2021-008118
長期の避難生活が可能な水に浮くコンクリートの避難シェルター。
- 審判番号
- 2021-008118
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-023926外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年06月21日
- 審決日
- 2022年06月20日
- 公報発行日
- 2022年08月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】美藤 雅康
- 分類
- P18 .561-WY (E04H) / P18 .536-WY (E04H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第36条第4項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
本願は、令和2年2月17日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
同年 8月12日 :手続補正
同年 6月21日 :拒絶査定不服審判請求、手続補正
第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年6月21日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正後の特許請求の範囲、明細書及び図面
本件補正は、明細書の全文、特許請求の範囲の全文、及び全図面の補正を含んでいる。
(1)本件補正後の特許請求の範囲
特許請求の範囲についてみれば、本件補正後の記載は、次のとおりである(下線は、補正箇所を示す。)。以下、本件補正により補正された請求項1ないし3に係る発明を、それぞれ「本願補正発明1」などという。
「【特許請求の範囲】【請求項1】水平に地均しした平らな地盤の上に、板材の板面に蟻溝を設けて両側面に凹加工した床盤板材を、間隔を開けて2枚を並置して、床盤板材の蟻溝に、両端に蟻ホゾ加工した複数の床盤板セパを均等間隔に差し込み、梯子状に組固定して成る梯子状の床盤型枠材、該梯子状の床盤型枠材と、板材の板面に蟻溝を設けて両側面に凸加工した連結板材を交互に並置固定して成る床盤型枠、該床盤型枠の上に、板材の板面に蟻溝を設けて両側面に複数のダボ穴を設けた壁板材を、間隔を開けて2枚を並置して、壁板材の蟻溝に、両端に蟻ホゾ加工した複数の壁板セパを均等間隔に差し込み、梯子状に組固定して成る梯子状の壁型枠材、該壁型枠材とダボ木を用いて、千鳥状に組積組固定して成る壁型枠、該壁型枠の上に、前記、床盤型枠を形成して成る型枠躯体の両側面下部に揺れ止め支柱を固定する基礎の穴掘りをして、前記、型枠躯体上下の床盤型枠部分に設けたアンカーボルトで固定した揺れ止め支柱のスライド鋼管内に、それぞれ揺れ止め支柱を挿入して、止水扉や止水窓、さらに、脱出止水マンホールなどを設けて成る避難シェルターの型枠躯体、該避難シェルターの型枠躯体内と揺れ止め支柱の基礎に、コンクリートを連続打設して、コンクリートの凝固によって、コンクリートの避難シェルターが構築できることを特徴とする仮設ポストや鉄筋を使用しないコンクリートの避難シェルター。【請求項2】請求項1に記載の、避難シェルターの型枠躯体内に、前記、梯子状の床盤型枠材を雇い実で連結固定して成る水槽の底盤型枠、該水槽の底盤型枠上に、前記、梯子状の壁型枠と床盤型枠で形成して成る汚泥層躯体と貯水槽躯体を組みこんで成る避難シェルターの型枠躯体内に、コンクリートを連続打設して、コンクリートの凝固によって、長期の避難生活ができる避難シェルターとなることを特徴とする請求項1記載の仮設ポストや鉄筋を使用しないコンクリートの避難シェルター。【請求項3】請求項1に記載の、梯子状の床盤型枠材と両側面に凸加工した連結板材の地盤面に、発泡スチロールを貼り付けて、さらに、避難シェルターの型枠躯体の外壁上部に、前記、梯子状の床盤型枠材を雇い実で連結固定して成る浮袋の底盤型枠、該浮袋の底盤型枠上に、前記、壁型枠と床盤型枠で形成して成る浮袋の型枠を組みこんで成る避難シェルターの型枠躯体内に、コンクリートを連続打設して、コンクリートの凝固によって、水に浮く避難シェルターとなることを特徴とする請求項1~2記載の仮設ポストや鉄筋を使用しないコンクリートの避難シェルター。」
(2)本件補正後の明細書
本件補正後の明細書の記載は、【図面の簡単な説明】及び【符号の説明】についてみれば、次のとおりである(下線は、補正箇所を示す。)。
「 【図面の簡単な説明】【0048】図1は、本発明に係る避難シェルターの図2に示した平面図のA~A”部の断面図。図2は、避難シェルターの平面図。続きを表示(全69行)図3は、図2に示した平面図のA~A”部の断面図。図4は、図2に示した平面図のB~B”部の断面図。図5は、コンクリートの打設を可能にする床盤の断面詳細図。図6は、水槽の底盤を示した断面詳細図。図7は、壁を構成する梯子状の壁型枠材の断面詳細図。図8は、壁を構成する梯子状の壁型枠材の鳥観図。図9は、床盤を構成する梯子状の床盤型枠材の鳥観図。図10は、コンクリートの打設を可能にする床盤の連結板材の鳥観図。図11は、図8の端部Aの拡大図。図12は、図9の端部Bの拡大図。図13は、壁型枠材の壁板セパの鳥観図。図14は、床盤型枠材の床盤板セパの鳥観図。図15は、床盤型枠材に発泡スチロールを貼り付けた断面図。図16は、床盤の連結板材に発泡スチロールを貼り付けた断面図である。【符号の説明】【0049】1. 板材2. 蟻溝3. 床盤板材4. 床盤板セパ5. 床盤型枠材6. 連結板材7. ダボ穴8. 壁板材9. 壁板セパ10. 壁型枠材11. ダボ木12. 揺れ止め支柱13. 基礎14. アンカーボルト15. 揺れ止め支柱のスライド鋼管16. 止水扉17. 止水窓18. 脱出止水マンホール19. コンクリート20. 雇い実21. 水槽の底盤型枠22. 発泡スチロール23. 蟻溝24. 凹溝25. 凸加工26. 連結板27. 浮袋28. ロフト29. 収納戸棚30. 床組31. 梯子32. 汚泥層33. 貯水槽34. 吸排気筒35. 点検マンホール36. 汚泥汲み取り点検止水マンホール37. 便器38. シャワー39. ミニキッチン40. 床下収納41. 手摺A、床盤型枠B、壁型枠C、型枠躯体D、避難シェルターの型枠躯体E、浮袋の型枠F、汚泥層躯体G、貯水槽躯体H、浮袋の躯体」
(3)本件補正後の図面
本件補正後の図面は、図1、図3、図5、図7、図15及び図16として、次の図面を含む。
ア 【図1】
「[図:0001387000000001.jpg]」
イ 【図3】
「[図:0001387000000002.jpg]」
ウ 【図5】
「[図:0001387000000003.jpg]」
エ 【図7】
「[図:0001387000000004.jpg]」
オ 【図15】
「[図:0001387000000005.jpg]」
