記載の技術的事項〉

通信異常時に各子機や親機での取引データを管理装置の代替機である親機でバックアップし、通信異常が解消された場合には親機から管理装置へ取引データが送信されること。

4.引用文献4について

(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0050】
図5は、本発明の実施の形態に係るセンターサーバ1において、電子装置が用いるためにダウンロードするデータの構成例を示す図である。図6は、拠点サーバ2におけるデータ構成の例を示す図である。
【0051】
図5において、新たに登録されたデータに関する更新情報は、例えば、XML(eXtensible Markup Language)で表現されている(更新情報XML)。XMLは、文書やデータの意味や構造を記述するためのマークアップ言語の一つである。更新情報XMLは更新されたデータを示すレコードの集合で表される。レコードは更新された新しいデータから順に並べられる。図5ではレコード1が最も新しい更新情報を示す。
続きを表示(全22行)
【0052】
更新情報XMLの各レコードは、それぞれ更新されたデータ内の属性情報を指している。例えば、レコード1は品種1のデータの属性情報のうち、レコード1に対応している。品種1のデータの属性情報のレコード1に対応する情報には、データが格納されているサーバ内の場所を示すURL(Uniform Resource Locator)、データの作成日時、データの更新日時などが記録されている。この属性情報の更新日時を参照して、そのデータが更新された日時を知ることができる。
【0053】
同様に、図5の更新情報XMLのレコード2は、品種3のデータの属性情報のレコード2に対応している。品種3のデータの属性情報のレコード2に対応する情報にも、データURL、作成日時、更新日時が記録されている。更新情報XMLのレコード3は、品種2のデータの属性情報のレコード3に対応している。
【0054】
また、更新情報XMLのレコード4は、品種1のデータの属性情報のレコード4に対応している。品種1のデータの属性情報のレコード1はレコード4より新しい情報である。図5の例では、品種1のデータは少なくともレコード4の更新日時ののちに更新されていることを示す。
【0055】
拠点サーバ2は、センターサーバ1から更新情報XMLを入力し、さらに更新情報のレコードをたどって、それらに対応するデータの属性情報を参照することによって、データの更新日時を知ることができる。そこで、拠点サーバ2は既に外部記憶部23に格納されているデータの最新の更新日時と、センターサーバ1の更新情報から参照できる更新日時を比較して、センターサーバ1の更新されたデータを識別する。
【0056】
更新情報XMLのレコードは、データの更新日時の新しいものから更新日時順に並べられているので、拠点サーバ2は、更新情報XMLのレコードをたどって、すでに保有しているデータの最新更新日時より古い更新情報を見いだしたときに、更新データの検索を終了する。
【0057】
拠点サーバ2は、センターサーバ1の更新されたデータをダウンロードして、外部記憶部23に格納する。そして、拠点サーバ2の更新情報を書き換える。図6は、センターサーバ1から更新されたデータをダウンロードして、更新情報を書き換えたのちの拠点サーバ2の更新情報を示す。図5のセンターサーバ1のデータ構成に比べて、各データの属性情報に、ダウンロードするデータの拠点サーバ2内の格納場所を示すダウンロードデータパスが追加されている。
【0058】
クライアント3又は端末機器4は、予め決められた拠点サーバ2から更新情報XMLを入力し、さらに更新情報のレコードをたどって、それらに対応するデータの属性情報を参照することによって、データの更新日時を知ることができる。クライアント3又は端末機器4は、保有するデータの属性情報と、拠点サーバ2の更新情報から参照できる更新日時を比較して、拠点サーバ2の更新されたデータを識別する。拠点サーバ2の更新されたデータのうち、クライアント3又は端末機器4で用いるデータを、拠点サーバ2からダウンロードする。
【0059】
通信網5には、1つ以上の拠点サーバ2が接続され、更新データが拠点サーバ2にダウンロードされるので、クライアント3又は端末機器4は更新データをダウンロードするためにセンターサーバ1に集中して通信を行うことはない。また、拠点サーバ2、クライアント3及び端末機器4は、データの更新日時を参照して、保有しているデータよりも新しいデータのみをダウンロードするので、ダウンロードは効率的に行われる。
【0060】
更新されたデータが、前の版と部分的にしか違わない場合は、異なる部分を更新するためのデータ、いわゆるアップデーター(Updater)のみをダウンロードするように構成してもよい。アップデーターは、例えば、前の版の内容の一部を追加、削除、変更するプログラムで構成される。更新された部分が、全体に比べて小さい場合は、ダウンロードするデータをアップデーターとすることによって、ダウンロードの伝送データ量を削減することができる。」

