2021-011734
洗濯機
- 審判番号
- 2021-011734
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-241195外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年09月03日
- 審決日
- 2022年04月18日
- 公報発行日
- 2022年05月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】東芝ライフスタイル株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人 サトー国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (D06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 16項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成28年12月13日の出願であって、令和2年9月25日付けで拒絶理由通知がされ、同年11月30日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月14日付けで拒絶理由(最後)通知がされ、令和3年2月16日に意見書及び手続補正書が提出され、同年5月25日付けで令和3年2月16日に提出した手続補正書による補正が却下されると共に、拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、令和3年9月3日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
本願の請求項1ないし3に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明、引用文献2及び3に記載された事項並びに引用文献4、5に記載された周知技術に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1 特開2016-106943号公報
2 中国実用新案第204608419号明細書
3 特開2001-087766号公報
4 特開2016-019632号公報
5 特開2006-334260号公報
第3 本願発明
本願の請求項1ないし3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)は、令和2年11月30日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
・本願発明1
「洗濯機本体と、前記洗濯機本体内に設けられる水槽と、前記水槽内に供給される水を照明する照明ユニットと、前記照明ユニットによる照明を制御する照明制御手段と、前記照明ユニットによる照明態様を変化させる照明態様変化手段と、を備え、前記照明制御手段は、前記水槽内に水を供給する給水行程において前記照明ユニットによる照明をオンするように構成され、前記照明態様変化手段は、所定の機能を有する機能水が前記水槽内に供給される機能水給水時と、所定の機能を有さない通常水が前記水槽内に供給される通常水給水時とで前記照明ユニットによる照明態様を異ならせる洗濯機。」
・本願発明2
「前記照明態様変化手段は、所定の機能を有する機能水が前記水槽内に供給される場合には、その機能水の機能レベルに応じて前記照明ユニットによる照明態様を変化させる請求項1に記載の洗濯機。」
・本願発明3
「前記照明態様変化手段は、前記照明ユニットによる照明態様として、光の色、強度、点滅回数のうち少なくとも何れか1つを変化させる請求項1または2に記載の洗濯機。」
第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1
(1)引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。以下同様。)。
ア 「【請求項1】水が溜められる外槽と、前記外槽内に収容され、前記外槽との間で水を行き来させるための貫通穴を有し、洗濯物を収容して回転可能な円筒状の洗濯槽と、前記外槽に溜まった水を汲み上げ、前記洗濯槽内に上方から吐出する水路と、を含み、前記水路において水を前記洗濯槽内に上方から吐出する吐出口は、前記洗濯槽の周方向全域に亘って設けられることを特徴とする、洗濯機。」
