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特許拒絶査定不服審判

2021-010445

ジェルネイルポリッシュ並びにその製造及び使用方法

審判番号
2021-010445
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-165707
請求日
2021年08月05日
審決日
2023年03月28日
公報発行日
2023年09月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】リジュアン チェン
  • 【請求人代理人】高岡 亮一
  • 【請求人代理人】小田 直
  • 【請求人代理人】岩堀 明代
  • 【請求人代理人】高橋 香元
審判長/審判官
  • 審判長 阪野 誠司
  • 審判官 木村 敏康
  • 審判官 野田 定文
分類
P18 .561-Z (A61K) / P18 .575-Z (A61K) / P18 .113-Z (A61K) / P18 .121-Z (A61K) / P18 .537-Z (A61K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項特許法36条6項2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第36条第6項
データ出所
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事件の表示

特願2016-165707「ジェルネイルポリッシュ並びにその製造及び使用方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月30日出願公開、特開2017- 61446〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2016年8月26日〔パリ条約による優先権主張外国庁受理 2015年8月29(US)米国、2016年8月24日(US)米国〕を国際出願日とする出願であって、令和2年8月28日付けの拒絶理由通知に対し、指定された期間内に応答がなく、令和3年3月26日付けの拒絶査定に対し、同年8月5日付けで審判請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 令和3年8月5日付け手続補正についての補正の却下の決定 〔補正の却下の決定の結論〕 令和3年8月5日付け手続補正を却下する。 〔理由〕 1.補正の内容 令和3年8月5日付け手続補正(以下「第1補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1の「ジェルネイルポリッシュ組成物であって、 第1の化学成分として脂肪族ウレタンアクリレート、第2の化学成分としてポリマーアクリレートオリゴマー、第3の化学成分としてモノマー希釈剤、及び第4の化学成分として光重合開始剤を含む、ジェルネイルポリッシュ混合物と、 前記ジェルネイルポリッシュ混合物をLED光、UV光、及び太陽光にあてることからなる群から選択された光構造体にあてることで乾かすことができるように前記ジェルネイルポリッシュと混合される着色剤と、 を含む、ジェルネイルポリッシュ組成物。」との記載を、補正後の特許請求の範囲の請求項1の「ジェルネイルポリッシュ組成物であって、 第1の化学成分として脂肪族ウレタンアクリレート、第2の化学成分としてポリマーアクリレートオリゴマー、第3の化学成分としてモノマー希釈剤、及び第4の化学成分として光重合開始剤を含む、ジェルネイルポリッシュ混合物と、 前記ジェルネイルポリッシュ混合物を30秒~50秒間LED光、UV光、及び太陽光にあてることからなる群から選択された光構造体にあてることで乾かすことができるように前記ジェルネイルポリッシュと混合される着色剤と、 を含む、ジェルネイルポリッシュ組成物。」との記載に改める補正を含むものである(下線は当審による。以下同じ。)。 2.補正の適否 (1)新規事項について 第1補正について、令和3年8月5日付けの審判請求書の第3頁において、審判請求人は『本願明細書段落[0056]に「30~60秒間LED光にあてて」なる記載があるため、「30秒~50秒間LED光」の補正は新規事項追加に該当しないものと思料します。…当該補正は引用文献との差をより明確にするために行われました。』と主張する。 しかしながら、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」ともいう。)の段落0056の「ワイプオフベースコート層、ジェルネイルポリッシュ層、及びトップコート層は、例えば、30~60秒間LED光にあてて、2分間UV光にあてて、又は1~2分間太陽光にあてて完全に乾かされる。」との記載に基づき、引用文献との差をより明確にするために、補正前の「ジェルネイルポリッシュ混合物をLED光、UV光、及び太陽光にあてることからなる群から選択された光構造体にあてる」との記載部分を、補正後の「ジェルネイルポリッシュ混合物を30秒~50秒間LED光、UV光、及び太陽光にあてることからなる群から選択された光構造体にあてる」との記載に改める補正は、当初明細書等の「2分間UV光」及び「1~2分間太陽光」との記載に照らし、補正後の「UV光」及び「太陽光」の照射時間が、補正前の「2分間」及び「1~2分間」の時間範囲から逸脱した「30秒~50秒間」に改められているという点において『当業者によって,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項であり,補正が,このようにして導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものであるとき』に該当するとはいえない〔平成18年(行ケ)10563号判決参照。