2021-010349
情報処理システム、画面表示方法、およびプログラム
- 審判番号
- 2021-010349
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-067542外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年08月04日
- 審決日
- 2022年04月05日
- 公報発行日
- 2022年07月29日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
本願は、平成28年2月10日に出願された特願2016-23274号の一部を令和2年4月3日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 本願発明
本願の請求項1~12に係る発明は、出願当初の特許請求の範囲の請求項1~12に記載された事項により特定されるものであり、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】商品を販売する店舗で使用される情報処理システムであって、メイン業務に用いるメイン業務画面と、前記メイン業務に関するサブ業務に用いるサブ業務画面をアクティブ状態で表示するための画面要素と、を表示する表示装置と、前記画面要素の選択操作を受け付けた場合に、前記選択操作によって選択された画面要素に対応する前記サブ業務画面をアクティブ状態で、かつ、前記サブ業務画面を前記メイン業務画面に重畳して前記表示装置に表示させる表示制御装置と、を備える情報処理システム。」
第3 原査定の拒絶の理由
拒絶査定の理由である、令和3年3月15日付け拒絶理由通知の理由は、この出願の請求項1,2,8,9,11に係る発明は、本願の原出願日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1~3に記載された発明に基づいて、また、同請求項3~5に係る発明は、同引用文献1~4に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
第4 引用文献の記載、引用発明等
1 引用文献1、引用発明
(1)原査定の拒絶の理由にて引用された上記引用文献1には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審による。以下同様。)。
「【0017】図1に示すように、情報処理装置10は、第1の制御手段、第2の制御手段、第3の制御手段、第4の制御手段としてのCPU(Central Processing Unit)11と、操作手段としての操作部12と、RAM(Random Access Memory)13と、表示手段としての表示部14と、記憶部15と、通信部16と、を備える。情報処理装置10の各部は、バス17を介して互いに接続されている。」
「【0024】表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(ElectroLuminescent)ディスプレイ等の表示パネルを備える表示部であり、CPU11から入力される表示情報に応じて表示パネルに各種表示を行う。【0025】記憶部15は、各種データ及び各種プログラムの情報を読み出し及び書き込み可能に記憶する記憶部であり、HDD(Hard Disk Drive)で構成されている。記憶部15は、マルチ画面表示制御プログラム151と、業務プログラムP1,P1-1,P1-1-1,P2,P2-1,P-2-2,P3,P3-1,P3-1-1と、データファイルFと、業務メニューファイル20と、気付きボタン定義ファイル30と、を記憶している。【0026】データファイルFは、業務プログラムP1,…で、作成、編集、照会等がなされるデータファイルである。例えば、データファイルFには、業務が売上伝票入力である業務プログラムに対応して、当該業務で作成又は編集される売上伝票ファイルが含まれる。また、データファイルFとしては、他にも、企業の得意先に関する得意先情報を有する得意先情報ファイルが含まれるものとする。データファイルFとしては、他にも、企業が取り扱う商品に関する商品マスタファイル、情報処理装置10で作成又は編集される見積書ファイル、受注伝票ファイル、出荷伝票ファイル、が含まれることとしてもよい。」