イ 「【請求項7】洗濯機の運転状態に応じて点灯される光源を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の洗濯機。」
ウ 「【0024】図1を参照して、洗濯機1は、筐体2と、外槽3と、洗濯槽5とを含む。筐体2は、略直方体形状の中空体であり、外槽3および洗濯槽5は、筐体2内に収容される。」
エ 「【0040】洗濯機1は、筐体2内に収容される水路4を含む。水路4は、樹脂製の細長いパイプ37を含む。・・・」
オ 「【0042】水路4は、パイプ37に加えて、前述した外槽3の環状壁8も、水路4の構成部品として含む。環状壁8は、カバー40および底部41を含む。カバー40および底部41のそれぞれは、周方向Sに沿って延びる円環状に形成される。カバー40は、上下方向Zに薄い板状であり、径方向内側R1へ向かうにしたがって下方Z2へ向かうように水平方向Hに対して傾斜する。底部41は、上下方向Zに薄い板状であり、水平方向Hに沿って配置される。底部41は、外槽3の側壁6の上端部に一体化される。このように、外槽3の環状壁8を構成するカバー40および底部41が水路4の一部を兼ねるので、部品点数の削減を図れる。」
カ 「【0048】カバー40の連結部40Aおよび第1部分44と、底部41の径方向内側R1における端部41Bとの隙間は、吐出口43である。吐出口43は、周方向Sに沿って延びる環状のスリット状に形成される。つまり、吐出口43は、環状壁8の径方向内側R1の端部において、周方向Sの全域に亘って設けられる。吐出口43は、カバー40の第1部分44の傾斜に沿って、径方向内側R1かつ下方Z2を臨む。吐出口43は、内部空間42の第1空間46を周方向Sの全域に亘って径方向内側R1へ露出させる(図2参照)。」
キ 「【0055】図2を参照して、洗濯槽5がモータ30のトルクを受けて回転すると、洗濯槽5の底壁21の羽根35は、洗濯槽5と一体回転する。これにより、羽根35は、外槽3に溜まった水、詳しくは、洗濯槽5の底壁21と外槽3の底壁7との隙間36に存在する水を、それぞれのパイプ37の受入口38から内部空間39に送り込む。また、隙間36に存在する水は、羽根35の回転によって遠心力が生じて、パイプ37の受入口38から内部空間39に送り込まれる。内部空間39に送り込まれた水は、後続の水に押されることによってパイプ37内を上昇する。【0056】図5を参照して、それぞれのパイプ37の上端部37Cまで上昇した水は、環状壁8の内部空間42の対応する第2空間55に流入する。それぞれの第2空間55に流入した水は、リブ49Aに導かれて、実線矢印で示すように、接続部分56から径方向内側R1へ向けて放射状に広がりながら第1空間46に流入する。続きを表示(全14行)【0057】前述したように、第1空間46は、径方向内側R1へ向かうにしたがって上下方向Zに狭くなる(図3参照)。よって、第1空間46に流入した水は、第1空間46内において、周方向Sにおけるどこかの領域に偏ることなく、周方向Sに広がりながら径方向内側R1へ向かう。そのため、周方向Sの全体で見ると、それぞれのパイプ37から第2空間55を経て第1空間46に流入した水は、第1空間46において周方向Sの全域から径方向内側R1へ向かう。【0058】第1空間46において径方向内側R1へ向かう水の流れる先にある吐出口43は、前述したように、周方向Sの全域に亘って設けられる。よって、第1空間46において周方向Sの全域から径方向内側R1へ向かう水は、破線矢印で示すように、吐出口43の周方向Sの全域から吐出される。吐出口43から吐出された水は、図2の破線矢印で示すように、カバー40の第1部分44の傾斜に沿って、洗濯槽5内を、洗濯槽5の中心へ向けて斜め下方へ流れ落ちる。【0059】このように、水路4は、外槽3に溜まった水を汲み上げ、水路4の吐出口43は、水路4によって汲み上げられた水を洗濯槽5内に上方Z1から吐出する。洗濯槽5内の水は、洗濯槽5の貫通穴23を通ることによって洗濯槽5と外槽3との間で行き来する。【0060】これにより、水が循環しながら洗濯に用いられるので、節水が可能になる。前述したように、吐出口43は、円筒状の洗濯槽5の周方向Sの全域に亘って設けられるので、洗濯槽5の周方向Sの全域から洗濯槽5内に水を吐出できる。そのため、洗濯槽5に収容された洗濯物に、洗濯槽5の周方向Sの全域から万遍なく水を振り掛けることができる。【0061】また、洗濯槽5の周方向Sの全域に亘って設けられた吐出口43は、多量の水を吐出できる。これにより、洗濯物を洗う際、吐出口43から吐出された多量の水が洗濯槽5内を勢いよく落下するので、水の落下の勢いによって洗濯槽5内の洗剤を泡立てることができる。そのため、泡立った洗剤によって洗濯物を効果的に洗うことができる。また、吐出口43から吐出された多量の水が洗濯槽5内に勢いよく落下するので、洗濯物に作用する機械力を増大させることができ洗濯機の洗浄力を向上することができる。また、洗濯槽5内に上方Z1から吐出される多量の水によって、洗濯物を効率的にすすぐことができるので、すすぎ運転における時間短縮を図れる。」
