2021-008220
偏光子、偏光子の製造方法および該偏光子を含む光学積層体
- 審判番号
- 2021-008220
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-176798外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年06月23日
- 審決日
- 2022年09月22日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .113-WZ (G02B) / P18 .121-WZ (G02B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 14項目
第1 手続等の経緯
特願2017-176798号(以下「本件出願」という。)は、平成29年9月14日の出願であって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。
第2 本願発明
本願の請求項1~9に係る発明は、令和4年7月28日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項より特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「 式(1)で表される透過率パラメーターが0.8以上であり、かつ、式(2)で表される色相パラメーターが5以下である偏光子:【数1】[図:0001391436000001.jpg](式(1)中、T420は波長420nmにおける平行透過率、T550は波長550nmにおける平行透過率をそれぞれ表す)【数2】[図:0001391436000002.jpg](式(2)中、aは平行色相a値、bは平行色相b値をそれぞれ表す)。」
第3 拒絶の理由
令和4年5月24日付けの当合議体が通知した拒絶理由は、概略、理由3(新規性)本件出願の請求項1~4に係る発明は、本件出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない、理由4(進歩性)本件出願の請求項1~9に係る発明は、本件出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明に基づいて、本件出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。
第4 引用文献及び引用発明
1 引用文献3の記載事項
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当合議体の拒絶の理由で引用文献3として引用され、本件出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である特開平11-281817号公報(以下、同じく「引用文献3」という。)には、以下の記載がある。なお、下線は当合議体が付与したものであって、引用発明の認定及び判断等で活用した箇所である。
(1)「【発明の詳細な説明】【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置の表示デバイスに利用される偏光板に関するものである。【0002】続きを表示(全43行)【従来の技術】LCDは技術の急速な発展とともに、電卓・時計等の表示盤のような簡単な表示から、パソコン、ワープロ、テレビ等の高精細表示体へ使用されるようになった。その表示システムもTNからSTN及びTFTへ発展し、その表示法も透過型、半透過型、反射型と多様化している。しかし、その機能に関わらず、白はより白く、黒はより黒くという表示体本来の要求は変わり無く続いている。【0003】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の偏光板を使用した場合、一般的なTNセルのポジモードでは背景色がやや黄味ないし緑味に着色してしまい、表示品位が低くなっていた。この問題を解決するために、各種の偏光板が上市されているが、その色相は十分とは言い難かった。本発明の目的は、平行位にした時の偏光板の色相の片寄りを抑え、液晶表示をより白又は黒に近づける偏光板を提供することにある。【0004】【課題を解決するための手段】【0005】本発明は、(1)高分子フィルムに、沃素或いは二色性染料を吸着・配向させ、その両面に保護フィルムとして透明高分子フィルムを貼合した偏光板において、偏光板を平行位にした時の色相が、a=-1.5~1.5、且つb=-1.5~1.5であることを特徴とする偏光板、(2)高分子フィルムに、沃素或いは二色性染料を吸着・配向させ、その両面に保護フィルムとして透明高分子フィルムを貼合した偏光板において、偏光板を平行位にした時の色相が、a* =-1.5~1.5、且つb* =-1.5~1.5であることを特徴とする偏光板、(3)(1)または(2)の偏光板を使用した、透過型、反射型、または半透過型偏光板、(4)(1)または(2)の偏光板と位相差板を貼り合わせた楕円偏光板、に関する。【0006】本発明の偏光板としては、偏光子として沃素や2色性色素を有する、透明な高分子膜を基材とした、偏光膜を透明な支持体で挟んだものがあげられる。【0007】本発明の沃素系偏光板は、単体では青味が強いが、平行位ではa・b値が小さいニュートラルグレー色である。