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特許拒絶査定不服審判

2021-011206

通信制御装置、通信制御システム及び通信制御方法

審判番号
2021-011206
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-054860外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年08月23日
審決日
2022年09月07日
公報発行日
2022年10月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .537-WY (H04L) / P18 .121-WY (H04L) / P18 .113-WY (H04L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017- 54860「通信制御装置、通信制御システム及び通信制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年10月 4日出願公開、特開2018-157513、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 18項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、平成29年3月21日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和 2年12月 7日付け:拒絶理由通知書
令和 3年 2月 4日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年 5月25日付け:拒絶査定
令和 3年 8月23日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提

出

令和 4年 4月12日付け:拒絶理由(当審拒絶理由)通知書
令和 4年 6月 8日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要

原査定(令和3年5月25日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。

1 理由1

この出願の請求項1,5,12,13に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献Aに記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2 理由2

この出願の請求項1,5,12,13に係る発明は、以下の引用文献Aに記載された発明に基づいて、請求項2~4,6に係る発明は、以下の引用文献A,Bに記載された発明に基づいて、請求項7~11に係る発明は、以下の引用文献A~Cに記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献A:特開2015-115832号公報
引用文献B:特開2004-266483号公報
引用文献C:特開2003-264595号公報

第3 当審拒絶理由の概要

当審が令和4年4月12日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。

1 理由1(明確性)

この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

請求項1,11に「双方向通信制御」と記載されているが、ここで、「双方向通信」とはどのような通信であるのか不明である。具体的には、例えば、「双方向」の通信が同時に可能なもの(全二重通信)に限定されているのか、あるいは限定されていない(同時には不可能なもの(半二重通信)を含む)のか、特定できない。

よって、請求項1,11に係る発明は明確でない。請求項1を引用する請求項2~10に係る発明も同様に明確でない。

2 理由2(進歩性)

この出願の請求項1~7,10,11に係る発明は、以下の引用文献1~6に記載された発明に基づいて、請求項8,10に係る発明は、以下の引用文献1~7に記載された発明に基づいて(請求項10については、請求項8を引用する場合である。)、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2015-115832号公報(拒絶査定時の引用文献A)
引用文献2:特開2016-127299号公報
引用文献3:特開2015-115823号公報
引用文献4:特開2015-126263号公報
引用文献5:特開2007-310601号公報
引用文献6:特開2005-293368号公報
引用文献7:特開2002-111700号公報

第4 本願発明

本願請求項1~9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明9」という。)は、令和4年6月8日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1,9は次のとおりの発明である(下線は補正箇所を示す。)。

「【請求項1】
外部ネットワークに接続された外部機器との間で通信を行うハードウェアで構成されたアウター通信部と、
内部ネットワークに接続された内部機器との間で通信を行うハードウェアで構成されたインナー通信部と、
前記アウター通信部が受信した前記内部機器宛のメッセージにセキュアなフィルタリング処理を施して前記インナー通信部に供給し、前記インナー通信部が受信した前記外部機器宛のメッセージにフィルタリング処理を施すことなく、又は、所定のフィルタリング処理を施して、前記アウター通信部に供給するハードウェアで構成された変換部と、を備え、
前記変換部による前記フィルタリング処理を介した、前記外部機器及び前記内部機器用の2つのセッションを同時に確立する双方向通信制御を行い、
前記アウター通信部は、前記外部機器または当該外部機器と当該アウター通信部との間に設置されたルータから前記内部機器に宛てたアドレス解決要求に対し、通信制御装置の固有情報を返信し、
前記インナー通信部は、予め所定の内部機器の識別情報を有しており、当該識別情報で示される所定の内部機器に合致しない内部機器からのアドレス解決要求には応答しないこと
を特徴とする通信制御装置。」
「【請求項9】
ハードウェアで構成されたアウター通信部が、外部ネットワークに接続された外部機器との間で通信を行うアウター通信ステップと、
ハードウェアで構成されたインナー通信部が、内部ネットワークに接続された内部機器との間で通信を行うインナー通信ステップと、
ハードウェアで構成された変換部が、前記アウター通信ステップで前記アウター通信部が受信した前記内部機器宛のメッセージにセキュアなフィルタリング処理を施して前記インナー通信部に供給し、前記インナー通信ステップで前記インナー通信部が受信した前記外部機器宛のメッセージにフィルタリング処理を施すことなく、又は、所定のフィルタリング処理を施して、前記アウター通信部に供給する変換ステップと、を備え、
前記変換部による前記フィルタリング処理を介した、前記外部機器及び前記内部機器用の2つのセッションを同時に確立する双方向通信制御を行い、
前記アウター通信ステップは、前記外部機器または当該外部機器と当該アウター通信部との間に設置されたルータから前記内部機器に宛てたアドレス解決要求に対し、通信制御装置の固有情報を返信し、
前記インナー通信ステップは、予め所定の内部機器の識別情報を有しており、当該識別情報で示される所定の内部機器に合致しない内部機器からのアドレス解決要求には応答しないこと
を特徴とする通信制御方法。」