カ 【図16】
「[図:0001387000000006.jpg]」
2 本件補正の適否について
(1)本願補正発明1ないし3が有する構成
事案に鑑み、本願補正発明1ないし3が有する構成を確認すると、本願補正発明1及び2は下記ア及びイの構成を有し、本願補正発明3は下記アないしウの構成を有する。
ア 「床盤型枠」を成す構成、及び「壁型枠」を成す構成
本願補正発明1ないし3は、「床盤型枠」を成す構成として、下記(ア)の構成を有し、「壁型枠」を成す構成として、下記(イ)の構成を有する。なお、上記1(3)ウ及びエに摘記した、本件補正後の【図5】及び【図7】にも、下記(ア)及び(イ)の構成に対応する具体的構造が示されている。
(ア)「床盤型枠」については、「両側面に凹加工した床盤板材」を「梯子状に組固定」して成る「梯子状の床盤型枠材」と、「両側面に凸加工した連結板材」とを「交互に並置固定」して成るものとする。
(イ)「壁型枠」については、「両側面に複数のダボ穴を設けた壁板材」を「梯子状に組固定」して成る「梯子状の壁枠材」と、「ダボ木」を用いて、「千鳥状に組積組固定」して成るものとする。
イ 「揺れ止め支柱のスライド鋼管」を固定する構成
本願補正発明1ないし3は、「揺れ止め支柱」を挿入する「揺れ止め支柱のスライド鋼管」を、「型枠躯体上下の床盤型枠部分に設けたアンカーボルトで固定」する構成を有する。
なお、上記1(3)ア及びイに摘記した、本件補正後の【図1】及び【図3】にも、スライド鋼管15を固定する箇所について、「避難シェルターの型枠躯体D」の側面のうち、「床盤型枠A」に対応する上端部分及び下端部分とする、具体的構造が示されている。
ウ 「発泡スチロール」を貼り付ける構成
本件補正発明3は、「梯子状の床盤型枠材と両側面に凸加工した連結板材の地盤面に、発泡スチロールを貼り付け」た構成を有する。
なお、上記1(3)ア、イ、オ及びカに摘記した、本件補正後の【図1】、【図3】、【図15】及び【図16】にも、床盤を構成する部材に「発泡スチロール22」を貼り付ける具体的構造が、示されている。
(2)願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)の記載
本願の当初明細書等には、以下の記載及び図示がある(下線は、当審において付加したものである。)。
ア 明細書
「【技術分野】【0001】本発明は、二本の振れ止め支柱を有する水に浮くコンクリートの避難シェルターに関する。【背景技術】続きを表示(全133行)【0002】従来の水に浮く避難シェルターは、FRPや鋼板の津波避難シェルターが支流である。【0003】FRPや鋼板の津波避難シェルターは、車で運ぶため軽量で、球体から舟形など大小様々な形状で造られている。【0004】FRPや鋼板の津波避難シェルターの設置については、空地に架台を造り、台風などでの転倒防止固定をしているのが現状である。【先行技術文献】【特許文献】【0005】【特許文献1】無し【0006】【非特許文献1】無し【発明の開示】【発明が解決しようとする課題】【0007】在来のFRPや鋼板の津波避難シェルターには次の課題があった。〇軽量であるため小さな津波で流される。〇軽量であるため木の葉のように揺れる。〇揺れ防止のシートベルトが必要である。〇避難シェルターで避難生活はできない。〇躯体が薄いため暑さ寒さに左右される。【0008】さらに、FRPや鋼板の津波避難シェルターは、原油タンクの破壊によって火災が発生する場合があり、その火災の中に漂着した場合は最悪である。【0009】本発明は、上記の課題に鑑みて、避難生活に必要な設備・避難食の備蓄・生活用品の備え等々、津波や浸水被害から家族の生命財産が守れる、二本の振れ止め支柱を有する水に浮くコンクリートの避難シェルターを提供するものである。【課題を解決するための手段】【0010】この発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材を、組固定して成る型枠の両側面にスライド鋼管をアンカーボルトで取付、該スライド鋼管内に、振れ止め支柱を吊り込み挿入し、止水扉や脱出止水マンホールなどを設けて成る型枠躯体と振れ止め支柱の基礎内に、コンクリートを連続打設して、コンクリートの凝固によって成る避難シェルター、該避難シェルターは浸水量で振れ止め支柱の長さ内を揺れることなく、上下にスライド移動ができることを特徴とする、二本の振れ止め支柱を有する水に浮くコンクリートの避難シェルター(請求項1)を提供する。【0011】二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材を用いて、軒下の浮袋やスラブ下の雨水貯留タンク、さらに、基礎スラブ上に汚泥貯留槽を、組固定して成る型枠躯体内に、コンクリートを連続打設して、コンクリートの凝固によって、避難生活ができる避難シェルターが得られることを特徴とする、二本の振れ止め支柱を有する水に浮くコンクリートの避難シェルター(請求項2)を提供する。【0012】請求項1に記載の、振れ止め支柱の上部に逆V字型の吊り金物を設けて、下部の基礎コンクリート内の埋設部分に複数の固定穴を設けることを特徴とする、請求項1又は2に記載の二本の振れ止め支柱を有する水に浮くコンクリートの避難シェルター(請求項3)を提供する。【0013】請求項1に記載の、振れ止め支柱の基礎コンクリート上の長さを延長することで、浸水高さに対応できる避難シェルターが得られることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の二本の振れ止め支柱を有する水に浮くコンクリートの避難シェルター(請求項4)を提供する。【発明の効果】【0014】本発明の特筆すべき大きな効果を列挙する。イ)二本の支柱で支えられた避難シェルターは流されない。ロ)二本の支柱で支えられた避難シェルターは揺れない。ハ)二本の支柱を長く延長することでより高い浸水高さに対応できる。二)津波や浸水災害から家族の生命財産が守れる。ホ)津波や浸水災害の防災訓練や避難所生活から回避できる。へ)行政が推進する津波避難タワー防災は不要となる。ト)避難シェルターの多目的活用で建設費が回収できる。【0015】以上で説明したように、請求項1に係る発明によれば、二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材を、組固定して成る型枠の両側面にスライド鋼管をアンカーボルトで取付、該スライド鋼管内に、振れ止め支柱を吊り込み挿入し、止水扉や脱出止水マンホールなどを設けて成る型枠躯体と振れ止め支柱の基礎内に、コンクリートを連続打設して、コンクリートの凝固によって成る避難シェルター、該避難シェルターは浸水量で振れ止め支柱の長さ内を揺れることなく、上下にスライド移動ができることで、水に浮いた避難シェルターは、流されることはなく元の位置に戻る大きな効果が得られる。