〕。 したがって、第1補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではないから、特許法第17条の2第3項の規定に違反する。 (2)独立特許要件について ア 補1発明 第1補正による補正後の「ジェルネイルポリッシュ混合物を30秒~50秒間LED光、UV光、及び太陽光にあてることからなる群から選択された光構造体にあてる」との記載が、光構造体が「LED光」の場合のみについて、照射時間を「30秒~50秒間」の時間範囲に限定し、ほかの「UV光」及び「太陽光」の場合については、照射時間を限定するものではないものと解した場合においては、第1補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」を目的とする補正を含むものと解する余地がある。 そこで、第1補正による補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「補1発明」ともいう。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か)について、以下検討する。 イ 引用文献1及び2並びにその記載事項 (ア)原査定で「引用文献1」として引用された「特開2015-131791号公報」には、次の記載がある。 摘記1a:請求項1及び9 「【請求項1】 20~70重量%の脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー、 10~50重量%のポリエステルアクリレートオリゴマー、 10~50重量%の低刺激性アクリレートモノマー、及び 2~11重量%の光重合開始剤を含有し、 前記低刺激性アクリレートモノマーがトリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(TMP3EOTA)、イソボルニルアクリレート(IBOA)、プロポキシ化グリセリルトリアクリレート(G3.5POTA)、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート(CTFA)、エトキシ化フェノキシルアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、エトキシ化ビスフェノールA(メタ)ジアクリレート(2~15EO)、ポリエチレングリコール(200~600)(メタ)ジアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパン(メタ)トリアクリレート(3~15EO)及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるものである、 ジェルポリッシュ組成物。… 【請求項9】 20~70重量%の脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー、2~10重量%の芳香族ウレタンアクリレートオリゴマー及び10~50重量%のポリエステルアクリレートオリゴマーからなるオリゴマーの組み合わせを含有し、当該オリゴマーの組み合わせが30~70重量%のジェルラッカー組成物、10~50重量%の低刺激性アクリレートモノマー、2~11重量%の光重合開始剤、固化促進のための1~4.5重量%のチオールモノマー、及びアクリレートモノマー中に分散した顔料を包含する濃縮着色剤を含有する、請求項1~8のいずれかに記載のジェルポリッシュ組成物。」 摘記1b:段落0010及び0016 「【0010】 いくつかの態様において、ジェルラッカー組成物は、濃縮着色剤(concentrated colorant)の含量が6重量%を超える場合、さらに芳香族ウレタンアクリレートオリゴマーを2~10重量%で含有する。… 【0016】 本開示の一つの態様としてのジェルラッカー組成物は、20~70重量%の脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー、2~10重量%の芳香族ウレタンアクリレートオリゴマー及び10~50重量%のポリエステルアクリレートオリゴマーからなるオリゴマーの組み合わせを含有し、当該オリゴマーの組み合わせは、30~70重量%のジェルラッカー組成物、10~50重量%の低刺激性アクリレートモノマー、2~11重量%の光重合開始剤及びアクリレートモノマー中に分散した顔料を含む濃縮着色剤を含有する。ジェルラッカー組成物は、ジェルラッカーの固化促進のため、5重量%未満のチオールモノマーをさらに含有することができる。」 摘記1c:段落0019、0020及び0023 「【0019】 本発明のUVジェルポリッシュ組成物は、ネイルポリッシュ組成物の調製において従来使用されている方法によって製造することができる。UVジェルポリッシュ組成物を具現化するためのさまざまな典型的な処方を後述する。結果として得られるUVジェルポリッシュ組成物は、UVランプ(PHILIPS PL-L 18W*2)を2分間又は6W LEDランプを1分間照射した後、迅速に硬化する。硬化したジェルポリッシュは、接着性試験、安定性試験及びタッチドライ(Touch-dry)試験で評価した。本発明の全てのUVジェルポリッシュ組成物が、望ましい平滑性、乾燥性、光沢性及び爪に対する十分な接着性を備えた硬化皮膜をもたらすことが見出された。 