なお、本願発明2~7は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明8は、請求項1~7のいずれかの「通信制御装置」を含む「通信制御システム」の発明である。

第5 当審拒絶理由の理由1について

令和4年6月8日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1には、「双方向通信制御」が「前記外部機器及び前記内部機器用の2つのセッションを同時に確立する」ものである旨が記載されているから、「双方向通信」がどのような通信であるのかが明確であるといえる。

この点は、請求項9の記載についても同様である。

よって、当審拒絶理由の理由1は解消した。

第6 引用文献の記載、引用発明等

1 引用文献1、引用発明

(1)当審拒絶理由にて引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。

「【0010】
図1は、一実施形態に係る通信システム1の構成を示す図である。図1に示す通信システム1は、例示的に、第1のネットワーク(NW)2と、第2のNW4と、第1及び第2のNW2及び4の間の通信を中継する中継装置3と、を備える。
【0011】
第1のNW2の一例は、LANであり、第2のNW4の一例は、WANである。LAN2は、例示的に、複数のネットワークエレメント(NE)21を備える。NE21の一例は、通信機能を具備する機器(デバイス)である。そのようなデバイスの一例としては、センサが挙げられる。したがって、本実施形態において、LAN2は、センサネットワークと称してもよい。
【0012】
センサ21の一例は、電流、電圧、電力、温度、圧力、流量、速度、加速度、角速度、質量、光量等の各種物理量をセンシングする物理量センサである。センサ21には、これらのいずれかの物理量を複合的にセンシング可能なものもある。また、近年、センサ21は、インテリジェンス化により、情報処理機能や通信機能を具備するものもある。そのようなセンサ(デバイス)21は、「スマートセンサ(デバイス)」と称されることがある。
【0013】
WAN4に備えられたサーバ41は、例示的に、クラウドセンタ等に備えられたクラウドサーバ等のコンピュータ(情報処理装置)である。なお、図1に例示するWAN4において、サーバ41は、1台しか示していないが、複数台備えられていてもよい。」
「【0023】
図2は、本実施形態に係る中継装置3のハードウェア構成例を示すブロック図である。図2に示す中継装置3は、例示的に、プロセッサ31、メモリ32、バス33、外部記憶装置34、及び、ネットワーク(NW)接続装置35を備える。オプションとして、中継装置3は、入力装置36、出力装置37及び媒体駆動装置38のいずれかを備えてもよい。中継装置3は、例えば、コンピュータ等の情報処理装置によって実現されてよい。
【0024】
プロセッサ31、メモリ32、外部記憶装置34、及び、ネットワーク接続装置35は、バス33によって互いに通信可能に接続される。入力装置36、出力装置37及び媒体駆動装置38のいずれかが中継装置3に備えられる場合には、当該装置もバス33に接続されてよい。
【0025】
プロセッサ31は、例示的に、Central Processing Unit(CPU)等の演算能力を備えた任意の処理回路あるいは処理部である。プロセッサ31は、メモリ32や外部記憶装置34に記憶されたプログラムやデータを適宜に読み取って実行することにより、図3にて後述するような、中継装置3としての動作(機能)を実現する。中継装置3としての動作(機能)を実現するプログラムは、中継制御プログラムと称してよい。」
「【0031】
次に、図3に、中継装置3の機能的な構成に着目した構成例を示す。図3に示す中継装置3は、例示的に、通信処理部30A及び30Bと、装置制御部30Cと、を備える。
【0032】
通信処理部30Aは、例示的に、LAN2からWAN4へ向かう方向(便宜的に「アップストリーム」と表現することがある。)の通信処理を担当する。
続きを表示(全14行)
【0033】
