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特許拒絶査定不服審判

2021-010732

流量測定装置、流量測定装置を備えたガスメータ及び、ガスメータのための流量測定装置ユニット

審判番号
2021-010732
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-177793外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年08月11日
審決日
2022年06月24日
公報発行日
2022年09月30日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (G01F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

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特願2017-177793号「流量測定装置、流量測定装置を備えたガスメータ及び、ガスメータのための流量測定装置ユニット」拒絶査定不服審判事件〔平成31年4月4日出願公開、特開2019-52962号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 7項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、平成29年9月15日の特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。

令和2年 6月30日付け:拒絶理由通知書

同年 9月 7日 :意見書、手続補正書の提出

同年10月13日付け:拒絶理由通知書(最後)
同年12月21日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 4月30日付け:補正の却下の決定
同日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)

(同年 5月11日 :原査定の謄本の送達)

同年 8月11日 :審判請求書、手続補正書の提出

令和4年 2月25日付け:拒絶理由通知書

同年 4月27日 :意見書の提出

第2 本願発明について

本願の請求項1~5に係る発明は、令和3年8月11日に提出された手続補正書により補正された請求項1~5に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1の記載は次のとおりである。

以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。

「【請求項1】
主流路を流れる測定対象流体の流量を検出する流量測定装置であって、
測定対象流体を加熱する加熱部と、
前記加熱部を前記測定対象流体の流れ方向に挟んで配置され、前記測定対象流体の温度を検出する複数の温度検出部と、
前記複数の温度検出部の出力の差分を、前記主流路を流れる測定対象流体の熱量流量または熱量に変換する変換部と、
を備え、
測定対象流体を加熱する第2の加熱部および測定対象流体の温度を検出する第2の温度検出部を有する、測定対象流体の物性値を検出するための物性値検出部をさらに備え、
前記変換部により変換された前記主流路を流れる測定対象流体の熱量流量または熱量は、前記物性値検出部の前記第2の温度検出部において検出され出力された前記測定対象流体の温度に応じた信号、または、前記物性値検出部の前記第2の加熱部の温度を変化させ、変化の前後において前記第2の温度検出部が検出した前記測定対象流体の温度の差に所定の係数を乗じて算出された信号に基づいて補正されることを特徴とする、流量測定装置。」

第3 当審において通知した拒絶の理由

当審において令和4年2月25日付けで通知した拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)のうち、本願発明についての理由の概要は、次のとおりである。

本願発明は、下記の引用文献1、4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

記

引用文献1:特開2003-35612号公報
引用文献4:特開2017-129470号公報

なお、当審拒絶理由においては、本願発明は、引用文献1を主たる引用文献として、引用文献1及び4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということに加えて、引用文献4を主たる引用文献として、引用文献4に記載された発明において引用文献1に記載された技術事項を採用することにより、本願発明は当業者が容易に発明をすることができたものであるという理由も通知した(上記拒絶理由通知書の3(1)イ(オ)を参照)。

第4 当審の判断

1 引用文献等

(1) 引用文献1

ア 引用文献1の記載事項

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当審拒絶理由において引用した引用文献1(特開2003-35612号公報)には、以下の記載がある(下線は当審において付与した。以下同様である。)。

(ア) 【0004】~【0009】

「【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述のような体積流量値を直接的または間接的に計測するガスメータでは、エネルギー資源あるいは燃料としてのガスを計量するという観点からは、ガスの使用環境における温度や圧力などの諸条件に依存して、ガスの実質的な使用量に誤差が生じやすいという問題点がある。すなわち、燃料であるガスは一般に、温度が低いほど、また圧力が高いほど、単位体積あたりの持つ密度が高くなるので、単位体積当たりのエネルギー量(所定の空燃比でガスを燃焼させたときに得られる単位体積あたりの燃焼熱量)が高くなる傾向にある。このため、同じ体積流量のガスを消費しても、そのときのガス使用環境における温度や圧力(大気圧や供給圧力)に依存して、ガスの燃焼によって得られる熱量が変化することとなり、実質的なエネルギー消費量という観点からは誤差が生じてしまう。換言すれば、エネルギー消費量の指標としては、体積流量値は必ずしも厳密な計測値の単位(ディメンジョン)であるとは限らない。
【0005】従来のガスメータでは、体積流量の積算値を機械式カウンタあるいは液晶表示パネルの画面などに表示しているが、ガス使用量を体積流量の積算値で表示しても、エネルギー資源としてのガスの実質的な使用量を精確に把握することが困難であることは否定できない。例えば、体積流量値に所定の係数を乗算するなどしてエネルギー消費量の値を得ることも可能であるが、上述のように同じ体積あたりのガスが持つ燃焼熱量は、温度や圧力などに依存して密度の変化と共に変化するので、そのような要因から誤差が混入しやすい体積流量計測方式のガスメータでは、精確なエネルギー消費量を把握することは困難である。
【0006】また、エネルギー資源としてのガスの使用量を、より精確に計測するためには、根本的に計測の単位を体積流量から質量流量に変更することが望ましい。すなわち、ガスの流量を測定するセンサとして質量流量センサを用いて、その質量流量に、単位質量あたりの発熱量(所定の空燃比でガスを燃焼させたときに得られる単位質量あたりの燃焼熱量)を乗算することによって、エネルギー消費量を把握することが提案されている。そのような質量流量を計測するために、例えばフローセンサと呼ばれる熱式質量流量センサなどを用いて、そのフローセンサで計測された質量流量に単位質量あたりの燃焼熱量を乗じることにより、ガスを燃焼熱エネルギーの流れと見做して、その燃焼熱量の単位時間あたりの流量(以下これを燃焼熱流量と呼ぶ)を算出することができるものと考えられている。この場合、理論上、質量流量は計測対象のガスなどの温度や圧力等の条件には左右されないという利点がある。
【0007】しかしながら、上記のようなフローセンサでは一般に、1種類のガスの計測ならば問題ないが、ガス種(ガスの種類)が異なると、そのガス種ごとにガスの定圧比熱や組成成分比が異なったものとなることに起因して誤差が生じ、質量流量の計測値が真値から乖離したものとなってしまう。このため、異なったガス種を正確に計測するためには、ガス種ごとの定圧比熱や組成成分比に対応した補正または質量流量から燃焼熱流量への換算レートの変更等を行わなければならないと考えられている。しかも、そのようにガス種ごとの定圧比熱の違いに対応した補正を行うだけでは、正確な質量流量の計測や、その計測値に基づいた燃焼熱流量値の計測を正確に行うには不十分であることなども報告されているので、質量流量の計測値に基づいて正確な燃焼熱流量値が得られるとは必ずしも限らない。
【0008】さらには、計測された質量流量値に基づいて燃焼熱流量の値を得るためには上述の如く質量流量に単位質量あたりの燃焼熱量を乗じる演算を行わなければならないが、ガスの組成成分の組み合わせや組成成分比の値が異ると単位質量あたりの燃焼熱量も異なったものとなるため、ガスの組成成分の違いに対応して単位質量あたりの燃焼熱量も補正することが必要となる。そのようなガス種に応じた単位質量あたりの燃焼熱量の補正を行うためには、現在計測中のガス種を判別するセンサや、そのガス種に応じて補正を行うための演算手段が必要となり、流量計測装置全体の構成がさらに繁雑なものとなるという不都合がある。しかも、そのように単位質量あたりの燃焼熱量を補正することはできたとしても、上記のように質量流量の測定値の誤差の補正が不十分であると、正確な燃焼熱流量を得ることはやはりできない。
【0009】ここで、例えば都市ガスとして用いられるガスは、規定の組成成分比に対応したものとして調製されているが、実際には、その範囲内で種々に異なったバリエーションや許容範囲内の誤差等を含んでいるので、それに起因して質量流量に誤差が生じる可能性が高い。また、いわゆる都市ガスとして最終的に需要家に供給されるガス以外にも、原産地から送られて来る天然ガスやテイクオフの各拠点を通過するガスの燃焼熱流量を計測するための燃焼熱流量計測装置では、さらに種々の組成成分比のバリエーションが存在するので、そのようなガスの燃焼熱流量を上記のような質量流量と燃焼量との積によって正確に計測するためには、ガス種を判別するセンサや補正を行うための演算手段が必要となり、それを追加した計測装置では、その構成がさらに煩雑化する。」