通常、延伸時あるいは延伸後に沃化カリウムを含む水溶液に浸漬することによりグレー色にしている。しかし、そのため偏光板を平行位にした時の色相が黄色味を帯びてしまっていた。この偏光板の平行位での黄色味は延伸時或いは延伸後に沃化カリウム水溶液への浸漬をなくす事で防ぐ事ができる。【0008】この本発明の沃素系偏光板を製造するには、例えば透明な高分子膜を硼酸・沃素・沃化カリウムを含む溶液中で染色し、次いで硼酸水溶液中で延伸して沃素を配向させ、乾燥して偏光膜を作成した後、この偏光膜の両面に支持体を貼付すればよい。硼酸・沃素・沃化カリウムを含む溶液は、硼酸濃度が1~5重量%、沃素濃度が0.01~0.05重量%、沃化カリウム濃度が0.02~0.1重量%の水溶液である。染色温度は25~45℃程度、染色時間は2~10分程度がよい。硼酸水溶液中の硼酸濃度は1~5重量%程度がよい。延伸倍率は4~6倍程度である。延伸時の温度は35~55℃程度がよい。【0009】以上のように、延伸時或いは延伸後に沃化カリウムを添加しないことで、平行位の色相がニュートラルグレーであることを特徴とする偏光板が得られる。・・・省略・・・【0012】本発明の偏光膜に用いられる高分子膜は、特に限定されるものではなく、通常のもの、例えばポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)共重合体系ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムを例示できる。偏光膜の膜厚は10~50μ、好ましくは20~35μ程度がよい。沃素系偏光板の場合には、ポリビニルアルコール系フィルムとして重合度の高いものを使用することにより、耐高湿度性を向上させることができる。重合度としては、例えば2400以上、好ましくは2400~5000、より好ましくは3000 ~5000程度である。【0013】支持体は、例えば80μm程度の厚さを有し、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、アクリル樹脂フィルム膜等から構成され、偏光膜を挟んで支持する。支持体の膜厚は30~250μ、好ましくは50~190μ程度がよい。【0014】本発明の偏光板の表面には保護膜を設けても良い。保護膜としては、例えばアクリル系やポリシロキサン系のハードコート膜やウレタン系の膜等があげられる。また、この保護膜の上にAR(反射防止)層を設けてもよい。AR層として、例えば二酸化珪素、酸化チタン等の物質を蒸着またはスパッタリング処理によって形成することができ、またフッソ系物質を薄く塗布することにより形成することができる。【0015】本発明の楕円偏光板は、位相差板と上記の偏光板とを貼り合わせたものである。ここで使用する位相差板は、延伸した透明なPVA系膜を透明な支持体で挟んだものである。PVA系膜としては、例えばPVA膜、ポリビニルブチラール膜等があげられるが、PVA膜が好ましい。支持体としては、例えばTAC膜、アクリル樹脂膜、ポリカーボネート樹脂膜、一軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂膜等の高分子膜があげられるが、TAC膜が好ましい。PVA系膜の膜厚は30~100μ、好ましくは50~80μ程度、高分子膜の膜厚は30~250μ、好ましくは50~190μ程度がよい。この位相差板の表面には保護膜を設けても良い。保護膜としては、例えばアクリル系やポリシロキサン系のハードコート膜やウレタン系の膜等があげられる。また、この保護膜の上にAR(反射防止)層を設けてもよい。AR層として、例えば二酸化珪素、酸化チタン等の物質を蒸着またはスパッタリング処理によって形成することができ、またフッソ系物質を薄く塗布することにより形成することができる。【0016】【実施例】次に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。以下において%はとくに断りのないかぎり重量%である。実施例1高分子フィルムとして重合度4000のポリビニルアルコールフィルム、支持体フィルムとしてトリアセチルセルロースフィルムを用い、2.5%の硼酸、0.01%の沃素、0.04%の沃化カリウムを含む35℃の水溶液中で5分間染色し、2.5%の硼酸を含む50℃の水溶液中で配向させ、乾燥して偏光膜を作成した後、この偏光膜の両面に支持体を貼付して、平行透過率39.0%、平行位の色相a* =-0.27 b* =-0.98の偏光板を得た。【0017】比較例1吸着・配向した後、沃化カリウム3%を含む溶液に浸漬する以外は実施例1と同一の方法で行い、平行透過率36.3%、平行位の色相a* =-1.61、b* =+1.10の偏光板を得た。・・・省略・・・【0020】実施例1及び比較例1から得た偏光フィルムについて平行透過率を測定した結果を図1に、実施例2及び比較例2から得た偏光フィルムについて平行透過率を測定した結果を図2に示す。また、実施例1、2及び比較例1、2と他社品をマクベスで測定した結果を表1に示す。表中のa* 値、b* 値は、その絶対値が0に近づくほど白色度が高くなることを示している。なお、光学特性測定方法は、次の通りである。【0021】偏光板の吸収軸を、光源から見て時計回りに45゜傾け、測定する。