(2)上記記載からみて、以下の技術は、本願出願時において周知なものと認められる。

〈周知技術〉

元のデータの更新時刻を用いて、更新時刻が記録済みのデータの更新時刻より新しい場合に、ダウンロードして用いること、およびそのためのシステム。

第5 対比・判断

1.本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア.引用発明における「ルーレットゲーム」、「ゲームチップ30」は、それぞれ本願発明1における「ゲーム」、「ゲーム用のチップ」に相当する。

イ.引用発明の「チップ情報記録手段34に記録されているゲームチップ30に関する情報には、当該ゲームチップ30を特定する固有番号(ゲームチップを識別する番号)INF1」が含まれており、「ベット情報検出手段38」は、「ベット部位にゲームチップ30がベットされた際に、チップ情報記録手段34に記録されたゲームチップ30に関する情報を読み取る」ことから、引用発明における「ベット情報検出手段38」は、本願発明1における「ゲームに用いるゲーム用チップが有する識別情報にアクセス可能なチップ通信部」に相当する。

ウ.引用発明は、「ゲームチップ30を特定する固有番号(ゲームチップを識別する番号)INF1、価値(1ドル、5ドル、10ドル等)や色INF2、当該ゲームチップ30を使用可能な場所(カジノ22)INF3から、ゲームチップ30の正当性を判定し」ており、「この判定時には、必要に応じて、PTSサーバ56と通信を行うようにしても良く、例えば、復号で得られたゲームチップ30の固有番号が、当該カジノで割り当てている固有番号の一つかを確認するようにしても良い」ことから、引用発明は、「ゲームチップ30」の正当性を判定するための情報が関連付けられた手段を有する「PTSサーバ56」とのデータ通信を可能にする手段を有するものと認められ、この手段は、本願発明1の「前記ゲーム用チップを識別する識別情報に前記ゲーム用チップの認証を行うための情報が関連付けられたチップデータベースを有するサーバとのデータ通信を可能にする通信接続部」に相当する。

エ.引用発明が、通常のコンピュータ装置に備えられる「記憶手段」や「制御手段」を有することは自明であり、これらの手段は、本願発明1の「記憶部」、「制御部」に相当する。

オ.引用発明の「チップ情報記録手段34に記録されているゲームチップ30に関する情報」含まれる「価値(1ドル、5ドル、10ドル等)や色INF2」、「当該ゲームチップ30を所持可能な者を特定する情報(例えば、その者に対応付けられているハウスカード20の情報)INF4」は、それぞれ本願発明1の「ゲーム用チップのチップ額」の情報、「ゲーム用チップの所有者」の情報に相当する。

カ.引用発明の「ゲームチップ30のベット位置」は、本願発明1の「ゲーム用チップがベットされたベット対象のベット領域の情報」に相当する。

キ.上記オ及びカより、引用発明における「ベット部位にゲームチップ30がベットされた際に、チップ情報記録手段34に記録されたゲームチップ30に関する情報を読み取ることによって、当該ゲームチップ30のベット位置及び価値を検出するもの」である「ベット情報検出手段38」と、本願発明1における「前記ゲームにおいてゲームを行うプレイヤーと、ゲームを管理するディーラーとの間における前記ゲーム用チップのチップ額、前記ゲーム前の前記ゲーム用チップの所有者、前記ゲーム後の前記ゲーム用チップの所有者、及び、前記ゲーム用チップがベットされたベット対象のベット領域の情報を含む取引情報を取得可能な取引情報取得部」とは、「前記ゲームにおいてゲームを行うプレイヤーと、ゲームを管理するディーラーとの間における前記ゲーム用チップのチップ額、前記ゲーム用チップの所有者、及び、前記ゲーム用チップがベットされたベット対象のベット領域の情報を含む取引情報を取得可能な取引情報取得部」である点で共通する。