「【0033】図4及び図5を参照して、情報処理装置10で実行されるマルチ画面表示制御処理を説明する。マルチ画面表示制御処理は、複数の業務プログラムを起動して、表示部14の表示画面(マルチ画面)内の主業務実行エリア及び従業務実行エリアに各業務プログラムを表示させる処理である。マルチ画面表示制御処理により起動及び表示された業務プログラムは、操作部12を介するユーザからの操作入力に応じて、業務に関するデータファイルFの作成、編集、表示等の処理を行う。当該各業務プログラムは、マルチ画面表示制御処理と並行して実行される。」
「【0041】ステップS7では、例えば、図6(b)に示すようなマルチ画面200aが表示される。マルチ画面200aは、主業務実行エリア210と、気付きボタンエリア220と、主業務タスクバー240と、従業務タスクバー250と、を有する。【0042】主業務実行エリア210は、選択された主業務の業務プログラムに対応する画面が表示され、主業務の業務プログラムが実行されるエリアである。ステップS7において、主業務実行エリア210は、例えば、実行するアクティブな主業務の業務プログラムP1が表示されるように更新される。また、起動中で非アクティブな主業務の業務プログラムの主業務実行エリアは、主業務実行エリア210の背面に隠される。非アクティブな主業務の業務プログラムの気付きボタンエリアは、気付きボタンエリア220の背面に隠される。【0043】気付きボタンエリア220は、現在アクティブの主業務又は従業務の業務プログラムに直接従属する業務プログラムの選択入力(起動指示入力等)を受け付ける気付きボタンが配置されるエリアである。ステップS7において、気付きボタンエリア220は、例えば、業務プログラムP1に従属する業務プログラムP1-1の気付きボタン221が配置されるように更新される。」
「【0046】そして、CPU11は、操作部12を介するユーザからの操作入力に応じて、主業務タスクバー240の主業務のタスクボタン押下により主業務の業務プログラムの選択入力が行われたか否かを判別する(ステップS8)。タスクボタン押下により主業務の業務プログラムの選択入力が行われた場合(ステップS8;YES)、ステップS6に移行される。【0047】主業務プログラムの選択入力が行われていない場合(ステップS8;NO)、CPU11は、操作部12を介するユーザからの操作入力に応じて、気付きボタンエリア220の従業務の気付きボタン押下、又は従業務タスクバー250の従業務のタスクボタン押下により、従業務プログラムの選択入力が行われたか否かを判別する(ステップS9)。」
「【0052】図5に示すように、気付きボタン又はタスクボタン押下により従業務の業務プログラムの選択入力が行われた場合(ステップS9;YES)、CPU11は、ステップS9又はS21で選択された従業務の業務プログラムが、現在アクティブの主業務に従属する従業務、又は現在アクティブの従業務の従属元の主業務に従属する従業務の業務プログラムであるか否かを判別する(ステップS15)。【0053】現在アクティブの主業務又は従業務に対応する従業務の業務プログラムが選択された場合(ステップS15;YES)、CPU11は、ステップS9又はS21で選択された業務プログラムを従業務として起動又は切り替える(ステップS16)。そして、CPU11は、表示中のマルチ画面において、ステップS16で選択(起動又は切り替え)された従業務の業務プログラムを従業務実行エリアに表示してアクティブにし、選択された従業務の業務プログラムに従属する従業務の業務プログラムを全ての業務プログラムから抽出し、抽出した従業務の業務プログラムを選択するための気付きボタンを気付きボタンエリアに配置し、アクティブにした従業務の業務プログラムに応じて従業務タスクバーを更新する(ステップS17)。ステップS17では、CPU11は、気付きボタン定義ファイル30を参照し、選択された従業務の業務プログラム31に対応する気付きボタン32の気付きボタンを気付きボタンエリアに配置する。【0054】ステップS17では、例えば、アクティブな主業務の業務プログラムP3に従属する従業務の業務プログラムP3-1が選択された場合に、図7(b)に示すようなマルチ画面200cが表示される。