ク 「【0086】次に、本発明の第4変形例について説明する。図9は、図2に本発明の第4変形例を適用した図である。【0087】続きを表示(全25行)図9を参照して、筐体2は、その上端部に、扉71と、上面板72とを含む。筐体2の上面には、開口74が形成される。開口74の下方Z2に出入口25が位置する。扉71は、本体70の開口74を上方Z1から塞ぐ。上面板72は、筐体2の上端部において開口74の後方Y2の部分に固定され、扉71の後端を支持する。【0088】洗濯機1の使用者は、洗濯機1の前方Y1から扉71を開くことができる。洗濯機1の使用者は、扉71を開いた状態で、出入口25を介して洗濯槽5に対して上方Z1から洗濯物を出し入れできる。扉71は、透明または半透明なので、使用者は、閉じた扉71越しに、洗濯槽5内の様子を目視で確認できる。【0089】外槽3の側壁6は、半透明の樹脂製である。外槽3全体が半透明であってもよい。外槽3の底壁7には、外槽3内の水を排出するための図示しない排水口が形成される。排水口には、洗濯機1の機外に水を排出する排水路76が接続される。排水路76には、洗濯機1の機外に排出される水の汚れ度合を検知する汚れセンサ77が設けられる。汚れセンサ77として、公知の構成が用いられる。汚れセンサ77は、制御部33に対して電気的に接続される。汚れセンサ77による検知結果は、制御部33に入力される。【0090】洗濯機1は、光源81を含む。光源81は、たとえば1つまたは複数のLEDから構成され、様々な色の光を発する。光源81は、制御部33に電気的に接続される。制御部33は、光源81の発光パターンを制御できる。【0091】光源81は、たとえば、外槽3の側壁6の外周面6Aに後方Y2から取り付けられる。光源81が発する光は、洗濯槽5内の水に後方Y2から照射される。詳しくは、光源81が発する光は、半透明の外槽3の側壁6を透過して、洗濯槽5の側壁20の貫通穴23を通って洗濯槽5内の水に後方Y2から照射される。【0092】光源81の代わりに、別の光源82が設けられてもよい。光源82は、たとえば1つまたは複数のLEDから構成され、様々な色の光を発する。光源82は、制御部33に電気的に接続される。制御部33は、光源82の発光パターンを制御できる。光源82は、たとえば、上面板72の下面に下方Z2から取り付けられる。光源82が発する光は、洗濯槽5内の水または吐出口43から洗濯槽5内に吐出される水に上方Z1から照射される。【0093】光源81の代わりに、別の光源83が設けられてもよい。光源83は、複数設けられる。各光源83は、たとえば1つまたは複数のLEDから構成され、様々な色の光を発する。光源83は、制御部33に電気的に接続される。制御部33は、光源83の発光パターンを制御できる。【0094】光源83が設けられる場合、外槽3は、上方Z1から見て円環状の支持部材73を含む。支持部材73は、環状壁8のカバー40に上方Z1から取り付けられる。複数の光源83は、たとえば、支持部材73の上面に上方Z1から取り付けられ、周方向Sに沿って並んで配置される。複数の光源83は、支持部材73の下面に下方Z2から取り付けられてもよい。光源83が発する光は、洗濯槽5内の水または吐出口43から洗濯槽5内に吐出される水に上方Z1から照射される。【0095】これらの光源81、82および83は、単独で設けられてもよいし、組み合わさって設けられてもよい。洗濯槽5内の水または吐出口43から洗濯槽5に吐出される水は、以上の光源81や82や83から照射された光の色を帯びる。【0096】洗濯機1の運転状態、すなわち洗濯物の洗浄およびすすぎの状態や、洗濯物の洗浄およびすすぎが終了するまでの時間などに応じて、光源81、82または83を点灯させたり、光源81、82または83が発する光の色を変化させたりする。これにより、洗濯機1の運転状態を使用者に視覚的に伝えることができる。【0097】すすぎ運転時に汚れセンサ77が検知する水の汚れ度合に応じて、光源81、82または83が発する光の色を変化させてもよい。たとえば、排水の汚れ度合が比較的高い場合には、各光源81、82または83が赤色の光を発し、排水の汚れ度合が低減されると当該光の色が赤から黄に変化する。さらに排水の汚れ度合が低減されると当該光の色が黄から青に変化する。そのため、洗濯物のすすぎの状態を洗濯機1の使用者に視覚的に伝えることができる。」