【0020】 [接着性試験] 本発明のUVジェルポリッシュ組成物をさまざまな生活環境にある20人の爪に適用し、標準的な36W UVランプの下で2分間硬化する。頻繁に家事をすることのない人では爪上で皮膜が8~14日間維持され、ハウスキーパーでは3~7日後に爪から皮膜が除去される。… 【0023】 実施例1 【表1】 [図:0001400906000001.jpg] 」 (イ)原査定で「引用文献2」として引用された「特表2014-533716号公報」には、次の記載がある。 摘記2a:段落0052及び0060~0062 「【0052】 本明細書に記載されるように、ネイル組成物は、複数の成分を含むことができる。ネイル組成物の成分の百分率含有量の和は100%に等しい。例えば、この組成物は、約5~約90重量%のチオールと、約5~約90重量%のアクリル酸末端オリゴマーを含むものとして説明することができる。したがって、ほんの一例として、組成物は、50重量%のチオール化合物を有することができる。この場合には、組成物の残部である50重量%は、アクリル酸末端オリゴマーおよび光開始剤とすることができる。ネイルコーティング組成物は、とりわけ光開始剤、増粘剤、フリーラジカル安定剤、着色剤、キレート剤および接着促進剤から選択される1つ以上の付加成分を含むことができる。特に明記しない限り、本明細書における全ての百分率は、当該組成物の総重量に基準とした重量百分率を指す。… 【0060】 1.ネイル組成物 【0061】 本発明によれば、ネイルコーティング組成物であって、放射線硬化性成分と、前記ネイルコーティング組成物の約5~約90重量%の量で存在するチオール化合物とを含むネイルるコーティング組成物が提供される。 【0062】 このネイルコーティング組成物は、とりわけ、光開始剤、増粘剤、フリーラジカル安定剤、着色剤、キレート剤および接着促進剤から選択された1つ以上の付加的成分を含むことができる。」 摘記2b:段落0126及び0127 「【0126】 ある実施形態において、オリゴマー成分は、Genomer 4622(登録商標)(芳香族ウレタンアクリレートオリゴマー)、ポリエステル03-849(登録商標)、Genomer 4302(登録商標)(イソシアヌレートオリゴマー)、Genomer 2253(登録商標)(変性エポキシアクリレートオリゴマー)、Genomer 4590/PP(登録商標)(脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー)、Genomer 2263(登録商標)(エポキシアクリレートオリゴマー)、Genomer 2259(登録商標)(変性エポキシアクリレートオリゴマー)、Genomer 3414(登録商標)(ポリエーテルアクリレートオリゴマー)、Genomer 2280(登録商標)(変性エポキシアクリレートオリゴマー)、Genomer4312(登録商標)(脂肪族ポリエステル系ウレタンアクリレート)、Genomer 4316(登録商標)(脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー)、Genomer 4215(登録商標)(脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー)、UA00-0022(登録商標)(脂肪族ウレタンアクリレートヒドロキシ官能性オリゴマー)、Genomer 2235(登録商標)(脂肪族エポキシアクリレートオリゴマー)およびGenomer 3611(登録商標)(ポリエステルアクリレートオリゴマー)およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。 【0127】 ある実施形態において、オリゴマー成分は、Genomer 3414(登録商標)(変性ポリエーテルアクリレートオリゴマー)、Genomer 03-956(登録商標)(脂肪族ウレタンジメタクリレートオリゴマー)、Genomer 2280(登録商標)(変性ビスフェノールAエポキシジアクリレートオリゴマー)、Genomer 2281(登録商標)(変性ビスフェノールAエポキシジアクリレートオリゴマー)、Genomer 4425(登録商標)(GPTA中の脂肪族ウレタンアクリレート)、Genomer 09-293(登録商標)(脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー)、Photomer 6210(登録商標)(脂肪族ウレタンオリゴマー)、Ebecryl 3703(登録商標)(エポキシウレタンアクリレートオリゴマー)およびEbecryl 270(登録商標)(脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー)およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。」 摘記2c:段落0219、0223及び0244~0246 「【0219】 したがって、ある実施形態において、組成物は着色剤および有機液体を含み、着色剤および有機液体の量は、組成物の約10重量%まで、組成物の約7.5重量%まで、組成物の約5重量%まで、または組成物の約2.5重量%までである。