ク.引用発明において、「ベット情報検出手段は、ゲームチップ30の記録情報が与えられると」、「ゲームチップ30の正当性を判定し」、「この判定時には、PTSサーバ56と通信を行うようにしても良く」、「検出され、正当性が確認されたデータは、PTSサーバ56や集計・分析サーバ62に送られ、その履歴が一括管理されたり、配当金の算出に利用されたりする」ものであるところ、ここで、サーバとデータ通信を行うに際して、「前記サーバへの前記データ通信が不可であるか否かを判定し」、「前記データ通信が可能である場合」に、当該データ通信処理を実行することは自明な処理であることを踏まえれば、引用発明と本願発明1とは、「前記チップ通信部がゲーム用チップにアクセスした際に、前記サーバへの前記データ通信が不可であるか否かを判定し」、「前記データ通信が可能である場合、前記サーバの前記チップデータベースを参照して前記ゲーム用チップを認証」を行い、また、「前記取引情報取得部が前記取引情報を取得した際に、前記サーバへの前記データ通信が不可であるか否かを判定し」、「前記データ通信が可能である場合、前記取引情報を前記サーバへ送信」する点で共通する。

ケ.引用発明の「ルーレットゲームに係る遊技台68」は、本願発明1の「ゲーム制御装置」に対応する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

〈一致点〉

「ゲームに用いるゲーム用チップが有する識別情報にアクセス可能なチップ通信部と、
前記ゲーム用チップを識別する識別情報に前記ゲーム用チップの認証を行うための情報が関連付けられたチップデータベースを有するサーバとのデータ通信を可能にする通信接続部と、
記憶部と、
制御部と、
続きを表示(全12行)
前記ゲームにおいてゲームを行うプレイヤーと、ゲームを管理するディーラーとの間における前記ゲーム用チップのチップ額、前記ゲーム用チップの所有者、及び、前記ゲーム用チップがベットされたベット対象のベット領域の情報を含む取引情報を取得可能な取引情報取得部と、
を有し、
前記制御部は、
前記チップ通信部がゲーム用チップにアクセスした際に、前記サーバへの前記データ通信が不可であるか否かを判定し、
前記データ通信が可能である場合、前記サーバの前記チップデータベースを参照して前記ゲーム用チップを認証し、
前記取引情報取得部が前記取引情報を取得した際に、前記サーバへの前記データ通信が不可であるか否かを判定し、
前記データ通信が可能である場合、前記取引情報を前記サーバへ送信する
ゲーム制御装置。」

〈相違点〉

〈相違点1A〉

本願発明1では、「前記ゲーム前の前記ゲーム用チップの所有者」、「前記ゲーム後の前記ゲーム用チップの所有者」を含む「取引情報」を取得可能な取引情報取得部を有するのに対し、引用発明では、「ゲームチップ30を所持可能な者を特定する情報INF4」を取得するものの、「ゲーム前」及び「ゲーム後」それぞれの所持可能な者(所有者)を含む情報を取得可能であることは特定されていない点。

〈相違点2A〉

本願発明1では、「前記サーバから、前記チップデータベースを所定のタイミングでダウンロードしてオフラインデータとして前記記憶部に記憶し」ているのに対し、引用発明では、「ゲームチップ30の正当性を判定」するための「固有番号の一覧データ」が、サーバからダウンロードしたものであることは特定されていない点。

〈相違点3A〉

本願発明1では、前記チップ通信部がゲーム用チップにアクセスした際に、「前記データ通信が不可である場合、前記オフラインデータを参照して、前記ゲーム用チップの認証を行」うのに対し、引用発明では、「データ通信が不可である場合」に限って、ベット情報検出手段本体が保持している固有番号の一覧データで「ゲームチップ30の正当性を判定」することは特定されていない点。

〈相違点4A〉

本願発明1では、前記取引情報取得部が前記取引情報を取得した際に、「前記データ通信が不可である場合、前記取引情報を前記記憶部に蓄積し、前記データ通信が復旧後、蓄積した前記取引情報を前記サーバへ送信する」のに対し、引用発明では、データ通信が不可な場合の蓄積処理やデータ通信が復旧後の送信処理について特定されていない点。

(2)相違点についての判断

ア.上記相違点1Aは、「取引情報」に含まれる情報の内容に関するものであり、上記相違点4Aは、取得された「取引情報」の処理に関するものであり、両相違点は互いに関連する技術的事項であるから、相違点1Aと相違点4Aを併せて検討する。