(イ) 【0029】~【0036】

「【0029】図1は、本発明の一実施の形態に係るガスメータ1の概要構成を表したものである。このガスメータ1は、流量計測センサ(流量計測手段)100と、線形化演算部(線形化演算手段)201および燃焼熱流量数値化部(燃焼熱流量数値化手段)202ならびに流量値積算部(流量値積算手段)203を有する燃焼熱流量演算回路200と、積算値記憶部(記憶手段)300と、積算値表示部(出力手段)400と、流量監視部500と、メータ側通信部600とを、その主要部として備えている。
【0030】流量計測センサ100は、図1に模式的に表したように、ガスを導通させる導通路101と、その導通路101を通るガスに所定の熱を与える熱線ヒータ(加熱手段)102と、その熱線ヒータ102の前後にそれぞれ1個ずつ配設されて、その位置での温度を計測する上流側温度センサ103および下流側温度センサ104とから、その主要部が構成されており、熱を与えられる前の上流側でのガスの温度(これをT1とする)を上流側温度センサ103によって測定し、熱線ヒータ102によって熱を与えられた後のガスの温度(これをT2とする)を下流側温度センサ104によって測定し、その温度差(ΔT=T2-T1)に対応して変調された波形の電気信号を出力する。上流側温度センサ103および下流側温度センサ104としては、例えばPt(プラチナ)あるいはPt系合金などからなる測温抵抗素子を用いた変調型センサでもよく、あるいは熱電対素子などを用いた直接出力型(自己励起型)センサでもよい。熱線ヒータ102は、測定条件を均一にするために、ガスに与える熱量を一定に保つように制御される。なお、上記のような熱線ヒータ102の上流側と下流側との温度差を計測すること以外にも、図示は省略したが、熱線ヒータ102の下流側に設けられた温度センサで計測される温度と熱線ヒータ102から出力する熱量とに基づいて、ガスの流れによって熱線ヒータ102から奪われた熱量を計測し、その熱量の値に対応して変調された電気信号を出力する流量計測センサなども適用可能である。
【0031】流量計測センサ100の電気機械的な構造については、いわゆるフローセンサと呼ばれる質量流量を計測するために用いられる熱式流量計と同様であるが、本実施の形態では、直接的あるいは間接的に質量流量を計測するためではなく、ガスの流れを燃焼の可能性を持ったエネルギー(燃焼熱)の流れと見做して、その燃焼熱の流量(燃焼熱流量)を、より直接的に計測するために用いられている。従って、本実施の形態の流量計測センサ100では、その電気機械的な構造については一般的なフローセンサと同様のものを流用することができるが、その機能あるいは仕様としては、計測対象のガスの質量流量よりも、燃焼熱流量を正確に計測するのに適した仕様(感度、ゲイン、出力電圧波形や電圧レベルなどの主要諸元)に設定することが望ましく、またそのキャリブレーション等も燃焼熱流量を正確に計測することに注目して行うようにすることが望ましい。
【0032】燃焼熱流量演算回路200は、線形化演算部201、燃焼熱流量数値化部202、流量値積算部203を、その主要部として備えているが、これらは、より具体的なハードウェア構成としては、いわゆるマイクロコンピュータ(図示省略)のような汎用演算回路を用いて具現化するようにしてもよく、あるいはディスクリートな素子や回路(図示省略)を組み合わせて具現化してもよい。
【0033】線形化演算部201は、流量計測センサ100から出力された電気信号が変調された波形あるいは出力電圧レベルとして担持している(電気信号を変調させたり電圧レベルを対応させたりするなどして、その電気信号に情報として付与している)ΔTの値と、計測対象のガスの流れを所定の空燃比で燃焼したときに得られる燃焼熱の単位時間あたりの流量の値(以下、これを燃焼熱流量値Wと呼ぶ。単位は例えば[MJ/h])との相関関係を、線形対応化する演算処理を行う。これは、流量計測センサ100からはΔTの値に比例した電圧レベル(これをVTとする)が出力されるものとして、その電圧レベル(VT=kΔT,kは流量計測センサ100に固有の比例定数)と、そのときのガスの流れに対応した燃焼熱流量値Wの値との相関関係が、図2(A)に示したように非線形であることが多いので、線形化演算部201によって、その相関関係を図2(B)に示したような計測可能レンジ全体に亘って線形対応化する。例えば、この図2(A)の一例では、Wの下位(低流量域)での相関関係は比較的線形になっているが、中~上位(中~高流量域)の相関関係は非線形になっているので、そのような非線形の度合いに応じた線形化処理を、燃焼熱流量値Wの計測可能レンジ全体に亘って行って、電圧レベルVTと燃焼熱流量値Wとが図2(B)に示したような線形に(比例的に)対応するように処理する。
【0034】燃焼熱流量数値化部202は、上記の線形化演算部201で線形化処理を施されて出力された電気信号を、燃焼熱の単位時間あたりの流量の値のデータに数値化して出力する。ここでは、あらかじめ固定的に定められた変換レートで、線形化処理されたVT=kΔTの値をWの値に変換する。このとき用いられる変換レートは、計測対象のガスの種類や組成が想定される範囲内で種々に変化しても、計測値として得られる燃焼熱流量値が所定の公差以内となるように、あらかじめ固定的に定められているものであって、本実施の形態のガスメータ1では、一般的な質量流量計の場合のようなガス種ごとに異なる発熱相関や定圧比熱の値などに基づいた換算値の変更などは全く行わない。具体例等の詳細については後述するが、従来の質量流量の計測値に基づいて燃焼熱流量を計測する装置または方法の場合では、燃焼熱流量を計測するための間接的なパラメータとして質量流量を測定し、その質量流量を、ガス種ごとに異なる換算レートで燃焼熱流量に換算するようにしているが、その換算の際に、ガス種ごとに異なった換算レートを用いるようにしている。ところが、このような計測装置または計測方法では、現在計測中のガス種を常に特定(判別)し、そのガス種に応じた換算レートに変更しなければならず、計測装置や計測方法が極めて煩雑なものとなる。しかも、後述するように、そのようにして従来の手法で最終的に得られる燃焼熱流量の計測値には、むしろ換算値を変更しない場合よりも大きな誤差が生じる場合さえあり得る。しかし、本実施の形態のように、質量流量の値やそれを算出するための係数などをパラメータとして介在させることなく、ガス種に関わらず変更されることのない固定的な変換レートを用いて、より直接的に流量計測センサ100の出力信号を燃焼熱流量値に変換することによって、一般的な質量流量計の場合よりも正確な燃焼熱流量値を計測することができ、かつその装置構成や演算回路も簡易なものとすることができる。
【0035】流量値積算部203は、燃焼熱流量数値化部202から出力された燃焼熱流量値Wを積算する。この流量値積算部203で行う積算方法としては、例えば、所定の周期ごとに新たな計測値をそれまでの積算値に加算するようにして、そのデータをインクリメント(順次積算しながらその値を書き換え)していくことなどが可能である。このようにして積算された燃焼熱流量値Wの積算値(燃焼熱流量積算値、これをΣWとする)のデータは、積算値記憶部300に記憶される。この積算値記憶部300としては、例えばD-RAMやS-RAMのような記憶回路素子あるいはその他の情報記録媒体などを好適に用いることができる。
【0036】積算値表示部400は、例えばセグメント方式またはドットマトリックス方式の液晶表示パネル(図示省略)のような電子的に駆動されるフラットパネルディスプレイデバイス(板体状の表示素子)を備えており、流量値積算部203から出力された燃焼熱流量積算値ΣWのデータを、その値の単位と共に表示する。例えば図3に一例を示したように、燃焼熱流量積算値ΣWを、その仕事当量で表示する場合には、単位[MJ](図3の(A))または[kWh](図3の(B))で、その燃焼熱流量積算値ΣWの数値と併せて表示する。あるいは、熱量で表示する場合には、単位[kcal]で(図3の(C))、その燃焼熱流量積算値ΣWの数値と併せて表示する。あるいは、図示は省略したが、ガスメータの号数に対応して数値表記の桁数を変えて、例えば[100kWh]や[0.1Mcal]などを基本単位として表示するようにしてもよい。」