… 【0223】 ある実施形態において、顔料は、Organic Red D&C Ca Lake CI番号15850-5%(COD 8001)、D&C Red 6 Ba Lake CI番号15850(COD 8002)、黒酸化鉄 CI番号77499(COD 8004)、FD&C Blue 1 Al Lake CI番号42090(COD8007)、二酸化チタン CI番号77891-0.7%(COD 8008)、FD&C Yellow 6 Al Lake CI番号15985(COD8010)からなる群から選択される。… 【0244】 ネイル組成物が爪に適用された後、爪を放射線に露光する。ある実施形態において、爪を放射線に、約5分まで、随意に約4分まで、例えば約3分まで、および例えば約2分まで、例えば1分未満の時間で、露光する。 【0245】 したがって、ネイル組成物を爪に適用した後、爪を放射線に、約30秒~約5分、随意に約1~約5分、随意に約1~約4分、例えば約1~約3分、および例えば約1~約2分の時間で、露光することができる。ある実施形態において、その後に爪を放射線に約1分までの時間で露光してもよい。 【0246】 ある実施形態において、放射線は日光を含み、または、日光である。他の実施形態において、放射線は、電気的放射線源からの紫外線を含み、または紫外線である。市販の紫外線源またはランプは、本発明の方法に好適である。ある実施形態において、放射線は、LEDアレイから放射される。」 摘記2d:段落0255~0257及び0271 「【0255】 実施例 以下の実施例は、本発明の範囲に含まれる様々な製剤を提供する。得られる製剤は、粘度の所望範囲が500~2000cPであり、紫外線にわずか2分の露光を行った後に硬化し、望ましい特性、すなわち、滑らかで、乾燥しており、爪への付着が良好であり、ネイル組成物の除去が望まれる場合には極めて容易に剥がれ、かつ、良好な安定性を有するという特性を有する。 【0256】 各製剤を試験し、ネイル組成物が、良好な接着性、良好な安定性および良好な耐久性に関する要求性能を有するか否かを判定した。以下の製剤の全ては、これらの性能を有することが分かった。加えて、コーティングされた爪をアセトンに浸漬した場合に、研磨の必要なく、ネイルポリッシュは簡単に除去された。 【0257】 接着性 未硬化コーティングをスライドグラスに薄層として塗布し、標準的な36WのUVランプの下で2分間硬化させる。次いで、硬化したコーティングの接着性を、「セロハン接着試験」と呼ばれるSchlossmanらによる方法(J. Soc. Cosmet. Chem. 32, 43-52、January/February 1981に記載)を用いて試験する。… 【0271】 【表7】 [図:0001400906000002.jpg] 」 ウ 引用文献1及び2に記載された発明 (ア)引1発明 摘記1aの「20~70重量%の脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー、10~50重量%のポリエステルアクリレートオリゴマー、10~50重量%の低刺激性アクリレートモノマー、及び2~11重量%の光重合開始剤を含有し、前記低刺激性アクリレートモノマーがトリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、…イソボルニルアクリレート(IBOA)、プロポキシ化グリセリルトリアクリレート(G3.5POTA)…からなる群から選択されるものである、ジェルポリッシュ組成物。」との記載、 摘記1c:の「本発明のUVジェルポリッシュ組成物をさまざまな生活環境にある20人の爪に適用し、標準的な36W UVランプの下で2分間硬化する。…実施例1…成分 量(重量%)…脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー 28.5…ポリエステルアクリレートオリゴマー 10…トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA) 10…イソボルニルアクリレート(IBOA) 20…プロポキシ化グリセリルトリアクリレート(G3.5POTA) 5…1ヒドロキシシクロヘキシルフェニルメタノン(Irgacure 184) 6…ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(Irgacure TPO) 3」との記載からみて、引用文献1には、 『人の爪に適用し、標準的な36W UVランプの下で2分間硬化するUVジェルポリッシュ組成物であって、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー28.5重量%、ポリエステルアクリレートオリゴマー10重量%、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)10重量%、イソボルニルアクリレート(IBOA)20重量%、プロポキシ化グリセリルトリアクリレート(G3.5POTA)5重量%、1ヒドロキシシクロヘキシルフェニルメタノン(Irgacure 184)6重量%、及びフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(Irgacure TPO)3重量%を含む、組成物。』についての発明(以下「引1発明」という。)が記載されているといえる。 (イ)引2発明 摘記2aの「組成物の残部である50重量%は、アクリル酸末端オリゴマーおよび光開始剤とすることができる。…本明細書における全ての百分率は、当該組成物の総重量に基準とした重量百分率を指す。…放射線硬化性成分…を含む…ネイルコーティング組成物は、…光開始剤、…着色剤、…から選択された1つ以上の付加的成分を含むことができる。」