通信処理部30Bは、例示的に、通信処理部30Aとは逆方向(WAN4からLAN2へ向かう方向)(便宜的に「ダウンストリーム」と表現することがある。)の通信処理を担当する。
【0034】
装置制御部30Cは、各通信処理部30A及び30Bの通信処理を制御する。
【0035】
通信処理部30A(30B)は、例示的に、通信インタフェース(IF)311及び312と、中継処理部313と、アプリケーション処理部314と、を備える。中継処理部313は、中継制御部313と称してもよい。
【0036】
通信IF311は、LAN2(又はWAN4)から受信されたデータの処理(受信処理)を行なう。別言すると、通信IF311は、受信処理部の一例である。LAN2から受信されたデータには、例えば、サーバ41宛のセンサ情報等が含まれてよい。WAN4(サーバ41)から受信されたデータには、例えば、センサ21宛の制御情報等が含まれてよい。受信処理には、後述するように、受信したデータを通信プロトコル(以下、単に「プロトコル」と称することがある。)に依存しない形式の内部データに変換して中継処理部313へ送信する処理が含まれてよい。
【0037】
通信IF312は、受信処理部311で受信され中継処理部313で処理されたデータをWAN4(又はLAN2)へ送信する処理(送信処理)を行なう。別言すると、通信IF312は、送信処理部の一例である。WAN4へ送信されるデータには、例えば、LAN2から受信したサーバ41宛のセンサ情報等が含まれてよい。LAN2へ送信されるデータには、例えば、WAN4(サーバ41)からセンサ21宛の制御情報等が含まれてよい。送信処理には、後述するように、受信処理部311で内部データに変換されたデータを変換前の通信プロトコルに応じた形式に変換し、本来の宛先へ送信する処理が含まれてよい。本来の宛先とは、受信処理部311で受信されたデータに含まれる宛先情報によって識別される宛先を意味し、例えば、サーバ41あるいはセンサ21が該当する。」
「【0047】
(プロトコル終端部)
受信処理部311において、プロトコル終端部3111は、それぞれ、例えば図5に示すように、内部データ変換部3112を備える。
【0048】
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内部データ変換部3112は、受信したデータを各プロトコルに対して中継処理部313が共通に処理可能な所定の形式のデータ(以下「内部データ」と称することがある。)に変換する。
【0049】
そのため、内部データ変換部3112は、例示的に、パース処理部3113と、内部データ生成部3114と、を備える。
【0050】
パース処理部3113は、解析処理部の一例であり、例えば、受信したデータのデータ構造を解析(パース)し、データの宛先情報や送信元情報、データタイプ、プロトコル種別、データ本体等を識別し、それぞれを抽出する。なお、データ本体は、ペイロードデータと称してもよい。
【0051】
内部データ生成部3114は、変換処理部の一例であり、パース処理部3113にて抽出された情報を基に、例えば図6に示すような、共通データ(以下「メタデータ」と称することもある。)とデータ本体とを有する内部データを生成する。図6及び図7に例示するように、共通データには、宛先ID、送信元ID、データタイプ、プロトコル種別、データサイズ、データ本体格納領域ID及び制御情報が含まれてよい。なお、共通データは、プロトコルに個別(あるいは固有)のデータであるデータ本体に付加されると捉えてよい。
【0052】
「宛先ID」は、パース処理部3113で抽出された宛先情報を中継処理部313が一意に識別可能な情報に変換することにより得られる内部的な識別情報である。例えば、宛先情報(例えばIPアドレス)を文字列や数列、文字と数字との組み合わせ等に変換(抽象化と称してもよい)した情報を宛先IDとして用いてよい。」
「【0090】
以下、本実施形態の通信システム1の中継装置3に着目した動作について、図13のフローチャートを参照して説明する。
【0091】