(ウ) 【図1】

「【図1】
[図:0001388051000001.jpg]
」

(エ) 【図2】

「【図2】
[図:0001388051000002.jpg]
」

(オ) 【図3】

「【図3】
[図:0001388051000003.jpg]
」

イ 引用発明1の認定

上記アにおいて摘記した事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

[引用発明1]

「計測された質量流量に単位質量あたりの燃焼熱量を乗じることにより、ガスを燃焼熱エネルギーの流れと見做して、その燃焼熱量の単位時間あたりの流量(燃焼熱流量)を算出することにより、エネルギー資源としてのガスの使用量を精確に計測することができるフローセンサでは、一般にガス種(ガスの種類)が異なると、そのガス種ごとにガスの定圧比熱や組成成分比が異なったものとなることに起因して誤差が生じてしまうため、異なったガス種を正確に計測するには、ガス種ごとの定圧比熱や組成成分比に対応した補正または質量流量から燃焼熱流量への換算レートの変更等を行わなければならないという課題を解決するようにしたガスメータ1であって、(【0006】~【0007】)
ガスメータ1は、流量計測センサ100と、燃焼熱流量演算回路200と、積算値記憶部300と、積算値表示部400と、流量監視部500と、メータ側通信部600を、その主要部として備えており、(【0029】)
流量計測センサ100は、ガスを導通させる導通路101と、その導通路101を通るガスに所定の熱を与える熱線ヒータ102と、その熱線ヒータ102の前後にそれぞれ1個ずつ配設されて、その位置での温度を計測する上流側温度センサ103及び下流側温度センサ104とから、その主要部が構成されており、熱を与えられる前の上流側でのガスの温度(これをT1とする)を上流側温度センサ103によって測定し、熱線ヒータ102によって熱を与えられた後のガスの温度(これをT2とする)を下流側温度センサ104によって測定し、その温度差(ΔT=T2-T1)に対応して変調された波形の電気信号を出力するものであり、(【0030】)
流量計測センサ100の電気機械的な構造は、フローセンサと同様であるが、直接的あるいは間接的に質量流量を計測するためではなく、ガスの流れを燃焼の可能性を持ったエネルギー(燃焼熱)の流れと見做して、その燃焼熱の流量(燃焼熱流量)を、より直接的に計測するために用いられるものであり、(【0031】)
燃焼熱流量演算回路200は、線形化演算部201、燃焼熱流量数値化部202、流量値積算部203を、その主要部として備えており、(【0032】)
線形化演算部201は、流量計測センサ100から出力された電気信号が変調された波形あるいは出力電圧レベルとして担持している(電気信号を変調させたり電圧レベルを対応させたりするなどして、その電気信号に情報として付与している)ΔTの値と、計測対象のガスの流れを所定の空燃比で燃焼したときに得られる燃焼熱の単位時間あたりの流量の値(以下、これを燃焼熱流量値Wと呼ぶ。単位は例えば[MJ/h])との相関関係を、線形対応化する演算処理を行うものであり、流量計測センサ100からはΔTの値に比例した電圧レベル(これをVTとする)が出力されるものとして、その電圧レベル(VT=kΔT,kは流量計測センサ100に固有の比例定数)と、そのときのガスの流れに対応した燃焼熱流量値Wの値との相関関係を計測可能レンジ全体に亘って線形対応化するものであり、(【0033】)
燃焼熱流量数値化部202は、線形化演算部201で線形化処理を施されて出力された電気信号を、燃焼熱の単位時間あたりの流量の値のデータに数値化して出力するものであり、あらかじめ固定的に定められた変換レートで、線形化処理されたVT=kΔTの値をWの値に変換し、変換レートは、計測対象のガスの種類や組成が想定される範囲内で種々に変化しても、計測値として得られる燃焼熱流量値が所定の公差以内となるようにあらかじめ固定的に定められており、(【0034】)
流量値積算部203は、燃焼熱流量数値化部202から出力された燃焼熱流量値Wを積算するものであり、(【0035】)
積算値表示部400は、例えばセグメント方式またはドットマトリックス方式の液晶表示パネルのような電子的に駆動されるフラットパネルディスプレイデバイスを備えており、流量値積算部203から出力された燃焼熱流量積算値ΣWのデータを、その値の単位と共に表示する、(【0036】)
ガスメータ1。」