との記載、及び 摘記2dの「実施例…得られる製剤は、粘度の所望範囲が500~2000cPであり、紫外線にわずか2分の露光を行った後に硬化し、望ましい特性、すなわち、滑らかで、乾燥しており、爪への付着が良好であり、ネイル組成物の除去が望まれる場合には極めて容易に剥がれ、かつ、良好な安定性を有するという特性を有する。…加えて、コーティングされた爪をアセトンに浸漬した場合に、研磨の必要なく、ネイルポリッシュは簡単に除去された。…実施例6…脂肪族ウレタンアクリレート…13.8…プロポキシル化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート…55.2…エポキシアクリレートオリゴマー…の混合物 0.8…2,2ジメトキシ1,2ジフェニルエタン-1-オン(Irgracure 651)…0.9…フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(Irgracure 819) 0.4…オーガニックレッド…(COD 8001) 4.2…無機白色二酸化チタン…(COD 8008)…0.6」との記載からみて、引用文献2には、 『紫外線にわずか2分の露光を行った後に硬化し、爪への付着が良好であり、コーティングされた爪をアセトンに浸漬した場合に、研磨の必要なく、簡単に除去されるネイルポリッシュであって、脂肪族ウレタンアクリレート、プロポキシル化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート、エポキシアクリレートオリゴマー、2,2ジメトキシ1,2ジフェニルエタン-1-オン(Irgracure 651)、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(Irgracure 819)、オーガニックレッド(COD 8001)、及び無機白色二酸化チタン(COD 8008)を含む、ネイルポリッシュ組成物。』についての発明(以下「引2発明」という。)が記載されているといえる。 エ 引用文献1を主引用例とした場合の検討 (ア)対比 補1発明と引1発明とを対比する。 引1発明の「人の爪に適用」する「UVジェルポリッシュ組成物」は、補1発明の「ジェルネイルポリッシュ組成物」に相当する。 引1発明の「脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー」は、補1発明の「第1の化学成分として脂肪族ウレタンアクリレート」に相当する。 引1発明の「ポリエステルアクリレートオリゴマー」は、補1発明の「第2の化学成分としてポリマーアクリレートオリゴマー」に相当する。 引1発明の「トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)」と「イソボルニルアクリレート(IBOA)」と「プロポキシ化グリセリルトリアクリレート(G3.5POTA)」は、例えば、特表2004-501403号公報(参考例A)の段落0056~0058の「反応性希釈剤…の例は…トリエチレングリコールジアクリレート、…多官能性反応性希釈剤は…好ましくは…プロポキシル化グリセリルトリアクリレート」との記載、及び特開2014-98152号公報(参考例B)の段落0039の「反応性モノマー希釈剤…は、当業者には周知である。…そのようなものとしては…イソ-ボルニルアクリレート(IBOA)」との記載、並びに技術常識からみて、補1発明の「第3の化学成分としてモノマー希釈剤」に相当する。 引1発明の「1ヒドロキシシクロヘキシルフェニルメタノン(Irgacure 184)」と「フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(Irgacure TPO)」は、引用文献1の段落0017の「光重合開始剤はTPO(2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド)であり」との記載、及び引用文献2の段落0200の「光開始剤は、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Irgracure 184としても知られている)であり」との記載、並びに技術常識からみて、補1発明の「第4の化学成分として光重合開始剤」に相当する。 そして、引1発明の「を含む、組成物」は、各成分を混合して含むものであるから、補1発明の「ジェルネイルポリッシュ混合物」相当する。 してみると、補1発明と引1発明は『ジェルネイルポリッシュ組成物であって、 第1の化学成分として脂肪族ウレタンアクリレート、第2の化学成分としてポリマーアクリレートオリゴマー、第3の化学成分としてモノマー希釈剤、及び第4の化学成分として光重合開始剤を含む、ジェルネイルポリッシュ混合物、を含む、ジェルネイルポリッシュ組成物。』という点において一致し、次の(α)の点において相違する。 (α)補1発明は「前記ジェルネイルポリッシュ混合物を30秒~50秒間LED光、UV光、及び太陽光にあてることからなる群から選択された光構造体にあてることで乾かすことができるように前記ジェルネイルポリッシュと混合される着色剤」をさらに含むのに対して、引1発明は、そのような「着色剤」を含むものではない点 (イ)判断 a 上記(α)の相違点について 上記2.(2)アに示したように、補1発明の「30秒~50秒間」という照射時間は「LED光」以外の「UV光」及び「太陽光」について限定するものではないと解する前提のもとに、補1発明の独立特許要件が検討されるところ、引用文献1の段落0020(摘記1c)の「本発明のUVジェルポリッシュ組成物…標準的な36W UVランプの下で2分間硬化する。」