マルチ画面200cは、主業務実行エリア210と、気付きボタンエリア220と、従業務実行エリア230と、主業務タスクバー240と、従業務タスクバー250と、を有する。ステップS17において、気付きボタンエリア220は、例えば、業務プログラムP3-1に従属する業務プログラムP3-1-1の気付きボタン223が配置されるように更新される。【0055】従業務実行エリア230は、選択された従業務の業務プログラムに対応する画面が表示され、従業務の業務プログラムが実行されるエリアである。ステップS17において、従業務実行エリア230は、例えば、主業務の業務プログラムP3に従属する業務プログラムP3-1が表示されるように更新される。また、起動中で非アクティブな従業務の業務プログラムは、従業務実行エリア230の背面に隠される。非アクティブな従業務の業務プログラムの気付きボタンエリアは、気付きボタンエリア220の背面に隠される。このとき、主業務実行エリア210は、従業務実行エリア230の分だけ縮小される。」
「【0077】ここで、図9及び図10を参照して、マルチ画面表示制御処理で表示されるマルチ画面の具体例を説明する。・・・(中略)・・・【0080】続きを表示(全14行)マルチ画面表示制御処理の実行により、メニュー画面で業務プログラムP3の選択ボタンが押下されて業務プログラムP3が起動された後、メニュー画面に戻り、業務プログラムP2の選択ボタンが押下されて業務プログラムP2が起動されたものとする。【0081】すると、図9に示すマルチ画面300が表示部14に表示される。マルチ画面300は、主業務実行エリア310と、気付きボタンエリア320と、主業務タスクバー340と、従業務タスクバー350と、を有する。・・・(中略)・・・【0084】ユーザは、マルチ画面300を参照し、操作部12への操作入力により、売上伝票入力の作業を行う。このとき、気付きボタン321が押下入力され業務プログラムP2-1が起動されたものとする。【0085】すると、図10に示すマルチ画面300Aが表示部14に表示される。マルチ画面300Aは、主業務実行エリア310Aと、気付きボタンエリア320Aと、従業務実行エリア330と、主業務タスクバー340と、従業務タスクバー350と、を有する。【0086】主業務実行エリア310Aは、従業務実行エリア330の分だけ主業務実行エリア310よりも縮小されている。主業務実行エリア310Aには、得意先情報として、○○商会が入力されているものとする。従業務実行エリア330は、起動した業務プログラムP2-1の得意先情報照会により、主業務実行エリア310Aで入力された○○商会の得意先情報のデータファイルFを表示している。従業務実行エリア330は、従業務終了入力のための終了ボタン331を有する。」
「【図6】[図:0001385980000001.jpg]」
「【図7】[図:0001385980000002.jpg]」
「【図9】[図:0001385980000003.jpg]」
「【図10】[図:0001385980000004.jpg]」
(2)上記(1)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「CPU11と、表示手段としての表示部14と、記憶部15と、を備える情報処理装置10であって、表示部14は、CPU11から入力される表示情報に応じて各種表示を行い、記憶部15は、マルチ画面表示制御プログラム151と、業務プログラムP1,P1-1,P1-1-1,P2,P2-1,P-2-2,P3,P3-1,P3-1-1と、データファイルFと、を記憶し、データファイルFは、業務プログラムP1,…で、作成、編集、照会等がなされるデータファイルであり、データファイルFには、業務が売上伝票入力である業務プログラムに対応して、当該業務で作成又は編集される売上伝票ファイルが含まれ、他にも、企業が取り扱う商品に関する商品マスタファイルが含まれることとしてもよく、続きを表示(全14行)マルチ画面表示制御処理において、複数の業務プログラムを起動して、表示部14の表示画面(マルチ画面)内の主業務実行エリア及び従業務実行エリアに各業務プログラムを表示させ、起動及び表示された業務プログラムは、業務に関するデータファイルFの作成、編集、表示等の処理を行い、マルチ画面200