(2) 引用文献4

ア 引用文献4の記載事項

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当審拒絶理由において引用した引用文献4(特開2017-129470号公報)には、以下の記載がある。

(ア) 【0023】~【0046】

「【0023】
<装置構成>
図1は、本実施形態に係る流量測定装置の装置構成を示す斜視図である。図2は、流量測定装置の縦断面図である。図3は、流量測定装置の横断面図である。流量測定装置は、例えばガスメータや燃焼機器、自動車等の内燃機関、燃料電池に組み込まれ、流路を通過する気体の量を測定する。なお、図1の破線の矢印は、流体の流れる方向を例示している。図1~図3に示すように、本実施形態では、流量測定装置1は主流路部2の内部に設けられる。また、流量測定装置1は、流量検出部11と、物性値検出部(「温度検出部」とも呼ぶ)12と、制御部13とを備える。流量検出部11及び物性値検出部12は、マイクロヒータが形成する加熱部とサーモパイルが形成する温度検出部とを含む、いわゆる熱式のフローセンサである。
【0024】
続きを表示(全54行)
図4は、流量検出部及び物性値取得部に用いられるセンサ素子の一例を示す斜視図である。また、図5は、センサ素子の仕組みを説明するための断面図である。センサ素子100は、マイクロヒータ(加熱部)101と、マイクロヒータ101を挟んで両側に設けられたサーモパイル(温度検出部)102とを備える。これらの上下には絶縁薄膜が形成され、シリコン基台上に設けられている。また、マイクロヒータ101及びサーモパイル102の下方のシリコン基台には、キャビティ(空洞)が設けられている。マイクロヒータ101は、例えばポリシリコンで形成された抵抗体である。図5は、破線の楕円によって、マイクロヒータ101が発熱した場合の温度分布を模式的に示している。なお、破線が太いほど温度が高いものとする。空気の流れがない場合、図5の上段(1)に示すようにマイクロヒータ101の両側の温度分布はほぼ均等になる。一方、例えば図5の下段(2)において破線の矢印で示す方向に空気が流れた場合、周囲の空気が移動するため、マイクロヒータ101の風上側よりも風下側の方が、温度は高くなる。センサ素子は、このようなヒータ熱の分布の偏りを利用して、流量を示す値を出力する。
【0025】
また、図1の制御部13は、マイクロコントローラ等の演算装置によって形成され、流量検出部11の出力に基づいて流量を算出したり、物性値検出部12の出力に基づいて所定の特性値を算出したり、特性値を用いて流量を補正したりする。
【0026】
<流量検出部及び物性値取得部>
【0027】
図6は、図1に示した流量検出部11の概略構成を示す上面図であり、図7は、図1に示した物性値検出部12の概略構成を示す上面図である。
【0028】
図6に示すように、流量検出部11は、測定対象流体の温度を検出する第1サーモパイル(流量検出部内第1温度検出部)111および第2サーモパイル(流量検出部内第2温度検出部)112と、測定対象流体を加熱するマイクロヒータ113とを備えている。マイクロヒータ113と、流量検出部内第1温度検出部111および流量検出部内第2温度検出部112とは、流量検出部11内において、測定対象流体の流れ方向Pに沿って並んで配置されている。また、マイクロヒータ113、流量検出部内第1温度検出部111、および流量検出部内第2温度検出部112の形状は、平面視においてそれぞれ略矩形であり、各々の長手方向は測定対象流体の流れ方向Pと直交する。
【0029】
流量検出部内第1温度検出部111および流量検出部内第2温度検出部112は、マイクロヒータ113の上流側に流量検出部内第1温度検出部111が配置され、下流側に流量検出部内第2温度検出部112が配置されて、マイクロヒータ113を挟んで対称な位置の温度を検出する。
【0030】
流量測定装置1では、物性値検出部12および流量検出部11に、実質的に同一構造のセンサが用いられており、測定対象流体の流れ方向に対する配置角度を90°異ならせて配置されている。これにより、同一構造のセンサを物性値検出部12または流量検出部11として機能させることが可能となるため、流量測定装置1の製造コストを低減することができる。
【0031】
一方、図7に示すように、物性値検出部12は、測定対象流体の温度を検出する第1サーモパイル(物性値検出部内第1温度検出部)121および第2サーモパイル(物性値検出部内第2温度検出部)122と、測定対象流体を加熱するマイクロヒータ(物性値検出部内加熱部)123とを備えている。物性値検出部内加熱部123と、物性値検出部内第1温度検出部121および物性値検出部内第2温度検出部122とは、物性値検出部12内において、測定対象流体の流れ方向Qと直交する方向に並んで配置されている。また、物性値検出部内加熱部123、物性値検出部内第1温度検出部121、および物性値検出部内第2温度検出部122の形状は、平面視においてそれぞれ略矩形であり、各々の長手方向は測定対象流体の流れ方向Qに沿っている。また、物性値検出部内第1温度検出部121および物性値検出部内第2温度検出部122は、物性値検出部内加熱部123を挟んで左右対称に配置されており、物性値検出部内加熱部123の両側の対称な位置の温度を検出する。
【0032】
ここで、測定対象流体の流れによって温度分布は下流側に偏るため、流れ方向と直交する方向の温度分布の変化は、測定対象流体の流れ方向の温度分布の変化に比べて小さい。このため、物性値検出部内第1温度検出部121と、物性値検出部内加熱部123と、物性値検出部内第2温度検出部122とを、この順で測定対象流体の流れ方向と直交する方向に並べて配置することにより、温度分布の変化による物性値検出部内第1温度検出部121および物性値検出部内第2温度検出部122の出力特性の変化を低減することができる。したがって、測定対象流体の流れによる温度分布の変化の影響を低減して、物性値検出部12による検出精度を向上させることができる。
【0033】
また、物性値検出部内加熱部123の長手方向が測定対象流体の流れ方向に沿って配置されているため、物性値検出部内加熱部123は測定対象流体の流れ方向に亘って広範囲に測定対象流体を加熱することが可能となる。このため、測定対象流体の流れによって温度分布が下流側に偏った場合であっても、物性値検出部内第1温度検出部121および物性値検出部内第2温度検出部122の出力特性の変化を低減することができる。したがって、測定対象流体の流れによる温度分布の変化の影響を低減して、測定対象流体の流れによる温度分布の変化の影響を低減して、物性値検出部12による検出精度を向上させることができる。
【0034】