測定には次の機器を使用し、JIS-Z8719(C光源)に従い、L・a・b、或いはL* ・a*・b* で表す。測定器1 Kollmorger Instruments Corporation製 COLOR-EYE7000 Macbeth測定器2 日立製作所 製 分光光度計 U-3410【0022】【表1】表1Yp a* b* Py実施例1 39.02 -0.27 -0.98 95.45比較例1 36.30 -1.61 +1.10 97.46・・・省略・・・【0023】表中の記号は、次の特性値を表す。Yp :平行位透過率 a* 、b* :平行位での色相Py :偏光度【0024】表1から明らかなように、本発明の偏光板は、比較例及び他社品と比較して、a* 値、b* 値がいずれも0に近く、白色度が高くなっていることがわかる。【0025】【発明の効果】本発明の偏光板を用いると、全体が明るくなり、背景色も白くなるので、LCD表示がより鮮明になる。また、ヨウ素系偏光板では、沃化カリウム水溶液に浸漬しないことによって、耐高温度性をも向上させることができた。また、延伸時或いは延伸後に沃化カリウム水溶液に浸漬しなくても、従来レベルの耐久性を持つ偏光板とすることができた。」
(2)図1
[図:0001391436000003.jpg]
2 引用発明
上記(1)より、引用文献3には、実施例1の偏光板において作製された「偏光膜」として、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、引用文献3の【0016】の「作成」は「作製」の誤記と認められる。
「高分子フィルムとして重合度4000のポリビニルアルコールフィルムを用い、2.5%の硼酸、0.01%の沃素、0.04%の沃化カリウムを含む35℃の水溶液中で5分間染色し、2.5%の硼酸を含む50℃の水溶液中で配向させ、乾燥して作製した偏光膜。」
第5 対比
1 本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比する。
技術的にみて、引用発明の「偏光膜」は、本願発明の「偏光子」に相当する。
2 一致点及び相違点
以上の対比結果を踏まえると、本願発明と引用発明は、「偏光子」の点で一致し、以下の点で一応相違する。
<相違点>
本願発明は、「式(1)で表される透過率パラメーターが0.8以上であり、かつ、式(2)で表される色相パラメーターが5以下である
【数1】
[図:0001391436000004.jpg]
(式(1)中、T420は波長420nmにおける平行透過率、T550は波長550nmにおける平行透過率をそれぞれ表す)
【数2】
[図:0001391436000005.jpg]
(式(2)中、aは平行色相a値、bは平行色相b値をそれぞれ表す)」のに対して、引用発明の「偏光膜」は、これらの点が一応明らかではない点。
第6 判断
1 相違点についての判断
上記相違点について検討する。
(1)引用文献3の実施例1に記載の偏光板の平行透過率は、図1に示される「偏光フィルムについての平行透過率の測定した結果」からみて、420nmでは、33.00%と35.00%の間の値であり、550nmでは、37.00%と39.00%の間の値である。
そうすると、引用文献3の実施例1に記載の偏光板についての、波長420nmにおける平行透過率の波長550nmにおける平行透過率に対する比(以下「偏光板の透過率パラメーター」という。)は、最も小さく見積もったとしても0.84(33.00/39.00)となり、0.8よりも大きい。
また、引用文献3の実施例1に記載の偏光板の平行位のa*及びb*は、【0016】の記載により、それぞれ、-0.27及び-0.98であるところ、引用文献3の実施例1に記載の偏光板の平行位のa*及びb*の各平方の和の平方根(以下「偏光板の色相パラメーター」という。)は、1.02((0.27×0.27+0.98×0.98)1/2)である。
(2)ここで、上記(1)の「偏光板の透過率パラメーター」及び「偏光板の色相パラメーター」の値は、引用文献3の実施例1に記載の偏光膜にトリアセチルセルロースフィルムを両面に貼付して得た偏光板について測定された値に基づき算出した値であるから、偏光膜単独のものについての値ではない。しかしながら、引用文献3の実施例1において、偏光膜の両面に貼付されるトリアセチルセルロースフィルムは、【0016】に明記されるとおり、あくまで支持体フィルムであって、これら偏光膜の保護を目的として貼付される当該支持体フィルムが、無色透明な部材であることが技術常識である(例えば、特開2008-173856号公報の【0006】、特開2008-239698号公報の【0008】参照。)ところ、偏光膜自体が備える光学的な特性を、大きく損なったり、変動させたりするものではないことは、当業者であれば当然に理解し得る。
とりわけ、引用発明は、「平行位にした時の偏光板の色相の片寄りを抑え、液晶表示装置をより白又は黒に近づける偏光板を提供する」(【0003】)ことを解決すべき課題としてなされた発明であって、引用文献3には、【0006】に示されるように「偏光板としては、偏光子として沃素や2色性色素を有する、透明な高分子膜を基材とした、偏光膜を透明な支持体で挟んだもの」であり、【0008】に示されるように、沃素系偏光板を製造するために、偏光膜を作製する際の硼酸濃度、沃素濃度、沃化カリウム濃度、染色温度、染色時間、延伸倍率、延伸時の温度を制御し、【0009】に示されるように、延伸時或いは延伸後に沃化カリウムを添加しないことで、平行位の色相をニュートラルグレーにしたものであるのだから、なおのこと、偏光膜を挟む「透明な支持体」が、透過率や色相等の光学的特性を損なったり変動させたりするものではないはずであるといえる。