aが表示され、マルチ画面200aは、主業務実行エリア210と、気付きボタンエリア220と、を有し、主業務実行エリア210は、選択された主業務の業務プログラムに対応する画面が表示され、主業務の業務プログラムが実行されるエリアであり、気付きボタンエリア220は、現在アクティブの主業務の業務プログラムに直接従属する業務プログラムの選択入力(起動指示入力等)を受け付ける気付きボタンが配置されるエリアであり、CPU11は、気付きボタンエリア220の従業務の気付きボタン押下により、従業務プログラムの選択入力が行われたか否かを判別し、気付きボタン押下により従業務の業務プログラムの選択入力が行われた場合、選択された業務プログラムを従業務として起動し、選択(起動)された従業務の業務プログラムを従業務実行エリアに表示してアクティブにし、例えば、アクティブな主業務の業務プログラムP3に従属する従業務の業務プログラムP3-1が選択された場合に、マルチ画面200cが表示され、マルチ画面200cは、主業務実行エリア210と、気付きボタンエリア220と、従業務実行エリア230と、を有し、従業務実行エリア230は、選択された従業務の業務プログラムに対応する画面が表示され、従業務の業務プログラムが実行されるエリアであり、例えば、主業務の業務プログラムP3に従属する業務プログラムP3-1が表示されるように更新され、このとき、主業務実行エリア210は、従業務実行エリア230の分だけ縮小される、情報処理装置10。」
2 周知技術
(1)原査定の拒絶の理由にて引用された上記引用文献2には、図面とともに、次の記載がある。
「【0049】図5は、「仕上り」機能バッジ30に関する項目(以下、「機能バッジ30の項目」という場合がある。)の内容を設定するためのポップアップウィンドウである項目設定ウィンドウ100の例を示す図である。画面901~画面903と、上から順に時系列で遷移していく画面を示している(図6等においても同様である)。【0050】画面901において、「仕上り」機能バッジ30(斜線部分参照)をタッチすると、画面902に示すように、項目設定ウィンドウ100Aが表示される。【0051】画面902の項目設定ウィンドウ100Aの項目「紙折り中綴じ」にタッチすると、画面903に示すように項目設定ウィンドウ100Bが、項目設定ウィンドウ100Aに重ねて表示される。階層的には、項目設定ウィンドウ100Aは項目設定ウィンドウ100Bの上位画面(親画面又は親ウィンドウ)であり、項目設定ウィンドウ100Bは項目設定ウィンドウ100Aの下位画面(子画面又は子ウィンドウ)であるといえる。」
「【図5】[図:0001385980000005.jpg]」
(2)原査定の拒絶の理由にて引用された上記引用文献3には、図面とともに、次の記載がある。
「【0025】図2、図3に、本発明に係る画像形成条件の設定入力時における表示画面の一例を示す。図2には、上位階層設定画面であるコピーの表示画面Aにおいて応用設定ボタンTaを押下すると下位階層設定画面である応用設定の表示画面Bがポップアップメニューにて表示される表示部10と、操作項目ボタン9と、表示切替指示ボタン12とが操作表示装置6に設けられている例を示す。図3には、図2において表示切替指示ボタン12が押下されているときの操作表示装置6の例を示す。図2に示すように応用設定の表示画面Bの下に重なって表示されていたコピーの表示画面Aが、表示切替指示ボタン12が押下されているときには、図3に示すように表示画面Aの全体が表示部10の前面に表示されるようになっている。」
「【図2】[図:0001385980000006.jpg]」
(3)特開2000-330684号公報(周知技術を示す文献;当審にて新たに引用)には、図面とともに、次の記載がある。