との記載にあるように、引用文献1の実施例1(引1発明)のUVジェルポリッシュ組成物は「UV光」に2分間あてることにより硬化する(乾かす)ことが可能なものであって、同段落0010(摘記1b)の記載にあるように「濃縮着色剤の含量が6重量%を超える」範囲になければ、さらに芳香族ウレタンアクリレートオリゴマーを配合する必要がないとされているものである。 してみると、引用文献1の請求項9(摘記1a)の「顔料を包含する濃縮着色剤を含有する、請求項1~8のいずれかに記載のジェルポリッシュ組成物。」との記載や、同段落0016(摘記1b)の「顔料を含む濃縮着色剤を含有する。」との記載に基づき、引1発明の「標準的な36W UVランプの下で2分間硬化するUVジェルポリッシュ組成物」に、UV光にあてることで乾かすことができるような条件で、着色剤(濃縮着色剤)を混合する構成にすることは、当業者が容易に想到し得たものであるから、上記(α)の相違点に係る構成とすることに格別の創意工夫を要したとは認められない。 そして、本願明細書の段落0046には「ジェルネイルポリッシュの最終製品を形成するために第2の混合物中に着色剤を添加し、混合する。したがって着色剤は、所望の色のジェルネイルポリッシュの最終製品を形成するために着色顔料を含有する。」との記載がなされているところ、着色剤を混合することにより得られる効果が、当業者にとって予測できない格別のものであるとも認められない。 b 審判請求書の主張について 令和3年8月5日付けの審判請求書の第3~4頁において、審判請求人は『引用文献1は、6W LEDランプを使用した1分間の照射を開示しています(引用文献1、段落[0019]から[0022])。…これに対して、補正後の請求項1は、LED光を30~50秒間あてることが規定されています。 ジェルネイルポリッシュを硬化させる時間は、製品を独創的で消費者にとって魅力的なものにする重要な規定です。硬化時間は短いほど良いことが知られています。ジェルネイルポリッシュの硬化時間のほんの一瞬の違いは、製品を傑出した独創的なものにします。硬化時間を短くすることが長い間必要とされてきました。30~50秒の硬化時間は、引用された引用文献に開示または教示されていないので、本願発明は、当業者には明らかではありません。したがって、本願請求項1の発明は、新規性及び進歩性を有するものと思料します。』と主張する。 しかしながら、上記2.(2)アに示したように、補1発明は「LED光」以外の「UV光」及び「太陽光」の場合の照射時間は「30秒~50秒間」に限定されるものではないとの前提のもとに、補1発明の新規性・進歩性に関する独立特許要件を検討しているので、当該主張は、補1発明の新規性・進歩性の判断において採用できない。 そして、補1発明の効果が、30~50秒の短い硬化時間にあると解した場合に、補1発明は「LED光」以外の「UV光」及び「太陽光」の選択肢を有することから、補1発明の範囲のもの全てに格別の効果があるとは認められない。 c 引用文献1を主引用例とした場合の進歩性の検討のまとめ 以上総括するに、補1発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 オ 引用文献2を主引用例とした場合の検討 (ア)対比・判断 補1発明と引2発明とを対比する。 引2発明の「紫外線にわずか2分の露光を行った後に硬化し、爪への付着が良好であり、コーティングされた爪をアセトンに浸漬した場合に、研磨の必要なく、簡単に除去されるネイルポリッシュ」は、例えば、引用文献1の段落0002~0003の「ジェルネイルラッカー…は紫外線で硬化するポリッシュであり、…ジェルポリッシュは、通常のポリッシュのように爪に塗られ、紫外線又はLEDランプの下で「定着(set)」するまでは乾燥しない。」との記載にある「紫外線で硬化するポリッシュ」であるという点において「ジェルポリッシュ」の商品形態に属すると解されるから、補1発明の「ジェルネイルポリッシュ組成物」に相当する。 引2発明の「脂肪族ウレタンアクリレート」は、補1発明の「第1の化学成分として脂肪族ウレタンアクリレート」に相当する。 引2発明の「プロポキシル化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート」は、本願明細書の段落0015の「希釈剤としてモノマーであるプロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート」との記載にあるモノマー希釈剤に合致する化合物であって、例えば、特表2004-501403号公報(参考例A)の段落0056及び0059の「反応性希釈剤…特に好ましくはプロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート」との記載、並びに技術常識からみて、補1発明の「第3の化学成分としてモノマー希釈剤」に相当する。 引2発明の「エポキシアクリレートオリゴマー」は、補1発明の「第2の化学成分としてポリマーアクリレートオリゴマー」に相当する。 引2発明の「2,2ジメトキシ1,2ジフェニルエタン-1-オン(Irgracure 651)」と「フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(Irgracure 819)」は、引用文献2の段落0198の「光開始剤は、…Irgacure 651」との記載、及び同段落0202の「光開始剤は、…Irgacure 819」との記載、並びに技術常識からみて、補1発明の「第4の化学成分として光重合開始剤」に相当する。 