ケ 引用文献1には、図2、図3、図5として、下図が記載されている。
「[図:0001383953000001.jpg]」
コ 引用文献1には、図9として、下図が記載されている。
「[図:0001383953000002.jpg]」
サ 前記ウの記載より、引用文献1に記載された洗濯機1は、筐体2と前記筐体2内に収容される外槽3とを備えることがわかる。
シ 前記クの記載より、光源82、83は、吐出口43から洗濯槽5内に吐出される水を照射していることがわかる。この吐出口43は、前記カの記載及びケに示す図3よりカバー40と底部41との間に設けられた隙間であり、このカバー40及び底部41は、前記オの記載より、外槽3の環状壁8に含まれるものであるから、吐出口43は、外槽3に設けられているといえる。さらに、前記キの記載より、吐出口43から洗濯槽5内に吐出される水は、外槽3に溜まった水を汲み上げたものであることがわかる。これらのことから、引用文献1には、外槽3に溜まった水を汲み上げ、外槽3に設けられた吐出口43から吐出される水を照射する光源82、83が記載されているといえる。
ス 前記クの記載より、制御部33は、光源82、83の発光パターンを制御していることがわかる。また、同じく前記クの記載より、光源82、83は、発する光の色を変化させているから、制御部33は、光源82、83が発する光の色の制御もしているといえる。
セ 前記クの記載より、光源82、83が発する光は、吐出口43から洗濯槽5内に吐出される水に照射するといえるから、吐出口43から水が吐出されているとき、制御部33は、光源82、83が光を発するようにしているといえる。
ソ 前記クの記載より、光源82、83は、洗濯機1の運転状態やすすぎ運転時に汚れセンサ77が検知する水の汚れ度合に応じて、光の色を変化させることがわかる。この光の色の変化は、制御部33により行われているといえるから、制御部33は、洗濯機1の運転状態やすすぎ運転時に汚れセンサ77が検知する水の汚れ度合に応じて、光源82、83の発する光の色を変化させるといえる。
(2)引用文献1に記載された発明
前記(1)より、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「筐体2と、前記筐体2内に収容される外槽3と前記外槽3に溜まった水を汲み上げ、前記外槽3に設けられた吐出口43から吐出される水を照射する光源82、83と前記光源82、83による発光パターンを制御し、前記光源82、83が発する光の色の制御をする制御部33と、を備え、前記制御部33は、前記吐出口43から水が吐出されているとき、前記光源82、83が光を発するように構成され、前記制御部33は、洗濯機1の運転状態やすすぎ運転時に汚れセンサ77が検知する水の汚れ度合に応じて、前記光源82、83の発する光の色を変化させる洗濯機1。」
2 引用文献2について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された前記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、かっこ内は当審による仮訳である(以下同様。)。
ア「
[図:0001383953000003.jpg]
」
(以下に図と関連させて具体的な本実用新案の実施例の洗濯装置100について記述する。)
イ「
[図:0001383953000004.jpg]
」
(図1に示すように、本実用新案の実施例の洗濯装置100は、箱体10、筒体20及び照明アセンブリ30を含む。そのうち、箱体10上に作業台11を設け、筒体20は箱体10内に取り付け、照明アセンブリ30は箱体10に取り付けて且つ筒体20の開口21の上に位置する。)
ウ「
[図:0001383953000005.jpg]
」
(本実用新案の1つの具体的な実施形態は、作業台11上に浸水シャワーヘッド12を設けて、照明アセンブリ30は浸水シャワーヘッド12の近傍に設置する。さらに、浸水シャワーヘッド12は作業台11の後部で且つ筒体20の開口21上方に位置し、照明アセンブリ30は浸水シャワーヘッド12の前壁面上に置く。具体的には、浸水シャワーヘッド12は筒体20内に注水することができ、照明アセンブリ30はカラーライトアセンブリとすることができ、制御部でカラーライトアセンブリのカラーを制御することができる。これにより、照明アセンブリ30の出した光線は、浸水シャワーヘッド12が吐出する水流に照射され、水流が着色された滝を形成するという効果を奏し、カラー装飾照明の機能に達成することができる。)