アップストリーム方向に着目すると、中継装置3は、LAN2に属するいずれかのセンサ21からデータを受信処理部311にて受信する(処理P11)。受信データは、受信処理部311において、ソケットに対応するプロトコル終端部3111に入力される。
続きを表示(全22行)
【0092】
プロトコル終端部3111では、内部データ変換部3112(パース処理部3113及び内部データ生成部3114)により、受信したデータを図6及び図7に例示したような内部データに変換する(処理P12)。
【0093】
内部データは、中継処理部313の振り分け処理部3131に転送される。振り分け処理部3131は、受信した内部データに含まれる共通データを基に振り分けルール3132(図10参照)を参照し(処理P13)、送信元ID、宛先ID等が合致するエントリが存在するか否かをチェックする(処理P14)。
【0094】
チェックの結果、振り分けルール3132に該当エントリが存在すれば(処理P14でYesの場合)、振り分け処理部3131は、当該エントリに設定されている振り分け先に対応するエンキュー3133へ内部データを送信する。エンキュー3133は、振り分け処理部3131から受信した内部データを対応する振り分け先の宛先キュー3135に格納(エンキュー)する(処理P15)。その際、既述のように、共通データに含まれる制御情報(図6及び図7参照)の「シーケンス定義ID」及び「次シーケンス番号」を基に、内部データの受信順序(ひいては送信順序)が保証される。
【0095】
アプリケーション#iに対応する宛先キュー3135にエンキューされた内部データは、対応するデキュー3136によってデキューされ、アプリケーション処理部314の対応するアプリケーション#iへ転送される(処理P16a及びP17)。アプリケーション#iは、既述のように、処理した内部データの共通データに含まれる宛先IDを必要に応じて更新し、振り分け処理部3131へ転送する。
【0096】
これに対し、外部宛に対応する宛先キュー3135にエンキューされた内部データは、対応するデキュー3136によってデキューされ(処理P16b)、送信処理部312のプロトコル選択部3121へ転送される。プロトコル選択部3121は、共通データのプロトコル種別を参照することにより、受信した内部データを対応するプロトコル変換部3122へ転送する。
【0097】
プロトコル変換部3122は、内部データ逆変換部3123によって、中継処理部313から受信された内部データを、受信処理部311の内部データ変換部3112で変換される前の形式に変換する(処理P18)。
【0098】
例えば、内部データ逆変換部3123は、共通データ変換部3124によって、共通データの「宛先ID」及び「送信元ID」をそれぞれ元の宛先情報及び送信元情報に逆変換する。そして、内部データ逆変換部3123は、プロトコルデータ生成部3125によって、元の宛先情報及び送信元情報に加えて、データタイプ、プロトコル種別、データサイズ等をデータ本体に付加した、プロトコルに応じたデータを生成する。
【0099】
当該データは、宛先情報が示す宛先(例えば、WAN4のサーバ41)へ送信される(処理P19)。なお、上述した処理P14において、振り分けルール3132に該当エントリが存在しなければ(処理P14でNoの場合)、振り分け処理部3131は、内部データを破棄する(処理P20)。これにより、振り分けルール3132に定義されない内部データが誤って転送されることを防止することができるので、セキュリティを確保し易い。
【0100】
なお、ダウンストリームのデータの中継処理も、ダウンストリームの振り分けルール3132(図12参照)に従って、上述したアップストリーム方向と同様にして実施される。ダウンストリームとアップストリームとで振り分けルール3132が分離されているので、ダウンストリームとアップストリームのそれぞれのセキュリティも確保し易い。」
「【図1】
[図:0001388958000001.jpg]
【図2】
[図:0001388958000002.jpg]
【図3】
[図:0001388958000003.jpg]
」
「【図9】
[図:0001388958000004.jpg]
【図10】
[図:0001388958000005.jpg]
」