【0016】請求項2に係る発明によれば、二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材を用いて、軒下の浮袋やスラブ下の雨水貯留タンク、さらに、基礎スラブ上に汚泥貯留槽を、組固定して成る型枠躯体内に、コンクリートを連続打設して、コンクリートの凝固によって、避難生活ができる避難シェルターが得られることで、津波災害や浸水被害から家族の生命財産が守れる大きな効果が得られる。【0017】請求項3に係る発明によれば、請求項1に記載の、振れ止め支柱の上部に逆V字型の吊り金物を設けて、下部の基礎コンクリート内の埋設部分に複数の固定穴を設けることで、振れ止め支柱の垂直挿入が容易になるとともに、振れ止め支柱のコンクリート基礎に強固に固定できる効果は多大である。【0018】請求項4に係る発明によれば、請求項1に記載の、振れ止め支柱の基礎コンクリート上の長さを延長することで、より高い浸水高さに対応できる大きな効果が得られる。【発明を実施するための最良の形態】【0019】以下に、本発明の実施形態は添付図面を参照しつつ詳細に説明する。【0020】図1は、本発明に係る避難シェルターの鳥瞰図。図2は、二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材の鳥瞰図。図3は、避難シェルターの平面図。図4は、避難シェルターの屋上平面図。図5は、図3に示したA~A”部の断面図。図6は、図3に示したB~B”部の断面図。図7は、図3に示したB~B”部のスライドした状態を示した断面図である。【0021】本発明の実施形態を図面で説明すれば、図1は、本発明に係る避難シェルターの鳥瞰図である。【0022】図2は、二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材の鳥瞰図である。【0023】図3は、二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材1を、組固定して成る型枠2の両側面にスライド鋼管3をアンカーボルト4で取付、該スライド鋼管3内に、振れ止め支柱5を吊り込み挿入して成る型枠躯体8内に、コンクリート10を連続打設して、コンクリート10の凝固によって成る避難シェルター11の平面図である。【0024】図4は、スラブ下の雨水貯留タンク13のドレン付き点検マンホール15と脱出止水マンホール7を示した屋上の平面図である。【0025】図5は、図3に示したA~A”部の断面図である。【0026】図6は、二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材1を、組固定して成る型枠2の両側面にスライド鋼管3をアンカーボルト4で取付、該スライド鋼管3内に、振れ止め支柱5を吊り込み挿入して成る型枠躯体8と振れ止め支柱の基礎9内に、コンクリート10を連続打設して、コンクリート10の凝固によって成る避難シェルター11で、図3に示したB~B”部の断面図である。【0027】図7は、二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材1を、組固定して成る型枠2の両側面にスライド鋼管3をアンカーボルト4で取付、該スライド鋼管3内に、振れ止め支柱5を吊り込み挿入して成る型枠躯体8と振れ止め支柱の基礎9内に、コンクリート10を連続打設して、コンクリート10の凝固によって成る避難シェルター11で、図3に示したB~B”部のスライドした状態を示した断面図である。【0028】以上、図面について説明したが、本発明は、二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材を用いることで、複雑な形状の型枠躯体が容易に形成できるとともに、コンクリートの連続打設で止水のコンクリート躯体が構築できる。さらに、鉄筋を必要としない強固な無筋コンクリート躯体の構築を可能にすることを目的としたものである。【0029】また、本発明で使用する板材やセパ材は我が国の木材を使用することから、全国市町村の疲弊する山村林業の活性化に貢献ができる。【凡例】【0030】床盤型枠材D30mm×120mm×1,500mmの二枚の板材を、100mmの間隔を開けて並置して、3個の30mm×120mm×100mmの床盤板セパを500mm間隔に固定して成る床盤材1床盤接続材E30mm×120mm×1,500mmの床盤接続板2。壁型枠材F30mm×120mm×1,500mmの二枚の板材を、100mmの間隔を開けて並置して、3個の30mm×60mm×100mmの壁板セパを500mm間隔に固定して成る壁型枠材。【実施例1】【0031】「二本の振れ止め支柱を有する水に浮くコンクリートの避難シェルターの実施例」図7を参照に、地盤面に床盤型枠材Dと床盤接続材Eを交互に、ビス固定して床盤型枠を成し、壁型枠材Fをビスで組積組固定して壁型枠を成し、壁型枠の上に床盤型枠材Dと床盤接続材Eを交互に、ビス固定してスラブ床盤型枠を成し、同様に基礎スラブ上の汚泥貯留槽14や軒下の浮袋12、さらに、スラブ下の雨水貯留タンク13を構成して成る型枠躯体8の両側面に、スライド鋼管3をアンカーボルト4で取付、該スライド鋼管3内に、振れ止め支柱5を吊り込み挿入し、止水扉6や脱出止水マンホール7などを設けて成る型枠躯体8と振れ止め支柱の基礎9内に、コンクリート10を連続打設して、コンクリート10の凝固によって成る避難シェルター11、該避難シェルター11は浸水量で振れ止め支柱5の長さ内を上下にスライド移動ができる、二本の振れ止め支柱を有する水に浮くコンクリートの避難シェルター。【0032】この発明において、実施例に示した寸法は、一例を示したものであり、他の寸法に置き換えることは可能である。例えば、型枠材の長さや板厚、さらにセパ板の寸法は強度によって自由に設定できる。また、型枠材の大きさも自由に設定ができる。さらに、木材に代わる材料など強度が得られるものであれば発明を支障なく実施することができる。【産業上の利用可能性】【0033】災害が多発する我が国で、津波災害や浸水災害に耐える避難シェルターを開発すれば、大半の災害から家族の生命財産が守れるとの思いから、二本の振れ止め支柱を有する水に浮くコンクリートの避難シェルターの開発に至った、この避難シェルターを全国に普及すれば、行政が推進している津波避難タワーや避難食の備蓄倉庫の建設は不要になり、避難訓練や高台避難も軽減できる。さらに、被災者は避難所生活や仮設住宅での避難生活から回避できるとともに、行政は被災者の対応から解放されて本業に専念できる。【図面の簡単な説明】【0034】【図1】本発明に係る避難シェルターの鳥瞰図。【図2】二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材の鳥瞰図。【図3】避難シェルターの平面図。【図4】避難シェルターの屋上平面図。【図5】図3に示したA~A”部の断面図。【図6】図3に示したB~B”部の断面図。【図7】図3に示したB~B”部のスライドした状態を示した断面図である。【符号の説明】【0035】・ 二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材・ 型枠・ スライド鋼管・ アンカーボルト・ 振れ止め支柱・ 止水扉・ 脱出止水マンホール・ 型枠躯体・ 振れ止め支柱の基礎・ コンクリート・ 避難シェルター・ 軒下の浮袋・ スラブ下の雨水貯留タンク・ 基礎スラブ上の汚泥貯留槽・ ドレン付き点検マンホール・ 止水ドア・ 換気筒・ 点検止水マンホール・ 逆V字型吊り金物・ ロフトA、上下にスライドする避難シェルターB、コンクリート基礎に固定した支柱C、アプローチ台D、床盤型枠材E、床盤接続材F、壁型枠」