エ 引用文献2には、図1として、次の図が示されている。
「[図:0001383953000006.jpg]」
(2)前記(1)より引用文献2には、洗濯装置100において、浸水シャワーヘッド12から筒体20内に注水する水に照明アセンブリ30の出したカラー光線を照射することが記載されていると認められる。
3 引用文献3について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された前記引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、水道水を原水として使用し電気分解する電解水生成装置に関するものである。更に詳述すると、所望によって、飲料に供する陰極水(アルカリイオン水)を主として吐水するものと、消毒や殺菌洗浄用水などに供する強い陽極水(強酸性水)を主として吐水するものを自在に切り換えて生成する多機能電解水生成装置の改良に関する。」
イ 「【0011】【発明が解決しようとする課題】同じ吐出管から吐水する飲料用アルカリイオン水と殺菌用強酸性水の見誤りは極めて危険である。飲料用アルカリイオン水と思い乍ら強酸性水を誤飲すると人体に有害な作用を及ぼす。このために上記出願技術において混同を防止する機構を設けると共に、飲料用アルカリイオン水と殺菌用強酸性水の吐水を明示する表示を装置の操作パネルに設けているが、必ずしも誤りを起こさせない程充分な表示といえないきらいがあった。また、装置によっては添加筒挿入位置が装置の横部に設定せざるを得ない場合があり、使用時において、なお第1の添加筒が挿入されているか第2の添加筒が挿入されているか分かりにくい場合があった。」
ウ 「【0030】図5において、吐出管42が形成された多機能電解水生成装置の前面に位置している浄水器収納室43の外郭匣体44の一部はアクリルやポリカーボネート等の透明性部材45で形成されていて浄水器収納室内部が容易に目視ですることができる機構となっている。浄水器収納室内部上端部46には吐水表示照明35a、35bが浄水器収納室壁材47に設けられている。表示照明35a、35bを識別できる色調、例えば、照明35aを緑色を発光するようにし照明35bを赤色を発光するようにすれば透明性部材45からの照明光でアルカリイオン水か酸性水かを確認することができる。照明35a、35bの発光色は同色のランプを使用し、発光色に対応するように、着色フイルムを透過させて着色してもよく、また、初めから発光色の違う照明部材を用いてもよい。なお、図においては、浄水器収納室の場合を例示したが、添加筒挿入室であっともよく、また、両室を同じに照明してもよい。また、操作パネル48の表示装置34と連動してもよい。」
エ 「【0032】図6において、吐出管42が形成された多機能電解水生成装置39の前面に位置している開閉可能の浄水器収納室43の外郭匣体44の一部はアクリルやポリカーボネート等の透明性部材45で形成されていて浄水器収納室内部が容易に目視ですることができる。透明性部材45の下方部49、垂直端面50の対向部には色調が異なる吐水表示照明35a、35bが設けられている。外郭匣体44を所定位置にセットしたとき、吐水表示照明35a、35bは透明性部材45の垂直端面50に位置し、垂直端面50が表示照明35a、35bの上に載るように設けられている。従って、使用状態、つまり、外郭匣体44が閉じているとき、照明光は吐水表示照明35a、35bから透明性部材45を介して透明性部材自体を発光させるかの如くに認識できるものである。」
オ 引用文献3には、図5及び図6として、次の図が示されている。
「[図:0001383953000007.jpg]」
(2)前記(1)より引用文献3には、吐出表示照明35a、35bを識別できる色調で発光することにより、照明光で吐水がアルカリイオン水か酸性水かを確認することができる多機能電解水生成装置が記載されていると認められる。
4 周知技術について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された前記引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア「【0044】