さらに、物性値検出部内第1温度検出部121および物性値検出部内第2温度検出部122の長手方向が測定対象流体の流れ方向に沿って配置されているため、物性値検出部内第1温度検出部121および物性値検出部内第2温度検出部122は測定対象流体の流れ方向に亘って広範囲に温度を検出することが可能となる。このため、測定対象流体の流れによって温度分布が下流側に偏った場合であっても、物性値検出部内第1温度検出部121および物性値検出部内第2温度検出部122の出力特性の変化を低減することができる。したがって、測定対象流体の流れによる温度分布の変化の影響を低減して、物性値検出部12による検出精度を向上させることができる。
【0035】
<機能構成>
図8は、流量測定装置の機能構成を示すブロック図である。流量測定装置1は、流量検出部11と、物性値検出部12と、制御部13とを備えている。流量検出部11は、流量検出部内第1温度検出部111と、流量検出部内第2温度検出部112とを備える。物性値検出部12は、物性値検出部内第1温度検出部121と、物性値検出部内第2温度検出部122と、物性値検出部内加熱部123とを備える。
【0036】
流量検出部11は、流量検出部内第1温度検出部111および流量検出部内第2温度検出部112から出力された温度検出信号に基づいて、測定対象流体の流量を示す値を検出する。具体的には、流量検出部11は、流量検出部内第1温度検出部111から出力された温度検出信号と流量検出部内第2温度検出部112から出力された温度検出信号との差分を算出し、差分に基づいて測定対象流体の流量を示す値を求める。そして、流量検出部11は、流量を示す値を制御部13に出力する。
【0037】
物性値検出部12は、物性値検出部内第1温度検出部121および物性値検出部内第2温度検出部122から出力された温度検出信号を流量算出部133に出力する。具体的には、物性値検出部12は、物性値検出部内第1温度検出部121および物性値検出部内第2温度検出部122から出力された温度検出信号の平均値を求める。また、物性値検出部内加熱部123は、例えば制御部13による制御に応じて温度を変更する。これにより、物性値検出部内第1温度検出部121及び物性値検出部内第2温度検出部122は、物性値検出部内加熱部123の温度変化の前後における出力値を求めることができる。物性値検出部12は、取得した出力値を制御部13に出力する。
【0038】
また、制御部13は、補正処理部131と、特性値算出部132と、流量算出部133とを含む。流量算出部133は、流量検出部11の検出値に基づいて測定対象流体の流量を算出する。特性値算出部132は、物性値検出部12の検出値に基づいて特性値を算出する。具体的には、特性値算出部132は、物性値検出部12のマイクロヒータの温度を変化させ、変化の前後においてサーモパイルが検出した測定対象流体の温度の差に所定の係数を乗じて特性値を算出する。補正処理部131は、特性値を用いて、流量算出部133が算出した流量を補正する。なお、物性値検出部12と特性値算出部132とを総称して特性値取得部とも呼ぶ。
【0039】
<流量測定処理>
図9は、流量測定処理の一例を示す処理フロー図である。図9に示すように、流量検出部11は、流量検出部内第1温度検出部および流量検出部内第2温度検出部112から温度検出信号を出力し、流量算出部133は、2つの温度検出信号に基づいて測定対象流体の流量を算出する(図9:S1)。
【0040】
具体的には、流量検出部11は、流量検出部内第1温度検出部111から出力された温度検出信号と流量検出部内第2温度検出部112から出力された温度検出信号とを出力する。また、流量算出部133は、2つの温度検出信号の差分を算出し、差分に基づいて測定対象流体の流量を示す値を算出する。
【0041】
なお、流量検出部内第1温度検出部111および流量検出部内第2温度検出部112から出力された温度検出信号に基づいて定対象流体の流量を算出する手法は、公知のものを用いることができる。流量検出部11は、算出した測定対象流体の流量を制御部13に出力する。
【0042】
また、物性値検出部12は、特性値取得処理を実行する(S2)。特性値取得処理の詳細は、図10を用いて説明する。
【0043】
図10は、特性値取得処理の一例を示す処理フロー図である。制御部13の特性値算出部132は、物性値検出部12の物性値検出部内加熱部123に、第1の温度で加熱させる(図10:S11)。その後、物性値検出部12の物性値検出部内第1温度検出部121及び物性値検出部内第2温度検出部122は、第1の温度を検出する(S12)。本ステップは、例えば制御部13による制御に基づいて行うようにしてもよい。測定対象流体を伝わる熱の速度は、熱伝導率、熱拡散率、比熱などの物性値によって決定される。また、物性値検出部内加熱部123と、物性値検出部内第1温度検出部121および物性値検出部内第2温度検出部122との温度差を検出することによって、熱伝導率を求めることができる。例えば、物性値検出部内加熱部123と、物性値検出部内第1温度検出部121および物性値検出部内第2温度検出部122との温度差が大きいほど、熱伝導率は小さくなる。このような性質を利用して、本ステップでは、測定対象流体の流れ方向と直交する方向に配置された物性値検出部内第1温度検出部121および物性値検出部内第2温度検出部122によって測定対象流体の温度を検出する。
【0044】
次に、制御部13の特性値算出部132は、物性値検出部12の物性値検出部内加熱部123に、第2の温度で加熱させる(S13)。その後、物性値検出部12の物性値検出部内第1温度検出部121及び物性値検出部内第2温度検出部122は、第2の温度を検出する(S14)。本ステップも、例えば制御部13による制御に基づいて行うようにしてもよい。このようにして、物性値検出部内加熱部123の温度変化の前後において物性値検出部内第1温度検出部121及び物性値検出部内第2温度検出部122により検出された温度を示す値が取得される。
【0045】
また、特性値算出部132は、検出された温度を用いて特性値を算出する(S15)。本ステップでは、センサ感度比を求める。センサ感度比とは、基準となる気体を流した場合のセンサ出力値に対する、所定の気体を流した場合のセンサ出力値の比であり、熱拡散率を表す特性値である。センサ感度比αは、下記の式(1)で求められる。
α = β × ΔT ・・・(1)
βは所定の係数である。また、ΔTは、物性値検出部内加熱部123の温度変化の前後において物性値検出部内第1温度検出部121及び物性値検出部内第2温度検出部122により出力された検出値の差分である。
【0046】
その後、図9の処理に戻り、制御部13は、特性値を用いて、流量算出部が算出した測定対象流体の流量を補正する(図9:S3)。具体的には、制御部13は、下記の式(2)を用いて、補正後の流量を算出する。
補正後の出力 = 流量算出部の出力 × α ・・・(2)」