また、色相を示すパラメーターとして、a値とa*値、b値とb*値は、いずれも広く一般に用いられる値であって、a値とa*値、b値とb*値が、異なるにしてもせいぜい微差であることも知られており、このことは、引用文献3の【0005】に好ましい値として、a値とa*値は同じ数値範囲が用いられ、b値とb*値も同じ数値範囲が用いられていることとも符合する。
(3)上記(2)を踏まえて上記(1)で示された値について検討すると、引用発明3の実施例1の偏光板について算出される透過率パラメーターの値が、偏光膜の両面に支持体フィルムとしてトリアセチルセルロースフィルムを貼付したものについての値であるにしても、当該トリアセチルセルロースフィルムの透過率に与える影響は小さいことは当業者の技術常識に照らし明らかであるから、偏光膜自体の透過率パラメーターも、最も小さく見積もった0.84の近傍の値かそれ以上であって、0.8以上である蓋然性が高い。
色相パラメーターの値についても、同様に、透明な支持体であるトリアセチルセルロースフィルムの色相パラメーターに与える影響が小さいことは当業者にとり技術常識であるうえ、平行位の色相をニュートラルグレーにした引用発明において、当該色相を変化させる支持体を貼付することは考えにくいから、引用文献3の実施例1に記載の偏光膜についての色相パラメーターも、同実施例に記載の偏光板について算出された色相パラメーターの1.02を大幅に上回るものでなく、5以下である蓋然性が高い。
したがって、上記一応の相違点は、実質的な差異ではない。
(4)上記のとおりであるが、仮に、上記一応の相違点が実質的な差異であるとして、以下に検討する。
上記(2)で示したように、引用文献3には、「平行位にした時の偏光板の色相の片寄りを抑え、液晶表示装置をより白又は黒に近づける偏光板を提供する」(【0003】)ことを目的とし、「偏光板としては、偏光子として沃素や2色性色素を有する、透明な高分子膜を基材とした、偏光膜を透明な支持体で挟んだもの」(【0006】)を提供すべく、【0008】に、沃素系偏光板を製造するために、偏光膜を作成する際の硼酸濃度、沃素濃度、沃化カリウム濃度、染色温度、染色時間、延伸倍率、延伸時の温度を制御すること、【0009】に、延伸時或いは延伸後に沃化カリウムを添加しないことで、平行位の色相をニュートラルグレーにしたことが記載されている。
そうしてみると、引用発明において、「透明な支持体」を貼付する前の偏光膜についても、所望の偏光板の光学特性、すなわち、引用文献3の図1に示される平行透過率を有し、偏光板の色相の片寄りを抑制したものとするべく、偏光膜を作製する際の硼酸濃度、沃素濃度、沃化カリウム濃度、染色温度、染色時間、延伸倍率、延伸時の温度等の条件を実験的に最適化し、相違点に係る透過率パラメーター及び色相パラメーターの値を満たすものとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、その効果も格別なものとは認められない。
2 審判請求人の主張について
審判請求人は、令和4年7月28日提出の意見書において、「透明高分子フィルムを両側に積層した偏光板の色相および透過率を開示する引用文献3から、偏光子単独の色相および透過率、ならびに、これらの値から導き出される透過率パラメーターおよび色相パラメーターの値として特定の数値を有する偏光子を容易に想到することはできません。」と主張しており、積層される高分子フィルムによって色相及び透過率が変わり得る例として、特開2019-66502号公報(以下「参考文献1」という。)及び特表2015-505988号公報(以下「参考文献2」という。)を提示している。
しかしながら、参考文献1は、「紫外線硬化型ハードコート層付きトリアセチルセルロース」を用いたものであり、また、参考文献2は、「逆分散波長特性を有する1/4波長板」を用いたものであり、引用文献3の実施例1において示されるような、支持フィルムとして設けられる透明な支持体とは、積層する目的も、フィルムの備える機能や組成等の構成も異なるものであるから、参考文献1及び2に、色相及び透過率が変動する旨の記載があるからといって、引用文献3において、これらの光学特性が変動し、本件に係る透過率パラメーターや色相パラメーターを満たさなくなるなどとはいえない。その余の点は、上記1で述べたとおりである。
したがって、審判請求人の上記主張は、採用することができない。
4 小括
本願発明は、引用文献3に記載された発明であるか、又は、引用文献3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条1項3号の規定に該当するか、又は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本件出願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-008220