上記構成のドラム式洗濯機において、まず、図1に示すように、回転ドラム11内に洗濯物90を入れる。
【0045】
<洗い工程>
次に、水供給部1により外部からの水道水を、給水配管L1と機能水生成装置2と温度制御部3を介して水槽10の回転ドラム11内に供給する。このとき、水道水は、温度制御部3により洗濯に適した温度に温めてもよいし、水温が高い場合は、そのまま回転ドラム11内に供給してもよい。
【0046】
このとき、回転ドラム11内に入れられた洗浄剤が水道水に添加されて洗濯効果を高める。
【0047】
また、機能水生成装置2において、容器110(図2に示す)内の水道水から軟水を生成した後、温度制御部3により温められた軟水を、給水配管L1を介して水槽10の回転ドラム11内の水道水に加える。なお、機能水生成装置2において生成される機能水は、処理前の水道水の硬度によるので、処理前よりも硬度が低い軟水となる。
【0048】
次に、回転ドラム11を駆動部20により回転させて、軟水を添加した水道水で洗濯を行う。なお、この洗い工程において、水道水に軟水を添加するのではなく、機能水生成装置2により生成した機能水(軟水)の全てを洗濯用として用いてもよい。また、水道水による洗濯と機能水による洗濯を別々に行ってもよい。
【0049】
ここで、軟水は洗剤をよく溶かし、泡立ちもよくなるので、洗浄力が向上し、洗剤量を減らすことが可能になる。また、洗剤量を減らすことにより、すすぎ回数を減らすことができ、節水も可能となる。
【0050】
次に、洗い工程が終了したら、回転ドラム11内の底に溜まった汚水を、排水部5により排水配管L2を介して外部に排水する。
【0051】
<すすぎ工程>
次に、水供給部1により外部からの洗浄水(水道水)を、給水配管L1を介して機能水生成装置2に供給して、回転ドラム11を回転させて、すすぎ動作を行う。
【0052】
このとき、機能水生成装置2において、容器110内の水道水から硬水を生成した後、温度制御部3により温められた硬水を、給水配管L1を介して水槽10の回転ドラム11内に供給する。なお、硬水は、温度制御部3により洗濯に適した温度に温めてもよいし、水温が高い場合は、そのまま回転ドラム11内に供給してもよい。また、このすすぎ工程において、水道水に硬水を添加するのではなく、機能水生成装置2により生成した機能水(硬水)の全てをすすぎ用として用いてもよい。
【0053】
ここで、硬水は、泡切れがよくなり、泡拘束を防ぐことができる。
【0054】
そうして、供給された機能水(硬水)を用いたすすぎ動作後に、回転ドラム11内の底に溜まった水を、排水部5を開いて、排水配管L2を介して外部に排水する。」
(2)原査定の拒絶の理由に引用された前記引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0028】上記構成において動作を説明する。洗濯機の動作は大きく洗浄工程、すすぎ工程、脱水工程および乾燥工程の4工程に分類される。すすぎ工程では、数回給水が行われ衣類に残った洗剤をすすぎ水により洗い流す。本発明の洗濯機は、最終すすぎ工程と連動して電解槽25内部の電極(図示せず)間に電圧を印加し始め、取水口22より給水路24を通り電解質貯蔵槽26へ送られ電解質濃度調整手段27により電解質を最適量含んだ水が電解槽25へ送られる。【0029】チタンの表面に白金等の貴金属を焼結ないしはメッキにより形成した貴金属電極およびポリエチレンテレフタレートなどの高分子材料の織布、不織布等の多孔体、陽イオン交換膜もしくは陰イオン交換膜を用いた隔膜により構成された電解槽25内で電解を行い、生成した電解アルカリ水を電解水切換手段27を通して内槽4へ投入する。内槽4へ所定のすすぎ水量が供給されるまですすぎ水の電解を行う。続きを表示(全12行)【0030】衣類を洗濯することにより多くの汚れを落とすことができるが、洗濯後の衣類がまだ臭うまた衣類同士が臭い移りすることがある。この衣類に付着している臭い成分は、皮脂や食品、油汚れ等のような空気中の酸素により酸化また微生物により分解される等により酸性を示すものがある。電解アルカリ水はこのような酸性の臭い成分を中和することで、臭いの発生を抑えることができる。【0031】アンモニアや微生物の代謝物等アルカリ性を示す臭い成分が付着している衣類には、電解酸性水をすすぎ時に使用することにより、アルカリ性の臭い成分を中和することにより臭いの発生を抑えることができる。【0032】電解時に使用する水道水に電解質貯蔵槽27に蓄えた電解質を電解質濃度調整手段27により投入することで、特別な電解制御手段を用いることなく均一な電解水を生成することができ、また臭い成分の中和能力の高い強酸性電解水および強アルカリ電解水を用いることができる。【0033】電解水切換手段23により、衣類に付着した衣類成分の種類により中和消臭する電解アルカリ水または電解酸性水を選択することができ、臭い成分の性質に合わせて効果的な中和消臭ができる。」