イ.引用文献3には、「通信異常時に各子機や親機での取引データを管理装置の代替機である親機でバックアップし、通信異常が解消された場合には親機から管理装置へ取引データが送信されること」が記載されているものの、この「取引データ」は、「通信異常中に各子機2Bや自身(親機2A)で会員登録やメダルの預払の取引があった場合に親機2Aで取得されたデータ」(段落【0069】)であって、「この取引データには、取引相手である客の会員番号と、本日の日付と、今回の取引が預入および払出のいずれであるかと、メダルの預入枚数または払出枚数と、当該預入枚数または払出枚数を加味した最新の貯メダル数とが含まれている」(段落【0098】)ものであり、「メダルの預払の取引」の管理に関するものであって、払い出したメダルのゲーム使用時における管理に関するものではないから、「ゲーム前のメダルの所有者(客)」及び「ゲーム後のメダルの所有者(客)」の情報を取得することについて記載も示唆もない。

ウ.また、引用文献2、4においても、データ通信が不可である場合、「ゲーム前のゲーム用チップの所有者」、「ゲーム後のゲーム用チップの所有者」を含む「取引情報」を記憶部に蓄積し、前記データ通信が復旧後、蓄積した前記取引情報をサーバへ送信することについて記載も示唆もなく、このことが本願出願時において周知技術であったとも認められない。

エ.一方、本願発明1は、「ゲーム前のゲーム用チップの所有者」、「ゲーム後のゲーム用チップの所有者」が取引情報に含まれていることにより、オフラインの状況下であっても誰から誰にチップが取引されたという情報が蓄積されるため正確なチップの追跡が可能となり、加えて、データ通信が復旧後、蓄積した前記取引情報をサーバへ送信することにより、サーバのチップデータベースの更新を可及的に行うことが可能であるとの格別の作用効果を奏するものである。

オ.したがって、その他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明、引用文献2~4に記載された技術的事項や周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2.本願発明2~4について

本願発明2~4も、本願発明1の上記相違点1A及び相違点4Aと同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2~4に記載された技術的事項や周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

3.本願発明5について

(1)対比

本願発明5と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア.引用発明の「ゲームチップ30」は、本願発明5の「ゲーム用チップ」に相当し、引用発明における「ルーレットゲーム」は、本願発明5における「ディーラーにより進行され、プレイヤーが結果に対してベットを行い、前記ディーラーと前記プレイヤーとの間でゲーム用チップの取引を行うゲーム」に相当する。

イ.引用発明の「チップ情報記録手段34に記録されているゲームチップ30に関する情報には、当該ゲームチップ30を特定する固有番号(ゲームチップを識別する番号)INF1」が含まれており、「ベット情報検出手段38」は、「ベット部位にゲームチップ30がベットされた際に、チップ情報記録手段34に記録されたゲームチップ30に関する情報を読み取る」ことから、引用発明における「ベット情報検出手段38」は、本願発明5における「ゲームに用いるゲーム用チップが有する識別情報にアクセス可能なチップ通信部」に相当する。

ウ.引用発明は、「ゲームチップ30を特定する固有番号(ゲームチップを識別する番号)INF1、価値(1ドル、5ドル、10ドル等)や色INF2、当該ゲームチップ30を使用可能な場所(カジノ22)INF3から、ゲームチップ30の正当性を判定し」ており、「この判定時には、必要に応じて、PTSサーバ56と通信を行うようにしても良く、例えば、復号で得られたゲームチップ30の固有番号が、当該カジノで割り当てている固有番号の一つかを確認するようにしても良い」ことから、引用発明は、「ゲームチップ30」の正当性を判定するための情報が関連付けられた手段を有する「PTSサーバ56」とのデータ通信を可能にする手段を有するものと認められ、この手段は、本願発明5の「前記ゲーム用チップを識別する識別情報に前記ゲーム用チップの認証を行うための情報」「が関連付けられ」「たチップデータベースを有するサーバとのデータ通信を可能にする通信接続部」に対応する。

エ.引用発明の「チップ情報記録手段34に記録されているゲームチップ30に関する情報」含まれる「価値(1ドル、5ドル、10ドル等)や色INF2」、「当該ゲームチップ30を所持可能な者を特定する情報(例えば、その者に対応付けられているハウスカード20の情報)INF4」は、それぞれ本願発明5の「チップ額」の情報、「ゲーム用チップの所有者を示す情報」に相当する。