引2発明の「オーガニックレッド(COD 8001)」と「無機白色二酸化チタン(COD 8008)」は、引用文献2の段落0223(摘記2c)に着色剤(顔料)の例として説明されているものであって、引2発明は「紫外線にわずか2分の露光を行った後に硬化」できる程度の量で着色剤(顔料)を「ネイルポリッシュ」に配合しているものであることから、補1発明の「前記ジェルネイルポリッシュ混合物を30秒~50秒間LED光、UV光、及び太陽光にあてることからなる群から選択された光構造体にあてることで乾かすことができるように前記ジェルネイルポリッシュと混合される着色剤」に相当する。 してみると、補1発明と引2発明は『ジェルネイルポリッシュ組成物であって、 第1の化学成分として脂肪族ウレタンアクリレート、第2の化学成分としてポリマーアクリレートオリゴマー、第3の化学成分としてモノマー希釈剤、及び第4の化学成分として光重合開始剤を含む、ジェルネイルポリッシュ混合物と、 前記ジェルネイルポリッシュ混合物を30秒~50秒間LED光、UV光、及び太陽光にあてることからなる群から選択された光構造体にあてることで乾かすことができるように前記ジェルネイルポリッシュと混合される着色剤と、 を含む、ジェルネイルポリッシュ組成物。』という点において一致し、両者に相異する点はない。 したがって、補1発明は、引用文献2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 (イ)進歩性について a.仮の相違点1及び2の検討 仮の相違点1として、引2発明の「エポキシアクリレートオリゴマー」が、補1発明の「第2の化学成分としてポリマーアクリレートオリゴマー」に該当しない点で、補1発明と引2発明とが仮に相違するとしても、引用文献2の段落0126(摘記2b)には「ポリエステルアクリレートオリゴマー」などのオリゴマー成分を「組み合わせ」で用いることが記載されているので、引2発明の「ネイルポリッシュ組成物」に、さらに「ポリエステルアクリレートオリゴマー」などのオリゴマー成分を配合する構成にすることは、当業者にとって通常の創作能力の発揮の範囲である。 さらに、仮の相違点2として、引2発明の「ネイルポリッシュ」が、補1発明の「ジェルネイルポリッシュ組成物」に該当しない点で、補1発明と引2発明とが仮に相違するとしても、引用文献1の段落0019(摘記1c)の「UVジェルポリッシュ組成物は、ネイルポリッシュ組成物の調製において従来使用されている方法によって製造することができる。」との記載からみて、ネイルポリッシュ組成物をジェルポリッシュ組成物にすることは、従来使用されている方法によって製造することができるといえるので、引2発明の「ネイルポリッシュ」を「ジェルネイルポリッシュ組成物」にすることは、当業者にとって通常の創作能力の発揮の範囲である。 b.審判請求書の主張について 令和3年8月5日付けの審判請求書の第3頁において、審判請求人は『引用文献2は、1分間の放射線の露光を開示しています(引用文献2、段落[0245]および[0025])。これに対して、補正後の請求項1は、LED光を30~50秒間あてることが規定されています。』と主張するが、上記2.(2)アに示したように、補1発明は「LED光」以外の「UV光」及び「太陽光」の場合の照射時間は「30秒~50秒間」に限定されるものではないとの前提のもとに、補1発明の新規性・進歩性に関する独立特許要件を検討しているところ、引2発明の「紫外線にわずか2分の露光を行った後に硬化」は、補1発明における「UV光」の選択肢の場合(照射時間の限定なしの場合)に相当するので、当該主張は採用できない。 また、本願明細書の段落0056には「ワイプオフベースコート層、ジェルネイルポリッシュ層、及びトップコート層は、例えば、30~60秒間LED光にあてて、2分間UV光にあてて、又は1~2分間太陽光にあてて完全に乾かされる。」との記載がなされているところ、補1発明の効果が、30~50秒の短い硬化時間にあると解した場合に、補1発明は「LED光」以外の「UV光」及び「太陽光」の選択肢を有することから、補1発明の範囲のもの全てに格別の効果があるとは認められない。 c.引用文献2を主引用例とした場合の進歩性のまとめ 以上総括するに、補1発明は、引用文献1~2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 3.まとめ 以上総括するに、第1補正は、新規事項違反があるという点において特許法第17条の2第3項の規定に違反する。 また、第1補正は、独立特許要件違反があるという点において特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反する。 このため、その余のことを検討するまでもなく、第1補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、〔補正の却下の決定の結論〕のとおり決定する。 第3 原査定について 1.本願発明 第1補正は上記のとおり却下されたので、本願は、その発明の名称からみて「ジェルネイルポリッシュ並びにその製造及び使用方法」に関するものと認める。 そして、本願の請求項1に係る発明は(以下「本1発明」ともいう。)は、当初明細書等の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであって、上記『第2 1.』の項の前段に示したとおりのものである。 2.原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は「この出願については、令和2年8月28日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって、拒絶をすべきものです。」