イ 特許請求の範囲
「【請求項1】二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材を、組固定して成る型枠の両側面にスライド鋼管をアンカーボルトで取付、該スライド鋼管内に、振れ止め支柱を吊り込み挿入し、止水扉や脱出止水マンホールなどを設けて成る型枠躯体と振れ止め支柱の基礎内に、コンクリートを連続打設して、コンクリートの凝固によって成る避難シェルター、該避難シェルターは浸水量で振れ止め支柱の長さ内を揺れることなく、上下にスライド移動ができることを特徴とする、二本の振れ止め支柱を有する水に浮くコンクリートの避難シェルター。【請求項2】二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材を用いて、軒下の浮袋やスラブ下の雨水貯留タンク、さらに、基礎スラブ上の汚泥貯留槽を、組固定して成る型枠躯体内に、コンクリートを連続打設して、コンクリートの凝固によって、避難生活ができる避難シェルターが得られることを特徴とする、二本の振れ止め支柱を有する水に浮くコンクリートの避難シェルター。【請求項3】請求項1に記載の、振れ止め支柱の上部に逆V字型の吊り金物を設けて、下部の基礎コンクリート内の埋設部分に複数の固定穴を設けることを特徴とする、請求項1又は2に記載の二本の振れ止め支柱を有する水に浮くコンクリートの避難シェルター。【請求項4】請求項1に記載の、振れ止め支柱の基礎コンクリート上の長さを延長することで、浸水高さに対応できる避難シェルターが得られることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の二本の振れ止め支柱を有する水に浮くコンクリートの避難シェルター。」
ウ 図面
(ア)【図1】
「[図:0001387000000007.jpg]」
(イ)【図2】
「[図:0001387000000008.jpg]」
(ウ)【図3】
「[図:0001387000000009.jpg]」
(エ)【図4】
「[図:0001387000000010.jpg]」
(オ)【図5】
「[図:0001387000000011.jpg]」
(カ)【図6】
「[図:0001387000000012.jpg]」
(キ)【図7】
「[図:0001387000000013.jpg]」
(3)当初明細書等に記載される技術的事項
事案に鑑み、本願補正発明1ないし3が有する上記(1)アないしウに示した構成に関し、当初明細書等に記載される技術的事項を確認する。
ア 「床盤型枠」を成す構成、及び「壁型枠」を成す構成について
上記(2)アに摘記した段落【0031】の記載によれば、当初明細書等には、「床盤型枠」については、「床盤型枠材Dと床盤接続材Eを交互に、ビス固定」して成すことが記載されており、「壁型枠」については、「壁型枠材F」を「ビス」で組積組固定して成すことが記載されている。
イ 「揺れ止め支柱のスライド鋼管」を固定する構成について
上記(2)アに摘記した段落【0031】の記載によれば、当初明細書等には、「振れ止め支柱5」を「挿入」する「スライド鋼管3」の取付は、「型枠躯体8の両側面に」行うことが、記載されている。
ウ 「発泡スチロール」を貼り付ける構成について
発泡スチロールの貼り付けについて、上記(2)ア及びイに摘記した当初明細書等における明細書及び特許請求の範囲には、記載されていない。また、上記(2)ウに示した当初明細書等における図面の図示からも、発泡スチロールを貼り付ける構成を看取することはできない。
(4)判断
ア 「床盤型枠」を成す構成、及び「壁型枠」を成す構成について
「床盤型枠」を成す構成、及び「壁型枠」を成す構成に関し、本願補正発明1ないし3が有する、上記(1)ア(ア)及び(イ)に示した構成は、「板材」の「両側面」に設けた「凹加工」部及び「凸加工」部を利用する構成、及び、「板材」の「両側面」に設けた「ダボ穴」と「ダボ木」とを用いるものであり、当初明細書等に記載される、上記(3)アに示した「ビス」を用いる構成とは、異なるものである。
そして、上記(2)に示した、当初明細書等のすべての記載を総合しても、「ビス」を用いる固定により「床盤型枠」及び「壁型枠」を成す構成に代えて、「床盤型枠」については「板材」の「両側面」に設けた「凹加工」部及び「凸加工」部を利用して固定を行い、「壁型枠」については「板材」の「両側面」に設けた「ダボ穴」と「ダボ木」とを用いて固定を行うという、具体的な構造が、自明に導かれるものではない。
したがって、本願補正発明1ないし3が有する、上記(1)ア(ア)及び(イ)に示した、「床盤型枠」を成す構成、及び「壁型枠」を成す構成は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入したものである。
なお、「床盤型枠」を成す構成、及び「壁型枠」を成す構成に関し、上記(1)ア(ア)及び(イ)に対応する固定構造を図示する、本件補正後の【図5】及び【図7】についても、同様に、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入したものである。
イ 「揺れ止め支柱のスライド鋼管」を固定する構成について
「揺れ止め支柱のスライド鋼管」を固定する構成に関し、本願補正発明1ないし3が有する、上記(1)イに示した構成は、「揺れ止め支柱のスライド鋼管」を「アンカーボルトで固定」する箇所を、「型枠躯体上下の床盤型枠部分」とするものであり、当初明細書等に記載される、上記(3)イに示した、「型枠躯体8の両側面」とする構成に対して、固定を行う箇所を上下方向に着目してより具体的に限定したものである。
そして、上記(2)に示した、当初明細書等のすべての記載を総合しても、「型枠躯体8の両側面」を固定位置として、具体的には上記(2)ウ(ア)及び(カ)に摘記した、当初明細書等の【図1】及び【図6】に図番3で示される箇所に固定される「スライド鋼管」について、固定位置を上記(1)イに示した「型枠躯体上下の床盤型枠部分」に変更し、より具体的には上記1(3)ア及びイに摘記した本件補正後の【図1】及び【図3】において図番15で示される位置とすることが、自明に導かれるものではない。