(3)前記(1)及び(2)より、本願の出願前において、洗濯機の水槽にアルカリ電解水又は酸性電解水等の機能水を給水することは周知技術であると認められる。
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、引用発明の「筐体2」は、本願発明の「洗濯機本体」に相当し、以下同様に、「収容される」は「設けられる」に、「外槽3」は「水槽」に相当する。
引用発明の「外槽3に設けられた吐出口43から吐出される水」と本願発明1の「前記水槽内に供給される水」とは、水槽内を流れ落ちる水である限りで一致する。また、引用発明の「照射する」は、本願発明1の「照明する」に相当し、同様に「光源82、83」は「照明ユニット」に相当する。
引用発明の「発光パターンを制御」することは、本願発明1の「照明を制御する」ことに相当し、引用発明の「光源82、83が発する光の色の制御をする」ことは、本願発明1の「照明ユニットによる照明態様を変化させる」ことに相当する。そして、引用発明において、制御部33は、「光源82、83による発光パターンを制御」すると共に「光源82、83が発する光の色の制御を」しているから、引用発明の「制御部33」は、本願発明1の「照明制御手段」と「照明態様変化手段」に相当する。したがって、引用発明の「前記光源82、83による発光パターンを制御し、前記光源82、83が発する光の色の制御をする制御部33」は、本願発明1の「前記照明ユニットによる照明を制御する照明制御手段と、前記照明ユニットによる照明態様を変化させる照明態様変化手段」に相当する。
引用発明の「吐出口43から水が吐出されているとき」と本願発明1の「前記水槽内に水を供給する給水行程において」とは、水槽内を水が流れ落ちるときである限りで一致する。また、引用発明の「制御部33」が「光源82、83が光を発するように構成され」ていることは、本願発明1の照明制御手段が「照明ユニットによる照明をオンするように構成され」ていることに相当する。したがって、引用発明の「前記制御部33は、吐出口43から水が吐出されるとき、光源82、83による照明をオンするように構成され」ることと、本願発明1の「前記照明制御手段は、前記水槽内に水を供給する給水行程において前記照明ユニットによる照明をオンするように構成され」ることは、照明制御手段は、水槽内を水が流れ落ちるとき照明ユニットによる照明をオンするように構成される限りで一致する。
引用発明の「前記制御部33は、洗濯機1の運転状態やすすぎ運転時に汚れセンサ77が検知する水の汚れ度合に応じて、前記光源82、83の発する光の色を変化させる」ことと、本願発明1の「前記照明態様変化手段は、所定の機能を有する機能水が前記水槽内に供給される機能水給水時と、所定の機能を有さない通常水が前記水槽内に供給される通常水給水時とで前記照明ユニットによる照明態様を異ならせる」こととは、照明態様変化手段は、洗濯機の動作状態に応じて照明ユニットによる照明態様を異ならせる限りで一致する。
そうすると、本願発明1と引用発明とは、次の一致点及び相違点を有する。
・一致点
「洗濯機本体と、前記洗濯機本体内に設けられる水槽と、前記水槽内を流れ落ちる水を照明する照明ユニットと、前記照明ユニットによる照明を制御する照明制御手段と、前記照明ユニットによる照明態様を変化させる照明態様変化手段と、を備え、前記照明制御手段は、前記水槽内を水が流れ落ちるとき前記照明ユニットによる照明をオンするように構成され、前記照明態様変化手段は、洗濯機の動作状態に応じて前記照明ユニットによる照明態様を異ならせる洗濯機。」
・相違点
本願発明1は、水槽内を流れ落ちる水が、「水槽内に供給される水」であり、照明ユニットによる照明をオンするのは、「水槽内に水を供給する給水行程において」であり、さらに、洗濯機の動作状態に応じて前記照明ユニットによる照明態様を異ならせることに関して、「所定の機能を有する機能水が前記水槽内に供給される機能水給水時と、所定の機能を有さない通常水が前記水槽内に供給される通常水給水時とで前記照明ユニットによる照明態様を異ならせる」のに対し、引用発明は、水槽内を流れ落ちる水が、「外槽3に溜まった水を汲み上げ、前記外槽3に設けられた吐出口43から吐出される水」であり、照明ユニットによる照明をオンするのは、「前記吐出口43から水が吐出されているとき」であり、さらに、洗濯機の動作状態に応じて前記照明ユニットによる照明態様を異ならせることに関して、「洗濯機1の運転状態やすすぎ運転時に汚れセンサ77が検知する水の汚れ度合に応じて、前記光源82、83の発する光の色を変化させる」点。