というものである。 そして、令和2年8月28日付けの拒絶理由通知書には、 「1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 3.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。」との理由が示されるとともに、その「記」には 「●理由1、2について… ・請求項 1 ・引用文献等 1 ・備考… ・請求項 1 ・引用文献等 2 ・備考… ●理由3について ・請求項 4-6、9、10、14 請求項4には、「前記モノマー希釈剤がポリマーアクリレートオリゴマーであり」と記載されているが、「ポリマーアクリレートオリゴマー」は、「モノマー希釈剤」ではないので、当該記載は不明確である。 また、請求項4には「前記光重合開始剤がプロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート・・・である」と記載されているが、「プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート」は「光重合開始剤」ではないので、当該記載は不明確である。 請求項5、6、9、14にも同様の記載がある。 よって、請求項4-6、9、14に係る発明と、請求項9を引用する請求項10に係る発明は不明確である。」との指摘がなされている。 なお、当該拒絶理由通知に対して、指定された期間内に応答がなされていない。 3.原査定の理由3(明確性)について 本願請求項4の記載は、次のとおりである。 「前記モノマー希釈剤がポリマーアクリレートオリゴマーであり、前記光重合開始剤がプロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート及びトリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドである、請求項1に記載のジェルネイルポリッシュ組成物。」 そして、原査定の理由3の指摘のとおり、請求項4に記載の「ポリマーアクリレートオリゴマー」は、モノマー希釈剤」ではなく、請求項4に記載の「プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート」は「光重合開始剤」ではないので、本願請求項4の記載は、技術的に不明確であり、特許を受けようとする発明が明確であるとはいえない。 これに対して、令和3年8月5日付けの審判請求書の第6頁において、審判請求人は、補正により、この理由は解消したものと思料する旨の主張をしているが、第1補正は、上記のとおり却下されている。 したがって、本願請求項4の記載は、特許を受けようとする発明が明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に適合しない。 4.原査定の理由1(新規性)及び理由2(進歩性)について (1)引用文献1及びその記載事項並びに引用文献1に記載された発明 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1及び2並びにその記載事項は、前記『第2 2.(2)イ』の項に示したとおりであり、引用文献1及び2には、前記『第2 2.(2)ウ』の項に示したとおりの「引1発明」及び「引2発明」が記載されている。 (2)本1発明と引1発明との対比・判断 前記『第2 2.(2)ア』の項に示したように、補1発明は、本1発明の発明特定事項を限定的に減縮したものと解することができ、本1発明は、補1発明を包含するものと認められる。 してみると、前記『第2 2(2)エ』の項に示したのと同様の理由により、本1発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (3)本1発明と引2発明との対比・判断 前記『第2 2.(2)ア』の項に示したように、補1発明は、本1発明の発明特定事項を限定的に減縮したものと解することができ、本1発明は、補1発明を包含するものと認められる。 してみると、前記『第2 2(2)オ』の項に示したのと同様の理由により、本1発明は、引用文献2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができず、仮に相違点を有するとしても、引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 5.むすび 以上のとおり、本1発明は、引用文献2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。 また、本1発明は、引用文献1又は2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 さらに、本願請求項4の記載は、特許を受けようとする発明が明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に適合するものではなく、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない。 したがって、原査定に誤りはなく、その余の理由について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-010445

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