オ.引用発明の「ゲームチップ30のベット位置」は、本願発明5の「ゲーム用チップがベットされたベット対象のベット領域の情報」に相当する。

カ.上記ウ~オより、引用発明と本願発明5とは、「前記ゲーム用チップを識別する識別情報に前記ゲーム用チップの認証を行うための情報と、チップ額と、前記ゲーム用チップの所有者を示す情報と、前記ゲーム用チップがベットされたベット対象のベット領域の情報と、を含む取引情報とが関連付けられたチップデータベースを有するサーバとのデータ通信を可能にする通信接続部」を有する点で共通する。

キ.引用発明が、通常のコンピュータ装置に備えられる「記憶手段」や「制御手段」を有することは自明であり、これらの手段は、本願発明5の「記憶部」、「制御部」に相当する。

ク.引用発明において、「ベット情報検出手段は、ゲームチップ30の記録情報が与えられると」、「ゲームチップ30の正当性を判定し」、「この判定時には、PTSサーバ56と通信を行うようにしても良く」、「検出され、正当性が確認されたデータは、PTSサーバ56や集計・分析サーバ62に送られ、その履歴が一括管理されたり、配当金の算出に利用されたりする」ものであるところ、ここで、サーバとデータ通信を行うに際して、「前記サーバへの前記データ通信が不可であるか否かを判定し」、「前記データ通信が可能である場合」に、当該データ通信処理を実行することは自明な処理であることを踏まえれば、引用発明と本願発明5とは、「前記チップ通信部がゲーム用チップにアクセスした際に、前記サーバへの前記データ通信が不可であるか否かを判定し」、「前記データ通信が可能である場合、前記サーバの前記チップデータベースを参照して前記ゲーム用チップを認証」を行う点で共通する。

ケ.引用発明の「ルーレットゲームに係る遊技台68」は、本願発明5の「ゲーム制御装置」に対応する。

したがって、本願発明5と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

〈一致点〉

「ディーラーにより進行され、プレイヤーが結果に対してベットを行い、前記ディーラーと前記プレイヤーとの間でゲーム用チップの取引を行うゲームのためのゲーム制御装置であって、
ゲームに用いるゲーム用チップが有する識別情報にアクセス可能なチップ通信部と、
前記ゲーム用チップを識別する識別情報に前記ゲーム用チップの認証を行うための情報と、チップ額と、前記ゲーム用チップの所有者を示す情報と、前記ゲーム用チップがベットされたベット対象のベット領域の情報と、を含む取引情報とが関連付けられたチップデータベースを有するサーバとのデータ通信を可能にする通信接続部と、
記憶部と、
制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記チップ通信部がゲーム用チップにアクセスした際に、前記サーバへの前記データ通信が不可であるか否かを判定し、
前記データ通信が可能である場合、前記サーバの前記チップデータベースを参照して前記ゲーム用チップを認証する
ゲーム制御装置。」

〈相違点〉

〈相違点1B〉

本願発明5では、「前記ゲーム前の前記ゲーム用チップの所有者を示す情報と、前記ゲーム後の前記ゲーム用チップの所有者を示す情報と」を含む取引情報が関連付けられ、「前記取引が行われるごとに前記所有者を示す情報が更新される最終更新時刻を有したチップデータベース」を有するのに対し、引用発明では、「ゲームチップ30を所持可能な者を特定する情報INF4」を取得するものの、「ゲーム前」及び「ゲーム後」それぞれの所持可能な者(所有者)を含む取引情報が関連付けられ、「前記取引が行われるごとに前記所有者を示す情報が更新される最終更新時刻を有したチップデータベース」を有することは特定されていない点。

〈相違点2B〉

本願発明5では、「前記サーバから、前記チップデータベースを所定のタイミングで、前記サーバの前記チップデータベースの最終更新時刻が、前記オフラインデータの最終更新時刻よりも新しい場合に、ダウンロードしてオフラインデータとして前記記憶部に記憶し」ているのに対し、引用発明では、「ゲームチップ30の正当性を判定」するための「固有番号の一覧データ」が、サーバからダウンロードしたものであることは特定されていない点。