したがって、本願補正発明1ないし3が有する、上記(1)イに示した、「揺れ止め支柱のスライド鋼管」を固定する構成は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入したものである。
なお、「揺れ止め支柱のスライド鋼管」の固定位置を図示する、本件補正後の【図1】及び【図3】についても、同様に、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入したものである。
ウ 「発泡スチロール」を貼り付ける構成について
「発泡スチロール」を貼り付ける構成に関し、本願補正発明3が有する、上記(1)ウに示した構成は、上記(2)アないしウに摘記した当初明細書等において、発泡スチロールを貼り付けることが何ら記載されていないことから、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入したものである。
なお、「発泡スチロール」の貼り付けについて、具体的な構造を図示する、本件補正後の【図1】、【図3】、【図15】及び【図16】についても、同様に、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入したものである。
エ まとめ
上記アないしウのとおり、本願補正発明1ないし3が有する、上記(1)アないしウに示した構成は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入したものであるから、本件補正後の特許請求の範囲、明細書及び図面に記載されるその余の事項についてさらに検討するまでもなく、本件補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
したがって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり、本件補正を却下する。
第3 本願発明、本願明細書及び本願図面の記載
1 本願発明
本件補正は、上記「第2 補正の却下の決定」のとおり、却下された。
したがって、本願請求項1ないし3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)は、令和2年12月16日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される発明であり、以下に示すものである。
「 【請求項1】二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材を、平らな地盤の上に敷設並置して、連結ビス固定して成る基礎床盤型枠、該基礎床盤型枠の上に、型枠材を用いて汚泥貯留槽・壁躯体・軒下の浮袋・雨水貯留タンクなどの型枠を成し、その上に型枠材と連結用板材を用いて交互に連結ビス固定することで、コンクリートの打設開口部を有するスラブ型枠と成る避難シェルターの型枠躯体、該避難シェルターの型枠躯体に、止水扉や脱出止水マンホールなどを設けて、前記、避難シェルター型枠躯体の両側面に、複数のアンカーボルトで固定したスライド鋼管内に二本の振れ止め支柱を基礎穴まで挿入して、前記、避難シェルター型枠躯体内にコンクリートを連続打設して、コンクリートの凝固によって、水に浮くコンクリート避難シェルターが構築できることを特徴とする長期の避難生活が可能な水に浮くコンクリートの避難シェルター。【請求項2】請求項1に記載の、二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材を、平らな地盤の上に敷設並置して、連結ビス固定して成る基礎床盤型枠、該基礎床盤型枠の上に、型枠材を用いて汚泥貯留槽・壁躯体・軒下の浮袋・雨水貯留タンクなどの型枠を成し、その上に型枠材と連結用板材を用いて交互に連結ビス固定することで、コンクリートの打設開口部を有するスラブ型枠と成る避難シェルターの型枠躯体、該避難シェルターの型枠躯体に、止水扉や脱出止水マンホールなどを設けて、前記、避難シェルター型枠躯体内にコンクリートを連続打設して、コンクリートの凝固によって、避難シェルターが構築できることを特徴とする請求項1に記載の長期の避難生活が可能な水に浮くコンクリートの避難シェルター。【請求項3】請求項1に記載の、二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材を、平らな地盤の上に敷設並置して、連結ビス固定して成る基礎床盤型枠、該基礎床盤型枠の上に、型枠材を用いて汚泥貯留槽・壁躯体・軒下の浮袋・雨水貯留タンクなどの型枠を成し、その上に型枠材と連結用板材を用いて交互に連結ビス固定することで、コンクリートの打設開口部を有するスラブ型枠と成る避難シェルターの型枠躯体、該避難シェルターの型枠躯体に、止水扉や脱出止水マンホールなどを設けて、前記、避難シェルター型枠躯体の両側面に、複数のアンカーボルトで固定したスライド鋼管内に二本の振れ止め支柱を基礎穴まで挿入して、前記、避難シェルター型枠躯体内にコンクリートを連続打設して、コンクリートの凝固によって、巨大津波にも対応ができる水に浮くコンクリート避難シェルターが構築できることを特徴とする長期の避難生活が可能な水に浮くコンクリートの避難シェルター。」
2 本願明細書及び図面の記載
令和2年12月16日付けの手続補正で補正された明細書(以下「本願明細書」という。)及び図面(以下「本願図面」という。)の記載は、以下に示すものである。
(1)本願明細書
「 【発明の名称】長期の避難生活が可能な水に浮くコンクリートの避難シェルター。【技術分野】【0001】本発明は、長期の避難生活が可能な水に浮くコンクリートの避難シェルターに関する。続きを表示(全128行)【背景技術】【0002】従来の水に浮く避難シェルターは、FRPや鋼板の津波避難シェルターが支流である。【0003】FRPや鋼板の津波避難シェルターは、車で運ぶため軽量で、球体から舟形など大小様々な形状で造られている。【0004】FRPや鋼板の津波避難シェルターの設置については、空地に架台を造り、台風などでの転倒防止固定をしているのが現状である。【先行技術文献】【特許文献】【0005】【特許文献1】無し【0006】【非特許文献1】無し【発明の開示】【発明が解決しようとする課題】【0007】在来のFRPや鋼板の津波避難シェルターには次の課題があった。〇軽量であるため小さな津波で流される。〇軽量であるため木の葉のように揺れる。〇揺れ防止のシートベルトが必要である。〇避難シェルターで避難生活はできない。〇躯体が薄いため暑さ寒さに左右される。【0008】さらに、FRPや鋼板の津波避難シェルターは、原油タンクの破壊によって火災が発生する場合があり、その火災の中に漂着した場合は最悪である。【0009】本発明は、上記の課題に鑑みて、避難生活に必要な設備・避難食の備蓄・生活用品の備え等々、津波や浸水被害から家族の生命財産が守れる、二本の振れ止め支柱を有する水に浮くコンクリートの避難シェルターを提供するものである。