「【0014】図3は、図2のウインドウ表示後に、さらに別のウインドウを表示させた時の表示画面である。すなわち、ユーザがさらに別のウィンドウ2を表示させる必要が生じた場合、そのウィンドウ内の表示情報の種類または量にもよるが、図3に示すように、ウィンドウ同士が重なり合って表示される場合がある。このとき、ウィンドウ1はウィンドウ2によって情報の一部が隠れることになる。この場合、ウィンドウ1とウィンドウ2の関係により、ユーザは、次の2つのケースでウィンドウの位置および表示を期待する。【0015】先ず、ケース1としては、ウィンドウ1の情報に関しては表示の必要がなく、ウィンドウ2によってウィンドウ1の一部または全てが隠れることに何ら支障のない場合である。そして、ケース2としては、ウィンドウ1の情報をベースにウィンドウ2において作業を実施する場合である。【0016】図4は、図3のウインドウ表示後に、ウインドウを移動して2つのウインドウを並べて表示させた時の表示画面である。すなわち、ケース2の場合は、図4に示すように、ユーザは、ウィンドウ2によって隠されているウィンドウ1の領域を表示可能とするように、ウィンドウ1及びウィンドウ2の位置を補正するか、ウインドウサイズを補正することにより、両ウィンドウのすべての領域が表示可能となるような操作を行う。尚、新しいウィンドウを起動した場合の位置およびサイズは、オペレーティングシステムやアプリケーションなどが定義する初期値に基づいているため、ユーザがどちらのケースで新しいウィンドウを表示したか否かに関わらず、ウィンドウが重なり合う場合と、重なり合わない場合とが発生する。」
「【図3】[図:0001385980000007.jpg]」
「【図4】[図:0001385980000008.jpg]」
(4)上記(1)~(3)について、次のことがいえる。
引用文献2に記載されている「画面901」、「項目設定ウィンドウ100A」及び「項目設定ウィンドウ100B」について、同文献の図5から、「項目設定ウィンドウ100A」が「画面901」に、「項目設定ウィンドウ100B」が「項目設定ウィンドウ100A」に、それぞれ部分的に重畳して表示されていることが見て取れる。
同様に、引用文献3に記載されている「表示画面A」及び「表示画面B」について、同文献の図2から、両者が部分的に重畳して表示されていることが見て取れ、特開2000-330684号公報に記載されている「ウィンドウ1」及び「ウィンドウ2」について、同文献の図3から、両者が部分的に重畳して表示されていることが見て取れる。
(5)上記(1)、(2)のそれぞれの記載(特に下線部)、上記(3)の記載(特に、段落【0014】の第2文)、及び、上記(4)によれば、「ウィンドウが表示されている表示画面において、他のウィンドウを新たに表示する際、新たなウィンドウを既存のウィンドウに部分的に重畳して表示すること」は、周知技術であるといえる。
第5 対比・判断
1 対比
(1)本願発明と引用発明とを対比すると、以下のとおりとなる。
ア 引用発明の「情報処理装置10」は、後述する相違点は別として、本願発明の「商品を販売する店舗で使用される情報処理システム」と、「情報処理システム」である点で共通している。
イ 引用発明の「情報処理装置10」は、「表示手段としての表示部14」を「備え」るものである。また、引用発明は、
「マルチ画面表示制御処理において、複数の業務プログラムを起動して、表示部14の表示画面(マルチ画面)内の主業務実行エリア及び従業務実行エリアに各業務プログラムを表示させ、起動及び表示された業務プログラムは、業務に関するデータファイルFの作成、編集、表示等の処理を行い、マルチ画面200aが表示され、マルチ画面200aは、主業務実行エリア210と、気付きボタンエリア220と、を有し、主業務実行エリア210は、選択された主業務の業務プログラムに対応する画面が表示され、主業務の業務プログラムが実行されるエリアであり、気付きボタンエリア220は、現在アクティブの主業務の業務プログラムに直接従属する業務プログラムの選択入力(起動指示入力等)を受け付ける気付きボタンが配置されるエリアであり、CPU11は、気付きボタンエリア220の従業務の気付きボタン押下により、従業務プログラムの選択入力が行われたか否かを判別し、気付きボタン押下により従業務の業務プログラムの選択入力が行われた場合、選択された業務プログラムを従業務として起動又は切り替え、選択(起動又は切り替え)された従業務の業務プログラムを従業務実行エリアに表示してアクティブにし、例えば、アクティブな主業務の業務プログラムP3に従属する従業務の業務プログラムP3-1が選択された場合に、マルチ画面200cが表示され、マルチ画面200cは、主業務実行エリア210と、気付きボタンエリア220と、従業務実行エリア230と、を有し、従業務実行エリア230は、選択された従業務の業務プログラムに対応する画面が表示され、従業務の業務プログラムが実行されるエリアであ」る