(2)上記(1)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「第1のネットワーク(NW)2と、第2のNW4と、第1及び第2のNW2及び4の間の通信を中継する中継装置3と、を備える通信システム1であって、
第1のNW2は、LANであり、第2のNW4は、WANであり、LAN2は、ネットワークエレメント(NE)21を備え、NE21はセンサであり、
WAN4にはサーバ41が備えられ、
中継装置3は、プロセッサ31、及び、ネットワーク(NW)接続装置35を備え、
続きを表示(全22行)
プロセッサ31は、プログラムやデータを適宜に読み取って実行することにより、中継装置3としての動作(機能)を実現し、
中継装置3の機能的な構成において、中継装置3は、通信処理部30A及び30Bと、装置制御部30Cと、を備え、
通信処理部30Aは、LAN2からWAN4へ向かう方向(アップストリーム)の通信処理を担当し、
通信処理部30Bは、通信処理部30Aとは逆方向(WAN4からLAN2へ向かう方向)(ダウンストリーム)の通信処理を担当し、
装置制御部30Cは、各通信処理部30A及び30Bの通信処理を制御し、
通信処理部30A(30B)は、通信インタフェース(IF)311及び312と、中継処理部313と、アプリケーション処理部314と、を備え、
通信IF311は、LAN2(又はWAN4)から受信されたデータの処理(受信処理)を行い、通信IF311は、受信処理部であり、LAN2から受信されたデータには、サーバ41宛のセンサ情報等が含まれ、WAN4(サーバ41)から受信されたデータには、センサ21宛の制御情報等が含まれ、
通信IF312は、受信処理部311で受信され中継処理部313で処理されたデータをWAN4(又はLAN2)へ送信する処理(送信処理)を行い、
受信処理部311は、受信したデータのデータ構造を解析(パース)し、データの宛先情報を抽出し、共通データとデータ本体とを有する内部データを生成し、共通データには、宛先IDが含まれ、「宛先ID」は、宛先情報を変換することにより得られ、
アップストリーム方向では、中継装置3は、LAN2に属するいずれかのセンサ21から受信したデータを内部データに変換し、
内部データは、中継処理部313の振り分け処理部3131に転送され、振り分け処理部3131は、受信した内部データに含まれる共通データを基に振り分けルール3132を参照し、送信元ID、宛先ID等が合致するエントリが存在するか否かをチェックし、
チェックの結果、振り分けルール3132に該当エントリが存在すれば、振り分け処理部3131は、当該エントリに設定されている振り分け先に対応するエンキュー3133へ内部データを送信し、エンキュー3133は、振り分け処理部3131から受信した内部データを対応する振り分け先の宛先キュー3135に格納(エンキュー)し、
外部宛に対応する宛先キュー3135にエンキューされた内部データは、対応するデキュー3136によってデキューされ、送信処理部312のプロトコル選択部3121へ転送され、プロトコル選択部3121は、共通データのプロトコル種別を参照することにより、受信した内部データを対応するプロトコル変換部3122へ転送し、
プロトコル変換部3122は、共通データの「宛先ID」及び「送信元ID」をそれぞれ元の宛先情報及び送信元情報に逆変換し、元の宛先情報及び送信元情報に加えて、プロトコルに応じたデータを生成し、
当該データは、宛先情報が示すWAN4のサーバ41へ送信され、
振り分けルール3132に該当エントリが存在しなければ、振り分け処理部3131は、内部データを破棄し、これにより、振り分けルール3132に定義されない内部データが誤って転送されることを防止することができるので、セキュリティを確保し易く、
ダウンストリームのデータの中継処理も、ダウンストリームの振り分けルール3132に従って、アップストリーム方向と同様にして実施される、
通信システム1。」