【課題を解決するための手段】【0010】この発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材を、平らな地盤の上に敷設並置して、連結ビス固定して成る基礎床盤型枠、該基礎床盤型枠の上に、型枠材を用いて汚泥貯留槽・壁躯体・軒下の浮袋・雨水貯留タンクなどの型枠を成し、その上に型枠材と連結用板材を用いて交互に連結ビス固定することで、コンクリートの打設開口部を有するスラブ型枠と成る避難シェルターの型枠躯体、該避難シェルターの型枠躯体に、止水扉や脱出止水マンホールなどを設けて、前記、避難シェルター型枠躯体の両側面に、複数のアンカーボルトで固定したスライド鋼管内に二本の振れ止め支柱を基礎穴まで挿入して、前記、避難シェルター型枠躯体内にコンクリートを連続打設して、コンクリートの凝固によって、水に浮くコンクリート避難シェルターが構築できることを特徴とする長期の避難生活が可能な水に浮くコンクリートの避難シェルター(請求項1)を提供する。【0011】請求項1に記載の、二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材を、平らな地盤の上に敷設並置して、連結ビス固定して成る基礎床盤型枠、該基礎床盤型枠の上に、型枠材を用いて汚泥貯留槽・壁躯体・軒下の浮袋・雨水貯留タンクなどの型枠を成し、その上に型枠材と連結用板材を用いて交互に連結ビス固定することで、コンクリートの打設開口部を有するスラブ型枠と成る避難シェルターの型枠躯体、該避難シェルターの型枠躯体に、止水扉や脱出止水マンホールなどを設けて、前記、避難シェルター型枠躯体内にコンクリートを連続打設して、コンクリートの凝固によって、避難シェルターが構築できることを特徴とする請求項1に記載の長期の避難生活が可能な水に浮くコンクリートの避難シェルター(請求項2)を提供する。【0012】請求項1に記載の、二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材を、平らな地盤の上に敷設並置して、連結ビス固定して成る基礎床盤型枠、該基礎床盤型枠の上に、型枠材を用いて汚泥貯留槽・壁躯体・軒下の浮袋・雨水貯留タンクなどの型枠を成し、その上に型枠材と連結用板材を用いて交互に連結ビス固定することで、コンクリートの打設開口部を有するスラブ型枠と成る避難シェルターの型枠躯体、該避難シェルターの型枠躯体に、止水扉や脱出止水マンホールなどを設けて、前記、避難シェルター型枠躯体の両側面に、複数のアンカーボルトで固定したスライド鋼管内に二本の振れ止め支柱を基礎穴まで挿入して、前記、避難シェルター型枠躯体内にコンクリートを連続打設して、コンクリートの凝固によって、巨大津波にも対応ができる水に浮くコンクリート避難シェルターが構築できることを特徴とする長期の避難生活が可能な水に浮くコンクリートの避難シェルター(請求項3)を提供する。【発明の効果】【0013】本発明の特筆すべき大きな効果を列挙する。イ)二本の支柱で支えられた避難シェルターは流されない。ロ)二本の支柱で支えられた避難シェルターは揺れない。ハ)二本の支柱を長く延長することでより高い浸水高さに対応できる。二)津波や浸水災害から家族の生命財産が守れる。ホ)津波や浸水災害の防災訓練や避難所生活から回避できる。へ)行政が推進する津波避難タワー防災は不要となる。ト)避難シェルターの多目的活用で建設費が回収できる。【0014】以上で説明したように、請求項1に係る発明によれば、二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材を、平らな地盤の上に敷設並置して、連結ビス固定して成る基礎床盤型枠、該基礎床盤型枠の上に、型枠材を用いて汚泥貯留槽・壁躯体・軒下の浮袋・雨水貯留タンクなどの型枠を成し、その上に型枠材と連結用板材を用いて交互に連結ビス固定することで、コンクリートの打設開口部を有するスラブ型枠と成る避難シェルターの型枠躯体、該避難シェルターの型枠躯体に、止水扉や脱出止水マンホールなどを設けて、前記、避難シェルター型枠躯体の両側面に、複数のアンカーボルトで固定したスライド鋼管内に二本の振れ止め支柱を基礎穴まで挿入して、前記、避難シェルター型枠躯体内にコンクリートを連続打設して、コンクリートの凝固によって、水に浮くコンクリート避難シェルターが構築できることを特徴とする長期の避難生活が可能な水に浮くコンクリートの避難シェルター。二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材を、組固定して成る型枠の両側面にスライド鋼管をアンカーボルトで取付、該スライド鋼管内に、振れ止め支柱を吊り込み挿入し、止水扉や脱出止水マンホールなどを設けて成る型枠躯体と振れ止め支柱の基礎内に、コンクリートを連続打設して、コンクリートの凝固によって成る避難シェルター、該避難シェルターは浸水量で振れ止め支柱の長さ内を揺れることなく、上下にスライド移動ができることで、水に浮いた避難シェルターは、流されることはなく元の位置に戻る大きな効果が得られる。【0015】請求項2に係る発明によれば、請求項1に記載の、二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材を、平らな地盤の上に敷設並置して、連結ビス固定して成る基礎床盤型枠、該基礎床盤型枠の上に、型枠材を用いて汚泥貯留槽・壁躯体・軒下の浮袋・雨水貯留タンクなどの型枠を成し、その上に型枠材と連結用板材を用いて交互に連結ビス固定することで、コンクリートの打設開口部を有するスラブ型枠と成る避難シェルターの型枠躯体、該避難シェルターの型枠躯体に、止水扉や脱出止水マンホールなどを設けて、前記、避難シェルター型枠躯体内にコンクリートを連続打設して、コンクリートの凝固によって避難生活ができる避難シェルターが得られることで、津波災害や浸水被害から家族の生命財産が守れる大きな効果が得られる。【0016】請求項3に係る発明によれば、請求項1に記載の、二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材を、平らな地盤の上に敷設並置して、連結ビス固定して成る基礎床盤型枠、該基礎床盤型枠の上に、型枠材を用いて汚泥貯留槽・壁躯体・軒下の浮袋・雨水貯留タンクなどの型枠を成し、その上に型枠材と連結用板材を用いて交互に連結ビス固定することで、コンクリートの打設開口部を有するスラブ型枠と成る避難シェルターの型枠躯体、該避難シェルターの型枠躯体に、止水扉や脱出止水マンホールなどを設けて、前記、避難シェルター型枠躯体の両側面に、複数のアンカーボルトで固定したスライド鋼管内に二本の振れ止め支柱を基礎穴まで挿入して、前記、避難シェルター型枠躯体内にコンクリートを連続打設して、コンクリートの凝固によって、巨大津波にも対応ができる効果は多大である。【発明を実施するための最良の形態】【0017】以下に、本発明の実施形態は添付図面を参照しつつ詳細に説明する。【0018】図1は、本発明に係る避難シェルターの鳥瞰図。