(イ) 【図4】

「【図4】
[図:0001388051000004.jpg]
」

(ウ) 【図5】

「【図5】
[図:0001388051000005.jpg]
」

(エ) 【図6】

「【図6】
[図:0001388051000006.jpg]
」

(オ) 【図7】

「【図7】
[図:0001388051000007.jpg]
」

(カ) 【図8】

「【図8】
[図:0001388051000008.jpg]
」

(キ) 【図9】

「【図9】
[図:0001388051000009.jpg]
」

(ク) 【図10】

「【図10】
[図:0001388051000010.jpg]
」

イ 引用発明4の認定

上記アに摘記された事項を総合すると、引用文献4には、次の発明(以下「引用発明4」という。)が記載されていると認められる。

[引用発明4]

「ガスメータに組み込まれ、流路を通過する気体の量を測定する流量測定装置1であって、主流路部2の内部に設けられ、流量検出部11と、物性値検出部12と、制御部13を備えており、
流量検出部11及び物性値検出部12は、マイクロヒータが形成する加熱部とサーモパイルが形成する温度検出部とを含む、いわゆる熱式のフローセンサであって、(【0023】)
流量検出部11は、測定対象流体の温度を検出する第1サーモパイル(流量検出部内第1温度検出部)111および第2サーモパイル(流量検出部内第2温度検出部)112と、測定対象流体を加熱するマイクロヒータ113とを備えており、(【0028】)
サーモパイルはマイクロヒータを挟んで両側に設けられており、(【0024】)
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マイクロヒータ113と、流量検出部内第1温度検出部111および流量検出部内第2温度検出部112とは、流量検出部11内において、測定対象流体の流れ方向Pに沿って並んで配置されており、(【0028】)
物性値検出部12は、物性値検出部内第1温度検出部121と、物性値検出部内第2温度検出部122と、物性値検出部内加熱部123を備えており、(【0035】)
制御部13は、補正処理部131と、特性値算出部132と、流量算出部133を含み、補正処理部131は、特性値を用いて、流量算出部133が算出した流量を補正するものであり、(【0038】)
流量検出部11は、流量検出部内第1温度検出部111から出力された温度検出信号と流量検出部内第2温度検出部112から出力された温度検出信号とを出力し、流量算出部133は、2つの温度検出信号の差分を算出し、差分に基づいて測定対象流体の流量を示す値を算出するものであり、(【0040】)
制御部13の特性値算出部132は、物性値検出部内加熱部123に第1の温度で加熱させ、物性値検出部内第1温度検出部121及び物性値検出部内第2温度検出部122は第1の温度を検出し、物性値検出部内加熱部123に第2の温度で加熱させ、物性値検出部12の物性値検出部内第1温度検出部121及び物性値検出部内第2温度検出部122は第2の温度を検出し、(【0043】~【0044】)
物性値検出部内加熱部123の温度変化の前後において物性値検出部内第1温度検出部121及び物性値検出部内第2温度検出部122により検出された温度を示す値が取得され、(【0044】)
特性値算出部132は、基準となる気体を流した場合のセンサ出力値に対する、所定の気体を流した場合のセンサ出力値の比であり、熱拡散率を表す特性値であるセンサ感度比αを下記の式(1)で求め、
α = β × ΔT ・・・(1)
(βは所定の係数であり、ΔTは、物性値検出部内加熱部123の温度変化の前後において物性値検出部内第1温度検出部121及び物性値検出部内第2温度検出部122により出力された検出値の差分である。)(【0045】)
制御部13は、下記の式(2)を用いて、流量算出部が算出した測定対象流体の流量を補正して、補正後の流量を算出する、
補正後の出力 = 流量算出部の出力 × α ・・・(2)(【0046】)
流量測定装置1」

2 対比・判断

(1) 引用発明1との対比・判断

ア 対比

(ア) 対比分析

本願発明と引用発明1を対比する。

a 引用発明1の「ガス」は、本願発明の「測定対象流体」に相当し、引用発明1の「ガスを導通させる導通路101」は、本願発明の「測定対象流体」が「流れる」「主流路」に相当する。

また、引用発明1の「流量計測センサ100」を備える「ガスメータ1」は、本願発明の「主流路を流れる測定対象流体の流量を検出する流量測定装置」に相当する。

b 引用発明1の「導通路101を通るガスに所定の熱を与える熱線ヒータ102」は、本願発明の「測定対象流体を加熱する加熱部」に相当する。

c 引用発明1の「熱線ヒータ102の前後にそれぞれ1個ずつ配設されて、その位置での温度を計測する上流側温度センサ103及び下流側温度センサ104」は、本願発明の「前記加熱部を前記測定対象流体の流れ方向に挟んで配置され、前記測定対象流体の温度を検出する複数の温度検出部」に相当する。

d 引用発明1の「熱を与えられる前の上流側でのガスの温度(これをT1とする)を上流側温度センサ103によって測定し、熱線ヒータ102によって熱を与えられた後のガスの温度(これをT2とする)を下流側温度センサ104によって測定し、その温度差(ΔT=T2-T1)に対応して変調された波形の電気信号」は、「ΔTの値に比例した電圧レベル」である「VT=kΔT」を意味するから、本願発明の「前記複数の温度検出部の出力の差分」に相当する。

e 引用発明1の「線形化演算部201で線形化処理を施されて出力された電気信号を、燃焼熱の単位時間あたりの流量の値のデータに数値化して出力する」「燃焼熱流量数値化部202」を含む「燃焼熱流量演算回路200」は、上流側温度センサ103と下流側温度センサ104により測定した温度の差ΔTの値に比例した電圧レベルであるVT=kΔTの値を、燃焼熱流量値Wの値に変換しているから、本願発明の「前記複数の温度検出部の出力の差分を、前記主流路を流れる測定対象流体の熱量流量または熱量に変換する変換部」に相当する。