〈相違点3B〉

本願発明5では、前記チップ通信部がゲーム用チップにアクセスした際に、「前記データ通信が不可である場合、前記オフラインデータを参照して、前記ゲーム用チップの認証を行」うのに対し、引用発明では、「データ通信が不可である場合」に限って、ベット情報検出手段本体が保持している固有番号の一覧データで「ゲームチップ30の正当性を判定」することは特定されていない点。

〈相違点4B〉

本願発明5では、「前記取引が行われるごとに、前記オフラインデータの当該ゲーム用チップの前記ゲーム前のゲーム用チップの所有者を示す情報と前記ゲーム後のゲーム用チップの所有者を示す情報とを更新し」、「前記サーバへの前記データ通信が不可であるか否かを判定して、前記データ通信が可能である場合、前記サーバの前記チップデータベースを参照して前記サーバの前記チップデータベースにおける前記ゲーム前のゲーム用チップの所有者を示す情報と前記ゲーム後のゲーム用チップの所有者を示す情報とを更新し、前記データ通信が不可である場合、前記データ通信が復旧後、前記データ通信が不可である間に更新された未送信の前記オフラインデータの前記ゲーム用チップの前記ゲーム前のゲーム用チップの所有者を示す情報と前記ゲーム後のゲーム用チップの所有者を示す情報とを、前記サーバの前記チップデータベースに同期させる」のに対し、引用発明では、サーバへのデータ通信が可/不可に応じた、「ゲームチップ30を所持可能な者を特定する情報(例えば、その者に対応付けられているハウスカード20の情報)INF4」の更新処理について特定されていない点。

(2)相違点についての判断

ア.事案に鑑み、上記相違点4Bについてまず検討する。

イ.引用文献3には、「通信異常時に各子機や親機での取引データを管理装置の代替機である親機でバックアップし、通信異常が解消された場合には親機から管理装置へ取引データが送信されること」が記載されているものの、この「取引データ」は、「通信異常中に各子機2Bや自身(親機2A)で会員登録やメダルの預払の取引があった場合に親機2Aで取得されたデータ」(段落【0069】)であって、「この取引データには、取引相手である客の会員番号と、本日の日付と、今回の取引が預入および払出のいずれであるかと、メダルの預入枚数または払出枚数と、当該預入枚数または払出枚数を加味した最新の貯メダル数とが含まれている」(段落【0098】)ものであり、「メダルの預払の取引」の管理に関するものであって、払い出したメダルのゲーム使用時における管理に関するものではないから、「ゲーム前のメダルの所有者(客)を示す情報」及び「ゲーム後のメダルの所有者(客)を示す情報」を取得すること、通信異常時に所有者(客)の情報をオフラインで更新すること、そして、通信異常が解消された場合に、前記通信異常である間に更新された未送信のオフラインデータの前記「ゲーム前のメダルの所有者(客)を示す情報」と前記「ゲーム後のメダルの所有者(客)を示す情報」とを、管理装置に同期させることのいずれについても記載も示唆もない。

ウ.また、引用文献2、4においても、データ通信が不可である場合、「ゲーム前のゲーム用チップの所有者を示す情報」、「ゲーム後のゲーム用チップの所有者を示す情報」を含む「取引情報」をオフラインデータとして蓄積し、前記データ通信が復旧後、蓄積した前記取引情報をサーバへ送信することについて記載も示唆もなく、このことが本願出願時において周知技術であったとも認められない。

エ.一方、本願発明5は、「ゲーム前のゲーム用チップの所有者を示す情報」、「ゲーム後のゲーム用チップの所有者示す情報」が取引情報に含まれていることにより、オフラインの状況下であっても誰から誰にチップが取引されたという情報が蓄積されるため正確なチップの追跡が可能となり、加えて、データ通信が復旧後、蓄積した前記取引情報をサーバへ送信することにより、サーバのチップデータベースの更新を可及的に行うことが可能であるとの格別の作用効果を奏するものである。

オ.したがって、その他の相違点について判断するまでもなく、本願発明5は、当業者であっても、引用発明、引用文献2~4に記載された技術的事項や周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 原査定について

審判請求時の補正により、本願発明1~4は、上記相違点1A及び上記相違点4Aに係る構成を有するものとなっており、また、本願発明5は、上記相違点4Bに係る構成を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1~4に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。

したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび

以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-011746

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