図2は、二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材の鳥瞰図。図3は、避難シェルターの平面図。図4は、避難シェルターの屋上平面図。図5は、図3に示したA~A”部の断面図。図6は、図3に示したB~B”部の断面図。図7は、図3に示したB~B”部のスライドした状態を示した断面図である。【0019】本発明の実施形態を図面で説明すれば、図1は、二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材1を、平らな地盤の上に敷設並置して、連結ビス固定して成る基礎床盤型枠22、該基礎床盤型枠22の上に、型枠材1を用いて汚泥貯留槽14・壁躯体8・軒下の浮袋12・雨水貯留タンク13などの型枠を成し、その上に型枠材1と連結用板材2を用いて交互に連結ビス固定することで、コンクリートの打設開口部を有するスラブ型枠Cと成る避難シェルターの型枠躯体23、該避難シェルターの型枠躯体23に、止水扉6や脱出止水マンホール7などを設けて、前記、避難シェルター型枠躯体23の両側面に、複数のアンカーボルト4で固定したスライド鋼管3内に二本の振れ止め支柱5を基礎穴まで挿入して、前記、避難シェルター型枠躯体23内にコンクリート10を連続打設して、コンクリート10の凝固によって、水に浮くコンクリート避難シェルターが構築できることを特徴とする長期の避難生活が可能な水に浮くコンクリートの避難シェルターの本発明に係る避難シェルターの鳥瞰図である。【0020】図2は、二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材の鳥瞰図である。【0021】図3は、二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材1を、組固定して成る型枠2の両側面にスライド鋼管3をアンカーボルト4で取付、該スライド鋼管3内に、振れ止め支柱5を吊り込み挿入して成る型枠躯体8内に、コンクリート10を連続打設して、コンクリート10の凝固によって成る避難シェルター11の平面図である。【0022】図4は、スラブ下の雨水貯留タンク13のドレン付き点検マンホール15と脱出止水マンホール7を示した屋上の平面図である。【0023】図5は、図3に示したA~A”部の断面図である。【0024】図6は、二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材1を、組固定して成る型枠2の両側面にスライド鋼管3をアンカーボルト4で取付、該スライド鋼管3内に、振れ止め支柱5を吊り込み挿入して成る型枠躯体8と振れ止め支柱の基礎9内に、コンクリート10を連続打設して、コンクリート10の凝固によって成る避難シェルター11で、図3に示したB~B”部の断面図である。【0025】図7は、二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材1を、組固定して成る型枠2の両側面にスライド鋼管3をアンカーボルト4で取付、該スライド鋼管3内に、振れ止め支柱5を吊り込み挿入して成る型枠躯体8と振れ止め支柱の基礎9内に、コンクリート10を連続打設して、コンクリート10の凝固によって成る避難シェルター11で、図3に示したB~B”部のスライドした状態を示した断面図である。【0026】以上、図面について説明したが、本発明は、二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材を用いることで、複雑な形状の型枠躯体が容易に形成できるとともに、コンクリートの連続打設で止水のコンクリート躯体が構築できる。さらに、鉄筋を必要としない強固な無筋コンクリート躯体の構築を可能にすることを目的としたものである。【0027】また、本発明で使用する板材やセパ材は我が国の木材を使用することから、全国市町村の疲弊する山村林業の活性化に貢献ができる。【0028】凡例型枠材130mm×120mm×1,500mmの二枚の板材を、100mmの間隔を開けて並置して、3個の30mm×120mm×100mmの床盤板セパを500mm間隔に固定して成る型枠材1連結用板材230mm×120mm×1,500mmの連結用板材2【実施例1】【0029】「長期の避難生活が可能な水に浮くコンクリートの避難シェルターの実施例」図7を参照に、二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材1を、平らな地盤の上に敷設並置して、連結ビス固定して成る基礎床盤型枠22、該基礎床盤型枠22の上に、型枠材1を用いて汚泥貯留槽14・壁躯体8・軒下の浮袋12・雨水貯留タンク13などの型枠を成し、その上に型枠材1と連結用板材2を用いて交互に連結ビス固定することで、コンクリートの打設開口部を有するスラブ型枠Cと成る避難シェルターの型枠躯体23、該避難シェルターの型枠躯体23に、止水扉6や脱出止水マンホール7などを設けて、前記、避難シェルター型枠躯体23の両側面に、複数のアンカーボルト4で固定したスライド鋼管3内に二本の振れ止め支柱5を基礎穴まで挿入して、前記、コンクリートの打設開口部を有するスラブ型枠Cの開口部から、避難シェルター型枠躯体23内へコンクリート10を連続打設しする、さらに、二本の振れ止め支柱5の基礎穴内にコンクリート10を打設して振れ止め支柱の基礎をなし、コンクリート10の凝固によって、水に浮くコンクリートの避難シェルターとなる、該水に浮くコンクリートの避難シェルター11は浸水量で振れ止め支柱5の長さ内を上下にスライド移動ができる、二本の振れ止め支柱を有する水に浮くコンクリートの避難シェルター。【0030】この発明において、実施例に示した寸法は、一例を示したものであり、他の寸法に置き換えることは可能である。例えば、型枠材の長さや板厚、さらにセパ板の寸法は強度によって自由に設定できる。また、型枠材の大きさも自由に設定ができる。さらに、木材に代わる材料など強度が得られるものであれば発明を支障なく実施することができる。【産業上の利用可能性】【0031】災害が多発する我が国で、津波災害や浸水災害に耐える避難シェルターを開発すれば、大半の災害から家族の生命財産が守れるとの思いから、長期の避難生活が可能な水に浮くコンクリートの避難シェルターの開発に至った、この避難シェルターを全国に普及すれば、行政が推進している津波避難タワーや避難食の備蓄倉庫の建設は不要になり、避難訓練や高台避難も軽減できる。さらに、被災者は避難所生活や仮設住宅での避難生活から回避できるとともに、行政は被災者の対応から解放されて本業に専念できる。【図面の簡単な説明】【0032】【図1】本発明に係る避難シェルターの鳥瞰図。【図2】二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材の鳥瞰図。【図3】避難シェルターの平面図。【図4】避難シェルターの屋上平面図。【図5】図3に示したA~A”部の断面図。【図6】図3に示したB~B”部の断面図。【図7】図3に示したB~B”部のスライドした状態を示した断面図である。【符号の説明】【0033】1. 型枠材2. 連結用板材3. スライド鋼管4. アンカーボルト5. 振れ止め支柱6. 止水扉7. 脱出止水マンホール8. 壁躯体9. 振れ止め支柱の基礎10. コンクリート11. 避難シェルター12. 軒下の浮袋13. 雨水貯留タンク14. 汚泥貯留槽15. ドレン付き点検マンホール16. 止水ドア17. 換気筒18. 点検止水マンホール19. 逆V字型吊り金物20. 止水窓21. アプローチ台22. 基礎床盤型枠23. 避難シェルターの型枠躯体A、上下にスライドする避難シェルターB、基礎床盤C、コンクリートの打設開口部を有するスラブ型枠」