(イ) 引用発明1との一致点及び相違点の認定

前記(ア)対比分析の結果をまとめると、本願発明と引用発明1は、次の一致点1の点において一致し、以下の相違点1の点において相違する。

[一致点1]

「主流路を流れる測定対象流体の流量を検出する流量測定装置であって、
測定対象流体を加熱する加熱部と、
前記加熱部を前記測定対象流体の流れ方向に挟んで配置され、前記測定対象流体の温度を検出する複数の温度検出部と、
前記複数の温度検出部の出力の差分を、前記主流路を流れる測定対象流体の熱量流量または熱量に変換する変換部と、
を備える、流量測定装置。」

[相違点1]

本願発明は、「測定対象流体を加熱する第2の加熱部および測定対象流体の温度を検出する第2の温度検出部を有する、測定対象流体の物性値を検出するための物性値検出部をさらに備え、

前記変換部により変換された前記主流路を流れる測定対象流体の熱量流量または熱量は、前記物性値検出部の前記第2の温度検出部において検出され出力された前記測定対象流体の温度に応じた信号、または、前記物性値検出部の前記第2の加熱部の温度を変化させ、変化の前後において前記第2の温度検出部が検出した前記測定対象流体の温度の差に所定の係数を乗じて算出された信号に基づいて補正される」のに対して、引用発明1は、計測対象のガスの種類や組成が想定される範囲内で種々に変化してもあらかじめ固定的に定められた変換レートにより変換して燃焼熱流量値の値を求めており、測定対象流体の物性値を検出して補正をしていない点。

イ 判断

(ア) 引用発明4の構成と上記相違点1に係る本願発明の構成の対応関係は、以下のa~dに示すとおりである。

a 引用発明4の「流量検出部11と、物性値検出部12と、制御部13を備えている流量測定装置1」において、「物性値検出部12」の「物性値検出部内加熱部123」と「物性値検出部内第1温度検出部121と、物性値検出部内第2温度検出部122」は、それぞれ本願発明の「測定対象流体を加熱する第2の加熱部」と「測定対象流体の温度を検出する第2の温度検出部」に相当する。したがって、引用発明4の「物性値検出部12」は、本願発明の「測定対象流体の物性値を検出するための物性値検出部」に相当する。

b 引用発明4の「ΔT」は、「物性値検出部内加熱部123の温度変化の前後において物性値検出部内第1温度検出部121及び物性値検出部内第2温度検出部122により出力された検出値の差分である」から、本願発明の「前記物性値検出部の前記第2の加熱部の温度を変化させ、変化の前後において前記第2の温度検出部が検出した前記測定対象流体の温度の差」に相当する。

c 引用発明4の「α = β × ΔT」により求められた「熱拡散率を表す特性値であるセンサ感度比α」は、本願発明の「変化の前後において前記第2の温度検出部が検出した前記測定対象流体の温度の差に所定の係数を乗じて算出された信号」に相当する。

d 引用発明4では、「補正後の出力 = 流量算出部の出力 × α」により、「流量算出部が算出した測定対象流体の流量を補正」しているから、このことは、本願発明の「変化の前後において前記第2の温度検出部が検出した前記測定対象流体の温度の差に所定の係数を乗じて算出された信号に基づいて補正される」ことに相当する。

e 前記aからdまでの検討結果も踏まえると、引用発明4は、本願発明の「測定対象流体を加熱する第2の加熱部および測定対象流体の温度を検出する第2の温度検出部を有する、測定対象流体の物性値を検出するための物性値検出部をさらに備え」、前記主流路を流れる測定対象流体の流量は「前記物性値検出部の前記第2の温度検出部において検出され出力された前記測定対象流体の温度に応じた信号、または、前記物性値検出部の前記第2の加熱部の温度を変化させ、変化の前後において前記第2の温度検出部が検出した前記測定対象流体の温度の差に所定の係数を乗じて算出された信号に基づいて補正される」という構成に相当する構成を備えているといえる。

(イ) ここで、引用発明1では、「計測された質量流量に単位質量あたりの燃焼熱量を乗じることにより、ガスを燃焼熱エネルギーの流れと見做して、その燃焼熱量の単位時間あたりの流量(燃焼熱流量)を算出することにより、エネルギー資源としてのガスの使用量を精確に計測することができるフローセンサでは、一般にガス種(ガスの種類)が異なると、そのガス種ごとにガスの定圧比熱や組成成分比が異なったものとなることに起因して誤差が生じてしまうため、異なったガス種を正確に計測するには、ガス種ごとの定圧比熱や組成成分比に対応した補正または質量流量から燃焼熱流量への換算レートの変更等を行わなければならないという課題」を認識しており、ガス種ごとの物性値に対応した燃焼熱流量の補正というアイデア自体には既に想到している。

そして、ガス種ごとの物性値に対応した燃焼熱流量を補正するために、その具体的技術手段を採用することは、当業者にとっては、自明のことにすぎない。

そうすると、引用発明1において、計測対象のガスの種類や組成が想定される範囲内で種々に変化してもあらかじめ固定的に定められた変換レートにより変換して燃焼熱流量値の値を求める代わりに、引用発明4の物性値検出部12、特性値算出部132及び補正処理部131を採用して、ガスの種類ごとの物性値に対応した燃焼熱流量の補正を行うことにより、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、アイデア自体としては、当業者が容易に想到し得たことである。

(2) 引用文献4を主たる引用文献とした場合の対比・判断

ア 対比

(ア) 対比分析

本願発明と引用発明4を対比する。

a 引用発明4の「流量測定装置1」は、「主流路部2の内部に設けられ」、「流路を通過する気体の量を測定する」ものであるから、本願発明の「主流路を流れる測定対象流体の流量を検出する流量測定装置」に相当する。

b 引用発明4の「測定対象流体を加熱するマイクロヒータ113」は、本願発明の「測定対象流体を加熱する加熱部」に相当する。

c 引用発明4の「流量検出部11」では、「マイクロヒータ113と、流量検出部内第1温度検出部111および流量検出部内第2温度検出部112とは、流量検出部11内において、測定対象流体の流れ方向Pに沿って並んで配置されており」、「測定対象流体の温度を検出する第1サーモパイル(流量検出部内第1温度検出部)111および第2サーモパイル(流量検出部内第2温度検出部)112」は、「マイクロヒータを挟んで両側に設けられて」いる。