2 引用文献7

(1)当審拒絶理由にて引用された引用文献7には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0012】まず、図1及び図2を参照して本実施例のネットワーク構成について説明すると、本実施例のネットワークには、LAN端末10とルータ12がサブネット1に存在し、LAN端末11とルータ12がサブネット2に存在している。また、LAN端末10はスイッチングHUB13の1-Port、LAN端末11はスイッチングHUB13の2-Port、ルータ12はスイッチングHUB13の3-Portに接続されている。」

「【0016】このような構成のネットワークのデータ通信におけるアドレス解決方法について、以下に説明する。LAN端末10からLAN端末11へアプリケーション101よりパケット送信を行う場合を想定すると、まず、LAN端末10のIPアドレス分析部102は、LAN端末11のIPアドレスIP-11より、LAN端末11のMACアドレスをアドレス解決テーブル100から読み出そうとする。しかしながら、このときアドレス解決テーブル100にはLAN端末11のMACアドレスが登録されていないため、DefaultGatewayであるルータ12にアドレス解決要求を通知する。このアドレス解決要求に対して、ルータ12は自MACアドレスMAC-12をLAN端末10にアドレス解決情報として返送する。」

「【0019】スイッチングHUB13では、LAN端末10より受信したパケットの送信先MACアドレスがMAC-12であることから、該パケットを3-Portに転送し、ルータ12では、スイッチングHUB13を介してLAN端末10より転送されたパケットを受信すると、送信先IPアドレスがLAN端末11のIPアドレスIP-11であることから、LAN端末11に対してアドレス解決要求を送出する。
【0020】LAN端末11では、自MACアドレスMAC-11をルータ12にアドレス解決情報として返送する。ルータ12のアドレス解決テーブル更新部123では、LAN端末11のIPアドレスIP-11に対するMACアドレスはMAC-11であることをアドレス解決テーブル120に書き込む。そして、ルーティング部121では、LAN端末10より転送されたパケットの送信先MACアドレスをLAN端末11のMACアドレスMAC-11に書き換えて転送する。」

(2)上記(1)から、引用文献7には、次の事項が記載されていると認められる。

「LAN端末10とルータ12がサブネット1に存在し、LAN端末11とルータ12がサブネット2に存在しているネットワークにおいて、
LAN端末10からLAN端末11へパケット送信を行う場合、
ルータ12では、LAN端末11に対してアドレス解決要求を送出し、
LAN端末11では、自MACアドレスMAC-11をルータ12にアドレス解決情報として返送すること。」

第7 当審拒絶理由の理由2について(引用発明との対比・判断)

1 本願発明1について

(1)対比

ア 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

(ア)引用発明の「第2のNW4」、「サーバ41」、「第1のネットワーク(NW)2」、「ネットワークエレメント(NE)21」は、それぞれ、本願発明1の「外部ネットワーク」、「外部機器」、「内部ネットワーク」、「内部機器」に相当する。

(イ)引用発明における「通信処理部30A」の「通信IF312」と、「通信処理部30B」の「通信IF311」とは、「機能的な構成において」は分離しているものの、いずれも「第2のNW4」である「WAN4」と通信を行うということができるから、それらは全体として本願発明1の「アウター通信部」に相当する。同様に、引用発明における「通信処理部30A」の「通信IF311」と、「通信処理部30B」の「通信IF312」とは、いずれも「第1のNW2」である「LAN2」と通信を行うということができるから、全体として本願発明1の「インナー通信部」に相当する。

(ウ)引用発明は、「アップストリーム方向では」、「LAN2に属するいずれかのセンサ21から受信したデータ」を「変換」した「内部データ」に関して、「中継処理部313の振り分け処理部3131」が、「振り分けルール3132を参照」することにより、「内部データ」に基づいて「生成」した「データ」を「WAN4のサーバ41へ送信」するか、又は「セキュリティを確保」するための「内部データを破棄」する処理を行うといえるものであって、当該処理は、本願発明1の「前記インナー通信部が受信した前記外部機器宛のメッセージにフィルタリング処理を施すことなく、又は、所定のセキュアなフィルタリング処理を施」すことに相当する。

(エ)引用発明の「ダウンストリームのデータの中継処理も、ダウンストリームの振り分けルール3132に従って、アップストリーム方向と同様にして実施される」ことも、上記(ウ)と同様に、「中継処理部313の振り分け処理部3131」が行う「内部データを破棄」する等の処理であることが明らかであって、本願発明1の「前記アウター通信部が受信した前記内部機器宛のメッセージにセキュアなフィルタリング処理を施」すことに相当する。

(オ)引用発明における「通信処理部30A」、「通信処理部30B」のそれぞれの「中継処理部313」は、「機能的な構成において」は分離しているものの、この点については上記(イ)と同様であり、それぞれの「振り分け処理部3131」が上記(ウ)、(エ)で述べた各処理を行うから、それらは全体として本願発明1の「変換部」に相当する。

(カ)引用発明の「中継装置3」は、「サーバ41」及び「ネットワークエレメント(NE)21」の間の、上記(ウ)、(エ)で述べた各処理を含む通信制御を行うということができ、上記(オ)を踏まえると、引用発明は、本願発明1の