(2)判断
上記相違点について検討する。
まず、引用文献2には、前記第4・2(2)に示すように、洗濯装置において、浸水シャワーヘッド12から筒体20内に注水する水に照明アセンブリ30の出したカラー光線を照射することが記載されているが、これを引用発明に適用しても、光源82、83とは別の光源により、引用発明の外槽3内に給水される水にカラー光線を照射する洗濯機が得られるにとどまり、この光源82、83とは別の光源が「所定の機能を有する機能水が前記水槽内に供給される機能水給水時と、所定の機能を有さない通常水が前記水槽内に供給される通常水給水時とで前記照明ユニットによる照明態様を異ならせる」ことまでは得られない。すなわち、引用発明も引用文献2に記載された洗濯装置も、「所定の機能を有する機能水が前記水槽内に供給される」ものではなく、「機能水給水時」と「通常水給水時」とで、「照明ユニットによる照明態様を異ならせる」という本願発明1の発明特定事項は得られない。
また、前記第4・4(3)に示すように、本願の出願前において、洗濯機の水槽にアルカリ電解水又は酸性電解水等の機能水を給水することは周知技術である。しかし、この周知技術を引用発明に適用しても、洗濯機1の運転状態やすすぎ運転時に汚れセンサ77が検知する水の汚れ度合に応じて、外槽3に設けられた吐出口43から吐出される水を照射する光源82、83の発する光の色を変化させると共に、外槽3にアルカリ電解水又は酸性電解水等の機能水を給水することができる洗濯機が得られるにとどまる。さらに、引用発明に前記周知技術を適用したものに引用文献3に記載された吐水表示照明35a、35bを適用しても、引用文献3に記載された吐水表示照明35a、35bは吐水を照明するものではなく、浄水器収容室43等に設けられたものである(前記第4・3(1)ウ及びエ参照。)から、光源82、83により外槽3に給水されるアルカリ電解水又は酸性電解水等の機能水等を照射し、アルカリ電解水又は酸性電解水等の機能水を給水される時と、通常水が供給される時とで光源82、83の発する光の色を変化させることまでは、得られるものではない。
以上のことから、引用発明、引用文献2及び3に記載された事項並びに周知技術のいずれにも、「水槽内に供給される水を照明する照明ユニット」が「所定の機能を有する機能水が前記水槽内に供給される機能水給水時と、所定の機能を有さない通常水が前記水槽内に供給される通常水給水時とで」、「照明態様を異ならせる」ことについて記載も示唆もされておらず、引用発明、引用文献2及び3に記載された事項並びに周知技術を検討しても、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項を得ることはできない。
原査定では、本願発明1は、引用発明、引用文献2及び3に記載された事項並びに引用文献4、5に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとしているが、上記のとおり、引用文献2及び3に記載された事項並びに引用文献4、5に記載された周知技術をみても、本願発明1と引用発明との相違点を得ることはできないから、本願発明1は、当業者であっても、引用発明、引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項、周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
2.本願発明2、3について
本願発明2、3は、本願発明1と同一の発明特定事項を備え、さらに限定されたものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2及び引用発明3に記載された技術的事項、周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし3は、当業者が引用発明、引用文献2及び引用発明3に記載された技術的事項、周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-011734