(2)本願図面
ア 【図1】
「[図:0001387000000014.jpg]」
イ 【図2】
「[図:0001387000000015.jpg]」
ウ 【図3】
「[図:0001387000000016.jpg]」
エ 【図4】
「[図:0001387000000017.jpg]」
オ 【図5】
「[図:0001387000000018.jpg]」
カ 【図6】
「[図:0001387000000019.jpg]」
キ 【図7】
「[図:0001387000000020.jpg]」
第4 原査定の概要
原査定(令和3年2月25日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。
理由(実施可能要件)
この出願は、請求項1ないし3に係る発明について、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
・第1点
「請求項1ないし3に係る発明の特定事項である「避難シェルター型枠躯体内にコンクリートを連続打設して、コンクリートの凝固によって、水に浮くコンクリート避難シェルターが構築できる」について、発明の詳細な説明には、二枚の板を複数の板セパで固定した成型部材を用いることで、複雑な形状の型枠躯体が容易に形成できるとともに、コンクリートの連続打設で止水のコンクリート躯体が構築でき、鉄筋を必要としない強固な無筋コンクリート躯体の構築を可能にする点が記載されているが、避難シェルター型枠躯体内にコンクリートを連続打設して、コンクリートの凝固によってどのようにして重量物であるコンクリート構造物を水に浮かせることができるのかが分からない。」
・第2点
「請求項1に係る発明の特定事項である「二枚の板を複数の板セパで固定した型枠材を、平らな地盤の上に敷設並置して、連結ビス固定して成る基礎床盤型枠、該基礎床盤型枠の上に、型枠材を用いて汚泥貯留槽・壁躯体・軒下の浮袋・雨水貯留タンクなどの型枠を成し、その上に型枠材と連結用板材を用いて交互に連結ビス固定することで、コンクリートの打設開口部を有するスラブ型枠と成る避難シェルターの型枠躯体、該避難シェルターの型枠躯体に、止水扉や脱出止水マンホールなどを設けて、前記、避難シェルター型枠躯体の両側面に、複数のアンカーボルトで固定したスライド鋼管内に二本の振れ止め支柱を基礎穴まで挿入して、前記、避難シェルター型枠躯体内にコンクリートを連続打設して、コンクリートの凝固によって、水に浮くコンクリート避難シェルターが構築できる」点について、避難シェルターの打込み型枠は全ての型枠を一体化したものであり、その躯体内に単にコンクリートを連続打設したとしても、コンクリートの粘性や流動性によって全ての型枠内に充填できないため、どのようにして一体の止水構築物を構築することができるのかが分からない。請求項1を引用する請求項2及び3についても同様である。」
第5 判断
1 原査定の理由について
本願発明1ないし3に係る「避難シェルター」は、「コンクリートの打設開口部を有する避難シェルターの型枠躯体」に「コンクリートを連続打設」してなるものであるから、床盤や壁等が「コンクリート」からなるとはいえ、「避難シェルター」として「避難生活」を行うための居住空間を内部に有し、確保した居住空間により「避難シェルター」の大部分は中空部となることが、技術常識及び一般常識から、明らかである。また、本願図面の【図1】ないし【図7】を参照しても、コンクリートの避難シェルターは、体積の大部分が中空部となることが、理解される。
また、本願明細書の段落【0030】に、「例えば、型枠材の長さや板厚、さらにセパ板の寸法は強度によって自由に設定できる。また、型枠材の大きさも自由に設定ができる。さらに、木材に代わる材料など強度が得られるものであれば発明を支障なく実施することができる。」と記載されていることから、当業者であれば、型枠材によって定まるコンクリートの厚みを適宜に設定できること、及び、型枠の強度自体を適宜に設定できることが、理解される。
そして、「打設開口部」を有する型枠に対してコンクリートを打設する際、コンクリートの流動性や、コンクリートを注入する際のパラメータ等を、適宜に設定できることが、証拠を示すまでもなく技術常識であることをふまえると、本願発明1ないし3に係る「避難シェルター」について、「型枠躯体」により定まるコンクリートの厚みを、居住空間となる中空部によって水に浮く範囲の厚みと選定し、かつ、当該「型枠躯体」に対して、コンクリートの充填を適宜に行うことは、当業者にとって、過度の試行錯誤を要することではないと、理解される。
したがって、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、本願図面の図示、構造物を水に浮かばせるための体積及び重量に関する技術常識、及び、型枠に対するコンクリートの充填に関する技術常識をふまえると、本願発明1ないし3に係る「避難シェルター」について、水に浮かせること、及び、コンクリートの充填を適切に行うことも含めて、当業者であれば本願発明1ないし3を実施することができる程度に、明確かつ十分な説明を記載したものである。
2 他に本願を拒絶すべき理由について
本願発明1ないし3は、「型枠材」について、「連結ビス固定」するものであり、「スライド鋼管」の「固定」について、「避難シェルターの型枠躯体の両側面」に行うものであり、「発泡スチロール」を貼り付ける特定事項を有するものではないから、上記第2の2(1)において、本願補正発明1ないし3に関して指摘した構成を有するものではない。
本願明細書及び本願図面も、上記第2の2(1)において、本願補正発明1ないし3に関して指摘した構成に対応する記載を、含むものではない。
したがって、本願発明1ないし3、本願明細書、及び本願図面は、上記第2において補正を却下する決定を行った本件補正後の特許請求の範囲、明細書及び図面について指摘した点で、新規事項が追加されているものではない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
第6 むすび
以上のとおり、本願は、原査定の理由によって拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-008118