というものである。
ここで、「従業務の業務プログラムP3-1」は「主業務の業務プログラムP3に従属する」から、「従業務」は、「主業務」に「従属する」業務、すなわち「主業務」に関する業務であるといえる。
また、「マルチ画面200a」(すなわち、「表示部14の表示画面(マルチ画面)」)が有する「主業務実行エリア210」は、「選択された主業務の業務プログラムに対応する画面が表示され、主業務の業務プログラムが実行されるエリア」であるから、「主業務」に用いるものであり、同じく「従業務実行エリア230」は、「選択された従業務の業務プログラムに対応する画面が表示され、従業務の業務プログラムが実行されるエリア」であるから、「従業務」に用いるものであるといえる。
また、「マルチ画面200a」が有する「気付きボタンエリア220」に「配置される」、「気付きボタン」は、「現在アクティブの主業務の業務プログラムに直接従属する業務プログラムの選択入力(起動指示入力等)を受け付ける」ものであって、それにより「従業務の業務プログラムの選択入力が行われた場合」に「選択(起動又は切り替え)された従業務の業務プログラムを従業務実行エリアに表示してアクティブに」するから、「従業務実行エリア」(「従業務実行エリア230」)を「アクティブ」の状態で表示するためのものであるといえる。
そして、引用発明の「主業務」、「主業務実行エリア210」、「従業務」、「従業務実行エリア230」、「気付きボタン」、「表示部14」は、それぞれ、本願発明の「メイン業務」、「メイン業務画面」、「サブ業務」、「サブ業務画面」、「画面要素」、「表示装置」に相当する。
以上のことから、引用発明の「情報処理装置10」は、本願発明の
「メイン業務に用いるメイン業務画面と、前記メイン業務に関するサブ業務に用いるサブ業務画面をアクティブ状態で表示するための画面要素と、を表示する表示装置」
に相当する構成を備えている。
ウ 引用発明は、「情報処理装置10」が備える「CPU11」及び「表示部14」は、「表示部14は、CPU11から入力される表示情報に応じて各種表示を行」うという関係にあるものである。
また、上記イで述べた引用発明の構成において、「選択(起動又は切り替え)された従業務の業務プログラムを従業務実行エリアに表示してアクティブに」することは、「CPU11」が、「気付きボタンエリア220の従業務の気付きボタン押下により、従業務プログラムの選択入力が行われたか否かを判別」し、「気付きボタン押下により従業務の業務プログラムの選択入力が行われた場合」に行われるものである。
ここで、「気付きボタン押下」は、「従業務の業務プログラムの選択入力」のためのものであって、「気付きボタン」の選択操作であるといえる。また、「CPU11」は、当該操作を受け付けるものであり、これを受け付けた場合に、「気付きボタン押下」により「選択(起動又は切り替え)された従業務の業務プログラム」を、「表示部14」の「従業務実行エリアに表示してアクティブにする」、すなわち、上記選択操作によって選択された「気付きボタン」に対応する「従業務実行エリア」を「アクティブ」の状態で「表示部14」に表示させるといえる。
そして、引用発明の「CPU11」は、本願発明の「表示制御装置」に相当する。
以上の点について、上記ア、イで検討した点も踏まえると、本願発明の「情報処理システム」が
「前記画面要素の選択操作を受け付けた場合に、前記選択操作によって選択された画面要素に対応する前記サブ業務画面をアクティブ状態で、かつ、前記サブ業務画面を前記メイン業務画面に重畳して前記表示装置に表示させる表示制御装置」
を備えることに関して、引用発明と本願発明とは、「情報処理システム」が
「前記画面要素の選択操作を受け付けた場合に、前記選択操作によって選択された画面要素に対応する前記サブ業務画面をアクティブ状態で前記表示装置に表示させる表示制御装置」
を備えるという点で共通している。
(2)上記(1)から、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致する。
(一致点)