「前記変換部による前記フィルタリング処理を介した、前記外部機器及び前記内部機器用の2つのセッションを同時に確立する双方向通信制御を行」う

ことと、

「前記変換部による前記フィルタリング処理を介した」、「通信制御を行」う点で共通している。

(キ)引用発明の「中継装置3」は、後述する相違点は別として、本願発明1の「通信制御装置」に相当する。

イ 上記アから、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致する。

(一致点)

「外部ネットワークに接続された外部機器との間で通信を行うハードウェアで構成されたアウター通信部と、
内部ネットワークに接続された内部機器との間で通信を行うハードウェアで構成されたインナー通信部と、
前記アウター通信部が受信した前記内部機器宛のメッセージにセキュアなフィルタリング処理を施して前記インナー通信部に供給し、前記インナー通信部が受信した前記外部機器宛のメッセージにフィルタリング処理を施すことなく、又は、所定のフィルタリング処理を施して、前記アウター通信部に供給する変換部と、を備え、
前記変換部による前記フィルタリング処理を介した、通信制御を行う、
通信制御装置。」

ウ また、本願発明1と引用発明とは、以下の点で相違する。

(相違点1)

本願発明1の「通信制御装置」が備える「アウター通信部」、「インナー通信部」、「変換部」は、いずれも「ハードウェアで構成された」ものであるのに対して、引用発明の「中継装置3」は、「プロセッサ31」が「プログラムやデータを適宜に読み取って実行する」ものである点。

(相違点2)

本願発明1の「通信制御装置」が行う「通信制御」は、「前記外部機器及び前記内部機器用の2つのセッションを同時に確立する双方向通信制御」であるのに対して、引用発明の「中継装置3」は、「アップストリーム」及び「ダウンストリーム」の通信セッションを同時に確立するか否かが特定されるものではない点。

(相違点3)

本願発明1の「通信制御装置」の「アウター通信部」及び「インナー通信部」は、

「前記アウター通信部は、前記外部機器または当該外部機器と当該アウター通信部との間に設置されたルータから前記内部機器に宛てたアドレス解決要求に対し、通信制御装置の固有情報を返信し、
前記インナー通信部は、予め所定の内部機器の識別情報を有しており、当該識別情報で示される所定の内部機器に合致しない内部機器からのアドレス解決要求には応答しない」

ものであるのに対して、引用発明の「中継装置3」の「通信処理部30A」、「通信処理部30B」のそれぞれの「通信IF311」及び「通信IF312」は、そのように特定されるものではない点。

(2)判断

事案に鑑みて、相違点3について先に検討する。

内部ネットワークに接続された内部機器と、外部ネットワークに接続された外部機器との間の相互の通信を制御する通信制御装置において、外部機器または当該外部機器と通信制御装置との間に設置されたルータから内部機器に宛てたアドレス解決要求に対しては、通信制御装置の固有情報を返信する一方で、内部機器からのアドレス解決要求に対しては、通信制御装置が予め所定の内部機器の識別情報を有するものとした上で、アドレス解決要求が当該識別情報で示される所定の内部機器に合致しない内部機器からのものである場合に、応答しないものとすることは、引用文献1~7のいずれにも記載されておらず、本願の出願日前において周知技術であったともいえない。

引用文献7には、上記第6の2(2)のとおりの事項が記載されていると認められるものの、相違点3に係る事項についてまでは記載されていない。

よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用文献1~7に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2~9について

本願発明2~7は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明8は、請求項1~7のいずれかの「通信制御装置」を含む「通信制御システム」の発明であり、本願発明9は、本願発明1と発明のカテゴリが相違するのみであって、いずれも本願発明1に対応する発明特定事項を含んでいる。

そうすると、本願発明2~9も本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献1~7に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 小括

以上のことから、当審拒絶理由の理由2は解消した。

第8 原査定についての判断

令和4年6月8日に提出された手続補正書により、請求項1~9は、相違点3に係る技術的事項を含むものとなり、当該技術的事項は、原査定における引用文献A~Cには記載されておらず、本願の出願日において周知技術であったとも認められないから、本願発明1~9は、引用文献Aに記載された発明ではなく、また、当業者であっても、原査定における引用文献A~Cに基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第9 むすび

以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-011206

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