よって、引用発明4の「流量検出部内第1温度検出部111および流量検出部内第2温度検出部112」は、本願発明の「前記加熱部を前記測定対象流体の流れ方向に挟んで配置され、前記測定対象流体の温度を検出する複数の温度検出部」に相当する。

d 引用発明4では、「流量検出部11は、流量検出部内第1温度検出部111から出力された温度検出信号と流量検出部内第2温度検出部112から出力された温度検出信号とを出力し、流量算出部133は、2つの温度検出信号の差分を算出し、差分に基づいて測定対象流体の流量を示す値を算出」しているから、「前記複数の温度検出部の出力の差分」を求めて、「主流路を流れる測定対象流体の流量を検出する」点で本願発明と一致する。

(イ) 引用発明4との一致点及び相違点の認定

前記(ア)の対比分析の結果及び前記(1)イ(ア)に示した引用発明4の構成と前記記相違点1に係る本願発明の構成の対応関係を踏まると、本願発明と引用発明4は、次の一致点2の点において一致し、以下の相違点2の点において相違する。

[一致点2]

「主流路を流れる測定対象流体の流量を検出する流量測定装置であって、
測定対象流体を加熱する加熱部と、
前記加熱部を前記測定対象流体の流れ方向に挟んで配置され、前記測定対象流体の温度を検出する複数の温度検出部と、
を備え、
前記複数の温度検出部の出力の差分を求めて、主流路を流れる測定対象流体の流量を検出するものであり、
測定対象流体を加熱する第2の加熱部および測定対象流体の温度を検出する第2の温度検出部を有する、測定対象流体の物性値を検出するための物性値検出部をさらに備え、
前記主流路を流れる測定対象流体の流量は、前記物性値検出部の前記第2の温度検出部において検出され出力された前記測定対象流体の温度に応じた信号、または、前記物性値検出部の前記第2の加熱部の温度を変化させ、変化の前後において前記第2の温度検出部が検出した前記測定対象流体の温度の差に所定の係数を乗じて算出された信号に基づいて補正される、流量測定装置。」

[相違点2]

本願発明では、「前記複数の温度検出部の出力の差分を、前記主流路を流れる測定対象流体の熱量流量または熱量に変換する変換部」を備え、「前記変換部により変換された前記主流路を流れる測定対象流体の熱量流量または熱量」が補正されるのに対して、引用発明4では、そのような構成を備えていない点。

イ 判断

引用文献1には、上流側温度センサ103と下流側温度センサ104により測定した温度の差ΔTの値に比例した電圧レベルであるVT=kΔTの値を、燃焼熱流量値Wの値に変換することが開示されており、これは、本願発明の「前記複数の温度検出部の出力の差分を、前記主流路を流れる測定対象流体の熱量流量または熱量に変換する」ことに相当する(前記(1)ア(オ)を参照)。

そして、引用発明4において、引用文献1に開示された技術事項に倣って、測定対象流体の燃焼熱流量に変換して算出する場合に、変換後の燃焼熱流量を補正対象とすることにより、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(3) 小括

本願発明の奏する効果について検討しても、引用文献1及び4に記載された発明から当業者が予測可能なものにすぎず、格別顕著なものであるということはできない。

したがって、本願発明は、引用文献1及び4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4) 請求人の主張について

ア 請求人の主張の概要

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請求人は、引用文献1と引用文献4の組み合わせの適否について、令和4年4月27日に提出された意見書において次の(ア)及び(イ)の主張をしている。

(ア) 動機付けについて

引用文献1においては、熱拡散率が異なる流体を測定対象とする事実が記載されていたとしても、当該物性値を用いて流量を補正する点について、記載も示唆もされておらず、そのような課題も示されていない以上、熱拡散率を表す特性値を用いて流量を補正する点について、契機があるとはいえない。拒絶理由通知の判断は後知恵によるものである。

(イ) 阻害要因について

さらに、引用文献1の、[0034]には、「本実施の形態のガスメータ1では、一般的な質量流量計の場合のようなガス種ごとに異なる発熱相関や定圧比熱の値などに基づいた換算値の変更などは全く行わない。」と明記されており、物性値を検出して燃焼熱流量値を補正するようなことはしない点がむしろ発明の特徴とされている。したがって、引用文献1に、引用文献4における物性検出部で検出された測定対象流体の物性値を用いて、流量を補正する点を組み合わせる論理には、阻害要因があるといえる。

イ 請求人の主張の検討

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(ア) 動機付けについて

引用発明1では、「計測された質量流量に単位質量あたりの燃焼熱量を乗じることにより、ガスを燃焼熱エネルギーの流れと見做して、その燃焼熱量の単位時間あたりの流量(燃焼熱流量)を算出することにより、エネルギー資源としてのガスの使用量を精確に計測することができるフローセンサでは、一般にガス種(ガスの種類)が異なると、そのガス種ごとにガスの定圧比熱や組成成分比が異なったものとなることに起因して誤差が生じてしまうため、異なったガス種を正確に計測するには、ガス種ごとの定圧比熱や組成成分比に対応した補正または質量流量から燃焼熱流量への換算レートの変更等を行わなければならないという課題」を認識しているから、ガス種ごとの物性値に対応した燃焼熱流量の補正を行うというアイデア自体については、既に想到しているということができる。したがって、請求人の主張(ア)は採用することができない。

(イ) 阻害要因について

引用発明1においては、ガス種ごとの物性値に対応した燃焼熱流量の補正というアイデア自体には既に想到しており、この場合に、ガス種ごとの物性値に対応した燃焼熱流量を補正するためにその具体的技術手段を採用することは、当業者にとっては、自明のことにすぎない。この思考過程に阻害要因があるとは認められない。請求人の主張は、実際に事業として行おうとする場合に躊躇(ちゅうちょ)する要素があるという程度の主張にとどまるものである。

また、引用発明1では、「あらかじめ固定的に定められた変換レートで、線形化処理されたVT=kΔTの値をWの値に変換し、変換レートは、計測対象のガスの種類や組成が想定される範囲内で種々に変化しても、計測値として得られる燃焼熱流量値が所定の公差以内となるようにあらかじめ固定的に定められて」いるが、一般に、測定対象の属性に無関係に一律な対応により計測誤差を減少させるよりも、測定対象の個々の属性に応じて個別に対応することにより緻密かつ丁寧に計測誤差を減少させる方が好ましいことは、当業者ならば通常有している技術常識である。したがって、あらかじめ固定的に定められた変換レートにより変換して燃焼熱流量値の値を求める代わりに、ガスの種類ごとの物性値に対応した燃焼熱流量の補正を行うことも、通常の思考方法であり、引用発明1の解決手段がこれとは異なるアプローチをしたからといって、通常の思考方法の自明性が否定されるものではない。

以上のとおりであるから、阻害要因があるとの請求人の主張(イ)に合議体は賛同することはできない。

第5 むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-010732

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