「情報処理システムであって、メイン業務に用いるメイン業務画面と、前記メイン業務に関するサブ業務に用いるサブ業務画面をアクティブ状態で表示するための画面要素と、を表示する表示装置と、前記画面要素の選択操作を受け付けた場合に、前記選択操作によって選択された画面要素に対応する前記サブ業務画面をアクティブ状態で前記表示装置に表示させる表示制御装置と、を備える情報処理システム。」
(3)また、本願発明と引用発明とは、以下の点で相違する。
(相違点1)
本願発明の「情報処理システム」は「商品を販売する店舗で使用される」ものであるのに対して、引用発明の「情報処理装置10」は、使用される場所が特定されるものではない点。
(相違点2)
本願発明は、「表示制御装置」が「前記サブ業務画面をアクティブ状態で」表示させる際の表示態様について、「前記サブ業務画面を前記メイン業務画面に重畳して」表示させると特定されるものであるのに対して、引用発明は、「選択(起動又は切り替え)された従業務の業務プログラムを従業務実行エリアに表示してアクティブに」する際の「従業務実行エリア」の表示態様について、そのように特定されるものではない点。
2 判断
(1)そこで、まず相違点1について検討する。
引用発明の「情報処理装置10」は、「業務が売上伝票入力である業務プログラムに対応して、当該業務で作成又は編集される売上伝票ファイルが含まれ、他にも、企業が取り扱う商品に関する商品マスタファイルが含まれることとしてもよ」いとされる「データファイルF」の「作成、編集、表示等の処理を行」うものであるから、商品を販売する店舗で使用されることを意図したものであることが明らかである。
そうすると、相違点1は実質的なものではない。
(2)次に、相違点2について検討する。
ア 「例えば、アクティブな主業務の業務プログラムP3に従属する従業務の業務プログラムP3-1が選択された場合に、マルチ画面200cが表示され、マルチ画面200cは、主業務実行エリア210と、気付きボタンエリア220と、従業務実行エリア230と、を有し、従業務実行エリア230は、選択された従業務の業務プログラムに対応する画面が表示され、従業務の業務プログラムが実行されるエリアであり、例えば、主業務の業務プログラムP3に従属する業務プログラムP3-1が表示されるように更新され、このとき、主業務実行エリア210は、従業務実行エリア230の分だけ縮小される」
ものであって、「従業務実行エリア230の分だけ縮小される」、既存の「主業務実行エリア210」と、「選択」により新たに表示される「従業務実行エリア230」とは、並べて表示されるものと解される。
一方、上記第4の2(5)のとおり、「ウィンドウが表示されている表示画面において、他のウィンドウを新たに表示する際、新たなウィンドウを既存のウィンドウに部分的に重畳して表示すること」は、周知技術である。
また、上記第4の2(3)の記載(特に下線部)からも明らかなように、複数のウィンドウを表示する際、ウィンドウ同士を部分的に重ねて表示することと、各ウィンドウを並べて表示することとが、見やすさ等に応じて使い分けられることは、技術常識である。
そうすると、引用発明の「主業務実行エリア210」及び「従業務実行エリア230」の表示態様に上記周知技術を適用して、「従業務実行エリア230」を「主業務実行エリア210」に重畳して表示するものとして、相違点に係る構成とすることは、見やすさ等を考慮して当業者が適宜なし得ることである。
イ ここで、引用文献1の「複数の業務プログラムの実行エリアを分かりやすく画面上に配置するのは、ユーザが自ら行う必要があり、面倒であった。」(段落【0008】)との記載によれば、引用文献1の記載事項では、「複数の業務プログラムの実行エリア」を、ユーザが関与せずに、「分かりやすく」表示することが課題とされているものと解されるが、「複数の業務プログラムの実行エリア」を上記周知技術のように「部分的に重畳して表示」しても、例えば、各ウィンドウの表示位置を予め固定的に定めておけば、各「実行エリア」の配置の関係は容易に把握できるから、引用発明に上記周知技術を適用することは、上記課題に反するとはいえない。
また、引用文献1の「CPU11は、操作部12を介する気付きボタンの押下入力に応じて、主業務実行エリアを残したまま、当該気付きボタンに対応する従業務の業務プログラムを起動してマルチ画面内の従業務実行エリアに表示させる。このため、従業務実行エリアにより、主業務実行エリアを残したまま、従業務の業務プログラムの実行エリアをマルチ画面上に確保できる。さらに、主業務実行エリアが常に確保されているため、主業務の作業効率を向上できる。」(段落【0090】)との記載によれば、引用文献1の記載事項では、「従業務実行エリアにより、主業務実行エリアを残したまま、従業務の業務プログラムの実行エリアをマルチ画面上に確保できる」することにより「主業務の作業効率を向上できる」効果を得ることが意図されているものと解される。
そして、当該効果は、「従業務実行エリア」を表示しても、「主業務実行エリア」の表示を「残したまま」とすることによるものであると解される。
これに対し、上記周知技術では、「新たなウィンドウ」が「既存のウィンドウに部分的に重畳」すると、当該「重畳」する範囲では「既存のウィンドウ」の一部が見えなくなるものの、「重畳」しない範囲では見える状態が維持される。また、引用文献1において、「主業務実行エリア310Aは、従業務実行エリア330の分だけ主業務実行エリア310よりも縮小されている」(段落【0086】)ことを示すとされる図10から、「主業務実行エリア」の表示内容の一部が、「従業務実行エリア330」の表示に伴う「縮小」によって見えなくなっていることが見て取れることからすると、引用文献1の記載事項では、「従業務実行エリア」を表示した場合に「主業務実行エリア」の表示の全体を「残したまま」とすることまでは必要とされていないことが明らかである。
そうすると、引用発明に上記周知技術を適用した場合に、引用文献1の記載事項において意図されている上記効果が失われるとはいえない。
したがって、引用発明に上記周知技術を適用することについて、阻害要因があるとは認められない。
(3)そして、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(4)請求人は、引用文献1に係る発明は、段落【0008】に記載されているように、複数の業務プログラムの実行エリアを利用者に対して分かりやすく表示することを課題とし、そして、段落【0090】、【0091】に記載されているように、引用文献1に係る発明は、従業務実行エリア(サブ業務画面)と主業務実行エリア(メイン業務画面)をマルチ画面で表示する構成、すなわち従業務実行エリア(サブ業務画面)と主業務実行エリア(メイン業務画面)を並べて表示する構成とすることで、「作業効率の向上」「主業務のプログラム、第1の従業務のプログラム、第2の従業務のプログラムなどの複雑な関係をユーザに認識させる」、といった効果を得ており、そのため、上記の組み合わせを行った場合にはマルチ画面の機能が失われるため、当業者は、このような組み合わせを想到しないはずである旨、主張する(審判請求書3頁)。
しかしながら、上記(2)イのとおり、引用発明に上記周知技術を適用することは、引用文献1に記載されている課題に反するとはいえず、また、その場合に、引用文献1の記載事項において意図されている効果が失われるとはいえない。
また、請求人は、引用文献1に係る発明は、段落【0010】に「本発明の課題は、主のアプリケーションプログラムの実行エリアを画面上に確保し、これに従属する従のアプリケーションプログラムをユーザに認識させて起動することである」と記載されているように、主と従の画面をどちらも認識させることを目的としており、そのため、当業者にとって、主業務実行エリア(メイン業務画面)を画面上に確保せず、従業務実行エリア(サブ業務画面)を重畳する構成とすることは、動機付けが無い旨、主張する(同)。
しかしながら、引用文献1の記載事項において、段落【0010】に記載されている「主のアプリケーションプログラムの実行エリアを画面上に確保し、これに従属する従のアプリケーションプログラムをユーザに認識させて起動可能とする」との課題は、段落【0091】の記載から明らかなように、「従のアプリケーションプログラムを選択するための気付きボタンを気付きボタンエリアに表示させる」ことにより解決されるものであるから、段落【0010】の上記記載は、請求人のいうような「主と従の画面をどちらも認識させる」こととは無関係である。
したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-010349